JP2000308482A - 醸造酒の製造方法 - Google Patents

醸造酒の製造方法

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JP2000308482A JP22895799A JP22895799A JP2000308482A JP 2000308482 A JP2000308482 A JP 2000308482A JP 22895799 A JP22895799 A JP 22895799A JP 22895799 A JP22895799 A JP 22895799A JP 2000308482 A JP2000308482 A JP 2000308482A
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徹 山内
Tadashi Okamoto
匡史 岡本
Shuntaro Yano
駿太郎 矢野
Yoshihiro Shibata
佳弘 柴田
Naotaka Kurose
直孝 黒瀬
Masanori Inoue
正則 井上
Toshio Kakimoto
敏男 柿本
Sadao Kawakita
貞夫 川北
Teruya Nakamura
輝也 中村
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  • Distillation Of Fermentation Liquor, Processing Of Alcohols, Vinegar And Beer (AREA)
  • Alcoholic Beverages (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 品質低下を抑制し、製造時の好ましい品質を
維持した醸造酒の製造方法の提供。 【解決手段】 脱酸素工程を含む醸造酒の製造方法にお
いて、脱酸素工程を経て容器に充てん後平衡状態になっ
た醸造酒中の溶存酸素濃度が、1.1〜4.0ppmの
範囲である醸造酒を製造する醸造酒の製造方法。 【効果】 光照射下あるいは遮光下での保存における着
色、老香及び/又は雑味の発生、並びに渋味、えぐ味及
び/又は日光臭の発生をも抑制可能で、得られた醸造酒
は長期問貯蔵後も充てん時の良好な品質が維持されてお
り、フレッシュ感に満ちた味わいが保たれる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、容器に充てんされ
た醸造酒の溶存酸素が特定の濃度範囲である、醸造酒の
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から醸造酒、特に清酒において好ま
しくない香りである老香の発生や着色が、清酒成分の酸
化に由来することが知られている。更には、充てん時に
火入れ処理を行わない生酒においては、通常の火入れ酒
に比べて二倍程度の溶存酸素を含んでおり、品質の劣化
も火入れ酒に比べて早いことが知られている。該酸化は
清酒中の溶存酸素濃度を低減することで抑制され、製造
時の好ましい品質を長期間持続させることができる(特
開平6−141840号公報)ことが知られている。ま
た、こうした効果を得るためには清酒中の溶存酸素濃度
は出来るだけ低く、例えば約0.5ppm以下であるこ
とが望ましいとされるが、清酒中の溶存酸素濃度と好ま
しい品質の保存性の相関について、具体的に比較検討さ
れたデータは示されてない。
【0003】一方で醸造酒、特に清酒を日光や蛍光灯の
光の中で保存すると、日光臭と呼ばれる異臭の発生や日
光着色が起こり、飲用に適さなくなる。このことは、近
年清酒に限らず酒類の販売方式が変わり、明るいディス
プレイの中で視覚的に購買意欲をそそるような展示販売
の機会の多い状況において、光照射下での品質の劣化は
商品イメージにもかかわることであり重大である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述のように、醸造酒
