JP2000302434A - フッ化金属類を使用した四フッ化ケイ素の除去方法および回収方法 - Google Patents

フッ化金属類を使用した四フッ化ケイ素の除去方法および回収方法

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JP2000302434A
JP2000302434A JP11107373A JP10737399A JP2000302434A JP 2000302434 A JP2000302434 A JP 2000302434A JP 11107373 A JP11107373 A JP 11107373A JP 10737399 A JP10737399 A JP 10737399A JP 2000302434 A JP2000302434 A JP 2000302434A
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tetrafluoride
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JP11107373A
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Tsutomu Takashima
務 高嶋
Koji Fujimura
耕治 藤村
Yuichi Tokumoto
祐一 徳本
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Nippon Petrochemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 四フッ化ケイ素を含有する流体から四フッ化
ケイ素を、経済的にかつ環境汚染を生じない方法により
高い効率で除去し、さらに再利用可能な状態で四フッ化
ケイ素を回収する方法を提供する。 【解決手段】 四フッ化ケイ素を含有する流体を、15
0℃以下の温度で特定のフッ化金属類に接触させること
を特徴とする四フッ化ケイ素の除去方法、および上記接
触により形成したヘキサフルオロケイ酸金属塩を、10
0〜600℃の温度範囲で加熱することにより四フッ化
ケイ素とフッ化金属類とを得ることからなる四フッ化ケ
イ素の回収方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、四フッ化ケイ素を
含有する流体中から四フッ化ケイ素を選択的に分離除去
し、更に回収する方法に関するものである。回収した四
フッ化ケイ素は再利用が可能である。
【0002】
【従来の技術】四フッ化ケイ素は、リン酸肥料工業にお
いてフッ素リン灰石を硫酸で処理する際に大量に得られ
る化学物質である。また、四フッ化ケイ素は各種用途に
使用されており、シリコンのエピタキシャル成長、不揮
発メモリーのプラズマエッチング、太陽電池、複写機の
感光ドラム、アモルファスシリコン膜生成等、産業上重
要な用途に使用されている。このように四フッ化ケイ素
は産業上有用な化学物質であるが、下記の理由により、
入手や取り扱いが困難であるために高い市場価格を維持
している。
【0003】すなわち、四フッ化ケイ素は、無色で刺激
臭の強い気体であり、しかも吸湿性が極めて高く、空気
中で容易に水分と加水分解反応を起こしてフッ化水素を
発生するため、取り扱いが困難な物質である。フッ化水
素の空気中の許容濃度は3ppmとされている。このよ
うな性質を有するため、四フッ化ケイ素は様々な法規制
を受ける。例えば、日本国内では高圧ガス保安法第2条
(液化ガス)、一般高圧ガス保安規則第2条(毒性ガ
ス)、大気汚染防止法施行令第1条(有害物質)、更に
同法施行令第10条(特定物質)などにより規制されて
おり、その廃棄に際しては許容濃度(フッ化水素換算で
3ppm)以下に低減するための除害処理が義務づけら
れている。このため、四フッ化ケイ素を取り扱う製造過
程において、四フッ化ケイ素が流出する場合には、失活
して無害化する必要がある。
【0004】ここで、四フッ化ケイ素の無害化方法とし
ては、菱池らの技術文献(分離技術、27〔5〕(1997) p.
111〜)に記載されているように、通常、苛性ソーダ等
の水溶液で中和した後、水洗する方法が採用されてい
る。しかし、この中和−水洗工程からは使用したアルカ
リや四フッ化ケイ素の反応生成物であるヘキサフルオロ
ケイ酸ナトリウム(Na2SiF)を含む廃水が排出さ
れるため、近年重視されている環境汚染の問題を考慮す
るとその除去対策が望まれる。さらに、中和生成物であ
るヘキサフルオロケイ酸ナトリウムが処理配管中におい
て閉塞等の問題を起こすことが指摘されている。別の除
去処理法としては、活性炭、シリカゲル、アルミナ等に
中和剤を添着し、それに四フッ化ケイ素を吸着させ中和
する方法も提案されている。しかし、この方法によると
吸着除去された物質を廃棄する際に、環境汚染の問題を
引き起こす。
【0005】また、四フッ化ケイ素自体は高価であるた
め、除去した四フッ化ケイ素を回収して再使用すること
が経済的、環境的にも有利であるが、回収−再使用の観
点からの提案は従来ほとんど見られない。
