JP2000280424A - 農業用多層フィルム - Google Patents

農業用多層フィルム

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JP2000280424A JP11095917A JP9591799A JP2000280424A JP 2000280424 A JP2000280424 A JP 2000280424A JP 11095917 A JP11095917 A JP 11095917A JP 9591799 A JP9591799 A JP 9591799A JP 2000280424 A JP2000280424 A JP 2000280424A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】優れた強靱性を有しながらも、防曇性および防
霧性の発現が良好であり、防曇性および防霧性の持続性
に優れた農業用多層フィルムを提供する。 【解決手段】少なくとも内層A、中間層Bおよび外層C
で構成された農業用多層フィルムであって、内層Aが、
酢酸ビニル含有量2〜10重量%であるエチレン−酢酸
ビニル共重合体を主成分とした組成物から構成され、中
間層Bが、シングルサイト触媒を用いて重合された密度
(db)0.87〜0.92g/cm3のエチレン−α−オレ
フィン共重合体(b)を主成分とし、防曇剤1〜10重
量%が添加された組成物から構成され、外層Cが、シン
グルサイト触媒を用いて重合された密度(dc)0.8
9〜0.95g/cm3のエチレン−α−オレフィン共重合
体(c)を主成分とした組成物から構成され、かつ、d
b<dcである農業用多層フィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はハウスやトンネルを
被覆する農業用多層フィルムに関する。更に詳しくは、
強靱性を有しながらも、ハウスやトンネルに展張した際
に優れた防曇性を維持することができる農業用多層フィ
ルムに関する。
【0002】
【従来の技術】農業用ハウスやトンネル等の施設園芸の
被覆資材として様々のプラスチックフィルムが使用され
ている。それらの代表的なものとして、ポリ塩化ビニル
フィルム(以下農ビと称す。)、ポリエチレンフィルム
(以下農ポリと称す。)、エチレン酢酸ビニル共重合体
フィルム(以下農酢ビと称す。)等を挙げることができ
る。なかでも農ビは、保温性、透明性、強靭性、防曇
性、ハウス密着性および経済性等に優れているところか
ら、最も多く使用されている。
【0003】しかし、農ビは、フィルム中に含まれてい
る添加剤が除々にフィルム表面に滲出し、これによりフ
ィルム表面にベタツキが発生し、作業性および防塵性を
悪化させるという欠点を有している。また、農ビを焼却
廃棄する時に、有害ガスが発生するという問題が取り上
げられており、有害ガスの発生しない農ビ代替品が望ま
れている。
【0004】一方、農ポリや農酢ビは、作業性、防塵性
および廃棄処理のしやすさという点においては農ビより
優れているが、保温性、強靱性、防曇性等が農ビより劣
ることから改良が望まれてきた。
【0005】これらの農ポリや農酢ビの保温性を改良す
るために特開昭60−104141に特定の無機質フィ
ラーを添加する技術が開示されている。また、防曇性や
強靱性を改良するために特開昭58−90960号公報
には、多層フィルムにおいて、外層(ハウスやトンネル
の外側大気に接する層)に線状低密度ポリエチレン、中
間層にエチレン−酢酸ビニル共重合体やオレフィン−ビ
ニルアルコール共重合体、内層(ハウスやトンネルの内
側大気に接する層)に線状低密度ポリエチレンやエチレ
ン酢酸ビニル共重合体を用いた農業用積層フィルムが提
案されている。
【0006】しかしながら、これらの技術を用いた農業
用フィルムでは保温性は改良されるものの、農ビと比較
して強靱性が不十分であった。近年、従来のマルチサイ
ト触媒に変えてシングルサイト触媒を用いる重合による
エチレン−α−オレフィン共重合体である線状低密度ポ
リエチレンの開発が進み、特開平09−052332号
公報や特開平08−276542号公報にシングルサイ
ト触媒を用いる重合によるエチレン−α−オレフィン共
重合体を使用した農業用多層フィルムが提案されてい
る。
【0007】しかしながら、これらの農業用フィルムは
強靱性は向上するものの内外層にシングルサイト触媒を
用いる重合によるエチレン−α−オレフィン共重合体を
使用するために、防曇性や防霧性の発現が十分ではな
く、また、防曇剤や防霧剤の添加量が多いにもかかわら
ず防曇性や防霧性の持続性が不十分であった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、優れ
