JP2000334279A - 人工透析用再生セルロース系分離膜 - Google Patents

人工透析用再生セルロース系分離膜

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JP2000334279A
JP2000334279A JP11150471A JP15047199A JP2000334279A JP 2000334279 A JP2000334279 A JP 2000334279A JP 11150471 A JP11150471 A JP 11150471A JP 15047199 A JP15047199 A JP 15047199A JP 2000334279 A JP2000334279 A JP 2000334279A
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membrane
cellulose
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aqueous solution
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Makiko Hattori
真貴子 服部
Masatoshi Saito
政利 斉藤
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 透析用再生セルロース膜の血液適合性を改良
し、長時間に渡り優れた補体活性抑制効果が持続する新
規な構造を持つ再生セルロース系分離膜、および該膜の
環境負荷が低減される水媒体中で短時間で得る製法を提
供する。 【解決手段】 人工透析膜であって、該膜の血液と接触
する面に、−NH−R(ここで、R=Ca b
d w 、aは6以上、6≦b≦2a+1、0≦d≦0.
5a、0≦w≦0.2a、Xはリン原子及び/又は窒素
原子を表す。)の構造がセルロースのグルコピラノース
環由来の炭素原子に直接結合して、補体消費率が30%
以下になる量存在する再生セルロース系分離膜、および
その製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は人工透析療法等に用
いられる再生セルロース系分離膜及びその製法に関す
る。更に詳しくは、再生セルロース膜の持つ優れた透析
性能を損なうことなく、血液適合性を向上させるよう改
質された新規な構造を持つ再生セルロース系分離膜、及
び環境負荷が低減される水媒体中で、短時間の反応で得
ることのできる上記再生セルロース系分離膜の製法に関
する。
【0002】
【従来の技術】血液浄化療法において、再生セルロース
膜、とりわけ銅アンモニア法再生セルロース膜は広く用
いられ、透析装置や透析技術の進歩とともに、腎不全患
者の延命や社会復帰に大きな役割を果たしている。これ
は再生セルロース膜が高い透水性能と優れた膜強度、分
離性能を有するとともに、長年の実績に裏付けられた高
い安全性を有しているからに他ならない。
【0003】しかしながら、透析に伴う様々な問題が未
解決で残されている。特に、再生セルロース膜において
は、セルロース分子が持つ水酸基の作用により、血液中
の補体成分が活性化され、透析療法初期に白血球一過性
減少などの症状がみられる等の問題が指摘されている。
この補体成分の活性度合いは、未処理の再生セルロース
では本発明で採用した補体消費率測定で60〜70%に
達しており、実用上この値を半分以下にすることが要求
されている。
【0004】このセルロース分離膜一般に見られる補体
活性化反応を抑制するために、セルロース膜表面に高生
体適合性物質をコーティングする方法やセルロースの水
酸基を化学修飾する方法等が提案されている。コーティ
ング技術として、例えば再生セルロース膜に脂溶性ビタ
ミンをコーティングする方法がある。特開昭60−80
462号公報には、ビタミンA、ビタミンD、ビタミン
E、ビタミンKおよびユビキノンなどのうち少なくとも
1種を塩化弗化炭化水素や弗化炭化水素(いわゆる、液
状フロン)に溶解してセルロース膜の表面に皮膜形成さ
せる方法が記載されている。同公報によれば、有機溶媒
の場合に比べ強固な皮膜が形成され、かつ乾燥時間が短
