JP2000312403A - 電気車の制御装置 - Google Patents

電気車の制御装置

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JP2000312403A
JP2000312403A JP11115944A JP11594499A JP2000312403A JP 2000312403 A JP2000312403 A JP 2000312403A JP 11115944 A JP11115944 A JP 11115944A JP 11594499 A JP11594499 A JP 11594499A JP 2000312403 A JP2000312403 A JP 2000312403A
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鈴木  優人
Motomi Shimada
嶋田  基巳
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安田  高司
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仲田  清
Eiichi Toyoda
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Abstract

(57)【要約】 【課題】電動機の速度センサを不要とし、かつ電気車と
して必要な再起動および再粘着制御を行うことができる
電気車の制御装置を提供する。 【解決手段】電気車を駆動する電動機2を制御するイン
バータ1,電動機回転速度を推定する速度推定器8、該
推定器からの推定値に基づきインバータを制御する制御
手段を備え、電気車速度信号に基づき電気車を自動制御
する自動列車制御装置、非駆動輪の回転速度を検出する
速度計、電気車の加速度を検出する加速度センサの内少
なくとも一つを電気車に備え、それらから得られる電気
車速度信号又は検出信号を速度推定器8の電動機の回転
速度の推定に用いる。また回転速度推定値より電気車の
車輪の空転,滑走を検知して電流指令を調整する再粘着
制御器10を備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気車の制御装置
に係わり、特に電気車を駆動する電動機に速度センサを
用いずに電動機をインバータにより制御する技術に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、インバータによる誘導電動機の制
御において、制御応答が要求されるものでは電動機電流
の励磁電流成分とトルク電流成分を独立に制御するベク
トル制御方式のものが用いられる。そのベクトル制御方
式の中でも、電動機の負荷トルクに応じたすべり周波数
を速度センサで検出した電動機の回転速度検出値に加算
してそれに基づいてインバータの出力周波数を制御する
すべり周波数形ベクトル制御方式が一般的に利用されて
いる。ところが、電動機に速度センサを取り付けること
は、その分コストがかかること、速度センサからインバ
ータの制御装置までの配線が必要なこと、またセンサの
メンテナンスに費やす時間が無視できないことなどの課
題から、速度センサを不要とした制御方式が提案されて
いる。その一例として、特開平9−140200 号公報記載の
ものがある。これは検出した励磁電流成分,トルク電流
成分,電圧指令信号及び制御する電動機の電動機定数に
基づき回転速度を推定するものである。
【0003】また、電気車の制御装置に提案された一例
としては、特開平8−80082号公報のものがある。これは
電流制御器によりインバータの出力電流の検出値とその
指令値との偏差が小さくなるように周波数時間変化率指
令を出力し、その出力を時間積分することによりインバ
ータ出力周波数指令を生成するものである。しかし、そ
の出力周波数の初期値はインバータの起動時において電
動機に取り付けた速度センサからの検出値を設定するよ
うになっている。また、鉄道用の電気車では鉄レールの
上を鉄車輪を粘着させて駆動するため駆動輪の空転,滑
走という特有の現象があり、この空転滑走を抑える再粘
着制御を行うために電動機に速度センサが設けられてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述の特開平9−14020