た強靱性を有しながらも、防曇性および防霧性の発現が
良好であり、防曇性および防霧性の持続性に優れた農業
用多層フィルムを提供することにある。
【0009】本発明者らは、前記従来技術の問題点を改
善するべく鋭意検討した結果、各層が特定の組成を有
し、かつ、少なくとも内層A、中間層Bおよび外層Cで
構成された農業用多層フィルムが上記課題を改良できる
ことを見出し、この知見に基づき本発明を完成するに至
った。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は下記構成を有す
る。 (1)少なくとも内層A、中間層Bおよび外層Cで構成
された農業用多層フィルムであって、内層Aが、酢酸ビ
ニル含有量2〜10重量%であるエチレン−酢酸ビニル
共重合体を主成分とした組成物から構成され、中間層B
が、シングルサイト触媒を用いて重合された密度
(db)0.87〜0.92g/cm3のエチレン−α−オレ
フィン共重合体(b)を主成分とし、防曇剤1〜10重
量%が添加された組成物から構成され、外層Cが、シン
グルサイト触媒を用いて重合された密度(dc)0.8
9〜0.95g/cm3のエチレン−α−オレフィン共重合
体(c)を主成分とした組成物から構成され、かつ、d
b<dcである農業用多層フィルム。 (2)内層A、中間層Bおよび外層Cを構成する組成物
に対し、BET比表面積が5〜50m2/gの無機質フ
ィラーが、それぞれ0.05〜5重量%、1〜10重量
%および1〜10重量%添加され、無機質フィラーの外
層Cを構成する組成物への添加量が内層Aを構成する組
成物への添加量よりも多い前記(1)項記載の農業用多
層フィルム。 (3)中間層Bを構成する組成物に用いられる防曇剤
が、下記式1で示される化合物およびそれらの有機酸と
の中和塩の群から選ばれた1種もしくは2種以上である
前記(1)または(2)項記載の農業用多層フィルム。
【0011】
【化2】
【0012】(4)多層フィルムの引張強さが300kg
f/cm2以上であって、引張弾性率が1000〜2000
kgf/cm2である前記(1)〜(3)項のいずれか1項記
載の農業用多層フィルム。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係わる農業用多層
フィルムについて詳細に説明する。本発明の農業用多層
フィルムは、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン
−α−オレフィン共重合体(b)および(c)と、防曇
剤および無機質フィラーの何れか1種または2種以上を
成分とする組成物から構成される3層以上の多層フィル
ムである。なお、本発明に関わる各層を構成する組成物
の「主成分」とは、組成物に50重量%以上含まれた成
分を指す。
【0014】[エチレン−酢酸ビニル共重合体]本発明
の農業用多層フィルムにおいて内層Aを構成する組成物
に用いられるエチレン−酢酸ビニル共重合体は、エチレ
ンと酢酸ビニルを公知の高圧ラジカル重合プロセスによ
り反応させて製造され、JIS K 7210により測
定されるそのメルトフローレート(以下MFRと称す
る)は0.1〜10g/10分、好ましくは0.5〜5g/10
分のものが使用される。MFRが0.5g/10分未満であ
るとフィルムの成形性、特に押出加工性、高速延伸性が
悪くなるおそれがあり、MFRが5g/10分を越えるとフ
ィルムの成形性、特にインフレーション成形におけるバ
ブルの安定性が欠ける場合がある。
【0015】前記エチレン−酢酸ビニル共重合体の酢酸
ビニル含有量は2〜10重量%であり、2重量%未満で
は、得られる農業用多層フィルムの所期の防曇性、特に
低温時の防曇効果が得られず、防曇持続性も低下するこ
ととなる。また、10重量%を越える場合には、前記の
フィルム同志が密着したり、屋外に放置した際に太陽光
線により蓄熱し、フィルム同志が融着したりするおそれ
がある。
【0016】[エチレン−α−オレフィン共重合体]本
発明の農業用多層フィルムにおいて中間層Bおよび外層C
を構成する組成物の主成分として用いられるエチレン−
α−オレフィン共重合体(b)および(c)は、エチレ
ンと炭素原子数が3〜20のα−オレフィンとのランダ
ム共重合体であり、メタロセン触媒のようなシングルサ
イト触媒を用いて共重合される。
【0017】炭素原子数が3〜20のα−オレフィンと
しては、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセ
ン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン、1-
ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタ
デセン、1-エイコセンなどが挙げられ、ランダム共重合
体中の前記α−オレフィンの含有割合は1〜45重量
%、好ましくは2〜35重量%である。
【0018】シングルサイト触媒としては、チタン、ジ
ルコニウム、ハフニウム、バナジウムなどの周期律表第
IV又はV族遷移金属のメタロセン化合物と、有機アルミ
ニウム化合物及び/又はイオン性化合物の組合せが用い
られる。
【0019】メタロセン化合物としては、少なくとも一
個のシクロペンタジエニル基、置換シクロペンタジエニ
ル基、ヒドロカルビル珪素などによって架橋されたも
の、さらにシクロペンタジエニル基が酸素、窒素、燐原
子に架橋されたものを配位子とする公知のメタロセン化
合物をいずれも使用できる。
【0020】これらのメタロセン化合物の具体例として
は、ジメチルシリル(2、4-ジメチルシクロペンタジエニ
ル)(3'、5'-ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウ
ムジクロライド、ジメチルシリル(2、4-ジメチルシクロ
ペンタジエニル)(3'、5'-ジメチルシクロペンタジエニ
ル)ハフニウムジクロライドなどのケイ素架橋型メタロ
セン化合物、エチレンビスインデニルジルコニウムジク
ロライド、エチレンビスインデニルハフニウムジクロラ
イド、エチレンビス(メチルインデニル)ジルコニウムジ
クロライド、エチレンビス(メチルインデニル)ハフニウ
ムジクロライドなどのインデニル系架橋型メタロセン化
合物を挙げることができる。
【0021】メタロセン化合物との組合せで用いられる
有機アルミニウム化合物としては、一般式−(Al
(R)O)n−で示される直鎖状、あるいは環状重合体
(Rは炭素数1〜10の炭化水素基であり、一部ハロゲ
ン原子及び/又はRO基で置換されたものも含む。nは重合
度であり、5以上、好ましくは10以上である)であ
り、具体例としてRがそれぞれメチル、エチル、イソブ
チル基である、メチルアルモキサン、エチルアルモキサ
ン、イソブチルエチルアルモキサンなどが挙げられる。
【0022】さらに、その他の有機アルミニウム化合物
としては、トリアルキルアルミニウム、ジアルキルハロ
ゲノアルミニウム、セスキアルキルハロゲノアルミニウ
ム、アルケニルアルミニウム、ジアルキルハイドロアル
ミニウム、セスキアルキルハイドロアルミニウムなどが
挙げられる。
【0023】イオン性化合物としては、一般式 [Q]m+ [Y]m- (mは1以上の整数) で示されるものであり、式中のQはイオン性化合物のカ
チオン成分であり、カルボニウムイオン、トロピリウム
カチオン、アンモニウムカチオン、オキソニウムカチオ
ン、スルホニウムカチオン、ホスホニウムカチオン等が
挙げられる。また、Yはイオン性化合物のアニオン成分
であり、メタロセン化合物と反応して安定なアニオンと
なる成分であって、有機硼素化合物アニオン、有機アル
ミニウム化合物アニオン、有機ガリウム化合物アニオ
ン、有機燐化合物アニオン、有機砒素化合物アニオン、
有機アンチモン化合物アニオン等が挙げられる。
【0024】シングルサイト系触媒を用いて行うエチレ
ンとα−オレフィンの共重合方法としては公知の重合方
法が用いられ、気相重合法、スラリー重合法、溶液重合
法などが挙げられる。
【0025】シングルサイト触媒により重合されたエチ
レン−α−オレフィン共重合体は、従来のチーグラーナ
ッタ触媒のようなマルチサイト触媒を用いて共重合した
場合と比較して、分子量分布が狭く、α−オレフィンの
高含有量のものも均一に共重合され、ラメラ間のタイ分
子が多い等の特徴があることから、低分子量成分が少な
く耐ブロッキング性に優れ、透明性、耐衝撃性、強靱性
に優れた特性を有する。また、前記エチレン−α−オレ
フィン共重合体の密度は、通常、0.870〜0.96
0g/cm3の範囲にある。
【0026】本発明の農業用多層フィルムにおいて、中
間層Bを構成する組成物に用いられるエチレン−α−オ
レフィン共重合体(b)の密度(db)は0.87〜
0.92g/cm3、好ましくは、0.87〜0.90g/cm3
である。密度(db)が0.92g/cm3を越える場合は、
前記フィルムの引張弾性率が高く柔軟性に欠けることか
ら、フィルムが取り扱い難く、ハウスやトンネルへフィ
ルムを展張する際の作業性や回収時の作業性が悪くな
る。更に、ハウスやトンネルへの密着性が悪いことから
気密性が保たれず、本来必要とされる保温性が低下する
こととなる。また、前記密度(db)が0.87g/cm3
満の場合には、製膜加工性が劣ることから好ましくな
い。
【0027】本発明の農業用多層フィルムにおいて、外
層Cを構成する組成物に用いられるエチレン−α−オレ
フィン共重合体(c)の密度(dc)は0.89〜0.