縮されるとしている。しかし、周知のように、当該フロ
ン化合物は、全廃又は排出削減の対象に指定されており
実施上の問題がある。
【0005】また、特開昭59−203565号公報に
は、2−ヒドロキシエチルメタクリレートのホモポリマ
ーもしくは2−ヒドロキシエチルメタクリレートとビニ
ル単量体とのコポリマーをエタノールなどの有機溶媒に
溶解してコーティングした膜が開示されているが、高湿
雰囲気下で長期保存すると改良した血液適合性が次第に
喪失していく現象が指摘されていおり、充分な性能を発
現することができない。これらのコーティングによる改
質技術には、根本的に、血液中への脱落や、それに伴う
効果の減少が懸念され、実用性能上或いは製造法上の課
題がある。
【0006】本発明は、出発セルロースの水酸基の代わ
りに炭素原子に化学結合によりアミン骨格を導入した構
造であり、上記発明とは異なる。一方、化学修飾による
改質法としては、例えば、イソシアネートプレポリマー
を有機溶媒中で反応させる方法(特開昭61−8105
号公報)がある。該方法では、反応物質自体の安定性/
安全性の問題があると同時に、過剰のプレポリマーの除
去のため反応終了後有機溶媒を用いた充分な洗浄が不可
欠である。その為、試薬残留の危険性を免れないと同時
に、多量の有機溶媒を必要とする工程となる。該発明で
は、ウレタン結合を持つ構造体が得られるため、本発明
とは異なる。
【0007】また、特開平1−99609号公報や特開
平1−297103号公報には脂肪族カルボン酸無水物
や、ポリエチレングライコール無水物をエステル結合さ
せる方法などが開示されている。これらの技術により得
られたセルロース系分離膜は、充分な生体適合性を示し
てはいるが、反応溶媒としてフロンや代替フロン、もし
くは有機溶媒を用いており、既述の如く製法上改良の余
地が残されている。該発明は、エステル結合を持つ構造
体が得られるため、本発明とは異なる。
【0008】また、特開昭60−118203号公報に
は、水媒体中の反応として、ブリッジ剤を介してセルロ
ースの水酸基にポリマー酸を結合させる方法が提案され
ている。この方法では、ブリッジ剤としてジアミンをセ
ルロース膜に導入する工程が必要であり、かつポリマー
酸をアミド結合で導入する反応工程が必要であり、工程
が複雑である等の課題がある。また同公報の実施例に
は、ブリッジ剤の導入に24時間、さらにポリマー酸の
結合に24時間がかかるとの記載があり、実用上反応時
間の長さなどの問題がある。同発明は、アミド結合を持
つ構造体であり、本発明とは異なる。以上述べてきたよ
うに、工業生産上の安全性や生産性に支障がなく、かつ
長時間に渡り優れた補体活性抑制効果が持続する再生セ
ルロース系分離膜はまだ提供されてはいない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、透析用再生
セルロース膜の血液適合性を改良し、長時間に渡り優れ
た補体活性抑制効果が持続する新規な構造を持つ再生セ
ルロース系分離膜を提供することにある。また、本発明
の再生セルロース系分離膜を、環境負荷が低減される水
媒体中で、かつ短時間で得る製法を提供することにあ
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記目的を
達成すべく、セルロースの水酸基を化学修飾する方法を
用い、種々の修飾されたセルロース構造体(誘導体)を
合成し、それらと血液中の補体活性との因果関係を鋭意
検討した結果、本発明に至った。即ち、本発明は、 1. 人工透析膜であって、該膜の血液と接触する面
に、下記(1)式の構造がセルロースのグルコピラノー
ス環由来の炭素原子に直接結合して、補体消費率が30
%以下になる量存在する再生セルロース系分離膜、 −NH−R (1) (ここで、R=Ca b d w 、aは6以上、6≦b
≦2a+1、0≦d≦0.5a、0≦w≦0.2a、X
はリン原子及び/又は窒素原子を表す。) 2. (1)式の構造が、セルロースの開裂したグルコ
ピラノース環のC2位又は/及びC3位に存在すること
を特徴とする上記1の再生セルロース系分離膜、 3. (1)式におけるRが下記(2)式の構成単位を
含むことを特徴とする上記1又は2の再生セルロース分
