JP2000345278A - オーステナイト球状黒鉛鋳鉄およびその製造方法 - Google Patents

オーステナイト球状黒鉛鋳鉄およびその製造方法

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JP2000345278A
JP2000345278A JP15709699A JP15709699A JP2000345278A JP 2000345278 A JP2000345278 A JP 2000345278A JP 15709699 A JP15709699 A JP 15709699A JP 15709699 A JP15709699 A JP 15709699A JP 2000345278 A JP2000345278 A JP 2000345278A
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graphite cast
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Masahiko Iwai
昌彦 岩井
Takanobu Nishimura
隆宣 西村
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Toshiba Corp
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  • Refinement Of Pig-Iron, Manufacture Of Cast Iron, And Steel Manufacture Other Than In Revolving Furnaces (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】オーステナイト球状黒鉛鋳鉄の製造方法によれ
ば、片状黒鉛や共晶状黒鉛並みの被削性を有し、かつ球
状黒鉛並みの緻密な加工面が得られ、優れた被削性およ
び加工性が要求される部品に適用できるオーステナイト
球状黒鉛鋳鉄を得られる。 【解決手段】重量%で、C:0.9〜3.0%、Mgま
たはCaの少なくとも一方の元素を0.02〜0.1%
含むオーステナイト球状黒鉛鋳鉄において、粒径50〜
150μmの一次黒鉛と粒径1〜10μmの二次黒鉛と
が混在することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高い被削性を必要
とする機械部品に適したオーステナイト球状黒鉛鋳鉄お
よびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、エレクトロニクスや半導体関連の
部品材料として、室温付近においてほとんど熱膨張が生
じず、熱的に安定なインバー(36%Ni−Fe)、ま
た、Coを添加したスーパーインバー(31%Ni−5
%Co−Fe)などが開発されている。さらに、インバ
ーまたはスーパーインバーなどの合金にCおよびSiを
添加することで鋳造性および被削性を付与した高Ni含
有オーステナイト球状黒鉛鋳鉄が開発されている。この
高Ni含有オーステナイト球状黒鉛鋳鉄には、例えば、
ニレジストD5(ASTM A439タイプD−5)、
特公昭60−51547号公報掲載のノビナイト鋳鉄
(CD−5)、ノーマグ鋳鉄(NO−MAG鋳鉄;Fe
−10Ni−5Mn−3wt%C)、特開平3−905
41号公報掲載の低熱膨張鋳造合金等が知られている。
【0003】これらの高Ni含有オーステナイト球状黒
鉛鋳鉄は、基地組織中に黒鉛を分散させることにより快
削性を得ている。例えば、ニレジストD5およびノビナ
イト鋳鉄(CD−5)等は、鋳造時の凝固の際に生成す
る初晶の球状黒鉛である一次黒鉛により快削性を得てい
る。
【0004】一方、特開平1−55364号公報掲載の
快削性高強度低熱膨張鋳造合金および低熱膨張鋳造合金
(特開平3−90541号公報)等は、鋳造後の熱処理
により生成する微細な球状黒鉛である二次黒鉛により、
切り粉の分断効果と工具刃先の潤滑効果とを高めること
で快削性を得ている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た高Ni含有オーステナイト球状黒鉛鋳鉄は、快削性を
有するものの、高精度が要求される精密機械部品への適
用に際しては、未だ不十分な状況にある。
【0006】特に、最近の半導体製造装置、例えば、ス
テッパー(露光装置)等に対しては低熱膨張性はもとよ
り、さらに被削性の高い材料が要求される。
【0007】一方において、片状黒鉛や共晶状黒鉛を有
