JP2000303968A - ギヤポンプ - Google Patents

ギヤポンプ

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JP2000303968A
JP2000303968A JP11112652A JP11265299A JP2000303968A JP 2000303968 A JP2000303968 A JP 2000303968A JP 11112652 A JP11112652 A JP 11112652A JP 11265299 A JP11265299 A JP 11265299A JP 2000303968 A JP2000303968 A JP 2000303968A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ブレーキフルードや潤滑特性の悪いガソリン等
の供給に用いるギヤポンプにおいて、耐久性を向上させ
ること。 【解決手段】サイドプレート12を構成するアルミニウ
ム合金材の表面の一部に、タンニン酸による化学処理を
用いた表面改質を施し、酸化物を含む潤滑性に優れた改
質層Fを得る。潤滑性の向上により、サイドプレートの
摩耗を低減し、耐久性を向上する。摩耗に起因する流体
漏れを防止する。化学処理による改質層は、メッキ被膜
よりも薄くしかも母材との間に明確な界面が存在しない
ので、剥がれることがない。母材の角部で層厚が厚くな
ることがなく、寸法精度が高い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は互いに噛み合う一対
のギヤの回転によりポンプ作用をなすギヤポンプに関す
る。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】従来よ
り、ギヤポンプは、簡単な構造でありながら容量を大き
くできることから、種々の産業分野に用いられている。
この種のギヤポンプの構造としては、ハウジング内部の
空洞に一対のサイドプレートを嵌め合わせてギヤ室を区
画し、このギヤ室の内部に互いに噛み合う一対のギヤを
収容して、各ギヤの支軸を各サイドプレートに形成した
支持孔によって嵌合支持すると共に、上記ギヤ室の内部
に両ギヤの噛み合い位置を挟んで作動流体の吸込室およ
び吐出室を形成したタイプのものが一般的である。
【0003】そして、上記のハウジングやサイドプレー
トには、加工性および軽量化のためにアルミニウム合金
が使用される一方、各歯車には耐摩耗性が要求されるの
で鋳鉄等の鉄系の材料が使用されることが一般化してい
る。しかしながら、ギヤの支軸をアルミニウム合金製の
サイドプレートの支持孔によって直接支持した場合、支
持孔の摩耗が激しく耐久性が悪くなる。また、互いに対
向するギヤの側面とサイドプレートとの側面との間の直
接摺動によって摩耗が発生する。
【0004】特に、高圧で負荷が大きい場合や低粘度の
作動油を用いて潤滑条件が厳しい場合等には不完全であ
った。例えば、自動車に用いられるギヤポンプでは、作
動油として、ガソリンやブレーキフルード等の粘度の低
い流体が用いられる場合があり、この場合、始動時の油
膜形成が殆ど期待できず、極めて過酷な潤滑条件とな
り、焼付き等を起こすおそれがある。
【0005】一方、耐摩耗性の向上のために摺動面に一
般のメッキを施す場合、形成されたメッキ被膜は、その
膜厚が数μm以上と比較的厚く、しかも母材との間の界
面も明確に現れるため、母材から剥がれ易い。また、電
気メッキの場合、メッキ被膜が母材の角部で盛り上がる
傾向にあり、このため、摺動面間に隙間ができて流体の
漏れを生ずるおそれがある。
【0006】そこで、本発明の目的は、過酷な潤滑条件
にも耐え得る耐久性に優れた長寿命のギヤポンプを提供
することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の課題解決手段として、請求項1記載の発明の態様は、
ハウジング内部の空洞に一対のサイドプレートを嵌め合
わせてギヤ室を区画し、このギヤ室の内部に互いに噛み
合う一対のギヤを収容してギヤの支軸を各サイドプレー