0 号公報記載のものは、インバータの制御に速度センサ
を用いていないが、電動機の回転速度を推定するための
演算が複雑であること、さらにその演算に駆動する電動
機の電動機定数を用いることから定数の変動に対しても
配慮する必要がある。
【0005】また、特開平8−80082号公報記載の制御方
式では、積分器の初期設定や再粘着制御において速度セ
ンサの出力を用いており、完全な速度センサレスとはな
っていない。
【0006】本発明の目的は、電気車を駆動する電動機
へ取り付けの速度センサを全く不要にし、かつ簡単な構
成で電動機の回転速度を推定して、電動機をインバータ
により加減速制御すると共に電気車として必要な再粘着
制御を行うことができる電気車の制御装置を提供するこ
とにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的は、電気車を駆
動する電動機と、該電動機に可変電圧可変周波数の交流
を出力するインバータと、前記電動機の回転速度を推定
する速度推定手段と、該推定手段からの回転速度推定値
に基づいて前記インバータを制御する制御手段を備えた
電気車の制御装置において、電気車速度信号に基づいて
電気車を自動制御する自動列車制御装置、電気車の非駆
動輪の回転速度を検出する速度計、電気車の加速度を検
出する加速度センサの内少なくとも一つが前記電気車に
備えられ、前記速度推定手段は、それらから得られる電
気車速度信号又は検出信号に基づき前記電動機の回転速
度を推定する手段を有することにより達成される。
【0008】また、前記インバータを停止させる電気車
の惰行運転から、前記インバータを再起動させ力行また
は回生運転させる際に、前記惰行運転に入った時の前記
速度推定手段における回転速度の推定値を記憶する手段
と、該記憶した回転速度の推定値に基づいて前記インバ
ータの再起動時の電動機速度の推定値を設定する手段を
有することにより達成される。
【0009】さらに再粘着制御に関しては、前記速度推
定手段で推定された前記電動機の回転速度の推定値の時
間変化量を演算する手段と、該時間変化量が所定値を超
えたことに応動させて、該時間変化量に応じて前記トル
ク成分指令値を減少させるか、又は所定の時間関数のパ
ターンで前記トルク成分指令値を減少させる手段を有す
ることにより達成される。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例の基本構成
を図1を用いて説明する。なお、図1の構成は、鉄道を
走行する電気車を駆動制御する制御装置のブロック図を
示しており、図示していないが通常の編成列車ではこの
電気車を複数連結して、先頭の車両の運転台より各電気
車に車上LAN等で運転/停止指令やトルクに相当する
指令が制御装置に伝送されてなる。
【0011】図1において、1は複数のスイッチング素
子を用いて直流を交流に変換(その逆変換機能も有す)
するパルス幅変調(以下、PWMと称する)のインバー
タであり、その直流側には、直流電源11から供給され
る直流を平滑するフィルタコンデンサ12が接続され
る。インバータ1の交流側には、電気車の駆動輪を回転
させる3相誘導電動機2(以下、電動機と称する)が接
続される。なお、同図では説明の便宜上、インバータの
交流側には電動機を1台しか接続していないが、電気車
のタイプとしては2台若しくは4台の電動機が接続され
るものが多い。
【0012】3は電流指令発生器で、励磁電流指令値I
*及びトルク電流原指令値Iq*を発生する。4は減算
器で、トルク電流原指令値Iq* より再粘着制御器10
からの出力ΔIq* を減算しトルク電流指令値Iq**
出力する。5は座標変換器で、PWMインバータ1の交
流出力電流を検出する電流検出器14u,14v,14
wにより検出された電流iu,iv,iwを入力して、
励磁電流成分検出値Idとトルク電流成分検出値Iqに
変換する。7は減算器で、トルク電流指令値Iq**から
トルク電流成分検出値Iqを減算しトルク電流の偏差Δ
Iqを出力する。8は速度推定器で、トルク電流偏差Δ
Iqおよび電気車速度検出器13の出力である電気車速
度信号Vtより電動機2の回転速度の推定値Frを出力
する。上述した再粘着制御器10は、回転速度の推定値
Frより電動機2によって駆動される車輪の空転,滑走
を検知し、空転,滑走を検知した場合には、トルク電流