において発生する日光臭や日光着色を抑制することは近
年重要な課題のひとつとなっている。本発明の目的は、
従来知られていた老香の発生や着色といった酒類の品質
低下と共に日光臭や渋味の発生といった異なる性質の品
質低下をも共に抑制し、製造時の好ましい品質を維持し
た醸造酒を消費者に提供していくことにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、脱酸素工程を
含む醸造酒の製造方法において、脱酸素工程を経て容器
に充てん後平衡状態になった醸造酒中の溶存酸素濃度
が、1.1〜4.0ppmの範囲であることを特徴とす
る醸造酒の製造方法に関する。
【0006】本発明者らは、従来酸化抑制という観点か
らのみ検討されていた、溶存酸素の低減方法に着目して
鋭意検討を行った。その結果、後述するように容器に充
てん後の溶存酸素濃度を1.0ppm以下にまで低減さ
せた清酒を光照射下で保存すると、老香の発生や着色と
いった酸化由来の品質の劣化は抑制されるが渋味やえぐ
味といった好ましくない味覚の発生に加え、日光臭も発
生することが認められた。一方、火入れしない生酒では
溶存酸素濃度が火入れ酒に比べて二倍程度含まれるこ
と、容器に充てんされた醸造酒中の溶存酸素を、火入れ
をしない生酒の場合には1.1から4.0ppm、火入
れ酒の場合には1.1ppmから2.9ppmの濃度範
囲に調整することで、前述の酸化由来の品質の劣化が抑
制され、日光臭の発生や渋味、えぐ味といった好ましく
ない香味の発生をも抑制できることを見出し、本発明を
完成させるに至った。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明を具体的に説明す
る。本発明に用いられる醸造酒には、生酒を含む清酒、
ワイン、あるいは老酒がある。該醸造酒のうち、例えば
清酒は原料処理、仕込み、糖化・発酵、上槽、精製及び
充てん工程を経て製品となる。該製品中に火落ち菌が存
在すると、保存中に該火落ち菌が繁殖し、清酒が腐敗
(火落ち)する事が知られているので、該火落ちを防ぐ
ために充てん時に清酒を加熱処理して火落ち菌を殺菌し
た清酒(以下「火入れ清酒」、又は単に「清酒」と呼
ぶ)、あるいは加熱処理を行わずに低温で精密ろ過を行
って該火落ち菌を除菌した清酒(以下「生酒」と呼ぶ)
が製造されている。ワインは原料処理(圧搾)、発酵、
熟成、精製及び充てん工程を経て製品となる。老酒は原
料処理、仕込み、糖化・発酵、精製、熟成及び充てん工
程を経て製品となる。
【0008】本発明方法によって調製される醸造酒の溶
存酸素濃度は、醸造酒の種類や、容器の形状、保存温度
にもよるが、容器に充てんの後平衡に達する時間、通常
24時間後の値が生酒の場合には1.1〜4.0pp
m、より好ましくは1.6〜3.1ppm、火入れ清酒
の場合には1.1〜2.9ppm、より好ましくは1.
5〜2.7ppmの範囲であればよく、これより高けれ
ば保存中に老香や雑味の発生の可能性があり、また着色
が起こりやすい。前記範囲より低い濃度に調整すると、
老香や雑味の発生や着色といった品質の劣化は抑制され
るが、渋味の発生や光照射の条件で日光臭の発生の恐れ
がある。
【0009】醸造酒中の溶存酸素を低減させる方法は、
容器に充てん後の醸造酒の溶存酸素濃度を前述の範囲に
調整できる方法であればいかなる方法を用いても良く、
例えば不活性ガスをバブリングさせながら醸造酒に封入
することにより、溶存酸素を目的とする濃度範囲に低減
させても良い。あるいは膜脱気装置を用いて醸造酒中の
溶存酸素を減圧脱気してもよいし、インラインミキサー
を用いて連続的な流れの中で不活性ガスを混合して溶存
酸素を低減させても良い。更には、醸造酒を容器に充て
ん後の容器のヘッドスペースを不活性ガス置換して、充
てんされた醸造酒が実質的に目的とする溶存酸素濃度に
なるよう、脱酸素してもよいし、前述の各種溶存酸素低
減方法と組合せても良い。通常は溶存酸素を低減させた
醸造酒を容器に充てんする工程で、空気中の酸素を巻込