する低膨張鋳鉄として、ノビナイト鋳鉄(CF−5)や
特開昭63−11281号公報掲載の被削性の優れた低
膨張鋳鉄等が知られている。これらの低膨張鋳鉄は、球
状黒鉛を有する鋳鉄よりも被削性が優れているものの、
その加工面が粗いことから、高精度が要求される部材に
は適用できないという問題を有していた。
【0008】本発明は、このような問題を解決するため
になされたものであり、片状黒鉛および共晶状黒鉛並み
の被削性を有し、かつ、球状黒鉛並みの加工面が得られ
るオーステナイト球状黒鉛鋳鉄およびその製造方法を提
供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
重量%で、C:0.9〜3.0%、MgまたはCaの少
なくとも一方の元素を0.02〜0.1%含むオーステ
ナイト球状黒鉛鋳鉄において、粒径50〜150μmの
一次黒鉛と粒径1〜10μmの二次黒鉛とが混在するこ
とを特徴とする。
【0010】本発明は、従来のように、一次黒鉛または
二次黒鉛のいずれか一方を混在させるのではなく、一次
黒鉛および二次黒鉛の両者を混在させることにより、オ
ーステナイト球状黒鉛鋳鉄の被削性を向上させたもので
ある。
【0011】請求項2記載の発明は、請求項1記載のオ
ーステナイト球状黒鉛鋳鉄において、粒径1〜10μm
の二次黒鉛が基地および粒界に析出していることを特徴
とする。
【0012】本発明において、粒径1〜10μmの二次
黒鉛を基地および粒界に析出させることで、優れた被削
性および加工面を有するオーステナイト球状黒鉛鋳鉄を
得ることができる。
【0013】請求項3記載の発明は、請求項1または2
記載のオーステナイト球状黒鉛鋳鉄において、重量%
で、C:0.9〜2.0%、Si:1.0%以下、M
n:1.0%以下、Ni:29.0〜36.0%、C
o:6.0%以下を含み、残部がFeおよび不可避元素
からなることを特徴とする。
【0014】請求項4記載の発明は、請求項3記載のオ
ーステナイト球状黒鉛鋳鉄において、重量%で、Pが
0.1〜0.3%含有されることを特徴とする。
【0015】請求項5記載の発明は、請求項4記載のオ
ーステナイト球状黒鉛鋳鉄において、重量%で、Bが
0.01〜0.03%含有されることを特徴とする。
【0016】まず、本発明において成分組成をこのよう
な範囲に限定した理由を説明する。なお、固溶C量の測
定は、EPMA(Electron Prove Mi
cro Analysis)法で金属断面から黒鉛がな
い基地領域の固溶C量を直接分析する方法と、原子吸光
分析法により、全C量の測定値から酸で金属部を溶解さ
せた後、残存黒鉛量から計算で割り出す方法とがある。
本発明においては、EPMA法で金属断面から黒鉛がな
い基地領域の固溶C量を直接分析した。
【0017】C(炭素)は、0.9重量%以上のCを含
有しているFe−Ni合金の場合、通常の砂型での凝固
では、全Cの大半が黒鉛となり、その基地中に固溶して
いる量は約0.2重量%程度である。これに対して、C
の添加量が0.9重量%未満の場合には、炭化物形成元
素、例えば、Cr(クロム)、Nb(ニオブ)、Ti
(チタン)および5(バナジウム)等が含まれていなけ
れば大半が固溶している。このため、一次黒鉛化が不十
分であり、十分な被削性が得られない。逆に、Cの添加
量が2.0重量%を超えると熱膨張係数が増加してしま
うため、本発明において、Cの添加量を0.9〜2.0
%と規定した。
【0018】Si(ケイ素)は、黒鉛化を促進させる元
素であり、かつ大気溶解における酸化を低減させるが、
熱膨張係数を増大させるので、上限を1.0重量%以
下、好ましくは、0.2重量%以下とすると良い。
【0019】Mn(マンガン)は、大気溶解における酸
化低減効果を有する元素である。また、固溶強化元素と
して含まれる元素であるが、Siと同様に熱膨張係数を
増大させてしまうため、上限を1.0重量%以下、好ま
しくは0.2重量%以下とすると良い。
【0020】Ni(ニッケル)は、鉄合金の基地をオー
ステナイト組織とし、熱膨張係数の低減に寄与する元素
である。本発明においては、Niの含有量を29.0〜
36.0重量%の範囲と規定したが、この範囲において
低熱膨張性が効果的に得られるだけでなく、この29.
0〜36.0重量%の範囲を外れると、いずれも熱膨張
係数が増加してしまうためである。
【0021】Co(コバルト)は、Niとの相乗効果に
より、鉄合金の熱膨破係数をより一層低下させる元素で
ある。Coは必要とされる熱膨張係数に応じて添加する
ものとするが、本発明においては、Coの添加量が6.
