JP2000281690A - エタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸の製造方法 - Google Patents

エタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸の製造方法

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JP2000281690A JP11087703A JP8770399A JP2000281690A JP 2000281690 A JP2000281690 A JP 2000281690A JP 11087703 A JP11087703 A JP 11087703A JP 8770399 A JP8770399 A JP 8770399A JP 2000281690 A JP2000281690 A JP 2000281690A
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Toshiaki Inagi
俊明 稲木
Yoshitaka Uchiyama
義隆 内山
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Yokkaichi Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】従来技術の欠点を克服した、エタン−1−ヒド
ロキシ−1,1−ジホスホン酸の工業的製造方法を提供
すること、特に、費用が安く、反応が容易に制御でき、
収率の高い方法を提供すること。 【解決手段】ピロ亜リン酸と無水酢酸を反応させること
を特徴とするエタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホス
ホン酸の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エタン−1−ヒド
ロキシ−1,1−ジホスホン酸の製造方法に関するもの
であり、更に詳しくはピロリン酸と無水酢酸との反応に
よる、エタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸
の製造方法に関するものである。本発明によって製造さ
れたエタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸は
金属イオンとのキレ−ト能を利用した金属封止剤、ボイ
ラー等のスケール防止剤及び腐食防止剤、またはアルカ
リ性下で用いられる漂白剤の過酸化水素の安定化剤とし
て利用することができる。
【0002】
【従来技術】従来、エタン−1−ヒドロキシ−1,1−
ジホスホン酸の製造方法が数多く提案されている。これ
らの製造方法は、使用する原料によりほぼ三種に大別で
きる。すなわち、酢酸と三塩化リンとを反応させる三塩
化リン法(特公昭50−17457号公報、特公昭40
−1180号公報等)、無水酢酸と亜リン酸とを反応さ
せる亜リン酸法(特公昭40−13730号公報、特公
昭47−32969号公報等)及び酢酸と無水亜リン酸
を反応させる無水亜リン酸法(特公昭43−933号公
報、特公昭43−8250号公報等)である。
【0003】
【解決しようとする課題】しかし、これら従来の製造方
法は、以下に述べるように、いずれも、重大な欠点を含
んでいる。三塩化リン法においては、三塩化リンと酢酸
の反応により、まず中間体の塩化アセチルと亜リン酸が
形成される。次いで、亜リン酸が塩化アセチルによって
アセチル化され、このとき塩化水素が副生する。塩化ア
セチルは、エタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホ
ン酸を形成させるためには重要な中間体であり、亜リン
酸に対し当モル系内に存在することが必要不可欠であ
る。ところが、塩化アセチルの沸点は52℃であり、塩
化水素ガス流体中において系内にとどめおくことは通常
のコンデンサ−では困難であり、系外に流出した該塩化
水素ガス流体から、塩化アセチルを分離するための特殊
な分離装置を必要とする。また、塩化水素ガス中への塩
化アセチルの損失を最小限にするため、低い反応温度に
することも考えられるが、この場合、三塩化リンの反応
率は低く、反応に長時間を要し、収率と品質の悪化をも