んで溶存酸素濃度の回復がみられるので、容器に充てん
した醸造酒の溶存酸素濃度を前述の濃度範囲に調整する
ためには、いずれかの溶存酸素除去方法とヘッドスペー
スガス置換方法の併用が望ましい。あるいは除去すべき
酸素の絶対量に対応する量の脱酸素剤がキャップ中蓋内
に透気性包装材料を介して埋込まれた特殊栓を使用し
て、醸造酒を容器に充てん、密栓後平衡に達したときに
実質的に目的とする溶存酸素濃度になるよう、脱酸素剤
を利用してもよい。
【0010】本発明品の製造の為に必要に応じて用いら
れる不活性ガス、例えばバブリング処理やインラインミ
キサーによる混合脱気処理及び/又はヘッドスペースガ
ス置換を行う場合に用いられる不活性ガスとしては、窒
素、ヘリウム、アルゴン又はこれらの混合ガス等が挙げ
られ、適宜選択出来るが、不活性ガスに要する費用を考
慮すると、高純度窒素ガスの使用が望ましい。また、ヘ
ッドスペースガス置換の際の吹込み方法としては、醸造
酒を充てんする前の容器に予め吹込んでから醸造酒を充
てんしてもよく、充てん後のヘッドスペースに吹込んで
も良い。
【0011】本発明において、醸造酒を充てんする容器
には特に制限はないが、ガラスビン、缶、紙容器、レト
ルトパウチ、成形容器、中空成形容器(ペットボトル
等)〔缶びん詰・レトルト食品事典、第220〜265
頁、発行所(株)朝倉書店、1995年4月20日第6
刷(1984年2月10日初版第1刷)〕、ステンレス
製タンク、壷等通常の液体充てん用に用いられるものの
中から、密栓可能なものを適宜選択できる。また、本発
明において、醸造酒を充てんする容器のヘッドスペース
容量比(充てんする醸造酒の容量に対するヘッドスペー
ス容量の比)に制限されない。ヘッドスペース容量比が
大きい容器(例えば、紙容器)を用いる場合は、ヘッド
スペース容量比に応じて、ヘッドスペースあるいは醸造
酒中の脱酸素、ガス置換を行い酸素含有率を調整するこ
とが好ましく、充てんされた醸造酒が実質的に目的とす
る溶存酸素濃度になるように製造すればよい。
【0012】
【実施例】以下、実施例によって本発明を更に具体的に
説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0013】実施例1 本発明の醸造酒の一例として火入れ清酒の製造方法を説
明する概略図を図1に示す。図1において、符号1は原
液タンク、2はポンプ、3はインラインミキサー、4は
受タンク、5はポンプ、6はプレートヒーター、7は充
てん機、8はライン状に整列された製品容器、9は打栓
機を意味する。インラインミキサー[商品名:ノリタケ
スタティックミキサー、(株)ノリタケカンパニーリミ
テド製、サニタリー配管内径3インチ、4ユニット]を
用い、溶存酸素濃度を低減した清酒の製造を行った。ま
た、目的とする清酒の溶存酸素濃度が2.0ppm以下
の場合には、インラインミキサー処理後の清酒を充てん
したビン上部ヘッドスペースの空気を窒素で置換した。
以下に工程を詳細に示す。あらかじめインラインミキサ
ー以降のライン、受タンク、プレートヒーター、充てん
機を窒素置換しておき、原液タンクより清酒を供給し、
インラインミキサー中で窒素ガスと混合した。清酒流量
は430リットル/分、窒素ガス流量は100リットル
/分であった。なお、窒素ガスの体積は標準状態(0
℃、1気圧)での値で示した。
【0014】窒素を混合した清酒を受タンクに移し、受
タンクで窒素ガスと酸素ガスを揮散させた後、プレート
ヒーターで約65℃に加温し火入れを行った。火入れ後
の清酒は、充てん機によって1.8リットルの褐色ビン
に充てんされた。各種条件下で充てんを行い、打栓して
24時間経過後に測定した製品の溶存酸素濃度及びヘッ
ドスペース酸素濃度を表1に示す。表1においてサンプ
ル1は窒素ガスを通気せずにインラインミキサー処理を
行い、ヘッドスペースガス置換なしに充てん、打栓した
サンプル、サンプル2はインラインミキサー処理による
脱酸素後サンプル1同様充てん、打栓したサンプルであ
る。またサンプル3、4については充てん直後に窒素ガ
