JP2000290788A - 熱延鋼板の酸洗方法およびその酸液供給装置 - Google Patents

熱延鋼板の酸洗方法およびその酸液供給装置

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JP2000290788A
JP2000290788A JP11097736A JP9773699A JP2000290788A JP 2000290788 A JP2000290788 A JP 2000290788A JP 11097736 A JP11097736 A JP 11097736A JP 9773699 A JP9773699 A JP 9773699A JP 2000290788 A JP2000290788 A JP 2000290788A
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pressure
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Yoshiaki Takeishi
芳明 武石
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Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱延鋼板および熱延ステンレス鋼板の酸洗能
率を向上させる方法およびこれに用いる装置を提供す
る。 【解決手段】酸洗槽を走行する熱延鋼板に、高圧の酸液
をノズルから噴射する酸洗方法であって、ホーン型ノズ
ルを用い、ノズルのホーン部の長さLとスロート径dの
比L/dが10〜25、スロート長とスロート径の比l
/dが5以下であるノズルで、酸液の圧力を0.7MP
a以上、ノズルと鋼板との距離Hとスロート径の比H/
dを2〜50としてキャビテーションを発生させ酸洗す
る。噴射位置での静圧をゲージ圧0.005〜0.2M
Paにするとなおよい。高圧酸液は、高圧ポンプ、耐酸
性の低圧ポンプ、上下の層に酸液および酸液に反応また
は溶解しない非腐食性の不活性液を収容した2基以上の
加圧タンク、不活性液タンクを備え、これらを流路切替
えの開閉弁を有する配管群で結合し、複数の加圧タンク
を制御装置によって切り替えながら高圧酸液を連続的に
ノズルに供給する装置を用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鋼板、特に熱延鋼
板または熱延ステンレス鋼板の表面に形成された酸化ス
ケールを酸液を噴射しつつ除去するための酸洗方法およ
びこれに用いる酸液の供給装置に関する。
【0002】
【従来の技術】普通鋼の熱延鋼板は、一般的には、70
0〜900゜Cで仕上げ圧延されるため、表面には数〜
数十ミクロンの酸化スケールが生成する。この酸化スケ
ールは、次工程の冷間圧延または表面処理プロセスにお
いて、表面疵、めっき不良あるいは塗装不良の原因とな
るため、酸洗プロセスにより除去される。酸洗用の酸液
としては、3〜15%の塩酸や硫酸あるいは10〜20
%の燐酸が用いられ、さらに過酸洗による鋼材表面の肌
荒れ、水素脆性、鉄損失を抑制するために酸液にインヒ
ビタが添加される。除去され難いスケールの場合には、
電解酸洗が用いられ、電気分解により発生する水素ある
は酸素気泡によるスケールの剥離促進、酸液の攪拌およ
び還元作用によって酸洗能率を高めている。
【0003】ステンレス鋼の熱延鋼板は普通鋼の熱延鋼
板に比較して、スケール除去が困難であり、焼鈍後にシ
ョットブラスト、ロールベンダーによるスケールブレー
カー、研削ブラシあるいはベルト研削等で機械的にスケ
ールを破壊してから酸洗工程に入る。酸洗には、硝酸、
弗酸、硫酸、塩酸等の無機酸単味あるいはこれらの混酸
が用いられる。例えば、SUS304(オーステナイト
系ステンレス)鋼板の酸洗には、硝酸と弗酸の混酸が、