95g/cm3、好ましくは0.90〜0.92g/cm3の範囲
のものが好適に用いられる。密度(dc)が0.89g/c
m3未満では、エチレン−α−オレフィン共重合体(c)
の融点が低下し、これを用いた組成物から得られるフィ
ルム同志が密着しやすく前記展張時の作業性が劣った
り、屋外に放置した際に太陽光線を受けて融着するなど
の問題が発生する。また、密度(dc)が0.95g/cm3
を越えると、前記フィルムの柔軟性が劣ることから作業
性不良や保温性不良が問題となる。
【0028】本発明の農業用多層フィルムにおいては、
中間層Bと外層Cを構成する組成物の両方にシングルサ
イト触媒を用いて重合されたエチレン−α−オレフィン
共重合体用いることが必要であり、中間層Bと外層Cの
何れか一層だけしか使用しなかった場合には、所期の強
靱性が得られないこととなる。
【0029】また、前記の密度(db)と密度(dc)は
c>dbである必要がある。dc≦dbの場合は、防曇剤
が外層側に急激に移行することから防曇性の持続性が不
十分となる。
【0030】なお、前記エチレン−α−オレフィン共重
合体(a)および(b)の数平均分子量は1×104
100×104の範囲にあり、重量平均分子量と数平均
分子量の比であるQ値は1.5〜3.5の範囲にある。
また、190℃、2.16kgfの荷重条件におけるM
FRは0.2〜20g/10分の範囲にあり、示差走査
熱量測定法(DSC)による融解ピークは2つ以上であ
っても構わないが、透明性及び強靱性を向上させるため
には1つであることが望ましい。
【0031】[防曇剤]本発明の農業用多層フィルムに
おいて、中間層Bを構成する組成物には、防曇剤が1〜
10重量%添加される。1重量%未満では防曇性の持続
効果が十分ではなく、10重量%を越える場合には、フ
ィルム表面への吹き出しが多くなりフィルムが不透明と
なったり、製膜加工時に発泡するなどの問題が生じる。
なお、前記防曇剤は中間層Bだけでなく必要に応じ内層
Aまたは内層Aと外層Cを構成する各組成物へ添加して
も構わない。
【0032】前記の防曇剤としては、非イオン系界面活
性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、
両性界面活性剤等から、防曇剤のエステル化度、アルキ
ル基の鎖長、アルキレンオキサイドの付加モル数、また
はそれらの純度を変化させることによって得られるもの
が挙げられる。それらの例としてソルビタンモノラウレ
ート、ジグリセリンセスキラウレート、グリセリンモノ
オレート等の多価アルコールの部分カルボン酸エステル
類、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポ
リオキシエチレンソルビタンモノオレート等の多価アル
コールの部分カルボン酸エステルのポリオキシエチレン
誘導体、アミン類および脂肪酸アミド類が挙げられる。
その中でも下記式1で表される化合物とそれらの有機酸
との中和塩が好適に用いられ、特に、本発明の農業用多
層フィルムにおいて、シングルサイト触媒により重合さ
れたエチレン−α−オレフィン共重合体を外層Cおよび
中間層Bに使用した場合でも優れた防曇性の発現と持続
性を示すことが明らかとなった。
【0033】
【化3】
【0034】上記式1で表される化合物としては、ポリ
オキシエチレン(8モル)ステアリルアミン、ポリオキ
シエチレン(2モル)ラウリルアミン、ポリオキシエチ
レン(2モル)牛脂アミン等のアミン化合物、ポリオキ
シエチレンラウリルアミド、ポリオキシエチレンステア
リルアミド等のアミド化合物、およびこれらアミン化合
物およびアミド化合物とラウリン酸、ステアリン酸、ベ
ヘニン酸、オレイン酸等の脂肪酸との脂肪酸エステルが
挙げられる。また、有機酸としてはカルボン酸、スルホ
ン酸、フェノールカルボン酸等があり、中でもカルボン
酸が該化合物との反応性および安定性の点で好ましい。
具体的には、ラウリル酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、