0重量%を超えると熱膨張係数が増大するため、6.0
重量%以下とするのが好ましい。
【0022】Mg(マグネシウム)またはCa(カルシ
ウム)は、黒鉛を球状化して低膨張鋳鉄の強度を高める
場合に添加される元素である。本発明において、Mgま
たはCaの残留量を0.02〜0.1重量%と規定し
た。これはMgまたはCaの残留量が0.1重量%を超
える場合には金属間化合物を析出させて被削性を害して
しまい、一方、残留量が0.02重量%未満の場合に
は、上述した低膨張鋳鉄の強度を得られないためであ
る。
【0023】P(リン)は、オーステナイト基地中に存
在する過剰な空孔と複合体を形成し、二次黒鉛の粒内析
出を促進する効果を有する元素である。本発明におい
て、Pの含有量を0.1〜0.3%と規定したが、Pの
含有量が0.1重量%未満ではその効果は発現されず、
逆に、含有量が0.3重量%を超えると高硬度のステダ
イトが析出し、被削性を害してしまうためである。
【0024】B(ホウ素)はPと同様に、オーステナイ
ト基地中に存在する過剰な空孔と複合体を形成し、二次
黒鉛の粒内析出を促進する効果を有する元素である。本
発明において、Bの含有量を0.01〜0.03%と規
定したが、これは、Bの含有量が0.01重量%未満で
はその効果は発揮されず、逆に、Bの含有量が0.03
重量%を超えると高硬度の硼化物が析出し、被削性を害
するためである。
【0025】請求項6記載のオーステナイト球状黒鉛鋳
鉄の製造方法は、重量%で、C:0.9〜2.0%、S
i:1.0%以下、Mn:1.0%以下、Ni:29.
0〜36.0%、Co:6.0%以下、MgまたはCa
の少なくとも一方の元素を0.02〜0.1%含み、P
またはBが選択的に含有され、残部がFeおよび不可避
元素からなるオーステナイト球状黒鉛鋳鉄材料を溶融し
て鋳鉄素体を作製した後、この鋳鉄素体を1000℃か
ら1200℃までの温度範囲で加熱保持後、700℃以
下に急冷する前工程を施し、その後、700℃から90
0℃までの温度範囲で加熱保持後、室温まで冷却する後
工程を施すことを特徴とする。
【0026】本発明によれば、二次黒鉛を基地中に分散
することができる。
【0027】本発明の熱処理は、いずれも過飽和なC原
子と過剰な空孔とを低温の基地中にもたらす前工程と、
その過飽和なC原子を黒鉛化して、空孔に分散させる後
工程とからなる。本発明の低膨張鋳鉄には、0.9〜
2.0重量%のCが添加されているが、砂型での凝固で
あることから、その大半が黒鉛として晶出している。こ
のため、基地中に固溶しているC量は約0.2重量%と
低く、また、空孔濃度もほぼ室温の平衡濃度に等しい。
一般に、温度T(K)における空孔の平衡濃度−原子数
Nに対する空孔数nの比率は
【式1】で表され、例えば、Feでは、E=1.5e
V=2.403×10−12ergと考えられているの
で、エントロピー項Aを1.0(実際はもう少し大き
い)として計算すると、30℃では、10−1個/mo
l、700℃では1016個/mol、1000℃では
1017個/mol、1200℃では1018個/mo
lになる。なお、A:定数、E:空孔の形成エネルギ
ー、k:ボルツマン定数(1.38054×10−16
erg/K)である。
【0028】
【数1】C=n/N=Aexp(−E/kT)
【式1】
【0029】前工程の目的を成し得るためには、高温域
に加熱保持後、急冷する必要があるが、その際1000
℃未満の温度では、過飽和なC原子と過剰な空孔濃度と
が少ないことから、熱処理後の二次黒鉛の分散状態が不
十分となり、十分な被削性が得られない。逆に1200
℃を超える温度では、酸化スケールの生成が著しく、ま
た設備上の制約も受ける。このため、加熱保持温度は1
000℃〜1200℃、好ましくは1000℃〜115
0℃とすると良い。なお、本実験データから導き出した
温度T(K)と平衡C濃度との関係は
【式2】で表され、快削性を得るためには、急冷後の固
溶C量を0.4〜0.7重量%に、また、上記の結果か
ら、空孔濃度を1017個/mol以上に制御する必要
がある。
【0030】
【数2】