指令値の大きさを小さくする信号ΔIq* を出力する。
6はベクトル制御演算器で、励磁電流指令値Id* ,ト
ルク電流指令値Iq**および回転速度の推定値Frより
誘導電動機に与える電圧指令値Vd*,Vq*を演算し出
力する。なお、その詳細な演算は上記した特開平9−140
200 号公報に記載されているのでここでは省略する。9
はPWM信号演算器で、電圧指令値Vd*,Vq*よりオ
ン,オフパルスのPWM信号Su,Sv,Swを生成
し、インバータ1に出力する。
【0013】なお、図1では発明の構成を便宜上説明す
る上で各制御機能をブロック図で表しているが、少なく
ともブロック4〜8,10についてはマイクロコンピュ
ータによるソフトウエア処理で簡単に構成できる。
【0014】次に、上記構成において本発明の特徴部
は、誘導電動機の回転速度を推定する速度推定器8及び
空転,滑走を検出し再粘着制御を行う再粘着制御器10
にあり、その実施例の詳細について以下に記載する。
【0015】図2は本発明における速度推定器8の一構
成例を示す。81は電流制御器で、例えば数1で表され
る比例積分制御を行いトルク電流偏差ΔIqが小さくな
る(0に近づける)ような出力ΔFrを出力する。ここ
で、K1,K2はそれぞれ比例係数,積分係数で、sはラ
プラス演算子である。
【0016】 ΔFr=(K1+K2/s)ΔIq …(数1) 82は係数器で電気車自体の速度信号Vtから電動機の
回転速度に換算する係数を掛けるものである。83は加
算器で電流制御器81の出力ΔFrと係数器82の出力
を加算して電動機の回転速度推定値Frを出力する。
【0017】このような構成で電動機の回転速度推定値
Frを求めることで、電動機に回転速度センサを設けな
くても速度を得ることができる。ここで電気車の速度信
号Vtは、通常の電気車を運行する上で設置される自動
列車停止装置(ATS),自動列車制御装置(ATC)
など保安装置用の速度検出器からの速度信号,自動列車
運転装置(ATO)が持っている速度信号とする(な
お、同書ではATS,ATC,ATOを総称して自動列
車制御装置とし、Vtはそれに用いられる速度信号とす
る)。あるいは、速度計を動かすための非駆動輪の車軸
についた速度検出器からの出力信号か、または、電気車
の前後方向の加速度を測定するセンサを設けてその値を
積分したものを電気車速度信号としてもよい。この場合
加速度センサは速度センサと違って車体のどこに設けて
もよいので、制御装置の中に設けることで制御装置まで
の配線は必要なくなりコストを低減できる。
【0018】なお、この電気車の速度信号Vtは、後述
のシミュレーション結果でも示すように多少精度が低か
ったり、検出遅れがあっても構わない。その場合には、
Vtと実際の電気車速度の誤差は電流制御器81の出力
ΔFrで補正される。
【0019】すなわち、電気車の速度信号Vtにより電
流制御器81の出力である電動機の回転速度の推定値F
rを補正する理由は、電流制御器81の出力のみによ
る電動機の回転速度の推定値Frでの制御上の不安定を
カバーする。電気車を運転中にインバータを停止させ
る惰行運転からインバータを再起動させ力行または回生
運転させる際に、電流制御器の出力による電動機の回転
速度の推定値Frの不定をカバーするためである。
【0020】図3は本発明における速度推定器8の別の
構成例を示す。図2の構成例と異なる点は、比例器81
1と積分器812から成る電流制御器81の積分器81
2の初期設定にある。84は初期値設定器で、電気車の
速度信号Vtを電動機の回転速度に換算し、その値を電
流制御器81の積分器の初期値として設定する機能を持
つ。それは、電気車が停止している場合には、積分器の
初期値として0を入れればよいが、電気車走行中にイン
バータの動作を一旦停止(惰行運転)した後に再度イン
バータを動作させる場合には、積分器の初期値としてそ
の時点における電気車速度相当の電動機回転速度を入れ
る必要があり、この値を初期値設定器84で設定する。
このとき初期値として設定する電気車の速度信号Vt
は、後述のシミュレーション結果でも示すように多少精
度が低かったり、検出遅れがあっても制御上大きな影響
をもたらさないことがわかっている。
【0021】図4は本発明における速度推定器8の別の
構成例を示す。図2,図3の構成例と異なる点は、電動
機の回転速度を推定するにあたり電気車の速度信号Vt
