JP2000290827A - 繊維用無機配合剤の製造方法 - Google Patents

繊維用無機配合剤の製造方法

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JP2000290827A
JP2000290827A JP9814899A JP9814899A JP2000290827A JP 2000290827 A JP2000290827 A JP 2000290827A JP 9814899 A JP9814899 A JP 9814899A JP 9814899 A JP9814899 A JP 9814899A JP 2000290827 A JP2000290827 A JP 2000290827A
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fiber
inorganic compound
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JP9814899A
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Hiroshi Igarashi
宏 五十嵐
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Mizusawa Industrial Chemicals Ltd
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Mizusawa Industrial Chemicals Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 配合剤粒子の分散性や分散安定性に優れてい
ると共に、繊維形成用ドープに配合したときにも凝集を
生じることがなく、また繊維への紡糸に際しても、糸切
れなどが発生することがなく、しかも繊維に配合した状
態で優れた難燃性能、消臭性能、抗菌性能などの配合剤
本来の性能が有効に発現される繊維用無機配合剤の製造
方法を提供する。 【解決手段】 亜鉛系及び/またはマグネシウム系の無
機化合物を、非プロトン性極性溶媒中1乃至80重量%
の濃度で、体積基準平均粒径(D50)が0.1乃至
1.0μmで且つ2μm以上の粒度のものが10体積%
以下となるように湿式粉砕することを特徴とする繊維用
無機配合剤の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、繊維用無機配合剤
の製造方法に関するもので、より詳細には、配合剤粒子
の分散性や分散安定性に優れていると共に、繊維形成用
ドープに配合したときにも凝集を生じることがなく、ま
た繊維への紡糸に際しても、糸切れなどが発生すること
がなく、しかも繊維に配合した状態で優れた難燃性能、
消臭性能、抗菌性能などの配合剤本来の性能が有効に発
現される繊維用無機配合剤の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】合成繊維は、繊維としての諸物性には優
れているものの、難燃性能、消臭性能、抗菌性能などの
性能に欠けており、これらの性能を付与するために、繊
維形成用のドープに無機配合剤を配合することが広く行
われている。
【0003】ケイ酸亜鉛系化合物が、消臭性能と抗菌性
能とを有し、これを繊維中に配合することは古くから知
られている。例えば、特開平2−99606号公報に
は、酸化亜鉛と二酸化珪素の重量比率が1:5〜5:1
からなる大部分がアモルファスな構造であるケイ酸亜鉛
の実質的に無定形な平均粒子径が5μm以下の無機微粒
子と、融点が10℃よりも低くかつ25℃以下での粘度
が10ポイズ以上を有する液状ポリエステル系化合物と
の混合物が、融点150℃以上の熱可塑性ポリマー中に
分散していることを特徴とする消臭性及び抗菌性を有す
る繊維が記載されている。
【0004】また、特開平8−246334号公報に
は、抗菌・消臭性多孔質セラミックス系粉末加工剤を繊
維用樹脂バインダーと共に布帛に付与した抗菌消臭性布
