JP2000345383A - スタンパおよびスタンパの製造方法およびそのスタンパを用いて製造された導波路基板および導波路基板の製造方法 - Google Patents

スタンパおよびスタンパの製造方法およびそのスタンパを用いて製造された導波路基板および導波路基板の製造方法

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JP2000345383A
JP2000345383A JP15648299A JP15648299A JP2000345383A JP 2000345383 A JP2000345383 A JP 2000345383A JP 15648299 A JP15648299 A JP 15648299A JP 15648299 A JP15648299 A JP 15648299A JP 2000345383 A JP2000345383 A JP 2000345383A
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film
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Shingo Abe
新吾 阿部
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 乾式エッチング装置を用いないですみ、なる
べく人体への害が少ない溶剤を用いて、変質感光性材料
を含め感光性材料を実質的に完全に除去する。 【解決手段】 ガラス基板1に感光性材料2を塗布して
その感光性材料2に対してパターニングを行い、パター
ニングした感光性材料2に対して例えばアルミニウムか
らなる犠牲層3を成膜し、犠牲層3に対して電極膜4を
成膜し、電極膜4に対して電鋳膜5を形成し、電鋳膜5
を電極膜4、犠牲層3および感光性材料2と一体の状態
でガラス基板1から剥離し、剥離によって得られたスタ
ンパ素材9に対して選択性のある例えば無機アルカリと
しての水酸化カリウムからなる溶剤6を用いて感光性材
料2および犠牲層3を溶解し、犠牲層3の溶解によって
感光性材料2における変質感光性材料を電極膜4から分
離し、変質感光性材料を含めて感光性材料2が実質的に
完全に除去されているスタンパ10を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、成形用金型として
用いるスタンパおよびスタンパの製造方法およびそのス
タンパを用いて製造された導波路基板および導波路基板
の製造方法にかかわり、特に変質感光性材料を含めて感
光性材料を実質的に完全に除去するための技術、および
アスペクト比の比較的大きなコア部を有する導波路基板
の導波性能を向上するための技術に関する。
【0002】
【従来の技術】スタンパは各種の樹脂成形品を成形する
上で必要不可欠な要素である。従来の一般的なスタンパ
の製造方法を図3に示して、以下に説明する。まず、図
3(a)に示すように、ガラス基板1上に感光性材料
(フォトレジスト)2を塗布し、その感光性材料2を所
望の形状にパターニングする。次に、図3(b)に示す
ように、パターニングした感光性材料2の上に電鋳に必
要となる電極膜4を成膜する。この電極膜4の成膜のと
きに、電極膜4に接触する感光性材料2の部分がダメー
ジを受けて変質し、変質感光性材料となってしまう。次
に、電鋳(電気鋳造;ニッケルメッキ)を行う。すなわ
ち、電極膜4を陰極としてNiメッキを行って電極膜4
上に電鋳膜5を形成する(図3(c)参照)。そして、
図3(c)に示すように、電鋳膜5を電極膜4および感
光性材料2と一体の状態でガラス基板1から剥離する。
ガラス基板1から剥離されたものは、形態として、電鋳
膜5上に電極膜4があり、さらに電極膜4上に感光性材
料2が存在する状態となっているが、これを「スタンパ
素材」と呼ぶこととし、符号の9で表すこととする。次
に、スタンパ素材9に対して外形加工および裏面研磨を
施す。そして、スタンパ素材9から感光性材料2を除去
する作業へと進む。
【0003】スタンパ素材から感光性材料を完全に除去
することは、このスタンパ素材をもとにするスタンパを
用いての樹脂成形においてきわめて重要なことである。
もし、感光性材料の除去が不充分であると、樹脂成形の
際にスタンパからの樹脂成形品の離型性が悪くなり、成
形品の品質が悪化するだけでなく、スタンパ自体の寿命
が短くなる。そのため、感光性材料の除去を高精度に行
う技術がいろいろと提案されている。
【0004】図3(d)に示すように、スタンパ素材9
を溶剤7に浸漬することにより、感光性材料2を溶解す
る。なお、光ディスク複製用スタンパ製造方法にかかわ
る特開平3−39237号公報には、溶剤として、イソ
プロピルアルコール、エチルアルコール、アセトンなど
を用いることが記載されている。ここでは、光ディスク
のピットのアスペクト比は導波路基板のコア部のアスペ
クト比に比べて相当に小さい。アスペクト比というの
は、縦寸法をH、横寸法をWとして、H:Wとするもの
であり、その比の値はH/Wである。アスペクト比が小
さいほど離型性の要求精度は低くなる。導波路基板のコ
ア部のアスペクト比は大きく、離型性の要求精度は光デ
ィスクとは比較にならないくらい高いものである。