を用いない点にある。電気車には図示しない運転指令発
生器が備えられ、そこから電気車のインバータの制御装
置へは、力行,回生の運転指令及び停止(惰行)といっ
た運転/停止指令が出力される。図4の構成例では、こ
の運転/停止指令に応動させて初期値設定器84,保持
器85を作動させる。電気車が停車時点から運転開始を
行う場合には初期値設定器84から積分器812の初期
設定値には0が設定される。次に運転が開始され所定の
速度になった時点で停止(惰行)指令が発せられるとイ
ンバータの動作は停止するが、停止時点で速度推定値F
rの値を保持器85に保持する。なお、ここでは速度推
定値Frの値の代わりに積分器812の出力を保持して
も構わない。初期値演算器86では、インバータが再起
動されるまで、保持した速度推定値Frを例えば電気車
の惰行中の転がり摩擦や空気抵抗及び惰行時間で考慮し
て惰行期間における電動機の回転速度を推定演算し、そ
の結果を初期値設定器84に出力する。なお、この初期
値演算器86は発明を達成する上では必ずしも要するも
のではないが、要しないときは、直接に保持しているF
rの値をそのまま初期値設定器84に出力するものであ
ってもよい。初期値設定器84は、初期値演算器86か
ら出力された値をインバータが停止状態から再起動する
場合に電流制御器81の積分器812の初期値として与
える。
【0022】以上、3構成例の速度推定器を説明した
が、そのうち図3の構成例の速度推定器を図1の制御装
置に用いたときのインバータの加減速制御特性を以下に
シミュレーションで確認した。
【0023】図5は、評価をする上で運転条件が厳しい
と思われる惰行運転から再起動させた場合のインバータ
加速特性についてのシミュレーション結果を示す。図5
(a)は、時間t(s)に対する励磁電流成分の指令値I
* とその検出値Id及びトルク電流成分の指令値Iq
*とその検出値Iqを、同図(b)は、時間t(s)に
対する電動機トルクを、同図(c)は、時間t(s)に
対する電動機の実回転速度(実Fr)と推定値(Fr)
を示す。同シミュレーションにあたり条件設定は、惰行
から再起動時に入る時に設定した積分器812の初期値
に実回転速度とは誤差があった場合を設定し、その実回
転速度が20Hzで初期値として18Hzを与え、t=0
から励磁電流指令Id*を立ち上げ、その後t=0.8s
のときトルク電流指令Iq* を立ち上げた。
【0024】同図において、励磁電流が立ち上がり始め
ると、速度推定器8の働きにより推定値Frが実回転速
度(実Fr)に速やかに収束しその後はほぼ一致してい
る。また、このように初期値に多少誤差があっても電流
制御器の働きにより推定値Frは実回転速度に一致する
ことがわかる。またトルク電流指令を立ち上げるとそれ
に比例してトルクが立ち上がっており、電動機の実際の
回転速度を用いなくても加速の制御が支障無くできるこ
とがわかる。なお、図では示さないが初期値の設定とし
て余りにも誤差が大きいと加速せずに実回転速度と異な
る値に収束することを確認しており、本発明による初期
値の与え方に重要な意味があることがわかった。
【0025】以上のことから、図1の電気車の制御構成
において、速度推定器8に図2乃至図4の構成例を用い
た実施例によれば、電気車走行中にインバータの動作を
一旦停止した後に再度インバータを動作させる場合に、
電動機の回転速度の検出値を用いる必要がなくなるとい
う効果が得られる。
【0026】なお、同シミュレーションでは、電流制御
器81のゲインK1,K2を固定したが、これを可変と
し、インバータの起動時または再起動時に初期値を用い
て速度推定値を求める際に電流制御器のゲインを通常動
作状態に比べて大きくする(制御器の応答速度を上げ
る)ことにより、速度推定値の初期値と実速度の間に誤
差がある場合に一致させるまでの時間をより短くするこ
とができることも確認している。これによれば、早く安
定した制御ができるという効果が得られる。
【0027】次に、本発明である回転速度センサの出力
を用いない図1の再粘着制御器10の詳細な構成につい
て説明する。先ず発明の原理について空転時を想定して
説明する。滑走については動作が逆になるだけで原理は
同じであるので、ここでの説明は省略する。図1におい
て電動機2で駆動される車輪(図示せず)に空転が発生
すると、回転速度が急に大きくなり、その分電動機に与
