JP2000319368A - 難燃性ポリエステル樹脂及びそれを用いた難燃性ポリエステル繊維 - Google Patents

難燃性ポリエステル樹脂及びそれを用いた難燃性ポリエステル繊維

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JP2000319368A JP12625899A JP12625899A JP2000319368A JP 2000319368 A JP2000319368 A JP 2000319368A JP 12625899 A JP12625899 A JP 12625899A JP 12625899 A JP12625899 A JP 12625899A JP 2000319368 A JP2000319368 A JP 2000319368A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】色相、耐加水分解性、耐ドリップ性が良好な難
燃性ポリエステル樹脂及びそれにより得られる難燃性ポ
リエステル繊維を得る。 【解決手段】燐化合物を燐原子として500〜50000ppm共
重合した、200℃、0.05mmHg以下の高真空下、5時間の熱
処理における粘度上昇速度が0.006dl/g・h以上であり、
かつ特定の加水分解速度を有する難燃性ポリエステル樹
脂及びそれにより得られる難燃性ポリエステル繊維。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、優れた難燃性を持
ち、色相と耐加水分解性が著しく改良されたポリエステ
ル樹脂及びそれにより得られるポリエステル繊維に関し
たもので、繊維としては衣料用、インテリア、詰め綿、
不織布、産業資材用など様々の分野で利用できる繊維で
ある。
【0002】
【従来の技術】従来、ポリエステル、特にポリエチレン
テレフタレートの優れた化学的、物理的性質を利用し、
繊維として衣料用途、インテリア、詰め綿、不織布、産
業資材用途などに広く使用されている。しかしながら、
ポリエチレンテレフタレート繊維は難燃性の面では不充
分であり、この点の改良についていろいろな努力が払わ
れている。例えば、ポリマー製造時に難燃剤を添加し、
共重合またはブレンドする方法、成形品の製造時に難燃
剤を練り込む方法、さらにはポリエステルからの成形品
を後加工し、成形品の表面あるいは内部まで難燃剤を付
着あるいはしみこませる方法などが提案されており、繊
維の場合にもこれらの方法が用いられる。
【0003】上記の方法のうち、後加工により難燃性を
付与する方法は、風合いが粗雑になったり、洗濯、摩擦
により難燃剤が脱落して性能が低下したりする欠点があ
る。また難燃剤を練り込む方法では、成形物の製造工程
において難燃剤のしみだしが起こり、トラブルを引き起
こす原因となる。それに対してポリマー製造時に難燃剤
を共重合させる方法は、上述したような欠点を克服で
き、最も工業的価値の高いものである。この難燃剤を共
重合する方法としては、これまでにも多くの方法が提案
されており、例えば特公昭49ー22958号公報には
リン化合物としてリン酸エステルをポリエステルに共重
合することが開示されているが、目的とする難燃性を付
与させる量までリン化合物を配合すると、3次元化によ
りポリエステルのゲル化が生じるため、繊維にしたとき
の物性が著しく低下する。また、特公昭36ー2105
0号、特公昭38ー9447号公報に記載の方法では、
リン化合物としてホスホン酸またはホスホン酸エステル
類を用いているが、ポリマー製造時にリン化合物の飛散
が多く、目的とするリン量を配合できない。こうした問
題点を解決する方法として特公昭53ー13479号公
報記載の方法でカルボキシホスフィン酸を共重合する方
法が開示されている。しかし、ポリエステル主鎖にリン
酸エステル結合が導入されるため、耐加水分解性が悪化
し、特に染色工程などの後加工工程で糸の強度が低下す
るという問題があった。そこで、特公昭55ー4161