【0006】わずかに、A. Sanjurjoらによる J. Elect
rochem. Soc., 128〔1〕(1981) p.179-184 の論文に
は、NaとSiFとの反応によりSiとNaFを生成さ
せ、高純度のSi粉末を得る方法が提案されている。こ
こでは四フッ化ケイ素の入手方法として、ヘキサフルオ
ロケイ酸(HSiF)からヘキサフルオロケイ酸ナト
リウム(NaSiF)を生成させ、その沈降分離物を
650℃以上の高温で分解させる方法が示されている。
従って、この方法は四フッ化ケイ素の入手原料としてヘ
キサフルオロケイ酸(HSiF)を使用しているとこ
ろから、再使用可能な四フッ化ケイ素を回収しようとす
るものではない。
【0007】以上の先行技術のように、四フッ化ケイ素
を除去あるいは入手する方法はいくつか提案され、その
開発に多大な努力が払われているが、現状では、経済的
でかつ環境汚染を生じない方法により再利用可能な四フ
ッ化ケイ素を回収する方法は提案されていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、四フ
ッ化ケイ素を含有する流体から、高価かつ有毒な四フッ
化ケイ素を、経済的にかつ環境汚染を生じない方法によ
り、しかも高い効率で除去し、さらに再利用可能な四フ
ッ化ケイ素を回収する方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、以下に記
載するように、四フッ化ケイ素を含有する流体から四フ
ッ化ケイ素を除去し、さらに再利用可能な状態で四フッ
化ケイ素を回収する方法を見出して、本発明を完成し
た。すなわち、本発明の第1は、四フッ化ケイ素(Si
)を含有する流体を、150℃以下の温度で、下記
一般式[I]で示されるフッ化金属類に接触させること
を特徴とする四フッ化ケイ素の除去方法に関するもので
ある。 MF ・・・・・・・・・・・・ 式[I] (但し、式中のnは1または2の整数であり、Mはリチ
ウムまたは周期律表II属の金属を表わす。) 本発明の第2は、本発明の第1において、フッ化金属類
との接触温度を 100℃以下とすることを特徴とす
る四フッ化ケイ素の除去方法に関する。本発明の第3
は、次の工程からなることを特徴とする四フッ化ケイ素
の回収方法に関するものである。 (工程1)四フッ化ケイ素を含有する流体を、150℃
以下の温度で、下記一般式[I]で示されるフッ化金属
類に接触させる工程、 MF ・・・・・・・・・・・・ 式[I] (但し、式中のnは1または2の整数であり、Mはリチ
ウムまたは周期律表II属の金属を表わす。) (工程2)形成した下記一般式[II]で示されるヘキサ
フルオロケイ酸金属塩を100〜600℃の温度範囲で
加熱することによって、四フッ化ケイ素と前記一般式
[I]に示すフッ化金属類とを得る工程。 MSiF・・・・・・・ 式[II] (但し、式中のmは1または2の整数であり、Mはリチ
ウムまたは周期律表II属の金属を表わす。) 本発明の第4は、本発明の第3において、工程1のフッ
化金属類との接触温度を100℃以下とすることを特徴
とする四フッ化ケイ素の回収方法に関する。本発明の第
5は、本発明の第3において、工程2のヘキサフルオロ
ケイ酸金属塩の加熱温度を150〜450℃の温度範囲
とすることを特徴とする四フッ化ケイ素の回収方法に関
する。本発明の第6は、本発明の第3の工程2におい
て、ヘキサフルオロケイ酸金属塩を150℃未満、好ま
しくは100℃未満の温度で処理することにより実質的
に全ての水和物を分解除去した後に、150〜450℃
の温度範囲で加熱することを特徴とする四フッ化ケイ素
の回収方法に関する。本発明の方法によれば、フッ化金
属類を吸着剤として使用することにより、四フッ化ケイ
素を選択的に高い効率で吸着分離することができると共
に、四フッ化ケイ素の分解等の問題を生じることなく高
率かつ高純度で脱着回収することができるので、高価な
四フッ化ケイ素の再使用が可能となる。
【0010】 以下、本発明をさらに説明する。四フッ
化ケイ素は、前記のように各種産業において使用されて
おり、具体的にはシリコンのエピタキシャル成長、不揮
発メモリーのプラズマエッチング、太陽電池、複写機の
感光ドラム、アモルファスシリコン膜生成等、産業上重
要な用途に使用されている。
【0011】本発明は、四フッ化ケイ素自体の製造過程
あるいは別の化合物の製造時に副生する四フッ化ケイ素
を処理する場合に適用することができる。四フッ化ケイ
素自体を製造する場合として、例えば、リン酸肥料工業
においてフッ素リン灰石を硫酸で処理する際には四フッ
化ケイ素が大量に生成する。その四フッ化ケイ素を移送
する際などに大気中へ流出することが考えられる。
【0012】また、他の産業のプロセスにおいても四フ
ッ化ケイ素が副生する場合がある。例えば、半導体ウエ
ハの製造に適用される加工技術としては、従来、砥石や
砥粒を用いる機械的方法が採用されていたが、この方法
ではウエハの表面における加工変質層の発生が避けられ
ず、加工変質層を除去するために、薬品による湿式化学
研磨が不可避であった。湿式化学研磨は化学薬品を用い
るために簡便とはいい難い方法である。最近、新技術事
業団等によって、反応ガスにSFを使用し、これをプ