SUS430(フェライト系ステンレス)鋼板の酸洗に
は、硝酸電解が用いられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】近年、熱間圧延技術の
進展により圧延精度が向上し、冷延鋼板のかわりにコス
トの低廉な熱延鋼板が用いられ、より薄肉の熱延鋼板が
製造されるようになった。このことは、ステンレス鋼板
についても同様であって、より薄肉の熱延ステンレス鋼
板が冷間圧延なしで使用されるようになってきた。しか
し、酸化スケールは、鋼板の表面に生成するため、酸洗
量が増加し、生産性が低下するとともにトン当たりの酸
洗コストも上昇するため、酸洗の高効率化が要求されて
いる。
【0005】さらに、冷延鋼板や表面処理鋼板の高機能
化、高品質化の要求にともない、前工程である酸洗プロ
セスでの酸洗不良が、押込み疵や不めっき、塗装ハジキ
等の原因となるため、酸洗の完全性も要求される。従っ
て、品質を重視するために生産性を犠牲にした低ライン
速度での生産を余儀なくされている。
【0006】また、現状プロセスでは、酸洗効率向上の
ために、酸液の交換を頻繁に行ったり、反応速度向上の
ため酸液の濃度や温度を高めており、酸洗コストの上昇
を招いている。
【0007】ステンレス鋼板の酸洗に関しても、前述の
ように普通鋼に比べて脱スケールしにくく、酸洗前にシ
ョットブラスト等の機械的操作あるいはソルトバス法や
中性塩電解等の化学的処理を行い、さらに通板速度も数
十m/minと普通鋼の数百m/minに比べると遅
く、酸洗コストが高いため、効率化は必要不可欠であ
る。
【0008】このような問題点に対して、例えば特開平
4−341590号公報には鋼板に超音波を付与する方
法が開示されており、特開平9−78273号公報には
デフレクタロールによって鋼板に変形を加え、誘導加熱
装置による加熱を行うとともに酸液を噴射する方法が開
示されており、特開平5−25668号公報には、酸液
に脈動を与えて噴射する方法が開示されている。
【0009】しかし、これらの方法は、従来の横型浸漬
酸洗槽における方式に比べれば酸洗効率は、十〜数十%
向上するが、前記特開平4−341590号公報に開示
された方法における超音波発生装置、前記特開平9−7
8273号公報に開示された方法における誘導加熱装
置、あるいは前記特開昭平5−25668号公報に開示
された方法における縦型酸洗槽と脈動発生装置等の設備
費は、生産性の向上に対して割に合わず、実用には至っ
ていない。
【0010】本発明の課題は、これらの従来技術が有す
る問題を解決し、熱延鋼板または熱間圧延鋼板を比較的
安価な設備で酸洗効率を大きく向上させる方法を提供す
ることにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】熱延鋼板の酸洗機構は、
外面からのスケール溶解、スケールのクラックから浸透
した酸によるスケール内面からの溶解、および母材が酸
と反応して発生する水素気泡によるスケール剥離の複合
によるものである。したがって、溶解反応促進のための
攪拌(拡散促進)、酸液の高濃度化や高温化(反応速度
促進)、スケール中への酸液浸透促進のための鋼板変形
(クラック形成)さらにはスケール剥離促進のための研
削ブラシ(機械的剥離)等が酸洗向上には有効であり、
上述した従来技術もこれらの効果をねらって提案された
ものである。しかし、それらの対策は、上述した酸洗促
進機構を単独で実施したものであり、充分な効果が得ら
れていない。
【0012】そこで、本発明者は、上述の酸洗促進機構
を同時に付与する方法について検討した結果、キャビテ
ーション現象を利用してスケールを剥離し、溶解を促進
することを想到した。
【0013】図1は本発明の方法に係る酸洗機構を示す
模式図である。同図に示すように、鋼板の走行方向とは
逆方向に、酸液4中でノズル3から酸液ジェット5を高
圧で噴射すると、ベルヌーイの法則により静圧が低下