離膜系、 −CH2 −CH2 −O− (2)
【0011】4. 中空状又は平膜状再生セルロース透
析膜を出発物質として、これに水溶性酸化剤を反応させ
セルロースにアルデヒド基を生成させ、引き続き1級ア
ミン化合物水溶液を接触させ該アルデヒド基にアミン化
合物をイミド結合させ、更にイミド基をアミノ基に還元
することを含む再生セルロース系分離膜の製法、 5. 水溶性酸化剤に過ヨウ素酸又は過ヨウ素酸塩水溶
液を用い、1級アミン化合物水溶液に炭素数6以上の1
級アミン化合物水溶液を用いることを特徴とする上記4
の再生セルロース系分離膜の製法、 6. 0.01〜1モル/リットルの濃度の過ヨウ素酸
又は過ヨウ素酸塩水溶液を0〜60℃の温度範囲で30
秒〜5分間反応させ、引き続いて0.01〜1モル/リ
ットルの濃度の炭素数6以上の1級アミン化合物水溶液
を0〜60℃の温度範囲で30秒〜10分間接触させる
ことを特徴とする上記5の再生セルロース系分離膜の製
法、である。
【0012】本発明を順次、更に詳細に説明する。本発
明では、補体消費率は、下記方法で測定した値を採用し
た。血清1mlあたり80cm2 の面積になるように再
生セルロース系分離膜を血清中に投入し、37℃で1時
間反応させた後、血清中に残存する補体価をメイヤーら
の方法(Experimental Immunoch
emistry,p133,Thomas,1961)
により、50%溶血補体価Cp として求める。また、再
生セルロース系分離膜と非接触の血清の50%溶血補体
価Cp 0 を同様の方法で求め、補体消費率CH50
(%)はCp 0 からの低下率として下記式(3)で定
義した。 CH50(%)=100×(Cp 0 −Cp )/Cp 0 (3) 補体活性を抑制するのに必要な量は、上記(1)式のR
の構造によって単位面積あるいは単位体積あたりのモル
数や重量で一義的に定義され得なくなるので、補体消費
率で表現した。
【0013】本発明の再生セルロース系分離膜は、種々
の再生セルロース膜を出発物質として得ることができる
が、血液適合性や工業的有用性を考慮すると銅アンモニ
アセルロース法による再生セルロース膜から得られた膜
が好ましい。本発明の再生セルロース系分離膜は、セル
ロースの水酸基の一部を(1)式に示す構造に置換して
得られる側鎖構造を有する分離膜である。その置換の度
合いは、補体消費率が30%以下、好ましくは20%以
下となるに十分な量であることが必要である。補体消費
率が30%を超えると、血液適合性に乏しく、性能不足
が起こる。例えば、後述するが式(1)のRがオクチル
基(炭素数8個)である場合、概ねセルロースのグルコ
ース単位当たり0.005モル以上導入されれば、補体
消費率が30%以下となり、本発明の効果を得ることが
出来る。本発明では条件や導入するRを選べば補体消費
率は0%近くにすることが出来る。
【0014】置換する部位は、セルロースのグルコピラ
ノース環のC2、C3、C6の何れの水酸基であっても
構わない。しかし、C2及び/又はC3位の水酸基に式
(1)のアミン構造を導入する場合には、導入部のセル
ロースのグルコピラノース環は開裂する必要がある。開
裂させられたグルコピラノース環のC2及び/又はC3
位の水酸基の一部を(1)式で置換した構造を持つ本発
明の分離膜は、水酸基をカルボン酸にまで変化させるこ
となく選択的かつ効率的にアルデヒド基に誘導できるの
で、(1)式のアミン構造を効果的に導入でき、副反応
に伴う生体適合性や透水性能の悪化などなく補体消費率
を低下させることができるためより好ましい。更に、本
発明は、(2)式で示される側鎖構造を有する(1)式
の構造を導入することにより、最も本発明の作用効果を
顕著に発現できる。本発明者らは、本発明のアミン骨格
に結合する構造を試行錯誤的に検討した結果、(1)式
の構造中に(2)式に示すエーテル構造を含む場合、補
体活性抑制作用をより効果的に発現することを見出し
た。その理由は、定かではないが、恐らく、血液との親
和性や感作作用の抑制かつ透水性能の発現のためには親
水性と疎水性のバランスが重要であるためと推定され
る。
【0015】また、R基は炭素数が6以上、更に好まし
くは8以上であることが好ましい。炭素数が6未満で
は、本発明で規定する補体活性抑制作用を助長させる効