ラズマ分解することによって発生するF(フッ素)によ
り上記加工変質層を除去する、いわば乾式の化学研磨方
法が有利であると報告されている(新技術事業団報、N
o.700 (1996))。この方法を用いる場合、半導体ウエハ
を除去する際にフッ素がケイ素原子と反応する結果、四
フッ化ケイ素が副生する。従って、有毒な四フッ化ケイ
素ガスの処理方法が確立されていなければ、この方法を
簡便に使用することはできない。
【0013】さらには、アルミニウム工業において、ア
ルミニウムの電気精錬時に、副生成物として四フッ化ケ
イ素が遊離副生することは広く知られている。
【0014】四フッ化ケイ素自体は、無色の刺激臭の強
い気体であり、しかも吸湿性が極めて強い性質を有して
いる。すなわち、四フッ化ケイ素は、空気中で容易に水
分と加水分解反応を起こして、二酸化ケイ素(Si
)とフッ化水素(空気中の許容濃度は最大で3pp
mとされている)に分解するために、その除害操作が困
難な物質である。
【0015】本発明における四フッ化ケイ素を含有する
流体としては、上記の製造プロセスから流出する流体が
その一つの代表例である。すなわち、半導体ウエハある
いはアルミニウムの製造において、四フッ化ケイ素を含
む流体が製造工程から流出するが、これらの流体が本発
明における四フッ化ケイ素を含有する流体に相当する。
【0016】四フッ化ケイ素を含有する流体とは、四フ
ッ化ケイ素ガスを主とするガスまたは四フッ化ケイ素
と、それらに対して不活性な液体または気体とからなる
流体である。ここで用いる液体または気体としては、不
活性である限り、空気、窒素等の気体、有機化合物、無
機化合物等の液体、それらの液体の蒸気、またはこれら
の混合物などのいずれも用いることができる。これらの
流体中に四フッ化ケイ素が溶解あるいは分散して存在し
ていればよい。また本発明の方法においては、四フッ化
ケイ素は、フッ化金属類に吸収されて、ヘキサフルオロ
ケイ酸金属塩に変換される。従って、上記不活性な流体
は、フッ化金属類やヘキサフルオロケイ酸金属塩等に対
しても不活性であることが好ましい。特に後に述べるよ
うに、四フッ化ケイ素を回収して再生する場合には、生
成したヘキサフルオロケイ酸金属塩が容易に流体から分
離されるように、生成するヘキサフルオロケイ酸金属塩
が溶解し難い流体が好ましい。ここで、水分が存在する
と、四フッ化ケイ素を分解してフッ化水素を発生させる
ので好ましくない。従って、本発明で用いる四フッ化ケ
イ素を含有する流体は、少なくとも水分を実質的に含ま
ないものとする。
【0017】本発明においては、四フッ化ケイ素自体か
らなる流体の他、四フッ化ケイ素と他の流体との混合流
体を対象とすることもできる。そして、混合流体の場合
においても、本発明の方法を用いて処理することによ
り、上記流体中から選択的に四フッ化ケイ素のみを吸着
することが可能である。
【0018】場合により、流体中に含有される四フッ化
ケイ素の濃度がかなり高いことがある。しかしながら、
除去効率を高くするためには、通常、四フッ化ケイ素の
濃度が低い流体を用いることが好ましい。具体的には、
四フッ化ケイ素として流体全体に対し10重量%以下、
さらに好ましくは5重量%以下である。濃度を低下させ
るため、適宜の希釈用流体により希釈することができ
る。希釈用流体は、四フッ化ケイ素、フッ化金属類、ヘ
キサフルオロケイ酸金属塩等に対して不活性である限
り、任意のものを用いることができ、例えば前記例示の
流体から選択することができる。四フッ化ケイ素の濃度
が低いほど除去効率が高いので、濃度の下限は特に制限
されない。例えば四フッ化ケイ素の含有量がppmのオ
ーダーであっても、これを含む流体から四フッ化ケイ素
を除去することが可能である。
【0019】本発明においては、四フッ化ケイ素を含有
する流体をフッ化金属類に接触させて、これに吸着させ
る。吸着に用いるフッ化金属類は、一般式MF(但
し、式中のnは整数1または2であり、Mはリチウムま
たは周期律表II属の金属を表わす)で示される。具体的
には、フッ化リチウム(LiF)、フッ化マグネシウム
(MgF)、フッ化カルシウム(CaF)、フッ化ス
トロンチウム(SrF)、フッ化バリウム (BaF
)などが挙げられる。これらのフッ化金属類は、鉄
鋼、ニッケル精錬、高純度アルミニウム製錬、ガラス、
ほうろう、セメント、光学用材料、セラミックスフィル
ター、溶接用融剤、うわ薬、つや消し剤、モーターのカ
ーボンブラシ、防腐処理剤、映写用炭素発光剤等の原
料、その他の多岐にわたる産業ににおいて大量に使用さ
れる物質である。本発明においては、これらの産業にお
いて用いられる天然品、合成品あるいは産業廃棄物等か
ら得られるものなど、いずれも使用することができる。
【0020】天然品としては、例えばフッ化カルシウム
(CaF)の場合には、別名蛍石として広く知られてい
るものを使用することができる。これはメキシコ、ロシ
ア、フランス、スペイン、中国、タイ、アメリカ、イタ
リア、南アフリカ等の世界各国から大量に産出される一
般的な天然鉱石である。好ましくは、フッ化金属類を9
8%以上含む無色で高純度の鉱石を選ぶことが望まし
い。さらに、本発明に挙げられる他のフッ化金属類との