【0031】また、高温域からの急冷処理は、デンドラ
イト相間隙のNi偏析を抑制する効果も有する。これ
は、インバー組成からのずれを低減するものであり、低
膨張性が改善される。しかしながら、過飽和なC原子が
固溶しているため、低い熱膨張係数は得られていない。
なお、急冷を施すには、水冷、油冷および空冷のいずれ
の方法を用いてもよい。
【0032】前工程の熱処理後、さらに、所定温度に加
熱保持すると、過飽和なC原子はその温度の平衡濃度と
の差を二次黒鉛として、空孔や粒界に析出する。その
際、700℃未満の温度では黒鉛化が不十分となり、逆
に、900℃を超える温度では再び一次黒鉛の分解が生
じてしまい、いずれも十分な被削性を得ることができな
い。このため、後工程における加熱保持温度は700℃
〜900℃とし、その後室温まで冷却するものとする。
なお、この場合の冷却においても、水冷、油冷、空冷お
よび炉冷のいずれの方法を用いてもよい。
【0033】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て表1から表5までを用いて説明する。
【0034】第1実施形態(表1〜表3) 本実施形態においては、オーステナイト球状黒鉛鋳鉄の
製造方法において、熱処理条件を規定したことに関して
説明する。
【0035】まず、表1に示す成分組成を有する試料N
o.1から試料No.20までの各鋳鉄材料を用いた。
【0036】
【表1】
【0037】表1に示すように、試料No.1から試料
No.11までの各鋳鉄材料は、本発明の範囲内の熱処
理条件を施して、オーステナイト球状黒鉛鋳鉄を製造し
たものである。具体的に、熱処理条件は前工程と後工程
とからなり、前工程では、1000℃から1200℃ま
での温度範囲で2時間加熱保持後、700℃以下に急冷
した。そして、後工程では、700℃から900℃まで
の温度範囲で4時間加熱保持後、室温まで冷却した。
【0038】一方、試料No.12から試料No.18
までの各鋳鉄材料は、本発明の範囲外の熱処理条件を施
した比較例である。具体的には、試料No.12および
試料No.13は、熱処理条件の前工程の温度範囲が1
000℃から1200℃までの範囲から外れるものであ
り、試料No.14から試料No.16までは、後工程
の温度範囲が700℃から900℃までの温度範囲から
外れるものである。一方、試料No.17は、熱処理条
件の前工程における冷却処理に急冷を施さず、試料N
o.18は熱処理を施さなかったものである。
【0039】さらに、試料No.19は、従来例として
の36Ni−Feが適用され、試料No.20は、従来
例としてのSUS304が適用される。
【0040】表1に示す成分組成を有する試料No.1
から試料No.18までの各鋳鉄材料を、各々100k
g容量の高周波電気炉を用いて大気溶解し、1インチY
ブロックの砂型に注湯して鋳鉄試料を作製した。次に、
これらの鋳鉄試料に、上述した表1に示す熱処理条件を
施した。その後、20角×150mmの被削性評価用試
験片および¢5×45(l)mmの熱膨張係数測定用試
験片に機械加工後、被削性および加工面粗さについて試
験を行った。なお、被削性は、ドリル加工における穴あ
け数により評価し、ドリル加工条件は、以下のようにし
た。ドリルとして、NACH1−FUJIKOSHI
(HSS),¢2mm、STRAIGHTSHARK
TWIST DRILLSを用い、回転速度を415r
pm、送り速度を0.2〜0.4(mm/sec)と
し、潤滑剤は、無潤滑(乾式)とした。この試験結果を
表2に示す。表2には、実施例、比較例および従来例の
穴あけ数(個)、そして、一次黒鉛および二次黒鉛の粒
径μmを示し(一次黒鉛/二次黒鉛)、さらに、二次黒
鉛の粒界析出の有無および熱膨張係数α(30−100
℃)を示した。
【0041】
【表2】
【0042】表2に示すように、実施例の試料No.1
から試料No11までは、基地中に、粒径が50〜15
0μmの範囲にある一次黒鉛と粒径が1〜10μmの範
囲にある二次黒鉛とが混在しているだけでなく、二次黒
鉛が粒界に析出しており、被削性は比較例の試料No.