果に乏しいので好ましくない。この理由は、あまりに短
い分子鎖長では、グルコピラノース環に存在する水酸基
を充分に遮蔽できず、それによって惹起する補体活性反
応を抑制できないためと推定される。一方、R基は炭素
数が1000以下であることが好ましく、500以下で
あることが更に好ましい。R基の炭素数が1000より
大きいと反応溶液の粘度の上昇を招き、反応性の低下を
引き起こすことから好ましくない。また、本発明で規定
する補体活性抑制作用を発現させるには炭素数は100
0以下で充分である。
【0016】以上述べてきたように、本発明は、セルロ
ースに化学結合により(1)式のアミン構造を導入する
ことで、補体活性反応を抑制することができ、血液の補
体消費率を低下させると共に長時間効果が持続する透析
用再生セルロース系分離膜を提供することを可能にし
た。加えて、親水性と疎水性がバランスされ、かつ十分
な側鎖長を持つ(2)式で示される構造を導入すること
により、一層の効果の発現を可能にしたものである。
【0017】次に、本発明の再生セルロース系分離膜の
製法を詳述する。本発明は、中空状又は平膜状再生セル
ロース透析膜を出発物質として、これに水溶性酸化剤を
反応させセルロースにアルデヒド基を生成させ、引き続
き1級アミン化合物水溶液を接触させ該アルデヒド基に
アミン化合物をイミド結合させ、更にイミド基を安定な
アミノ基に還元することを含む再生セルロース系分離膜
の製法である。
【0018】本発明の製法は、セルロースの水酸基の
一部を水溶性酸化剤で酸化させアルデヒド基となし、
引き続きこのアルデヒド基に1級アミン化合物を反応さ
せイミン構造を生成させ、更に、このイミン構造を還
元剤によりアミン構造に変えることにより合成する方法
であり、水媒体中で行われることを特徴とする。本発明
の水溶性酸化剤としては、次亜塩素酸、次亜塩素酸塩、
過酸化水素、過ヨウ素酸および過ヨウ素酸塩水溶液等が
挙げられる。本発明ではこれらの水溶性酸化剤を再生セ
ルロース中空糸内部や再生セルロ−ス平膜表面に接触さ
せアルデヒド基の生成に用いる。次亜塩素酸、次亜塩素
酸塩、過酸化水素のような非選択的な酸化剤を用いて酸
化力の弱い条件下で反応させると、セルロースのグルコ
ピラノース環を開裂することなく、一級の水酸基である
C6位の水酸基をアルデヒド基に変化させた本発明の分
離膜の前駆体(前駆体A1とする)ができる。
【0019】また、過ヨウ素酸や過ヨウ素酸塩のような
反応位置選択的な酸化剤で反応させると、グルコピラノ
ース環が開裂した水酸基のC2、C3位に選択的にアル
デヒド基が導入された分離膜の前駆体(前駆体B1とす
る)が得られる。本発明の水溶性酸化剤としては、好ま
しくは過ヨウ素酸や過ヨウ素酸塩の水溶液であり、特に
好ましくは、過ヨウ素酸ナトリウム水溶液を用いる。
【0020】本発明の前駆体A1は、次亜塩素酸ナトリ
ウムを用いると、概ね0.05〜1モル/リットルの濃
度で、0〜60℃の反応温度であれば、反応時間約1〜
10分間で得ることができる。しかしながら、60℃よ
り高い温度でかつ1モル/リットルの濃度を超える濃度
では生成したアルデヒド基がカルボン酸にまで酸化され
るため有効にアミノ骨格を導入し得ず、本発明の効果を
達成し得ないばかりか、セルロース分子鎖の切断が生じ
るため再生セルロース中空糸や平膜自体の強度低下をも
たらし好ましくない。
【0021】また、前駆体B1は、過ヨウ素酸または過
ヨウ素酸塩の濃度が概ね0.01〜1モル/リットル
で、且つ温度は0〜60℃の範囲であり、接触時間は3
0秒〜5分を目安として得ることが出来る。特に好まし
くは、濃度は0.1〜0.5モル/リットルの範囲であ
り、接触時間は1〜3分間である。本発明において過ヨ
ウ素酸または過ヨウ素酸塩の濃度が0.01モル/リッ
トル未満や、反応温度が0℃未満では、接触時間5分以
内に、この後1級アミン化合物がグラフトされ得るアル
デヒド基の生成量が少なく、その結果、改質反応後も透
析膜に十分な血液適合性が付与されない。一方、濃度が
1モル/リットルを超える濃度であったり、接触時間が
5分間を超える接触時間であったり、接触温度が60℃
を超える場合には、酸化反応によってセルロース主鎖の
開環が進行しすぎ、セルロース分子間の水素結合が切断