オレイン酸および安息香酸等を挙げることができる。こ
れらの防曇剤は、単独もしくは2種以上を組み合わせて
用いられる。
【0035】[無機質フィラー]本発明の農業用多層フ
ィルムにおいては、内層A,中間層Bおよび外層Cを構成
する組成物に無機質フィラーを添加することが好まし
い。一般に農業用フィルム分野においては、無機質フィ
ラーは、保温性能を付与する目的とフィルム同志の密着
性を改良する目的で使用されるが、防曇性の発現および
防曇持続性をコントロールすることができる。本発明の
農業用多層フィルムにおいて外層Cを構成する組成物へ
の無機質フィラーの添加量は、内層Aを構成する組成物
への無機質フィラーの添加量よりも多いことが望まし
く、これにより防曇剤や防霧剤が外層Cの表面に析出し
難くなり、防曇性や防霧性の持続性が伸びることとな
る。
【0036】内層Aを構成する組成物に対する無機質フ
ィラーの添加量は0.05〜5重量%が好ましく、添加
量が0.05重量%未満では、防曇剤や防霧剤が速やか
に内層Aの表面に移行するため防曇性や防霧性の持続性
が十分でなく、5重量%を越えると防曇剤や防霧剤の移
行が不十分で防曇性や防霧性の持続性の発現が十分でな
くなる。中間層Bおよび外層Cを構成する組成物に対する
無機質フィラーの添加量は1〜10重量%が好ましく、
添加量が1重量%未満では、防曇剤や防霧剤を保持しに
くいため防曇性や防霧性の持続性が不十分であり、10
重量%を越えると機械物性の低下や透明性の低下を招く
おそれがある。
【0037】前記の無機質フィラーとしては、JIS Z
8830に準じて測定されるBET比表面積が5〜5
0m2/g、好ましくは5〜20m2/gのものが好適に
用いられる。BET比表面積が50m2/gを越える場
合は、防曇剤や防霧剤を吸着してしまい所期の防曇性能
や防霧性能が得られないこととなる。また、5m2/g
未満の場合にはフィラーへの吸着が低下することからフ
ィルム表面への防曇剤や防霧剤の移行が速やかに進み、
フィルムがべたついたり、防曇性や防霧性の持続性が不
十分となる。
【0038】前記の無機質フィラーの具体例としては、
酸化珪素、珪酸マグネシウム、珪酸アルミニウム、珪酸
カルシウム等の珪酸化合物、アルミノ珪酸カルシウム、
アルミノ珪酸ナトリウム、アルミノ珪酸カリウム等のア
ルミノ珪酸化合物、アルミナ、アルミン酸ナトリウム、
アルミン酸カリウム、アルミン酸カルシウム等のアルミ
ン酸化合物、炭酸カルシウム、下記式2や式3で示され
るリチウム・アルミニウム複合水酸化物塩や下記式4で
示されるハイドロタルサイト類等が挙げられ、これら
は、単独もしくは2種以上を組み合わせて用いられる。
【0039】
【化4】 [Al2Li(OH)62(An-)・mH2O −式2 (式中、mは3以下の数を示す。)
【0040】
【化5】 [Al2(Li(1-x)・M2+ x)(OH)62 ・(Siy2y+1 2-1+x・mH2O −式3 (式中、M2+は2価の金属、mは0≦m<5の範囲にある数、xは0≦x<1の 範囲にある数、yは2≦y≦4の範囲にある数を示す。)
【0041】
【化6】 M2+ 1-xAlx(OH)2(An-x/2・mH2O −式4 (式中、M2+はMg2+、Ca2+、およびZn2+の中から選ばれた少なくとも1種 の2価金属イオンを示し、An-はn価のアニオン、xおよびmは次の条件、0< x<0.5、0≦m≦2を満足する。)
【0042】[その他成分]本発明の農業用多層フィル
ムにおいて、内層A、中間層Bおよび外層Cを構成する
組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で各種の物
質を添加しても構わない。製膜加工性を向上させるため
に各層を構成する組成物中へ高圧法低密度ポリエチレン
等の公知の熱可塑性樹脂を添加することが出来る。ま
た、柔軟性を向上させるためにシングルサイト触媒や公
知のマルチサイト触媒で重合されたエチレン−ジエン弾
性共重合体、エチレンープロピレン弾性共重合体、スチ