たらす。
【0004】亜リン酸法においては、三塩化リン法のよ
うな、塩化水素の副生、塩化アセチル分離の欠点はない
が、工業的には別の問題が生ずる。すなわち、亜リン酸
が固体であるため、従来、あらかじめ無水酢酸に混合溶
解し、この混合物を昇温させて、反応を開始する方法が
とられている。しかし、この混合物を昇温するとき、急
激な温度上昇により生成物の分解反応が生ずる場合があ
る。急激な温度上昇を避けるため、反応混合物を冷却す
ると反応が停止してしまい、エタン−1−ヒドロキシ−
1,1−ジホスホン酸が得られないこともある。ゆるや
かな温度上昇が望ましいが、このときでさえ生成物が著
しく着色する場合があり、高収率で、高品質のエタン−
1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸を製造すること
は困難である。また、原料亜リン酸、無水酢酸とも、高
価でありコスト的に不利である。
【0005】無水亜リン酸法においては、無水亜リン酸
と酢酸の反応は、高度な発熱反応であり、ときには爆発
的でさえある。このため、この反応熱を吸収させるため
の反応溶媒なしには、エタン−1−ヒドロキシ−1,1
−ジホスホン酸を製造することは不可能である。このと
きの反応溶媒としては、出発原料及び反応生成物に不活
性であること、原料及び反応生成物をある程度溶解でき
ることが必要である。ところが、無水亜リン酸は反応性
が高く、反応生成物は極性が極めて高いので、無水亜リ
ン酸法には、炭化水素、アルコール、エーテル、エステ
ル、ケトン等の一般的溶媒は不適であって、ジ−n−プ
ロピルスルホンまたはスルホラン等の特殊溶媒しか用い
ることができないという欠点がある。
【0006】すなわち、本発明の課題は、従来技術の上
述の欠点を克服した、エタン−1−ヒドロキシ−1,1
−ジホスホン酸の工業的製造方法を提供すること、特
に、費用が安く、反応が容易に制御でき、収率の高い方
法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、エタン−
1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸の製造法につい
て鋭意研究を重ねた結果、予め水と三塩化リンでピロ亜
リン酸を形成させることにより、塩化水素から分離困難
な塩化アセチルの生成を回避し、さらに、このピロ亜リ
ン酸と無水酢酸とを反応させることにより、亜リン酸法
に比べ、リン原子に対する無水酢酸のモル比を大きく低
減できる製造方法を発見した。
【0008】本発明者らは、前記鋭意研究の過程で、亜
リン酸法の反応機構を明らかにすることができた。すな
わち、亜リン酸法においては、無水酢酸と亜リン酸を反
応させた場合、下記式に示すように、まず亜リン酸のジ
アセチル化物が生成し、
【0009】
【化1】
【0010】次に、熱を加えることにより、下記式に示
す転位反応が生じリン原子に直接化合した炭素原子を含
む化合物に転化する。
【0011】
【化2】
【0012】さらに、この転位生成物は、下記式に示す
ように、アセチル化されずに残存する亜リン酸と反応し
て中間体[A]を生成し、再度の転位を経て中間体
[B]を形成する。
【0013】
【化3】
【0014】中間体[B]は、分子中にエステル結合と
水酸基を有するので、下記式に示すように、容易に分子
間脱酢酸縮合して、エタン−1−ヒドロキシ−1,1−
ジホスホン酸の環状縮合体[C]が生成する。
【0015】
【化4】
【0016】また、下記式に示すように、この環状縮合
体[C]を加水分解することによって、目的とするエタ
ン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸が得られ
る。これら一連の反応プロセスは、本発明者らによっ
て、初めて明らかにされたものである。
【0017】
【化5】
【0018】亜リン酸法により、エタン−1−ヒドロキ
シ−1,1−ジホスホン酸を製造する際の、反応モル比
(無水酢酸/亜リン酸)は1以上でなければならない。
また、亜リン酸は、無水酢酸でアセチル化する場合ジア
セチル化されるので、仕込み亜リン酸のリン原子1個に
対し1モル以上の無水酢酸を反応させる必要があり、1
モル未満の場合には亜リン酸が未反応物として反応液中
に残存することになる。
【0019】本発明者らは、上述の亜リン酸法の反応機