(静圧と動圧の和である全圧が一定であるので、高速噴
射により動圧が上昇するために静圧が低下する)し、酸
液4の蒸気圧以下になると沸騰し、蒸気の泡が発生す
る。これがキャビテーション現象であり、蒸気の泡をキ
ャビテーション気泡6という。キャビテーション気泡6
は、噴流の流速が減衰し、静圧が回復した場になると高
速で崩壊し、この時衝撃圧や超音波が発生する。キャビ
テーション気泡6の消滅が、固体壁近傍で発生すると、
キャビテーションエロージョンとよばれる壊食現象が発
生し、固体壁面に損傷を与える。
【0014】この現象は、液体中で高速運動するポンプ
のインペラ、水車、スクリューあるいは高流速が生じる
バルブやオリフィス等の絞り部分で発生し、機器の損傷
のみでなく性能を低下させるため、これらの機器ではキ
ャビテーションが発生しないよう設計される。
【0015】しかし、本発明のように脱スケールを目的
とする場合、このキャビテーションを積極的に利用する
ことができる。キャビテーションを鋼板の近傍で発生さ
せれば、衝撃圧や超音波により酸化スケールに微細なク
ラックが発生し、酸液の高速噴射によりスケール内部へ
の酸液の浸透が促進され、さらに噴流によるスケール剥
離も促進され、酸洗効率が飛躍的に向上すると考えられ
る。
【0016】ところで、上記のように、酸液を液中で高
速噴射するには、酸液を高圧にしなければならない。し
かしながら、高圧ポンプは高価であり、さらに酸液の腐
食に耐えられるポンプはセラミックス等の耐酸性材料の
精密加工が必要であり、極めて高価であるし、ポンプの
効率、機械的耐久性も十分ではない。本発明者は、酸液
と、これとは反応または溶解せず、上下の2層に分離し
て混合しない非腐食性の不活性液とを用いて高圧ポンプ
を酸液から絶縁する方法を想到し、キャビテーション現
象を本発明の酸洗方法に適用可能との目処を得た。
【0017】上記の知見に基づいた本発明の要旨は、以
下の(1) 〜(3) にある。 (1) 酸洗槽の酸液中を走行する熱延鋼板に高圧の酸液を
噴射する酸洗方法であって、酸液を噴射するノズルはス
ロート出口よりノズル出口に向かって漸次拡大する拡大
壁を有し、ノズルの軸方向での拡大壁の長さがスロート
径dの10〜25倍であり、かつスロート長さがスロー
ト径の5倍以下であり、酸液のノズル前圧力を0.7M
Pa以上、ノズルと熱延鋼板との距離をスロート径の2
〜50倍とすることを特徴とする熱延鋼板の酸洗方法。
【0018】(2) 酸液噴射位置における酸洗槽内酸液の
静圧をゲージ圧で0.005〜0.2MPaにすること
を特徴とする前記(1) 項に記載の熱延鋼板の酸洗方法。
【0019】(3) 高圧ポンプと、低圧ポンプと、上下の
液層の一方の層に酸液を収容し、他方の層に酸液と上下
2層に分離して混合しない非腐食性の不活性液を収容し
た2基以上の加圧タンクと、不活性液タンクとを備え、
酸洗後の酸液を低圧ポンプを介して回収し加圧タンクの
酸液の層に充填する配管群と、不活性液を高圧ポンプを
介して不活性液タンクから加圧タンクの不活性液の層に
充填する配管群と、高圧の酸液を加圧タンクの酸液の層
から酸液噴射用ノズルに供給する配管群と、不活性液を
加圧タンクの不活性液の層から不活性液タンクに回収す
る配管群と、各配管群の流路を開閉する開閉弁を備え、
さらに各開閉弁の開閉を順次操作して低圧ポンプによる
加圧タンクへの酸液の充填制御、高圧ポンプによる加圧
タンクへの不活性液の充填制御、加圧タンクから不活性
液タンクへの不活性液体の回収制御および酸液噴射用ノ
ズルへの酸液の供給の制御を行う制御装置を備えたこと
を特徴とする酸液供給装置。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明に係る方法および装置の要
素の限定理由を述べる。 (a) ノズル形状 酸液のジェット中にキャビテーションを促進するには、
文献(「高速水中噴流による激しいキャビテーション壊