トにそれぞれ形成した一対の支持孔に嵌合支持すると共
に、ギヤ室の内部に両ギヤの噛み合い位置を挟んで作動
流体の吸込室および吐出室を形成したギヤポンプにおい
て、上記サイドプレート及びこれに摺動する部材の少な
くとも一方の表面の少なくとも一部が化学処理による表
面改質を施されてなることを特徴とするものである。
【0008】ここで、化学処理による表面改質とは、母
材の表面に化学処理を施すことにより、母材表面におい
て母材の持つ特性、例えば潤滑性能を改善することを意
味する。表面改質により母材の表面に形成された、例え
ば潤滑性に優れる改質層は母材自身の耐摩耗性の向上に
寄与するのみならず、相手方部材との間に改質層が介在
するので、相手方部材の表面の耐摩耗性の向上にも役立
つ。したがって、例えばアルミニウム系部材と鉄系部材
とが摺動する場合において、何れの部材の表面に改質層
を設けても、アルミニウム系部材の耐摩耗性の向上に寄
与することができる。改質層としては、母材の酸化物、
塩化物、リン化合物及び硫化物からなる群から選択され
る少なくとも1種を含む層であれば良い。また、化学処
理による改質層であれば、メッキ被膜と比較して厚みの
薄い層を実現でき、しかも改質層と母材との間にメッキ
被膜の場合のような明確な界面が存在しないので、剥が
れ等のおそれがない。
【0009】請求項2記載の発明の態様は、請求項1に
おいて、上記化学処理はタンニン酸によりなされる化学
処理を含むことを特徴とするものである。請求項3記載
の発明の態様は、請求項2において、タンニン酸により
化学処理された層に軟質金属が微細に分散されてなるこ
とを特徴とするものである。請求項4記載の発明の態様
は、請求項1において、上記化学処理は、炭素数が2〜
24カルボン酸又はその塩であって、分子中に塩素を1
〜10個含む化合物によりなされる化学処理を含むこと
を特徴とするものである。
【0010】請求項5記載の発明の態様は、請求項1に
おいて、上記化学処理はリン化合物によりなされる化学
処理を含むことを特徴とするものである。請求項6記載
の発明の態様は、請求項1において、上記化学処理は有
機硫黄化合物によりなされる化学処理を含むことを特徴
とするものである。請求項7記載の発明の態様は、請求
項6において、上記有機硫黄化合物が、メルカプタン
類、サルファイド類、硫化オレフィン類、スルホン類、
金属ジチオフォスフェート類、及び、金属ジチオカルバ
メート類からなる群から選択される少なくとも1種であ
ることを特徴とするものである。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の好ましい実施形態を添付
図面を参照しつつ説明する。図1は本発明の一実施形態
に係るギヤポンプの断面図であり、図2は図1のII−II
線に沿う断面図であってハッチングを省略してある。ま
た、図3は図1のIII −III 線に沿う断面図であり、図
4はIV−IV線に沿う断面図である。
【0012】図1を参照して、本ギヤポンプは、その中
央部を貫通する長円形断面の空洞を有する本体筒10の
両側を、これの全面を覆う態様にねじ止めされた一対の
蓋板11により塞いで構成されたハウジング1を備えて
いる。このハウジング1の内部には、前記空洞部の両側
から嵌挿されたアルミニウム合金製の一対のサイドプレ
ート12同士の間にギヤ室14が区画されており、この
ギヤ室14内には、互いに対をなす駆動ギヤ3と従動ギ
ヤ4が配置されている。19は、蓋板11の環状溝に収
容され、蓋板11とサイドプレート12との間に介在し
てギヤ室14を密封するためのOリングである。13は
サイドプレート12の収容溝に収容され、ギヤ室14内
において対向するサイドプレート12と蓋板11との間
の空間を低圧側と高圧側とに仕切るシールである。
【0013】駆動ギヤ3および従動ギヤ4の支軸30,
40は、長円形断面を有するギヤ室14の両側の半円部
の軸心上にそれぞれ位置し、互いに平行をなして架設さ
れている。すなわち、支軸30,40は各サイドプレー
ト12にそれぞれ一対形成された支持孔31,41によ
り両持ち支持されている。一対の支持孔31によって支