12から試料No18までの鋳鉄試料よりも優れている
ことが分かった。また、実施例の試料No.7は、試料
No.1の成分組成にPを0.24重量%添加したもの
であり、また、試料No.8および試料No.9は、試
料No.4の成分組成にBを0.03重量%添加したも
のであるが、いずれの場合においても被削性が向上して
いることが分かった。
【0043】次に、以上の結果に基づいて、最も被削性
に優れた実施例の試料No.5の成分組成を有するオー
ステナイト球状黒鉛鋳鉄を用いて穴あけ数および表面粗
さを調査した。なお、表面粗さ(Ry)は、旋盤加工を
行いその際の試料の表面粗さを測定したものである。こ
の時の旋盤加工条件は、バイトとして、東芝タンガロ
イ、NS530を用い、切削速度を20m/min、送
り速度を0.2mmとした。
【0044】また、この試料No.5の成分組成を有す
るオーステナイト球状黒鉛鋳鉄を用いて片状黒鉛および
共晶状黒鉛を作製し、同条件下での穴あけ数および表面
粗さを調査した。なお、共晶状黒鉛は冷やし金を用いる
ことにより得た。
【0045】さらに、比較例として、試料No.17の
成分組成を有するオーステナイト球状黒鉛鋳鉄を用い
て、同条件下での穴あけ数および表面粗さを調査した。
【0046】このようにして得られた結果を表3に示
す。
【0047】
【表3】
【0048】表3に示すように、実施例における試料N
o.5の穴あけ数は、片状黒鉛および共晶状黒鉛の穴あ
け数と同等であることから、被削性が優れていることが
分かった。また、試料No.5の表面粗さは比較例の試
料No.17の表面粗さと同等であり、片状黒鉛および
共晶状黒鉛における表面粗さよりも優れていることが分
かった。
【0049】従って、本実施形態によれば、本発明の範
囲内の熱処理条件によりオーステナイト球状黒鉛鋳鉄を
製造することで、片状黒鉛または共晶状黒鉛並みの被削
性を有し、かつ球状黒鉛並みの緻密な加工面を得ること
ができる。
【0050】第2実施形態(表4〜表6) 本実施形態においては、オーステナイト球状黒鉛鋳鉄の
成分組成を規定した。
【0051】実施例として、第1実施形態において用い
た試料No.1〜No.3、試料No.5〜No.7お
よび試料No.9を用いた。各試料の熱処理条件は、第
1実施形態と同様である。一方、比較例として試料N
o.21〜試料No.31を用いた。具体的な成分組成
および熱処理条件は、表4に示す。
【0052】
【表4】
【0053】表4に示すように、比較例としての試料N
o.21および試料No.22は、実施例の試料No.
1とほぼ同様であるが、Cの含有量が本発明の組成範囲
である0.9〜2.0%の範囲を外れるものである。
【0054】そして、試料No.23および試料No.
24は、試料No.5とほぼ同様であるが、試料No.
23は、Siの含有量が1.0%を超えるものであり、
試料No.24は、Mnの含有量が1.0%を超えるも
のである。
【0055】試料No.25は、試料No.2とほぼ同
様であるが、Niの含有量が29.0%未満のものであ
る。また、試料No.26は、試料No.6とほぼ同様
であるが、Niの含有量が36.0%を超えるものであ
る。
【0056】次に、試料No.27から試料No.29
までは、試料No.3とほぼ同様であるが、試料No.