食の挙動」:キャビテーションジェットの基礎と応用、
日本ウォータジェット学会、平成8年3月、P30)に
あるように、ノズルスロートの出口からラッパ状の広が
り壁を有するホーンノズルが有効であると言われてい
る。本発明者は、キャビテーションの発生におよぼすノ
ズルの形状を検討した。
【0021】図2は本発明の酸液噴射用のノズルの形状
を説明する概要図である。同図において符号3はノズ
ル、7はスロート部、8はホーン部、9はねじ接続部で
ある。同図に示すノズル3のスロート部7の径d、スロ
ート部の長さlおよびホーン部8の長さLを変化させた
実験を行った。ホーン部8の開口角αは50°のノズル
を用いた。
【0022】水中において、上記ノズルより水を噴射す
ることによってキャビテーションを発生させた。キャビ
テーションの程度は、水中マイクロホンで測定した音圧
で評価した。その結果、キャビテーションの促進には、
スロート部の長さlとホーン部の長さLが重要因子であ
ることが判明し、さらに詳細な検討を行った。
【0023】図3はノズルのスロート部の長さlとスロ
ート部の径の比l/dに対する音圧の関係を示すグラフ
である。
【0024】図4はノズルのホーン部の長さLとスロー
ト部の径の比L/dに対する音圧の関係を示すグラフで
ある。
【0025】図3に示すように、l/dは小さいほど音
圧が大きく、特にl/dが5以下が有効であり、好まし
くは2以下である。一方、l/dが0.1未満である
と、ノズルを加工するのが困難であり、ノズル部自体に
ジェットによるエロージョンが生じ、十分な性能が発揮
できないため、0.1以上とするのが望ましい。ホーン
の開口角αは40〜70とするのが望ましい。40°未
満の場合はジェットの静圧が急激に低下しないため所期
のキャビテーションが得られにくく、70°を超える
と、キャビテーションのエネルギーが分散し、効果的な
脱スケールができない。ホーン形状はαが一定の円錐形
でもよいし、出口に向かって漸次αが増大するラッパ形
状でもよい。
【0026】図4に示すように、L/dは10〜25で
おきな音圧が得られることが判明した。より好ましいの
は12〜20である。
【0027】(b) 酸液のノズル前圧力 図5はノズル前圧力とキャビテーションの音圧の関係を
示すグラフである。このときの試験は、l/d=0.2
5、L/d=20、ホーンの開口角α=50°のノズル
を用いて、ノズル前圧力(以下、ノズル圧力ともいう)
を徐々に増加させたものである。ノズル圧力が0.1M
Pa以上になると間欠的にキャビテーションが発生しは
じめる。さらに上昇し、ノズル圧力が0.7MPa以上
になるとキャビテーションは連続的に発生し、ノズル圧
力の上昇とともに激しくなる。従って、ノズル圧力は
0.7MPa以上が必要である。上限は特に定めない
が、設備費、経済性等を考慮すると、5MPa以下が好
ましい。ここで、ノズル圧力とはスロート部入側の圧力
である。ただし、スロート径に対して配管径が5倍以上
大きいときは酸液の供給圧力とみなしてもよい。
【0028】(c) 対象物とノズル間の距離 つぎに、ノズルから対象物までの距離とキャビテーショ
ンによる壊食との関係を調査した。対象物として、ブラ
イト仕上のアルミニウム板を用い、ノズルからの距離を
変化させ、一定時間高圧水を噴射し、アルミニウム板の
損傷度合いを比較した。
【0029】図6はノズルからの距離Hとノズルのスロ
ート部径との比H/dに対する、アルミニウム板表面の
粗さ(10点平均粗さRz)の関係を示すグラフであ
る。表面の粗さはH/dが2〜50の範囲で壊食の度合
いが大きいことが判明した。H/dが2未満では、対象
物とノズルが接近しすぎ、酸液の圧力が高いため、キャ
ビテーション気泡が発生しないためであり、H/dが大
きいと、キャビテーションの発生する位置が対象物から
離れすぎていて、壊食の効果が減殺されるためである。
好ましくは、H/dは3〜20の範囲がよい。