持された一方の支軸30は、一方の蓋板11を貫通して
外部に延長され、この延長端に伝達される図示しないモ
ータからの駆動力により回転駆動される駆動軸を構成し
ている。また、支軸30には、ギヤ室14の内部におい
て駆動ギヤ3が一体回転可能に装着されている。支軸3
0が蓋板11を貫通する部分にはオイルシール17が配
置されている。
【0014】また、一対の支持孔41によって支持され
た他方の支軸40は、各サイドプレート12の支持孔4
1内に軸端を有する従動軸を構成している。支軸40に
は、ギヤ室14の内部において従動ギヤ4が装着されて
いる。従動ギヤ4の支軸40への装着では、軸回りの回
転を拘束しても良いし軸回りの回転を許容しても良い。
従動ギヤ4は両支軸30,40の軸心を含む平面内にお
いて駆動ギヤ3と噛み合い、支軸30により駆動される
駆動ギヤ3の回転に伴って、支軸40と共に(或いは支
軸40の回転を伴わずに)従動回転するようにしてあ
る。
【0015】図2には、駆動ギヤ3およびこれに連動す
る従動ギヤ4の回転方向が矢符により示してあり、両ギ
ヤ3,4の噛み合い位置を挟んだ両側には、前記回転方
向側に吸込口室5が、反回転方向側に吐出室6が形成さ
れている。これら吸込室5および吐出室6は、本体筒1
0の対応位置に開口する吸込口15および吐出口16を
介して、ハウジング1外の図示しない吸込先および吐出
先にそれぞれ接続されるようにしてある。
【0016】図3において、サイドプレート12のギヤ
側側面12aには、両ギヤ3,4の噛み合い位置から吸
込室5側へ延びる逃げ溝63および吐出室6側へ延びる
逃げ溝64が形成されている。これらの逃げ溝63,6
4は、両ギヤ3,4の噛み合い位置で流体が各サイドプ
レート12と各噛合ギヤ歯とで形成される閉塞領域に閉
じ込められる、いわゆる閉じ込みの発生を防止するため
のものである。両逃げ溝63,64は両ギヤ3,4の噛
み合い中心位置を避けるようにして設けられ、互いの間
に所定の距離が確保されている。これは両逃げ溝63,
64を連通させてしまうと、吸込室5側と吐出室6側が
連通されて、ポンプ機能を果たせなくなるので、これを
防止するためである。また、上記ギヤ側側面12aに
は、各支持孔31,41と吸込室5側とをそれぞれ連通
する連通溝65が形成されている。
【0017】一方、図4において、サイドプレート12
の反ギヤ側側面12bには、略W字形形状のシール溝に
上記のシール13を収容しており、このシール13を境
界として、互いに対向するサイドプレート12と蓋板1
1との間の空間が、吸込室5側に連通する低圧側空間と
吐出室6側に連通する高圧側空間とに仕切られている。
このように、サイドプレート12の背面である反ギヤ側
側面12bには、シール13で仕切られた状態で、低圧
の作動流体および高圧の作動流体が背圧として作用し、
これが、サイドプレート12に吐出圧に応じて負荷され
るので、サイドプレート12と両ギヤ3,4との間の隙
間が高精度で維持される結果、高圧時のポンプ効率を高
く維持できる。また、上記反ギヤ側側面12bには、上
記低圧側空間において各支持孔31,41と吸込室5側
とをそれぞれ連通する各一対の連通溝65が形成されて
いる。
【0018】このような構成により、吸込口15を経て
吸込室5に導入される作動流体は、該吸込室5に臨む駆
動ギヤ3および従動ギヤ4の歯間に受け入れられ、両ギ
ヤ3,4の回転により、それぞれの歯間の本体筒10の
内周面との間に封止された状態で搬送され、吐出室6に
送り出される。吐出室6への送り出しを終えた駆動ギヤ
3と従動ギヤ4とは、両ギヤ3,4の噛み合い位置を経
て吸込室5側に向き、該吸込室5内の作動流体を再度受
け入れて吐出室6側へ送り出す作用をなす。
【0019】一方、ギヤポンプの要部の一部破断分解斜
視図である図5を参照して、支持孔31,41と各支軸
30,40との摺動面には、低圧側の吸込室5からの作
動流体が循環されるようになっている。すなわち、支持
孔31,41の内周面31a,41aには、螺旋状溝3
1c,41cが形成されていることから、支軸30,4
0が回転することによって、サイドプレート12の一方