えられるすべり周波数が減少する。このとき電動機電流
つまりトルク電流Iqが減少し、減算器7の出力である
トルク電流偏差ΔIqが大きくなる。その結果速度推定
器8の電流制御器81が動作して、電動機回転速度推定
値Frが大きくなる。すなわち空転が発生して電動機回
転速度が大きくなると、回転速度推定値Frも同様に大
きくなるので、Frの変化を観測することによって空転
の発生を検知することができる。このまま何もしない
と、空転は発散してしまうので、Frの変化から空転を
検知して再粘着制御器10でトルク電流指令値Iq**
小さくするよう制御することによって空転を抑え再粘着
させる。
【0028】図6は、本発明の上記原理に基づく再粘着
制御器10の一構成例を示す。101は微分器で回転速度
推定値Frの時間変化量を求める。102は空転検知器
で微分器101の出力が所定の値を超えたときには、空
転発生と判定し、空転ON信号(1)を出力する。一旦
空転ONとなった後微分器101の出力が所定の値以下
に下がった場合には、空転終了と判断し、空転OFF信
号(0)を出力する。103はパターン発生器で空転O
N信号が入力されると、所定の割合で増加する量を出力
し、空転OFF信号が入力されると、出力が0になるま
で所定の割合で減少する量を出力し、0になると0を保
持する。
【0029】この再粘着制御器10の働きにより、空転
が発生してもそれを検知しトルク電流指令Iq**を小さ
くする出力ΔIq* を与えるので、電動機トルクが小さ
くなり、空転が抑えられ、再粘着に至る。再粘着すると
ΔIq* を徐々に元に戻すことによって必要なトルクを
確保する。なお、同構成例では、パターン発生器103の
所定パターンの出力よりトルク電流指令を絞り込んでい
るが、その代わりとして回転速度推定値Frの時間変化
量に応じてトルク電流を絞り込んでもよい。
【0030】図7は、上記図6の構成例を図1の制御装
置に適用したときの空転現象に対する動作の確認をシミ
ュレーションした結果である。図7の(a)(b)
(c)に示す特性は図5と同一としている。このシミュ
レーションでは、電動機のトルクが所定の値を超える
と、レールと車輪間の粘着力が減少して空転が発生する
としている。
【0031】図7(a)(b)(c)をみるように、空
転が発生するとトルク電流成分が絞り込まれており、こ
れから再粘着制御器10においてFr推定値の時間変化
率が所定の値を超えたことにより空転を検知し、トルク
電流を絞り込む動作が行われたものとわかる。また、そ
の動作後、トルク電流成分が回復しており再粘着制御が
行われていることがわかる。このシミュレーションでは
加速中に5回の空転が繰り返し発生しているが、いずれ
も空転による電動機速度が発散せずに再粘着制御が行わ
れていることがわかる。
【0032】このように本発明の構成によれば、空転の
発生に対しても速度推定値の変化により空転を検知して
再粘着制御を行うことにより電動機の回転速度を検出す
ることなく制御を行うことができるという効果が得られ
る。
【0033】以上の実施例では、誘導電動機をベクトル
制御のインバータで駆動することを対象に説明したが、
本発明はこれに限られるものではなく、インバータの出
力電流の瞬時値を制御する電流制御器の出力を電動機の
回転速度の推定値として速度センサレスを構成するもの
についても本発明を適用できることは勿論である。
【0034】また、本発明の実施例を鉄道を走行する電
気車を対象にした制御装置で説明したが、これに限られ
るものではなく、例えば、道路を走行する電気自動車に
おける制御装置に本発明を適用しても同様な効果が得ら
れることは勿論である。
【0035】
【発明の効果】本発明によれば、基本的には電動機の回
転速度を直接に検出することなく、推定した電動機回転
速度を用いてインバータにより電動機を可変速制御する
ことができ、特に電気車が走行している状態でインバー
タの動作を停止した後、再起動する場合にも簡単な構成
で回転速度を推定でき、スムーズな加減速制御が可能と
なる。さらに推定した電動機の回転速度に基づいて電流
指令を調整することにより電動機が空転,滑走した場合
にも再粘着させることができる。このとき再粘着制御は
電動機の実回転速度に依存していないので、速度センサ
の外乱などによる空転,滑走の誤検知がなくなり、粘着