混合物であっても差し支えない。
【0021】なお、フッ化水素(HF)と、水酸化金属
類(M(OH))あるいは塩化金属類(MCl)等と
から、下記反応式(1)または(2)に従って、前記フ
ッ化金属類(MF)を合成し得ることが知られてい
る。このような方法により合成されたフッ化金属類も使
用することができる。合成したフッ化金属類は、自然沈
降あるいはろ過等の操作によって分別したものをそのま
ま用いてもよいが、フッ化金属類が水にほとんど溶解し
ない点を利用して、水あるいはアルカリにより洗浄した
後、加熱乾燥したものを使用することがさらに好まし
い。 nHF + M(OH) → MF + nHO ・・・・・・ 式(1) nHF + MCl → MF + nHCl ・・・・・・ 式(2) (ここで、式中のnは整数1または2であり、Mはリチ
ウムまたは周期律表II属の金属を表わす。)
【0022】さらに、石油化学工業におけるアルキルベ
ンゼン等の製造に当たり、触媒としてフッ化水素(H
F)等を使用する場合があるが、反応終了後には、触媒
を失活させるために、通常上記反応式(1)または
(2)のようにフッ化水素の中和処理を行っており、そ
の処理の際にフッ化金属類が産業廃棄物として副生す
る。本発明においては、このような副生フッ化金属類を
使用することもできる。
【0023】次に、フッ化金属類を用いて四フッ化ケイ
素を吸着させる工程について説明する。 まず、本発明においては、四フッ化ケイ素を含有する流
体がフッ化金属類と接触すると、下記反応式(3)が容
易に進行して、四フッ化ケイ素は一般式 M SiF
(但し、式中のmは整数1または2であり、Mはリチ
ウムまたは周期律表II属の金属を表わす)で示されるヘ
キサフルオロケイ酸金属塩の形態となる。 SiF + mMF → MSiF ・・・・・・・・・・・・ 式(3) (MがLiの場合はmが2、Mが周期律表II属の金属の
場合はmが1となる。) ヘキサフルオロケイ酸金属塩としては、具体的に、ケイ
フッ化リチウム(LiSiF)、ケイフッ化マグネシ
ウム(MgSiF)、ケイフッ化カルシウム(CaSiF
)、ケイフッ化ストロンチウム(SrSiF)および
ケイフッ化バリウム(BaSiF)が挙げられる。ここ
で生成するヘキサフルオロケイ酸金属塩自体も産業上有
用であり、例えば防じん増強剤、コンクリート増強剤、
ゴム乳の凝固剤、防腐剤、農薬、光学用レンズ等の原
料、その他の材料として広く使用することができる。
【0024】四フッ化ケイ素の化学吸着により生成した
ヘキサフルオロケイ酸金属塩が、処理の対象である流体
に対して難溶性である場合には、四フッ化ケイ素のみが
選択的に流体中から分離捕捉され、しかも四フッ化ケイ
素の化学吸着により生成したヘキサフルオロケイ酸金属
塩が容易に除去できるので好ましい。
【0025】さらに、前述のように四フッ化ケイ素自体
は水分との反応性が非常に高く、水により分解を受け易
いため、四フッ化ケイ素が化学吸着される前の対象流体
中に水分が混入することは好ましくない。しかし、四フ
ッ化ケイ素が化学吸着された後に水分が混入した場合
は、下記の理由から四フッ化ケイ素の分解が抑制され
る。すなわち、本発明で用いるフッ化金属類に四フッ化
ケイ素が化学吸着されて形成するヘキサフルオロケイ酸
金属塩に対して水分が作用すると、下記反応式(4)が
容易に進行して、結果的に対応するヘキサフルオロケイ
酸金属塩の水和物が生じる。これらの水和物は化学的に
非常に安定であるため、四フッ化ケイ素の分解が抑制さ
れる。 SiF+ mMF+ xHO → MSiF・xHO ・・・ 式(4) (MがLiの場合はmが2、Mが周期律表II属の金属の
場合はmが1となる。)
【0026】四フッ化ケイ素を含有する流体から四フッ
化ケイ素を吸着除去するには、流体とフッ化金属類とを
温度150℃以下で接触させる。この温度範囲であれば
四フッ化ケイ素の化学吸着効率が高く維持されるので好
ましい。生成物の組成および化学構造等の変化を考慮す
ると、より好ましい吸着温度は100℃以下である。吸
着温度は低い方が好ましく、その下限は特に限定されな
い。接触時に四フッ化ケイ素を含有する流体は、気相で
も液相でもよく、また両方を含む混相であってもよい。
【0027】四フッ化ケイ素がフッ化金属類に吸着され
る際の結晶構造に関しては、フッ化金属類が無色の立方
晶系であり、ヘキサフルオロケイ酸金属塩も無色の結晶
であることが知られている。双方共に非常に安定な無機
結晶物質であるため、吸着前後の結晶形態の変化はX線
回折分析により容易に観察することができる。
【0028】四フッ化ケイ素を含有する流体とフッ化金
属類との接触方法は特に限定されない。例えば、フッ化
金属類を単独で、あるいは不活性な無機担体等と共に充
填した固定床に、四フッ化ケイ素を含有する流体を通過
接触させることができる。無機担体としては、不活性で
ある限り材質あるいは形状を問わず使用することができ
る。具体的には活性炭またはステンレス鋼製パッキング
等が挙げられる。また、フッ化金属類は水分を含まない
ものが好ましく、このためには例えば焼成することによ
り水分を除去したフッ化金属類を用いることができる。
【0029】用いるフッ化金属類の粒径は特に限定され