帛が記載されている。
【0005】更に、特開平9−87924号公報には、
アクリル系合成繊維において、平均粒径0.5〜10μ
mのケイ酸金属塩またはアルミノケイ酸金属塩を有効成
分とする微粉末を0.5〜20.0重量%含有している
ことを特徴とする消臭・抗菌性アクリル系合成繊維が記
載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記繊
維用無機配合剤、特に亜鉛系やマグネシウム系の配合剤
は、樹脂溶液中での分散性が未だ不十分であり、粒子相
互の凝集傾向もあり、例えば繊維への成形に際して、オ
リフィスの詰まりを生じたり、糸切れを起こす傾向があ
り、その改善が強く要求されている。更に、難燃性能、
消臭性能、抗菌性能などの配合剤本来の性能の維持も重
要な課題であり、繊維への配合に適した微細粒径では、
これらの性能が低下したり、或いはその持続性が失われ
たりする傾向もある。
【0007】したがって、本発明の目的は、配合剤粒子
の分散性や分散安定性に優れていると共に、繊維形成用
ドープに配合したときにも凝集を生じることがなく、ま
た繊維への紡糸に際しても、糸切れなどが発生すること
がなく、しかも繊維に配合した状態で優れた難燃性能、
消臭性能、抗菌性能などの配合剤本来の性能が有効に発
現される繊維用無機配合剤の製造方法を提供するにあ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、抗菌
性、消臭性または難燃性を有する亜鉛系及び/またはマ
グネシウム系の無機化合物を、非プロトン性極性溶媒中
1乃至80重量%の濃度で、体積基準平均粒径
(D50)が0.1乃至1.0μmで且つ2μm以上の
粒度のものが10体積%以下となるように湿式粉砕する
ことを特徴とする繊維用無機配合剤の製造方法が提供さ
れる。
【0009】本発明が対象とする原料無機化合物は、抗
菌性、消臭性または難燃性を有するものであり、後に例
示するような亜鉛系或いはマグネシウム系の化合物であ
れば何れでもよいが、特に効果の著しいものとして、含
アルミニウムフィロケイ酸亜鉛、ヒドロキシスズ酸亜
鉛、ホウ酸亜鉛、ホウ酸マグネシウム或いはこれらの組
合せが挙げられる。また、非プロトン性極性溶媒として
は、後に例示するものが何れも使用可能であるが、特に
効果の著しいものとして、ジメチルホルムアミド(DM
F)が挙げられる。湿式粉砕の際の原料無機化合物の濃
度は1乃至80重量%、好ましくは20乃至60重量
%、更に好ましくは30乃至60重量%であり、前記粒
度分布となるように粉砕するには、該無機化合物の吸油
量の2.0倍量以上、特に2.0乃至7.0倍量の非プ
ロトン性極性溶媒の存在下に湿式粉砕を行うことが特に
好ましい。本発明における湿式粉砕は、酸化剤、特に過
酸化水素の存在下に行うことにより、製造から繊維ドー
プへの配合までの間に長時間の経時があっても、配合剤
の着色傾向を防ぐことができる。
【0010】
【発明の実施形態】[作用]本発明は、亜鉛系及び/ま
たはマグネシウム系の無機化合物を、非プロトン性極性
溶媒中1乃至80重量%の濃度で、湿式粉砕すると、体
積基準平均粒径(D 50)が0.1乃至1.0μmで且
つ2μm以上の粒度のものが全体の10体積%以下とな
る粒度分布のスラリーを製造することが可能であるこ
と、上記粒度分布を有する配合剤のスラリーは配合剤粒
子の分散性や分散安定性に優れていると共に、繊維形成
用ドープに配合したときにも凝集を生じることがなく、
また繊維への紡糸に際しても、糸切れなどが発生するこ
とがなく、しかも繊維に配合した状態で優れた難燃性
能、消臭性能、抗菌性能などの配合剤本来の性能が有効
に発現されることの知見に基づくものである。
【0011】非プロトン性極性溶媒とは、活性水素を有
しない極性溶媒と定義されるが、この非プロトン性極性
溶媒中で亜鉛系及び/またはマグネシウム系の繊維用無
機配合剤を湿式粉砕を行うと、平均粒子径がサブミクロ
ンであり、しかも2μm以上の粗粒分の含有量の著しく
少ない粒子の比較的安定なスラリーが得られることが分
かった。
【0012】無機物を微粉砕する手段として湿式粉砕は