性能の向上が図れるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の基本構成を示すブロック図。
【図2】本発明の速度推定器8の一構成図。
【図3】本発明の速度推定器8の別の構成図。
【図4】本発明の速度推定器8の別の構成図。
【図5】本発明によるインバータ再起動時におけるシミ
ュレーション結果。
【図6】本発明の再粘着制御器10の一構成図。
【図7】本発明による空転発生時におけるシミュレーシ
ョン結果。
【符号の説明】
1…インバータ、2…誘導電動機、3…電流指令発生
器、4,7…減算器、5…座標変換器、6…ベクトル制
御演算器、8…速度推定器、9…PWM信号演算器、1
0…再粘着制御器、11…直流電源、12…フィルタコ
ンデンサ、13…電気車速度検出器、14…電流検出
器。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鈴木 優人 茨城県ひたちなか市市毛1070番地 株式会 社日立製作所水戸工場内 (72)発明者 嶋田 基巳 茨城県ひたちなか市市毛1070番地 株式会 社日立製作所水戸工場内 (72)発明者 安田 高司 茨城県ひたちなか市市毛1070番地 株式会 社日立製作所水戸工場内 (72)発明者 仲田 清 茨城県ひたちなか市市毛1070番地 株式会 社日立製作所水戸工場内 (72)発明者 豊田 瑛一 茨城県ひたちなか市市毛1070番地 株式会 社日立製作所水戸工場内 Fターム(参考) 5H115 PA01 PA08 PC02 PG01 PI29 PU09 PV09 QE01 QE10 QE11 QI04 QN03 QN09 QN23 RB22 RB26 SE03 TB01 TO02 TO12 TO30 5H576 AA01 BB09 BB10 DD02 DD04 EE01 EE09 EE11 EE18 EE19 FF01 FF02 FF04 FF05 GG04 HB01 JJ03 JJ04 JJ17 JJ22 KK06 LL01 LL22

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】電気車を駆動する電動機と、該電動機に可
    変電圧可変周波数の交流を出力するインバータと、前記
    電動機の回転速度を推定する速度推定手段と、該推定手
    段からの回転速度推定値に基づいて前記インバータを制
    御する制御手段を備えた電気車の制御装置において、 電気車速度信号に基づいて電気車を自動制御する自動列
    車制御装置、電気車の非駆動輪の回転速度を検出する速
    度計、電気車の加速度を検出する加速度センサの内少な
    くとも一つが前記電気車に備えられ、前記速度推定手段
    は、それらから得られる電気車速度信号又は検出信号に
    基づき前記電動機の回転速度を推定する手段を有したこ
    とを特徴とする電気車の制御装置。
  2. 【請求項2】電気車を駆動する電動機と、該電動機に可
    変電圧可変周波数の交流を出力するインバータと、前記
    電動機の回転速度を推定する速度推定手段と、該推定手
    段からの回転速度推定値に基づいて前記インバータを制
    御する制御手段を備えた電気車の制御装置において、 前記インバータを停止させる電気車の惰行運転から、前
    記インバータを再起動させ力行または回生運転させる際
    に、前記惰行運転に入った時の前記速度推定手段におけ
    る回転速度の推定値を記憶する手段と、該記憶した回転
    速度の推定値に基づいて前記インバータの再起動時の電
    動機速度の推定値を設定する手段を有したことを特徴と
    する電気車の制御装置。
  3. 【請求項3】電気車を駆動する電動機と、該電動機に可
    変電圧可変周波数の交流を出力するインバータと、前記
    電動機の回転速度を推定する速度推定手段と、該推定手
    段からの回転速度推定値に基づいて前記インバータを制
    御する制御手段と、電気車速度信号に基づいて電気車を
    自動制御する自動列車制御装置、電気車の非駆動輪の回
    転速度を検出する速度計、電気車の加速度を検出する加
    速度センサの内少なくとも一つを備えた電気車の制御装
    置において、 前記速度推定手段は、前記インバータの出力電流を検出
    した検出値とその指令値との偏差を少なくとも積分器に