レン−ブタジエン系弾性共重合体等の弾性共重合体を添
加しても構わない。更に、通常農業用フィルムに用いら
れている公知のヒンダードアミン系耐候剤、紫外線吸収
剤、防霧剤(フッ素系界面活性剤)、帯電防止剤、滑
剤、酸化防止剤、熱安定剤、抗菌剤、色素・着色剤など
を配合することができる。
【0043】本発明の農業用多層フィルムにおいては、
引張強さが300kgf/cm2以上であることが望ましい。
引張強さが300kgf/cm2未満では、前記フィルムが強
風により破れたり、また、ハウスやトンネルへの展張時
に強い力で引っ張った時に破れが生じるおそれがある。
300kgf/cm2以上の引張強さを有する農業用多層フィ
ルムを得るためには、農業用多層フィルムの外層Cおよ
び中間層Bを構成する組成物の主成分として、シングル
サイト触媒で重合されたエチレン−α−オレフィン共重
合体を用いることが好ましい。
【0044】本発明の農業用多層フィルムにおいては、
引張弾性率が1000〜2000kgf/cm2であることが
望ましい。引張弾性率が1000kgf/cm2未満では、前
記フィルムが強風などにより伸びやすく、ハウスやトン
ネルへの密着性が低下するおそれがある。引張弾性率が
2000kgf/cm2を越えると、フィルムが硬すぎてハウ
スやトンネルへの密着性が悪く気密性・保温性が低下す
る。一般に、農業用フィルムをハウスやトンネルへ展張
したり回収する時の作業性を向上させ、ハウスやトンネ
ルへの密着性を高め気密性・保温性を向上させるために
は、農業用フィルムに柔軟性を付与することが必要であ
る。フィルムの柔軟性は、ASTM D 882に準じ
て測定した引張弾性率を指標とすることが可能であり、
本発明の農業用多層フィルムは、特定の密度のエチレン
−α−オレフィン共重合体とエチレン−酢酸ビニル共重
合体を用いることにより引張弾性率を1000〜200
0kgf/cm2とすることが可能となり、十分な柔軟性が得
られる。
【0045】本発明の農業用多層フィルムの厚みは、使
用する場所や耐用年数等により異なるが、一般的に0.
05〜0.3mm程度のものが好適に用いられる。内層の
厚みTa、中間層の厚みTbおよび外層の厚みTcは特に
限定されるものではないが、Ta:Tb:Tcは、1〜
5:1〜5:1〜5の範囲が好ましい。
【0046】本発明の農業用多層フィルムは、インフレ
ーション法もしくはTダイ法等の公知の技術により製造
することができ、製造後に防曇性の発現効果を向上させ
る目的でコロナ放電処理を施しても構わない。また、中
間層Bの他に、保温性を付与した中間層D、防曇性を向
上させるための中間層E、再生原料を入れた中間層Fな
どを積層した4層以上の多層フィルムであっても構わな
い。更に、防塵塗布剤や防曇塗布剤等を塗布・乾燥し、
表面に塗布膜を形成させても構わない。本発明の農業用
多層フィルムは、透明でも、梨地でも、半梨地であって
もいずれでも良く、農業用ハウス(温室)、トンネル等
の被覆用以外のマルチング用、袋掛け用等の用途に使用
しても良い。
【0047】
【実施例】以下、実施各例および比較各例によって本発
明を具体的に説明するが、本発明はこれらにより限定さ
れるものではない。なお、実施例および比較例における
農業用多層フィルムの評価は、下記のように実施した。
【0048】1)引張弾性率(ヤング率);ASTM
D 882に準拠しフィルムサンプルの縦方向と横方向
の引張弾性率を測定し、両者の平均値を示した。 2)引張強さ;JIS K 7113に準拠し縦方向と
横方向の引張破断強さを測定し、両者の平均値を示し
た。 3)低温防曇性;傾斜10度、直径7.6cmの天窓を有
するウォーターバスを使用し、前記ウォーターバスの天
窓にフィルムサンプルを固定し、環境温度23℃、水温
45℃の条件下で12日間放置後、環境温度5℃、水温
15℃の条件下で2日間放置し、サンプルのウォーター
バス側表面の防曇性を5段階基準にて目視判定し、低温
防曇性を評価した。5段階の数字が大きい程、低温防曇