周知の手段であるが、後述する比較例に示すとおり、亜
鉛系及び/またはマグネシウム系の繊維用無機配合剤を
水中で湿式粉砕した場合には、平均粒子径が2μm程度
に留まり、サブミクロン粒子に微細化することは困難で
ある。また、湿式粉砕により形成される粒子は凝集傾向
があり、分散性にも分散安定性にも欠けている。
【0013】これに対して、亜鉛系及び/またはマグネ
シウム系の無機化合物を、ジメチルホルムアミド(DM
F)のような非プロトン性極性溶媒中で湿式粉砕する
と、上述したサブミクロン粒子に微粉砕することが可能
となると共に、形成されるスラリーは粒子の分散性及び
分散安定性に優れているという利点が達成されるもので
ある。このスラリーにおいては、スラリー調製後の経時
により粒子の沈降を生ずる場合もあるが、この場合でも
スラリーに軽度の攪拌を加えることにより、沈降粒子は
容易にもとの状態に再分散するものであって、分散性に
優れていることが分かる。加えて、DMFのような非プ
ロトン性極性溶媒は、例えばアクリル繊維等を製造する
ためのドープの溶媒であり、繊維用無機配合剤を湿式粉
砕したスラリーをそのまま紡糸用ドープの調製に用いる
ことができるという利点も達成される。
【0014】本発明では、亜鉛系及び/またはマグネシ
ウム系の無機化合物を、濃度が1乃至80重量%、好ま
しくは20乃至60重量%、更に好ましくは30乃至6
0重量%という濃度で、湿式粉砕に付する。濃度が80
重量%を超えると湿式粉砕の利点がなくなって、サブミ
クロンの粒子を得ることが困難となりやすい。湿式粉砕
は、微細物質の破壊は、乾燥状態よりも湿潤状態の方が
起こりやすく、乾式に比して効率も高く、微粉も得やす
いという原則に基づくものであるが、濃度80重量%以
上では、もはや粉砕に適した湿潤状態とはいえないため
と認められる。
【0015】また、湿式粉砕は、原料無機化合物の吸油
量(JIS.K.5101.19)の2.0倍量以上、
特に2.0乃至7.0倍量の非プロトン性溶媒の存在下
で行うことが、粉砕効率の点で最も好適である。即ち、
湿式粉砕の効率は、原料無機化合物の吸油量にも関連し
ており、この吸油量に比して溶媒量が多いと、原料無機
化合物が多量の溶媒を吸収してしまい、また吸油量に比
して溶媒量が少ないと、原料無機化合物が吸収する溶媒
量が著しく少量となり、何れの場合にも、粉砕に適した
湿潤状態ではなくなる傾向がある。尚、本発明におい
て、吸油量のa倍量の溶媒量とは、例えば原料無機化合
物の吸油量を bml/100gとしたとき、100gの原料無
機化合物に対する溶媒量が(a×b)ml であることを
意味する。
【0016】〔原料無機化合物〕本発明において用いる
原料無機化合物は、抗菌性、消臭性または難燃性を有す
る亜鉛系或いはマグネシウム系の化合物であり、これに
限定されるものではないが、例えば、難燃性に優れてい
る下記式(1): MSn(OH)6 (1) 式中、Mは、ZnまたはMgを示す、で表されるヒドロ
キシ錫酸亜鉛乃至マグネシウム、難燃性に優れている下
記式(2): ZnSnO3 (2) で表される錫酸亜鉛、同じく難燃性に優れているホウ酸
亜鉛乃至マグネシウムなどのホウ酸塩、更に消臭性や抗
菌性に優れている各種のケイ酸質化合物、例えば含アル
ミニウムフィロケイ酸亜鉛、ヘミモルファイト型ケイ酸
亜鉛、ソーコナイト型ケイ酸亜鉛、フィロケイ酸亜鉛、
フィロケイ酸マグネシウムなどの結晶質ケイ酸化合物
や、アモルファスのケイ酸亜鉛乃至ケイ酸マグネシウム
などの非晶質ケイ酸化合物、また消臭性を有する酸化亜
鉛等を例示することができる。
【0017】本発明においては、消臭性、抗菌性,難燃
性などの特性の持続性が良好であり、且つ粒子同士の凝
集傾向が少なく、微細分散性や分散安定性に優れている
という見地から、含アルミニウムフィロケイ酸亜鉛、ヒ
ドロキシスズ酸亜鉛、ホウ酸亜鉛、ホウ酸マグネシウム
或いはこれらの組合せが最も好適に使用される。
【0018】尚、含アルミニウムフィロケイ酸亜鉛は、
下記一般式(3): (Zn3-X AlX )(Si2-X AlX)O5(OH) (3) 式中、xは0.1乃至1.75の数である、で表される