スをビン口から吹込み、ビン上部のヘッドスペースの空
気を窒素と置換しすぐに打栓して製品とした。なお窒素
ガス置換の効率を上げるため、窒素ガス吹込み部周辺を
カバーで被い、充てんから打栓までの間を窒素ガス雰囲
気下で行い、かつ、サンプル3と4とでガス吹込み部の
カバーの形状が異なり、4では3よりも窒素ガス置換効
率が良く、空気の混入の少ないカバーを用いた。サンプ
ル5については、清酒を充てん機で充てんする直前にビ
ン内を窒素ガス置換したビンに充てんし、更にサンプル
4同様ヘッドスペースガス置換後直ちに打栓して製造し
た。
【0015】
【表1】
【0016】表1の結果により、同一の溶存酸素濃度の
清酒を用いて充てん時のヘッドスペース又は容器の窒素
ガス置換の条件を変えることにより、溶存酸素濃度の異
なる清酒を製造することができた。
【0017】実施例2 1.8リットルビンに充てんされた市販の清酒を用い、
当該清酒のヘッドスペース中の空気を窒素ガスで置換す
る方法により、本発明品を製造した。市販の1.8リッ
トルビン入り清酒を購入し、溶存酸素濃度を測定したと
ころA社製品は4.8ppm、B社製品は4.3ppm
であった。これらの製品の王冠を開け、ヘッドスペース
に窒素ガスを吹込んでヘッドスペースの空気を充分窒素
ガスに置換し、直ちに打栓した。得られた1.8リット
ルビンを常温で24時間放置して、清酒中とヘッドスペ
ース中の酸素濃度を平衡化させた後、再び栓を開け、溶
存酸素濃度を測定したところA社製品は2.2ppm、
B社製品は2.0ppmとなり、本発明品の濃度範囲に
調整することができた。なお、それぞれのヘッドスペー
ス中の酸素含有率はA社製品5.5%、B社製品5.0
%であった。
【0018】実施例3 実施例1に記載の方法で製造した、異なる溶存酸素濃度
の清酒を用いて保存試験を行った。本実施例では通常の
製造方法により製造した対照品を対照品1、溶存酸素濃
度1.1〜2.9ppmの範囲に含まれる清酒を本発明
品、溶存酸素濃度1.1ppm未満の清酒を対照品2と
称する。個々の溶存酸素濃度の清酒は1.8リットルの
褐色ビンに充てんしたものを用いた。保存は40℃、3
0日間連続して蛍光灯の照明にさらされ、昼間は窓から
の日光が当る光照射区と、窓をふさぎ蛍光灯を消して遮
光した遮光区の2条件で行った。官能評価は34名のパ
ネラーで行い、対照品1と比較して品質のよいものを
1、対照品1と同等のものを2、対照品1よりも品質の
悪いものを3として評価した。各パネラーによる官能評
価の結果の平均値、及び各サンプルの判定結果を表2に
示す。
【0019】
【表2】
【0020】表3に光照射区、表4に遮光区についての
官能評価で得られた各サンプルについてのコメントを示
す。
【0021】
【表3】
【0022】
【表4】
【0023】表2〜表4に示すように、40℃、30日
間の光照射の条件で、対照品1では着色の増加、雑味の
発生、老香の発生がみられた。また、対照品2では、渋
味が感じられた。本発明品では溶存酸素濃度が減少する
に従い、着色、老香の発生が抑えられ、僅かに渋味が現
れた。総合的にみて本発明品が対照品1、2と比較して
官能的に良好な評価が得られた。
【0024】実施例4 実施例1に準じてインラインミキサー処理により清酒の
溶存酸素除去を行い、更にヘッドスペースの窒素ガス置
換による酸素除去と組合せて異なる溶存酸素濃度の清酒
を製造し、各濃度とも3種類の1.8リットル有色ビン
に充てんして保存試験を行った。本実施例における各評
価品の名称も実施例3に準ずる。ビンの色は褐色、黒
色、緑色の3種類、保存試験は40℃、12日間連続し
て蛍光灯の照明にさらした上、昼間は窓から日光が当る
光照射条件で実施した。官能評価は25名のパネラーで
行い、対照品1と比較して品質のよいものを1、対照品
1と同等のものを2、対照品1よりも品質の悪いものを
3として評価した。各パネラーの官能評価結果の平均値
を表5、各サンプルについてのコメントを表6〜表8に
示す。表中の溶存酸素濃度は打栓後24時間を経過した