性に優れる。 <低温防曇性 評価基準> 評価5:水滴の付着がなく均一な水膜を形成。 評価4:水滴の付着が15%未満である。 評価3:水滴の付着が40%未満である。 評価2:水滴の付着が65%未満である。 評価1:水滴の付着が65%以上である。 4)防曇持続性;傾斜10度、直径7.6cmの天窓を有
するウォーターバスを使用し、前記ウォーターバスの天
窓にフィルムサンプルを固定し、環境温度23℃、水温
45℃の条件下で昼夜放置し、防曇性が維持された期間
を目視評価した。日数が長い程、防曇持続性が良いこと
を示す。
【0049】各層へ用いた熱可塑性樹脂を以下に示す。
なお、S-LLDPEはシングルサイト触媒により重合された
エチレン−α−オレフィン共重合体、M-LLDPEはマルチ
サイト触媒により重合されたエチレン−α−オレフィン
共重合体を示す。 ユメリット(商標) 1520F 宇部興産(株)製 ・シンク゛ルサイト触媒系エチレン-α-オレフィン共重合体樹脂(S-LLDPE) ・MFR;2.0g/10min.、密度;0.913g/cm3 ユメリット(商標) 0540F 宇部興産(株)製 ・シンク゛ルサイト触媒系エチレン-α-オレフィン共重合体樹脂(S-LLDPE) ・MFR;4.0g/10min.、密度;0.904g/cm3 NUC3270 日本ユニカー(株)製 ・エチレン酢酸ヒ゛ニル共重合体樹脂(酢酸ヒ゛ニル含有量7.5%)(EV
A) ・MFR;2.3g/10min.、密度;0.925g/cm3、引張弾性率;
1300kgf/cm2 ペトロセン(商標) 286 東ソー(株)製 ・エチレン-酢酸ヒ゛ニル共重合体樹脂(酢酸ヒ゛ニル含有量2.0wt%)
(EVA) ・MFR;1.5g/10min.、密度;0.926g/cm3、引張弾性率;
2300kgf/cm2 ウルトラセン(商標) 630 東ソー(株)製 ・エチレン酢酸ヒ゛ニル共重合体樹脂(酢酸ヒ゛ニル含有量15%)(EVA) ・MFR;1.5g/10min.、密度;0.936g/cm3、引張弾性率;
570kgf/cm2 ニポロン−L(商標) FR151A 東ソー(株)製 ・マルチサイト触媒系エチレン-α-オレフィン共重合体樹脂(M-LLDPE) ・MFR;0.9g/10min.、密度;0.924g/cm3、引張弾性率;
2800kgf/cm2 UBEポリエチレン R500 宇部興産(株)製 ・高圧法低密度ホ゜リエチレン(LDPE) ・MFR0.5g/10min.、密度0.922g/cm3
【0050】なお、上記熱可塑性樹脂のそれぞれの特性
は、下記条件にて測定を実施した。 1)MFR;JIS K 7210に準じて190℃、
2.16kgfの条件で測定した。 2)密度;JIS K 7112に準じて測定した。
【0051】実施例1〜5、比較例1〜5 50mmφ押出機3台を有する3種3層インフレ押出装置
を用い、成形温度190℃、ブロー比2.5にて、厚み
0.1mmの多層フィルムを成形した。各多層フィルムの
配合例と評価結果を表1〜2に示す。
【0052】なお、各多層フィルムの配合例は表1〜2
の内容以外として、外層Cを構成する組成物にはヒンダ
ードアミン系耐候剤0.5重量%、紫外線吸収剤0.0
5重量%、フェノール系安定剤0.1重量%、リン系安
定剤0.1重量%、アンチブロッキング剤0.05重量
%を、中間層Bを構成する組成物にはヒンダードアミン
系耐候剤0.5重量%、紫外線吸収剤0.05重量%、
フッ素系界面活性剤0.2重量%、フェノール系安定剤
0.1重量%、リン系安定剤0.1重量%を、また、内
層Aを構成する組成物にはヒンダードアミン系耐候剤
0.5重量%、紫外線吸収剤0.05重量%、フッ素系
界面活性剤0.2重量%、フェノール系安定剤0.1重
量%、リン系安定剤0.1重量%、アンチブロッキング
剤0.05%を添加した。
【0053】
【表1】
【0054】
【表2】
【0055】
【発明の効果】本発明の農業用多層フィルムは、柔軟性
に優れ、また、引張強さや衝撃強さに優れるとともに、
ハウスやトンネルへ展張した際に内面側となる層にエチ