の側面12a又は12bに形成された連通溝65を通し
て、吸込室5側の作動流体が支持孔31,41内に導入
され、サイドプレート12の他方の側面12b又は12
aに形成された連通溝65を通して、吸込室5に還流さ
れるようになっている。なお、各支持孔31,41の螺
旋状溝31c,41cは全て同方向に形成してあり、両
ギヤ3,4が互いに逆回転することから、図1および図
5において、左上および右下の支持孔1,31内へは、
サイドプレート12の反ギヤ側側面12bから作動流体
が導入され(図5において黒抜き矢符で示す)、右下お
よび左上の支持孔31,41内へはサイドプレート12
のギヤ側側面12aから作動流体が導入される(図5に
おいて白抜き矢符で示す)ようになっている。
【0020】上記ギヤ3,4及び支軸30,40を構成
する鉄系の材質は、例えばSCM415、S45C等で
ある。また、サイドプレート12を構成するアルミニウ
ム合金としては、例えば鋳造性の良いAC2A材やH−
4040材、A2014材などがあり、サイドプレート
12の表面のうち少なくとも一部、例えば図6に模式的
に示すように、支持孔31,41の内周面31a,41
aおよびギヤ側側面12aに、化学処理による表面改質
が施され、改質層Fが形成されている。すなわち、母材
の表面を化学処理することにより、母材の表面に酸化
物、塩化物、リン化合物及び硫化物からなる群から選択
される少なくとも1種を含む改質層Fを形成し、特に潤
滑性を向上させている。
【0021】下記の1)〜4)の少なくとも一つの化学
処理によって、例えばサイドプレートの表面の要部に、
酸化物、塩化物、リン化合物及び硫化物からなる群から
選択される少なくとも1種を含む潤滑性に優れた被膜を
構成する改質層が形成されることにより、サイドプレー
トと鉄材との直接接触が防止され、過酷な潤滑条件であ
っても、サイドプレートの摩耗と焼付きの発生を防止し
て耐久性を向上することができる。
【0022】結果として、摩耗に起因した流体漏れによ
るポンプ効率の低下を抑制することができる。特に、化
学処理であれば、層厚を薄くでき、しかも改質層と母材
との間にメッキ被膜の場合のような明確な界面が存在し
ないので、剥がれ等のおそれがなく、この点からも耐久
性を向上することができる。さらに、化学処理であれ
ば、電気メッキの場合のように母材の角部で層厚が厚く
なって盛り上がるというようなことがなく、局部的な盛
り上がりによる流体漏れの発生を防止することができ
る。1)タンニン酸による化学処理 例えば、タンニン酸により化学処理が施され、アルミニ
ウム合金の表面が改質されている場合がある。タンニン
酸は特に限定されず、通常、タンニン酸として使用して
いるものであれば使用することができる。タンニン酸を
用いる化学処理は、特に限定されるものではないが、例
えばタンニン酸を水等の溶剤に溶解させて生成した溶液
に、サイドプレートの所要の部分を浸漬するようにして
も良いし、また、溶液を塗布するようにしても良い。
【0023】溶液中のタンニン酸の濃度は0.1重量%
以上が好ましい。また、溶液の温度は特に限定されず、
室温であっても良い。化学処理の時間は5〜15分程度
が好ましいが、数分程度であっても、潤滑性能の向上に
充分に寄与できる。なお、上記の改質層に軟質金属元素
が分散されていても良い。軟質金属は化学処理により形
成された改質層の内部及び/又は表面に微細な状態で分
散されていても良い。軟質金属元素としては、例えばA
u、Ag、Pb、Zn、Al、Sn、Ga等が挙げられ
る。
【0024】軟質金属元素を微細な状態で分散させる方
法としては、まず、上記タンニン酸による化学処理を行
う最に、タンニン酸を含む溶液中に上記軟質金属元素を
分散させ、この溶液に対象部品を浸漬等し、上記化学処
理と上記軟質金属元素の分散を同時に行う方法がある。
また、上記タンニン酸による化学処理が終了した後、上
記軟質金属を含む溶液中に対象部品を浸漬する方法もあ
る。上記軟質金属元素を分散させる際には、処理溶液中
の上記軟質金属元素の量が0.5〜10重量%になるよ
うに添加し、上記浸漬処理等を行う。
【0025】上記軟質金属元素を含む溶液による浸漬処