構解析結果をヒントに、亜リン酸の代わりに、ピロ亜リ
ン酸を無水酢酸と反応させれば、ピロ亜リン酸中のリン
原子1個に対し0.5モルの無水酢酸量で十分であるこ
とを発見した。すなわち、亜リン酸はリン原子1個に水
酸基2個存在するのに対し、ピロ亜リン酸の場合にはリ
ン原子2個に対し水酸基は2個であるから、反応無水酢
酸量は半分で済むことになるのである。ピロ亜リン酸を
用いることの優位性が明らかである。なお、アセチル化
後の反応は、後に詳記するように、亜リン酸法と同様
に、転位、アセチル化されないピロ亜リン酸との反応、
転位と進行し、上記亜リン酸法と同じく、エタン−1−
ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸の環状縮合体[C]
を生成する。従って、出発原料として亜リン酸を用いて
もピロ亜リン酸を用いても、環状縮合体[C]の加水分
解により、容易にエタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジ
ホスホン酸が得られる。
【0020】
【発明の実施形態】ピロ亜リン酸の調製 本発明に用いるピロ亜リン酸の調製法は、すでにCom
pt.,Rend.,l36,814(1903)で知
られている。この方法では、亜リン酸1モルに対し、三
塩化リン0.2モルを反応させれば、定量的にピロ亜リ
ン酸が合成できる。また、予め、水と三塩化リンの反応
により亜リン酸を合成し、次に、過剰の水を減圧トッピ
ングにより除去した後、さらに、三塩化リンを反応させ
てピロ亜リン酸を形成させることもできる。これによ
り、三塩化リンを原料とするにも拘わらず、塩化アセチ
ルを副生しないため、容易に塩化水素の回収ができる利
点がある。
【0021】(亜リン酸の合成)水と三塩化リンから亜
リン酸を合成する反応は、下記式で示され、
【0022】
【化6】
【0023】三塩化リン1モルに対して必要な水の理論
量は3モルであるが、実際の水の使用量は、反応を速や
かに完結させるために、理論量より過剰であることが必
要である。通常、三塩化リン1モルに対して、4〜15
モル、好ましくは6〜10モルの水が使用される。この
加水分解反応は、塩化水素を副生するので、水酸化ナト
リウム水溶液等を仕込んだ適当な吸収設備に導くことが
必要である。
【0024】一方、ピロ亜リン酸を合成するために、三
塩化リンと反応させる亜リン酸は、実質的に無水でなけ
ればならない。すなわち、水分の存在は、ピロ亜リン酸
の純度低下をもたらすので好ましくないが、0.05%
以下の水分であれば許容することができる。従って、三
塩化リンの加水分解反応液中に残る過剰の水分は、減圧
下において脱水しておかねばならない。同様に、市販の
亜リン酸も、水分含有量0.05%以下であれば、ピロ
亜リン酸合成の原料として使用することができる。
【0025】(ピロ亜リン酸の合成)亜リン酸と三塩化
リンからピロ亜リン酸を合成する反応は、下記式で示さ
れ、
【0026】
【化7】
【0027】亜リン酸1モルに対して必要な三塩化リン
の理論量は0.2モルであるが、実際の三塩化リンの使
用量は、0.2〜0.3モルの範囲内、好ましくは0.
2〜0.25モルの範囲内から選択される。すなわち、
過少又は過多な三塩化リンを使用することは、いずれの
場合も、好ましくない副反応を生起させ、ピロ亜リン酸
純度を低下させ、後述の無水酢酸との反応の進行を妨げ
るので好ましくない。亜リン酸の合成と同様、副生する
塩化水素を、適当な吸収設備に導入することが必要であ
る。
【0028】反応温度は30〜80℃が好ましく、80
℃以上では、副生塩化水素とともに系外に逸散する三塩
化リンの量が増加するので好ましくない。また、所定量
の三塩化リンの滴下に要する時間は、1時間以上、好ま
しくは2〜5時間が適当である。すなわち、短時間で滴
下を完了した場合、反応が急激に生じ、塩化水素の発生
量の急増に伴い三塩化リンの損失量が増加するので好ま
しくない。また、三塩化リン滴下終了後には、反応を完
結させるため、十分に、例えば反応と同じ温度で1〜3
時間程度の、熟成を行う。さらに、熟成して得られたピ
ロ亜リン酸には、塩化水素が若干含まれるので、窒素ガ
ス等の不活性ガスを適当量吹き込み、不活性ガスに同伴
させて塩化水素を除去する。このように適切な製造条件
を選択すれば、容易に無水点6.50以上(理論値6.