化学構造を有する二層構造のフィロアルミノケイ酸塩で
あって、一般にフライポンタイトと呼ばれるものであ
る。即ち、この化学構造では、シリカの四面体層Siが
Alで置換され、これをバランスするため、ZnO6
八面体層のZnの一部がやはりAlで置換され、これら
が二層に積層されたものを基本骨格とし、この基本骨格
が場合によりC軸方向に積層された構造を有するもので
ある。
【0019】このような合成フライポンタイトの製造
は、特開昭61−10021号、61−275128
号、及び61−275127号公報に記載されていると
おり、(A)シリカ或いは反応条件下にシリカを生成し
得るケイ素化合物、(B)亜鉛華、水酸化亜鉛或いは反
応条件下に水酸化亜鉛を生成し得る亜鉛化合物、及び
(C)アルミナ水和物、水酸化アルミニウム或いは反応
条件下でこれらを生成し得るアルミニウム化合物、を酸
化物として表わした三成分組成比で、SiO5〜45
モル%,ZnO35〜65モル%及びAl0〜6
0モル%に相当する量比で、水分の存存下に反応させる
ことにより行われる。反応は、上記反応体混合物から一
旦沈殿を生成させ、この沈殿を加熱することにより、或
いは反応体混合物をオートクレーブ中で水熱処理するこ
とにより得られる。勿論、本発明はこの製造法によるも
のに限定されない。
【0020】上記含アルミニウムフィロケイ酸亜鉛は、
非晶質シリカとの複合体の形で用いることもできる。こ
の複合体は、非晶質で多孔質のシリカとその一次粒子表
面に形成された含アルミニウムフィロケイ酸亜鉛層とか
らなり、全体として三成分組成比で、SiO:5乃至
80モル%、ZnO:5乃至65モル%、Al
1乃至60モル%の組成を有している。この複合体で
は、非晶質シリカの細孔中或いは一次粒子表面上に、含
アルミニウムフィロケイ酸亜鉛の層が形成されるため、
複合体における含アルミニウムフィロケイ酸亜鉛は結晶
が発達していなく、非晶質乃至低結晶性であるという特
徴がある。この複合体のタイプの含アルミニウムフィロ
ケイ酸亜鉛は、樹脂への配合が容易でありながら、活性
であるという特徴がある。この複合体は、特公平5−7
9602号公報に記載されているとおり、シリカのゾル
乃至ゲル分散体中で、含アルミニウムフィロケイ酸亜鉛
を製造することにより、容易に得られる。
【0021】上述した原料無機化合物は、一般に、所定
の反応液中に分散したスラリーの形で得られ、これを濾
過、洗浄、乾燥し、次いでジェットミル等の粉砕機で乾
式粉砕して粒状物の形で使用に供されるが、平均粒径が
1.5〜3μm程度であり、且つ6〜8μm程度の大径
の粒子を多く含んでいる。従って、これをそのまま繊維
用配合剤として用いたのでは、紡糸の際に糸切れ等のト
ラブルを生じる。また、乾式粉砕では、これよりも微粒
に粉砕することは困難である。しかるに、本発明にした
がって湿式粉砕を行うことにより、繊維用配合剤に適し
た微細粒子に微粉砕される。
【0022】また、これらの原料無機化合物は、非プロ
トン性極性溶媒に混合しての湿式粉砕に先立って、必要
により、各種の有機分散剤を混合して表面処理を行って
おくこともできる。このような有機分散剤としては、平
均分子量が10000以下、特に400乃至6000の
ポリエーテル、例えば、ポリエチレングリコール、ポリ
プロピレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリ
オキシエチレン/ポリオキシプロピレン共重合体;或い
はグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリス
リトール、ジペンタエリスリトール、マンニトール、ソ
ルビトール等へのエチレンオキサイド付加物を例示する
ことができ、特にポリエチレングリコールが好適であ
る。この有機分散剤は、一般に、原料無機化合物当り
0.5乃至10重量%の範囲で使用される。中でも、前
述した結晶性ケイ酸亜鉛化合物、特に含アルミニウムフ
ィロケイ酸亜鉛は、ポリエチレングリコールを用いての
表面処理により、その分散性、分散安定性を著しく向上
させることができる。