27は、Coの添加量が6.0%を超えるものである。
また、試料No.28および試料No.29は、Mgの
含有量が0.02〜0.1%の範囲から外れるものであ
る。
【0057】試料No.30は、試料No.7とほぼ同
様であるが、Pの含有量が0.3%を超えるものであ
る。
【0058】最後に、試料No.31は、試料No.9
とほぼ同様であるが、Bの含有量が0.03%を超える
ものである。
【0059】上述した表4に示す成分組成を有する各試
料の各鋳鉄材料を、各々100kg容量の高周波電気炉
を用いて大気溶解し、1インチYブロックの砂型に注湯
して鋳鉄試料を作製し、表4に示す熱処理条件を施し
た。その後、20角×150mmの被削性評価用試験片
および¢5×45(l)mmの熱膨張係数測定用試験片
に機械加工後、被削性および加工面粗さについて試験を
行った。なお、被削性および加工面粗さの試験は、第1
実施形態と同様である。
【0060】この試験結果を表5に示す。なお、表5に
は、実施例、比較例および従来例の穴あけ数(個)、一
次黒鉛および二次黒鉛の粒径μm、二次黒鉛の粒界析出
の有無および熱膨破係数α(30−100℃)を示し
た。
【0061】
【表5】
【0062】表5に示すように、本発明の組成範囲内と
した実施例は、比較例に比べて、被削性あるいは低熱膨
張特性に優れていることが分かった。
【0063】従って、本実施形態によれば、オーステナ
イト球状黒鉛鋳鉄の組成を本発明の組成範囲内とするこ
とで、優れた被削性、加工面を有し、かつ、低熱膨張性
に優れたオーステナイト球状黒鉛鋳鉄を得ることができ
る。
【0064】なお、本実施形態においては、高Ni含有
オーステナイト球状黒鉛鋳鉄を代表して低熱膨張鋳鉄に
ついて説明したが、他のニレジストやNO−MAG鋳鉄
等に対しても同様に本発明を適用することができる。
【0065】
【発明の効果】以上説明したように、本発明におけるオ
ーステナイト球状黒鉛鋳鉄の製造方法によれば、片状黒
鉛や共晶状黒鉛並みの被削性を有し、かつ球状黒鉛並み
の緻密な加工面を得られ、優れた被削性および加工性が
要求される部品に適用できるオーステナイト球状黒鉛鋳
鉄を得られる。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、C:0.9〜3.0%、Mg
    またはCaの少なくとも一方の元素を0.02〜0.1
    %含むオーステナイト球状黒鉛鋳鉄において、粒径50
    〜150μmの一次黒鉛と粒径1〜10μmの二次黒鉛
    とが混在することを特徴とするオーステナイト球状黒鉛
    鋳鉄。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のオーステナイト球状黒鉛
    鋳鉄において、粒径1〜10μmの二次黒鉛が基地およ
    び粒界に析出していることを特徴とするオーステナイト
    球状黒鉛鋳鉄。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載のオーステナイト
    球状黒鉛鋳鉄において、重量%で、C:0.9〜2.0
    %、Si:1.0%以下、Mn:1.0%以下、Ni:
    29.0〜36.0%、Co:6.0%以下を含み、残
    部がFeおよび不可避元素からなることを特徴とするオ
    ーステナイト球状黒鉛鋳鉄。
  4. 【請求項4】 請求項3記載のオーステナイト球状黒鉛
    鋳鉄において、重量%で、Pが0.1〜0.3%含有さ
    れることを特徴とするオーステナイト球状黒鉛鋳鉄。
  5. 【請求項5】 請求項4記載のオーステナイト球状黒鉛
    鋳鉄において、重量%で、Bが0.01〜0.03%含
    有されることを特徴とするオーステナイト球状黒鉛鋳
    鉄。
  6. 【請求項6】 重量%で、C:0.9〜2.0%、S
    i:1.0%以下、Mn:1.0%以下、Ni:29.
    0〜36.0%、Co:6.0%以下、MgまたはCa
    の少なくとも一方の元素を0.02〜0.1%含み、P
    またはBが選択的に含有され、残部がFeおよび不可避
    元素からなるオーステナイト球状黒鉛鋳鉄材料を溶融し
    て鋳鉄素体を作製した後、この鋳鉄素体を1000℃か
    ら1200℃までの温度範囲で加熱保持後、700℃以
    下に急冷する前工程を施し、その後、700℃から90
    0℃までの温度範囲で加熱保持後、室温まで冷却する後
    工程を施すことを特徴とするオーステナイト球状黒鉛鋳
    鉄の製造方法。
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