85)の、純度の高いピロ亜リン酸が得られる。この無
水点は、ピロ亜リン酸に水を添加して加水分解した場
合、ピロ亜リン酸1gの加水分解に消費された水のミリ
モル数と定義される。
【0029】エタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホス
ホン酸の製造 本発明におけるエタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホ
スホン酸の製造は、ピロ亜リン酸と無水酢酸とを原料と
する、エタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸
の環状縮合体の合成工程と、該環状縮合体の加水分解に
よるエタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸の
合成工程とから構成される。
【0030】(ピロ亜リン酸と無水酢酸の反応)しかし
て、ピロ亜リン酸と無水酢酸とを原料とする、エタン−
1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸の環状縮合体
[C]の合成は、下記の4つの式で示される素反応から
なるものと考えられる。
【0031】
【化8】
【0032】本発明においては、上記に式示されるよう
に、環状縮合体[C]1モルを合成するのに、ピロ亜リ
ン酸2モルと無水酢酸2モルが使われる。すなわち、両
原料の理論的比率は、ピロ亜リン酸中のリン原子1個に
対し、無水酢酸0.5モルに相当する。しかし、原料ピ
ロ亜リン酸は、通常、無水点が理論値を若干下回る。従
って、実際には、ピロ亜リン酸中のリン原子1個に対し
0.5モル以上1モル未満の範囲内、好ましくは0.5
5〜0.60モルの範囲内の無水酢酸量を選択すること
が望ましい。すなわち、0.5モル未満の無水酢酸量の
使用では、結果としてエタン−1−ヒドロキシ−1,1
−ジホスホン酸中に含まれる亜リン酸残存量が増加する
ばかりでなく、反応液中に結晶が多量析出し、流動性が
低下して反応液の攪拌、混合に支障をきたす場合があ
る。また、0.65モルを超える無水酢酸量の使用は、
徒に酢酸の副生量を増大せしめるだけで、経済的な意味
を持たない。
【0033】本発明において、エタン−1−ヒドロキシ
−1,1−ジホスホン酸の環状縮合体[C]を合成する
際に、重要なことは、反応温度の制御である。すなわ
ち、あらかじめ適切な温度に加熱されたピロ亜リン酸
に、無水酢酸を適切な速度で供給すると、上述の4つの
素反応: (1)ピロ亜リン酸の無水酢酸によるアセチル化反応、
(2)P−C結合生成を伴う、アセチル基の転位反応、
(3)アセチル基とピロ亜リン酸の反応及び(4)P−
C結合生成を伴う、ピロ亜リン酸残基の転位反応が速や
かに生じ、やがて反応熱によって反応器温度は酢酸の沸
点(常圧では、約120℃)まで上昇し、その後副生す
る酢酸の還流が認められる。また、無水酢酸供給速度を
適切に調節すれば、反応熱を副生酢酸の蒸発によって熱
吸収することにより、反応温度を制御することができ、
余分な冷却設備を必要としない利点がある。
【0034】すなわち、低すぎる温度での反応の開始
は、(1)のアセチル化反応は進行させても、これに続
く(2)のアセチル基の転位反応が非常に遅く、所望の
エタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸の生成
には至らない。また、一旦低温度でアセチル化させた
後、昇温させて転位反応を行わせる方法は、急激な転位
反応が生じ、反応を制御することが不可能となる場合が
ある。一方、高温度で反応を開始することも可能である
が、除熱の負荷が大きくなるだけで、実際的な利益には
つながらない。従って、ピロ亜リン酸の適切な予熱温度
は、通常70〜150℃、好ましくは90〜100℃の
範囲から選ばれる。
【0035】また、環状縮合体[C]合成上で重要な別
の点は、所定の無水酢酸の供給を完了した後、加温下に
熟成を行い、反応を完結させる点にある。具体的には、
この熟成は、通常酢酸の沸点又はそれ以上の温度で、十
分な時間、ピロ亜リン酸の残存量にもよるが、通常1〜
5時間好ましくは2〜3時間行われる。すなわち、短時
間の熟成では、未反応ピロ亜リン酸が残存する恐れがあ
り、長時間の熟成では、結晶の析出、反応液の固化に至
る可能性があるので、いずれも好ましくない。
【0036】(加水分解)上記ピロ亜リン酸と無水酢酸
とを原料とする、エタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジ
ホスホン酸の環状縮合体の合成工程からの反応液は、環
状縮合体[C]のほかに、副生酢酸及び未反応無水酢酸
と、場合によっては、僅かな量の未反応のピロ亜リン酸
とを含む、粘稠な液体である。従って、この加水分解に
よるエタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸の
合成工程では、上記反応液中に存在する環状縮合体及び
無水酢酸が、それぞれ、エタン−1−ヒドロキシ−1,
1−ジホスホン酸及び酢酸に転化される。加水分解の反
応は、下記の2つの式で示される。
【0037】
【化9】
【0038】この反応式から明らかなように、環状縮合
体[C]では、ピロ亜リン酸に由来するP−O−P結合
が、また無水酢酸では、C−O−C結合が、いずれも、
加水分解によって遊離酸に転化される。従って、加水分
解に必要な水の量は、上記P−O−P結合又はC−O−
C結合1個について1モルが理論量となる。しかし、実
際に、加水分解において添加される水の量は、上記理論
量では不十分であって、生成物の溶解に必要な量も含
め、理論量の1.5倍以上、好ましくは2〜3倍が選択
される。ちなみに、理論量程度の少ない水量では、加水
分解によって生成するエタン−1−ヒドロキシ−1,1
−ジホスホン酸が、本質的に酢酸に対して難溶性である
事実から、これを溶解させるに不十分であり、反応液か
ら結晶を析出せしめるだけではなく、反応液全体を固化
させ、ハンドリング不能に至らしめる可能性がある。す
なわち、過剰の水の添加が、酢酸存在下において、エタ
ン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸を溶解せし
め、結晶化の抑制を可能にする。しかし、多すぎる量、
例えば、理論量の3倍以上の水の添加は、次の酢酸除去
工程のエネルギーコストを増加させるのみであって、適
当でない。すなわち、水の蒸気圧は酢酸の蒸気圧より高
いため、反応液中の水濃度が高くなれば留出液中の水の
濃度も高くなり、酢酸の除去効率が悪くなる。かかる理
由によって、加水分解工程における水の添加量を、適切
に選択することが重要である。
【0039】なお、加水分解工程における水の添加は、
反応による発熱を伴うので、反応温度を注意深く調節す
ることが必要である。例えば、上記の粘稠な反応液に必
要量の水を一度に添加すると、温度上昇による急激な酢
酸の蒸発が起こり、反応液全体の固化の危険性が生ず
る。従って、上記反応液を、一旦、90℃以下の温度、
例えば60〜90℃に冷却した後、水を徐々に添加する
ことにより、90〜120℃の反応温度を保つことが望
ましい。添加終了後、加水分解を完結するために、90
〜120℃で0.5時間以上、好ましくは0.5〜1時
間熟成する。
【0040】(精製)この酢酸が約30%含まれる液体
反応生成物を、大気圧下で100℃以上、好ましくは1
00〜120℃に加熱して、酢酸を除去する。酢酸の溜
出が止まったら、系内の圧力を徐々に低下させながら酢
酸を回収し、次いで圧力が300mmHg以下、液温度
が100℃以下、好ましくは80〜100℃に達した
ら、同条件下で水蒸気処理し、残存する酢酸を蒸発除去
する。こうして処理された反応液は、高度に濃縮された
状態にあり、所望の濃度(50〜60wt%)とするた
めに水を添加して、濃度調整したエタン−1−ヒドロキ
シ−1,1−ジホスホン酸を得る。
【0041】また、本発明によれば、必要に応じ、前記
の加水分解工程において、アルカリ金属水酸化物若しく
はアンモニア水等のアルカリ性物質を共存させることに
より、又は、加水分解後、酢酸除去後にアルカリ性物質
を用いて中和することにより、エタン−1−ヒドロキシ
−1,1−ジホスホン酸のアルカリ金属塩若しくはアン
モニウム塩を得ることもできる。
【0042】以下の実施例は、本発明の具体的な手順を
説明するものであり、本発明の適正な範囲を制限するも
のではない。
【0043】〔実施例−1]亜リン酸の調製 500ml四ツ口フラスコに、水108.0g(6.0
mol)を仕込み、滴下ロートに入れた三塩化リン13
7.3g(1.0mol)を、反応温度20〜30℃を
保つように冷却しながら、約2時間かけてゆっくりと滴
下する。この時副生する塩化水素は、15%水酸化ナト
リウム水溶液中に吸収させる。滴下ロート中の三塩化リ
ンを全量添加した後、30℃で1時間熟成する。次に5
0mmHgの圧力において、徐々に温度を上昇させて、
水及び塩化水素を除去する。130℃に到達したなら
ば、この温度で1時間放置する。ここで、フラスコ中に
得られた亜リン酸溶液をサンプリングして、亜リン酸含
有率及び水分含有率を測定したところ、それぞれ、9