0号記載の方法では、リン酸エステル結合を側鎖に持つ
リン化合物を共重合することを提案している。しかし、
リン化合物によるアンチモン触媒の還元による黒ずみ
と、モノマー自体の黄色味による色相の悪さが問題であ
った。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明はリン化合物共
重合難燃性ポリエステル繊維における、上記種々の問題
を解決することを課題とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために種々の検討を行った結果、ついに本発
明を完成するに至った。すなわち、本発明は、エチレン
テレフタレートを主たる構成単位とし、燐化合物を燐原
子として500〜50000ppm共重合した難燃性ポリエステル
であり、200℃、0.05mmHg以下の高真空下、5時間の熱処
理における粘度上昇速度が0.006dl/g・h以上であり、か
つ下記(式1)を満足することを特徴とする難燃性ポリ
エステル樹脂についてである。 %B.B.<0.5 (式1) (但し、%B.B.は130℃の純水中に6時間浸漬した時のエ
ステル結合の切れる度合いを示し、浸漬前の固有粘度を
[η]i、浸漬後を[η]fとしたとき下記(式2)で求めら
れる。なお、固有粘度はフェノール/1,1,2,2-テトラク
ロロエタンの混合溶媒(重量比3/2)中、30℃で測定した
値を用いた。) %B.B. = 0.244 X [ [η]f -1.471 - [η]i -1.471} (式2) また好適には、前記燐化合物が、下記一般式(1)で示さ
れる燐化合物であることを特徴とする難燃性ポリエステ
ル樹脂である。
【化2】 (式中、R1は1価のエステル形成性官能基であり、R2,R3
は同じかまたは異なる基であって、それぞれハロゲン原
子、炭素原子数1〜10の炭化水素基、R1より選ばれ、Aは
2価もしくは3価の有機残基を表わす。また、mは1また
は2を表し、n,pはそれぞれ0〜4の整数を表わす。) また、前記ポリエステル樹脂を紡糸して得られる難燃性
ポリエステル繊維である。
【0006】以下本発明を詳細に説明する。まず本発明
の繊維に難燃剤として用いられるリン化合物としては一
般にリン原子(P)を含有するエステル形成化合物であ
れば限定されない。例えば、下記一般式(2)〜(6)で表
わされるような化合物が挙げられる。
【0007】
【化3】
【0008】
【化4】
【0009】
【化5】
【0010】
【化6】
【0011】
【化7】 (Rは1価の有機基または金属原子、Aは2価もしくは3価の
有機残基、Bは1価のエステル形成官能基、qは1または2
を表わす)
【0012】一般式(2)の化合物の好ましい例として
は、トリメチルフォスフェート、トリフェニルフォスフ
ェートなどがあげられる。
【0013】一般式(3)の化合物の好ましい例として
は、メチルホスホン酸、メチルホスホン酸ジメチル、メ
チルホスホン酸ジフェニル、フェニルホスホン酸、フェ
ニルホスホン酸ジメチル、フェニルホスホン酸ジフェニ
ルなどがあげられる。
【0014】一般式(4)の化合物の好ましい例として
は、2-カルボキシエチル-メチルホスフィン酸、2-カル
ボキシエチル-エチルホスフィン酸、2-カルボキシエチ
ル-プロピルホスフィン酸、2-カルボキシエチル-フェニ
ルホスフィン酸、2-カルボキシエチル-m-トルイルホス
フィン酸、2-カルボキシエチル-p-トルイルホスフィン
酸、2-カルボキシエチル-キシリルホスフィン酸、2-カ
ルボキシエチル-ベンジルホスフィン酸、2-カルボキシ
エチル-m-エチルベンジルホスフィン酸、2-カルボキシ
メチル-メチルホスフィン酸、2-カルボキシメチル-エチ
ルホスフィン酸、2-カルボキシエチル-プロピルホスフ
ィン酸、2-カルボキシメチル-フェニルホスフィン酸、2
-カルボキシメチル-m-トルイルホスフィン酸、2-カルボ
キシメチル-p-トルイルホスフィン酸、2-カルボキシメ
チル-キシリルホスフィン酸、2-カルボキシメチル-ベン