【0030】(d) 酸液の連続加圧方法 酸液の加圧方法としては、0.2〜0.5MPaの低圧
であれば耐酸材料で被覆あるいは成形したケーシングと
インペラを用いた遠心ポンプ等が市販されているが、
0.7MPa以上の加圧用ポンプは極めて得にくい。発
明者は高圧の酸液を供給する方法を検討し、不活性液を
介して酸液を加圧する方法を想到した。
【0031】図7は本発明に係る高圧酸液の供給装置の
概要図である。同図の符号11は酸液、12は不活性
液、13は高圧ポンプ、14は低圧ポンプ、15a〜1
5cは加圧タンク、16は不活性液タンク、17は酸液
供給配管群、18は酸液回収配管群、19は不活性液加
圧配管群、20は不活性液回収配管群、21a〜21c
は酸液供給開閉弁、22a〜22cは酸液回収開閉弁、
23a〜23cは不活性液加圧開閉弁、24a〜24c
は不活性液回収開閉弁である。同図中に示す記号y* 、
z* 、v* 、w* はそれぞれの配管の接続を表す。
【0032】同図の不活性液12は酸液より比重の大き
い液体を使用した場合の態様を示しているが、酸液より
比重の小さい液体を使用した場合は、酸液供給配管群1
7と酸液回収配管群18は加圧タンク15の下部に接続
され、不活性液加圧配管群19と不活性液回収配管群2
0は、加圧タンク15の上部に接続されるように配置さ
れる。
【0033】不活性液12には、高圧ポンプ13を腐食
せず、酸液11と反応もしくは溶解・混合しない液体を
用いる。これらの例として、フッ素系の不活性液体(商
品名フロリナート、比重1.6〜1.9)のように、酸
液(例えば5%塩酸)より比重の大きいものを使うこと
ができ、例えば鉱物油のように比重の小さいものを使っ
てもよい。
【0034】加圧タンクの数は、連続的に酸液を供給す
るためには、少なくとも2基必要であり、加圧タンク1
5a〜cの切替えを滑らかに行うには、3基以上とする
のが望ましい。
【0035】低圧ポンプ14は耐酸性のものが望まし
く、ケミカルポンプとも称されるものが好適である。高
圧ポンプ13は耐酸性のものでなくてもよい。加圧タン
ク15は耐酸性材料であるかまたは内面を耐酸被覆した
ものが望ましい。不活性液タンク16は耐酸性でなくて
もよい。また、酸液供給配管群17、酸液回収配管群1
8、酸液供給開閉弁21および酸液回収開閉弁22は耐
酸性とするのが望ましく、不活性液加圧配管群19、不
活性液回収配管群20、不活性液加圧開閉弁23、不活
性液回収開閉弁24は耐酸性でなくてもよい。
【0036】図8は酸液供給装置の開閉弁の開閉タイミ
ングを示すグラフである。同図において、t0 の時点で
は酸液供給開閉弁21aと不活性液加圧開閉弁23aは
開、酸液回収開閉弁22aと不活性液回収開閉弁24a
は閉であるため、不活性液によって酸液は加圧タンク1
5aから押出され、酸洗工程のノズルに供給される。加
圧タンク15a内の酸液11は減少し、不活性液12が
増加する。t1 の時点では加圧タンク15bが15aに
かわって酸液を供給する。t2 の時点で、加圧タンク1
5aの酸液回収開閉弁22aと不活性液回収開閉弁24
aが開きはじめ、酸液供給開閉弁21aと不活性液加圧
開閉弁23aは閉であるため、加圧タンク15aの酸液
が増加し、不活性液は減少する。t4 のタイミングでは
加圧タンク15cが15bにかわって高圧酸液を供給し
はじめる。以下、各開閉弁を順次切り替えることで、低
圧ポンプ14による酸液11の加圧タンクへの充填と、
高圧ポンプによる不活性液12の加圧タンクへの圧送を
繰り返し、高圧酸液を連続的にノズルに供給することが
できる。
【0037】(e) 酸洗槽の圧力の影響 次に発明者は酸液噴射位置(酸洗位置)における酸液の
静圧を変更し、その影響を調査した。
【0038】図9は、酸洗位置での酸液の静圧とキャビ
テーションの音圧との関係を示すグラフである。同図の
静圧とは、大気圧との差のゲージ圧である。同図のよう
に、静圧が高くなるに従って音圧は上昇し、静圧が0.