8.7%及び0.03%であった。
【0044】ピロ亜リン酸の調製 フラスコ中の亜リン酸溶液を、75℃まで冷却する。7
0℃まで下げると結晶化、固化に至る可能性があるので
注意を要する。冷却された亜リン酸溶液に、三塩化リン
32.9g(0.24mol)を滴下ロートより、反応
温度60〜70℃を保ちながら滴下する。副生する塩化
水素は、上記と同様に、水酸化ナトリウム水溶液に吸収
させる。三塩化リン滴下終了後、60〜70℃で1時間
熟成する。さらに、同じ温度において、窒素を50ml
/分の速度で30分間吹き込む。この様にして得られた
ピロ亜リン酸は、無水点6.78(理論値6.85)で
あった。
【0045】エタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホス
ホン酸の製造 フラスコ中のピロ亜リン酸を、100℃に加熱し、これ
に無水酢酸68.6g(0.67mol、リンに対する
モル比0.56)を滴下ロ−トより滴下する。副生酢酸
がコンデンサ−中で緩やかに還流するように、無水酢酸
の添加速度を調整する。滴下ロート中の無水酢酸の全量
を、約30分間で添加した後、120℃で2時間熟成す
ると、反応液中の未反応ピロ亜リン酸は0.77%(亜
リン酸含有率で表して)であった。
【0046】この反応液を、70℃まで冷却した後、こ
れに水31.5gを反応液温度90〜100℃に保ちな
がら添加する。添加終了後30分間熟成する。次いで、
徐々に液温度を上昇させて、蒸発する酢酸を回収する。
115℃に達したら、系内の圧力を徐々に低下させ、更
に酢酸を回収する。圧力300mmHg、温度85℃に
到達したならば、反応液に水蒸気を2時間吹き込み、残
存酢酸を水蒸気とともに除去する。大気圧に戻し、水を
加えて、APHA10の60.1wt%エタン−1−ヒ
ドロキシ−1,1−ジホスホン酸水溶液206gを得
た。水溶液中の亜リン酸含有率0.63%、塩素含有率
1ppmであった。
【0047】[実施例−2]実施例−1において、亜リ
ン酸溶液に代えて、0.1%の水分を含有していた市販
亜リン酸82g(1.0mol)を500ml容器に仕
込み、300mmHgの圧力下、130℃、1時間加熱
して、水分0.02%まで減少させた後、75℃まで冷
却したものを用い、かつ、三塩化リンの滴下量を、3
0.22g(0.22mol)に変えた以外は、実施例
−1と全く同様にピロ亜リン酸の調製を行い、無水点
6.83のピロ亜リン酸を得た。このピロ亜リン酸を用
いて、実施例−1と同様にEHDPの製造を行い、AP
HA15の60.3%エタン−1−ヒドロキシ−1,1
−ジホスホン酸水溶液208gを得た。水溶液中の亜リ
ン酸含有率0.58%、塩素含有率1ppmであった。
【0048】[実施例−3]実施例−1において、三塩
化リンの滴下量を28.8g(0.21mol)に変え
た以外は、実施例−1と全く同様にして、無水点6.5
4のピロ亜リン酸を得た。このピロ亜リン酸を用いて、
無水酢酸の滴下量を71.5g(0.70mol、リン
に対するモル比0.58)に変えた以外は、実施例−1
と全く同様にEHDPの製造を行ったところ、熟成後の
反応液中の未反応ピロ亜リン酸(亜リン酸含有率で表し
て)0.93%を経て、APHA10の59.8wt%
エタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸水溶液
203.9gを得た。水溶液中の亜リン酸含有率0.7
7%、塩素含有率1ppmであった。
【0049】[比較例−1]500ml四ツ口フラスコ
に亜リン酸82.0g(1.0mol)を仕込み、10
0℃に加熱する。無水酢酸56.1g(0.55mo
l)を滴下ロートより、副生酢酸がコンデンサー中で緩
やかに還流するように、110〜120℃を保ち、無水
酢酸の添加量を調整して滴下する。約30分で添加した
後、120℃において2時間熟成し、反応液中の未反応
亜リン酸含有率を分析したところ、22.7%であっ
た。70℃まで冷却して、水32.3gを反応液温度9
0〜100℃に保ちながら添加する。30分熱成した
後、徐々に液温度を上昇させて蒸発する酢酸を回収す
る。115℃に達したら、系内の圧力を徐々に低下させ
更に酢酸を回収する。圧力300mmHg、温度85℃
に到達したならば、水蒸気を反応液に2時間吹き込み、
残存酢酸を水蒸気とともに除去する。大気圧に戻し、水
を加えAPHA200の60.5wt%エタン−1−ヒ
ドロキシ−1,1−ジホスホン酸水溶液117.8gを
得た。水溶液中の亜リン酸含有率25.9%、塩素含有
率1ppmであった。
【0050】[比較例−2]比較例−1において、無水
酢酸の滴下量を56.1g(0.55mol)から10