され、再生セルロース中空糸や平膜自体の強度低下をも
たらすことから好ましくない。
【0022】本発明で用いられる1級アミン化合物はR
−NH2 の構造を持っておればよく、RはCa b d
w (aは6以上、6≦b≦2a+1、0≦d≦0.5
a、0≦w≦0.2a、Xはリン原子及び/又は窒素原
子を表す。)で表される構造であり、ヘキシル基やオク
チル基のような飽和脂肪族基、エトキシ基などヘテロ原
子を含む残基及びベンゼン環などの芳香族を含む残基で
も良い。ただし、Rには前記式(2)で示される−CH
2 −CH2 −O−の構成単位を含んでいる方が生体適合
性の改良および透水性能保持という観点からはより好ま
しい。Rの具体例を挙げれば、−C3 6 −O−(CH
2 −CH2 −O)4 −C1225等が挙げられる。
【0023】反応液の接触は中空糸の場合、水溶液とし
て中空糸内部に流通させ、平膜の場合は水溶液中に浸漬
するが、上記1級アミン化合物水溶液は、水に完全に溶
解している必要はなく、懸濁液でもかまわない。1級ア
ミン化合物水溶液濃度は0.01〜1モル/リットルで
あり、温度は0℃から60℃の範囲であり、接触時間は
30秒〜10分間以内である。特に好ましくは、濃度は
0.05〜0.5モル/リットルの範囲であり、接触時
間は1〜5分間である。1級アミン化合物水溶液濃度
は、1モル/リットル以下で十分であり、1モル/リッ
トルを超える濃度では未反応のアミンが増加するだけ
で、グラフト反応には寄与せず、逆に水溶液粘度の増加
による反応速度の低下を引き起こすこともあるので好ま
しくない。
【0024】次に、本発明で用いられる還元剤は、発生
初期の水素を含む水溶液であれば、特に限定されるもの
ではないが、水素化ホウ素ナトリウムや水素化ホウ素カ
リウム、シアン化ホウ素ナトリウム、シアン化ホウ素リ
チウム、また水に過剰に溶解させた水素ガスなどを用い
ることが出来る。とくに取り扱い易さやコスト、反応性
の観点から水素化ホウ素ナトリウムが好ましい。水素化
ホウ素ナトリウムを用いると、概ね0.1〜2モル/リ
ットルの濃度であれば、0〜60℃の反応温度で、反応
時間1〜10分間でイミド基をアミノ基に還元すること
が出来る。
【0025】本発明では各反応行程の間に水洗行程を挟
んでも差し支えない。試薬の回収再利用の観点からは、
各反応行程の間に中空糸の場合、それと同体積以上の水
を流通させる方が好ましい。特に過ヨウ素酸もしくは過
ヨウ素酸塩と1級アミン化合物が、不溶性の塩を形成す
る場合には、1級アミンのグラフト化が十分行われない
場合があるので、酸化反応とイミノ化反応の間には水洗
行程を挟む方が好ましい。
【0026】以上のように本発明により、透析用再生セ
ルロース膜のもつ優れた透水性能を損なうことなく、血
液適合性が改良された新規な構造を持つ再生セルロース
系膜が提供される。しかも本発明の製法によれば、水媒
体中の一連の反応により、環境負荷の低減や、反応時間
の短縮による工業生産性に富むプロセスを提供できる。
【0027】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を実施例によりさ
らに具体的に説明する。なお、以下の実施例中に記載さ
れている補体消費率以外の測定項目は、各々次の方法で
測定したものである。 <透水量>100本の中空繊維の束の両端を接着剤で固
定したモジュールを作り、中空部に水を満たした後、片
端を閉じ、開口部より200mmHgの圧力をかけなが
ら水を入れ、単位時間当たりの透水量を測定する。中空
繊維の膜面積は、内径、及びモジュールの有効長を計っ
て計算により求める。 <クリアランス>100本の中空繊維の束の両端を接着
剤で固定したモジュールを作り、1000ppmの尿素
水溶液、または100ppmのビタミンB−12(VB
12)水溶液を用いて、中空部に水溶液を満たした後、片
端を閉じ、開口部より200mmHgの圧力をかけなが
ら水溶液を入れ、単位時間当たりの透水量を測定する。
透析溶液中の尿素またはVB12の濃度を、吸光度から求
めて、次式によりクリアランスを計算する。
【0028】
【数1】
【0029】
【実施例1】銅アンモニア法で得られたセルロース中空
糸膜(表1記載未処理糸)からなるモジュールに、0.