レン−酢酸ビニル共重合体を用い、更に特定の無機質フ
ィラーと特定の防曇剤を用いたことにより、低温時の防
曇性に優れ、しかも長期間持続することから、病害虫を
発生させるような水滴落下がなく、また、太陽光線の透
過量を低減させるような水滴の付着も少ない。また、更
に特定の無機質フィラーと特定の防曇剤を用いたことに
より、低温時の防曇性の発現および防曇持続性が更に向
上したことから、ハウスやトンネルなどの施設園芸用の
フィルムとして好適に用いることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B32B 27/28 101 B32B 27/28 101 C08K 3/00 C08K 3/00 5/17 5/17 C08L 23/08 C08L 23/08 //(C08L 23/08 71:02) Fターム(参考) 2B024 DB01 DB07 EA01 2B029 EB03 EC02 EC03 EC09 EC20 4F100 AA33 AK63B AK63C AK68A AL05A BA03 BA07 BA10C BA26 BA27 CA10B CA10H CA23 CA23A CA23B CA23C CA23H GB01 JA13B JA13C JK02 JK07 JL07 YY00B YY00C 4J002 BB051 BB151 CH022 DE147 DE187 DE237 DE287 DJ007 DJ017 EN126 FD017 FD202 FD206 GA01

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも内層A、中間層Bおよび外層C
    で構成された農業用多層フィルムであって、内層Aが、
    酢酸ビニル含有量2〜10重量%であるエチレン−酢酸
    ビニル共重合体を主成分とした組成物から構成され、中
    間層Bが、シングルサイト触媒を用いて重合された密度
    (db)0.87〜0.92g/cm3のエチレン−α−オレ
    フィン共重合体(b)を主成分とし、防曇剤1〜10重
    量%が添加された組成物から構成され、外層Cが、シン
    グルサイト触媒を用いて重合された密度(dc)0.8
    9〜0.95g/cm3のエチレン−α−オレフィン共重合
    体(c)を主成分とした組成物から構成され、かつ、d
    b<dcである農業用多層フィルム。
  2. 【請求項2】内層A、中間層Bおよび外層Cを構成する
    組成物に対し、BET比表面積が5〜50m2/gの無
    機質フィラーが、それぞれ0.05〜5重量%、1〜1
    0重量%および1〜10重量%添加され、無機質フィラ
    ーの外層Cを構成する組成物への添加量が内層Aを構成
    する組成物への添加量よりも多い請求項1記載の農業用
    多層フィルム。
  3. 【請求項3】中間層Bを構成する組成物に用いられる防
    曇剤が、下記式1で示される化合物およびそれらの有機
    酸との中和塩の群から選ばれた1種もしくは2種以上で
    ある請求項1または請求項2記載の農業用多層フィル
    ム。 【化1】
  4. 【請求項4】多層フィルムの引張強さが300kgf/cm2
    以上であって、引張弾性率が1000〜2000kgf/c
    m2である請求項1〜3のいずれか1項記載の農業用多層
    フィルム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002355937A (ja) * 2001-05-31 2002-12-10 C I Kasei Co Ltd 農業用ポリオレフィン系樹脂フイルム
JP2010012649A (ja) * 2008-07-02 2010-01-21 Sumitomo Chemical Co Ltd 積層フィルムおよび農園芸用施設
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