ない。例えば、市販試薬のフッ化金属類の粒径は1〜1
0μmの範囲の微細粒状であるが、このような粉末を成
型して適宜の粒径分布に揃えたものでもよい。四フッ化
ケイ素の吸着効率をより高くするためには、吸着剤であ
るフッ化金属類の表面積を大きくすることが好ましい。
この観点からは微細な粒径であるほど好ましいが、吸着
操作の容易さなどの点から粒径は適宜に選択する。
【0030】また、フッ化金属類の形状も特に限定され
ず、例えば、フッ化金属類の断面形状は、通常の円形の
ほか、中空に成形されたものでもよく、または多孔体な
どの特殊形状であっても好ましく使用することができ
る。目的に応じて適宜、選択することが好ましい。
【0031】吸着のための接触操作は、フッ化金属類の
粒子等を充填した吸着管または吸着塔などを用いて流通
式およびバッチ式のいずれの形式でも行うことができ
る。接触時間は特に限定されず、適宜に決定する。通
常、流通式では、空間速度として0.01〜10hr−1
の範囲から選択することができる。バッチ式において、
四フッ化ケイ素を完全に除去するために必要なフッ化金
属類(MF)の量は、対象とする流体中の四フッ化ケ
イ素に対し、Mがリチウムの場合は2倍モル以上であ
り、Mが周期律表II属の金属の場合は等モル以上であ
る。除去効率を高めるためには、フッ化金属類の量を更
に多く用いることが好ましいが、使用量は適宜に選択す
ることができる。
【0032】なお、四フッ化ケイ素を吸着したフッ化金
属類、すなわちヘキサフルオロケイ酸金属塩は、吸湿性
であるかまたは水に可溶性であることが多い。従って、
生成したヘキサフルオロケイ酸金属塩をそのまま外部に
廃棄することは、フッ素等の拡散を招くため好ましくな
い。次に述べる脱着工程においては、四フッ化ケイ素と
してフッ素を回収することが可能である。なお、生成し
たヘキサフルオロケイ酸金属塩自体は、固体あるいは水
溶液のアルカリ等に吸着あるいは吸収させることによ
り、水に不溶または難溶性の無機物質に変換させること
ができる。このアルカリとしては、酸化カルシウム、水
酸化カルシウム等のアルカリ土類金属の酸化物または水
酸化物が例示される。このように、アルカリと反応させ
て、水に不溶性で環境汚染を生じない無機物質に変換し
た後には、外部へ廃棄することも可能である。以上に述
べたように、四フッ化ケイ素を含有する流体をフッ化金
属類と接触させることにより、流体中の四フッ化ケイ素
はフッ化金属類に化学吸着されて流体から分離除去され
る。吸着後は、四フッ化ケイ素を吸着したフッ化金属類
を系から適宜の方法で分離することができる。また四フ
ッ化ケイ素が除去された残余の流体は、適宜に系外へ排
出することができる。
【0033】次に、吸着された四フッ化ケイ素をフッ化
金属類から脱着する工程について説明する。なお、この
脱着のためには、吸着管または吸着塔内において、条件
を適宜に変更して脱着操作を行うこともできるし、別個
の装置に適宜に移送し脱着操作を行うこともできる。吸
着された四フッ化ケイ素をフッ化金属類から脱着して再
利用可能な状態で回収するには、吸着により生成したヘ
キサフルオロケイ酸金属塩(MSiF)を加熱する
ことによって四フッ化ケイ素を遊離させる。すなわち、
脱着においては下記反応式(5)を進行させることによ
り、純粋な四フッ化ケイ素ガスと、元の吸着物質である
フッ化金属類の形態に戻すことができる。 MSiF → SiF + mMF ・・・・・・ 式(5)
【0034】上記脱着のための加熱は、直接または間接
に加熱を行う他、適宜の不活性ガス、例えば窒素などの
存在下で行うこともできる。不活性であれば、適宜の有
機溶媒中で加熱することも可能である。要件は、脱着を
100℃以上の温度で行うことであり、好ましくは、脱
着速度を十分大きくするために150℃以上の温度範囲
とする。脱着温度の上限は、フッ化金属類自体が約1,
000℃まで融解が起こらない安定な結晶であることか
ら特に限定されず、高温であるほど脱着が速やかに進行
する。しかしながら、600℃を越える高温では、エネ
ルギーコストの増大、有機溶媒の分解、あるいは高温で
の四フッ化ケイ素ガスによる装置の腐食などが問題とな
るので好ましくない。従って、好ましくは600℃以下
の温度で脱着を行う。
【0035】四フッ化ケイ素を脱着するための時間は、
上記温度範囲で行う限り特に限定されない。長時間加熱
するほど、四フッ化ケイ素の脱着率は向上する。しかし
ながら、過度に長い時間を費やすことは不経済であり、
通常は100時間以内とする。吸着剤であるフッ化金属
類を繰り返して使用する場合には、四フッ化ケイ素の脱
着率を適当な段階に留める方が経済的な面から好まし
い。上記の加熱操作により、四フッ化ケイ素自体は分解
等の変化を生ずることなく、高純度の形態で回収され
る。また、吸着剤であるフッ化金属類も元の高純度のフ
ッ化金属類に回復する。従って、本発明の方法により四
フッ化ケイ素の吸着および脱着を経たフッ化金属類は、
必要に応じて繰り返し使用することができる。
【0036】また、吸着により生成したヘキサフルオロ
ケイ酸金属塩は、前述のように、その保存過程等におい
て雰囲気中の水を吸着することがある。すなわち、吸着
により生成したヘキサフルオロケイ酸金属塩は吸湿性で