1モル/リットルの過ヨウ素酸ナトリウム水溶液を50
℃、1分間流通させた。続いて純水を50℃で1分間流
通させた後、0.1モル/リットルのn−オクチルアミ
ン(炭素数8個)水溶液を50℃で3分間流通させた。
次に純水を50℃で1分間流通させた後、1モル/リッ
トルの水素化ホウ素ナトリウム水溶液を室温(約20
℃)で3分間流通させ、最後に純水を50℃で3分間流
通させて、改質した再生セルロース系分離膜を得た。得
られた分離膜は(1)式が −NH−C8 17であり、
(2)式は含まず、かつRがC8 17であった。 <構造の同定>銅アンモニア法で得られたセルロースの
平膜を用い、反応試薬中に浸漬する方法で反応させ、反
応時間が酸化反応60分間、アミンの付加反応3時間、
還元反応3時間であること以外は実施例1と同様の反応
を行った。出来た生成物を8wt%水酸化ナトリウム/
重水を溶媒として、GSX−400 FT−NMRsp
ectromete(JEOL製)を用いて、13C−N
MRを測定した。測定条件は以下の通り:観測周波数、
100.54MHz;spectrun width、
25kHz;pulse interval、5se
c;pulse width、5.5μsec;acc
umulation回数、23000回;温度、25
℃;内部基準、Sodium 3−(trimethy
lsilyl)propionate−2,2,3,
3,−d4 。得られたスペクトルから、δ=16.4p
pmにオクチル基のメチル炭素、δ=25−35ppm
にオクチル基の6つのメチン炭素が観察された。また出
発原料のオクチルアミンでδ=50ppm付近に観測さ
れるはずの1級アミンのα位の炭素は同生成物中では観
測されず、かわりにδ=63.5ppmに2級アミン由
来と帰属されるα位のメチン炭素が観察されており、
(1)式の構造が導入されていることが確認できた。
【0030】さらにセルロースのグルコピラノース環由
来の炭素原子は分裂しており、セルロースのグルコピラ
ノース環由来の炭素原子に(1)式の構造が導入されて
いることが分かる。このように、本発明では用いた1級
アミン(R−NH2 )のRと同一の構造がセルロースの
グルコピラノース環由来の炭素原子に直接化学結合する
形で導入されることが明かとなった。この再生セルロー
ス系分離膜および未処理の再生セルロース系分離膜につ
いて透析性能および補体消費率の測定を実施した。結果
を表1に示す。
【0031】
【実施例2】銅アンモニア法で得られたセルロース中空
糸膜からなるモジュールに、0.1モル/リットルの過
ヨウ素酸ナトリウム水溶液を50℃、1分間流通させ
た。続いて純水を50℃で1分間流通させた後、0.0
5モル/リットルのC1225O(CH2 CH2 O)4
3 6 NH2 水溶液を50℃で3分流通させた。次に純
水を50℃で1分間流通させた後、1モル/リットルの
水素化ホウ素ナトリウム水溶液を室温(約20℃)で3
分間流通させ、最後に純水を50℃で3分間流通させ
て、改質した再生セルロース系分離膜を得た。得られた
分離膜は(1)式が−NH−C3 6 −O−(CH2
CH2 −O)4 −C1225で、Rが(2)式を含むC3
6 −O−(CH2 −CH2 −O)4 −C1225であっ
た。得られた再生セルロース系分離膜について透析性能
および補体の消費率を測定し、結果を表1に示す。
【0032】
【比較例1】銅アンモニア法で得られたセルロース中空
糸透析膜からなるモジュールに、1モル/リットルの過
ヨウ素酸ナトリウム水溶液を50℃、10分間流通させ
た。続いて純水を50℃で1分間流通させた後、0.1
モル/リットルのn−オクチルアミン(炭素数8個)水
溶液を50℃で3分間流通させた。次に純水を50℃で
1分間流通させた後、1モル/リットルの水素化ホウ素
ナトリウム水溶液を室温(約20℃)で3分間流通さ
せ、最後に純水を3分間流通させて、改質した再生セル
ロース系分離膜を得た。得られた再生セルロース系分離
膜の透析性能を測定しようとしたが、酸化時間が長すぎ
て膜の機械的強度が大きく低下しており、測定できなか
った。この再生セルロース系分離膜の補体消費率の測定
結果を表1に示す。
【0033】
【比較例2】銅アンモニア法で得られたセルロース中空
糸膜からなるモジュールに、0.1モル/リットルの過
ヨウ素酸ナトリウム水溶液を50℃、1分間流通させ