【0023】(非プロトン性極性有機溶媒)非プロトン
性極性有機溶媒としては、ジメチルホルムアミド(DM
F)、ジメチルアセトアミド(DMA)、ジメチルスル
フォキシド(DMS)、テトラヒドロフラン(TH
F)、アセトンなどが挙げられ、これらの溶剤は、高分
子の溶解性、溶剤の回収性、取り扱いの点で優れてい
る。中でも、DMFは、アクリル繊維の紡糸工程で用い
られるドープの溶剤として用いられる。従って、DMF
を用いて湿式粉砕を行った場合には、得られるスラリー
を、そのままアクリル繊維紡糸工程のドープ中に混合で
きるという利点がある。
【0024】(湿式粉砕)本発明によれば、前述した原
料無機化合物を、所定量の非プロトン性極性有機溶媒と
混合して、1乃至80重量%の濃度の液中で湿式粉砕を
行う。この湿式粉砕は、チューブミル、ボールミル等の
粉砕機を用いて行われ、先に述べた様に、体積基準平均
粒径(D50)が0.1乃至1.0μmで且つ2μm以
上の粒度のものが全体の10体積%以下となるまで行わ
れる。粉砕時間は、通常、2乃至80時間程度であり、
温度は室温で十分である。もし加温をしながら粉砕を行
った配合剤では、繊維の紡糸を行うときに紡糸性が落ち
るので好ましくない。
【0025】また、この湿式粉砕は、酸化剤、特に過酸
化水素を、前記液中に混合し、この酸化剤の存在下で行
うことが好ましい。即ち、湿式粉砕により、前記無機化
合物が繊維用配合剤として適した微粒子状に分散したス
ラリーが得られるが、このスラリー(或いはその乾燥
品)を長時間放置しておくと、該配合剤が着色する傾向
がある。しかるに、上記のような酸化剤の存在下で湿式
粉砕を行うと、このような着色傾向が有効に防止でき
る。酸化剤は、原料無機化合物当り、0.5乃至10重
量%、特に0.5乃至5重量%の量で使用することが好
ましい。上記範囲よりも少量の場合には、着色防止が有
効に行われず、また上記範囲よりも多量に使用しても、
着色防止性の向上は認められず、むしろ得られた無機配
合剤の諸特性に悪影響を与えるおそれがある。酸化剤と
しては、過酸化水素以外にも、過硫酸カリウム、サラシ
粉、蟻酸等、種々のものがあるが、非プロトン性溶媒に
溶解し且つ着色防止性が高いという点で、過酸化水素が
最も好適である。尚、酸化剤は無機配合剤の製造後、つ
まり原料無機化合物を、非プロトン性極性有機溶媒中で
湿式粉砕を行った後に酸化剤を添加して行っても同様の
効果がある。
【0026】〔用途〕上記のようにして得られた微粒の
繊維用配合剤を含むスラリーは、これをそのまま、或い
は濾過、洗浄及び乾燥を行って前述した粒度分布を有す
る粉末の形で、繊維形成性高分子に配合して、消臭性、
抗菌性、難燃性等の特性を有する機能性繊維とする。
【0027】繊維としては、ポリエチレン、ポリプロピ
レン等から成るオレフィン繊維、ポリビニルアルコール
繊維、ポリ塩化ビニル繊維、塩化ビニリデン樹脂繊維、
アクリル繊維、塩化ビニル・塩化ビニリデン共重合体繊
維、ナイロン6、ナイロン6−6等のポリアミド繊維、
ポリエチレンテレフタレート等の熱可塑性ポリエステル
繊維、ポリテトラフルォロエチレン等のフッ素樹脂繊
維、アラミド繊維、液晶ポリエステル繊維、アセテート
繊維等が挙げられる。
【0028】これらの繊維は、繊維を構成する高分子の
種類に応じて、溶融紡糸、乾式紡糸、湿式紡糸等の手段
で製造されるが、本発明の繊維用配合剤は、紡糸に先立
って、これらの高分子中に一様に分散させて配合する。
即ち、溶融紡糸すべき高分子には、練り混みにより配合
すればよく、また乾式紡糸や湿式紡糸すべき高分子に対
しては、紡糸用ドープに剪断攪拌等により分散させれば
よい。
【0029】繊維形成用高分子に対する配合剤の配合量
は、用途や要求される特性によっても相違するが、一般
的にいって、繊維形成性高分子100重量部当たり、1
乃至30重量部、特に2乃至30重量部の量で含有され
るのが、消臭性、抗菌性、難燃性等の性能と繊維の性能
とのバランスの点で好適である。
【0030】また、上述した湿式粉砕により得られた本
発明の繊維用配合剤は、非プロトン性極性有機溶媒及び
非プロトン性極性有機溶媒に可溶な繊維形成性高分子か