005MPa以上で音圧の上昇が大きく、静圧が0.1
〜0.2MPaで最大値を呈し、0.2MPaを超える
と逆に低下する。従って、静圧は0.005〜0.2M
Paとするのが好ましい。静圧が0.2MPaを超える
と逆に低下するのは酸液の蒸気圧以上になってキャビテ
ーションが抑制されるためと考えられる。
【0039】静圧を高めるには、一つには酸洗槽を密閉
型とし、内部を加圧する方法がある。密閉構造とする場
合、鋼板の出入部分のシール構造が重要であるが、実用
的な構造を考慮すると、前記の静圧を0.05〜0.1
MPaとするのがさらに好ましい。
【0040】静圧を高める他の方法として、酸洗槽を深
くし静圧を高くする方法がある。前記の静圧の0.00
5〜0.2MPaは、酸液深さでおよそ0.5〜20m
に相当するから、鋼板を0.5m以上深い位置で走行さ
せ、酸液噴射による酸洗をするのが望ましい。横型の酸
洗槽では0.5m程度の深さで酸洗することはさほど困
難ではないが、0.5mを超える深さは設備コストや酸
液コストが増大するので、あまり有利ではない。竪型の
酸洗槽形式では0.5〜20m程度の深さを確保するこ
とが可能である。しかし、安価で実用性のある竪型酸洗
槽の構造とするには、5〜10mの深さの槽とし、その
底部近傍で酸液を噴射するのが好ましい。
【0041】
【実施例】本発明の効果を確認するため、従来からの酸
洗ラインに酸液噴射装置を取付け試験した。酸洗槽の長
さは32mであり、酸液は、弗硝酸(8%硝酸+2%弗
酸。比重1.034)、酸液温度は52゜Cであった。
供試材のステンレス鋼板は板厚2.6mm、板幅923
〜1062mmのSUS304であった。
【0042】高圧酸液供給には図7に示す酸液供給装置
を用いた。3基の加圧タンクの容量は各々10m3 であ
った。不活性液にはフッ素系不活性液(比重:1.7
3)を用いた。
【0043】本発明における、酸液噴射用のノズルに
は、スロート径d:2.5mm、スロート長さl:1m
m、ホーンの開口角α:50゜、ホーン長さL:40m
mであり、幅方向に35mmピッチで表裏に設置した。
【0044】酸液のノズル前圧力を1〜5MPaに変化
させるとともに、ノズルと鋼板との距離を5〜40mm
に変化させた。この時、L/d=16.0、l/d=
4.0、H/d=2〜16であった。
【0045】酸洗結果の評価は、鋼板表裏面全幅全長に
渡ってスケール残りがない状態にするため、最大のライ
ン速度を調べた。
【0046】この酸洗条件でノズルから酸液を噴射する
本発明例、比較例、および酸液噴射を行わない従来例に
ついて、ノズル条件、酸液噴射条件をおよび試験結果を
表1に示す。
【0047】
【表1】
【0048】表1において、試験No.1はH/dが小
さく(ノズルが鋼板に接近しすぎている)、酸洗効率の
向上はあまり大きくなかった。No.2は、ノズルの噴
射圧力が小さく、キャビテーションの発生が不十分なた
め、酸洗速度がほとんど向上しなかった。No.10
は、H/dが大きすぎ、キャビテーションは発生してい
るが、鋼板から離れた位置で発生しているため、効果が
十分発揮できていない。
【0049】これに対して、本発明例の試験No.3〜
9では従来例(試験No.11)に比較して、酸洗速度
は2〜5倍となった。
【0050】
【発明の効果】本発明によって、安価な設備で鋼板の酸
洗速度が著しく向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法に係る酸洗機構を示す模式図であ
る。
【図2】本発明の酸液噴射用のノズルの形状を説明する