ジルホスフィン酸、2-カルボキシメチル-m-エチルベン
ジルホスフィン酸、及びこれらの環状酸無水物、或いは
これらのメチルエステル、エチルエステル、プロピルエ
ステル、ブチルエステル、エチレングリコールエステ
ル、プロピオングリコールエステル、ブタンジオールと
のエステルなどが挙げられる。
【0015】一般式(5)の化合物の好ましい例として
は、例えばビス-(2-カルボキシエチル)フェニルホスフ
ィンオキシド、ビス-(2-カルボキシエチル)m-トルイル
ホスフィンオキシド、ビス-(2-カルボキシエチル)p-ト
ルイルホスフィンオキシド、ビス-(2-カルボキシエチ
ル)キシリルホスフィンオキシド、ビス-(2-カルボキシ
エチル)ベンジルホスフィンオキシド、ビス-(2-カルボ
キシエチル)m-エチルベンジルホスフィンオキシド、ビ
ス-(2-カルボキシメチル)フェニルホスフィンオキシ
ド、ビス-(2-カルボキシメチル)m-トルイルホスフィン
オキシド、ビス-(2-カルボキシメチル)p-トルイルホス
フィンオキシド、ビス-(2-カルボキシメチル)キシリル
ホスフィンオキシド、ビス-(2-カルボキシメチル)ベン
ジルホスフィンオキシド、ビス-(2-カルボキシメチル)m
-エチルベンジルホスフィンオキシド、及び、これらの
環状酸無水物、或いはこれらのメチルエステル、エチル
エステル、プロピルエステル、ブチルエステル、エチレ
ングリコールエステル、プロピオングリコールエステ
ル、ブタンジオールとのエステルなどが挙げられる。
【0016】一般式(6)のR',R"は同一または異なる1価
の有機残基を表わし、互いに環を形成していても構わな
い。(6)で示される燐化合物の具体的な例を以下(化8)
〜(化66)に示す。これら化合物のメチルエステル、エ
チルエステル、プロピルエステル、ブチルエステル、プ
ロピオングリコールエステル、ブタンジオールとのエス
テルなどのアルキルエステル、シクロアルキルエステ
ル、アリールエステル、または、エチレングリコールエ
ステルなどのアルキレングリコールエステル、またはこ
れらの環状酸無水物、エステルオリゴマーなど、その誘
導体が挙げられるがこれに限定されるものではない。さ
らに、これらの混合物をもちいることも可能である。
【0017】
【化8】
【0018】
【化9】
【0019】
【化10】
【0020】
【化11】
【0021】
【化12】
【0022】
【化13】
【0023】
【化14】
【0024】
【化15】
【0025】
【化16】
【0026】
【化17】
【0027】
【化18】
【0028】
【化19】
【0029】
【化20】
【0030】
【化21】
【0031】
【化22】
【0032】
【化23】
【0033】
【化24】
【0034】
【化25】
【0035】
【化26】
【0036】
【化27】
【0037】
【化28】
【0038】
【化29】
【0039】
【化30】
【0040】
【化31】
【0041】
【化32】
【0042】
【化33】
【0043】
【化34】
【0044】
【化35】
【0045】
【化36】
【0046】
【化37】
【0047】
【化38】
【0048】
【化39】
【0049】
【化40】
【0050】
【化41】
【0051】
【化42】
【0052】
【化43】
【0053】
【化44】
【0054】
【化45】
【0055】
【化46】
【0056】
【化47】
【0057】
【化48】
【0058】
【化49】
【0059】
【化50】
【0060】
【化51】
【0061】
【化52】
【0062】
【化53】
【0063】
【化54】
【0064】
【化55】
【0065】
【化56】
【0066】
【化57】
【0067】
【化58】
【0068】
【化59】
【0069】
【化60】
【0070】
【化61】
【0071】
【化62】
【0072】
【化63】
【0073】
【化64】
【0074】
【化65】
【0075】
【化66】