ら成る繊維形成用ドープに有利に適用することができ
る。即ち、本発明の繊維用配合剤は、非プロトン性極性
有機溶媒に極めて容易にしかも微細にしかも安定に分散
する性能を有するので、糸切れのない繊維製品を製造す
ることが可能となるばかりか、湿式粉砕により得られた
スラリーの形で、そのままドープに配合できる。
【0031】上記溶媒に溶解可能な繊維形成用高分子、
即ち、ドープの溶媒として非プロトン性有機溶媒(例え
ばDMF)が使用される繊維形成用高分子の代表的なも
のとして、アクリロニトリル系高分子を挙げることがで
きる。アクリロニトリル系高分子としては、アクリロニ
トリルの単独重合体や共重合体、これらの単独重合体や
共重合体と他の重合体とのブレンド物などを挙げること
ができる。アクリロニトリル系高分子は全体あたり40
重量%以上、特に60重量%以上のアクリロニトリル単
位を含有することが好ましい。
【0032】アクリロニトリルと共重合される単量体と
しては、次のものが挙げられる。例えば、(メタ)アク
リル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)ア
クリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチ
ル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル
酸n−アミルなどの(メタ)アクリル酸エステル類。ス
チレン、ビニルトルエン、酢酸ビニルなど。アクリル
酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル
酸、イタコン酸、シトラコン酸、無水マレイン酸、無水
イタコン酸等。(メタ)アクリルアミド等。(メタ)ア
クリル酸ヒドロキシエチルエステル、(メタ)アクリル
酸ヒドロキシプロピルエステル、アクリル酸プロピレン
グリコールモノエステル等。(メタ)アクリル酸ジメチ
ルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノ
エチル、ビニルピリジン、2−ビニル−5−エチルピリ
ジン、(メタ)アクリル酸オキサゾリルエチル、(メ
タ)アクリル酸ヒドロキシエチルアミノエチル等。(メ
タ)アクリル酸グリシジルエーテル、アリルグリシジル
エーテル、ブタンモノオキシド等。(メタ)アクリルア
ミドのジメチロール化物や、そのエーテル化物、例えば
エチルエーテル化物或いはブチルエーテル化物等。スチ
レンスルフォン酸など。
【0033】一方、上記アクリロニトリル系重合体とブ
レンドされる他の重合体としては、アセチルセルロー
ス、アセチルプロピオニルセルロース、アセチルブチリ
ルセルロースなどのセルロース誘導体や、塩化ビニル系
重合体などが挙げられる。
【0034】繊維形成用のドープを製造するには、非プ
ロトン性極性溶媒中に湿式粉砕で得られた無機配合剤ス
ラリーを攪拌下に分散させる。この無機配合剤のスラリ
ーには、分散安定化のために少量のアクリロニトリル系
重合体をあらかじめ溶解させておくことができる。これ
とは別に、繊維形成用のアクリロニトリル系高分子を非
プロトン性極性溶媒に溶解させ、この溶液に、紡糸の直
前に、配合剤スラリーを混合することにより、ドープを
形成することができる。
【0035】以上、繊維形成用ドープの調製の仕方をア
クリロニトリル系高分子を例にとって説明したが、この
調製手段は、他の繊維用の高分子に対しても同様に適用
できる。また、紡糸手段は公知であり、これら公知の手
段が本発明にも適用できる。更に、前述したドープに
は、分散性、分散安定性が良好であり、紡糸に際して糸
切れを生じないという本発明の利点が損なわれない範囲
で、それ自体公知の他の配合剤、例えば抗菌剤、難燃
剤、消臭剤等を配合できる。
【0036】
【実施例】以下の実施例及び比較例により本発明を説明
する。実施例及び比較例における物性測定は以下の測定
方法で行った。
【0037】(1)化学組成 JIS.M.8855.に準拠して行った。 (2)粒度分布(体積基準平均粒径D50及び2μm以