理等を行うことにより、対象部品の表面に形成された改
質層に、軟質金属元素が微細に分散されるため、この軟
質金属元素により潤滑状態が安定して維持され、潤滑性
が一層向上する。2)カルボン酸又はその塩による化学処理 本発明で用いるカルボン酸又はその塩とは、R(COO
H)n (式中、Rはアルキル基又はアルケニル基を表
し、nは1〜10の整数である)で表されるカルボン酸
又はその塩からなる化合物であり、Rで表される基中の
H原紙を一部Cl(塩素)原子に置換した化合物をいう
が、その炭素数が24以下で、Cl原子を1〜10個有
していれば、その化合物の種類は特に限定されない。
【0026】上記カルボン酸塩化物の炭素数が24を超
えると、上記化学処理温度を高くしなければならないた
め、対象部品の組織が変化し易くなり、好ましくない。
上記カルボン酸塩化物としては、例えば、プロピオン
酸,酪酸,カプロン酸,カプリル酸,ラウリン酸,ミリ
スチン酸,パルミチン酸,ステアリン酸,ノナデカン
酸,ベヘン酸,安息香酸等のモノカルボン酸;アゼライ
ン酸,セバシン酸,イソフタル酸,テレフタル酸等のジ
カルボン酸等の塩化物が挙げられる。
【0027】上記カルボン酸塩化物は、単独で用いて
も、2種以上を併用しても良い。化学処理の温度は、8
0〜120°Cが好ましく、処理時間は2〜4時間が好
ましい。化学処理の温度が80°C未満であると、改質
層が充分に形成されず、一方、化学処理の温度が80°
Cを超えると、処理する対象部品の組織の変化に起因す
る寸方変化等が生じて、対象部品の機能が悪化するおそ
れがある。
【0028】また、処理時間が2時間未満では、改質層
が十分に形成されず、4時間を超えるような条件では、
処理時間が長過ぎるため効率的でない。上記化学処理の
方法としては、例えば、上記カルボン酸若しくはその
塩、又は該カルボン酸若しくはその塩を含む溶液を加熱
して、その温度を80〜120°Cにし、上記温度の液
状物に上記対象部品を浸漬すれば良い。また液状物を塗
布し、上記温度条件の雰囲気においても良い。3)有機硫黄化合物による化学処理 また、有機硫黄化合物により化学処理がなされている場
合がある。この有機硫黄化合物による化学処理は、上記
の2)の化学処理が施された後、第2の化学処理として
なされていても良い。
【0029】上記有機硫黄化合物としては、例えばメル
カプタン類、サルファイド類、硫化オレフィン類、スル
ホン類、金属ジチオフォスフェート類、金属ジチオカル
バメート類等が挙げられる他、チオアルデヒド類、チオ
ケトン類、チオアセタール類、スルホキシド類、スルホ
ン酸類等が挙げられる。上記メルカプタン類としては、
例えば、n−ブチルメルカプタン、イソブチルメルカプ
タン、t−ブチルメルカプタン、n−オクチルメルカプ
タン等が挙げられる。
【0030】上記サルファイド類としては、例えば、ジ
ブチルサルファイド、ジフェニルサルファイド等のモノ
サルファイド、ジブチルジサルファイド等のジサルファ
イド、ジフェニルトリサルファイド等のポリサルファイ
ド等が挙げられる。上記硫化オレフィンとしては、例え
ば、硫化ペンテン、硫化ブテン、硫化オクテン等が挙げ
られる。
【0031】上記スルホン類としては、例えば、ジブチ
ルスルホン、ジドデシルスルホン、ジフェニルスルホン
等が挙げられる。上記金属ジチオフォスフェート類とし
ては、例えば、Znジメチルジチオフォスフェート、Z
nジブチルジチオフォスフェート、Znブチルイソオク
チルジチオフォスフェート等が挙げられる。
【0032】上記金属ジチオカルバメート類としては、
例えば、Znブチルイソオクチルジチオカルバメート、
Znジ(テトラプロペニルフェニル)ジチオカルバメー
ト、Zn(エチルフェニル)ジチオカルバメート等が挙
げられる。上記チオアルデヒド類としては、例えば、ヘ
キサンチアール、シクロヘキサンカルボチアアルデヒド
等が挙げられる。
【0033】上記チオケトン類としては、例えば、4−
ヘプタンチオン、2,4−ヘプタンジチオン等が挙げら
れ、チオアセタール類としては、例えば、1−エトキシ
−1−(エチルチオ)ブタン、1,1−ビス(エチルチ
オ)ペンタン等が挙げられる。上記スルホキシド類とし