【0076】また、一般式(1)は一般式(6)に含まれる。
【化67】 (式中、R1は1価のエステル形成性官能基であり、R2,R3
は同じかまたは異なる基であって、それぞれハロゲン原
子、炭素原子数1〜10の炭化水素基、R1より選ばれ、Aは
2価もしくは3価の有機残基を表わす。また、mは1また
は2を表し、n,pはそれぞれ0〜4の整数を表わす。) ここでR2,R3は、例えば塩素原子、臭素原子などのハロ
ゲン原子、炭素数1〜10のアリキル基、アルコキシル
基、フェニル基、フェノキシ基、シクロアルキル基、シ
クロアルコキシ基、アラルキル基、アラルキルオキシ
基、アリール基、アリールオキシ基が挙げられ、その具
体例としては、例えば、メチル、メトキシ、エチル、エ
トキシ、プロピル、プロポキシ、ペンチル、ペントキ
シ、フェニル、フェノキシ、トリル、トリロキシ、キシ
リル、キシリロキシ、クメニル、クメニロキシ、ナフチ
ル、ナフチロキシなどが好ましく、メチル、フェニル、
メトキシ、フェノキシ、トリル、トリロキシ、キシリ
ル、キシリロキシなどが好ましい。
【0077】式中R1としては具体的にはカルボキシル
基、カルボキシル基の炭素原子数が1〜6のアルキルエス
テル、シクロアルキルエステル、アリールエステル、ア
ルキレングリコールエステル、ヒドロキシル基、炭素原
子数2〜7のヒドロキシルアルコキシカルボニル基及び、
下記(化68)で示される基などが挙げられる。
【化68】
【0078】一方、Aとして好ましいものには、メチレ
ン、エチレン、1,2-プロピレン、1,3-プロピレンなどの
低級アルキレン基、1,3-フェニレン、1,4-フェニレンな
どのアリーレン基、1,3-キシリレン、1,4-キシリレン、
下記(化69)などの2価の基、下記(化70)(R4は水素原
子またはメチル、エチルなどの低級アルキル基、rは0
または1を表わす。)で示される3価の基、下記(化71)
などが挙げられる。
【0079】
【化69】
【0080】
【化70】
【0081】
【化71】
【0082】なお、上記の炭化水素基は塩素原子、臭素
原子などのハロゲン原子で置換されていてもよい。
【0083】一般式(1)で示される燐化合物の具体的な
例を(化72)〜(化108)に示す。これら化合物のメチ
ルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、ブチ
ルエステル、プロピオングリコールエステル、ブタンジ
オールとのエステルなどのアルキルエステル、シクロア
ルキルエステル、アリールエステル、または、エチレン
グリコールエステルなどのアルキレングリコールエステ
ル、またはこれらの環状酸無水物など、その誘導体が挙
げられるがこれに限定されるものではない。さらに、こ
れらの混合物をもちいることも可能である。
【0084】
【化72】
【0085】
【化73】
【0086】
【化74】
【0087】
【化75】
【0088】
【化76】
【0089】
【化77】
【0090】
【化78】
【0091】
【化79】
【0092】
【化80】
【0093】
【化81】
【0094】
【化82】
【0095】
【化83】
【0096】
【化84】
【0097】
【化85】
【0098】
【化86】
【0099】
【化87】
【0100】
【化88】
【0101】
【化89】
【0102】
【化90】
【0103】
【化91】
【0104】
【化92】
【0105】
【化93】
【0106】
【化94】
【0107】
【化95】
【0108】
【化96】
【0109】
【化97】
【0110】
【化98】
【0111】
【化99】
【0112】
【化100】
【0113】
【化101】
【0114】
【化102】
【0115】
【化103】
【0116】
【化104】
【0117】
【化105】
【0118】
【化106】
【0119】
【化107】
【0120】
【化108】
【0121】前記リン化合物は、本発明の難燃性ポリエ
ステルを製造する際にメタノール、エタノールなどの1
価アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコ
ール、ブチレングリコールなどの2価アルコールに溶解
もしくは分散させて反応系に添加するのが好ましい。
【0122】また、これらのリン化合物はポリマー中の
リン元素量が500〜50000ppmとなるように添加される。
好ましくは1000〜10000ppmである。リン化合物の量がこ
の範囲より少ない場合には十分な難燃性能を発現せず、
まだ逆に多い場合には、ポリエステル本来が持つ物理的
性質を損なうだけでなく、ポリエステル繊維を製造する
際の、操業性も低下するので好ましくない。
【0123】かかるポリエステルを得る方法としては、
特別な重合条件を採用する必要はなく、ジカルボン酸及
び/またはそのエステル形成性誘導体とグリコールとの
反応生成物を重縮合して、ポリエステルにする際に採用
される任意の方法で合成することができる。
【0124】また、前記リン化合物はポリエステルの製
造時に添加されるが、その添加時期は、エステル化工程
初期から、初期縮合後期までの任意の段階で添加でき
る。副反応の抑制、反応機台の腐食の問題などから、エ
ステル化工程の後期から初期縮合初期に添加するのが好
ましい。
【0125】本発明において主たる構成単位がエチレン
テレフタレートであるポリエステルとは、反復構成単位
の70mol%以上がエチレンテレフタレートであり、原料成
分としてはテレフタル酸またはテレフタル酸ジメチルと
エチレングリコールまたはエチレンオキサイドである。
共重合成分としては、前記一般式化1で示したリン化合
物を用いるが、その他にも、本発明の効果を損なわない
範囲において、イソフタル酸、1,5-ナフタレンジカルボ
ン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、5-ナトリウムスル
ホイソフタル酸、4,4'-ジフェニルジカルボン酸、ビス
(4-カルボキシフェニル)エーテル、ビス(4-カルボキシ
フェニル)スルホン、1,2-ビス(4-カルボキシフェノキ
シ)エタン、2,5-ジブロムテレフタル酸、テトラブロム
テレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸およびそれらの誘
導体、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ヘキサ
ヒドロテレフタル酸などの脂肪族、脂環族ジカルボン酸
およびそれらの誘導体、あるいはこれらの混合物をもち
いることも可能である。一方、トリメチレングリコー
ル、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコー
ル、1,4-シクロヘキンジオール、1,4-シクロヘキンジメ
タノール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコ
ールなどのグリコール、p-ヒドロキシ安息香酸、p-ヒド
ロキシエトキシ安息香酸、オキシピバリン酸などのオキ
シカルボン酸およびその誘導体、またはこれらの混合物
をもちいることも可能である。
【0126】本発明における重合触媒としては、アンチ
モン化合物が挙げられる。例えば、三酸化アンチモン、
五酸化アンチモン、アンチモングリコラート、酢酸アン
チモン、アンチモンアルコラート、アンチモンフェノレ
ートなどである。また、ポリマーカラー、加水分解性な
ど物性を損なわない程度、他の従来公知の化合物を併用
することも可能である。従来公知の化合物としては、ゲ
ルマニウム化合物、チタン化合物などの金属化合物が挙
げられる。
【0127】上記アンチモン化合物は、リン化合物また
はその不純物によって一部失活する可能性があるため、
アンチモン原子(Sb)の量(ppm)としてリン原子
(P)の量(ppm)に対して0.01P+150≦Sb≦0.01P+3
40の範囲で添加されることが好ましい。0.01P+150より
少ないと、重合時間が増大することにより、着色する傾