7.2g(1.05mol)に変え、水の添加量を3
2.3gから47.3gに変えた以外は、比較例−1と
全く同様にEHDPの製造を行ったところ、熟成後の反
応液中の未反応亜リン酸含有率3.49%を経て、AP
HA200の60.5wt%エタン−1−ヒドロキシ−
1,1−ジホスホン酸水溶液175.4gを得た。水溶
液中の塩素含有率は1ppmで、モル比を高めても亜リ
ン酸含有率は3.30%であった。
【0051】[比較例−3]500ml四ツ口フラスコ
に、酢酸239.0g(3.98mol)と水45.3
g(2.52mol)を仕込み、30〜40℃を保つよ
う冷却しながら、三塩化リン219.3g(1.6mo
l)を滴下ロ−トより3時間かけて添加する。副生塩化
水素は、実施例−1と同様、水酸化ナトリウム水溶液に
吸収させる。三塩化リン添加後、4時間かけてゆっくり
と120℃まで昇温する。塩化水素とともに塩化アセチ
ルが副生するので、コンデンサーに氷水を通じ、塩化ア
セチルを反応器に戻す。120℃到達後そのまま1時間
攪拌を続ける。このとき水酸化ナトリウム水溶液を分析
したところ、塩化アセチルが加水分解した酢酸が15.
5g(原料酢酸の6.5%)含まれていた。70℃まで
冷却して、水35.3gを反応液温度90〜100℃に
保ちながら添加する。30分間熟成した後、徐々に液温
度を上昇させて蒸発する酢酸を回収する。115℃に達
したら、系内の圧力を徐々に低下させ、更に酢酸を回収
する。圧力300mmHg、温度85℃に到達したなら
ば、水蒸気を反応液に2時間吹き込み、残存酢酸を水蒸
気とともに除去する。大気圧に戻し、水を加えAPHA
150の60.0wt%エタン−1−ヒドロキシ−1,
1−ジホスホン酸水溶液254.9gを得た。水溶液中
の亜リン酸含有率3.30%、塩素含有率1ppmであ
った。
【0052】
【発明の効果】本発明方法によると、ピロ亜リン酸と無
水酢酸を反応させることにより、亜リン酸法に比べ、半
量の無水酢酸で、容易にエタン−1−ヒドロキシ−1−
1−ジホスホン酸の製造が可能となる。また、原料ピロ
亜リン酸として、水と三塩化リンにより予め形成された
ものを用いることにより、三塩化リン法に比べ、塩化水
素と塩化アセチルとを分離するための高度な設備を必要
としない利点も加わる。さらに、無水リン酸法のよう
に、特殊溶媒の使用も必要としない。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ピロ亜リン酸と無水酢酸を反応させること
    を特徴とするエタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホス
    ホン酸の製造方法。
  2. 【請求項2】上記反応に際し、ピロ亜リン酸中のリン原
    子1個に対し、0.5モル以上1モル未満の割合で、無
    水酢酸を供給することを特徴とする請求項1記載の方
    法。
  3. 【請求項3】上記反応を、あらかじめ加熱されたピロ亜
    リン酸に無水酢酸を供給し、副生酢酸の還流下に行うこ
    とを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
  4. 【請求項4】上記反応に際し、無水酢酸の供給を完了し
    た後、加温下に熟成することを特徴とする請求項1〜3
    のいずれかに記載の方法。
  5. 【請求項5】上記反応終了後、反応液に水を供給して加
    水分解を行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれか
    に記載の方法。
  6. 【請求項6】上記加水分解に際し、供給されたピロ亜リ
    ン酸のP−O−P結合及びピロ亜リン酸に対して過剰に
    用いた無水酢酸のC−O−C結合を分解するために必要
    な理論量に対して、1.5倍以上の水を供給することを
    特徴とする請求項5に記載の方法。
  7. 【請求項7】上記加水分解終了後、水蒸気処理により副
    生酢酸を除去することを特徴とする請求項5又は6に記
    載の方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008525432A (ja) * 2004-12-28 2008-07-17 ザクラディ ファルマチョイッチネ ポルファルマ エスエイ 〔1−ヒドロキシ−2−(3−ピリジニル)エチリデン〕ビスホスホン酸及びその半−5水和物モノナトリウム塩の製造方法

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