    入力しその偏差が小さくなるように前記回転速度の推定
    値を出力する手段と、該推定値を前記自動列車制御装置
    の電気車速度信号、前記速度計、前記加速度センサから
    の検出信号の少なくとも何れかより補正する手段とから
    なることを特徴とする電気車の制御装置。
  4. 【請求項4】電気車を駆動する電動機と、該電動機に可
    変電圧可変周波数の交流を出力するインバータと、前記
    電動機の回転速度を推定する速度推定手段と、該推定手
    段からの回転速度推定値に基づいて前記インバータを制
    御する制御手段と、電気車速度信号に基づいて電気車を
    自動制御する自動列車制御装置、電気車の非駆動輪の回
    転速度を検出する速度計、電気車の加速度を検出する加
    速度センサの内少なくとも一つを備えた電気車の制御装
    置において、 前記速度推定手段は、前記インバータの出力電流を検出
    した検出値とその指令値との偏差を少なくとも積分器に
    入力しその偏差が小さくなるように前記回転速度の推定
    値を出力する手段と、前記自動列車制御装置の電気車速
    度信号、前記速度計、前記加速度センサからの検出信号
    の少なくとも何れかより前記電動機の回転速度に相当し
    た回転速度想定値を演算する手段と、該回転速度想定値
    より前記速度推定手段の推定値の初期設定をする手段と
    からなることを特徴とする電気車の制御装置。
  5. 【請求項5】電気車を駆動する電動機と、該電動機に可
    変電圧可変周波数の交流を出力するインバータと、前記
    電動機の回転速度を推定する速度推定手段と、該推定手
    段からの回転速度推定値に基づいて前記インバータを制
    御する制御手段を備えた電気車の制御装置において、 前記速度推定手段は、前記インバータの出力電流を検出
    した検出値とその指令値との偏差を少なくとも積分器に
    入力しその偏差が小さくなるように前記回転速度の推定
    値を出力する手段と、前記インバータを停止させる電気
    車の惰行運転から、前記インバータを再起動させ力行ま
    たは回生運転させる際に、前記惰行運転に入った時の前
    記速度推定手段における回転速度の推定値を記憶する手
    段と、該記憶した回転速度の推定値に基づき前記インバ
    ータの再起動時の電動機速度の推定値を初期設定する手
    段を有したことを特徴とする電気車の制御装置。
  6. 【請求項6】請求項5において、前記再起動時の電動機
    の回転速度の推定値の初期値が、少なくとも前記記憶し
    た回転速度の推定値と電気車の惰行時間に基づき設定さ
    れること特徴とする電気車の制御装置。
  7. 【請求項7】電気車を駆動する電動機と、該電動機に可
    変電圧可変周波数の交流を出力するインバータと、前記
    電動機の回転速度を推定する速度推定手段と、該推定手
    段からの回転速度推定値に基づいて前記インバータを制
    御する制御手段を備えた電気車の制御装置において、 前記速度推定手段は、前記インバータの出力電流を検出
    した検出値とその指令値との偏差を少なくとも積分器に
    入力しその偏差が小さくなるように前記電動機の回転速
    度の推定値を出力する速度推定手段と、該速度推定手段
    の応答速度を可変とし前記インバータの起動時もしくは
    再起動時に上げる手段を有したことを特徴とする電気車
    の制御装置。
  8. 【請求項8】請求項3乃至7の何れかにおいて、前記速
    度推定手段におけるインバータの出力電流の検出値及び
    その指令値は、前記電動機のトルク成分に相当する検出
    値及びその指令値とすることを特徴とする電気車の制御
    装置。
  9. 【請求項9】請求項8において、前記速度推定手段で推
    定された前記電動機の回転速度の推定値の時間変化量を
    演算する手段と、該時間変化量が所定値を超えたことに
    応動させて、該時間変化量に応じて前記トルク成分指令
    値を減少させるか、又は所定の時間関数のパターンで前
    記トルク成分指令値を減少させる手段を有することを特
    徴とする電気車の制御装置。
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