向があり、逆に0.01P+340より多いと、還元物の生成に
より操業性の悪化、黒ずみが問題になる場合がある。
【0128】本発明において、コバルト化合物は整色剤
として添加される。具体的には酢酸コバルト、ぎ酸コバ
ルト、塩化コバルト、プロピオン酸コバルト、ヒドロキ
シ安息香酸コバルトなどが挙げられる。コバルト原子
(Co)の量(ppm)は、リン原子(P)の量(ppm)に対し
て、0.01≦Co/P≦0.03の範囲で添加されることが好まし
い。Co/P=0.01より少ないと、十分な整色効果が得られ
にくくなる傾向があり、Co/P=0.03より多いと、ポリマ
ーカラーの青味が強くなり過ぎる傾向がある。特に上記
式の範囲を満足する時と、良好な色相が得られる。
【0129】また、ポリエステルを製造する際に通常用
いられる添加剤、例えば、有機アミン、有機カルボン酸
アミド、また、酢酸ナトリウム、酢酸リチウムなどの塩
基性塩など、いわゆるエーテル結合の抑制剤、酸化チタ
ン、カーボンブラックなどの顔料、可塑剤、安定剤、静
電剤、整色剤などを添加してもよい。
【0130】さらに公知のブレンド型の難燃剤と組み合
わせて、難燃性能の一層の向上をはかることも自由であ
る。ブレンド型の難燃剤としては例えば、テトラブロモ
ビスフェノール(TBA)、デカブロモジフェニルオキサイ
ド(DBDPO)、ヘキサブロモシクロドデカン(HBCD)、オク
タブロモジフェニルオキサイド、ビストリブロモフェノ
キシエタン(BTBPE)、トリブロモフェノール(TBP)、エチ
レンビステトラブロモフタルイミド、TBAポリカーボネ
ートオリゴマー、臭素化ポリスチレン、TBAエポキシオ
リゴマー・ポリマー、デカブロモジフェニルエタン、ポ
リジブロモフェニルオキサイド、ヘキサブロモベンゼン
などの臭素化合物、塩素化パラフィン、パークロロシク
ロペンタデカンなどの塩素化合物などのハロゲン系難燃
剤が挙げられる。または、リン酸エステル系、含ハロゲ
ンリン酸エステル系、ポリリン酸塩、赤リンなどのリン
系難燃剤、シリコーンポリマー粉末などのシリコーン系
難燃剤、トリアジン化合物、メラニンシアヌレート、グ
アニジン化合物などの有機系難燃剤が挙げられる。さら
に、三酸化アンチモン、水酸化アルミニウム、窒素化グ
アニジン、五酸化アンチモン、水酸化マグネシウム、ほ
う酸亜鉛、ジルコニウム化合物、アルミン酸カルシウ
ム、リン酸アンモン、炭酸アンモン、モリブデン化合
物、錫酸亜鉛などの無機系難燃剤が挙げられる。上記の
難燃剤は、記載のものに限定されず、その誘導体、類似
体を含む。また、これら難燃剤は単一で使用しても、複
数で使用しても構わない。
【0131】本発明で得られるポリエステル樹脂は、20
0℃、0.05mmHg以下の高真空下、5時間の熱処理における
粘度上昇速度が0.006dl/g・h以上であることが特徴であ
る。該特徴を有する難燃性ポリエステル樹脂は、驚くべ
きことに、難燃性試験において、溶融ドリップが抑制さ
れ、接炎回数が向上する効果がある。好ましくは、0.00
7dl/g以上、さらに好ましくは0.008dl/g以上である。
【0132】本発明において、難燃性ポリエステルを製
造する場合、前記一般式(1)で示されるリン化合物はリ
ン原子が環員子になっているためか、通常使用されるリ
ン化合物を用いる場合に比較して極めて熱的に安定であ
る。従って、特に色調が良く、また従来の耐炎性ポリエ
ステルより優れた物性を有している。そのため、このポ
リエステルは優れた性質を有する難燃性成形品を製造す
ることが可能である。
【0133】なお、本発明の実施に際して用いる前期一
般式(1)で示されるリン化合物のエステル形成性官能
基が1個の場合には上記リン化合物は末端停止剤として
作用することもあるので、公知の多官能性化合物、例え
ば、ペンタエリスリトール、3官能性カルボン酸などを
併用するのが好ましい。
【0134】上記ポリエステルを用いて繊維を製造する
方法としては従来公知の方法を採用することができ、紡