上の粗粒の体積%) Coulter 社製Particle Size Analyzer Model LS230 を
使用し,平均粒径を測定した。 (3)吸油量 JIS.K.5101.19に準拠して測定した。 (4)配合剤の着色 配合剤の製造における着色(黄変)については目視によ
り以下のように評価した。 ○:着色がない △:着色が少しある ×:着色がかなりある
【0038】各実施例及び比較例では、粉砕用の無機化
合物として以下のものを用いた。 試料A:含アルミニウムフィロケイ酸亜鉛(水澤化学製ミズカナイト) 化学組成:5.1SiO・Al・7.6ZnO・nHO 平均粒径:8.484μm(2μm以上は99.8体積%) 吸油量 :70ml/100g 試料B:ヒドロキシ錫酸亜鉛(市販品) 化学組成:ZnSn(OH)6 平均粒径:1.595μm(2μm以上は64.5体積%) 吸油量 :40ml/100g 試料C:ホウ酸亜鉛 (市販品) 化学組成:2ZnO・3B・nHO 平均粒径:3.994μm(2μm以上は81.6体積%) 吸油量 :35ml/100g
【0039】(実施例1)試料A(含アルミニウムフィ
ロケイ酸亜鉛)500gと、ジメチルホルムアミド(D
MF)1160gとを5Lのポットミルに入れ(試料濃
度:30重量%)、室温で12時間湿式粉砕を行った。
得られたスラリー中の試料Aの粒度分布(体積基準平均
粒径D50及び2μm以上の粗粒の体積%)を測定し
た。結果を表1に示す。
【0040】(実施例2)試料A(含アルミニウムフィ
ロケイ酸亜鉛))664gと、DMF996gとを5L
のポットミルに入れ(試料濃度:40重量%)、室温で
12時間湿式粉砕を行った。得られたスラリー中の試料
Aの粒度分布を実施例1と同様に測定し、その結果を表
1に示す。
【0041】(実施例3)試料B(ヒドロキシ錫酸亜
鉛)500gと、DMF1160gとを5Lのポットミ
ルに入れ(試料濃度:30重量%)、室温で12時間湿
式粉砕を行った。得られたスラリー中の試料Bの粒度分
布を実施例1と同様に測定し、その結果を表1に示す。
【0042】(実施例4)試料B(ヒドロキシ錫酸亜
鉛)664gと、DMF996gとを5Lのポットミル
に入れ(試料濃度:40重量%)、室温で6時間湿式粉
砕を行った。得られたスラリー中の試料Bの粒度分布を
実施例1と同様に測定し、その結果を表1に示す。
【0043】(実施例5)試料C(ホウ酸亜鉛)500
gと、DMF1160gとを5Lのポットミルに入れ
(試料濃度:30重量%)、室温で64時間湿式粉砕を
行った。得られたスラリー中の試料Cの粒度分布を実施
例1と同様に測定し、その結果を表1に示す。
【0044】(実施例6)試料C(ホウ酸亜鉛)664
gと、DMF996gとを5Lのポットミルに入れ(試
料濃度:40重量%)、室温で12時間湿式粉砕を行っ
た。得られたスラリー中の試料Cの粒度分布を実施例1
と同様に測定し、その結果を表1に示す。
【0045】(実施例7)試料B(ヒドロキシ錫酸亜
鉛)415gと、DMF1245gとを5Lのポットミ
ルに入れ(試料濃度:25重量%)、室温で12時間湿
式粉砕を行った。得られたスラリー中の試料Bの粒度分
布を実施例1と同様に測定し、その結果を表1に示す。
【0046】(実施例8)試料C(ホウ酸亜鉛)332
gと、DMF1328gとを5Lのポットミルに入れ
(試料濃度:20重量%)、室温で20時間湿式粉砕を
行った。得られたスラリー中の試料Cの粒度分布を実施
例1と同様に測定し、その結果を表2に示す。
【0047】(実施例9)試料A(含アルミニウムフィ
ロケイ酸亜鉛)500gと、ジメチルホルムアミド(D
MF)1160gとを5Lのポットミルに入れ(試料濃
度:30重量%)、さらに過酸化水素10.2g(試料
当り2重量%)を加え室温で12時間湿式粉砕を行っ
た。得られたスラリー中の試料Aの粒度分布を実施例1
と同様に測定し、その結果を表1に示す。
【0048】(実施例10)実施例4(試料として試料
Bであるヒドロキシ錫酸亜鉛使用)の湿式粉砕により得
られたスラリーをそのまま7日間放置した。7日間放置
後のスラリーには着色がかなりあった。7日間放置後の
スラリーに過酸化水素20.5g(試料当り3重量%)