た。続いて純水を50℃で1分間流通させた後、0.1
モル/リットルの3−エトキシプロピルアミン(炭素数
5個)水溶液を50℃で3分間流通させた。次に純水を
50℃で1分間流通させた後、1モル/リットルの水素
化ホウ素ナトリウム水溶液を室温(約20℃)で3分間
流通させ、最後に純水を3分間流通させて、改質した再
生セルロース系分離膜を得た。この再生セルロース系分
離膜の性能は表1に示したように、補体消費率=48%
と充分な血液適合性の向上はみられなかった。
【0034】
【表1】
【0035】
【発明の効果】本発明は、再生セルロース透析膜の持つ
優れた透析性能を損なうことなく、血液適合性を向上さ
せた、新規な構造を持つ再生セルロース系分離膜であ
り、セルロースに化学結合により置換基側鎖を導入して
いることから、血液適合性に優れると同時にコーティン
グ技術などで懸念される脱落などの課題も解決できる優
れた再生セルロース系分離膜である。また、本発明の製
造方法は、水媒体中で短時間に一連の反応を完結できる
製造方法であり、環境負荷の低減や工業生産性に富むプ
ロセスである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4C077 AA05 BB01 KK01 KK12 KK21 LL01 LL05 PP03 4D006 GA13 MA01 MA03 MB02 MB06 MB20 MC12X MC78X NA54 PB09 PC47 4F073 AA08 BA03 BB01 BB03 EA01 EA24 EA52 EA56 4L035 CC20 DD03 FF01

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 人工透析膜であって、該膜の血液と接触
    する面に、下記(1)式の構造がセルロースのグルコピ
    ラノース環由来の炭素原子に直接結合して、補体消費率
    が30%以下になる量存在する再生セルロース系分離
    膜。 −NH−R (1) (ここで、R=Ca b d w 、aは6以上、6≦b
    ≦2a+1、0≦d≦0.5a、0≦w≦0.2a、X
    はリン原子及び/又は窒素原子を表す。)
  2. 【請求項2】 (1)式の構造が、セルロースの開裂し
    たグルコピラノース環のC2位又は/及びC3位に存在
    することを特徴とする請求項1記載の再生セルロース系
    分離膜。
  3. 【請求項3】 (1)式におけるRが下記(2)式の構
    成単位を含むことを特徴とする請求項1又は2記載の再
    生セルロース分離膜系。 −CH2 −CH2 −O− (2)
  4. 【請求項4】 中空状又は平膜状再生セルロース透析膜
    を出発物質として、これに水溶性酸化剤を反応させセル
    ロースにアルデヒド基を生成させ、引き続き1級アミン
    化合物水溶液を接触させ該アルデヒド基にアミン化合物
    をイミド結合させ、更にイミド基をアミノ基に還元する
    ことを含む再生セルロース系分離膜の製法。
  5. 【請求項5】 水溶性酸化剤に過ヨウ素酸又は過ヨウ素
    酸塩水溶液を用い、1級アミン化合物水溶液に炭素数6
    以上の1級アミン化合物水溶液を用いることを特徴とす
    る請求項4記載の再生セルロース系分離膜の製法。
  6. 【請求項6】 0.01〜1モル/リットルの濃度の過
    ヨウ素酸又は過ヨウ素酸塩水溶液を0〜60℃の温度範
    囲で30秒〜5分間反応させ、引き続いて0.01〜1
    モル/リットルの濃度の炭素数6以上の1級アミン化合
    物水溶液を0〜60℃の温度範囲で30秒〜10分間接
    触させることを特徴とする請求項5記載の再生セルロー
    ス系分離膜の製法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN104744718A (zh) * 2015-03-20 2015-07-01 东华大学 一种溶解玉米秸秆浆粕制备玉米纤维素交联膜的方法
CN112830979A (zh) * 2021-01-15 2021-05-25 江南大学 一种改性黄原胶及其制备方法与应用

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