糸速度は一般的に用いられる700〜2000m/minあるいはPO
Y領域と言われる2000〜4000m/min、高速領域である4000
〜8000m/minでもよい。糸の太さは特に限定されず、1dp
f以下の極細から100dpf以上の極太まで自由である。用
途により仮撚り、倦縮を施してよく、繊維の断面形状も
丸、三角、中空等自由である。また、他のポリエステ
ル、ポリエチレン等との複合紡糸も可能である。
【0135】なお、本発明難燃性ポリエステル繊維は耐
加水分解性が前記式1で示される範囲であることが必要
である。耐加水分解性が上式の範囲より大きいと、染色
等の後工程通過時に繊維あるいは布帛としての強度が低
下し、工程通過性が悪くなったり、製品の特性を損なう
ので好ましくない。
【0136】
【作用】以上詳述したように本発明は、優れた難燃性、
耐ドリップ性を有しつつ、これまで問題であった色相、
耐加水分解性を改善した難燃性ポリエステル樹脂につい
てである。
【0137】
【実施例】以下に実施例を用いて本発明をより具体的に
説明するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。なお、実施例中、部とあるのは重量部を、%とある
のは重量パーセントを意味する。 (難燃性)JISL-1091D法に準じて評価した。接炎回数3
回以上で合格である。 (色相)チップのカラーをハンター色差計によるL値、b
値で示した。L値は大きくなるほど、白味の強いことを
示し、b値は大きいほど黄味が強いことを示す。 (粘度上昇速度)チップ3gを内径20mm、長さ160mmの試
験官に入れ、200℃、0.05mmHg以下の高真空下、5時間処
理後の固有粘度 [η]fと処理前の固有粘度[η]iを測定
し、下記式3より粘度上昇速度を算出した。なお、チッ
プの形状は楕円柱型(楕円長軸4mm、楕円短軸2m
m、高さ4mm)であった。 粘度上昇速度(dl/g・h)=[[η]fー[η]i]/5 (式3) (なお、固有粘度はパラクロロフェノール溶媒中、30℃
で測定した値を用いた。) (耐加水分解性)延伸糸を130度純水中、加圧下で60分
間処理し、処理前後の固有粘度の変化から前記式2に従
って算出した。なおサンプルは、常法により溶融紡糸し
た低配向未延伸糸を最大延伸倍率×0.7の延伸倍率で
延伸、セットして得られた50デニール24フィラメントの
マルチフィラメントで行われる。固有粘度はフェノール
/1,1,2,2-テトラクロロエタン混合溶媒中(重量比3:
2)30度で測定した値より求めたものである。
【0138】(実施例1)撹拌機、蒸留塔、圧力調整器
を備えたステンレス製オートクレーブにテレフタル酸40
1部、リン化合物(7)45部(リン含有量6000ppm)と300部の
エチレングリコールを仕込み、さらに三酸化アンチモン
を0.17部、酢酸コバルト4水和物0.02部、トリエチルア
ミン1.7部を加えて230度、ゲージ圧2.5kg/cm2でエステ
ル化に生成する水を逐次除去しながら2時間エステル化
反応を行った。続いて1時間で系の温度を275度まで昇温
して、この間に系の圧力を徐徐に減じて0.1mmHgとし、
この条件下で2時間重縮合反応を行った。得られたポリ
マーの固有粘度は0.59であった。このポリマーを常法に
より、紡糸、延伸して得た50デニール24フィラメントの
メリヤス編みサンプルの接炎回数は5回で耐加水分解性
を表わす尺度である%B.B.は0.353であった。また、カラ
ーb値は1.2であり、色相、耐加水分解性ともに良好であ
った。
【0139】(実施例2〜4、比較例1〜2)実施例1にお
いて、リン化合物の種類、リン化合物、アンチモン、コ
バルトの添加量を表1に示すように変更し、ポリマーを
重合し、粘度上昇速度、カラーb値、耐加水分解性を評
価した。その結果を表1に示す。比較例1,2では、主鎖
にリン酸エステル結合が導入されるため、(7)と同量の
リンを共重合させても、耐加水分解性が悪いことが分か
った。また、比較例2では、コバルトを添加していない