ては、例えば、ジブチルスルホキシド、ジフェニルスル
ホキシド等が挙げられ、上記スルホン酸類としては、例
えば、ベンゼンスルホン酸、フェノール−4−スルホン
酸等が挙げられる。
【0034】上記有機硫黄化合物は、単独で用いても、
2種以上を併用しても良い。上記有機硫黄化合物による
第2の化学処理の温度は、80〜120°Cが好まし
く、処理時間は2〜4時間が好ましい。化学処理の温度
が80°C未満であると、改質層が十分に形成されず、
一方、化学処理の温度が80°Cを超えると、処理する
対象部品の組織の変化に起因する寸方変化等が生じて、
対象部品の機能が悪化するおそれがある。
【0035】また、処理時間が2時間未満では、改質層
が十分に形成されず、4時間を超えるような条件では、
処理時間が長過ぎるため効率的でない。上記化学処理の
方法としては、例えば上記有機硫黄化合物又は該有機硫
黄化合物を含む溶液を加熱して、その温度を80〜12
0°Cにし、上記温度の液状物に上記カルボン酸塩化物
による化学処理が施された対象部品を浸漬すれば良い。
また、塗布部材等を用いて、対象部品の全部又は一部に
これらの液を塗布した後、対象部品を上記温度条件の雰
囲気においておいても良い。4)リン化合物による化学処理 上記リン化合物としては、例えばリン酸エステル類、ト
リデシルアシッドフォスフェート等が挙げられる。上記
リン化合物は、単独で用いても、2種以上を併用しても
良い。
【0036】上記リン化合物による化学処理の温度は、
80〜180°Cが好ましく、処理時間は0.5〜4時
間が好ましい。化学処理の温度が80°C未満である
と、改質層が十分に形成されず、一方、化学処理の温度
が180°Cを超えると、処理する対象部品の組織の変
化に起因する寸方変化等が生じて、対象部品の機能が悪
化するおそれがある。
【0037】また、処理時間が0.5時間未満では、改
質層が十分に形成されず、4時間を超えるような条件で
は、処理時間が長過ぎるため効率的でない。上記化学処
理の方法としては、例えば上記リン化合物を含む溶液を
加熱して、その温度を80〜180°Cにし、上記温度
の液状物に対象部品を浸漬すれば良い。また、塗布部材
等を用いて、対象部品の全部又は一部にこれらの液を塗
布した後、対象部品を上記温度条件の雰囲気においてお
いても良い。
【0038】なお、本発明は上記実施形態に限定される
ものではなく、本発明の範囲で種々の変更を施すことが
できる。
【0039】
【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく
説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定される
ものではない。まず、アルミニウム合金材としてAC2
A材を用いたサイドプレートの表面を改質した下記の実
施例1,実施例2及び実施例3と、何らの表面処理も施
さない比較例1と、メッキ被膜を形成した比較例2とを
作成し、これらを実機のギヤポンプに組み込み、下記の
試験条件にてパルス耐久試験を実施し、摩耗量を測定し
たところ、図7に示す結果を得た。
【0040】試験条件 油圧負荷:8MPaのオンオフ 回転数:3000rpm 潤滑:ブレーキフルード 負荷サイクル:10000サイクル実施例1 サイドプレートを25〜35°Cの3%タンニン酸水溶
液中に10分浸漬し、タンニン酸による化学処理を施し
た実施例1を作成した。タンニン酸は、和光純薬工業社
製 210−063332であった。
【0041】実施例2 実施例1で使用したものと同様のサイドプレートを、3
%タンニン酸水溶液に更に銅が5%添加された25〜3
5°Cの溶液中に4時間浸漬した実施例2を作成した。
この処理に使用した銅は、みつわ純薬工業社製 特級、
粒状銅(純度:99.99%)であった。
【0042】実施例3 実施例1で使用したものと同様のサイドプレートを、1
00°Cの塩化ステアリン酸からなる液状物に4時間浸
漬した後、洗浄処理を施し、付着した塩化ステアリン酸
を除去した。次に、処理後のサイドプレートを、更に1
00°Cのポリスルホンからなる液状物に4時間浸漬
し、同様に洗浄処理を施した実施例3を作成した。