あり、移送や保存過程で水分を含む雰囲気と接触する可
能性がある。このとき、水によって前述の反応式(4)
が進行し、ヘキサフルオロケイ酸金属塩の水和物とな
り、吸着により生成したヘキサフルオロケイ酸金属塩の
中に混入する。たとえ雰囲気中の水分の絶対量が低い場
合であっても、移送や保存過程における経時変化により
水分が蓄積し、その量は無視し得ない値になる懸念があ
る。ここで、脱着の際に水和物も併せて加熱すると、過
度に高い温度では水も四フッ化ケイ素と共に脱離する。
しかし同時に水と四フッ化ケイ素は反応し、前述のよう
に加水分解反応を起こして、二酸化ケイ素(SiO
とフッ化水素とに分解する。生成する二酸化ケイ素は固
体であるため、装置の閉塞等を引き起こす懸念があり、
しかもフッ化水素は極めて有害な気体である。そこで、
水と四フッ化ケイ素の脱着温度が相違することを利用し
て、2段階の加熱温度を設定することが好ましい。すな
わち、第1段の反応においては、下記反応式(6)に従
って、100℃に達するまでに水和物からの水の脱離の
みを行う。実質的に水和物が存在しなくなった段階で、
脱着温度を上昇させて、ヘキサフルオロケイ酸金属塩か
ら前述の反応式(5)に従って、純粋な四フッ化ケイ素
ガスを生成させる。両段階を併せて元の吸着剤であるフ
ッ化金属類が回収される。 MSiF・xHO → MSiF + xHO ・・・・・・ 式(6) (MがLiの場合はmが2、Mが周期律表II属の金属の
場合はmが1となる。) このような二段反応は、バッチ式または固定床流通式の
いずれの方法でも行うことができる。バッチ式の場合
は、脱着温度を段階的に上昇させることにより行うこと
ができる。固定床流通式では、異なる温度の複数の脱着
域を設け、順次高温となるように流体が各脱着域を通過
する方式とすることができる。
【0037】上記脱着操作により得られる四フッ化ケイ
素は高純度であるため、脱着域から流出する四フッ化ケ
イ素を適宜の手段で回収し、これを適宜のプロセスに再
使用することができる。例えば、四フッ化ケイ素を原料
として用いるプロセスにおいて、未反応の残存四フッ化
ケイ素の回収に本発明の方法を採用する場合には、脱着
により回収した四フッ化ケイ素を元のプロセスにおいて
再使用することが可能である。もちろん脱着された四フ
ッ化ケイ素は、適宜に固体あるいは水溶液のアルカリ等
に吸着あるいは吸収させて廃棄することもできる。
【0038】
【発明の実施の形態】以下、実施例により本発明を詳述
する。実施例において、脱着された四フッ化ケイ素ガス
の測定は、以下の分析手法に準拠して行った。四フッ化
ケイ素または四フッ化ケイ素を含む混合流体を塩化カル
シウム水溶液と反応させると、下記反応式(7)に従っ
て1モルの四フッ化ケイ素から4モルの塩酸と1モルの
ケイ酸が生成し、その生成する塩酸を水酸化ナトリウム
あるいは水酸化カリウム等の規定度既知のアルカリ水溶
液で中和滴定することにより、存在する四フッ化ケイ素
の量を知ることができる。 SiF+ 2CaCl+ 2HO → 2CaF+ 4HCl + SiO ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・式(7)
【0039】さらに、脱着によって回収される四フッ化
ケイ素の量および分子構造の特定は、以下のようにして
行った。まず、四フッ化ケイ素を含有する流体中から四
フッ化ケイ素をフッ化金属類に吸着させてヘキサフルオ
ロケイ酸金属塩の形態にした後に、その吸着塩を加熱し
て、遊離する四フッ化ケイ素を塩化カルシウム水溶液中
に吸収させる。次いで、その吸収液について、上述の中
和滴定を行い、脱着される四フッ化ケイ素量を求める。
さらに、脱着により得られる遊離ガスの質量分析を行
い、分子量およびその質量スペクトルパターンを解析す
ることにより、吸着前の四フッ化ケイ素 (Si
)の形態が完全に保持されているか否かを確認し
た。吸着により生成するヘキサフルオロケイ酸金属塩あ
るいはその水和物の形態はX線回折分析により、さらに
100℃の加熱温度によって遊離する水の特定は前述の
質量分析によりそれぞれ確認した。
【0040】<実施例1> (四フッ化ケイ素の吸着除去)十分に乾燥した高圧耐圧
容器に、四フッ化ケイ素ガスの含有量が2重量%になる
ように窒素ガスで希釈した混合ガス100g(四フッ化
ケイ素として2.00g(19.2mmol))を仕込み、そ
の中に特級試薬のフッ化カルシウム(純度 98%以
上)の粉末20.00g(256mmol:四フッ化ケイ素の
13.3倍モル相当量)を添加して、温度25℃の恒温
槽内で30分間振とうを行った。振とうを停止して接触
流体を静置分離することにより、吸着剤と遊離ガスに分
離し、脱圧および窒素ガスによる置換を行って遊離ガス
を塩化カルシウム水溶液中に回収した。回収された遊離
ガスについて、反応式(7)により説明した分析法を用
い、残留する四フッ化ケイ素濃度を決定した。残留する
四フッ化ケイ素濃度は零であり、四フッ化ケイ素が完全
に吸着除去されていることが確認された。次に、吸着剤
をろ別し、減圧下で乾燥して重量変化を確認した。フッ
化カルシウムへの吸着前の重量との差を求めた結果、添
加したフッ化カルシウム中に吸着保持された四フッ化ケ