を加え室温で1時間湿式粉砕を行ったところ、着色が改
善された。結果を表1に示す。
【0049】(実施例11)実施例5(試料として試料
Cであるホウ酸亜鉛使用)の湿式粉砕により得られたス
ラリーを7日間放置した。7日間放置後のスラリーには
着色がかなりあった。7日間放置後のスラリーに、過酸
化水素26.3g(試料当り5重量%)を加え室温で1
時間湿式粉砕を行ったところ、着色が改善された。結果
を表1に示す。
【0050】(実施例12)実施例11において過酸化
水素の代わりにサラシ粉を用いた以外は、実施例11と
同様に実験を行った。結果を表1に示す。
【0051】(比較例1)試料A(含アルミニウムフィ
ロケイ酸亜鉛)500gと、水1160gとを5Lのポ
ットミルに入れ(試料濃度:30重量%)、室温で12
時間湿式粉砕を行った。得られたスラリー中の試料Aの
粒度分布を実施例1と同様に測定し、その結果を表2に
示す。
【0052】(比較例2)試料A(含アルミニウムフィ
ロケイ酸亜鉛)1411gと、DMF249gとを5L
のポットミルに入れ(試料濃度:85重量%)、室温で
湿式粉砕を行うために試料を分散させようとしたが、粘
度が高く分散できなかった。
【0053】
【表1】
【0054】
【表2】 *溶媒量は、試料の吸油量の倍数で示した。
【0055】
【発明の効果】本発明によれば、所定量の非プロトン性
極性溶媒中で、消臭性、抗菌性、難燃性などの特性を有
する亜鉛系、マグネシウム系化合物を湿式粉砕すること
により、2μm以上の粗大な粒子をほとんど含まず、平
均粒径の著しく小さい繊維用配合剤として好適な粒状物
を得ることができた。得られた繊維用配合剤を配合して
得られた繊維は、消臭性、抗菌性、難燃性などの特性を
持続して有しているばかりか、これらの配合剤を用いた
ことによる紡糸に際しての糸切れなどの問題を有効に防
止することができた。また、過酸化水素の存在下で湿式
粉砕を行うことにより、得られた繊維用配合剤を長期間
保存しておいた場合にも、その着色を有効に防止するこ
とができる。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 抗菌性、消臭性または難燃性を有する亜
    鉛系及び/またはマグネシウム系の無機化合物を、非プ
    ロトン性極性溶媒中1乃至80重量%の濃度で、体積基
    準平均粒径(D50)が0.1乃至1.0μmで且つ2
    μm以上の粒度のものが10体積%以下となるように湿
    式粉砕することを特徴とする繊維用無機配合剤の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 前記無機化合物が含アルミニウムフィロ
    ケイ酸亜鉛である請求項1に記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記無機化合物がヒドロキシスズ酸亜鉛
    である請求項1に記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記無機化合物がホウ酸亜鉛である請求
    項1に記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記無機化合物がホウ酸マグネシウムで
    ある請求項1に記載の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記無機化合物の湿式粉砕を該無機化合
    物の吸油量の2.0倍量以上の非プロトン性極性溶媒の
    存在下に行う請求項1乃至5の何れかに記載の製造方
    法。
  7. 【請求項7】 非プロトン性極性溶媒がジメチルホルム
    アミドである請求項1乃至6の何れかに記載の製造方
    法。
  8. 【請求項8】 湿式粉砕を酸化剤の存在下に行う請求項
    1乃至7の何れかに記載の製造方法。
  9. 【請求項9】 酸化剤が過酸化水素である請求項8に記
    載の製造方法。
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