時点で測定した平衡後の濃度を示す。
【0025】
【表5】
【0026】
【表6】
【0027】
【表7】
【0028】
【表8】
【0029】対照品1ではどの有色ビンでも40℃、1
2日間、光照射の条件で、老香の発生、雑味の発生が感
じられた。一方、対照品2の場合には、渋味やえぐ味が
感じられ、緑色ビンにおいては日光臭の発生が認められ
た。本発明品では溶存酸素濃度が減少するに従い、老香
及び雑味の発生が抑えられ、香り、味ともにバランスが
よく官能的に良好な評価が得られた。
【0030】実施例5 実施例4と同様にして、インラインミキサー処理により
生酒の溶存酸素除去を行い、更にヘッドスペースの窒素
ガス置換による酸素除去と組合せて異なる溶存酸素濃度
の生酒を製造し、各サンプルとも300ミリリットルの
褐色ビンに充てんして保存試験を行った。本実施例で
は、溶存酸素除去操作をしない通常製造方法により製造
した対照品を対照品1、対照品1よりは溶存酸素濃度は
低いが本発明品の濃度範囲に達しないものを対照品2、
溶存酸素濃度が1.1〜4.0ppmの濃度範囲に含ま
れる生酒を本発明品、溶存酸素濃度1.1ppm未満の
ものを対照品3と称する。保存試験は遮光下で40℃、
30日間の加速条件で行い、6日目と30日目に色度の
分析並びに官能評価試験を実施した。官能評価は14名
のパネラーで行い、実施例4と同様の数値評価で行っ
た。各パネラーの官能評価結果の平均値を表9、各サン
プルについての30日間保存後の色度並びにコメントを
表10に示す。表中の溶存酸素濃度は打栓後24時間を
経過した時点で測定した平衡後の濃度を示す。
【0031】
【表9】
【0032】
【表10】
【0033】溶存酸素濃度の高い対照品1及び対照品2
については、いずれも老香の発生が感じられ、溶存酸素
濃度の低い対照品3については、渋味や荒さが感じら
れ、いずれも官能的に好ましくないと判定された。本発
明品については、すっきり、きれい、まるいといった好
ましい官能評価が得られ、特に溶存酸素濃度1.6〜
3.2ppmの範囲において高い評価が得られた。
【0034】実施例6 紙容器入り清酒を製造した。実施例1に準じて、インラ
インミキサー処理〔清酒流量は120リットル/分、窒
素ガス流量は120リットル/分〕により清酒の溶存酸
素除去を行った。また、窒素を混合した清酒を受タンク
に移し、受タンクで窒素ガスと酸素ガスを揮散させた
後、プレートヒーターで約65℃に加温し火入れを行っ
た。火入れ後の清酒は、充てん機によって1.8リット
ルを市販の1.8リットル用の紙パック容器に充てんさ
れた。各種条件下で充てんを行い、シールして24時間
経過後に測定した紙容器製品の溶存酸素濃度及びヘッド
スペース酸素濃度を表11に示す。表11において、サ
ンプル1は紙容器内とヘッドスペースの窒素ガス置換な
しに充てん、シールしたサンプルである。サンプル2、
3、4、5は紙容器内の窒素ガス置換なしで、紙容器に
清酒を充てんし、ヘッドスペースの窒素ガス置換〔窒素
ガス流量は各々100、200、300、400リット
ル/分〕後、直ちにシールしたサンプルである。またサ
ンプル6、7、8、9、10は、清酒を充てん機で充て
んする直前に紙容器内を窒素ガス置換〔窒素ガス流量は
100リットル/分〕した紙容器に清酒を充てんし、更
にヘッドスペースの窒素ガス置換〔窒素ガス流量は各々
100、200、300、400、500リットル/
分〕後、直ちにシールしたサンプルである。
【0035】
【表11】
【0036】表11の結果より、紙容器内とヘッドスペ
ースの窒素ガス置換を行っていないサンプル1の溶存酸
素濃度は3.5ppmとなった。紙容器内の窒素ガス置
換を行っていないが、ヘッドスペースの窒素ガス置換を
行っているサンプル2、3、4、5の溶存酸素濃度は、
各々1.8、1.8、1.7、1.7ppmであり、本
発明の濃度範囲の清酒を製造することができた。また、
紙容器内とヘッドスペースの窒素ガス置換を行ったサン
プル6、7、8、9、10の溶存酸素濃度は、各々1.