イ素の量は10.0g/100g-フッ化カルシウムであること
が判明した。また、四フッ化ケイ素が吸着保持されたフ
ッ化カルシウム吸着剤について、X線回折分析を行った
ところ、フッ化カルシウムおよびヘキサフルオロケイ酸
カルシウム塩の二種類の結晶構造が確認された。
【0041】(加熱脱着)四フッ化ケイ素が吸着保持さ
れたフッ化カルシウム吸着剤をステンレス製管型容器に
充填し、1ml/分(標準状態)の流量で窒素を供給し、
供給窒素の加熱を開始して温度を270℃に維持した。
出口から流出するガスは、塩化カルシウム水溶液中に吸
収させ、上述の中和滴定の結果から脱着された四フッ化
ケイ素量を求めた。その後、冷却して残存粉体の重量を
秤量したところ、四フッ化ケイ素の残存量は零であり、
吸着された四フッ化ケイ素の100%を脱着したことが
確認された。さらに、残存粉体を吸着時と同様にX線回
折分析を行ったところ、フッ化カルシウムの結晶構造の
みが観察され、元の形態に回復していることが確認され
た。また、加熱によって脱着ガスが吸収された塩化カル
シウム水溶液について、上述の中和滴定を行うことによ
り、存在する四フッ化ケイ素量は1.90gであること
が判明した。結局、吸着時に仕込んだ四フッ化ケイ素の
95%相当量が再利用可能な四フッ化ケイ素の形態で回
収できることが確認された。これらの結果を表1に示
す。
【0042】さらに、同様の加熱実験において、加熱温
度を100℃に維持した場合および270℃に維持した
場合について遊離ガスを回収した。それぞれ回収したガ
スについて質量分析を行ったところ、図1(a)に示す
ように、100℃に維持した場合には純水と一致する質
量スペクトルが、また図1(b)に示すように、 27
0℃に維持した場合には原料四フッ化ケイ素と一致する
質量スペクトルが得られた。両スペクトルとも純粋な化
合物による質量スペクトルと同一であることから、これ
らの遊離ガスは高純度であることが判明した。
【0043】<実施例2> (四フッ化ケイ素の吸着除去)実施例1で使用したフッ
化カルシウム20.00g(256mmol)を、直径 20
mm、長さ200mmのステンレス製管型容器内に充填
した。上記の管を、十分窒素ガスによって置換した後に
温度25℃の恒温に維持し、実施例1と同様に、四フッ
化ケイ素ガスの含有量が2重量%になるように窒素ガス
で希釈した混合ガス100g(四フッ化ケイ素として2.
00g(19.2mmol))を10g/hr(四フッ化ケイ素
として200mg/hr)の一定速度で供給した。出口流体
中の四フッ化ケイ素の濃度は零であり、四フッ化ケイ素
が完全に吸着除去されていることが確認された。さらに
吸着操作を継続し、上記混合ガスの供給を開始してから
10時間後に、供給する混合ガスの圧力指示が完全に零
になった時点で混合ガスの供給を停止した。混合ガスの
供給を停止した後、充填管内に窒素を供給して吸着剤に
付着した遊離ガスを除去した後、充填管の重量を測定し
た。あらかじめ測定してある、四フッ化ケイ素の混合ガ
ス供給前のフッ化カルシウム重量との差を求めた結果、
充填したフッ化カルシウム中に吸着保持された四フッ化
ケイ素の量は9.8g/100g-フッ化カルシウムであった。
また、四フッ化ケイ素が吸着保持された吸着剤を風乾し
た後、X線回折分析を行ったところ、実施例1と同様に
フッ化カルシウムおよびヘキサフルオロケイ酸カルシウ
ム塩の二種の結晶構造が確認された。
【0044】(加熱脱着)上記のようにして四フッ化ケ
イ素が吸着されたフッ化カルシウムの充填管に、1ml/
分(標準状態)の流量で窒素を供給し、充填管の加熱を
開始して温度を 270℃に維持した。出口から流出す
る窒素は、塩化カルシウム水溶液中に吸収させ、上述の
中和滴定の結果から脱着された四フッ化ケイ素の量を求
めた。その後、冷却して残存粉体の重量を秤量したとこ
ろ、四フッ化ケイ素の残存量は0.1g/100g-フッ化カル
シウムであり、吸着された四フッ化ケイ素の99%を脱
着したことが確認された。さらに、残存粉体を吸着時と
同様にX線回折分析を行ったところ、フッ化カルシウム
の結晶構造のみが観察され、元の形態に回復しているこ
とが確認された。また、加熱によって脱着ガスが吸収さ
れた塩化カルシウム水溶液について、上述の中和滴定の
結果から、存在する四フッ化ケイ素量は1.88gであ
ることが判明した。結局、吸着時に仕込んだ四フッ化ケ
イ素の94%相当量が再利用可能な四フッ化ケイ素の形
態で回収できることが確認された。
【0045】<実施例3>実施例1において使用したフ
ッ化金属類を、フッ化カルシウムからフッ化リチウムに
変更し、他は実施例1と同様にして四フッ化ケイ素の吸
着および脱着の実験を行った。結果を表1に示す。
【0046】<実施例4>実施例1で使用したフッ化金
属類を、フッ化カルシウムからフッ化ストロンチウムに
変更し、他は実施例1と同様にして四フッ化ケイ素の吸
着および脱着の実験を行った。結果を表1に示す。
【0047】<実施例5>実施例1において加熱脱着の
温度条件のみを270℃から400℃に変更して、フッ
化ホウ素の吸着および脱着を行った。結果を表1に示
す。
【0048】
【表1】
【0049】上記の実施例3〜5において、四フッ化ケ