概要図である。
【図3】ノズルのスロート部の長さlとスロート部の径
の比l/dに対する音圧の関係を示すグラフである。
【図4】ノズルのホーン部の長さLとスロート部の径の
比L/dに対する音圧の関係を示すグラフである。
【図5】ノズル前圧力とキャビテーションの音圧の関係
を示すグラフである。
【図6】ノズルからの距離Hとノズルのスロート部径と
の比H/dに対する、アルミニウム板表面の粗さ(10
点平均粗さRz)の関係を示すグラフである。
【図7】本発明に係る高圧酸液の供給装置の概要図であ
る。
【図8】酸液供給装置の開閉弁の開閉タイミングを示す
グラフである。
【図9】酸洗位置での酸液の静圧とキャビテーションの
音圧との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1:鋼板 2:スケール 3:ノズル 4:酸液 5:酸液ジェット 6:キャビテーション気泡 7:スロート部 8:ホーン部 9:ねじ接続部 11:酸液 12:不活性液 13:高圧ポンプ 14:低圧ポンプ 15a、15b、15c:加圧タンク 16:不活性液タンク 17:酸液供給配管群 18:酸液回収配管群 19:不活性液加圧配管群 20:不活性液回収配管群 21a、21b、21c:酸液供給開閉弁 22a、22b、22c:酸液回収開閉弁 23a、23b、23c:不活性液加圧開閉弁 24a、24b、24c:不活性液回収開閉弁

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸洗槽の酸液中を走行する熱延鋼板に高
    圧の酸液を噴射する酸洗方法であって、酸液を噴射する
    ノズルはスロート出口よりノズル出口に向かって漸次拡
    大する拡大壁を有し、ノズルの軸方向での拡大壁の長さ
    がスロート径dの10〜25倍であり、かつスロート長
    さがスロート径の5倍以下であり、酸液のノズル前圧力
    を0.7MPa以上、ノズルと熱延鋼板との距離をスロ
    ート径の2〜50倍とすることを特徴とする熱延鋼板の
    酸洗方法。
  2. 【請求項2】 酸液噴射位置における酸洗槽内酸液の静
    圧をゲージ圧で0.005〜0.2MPaにすることを
    特徴とする請求項1に記載の熱延鋼板の酸洗方法。
  3. 【請求項3】 高圧ポンプと、低圧ポンプと、上下の液
    層の一方の層に酸液を収容し、他方の層に酸液と上下2
    層に分離して混合しない非腐食性の不活性液を収容した
    2基以上の加圧タンクと、不活性液タンクとを備え、酸
    洗後の酸液を低圧ポンプを介して回収し加圧タンクの酸
    液の層に充填する配管群と、不活性液を高圧ポンプを介
    して不活性液タンクから加圧タンクの不活性液の層に充
    填する配管群と、高圧の酸液を加圧タンクの酸液の層か
    ら酸液噴射用ノズルに供給する配管群と、不活性液を加
    圧タンクの不活性液の層から不活性液タンクに回収する
    配管群と、各配管群の流路を開閉する開閉弁を備え、さ
    らに各開閉弁の開閉を順次操作して低圧ポンプによる加
    圧タンクへの酸液の充填制御、高圧ポンプによる加圧タ
    ンクへの不活性液の充填制御、加圧タンクから不活性液
    タンクへの不活性液体の回収制御および酸液噴射用ノズ
    ルへの酸液の供給の制御を行う制御装置を備えたことを
    特徴とする酸液供給装置。
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