ため、カラーb値が顕著に悪化した。さらに、比較例1
では、接炎回数が5回ではあるものの、粘度上昇速度が
遅いため、耐ドリップ性が不良であった。
【表1】
【0140】
【化109】
【0141】
【化110】
【0142】
【化111】
【0143】
【化112】
【0144】
【発明の効果】前記表1より明らかなように、本発明難
燃性ポリエステル繊維は、優れた難燃性を有するととも
に、色相、耐加水分解性が非常に優れており、その用途
展開が飛躍的に広がり、産業界に寄与すること大であ
る。
フロントページの続き Fターム(参考) 4J029 AA01 AB01 AC02 AD01 AD10 AE02 BA03 BA04 BA05 BA10 BD03A BD07A BE07 BF09 BF25 BF30 BH02 BH03 CA02 CA06 CB05A CB05B CB06A CB06B CB10A CB12A CC06A CD03 CF03 CG06 CH07 DB01 DB13 DC05 DC09 EA05 EB05A ED08A HA01 HA07 HB01 HB03A HB03C HB09 JB173 JC023 JC123 JF023 JF033 JF471 JF573 KB02 KD06 KD07 KE03 KE06 4L035 EE04 EE14 EE20 FF01 FF04 FF05 HH10

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エチレンテレフタレートを主たる構成単
    位とし、燐化合物を燐原子として500〜50000ppm共重合
    した難燃性ポリエステルであり、200℃、0.05mmHg以下
    の高真空下、5時間の熱処理における粘度上昇速度が0.0
    06dl/g・h以上であり、かつ下記(式1)を満足すること
    を特徴とする難燃性ポリエステル樹脂。 %B.B.<0.5 (式1) (但し、%B.B.は130℃の純水中に6時間浸漬した時のエ
    ステル結合の切れる度合いを示し、浸漬前の固有粘度を
    [η]i、浸漬後を[η]fとしたとき下記(式2)で求めら
    れる。なお、固有粘度はフェノール/1,1,2,2-テトラク
    ロロエタンの混合溶媒(重量比3/2)中、30℃で測定した
    値を用いる。) %B.B. = 0.244 X [ [η]f -1.471 - [η]i -1.471} (式2)
  2. 【請求項2】 前記燐化合物が、下記一般式(1)で示さ
    れる燐化合物であることを特徴とする難燃性ポリエステ
    ル樹脂。 【化1】 (式中、R1は1価のエステル形成性官能基であり、R2,R3
    は同じかまたは異なる基であって、それぞれハロゲン原
    子、炭素原子数1〜10の炭化水素基、R1より選ばれ、Aは
    2価もしくは3価の有機残基を表わす。また、mは1また
    は2を表し、n,pはそれぞれ0〜4の整数を表わす。)
  3. 【請求項3】 請求項1,または2に記載の難燃性ポリエ
    ステル樹脂を、紡糸して得られる難燃性ポリエステル繊
    維。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP3259840B2 (ja) 1999-12-03 2002-02-25 東洋紡績株式会社 難燃ポリエステル繊維
WO2005056646A1 (ja) * 2003-12-09 2005-06-23 Toyo Boseki Kabushiki Kaisha マスターバッチ用熱可塑性樹脂組成物およびその成形材料の製造方法およびそれらを用いた熱可塑性樹脂組成物およびその製造方法
CN100567376C (zh) * 2003-12-09 2009-12-09 东洋纺织株式会社 母料用热塑性树脂组合物及其成形材料的制造方法、以及热塑性树脂组合物及其制造方法

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