イ素が吸着保持された吸着剤のX線回折分析を行ったと
ころ、実施例1と同様に、対応するフッ化金属類および
ヘキサフルオロケイ酸金属塩の二種の結晶構造が確認さ
れた。また、吸着塩の加熱によって脱着されるガスは、
すべて四フッ化ケイ素(SiF)の形態を保持してい
ることが確認された。
【0050】<比較例1>実施例1において、フッ化カ
ルシウムの代わりに、10倍モル量の水酸化ナトリウム
を含有する水溶液で攪拌した他は、同様にして四フッ化
ケイ素の吸着を行った。四フッ化ケイ素の除去効率を確
認したところ、投入量の98%が除去されたが、 四フ
ッ化ケイ素の形態で回収することができなかった。
【0051】<比較例2> (四フッ化ケイ素の吸着除去)実施例1において、フッ
化カルシウムの代わりに、同モル量の粉末状フッ化ナト
リウム10.75g(投入した四フッ化ケイ素の10倍
モル相当量)を添加したほかは、同様にして四フッ化ケ
イ素の吸着を行った。その結果、4.7g/100g-フッ化ナ
トリウムの効率で吸着され、吸着効率が低いことが確認
された。 (加熱脱着)実施例1と同様に、四フッ化ケイ素が一部
吸着保持されたフッ化ナトリウム吸着剤について加熱脱
着を行った。加熱温度を当初270℃に維持したが、出
口から四フッ化ケイ素の脱離がほとんど認められなかっ
た。そこで、加熱温度を徐々に上昇させたところ、約7
00℃付近の高温に達したとき、出口から四フッ化ケイ
素が検出された。
【0052】<比較例3> (四フッ化ケイ素の吸着除去)実施例1において、フッ
化カルシウムの代わりに、同重量のシリカゲル 2
0.0gを添加したほかは、実施例1と同様にして四フ
ッ化ケイ素の吸着を行った。その結果、吸着時に気相部
においてHFガスが遊離していることが確認された。こ
れは、四フッ化ケイ素が吸着時にシリカゲル中に存在す
る水分あるいはシリカゲル自体のシラノール基(-SiO
H基)と反応したためと考えられる。すなわち、シリカ
ゲル吸着剤から再利用可能な四フッ化ケイ素を回収する
ことは困難であることが確認された。
【0053】
【発明の効果】本発明によれば、一般式MF(但し、
式中のnは整数1または2であり、Mはリチウムまたは
周期律表II属の金属を表わす)で示されるフッ化金属類
を吸着剤として使用することにより、流体中に含有され
る四フッ化ケイ素を選択的に高効率で吸着分離し得ると
共に、高純度の四フッ化ケイ素を高効率で脱着および回
収し、必要に応じて再使用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1における脱着ガスの質量スペクトルを
示すグラフであり、図1(a)は,加熱温度100℃に
おける脱着ガスと純水との比較を、図1(b)は、加熱
温度270℃における脱着ガスと原料四フッ化ケイ素と
の比較をそれぞれ示す。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 四フッ化ケイ素(SiF)を含有する
    流体を、150℃以下の温度で、下記一般式[I]で示
    されるフッ化金属類に接触させることを特徴とする四フ
    ッ化ケイ素の除去方法。 MF ・・・・・・・・・・・・ 式[I] (但し、式中のnは1または2の整数であり、Mはリチ
    ウムまたは周期律表II属の金属を表わす。)
  2. 【請求項2】 前記フッ化金属類との接触温度を100
    ℃以下とすることを特徴とする請求項1に記載の四フッ
    化ケイ素の除去方法。
  3. 【請求項3】 次の工程からなることを特徴とする四フ
    ッ化ケイ素の回収方法、 (工程1)四フッ化ケイ素を含有する流体を、150℃
    以下の温度で、下記一般式[I]で示されるフッ化金属
    類に接触させる工程、 MF ・・・・・・・・・・・・ 式[I] (但し、式中のnは1または2の整数であり、Mはリチ
    ウムまたは周期律表II属の金属を表わす。) (工程2)形成した下記一般式[II]で示されるヘキサ
    フルオロケイ酸金属塩を100〜600℃の温度範囲で
    加熱することによって、四フッ化ケイ素と前記一般式
    [I]に示すフッ化金属類とを得る工程。 MSiF・・・・・・・ 式[II] (但し、式中のmは1または2の整数であり、Mはリチ
    ウムまたは周期律表II属の金属を表わす。)
  4. 【請求項4】 前記工程1におけるフッ化金属類との接
    触温度を100℃以下とすることを特徴とする請求項3
    に記載の四フッ化ケイ素の回収方法。
  5. 【請求項5】 前記工程2におけるヘキサフルオロケイ
    酸金属塩の加熱温度を150〜450℃の温度範囲とす
    ることを特徴とする請求項3に記載の四フッ化ケイ素の
    回収方法。
  6. 【請求項6】 前記工程2において、ヘキサフルオロケ
    イ酸金属塩を 150℃未満の温度で処理することに
    より実質的に全ての水和物を分解除去した後に、150
    〜450℃の温度範囲で加熱することを特徴とする請求
    項3に記載の四フッ化ケイ素の回収方法。
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