8、2.0、1.8、1.7、1.6ppmであり、本
発明の濃度範囲の清酒を製造することができた。
【0037】実施例7 実施例6に準じて紙パック容器入り清酒を製造した。イ
ンラインミキサー処理〔清酒流量は130リットル/
分、窒素ガス流量は130リットル/分〕により清酒の
溶存酸素除去、火入れ、充てんを行い、更にヘッドスペ
ースの窒素ガス置換〔窒素ガス流量は140リットル/
分〕、シールを行い、1.8リットルの紙容器入り清酒
を製造した。該紙容器入り清酒の溶存酸素濃度は1.8
ppm(シール後24時間を経過した時点で測定した平
衡後の濃度)であり、本発明の濃度範囲の清酒を製造す
ることができた。また、窒素ガスを通気せずにインライ
ンミキサー処理を行い、火入れ、ヘッドスペースガス置
換なしに充てん、シールを行い、1.8リットルの紙容
器入り清酒を製造し、対照品とした。次に、保存試験を
行った。保存試験は、40℃(14日間、28日間)の
条件で実施した。官能評価は、20名のパネラーで対照
品をオープンで、先にきき酒を行い、これを標準品質と
した上で、対照品をサンプルA、本発明品をサンプルB
としブラインドで評価をした。標準品質より優れている
ものを1、標準品質と同等のものを2、標準品質より劣
るものを3として評価した。各パネラーの官能評価の結
果の平均値、及びコメントを表12に示す。
【0038】
【表12】
【0039】溶存酸素濃度の高い対照品については、老
香の発生、雑味が感じられ、官能的に好ましくないと判
定された。本発明品については、まるい、きれいといっ
た好ましい官能評価が得られた。
【0040】
【発明の効果】上述のごとく、本発明における醸造酒
は、醸造酒に含まれる溶存酸素の濃度が最適化されてい
ることにより、光照射下あるいは遮光下での保存におけ
る着色、老香及び/又は雑味の発生、並びに渋味、えぐ
味及び/又は日光臭の発生をも抑制可能で、得られた醸
造酒は長期間貯蔵後も充てん時の良好な品質が維持され
ており、フレッシュ感に満ちた味わいが保たれるなど、
産業上利用効果が大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の醸造酒を製造するための溶存酸素除去
方法の1例を説明する概略図である。
【符号の説明】
1:原液タンク、2:ポンプ、3:インラインミキサ
ー、4:受タンク、5:ポンプ、6:プレートヒータ
ー、7:充てん機、8:ライン状に整列された製品容
器、9:打栓機、
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 矢野 駿太郎 京都府京都市下京区四条通烏丸東入長刀鉾 町20番地 寳酒造株式会社本社事務所内 (72)発明者 柴田 佳弘 京都府京都市下京区四条通烏丸東入長刀鉾 町20番地 寳酒造株式会社本社事務所内 (72)発明者 黒瀬 直孝 京都府京都市下京区四条通烏丸東入長刀鉾 町20番地 寳酒造株式会社本社事務所内 (72)発明者 井上 正則 京都府京都市下京区四条通烏丸東入長刀鉾 町20番地 寳酒造株式会社本社事務所内 (72)発明者 柿本 敏男 京都府京都市下京区四条通烏丸東入長刀鉾 町20番地 寳酒造株式会社本社事務所内 (72)発明者 川北 貞夫 滋賀県大津市瀬田3丁目4番1号 寳酒造 株式会社中央研究所内 (72)発明者 中村 輝也 京都府京都市下京区四条通烏丸東入長刀鉾 町20番地 寳酒造株式会社本社事務所内 Fターム(参考) 4B028 AC10 AC15 AG05 AG06 AG08 AG09 AG10 AP04 AP25 AP30 AS01 AT20

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 脱酸素工程を含む醸造酒の製造方法にお
    いて、脱酸素工程を経て容器に充てん後平衡状態になっ
    た醸造酒中の溶存酸素濃度が、1.1〜4.0ppmの
    範囲であることを特徴とする醸造酒の製造方法。
JP22895799A 1998-08-31 1999-08-13 醸造酒の製造方法 Expired - Lifetime JP4697820B2 (ja)

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