【0043】比較例1 何らの表面処理も施していない。比較例2 実施例1で使用したものと同様のサイドプレートの表面
に、10〜20μmの硬質クロムメッキを施した比較例
2を作成した。
【0044】図7に示すように、比較例1及び比較例2
については、トルクの増大やポンプ特性の低下等で、ポ
ンプとしての所定の機能を果たせなくなったので、耐久
試験を途中で中止した。比較例2については、試験中止
の時点で、摩耗量が許容レベルを大幅に超えている。比
較例1も摩耗量の許容レベルを大幅に超えている。これ
に対して、実施例1、実施例2及び実施例3は、耐久試
験の最後までポンプ性能を確保でき、しかも摩耗量が許
容レベルよりも格段に少なく、優れた耐久性を実現する
ことができた。
【0045】
【発明の効果】本発明では、サイドプレート又はこれに
摺動する部材の表面の少なくとも一部を化学処理によっ
て改質することにより、両部材間の摺動特性を格段に向
上できる。その結果、潤滑性の悪いブレーキフルードや
ガソリン等の媒体を用いるポンプとしての耐久性を格段
に向上できるとともに摩耗に起因した流体漏れによるポ
ンプ効率の低下を抑制することができる。改質層はメッ
キ層のような明確な界面を持たないので、剥がれ等のお
それもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態のギヤポンプの断面図であ
る。
【図2】図1のII−II線に沿う断面図であり、ハッチン
グを省略してある。
【図3】図1のIII −III 線に沿う断面図である。
【図4】図1のIV−IV線に沿う断面図である。
【図5】ギヤポンプの要部の一部破断分解斜視図であ
る。
【図6】サイドプレートの断面図である。
【図7】本発明の実施例と比較例を実機に組み込んでの
耐久結果を示すグラフ図である。
【符号の説明】
1 ハウジング 3 駆動ギヤ 4 従動ギヤ 5 吸込室 6 吐出室 12 サイドプレート 12a ギヤ側側面 14 ギヤ室 30,40 支軸 31,41 支持孔 31a,41a 内周面 F 改質層

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ハウジング内部の空洞に一対のサイドプレ
    ートを嵌め合わせてギヤ室を区画し、このギヤ室の内部
    に互いに噛み合う一対のギヤを収容してギヤの支軸を各
    サイドプレートにそれぞれ形成した一対の支持孔に嵌合
    支持すると共に、ギヤ室の内部に両ギヤの噛み合い位置
    を挟んで作動流体の吸込室および吐出室を形成したギヤ
    ポンプにおいて、 上記サイドプレート及びこれに摺動する部材の少なくと
    も一方の表面の少なくとも一部が化学処理による表面改
    質を施されてなることを特徴とするギヤポンプ。
  2. 【請求項2】上記化学処理はタンニン酸によりなされる
    化学処理を含むことを特徴とする請求項1記載のギヤポ
    ンプ。
  3. 【請求項3】タンニン酸により化学処理された層に軟質
    金属が微細に分散されてなる請求項2記載のギヤポン
    プ。
  4. 【請求項4】上記化学処理は、炭素数が2〜24カルボ
    ン酸又はその塩であって、分子中に塩素を1〜10個含
    む化合物によりなされる化学処理を含むことを特徴とす
    る請求項1記載のギヤポンプ。
  5. 【請求項5】上記化学処理はリン化合物によりなされる
    化学処理を含むことを特徴とする請求項1記載のギヤポ
    ンプ。
  6. 【請求項6】上記化学処理は有機硫黄化合物によりなさ
    れる化学処理を含むことを特徴とする請求項1記載のギ
    ヤポンプ。
  7. 【請求項7】上記有機硫黄化合物が、メルカプタン類、
    サルファイド類、硫化オレフィン類、スルホン類、金属
    ジチオフォスフェート類、及び、金属ジチオカルバメー
    ト類からなる群から選択される少なくとも1種であるこ
    とを特徴とする請求項6記載のギヤポンプ。
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