【0005】ところで、感光性材料2のうち電極膜4の
成膜時にダメージを受けて変質した部分については、溶
剤7による溶解のみでは除去し切れず、500Å(オン
グストローム)程度以下の変質感光性材料が残留するこ
とになる。そこで、上記公報では、溶剤による溶解に加
えて、次に、酸素雰囲気下での紫外線照射によるアッシ
ングを行うことが記載されている。そのような手法とし
て、例えば次のようなものをあげることができる。図3
(e)に示すように、アッシング(灰化)装置などの乾
式エッチング装置8を用いる。チャンバー8aに、感光
性材料2除去後のスタンパ素材9を装入し、真空装置8
bを駆動してチャンバー8aを超低圧にし、例えば酸素
雰囲気下で紫外線を照射することにより、スタンパ素材
9の電極膜4上に残留している変質感光性材料をエッチ
ングし、その変質感光性材料を実質的に完全に除去し、
所望のパターンが刻設されたスタンパを得るのである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記した従来の技術に
は次のような問題点がある。第一に、感光性材料を実質
的に完全に除去するのに乾式エッチング装置を用いてお
り、それには真空装置も付帯しなければならないので、
設備が大掛かりになり、イニシャルコストの面でもラン
ニングコストの面でも負担が大きい上に、特に真空引き
に長い時間がかかり、また、安全点検の面でも手間がか
かるという問題がある。
【0007】第二に、感光性材料の溶剤として上記のよ
うにアルコールやアセトンなどの有機溶剤を用いたり剥
離剤を用いたりしているが、これらは気化しやすく、し
かもその蒸気は人体への害があるため、作業者の安全性
を確保するためには、大掛かりな設備が必要である。こ
の点でも、イニシャルコスト、ランニングコストの負担
が大きくなってしまう。
【0008】本発明は上記した課題の解決を図るべく創
作したものであって、スタンパの製造に当たって、乾式
エッチング装置を用いないですみながら変質感光性材料
を含めて感光性材料を実質的に完全に除去した離型性の
高いスタンパを得るようにすることを目的としており、
また、好ましくは、人体への害が充分に少ない溶剤を用
いて感光性材料を実質的に完全に除去することのできる
ようにすることを目的としており、さらに、アスペクト
比の大きなコア部をもつ導波路基板の製造に当たって、
そのコア部の精度を高いものにすることを目的としてい
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記した課題の解決を図
ろうとする本発明にかかわる請求項1のスタンパは、次
のような構成となっている。すなわち、電鋳膜とその表
層の電極膜とからなっていて凹凸によるパターン部を有
しているスタンパ構造を前提としている。そして、この
スタンパは、後述するような製造方法によって製造され
た結果として、そのパターン部において感光性材料が実
質的に完全に除去されている。この構成によると、次の
ような作用がある。すなわち、パターン部において変質
感光性材料を含めて感光性材料が実質的に完全に除去さ
れているので、樹脂成形においてすぐれた離型性を発揮
しする。そして、離型性がすぐれているため、アスペク
ト比の大きな成形品、例えば導波路基板におけるクラッ
ド基板の作製にとって好適なスタンパとなる。
【0010】本発明にかかわる請求項2のスタンパの製
造方法は、パターニングした感光性材料に対して犠牲層
を成膜し、前記犠牲層に対して電極膜を成膜したうえで
電鋳膜を形成し、選択性のある溶剤によって前記感光性
材料および犠牲層を溶解することを特徴とするものであ
る。上記の犠牲層とは、感光性材料と同じくこの犠牲層
もある溶剤によって溶解されるもので、最終的には残ら
ないものである。その溶剤は電鋳膜や電極膜に対しては
溶解作用をもたない選択性のある溶剤である。つまり、
電鋳膜や電極膜は溶かさないが、感光性材料や犠牲層は
溶かす溶剤である。感光性材料の上に電極膜(あるいは
その前の犠牲層)を成膜するときに感光性材料がダメー
ジを受けて変質し変質感光性材料として残留する可能性
がある。その変質感光性材料を溶剤で溶解することはむ
ずかしいのであるが、その溶剤は変質感光性材料に浸透
することは可能であり、変質感光性材料の下層にある犠
牲層に到達して、この犠牲層を溶解することで、犠牲層
を挟んでいる変質感光性材料と電極膜とを分離し、変質
感光性材料を結果的に電極膜から除去するのである。こ
のような過程を経たスタンパにおいては、そのパターン
部では変質感光性材料を含めて感光性材料が実質的に完
全に除去されている。
【0011】また、本発明にかかわる請求項3のスタン
パの製造方法は、次のような工程を順に実行するもので
ある。すなわち、第1の工程で基板に感光性材料を塗布
し、その感光性材料に対してパターニングし、第2の工
程で前記パターニングした感光性材料に対して犠牲層を
成膜し、第3の工程で前記犠牲層に対して電極膜を成膜
し、第4の工程で前記電極膜に対して電鋳膜を形成し、
第5の工程で前記電鋳膜を前記電極膜、犠牲層および感
光性材料と一体の状態で前記基板から剥離し、第6の工
程で前記の剥離によって得られたスタンパ素材に対して
選択性のある溶剤を用いて前記感光性材料および犠牲層
を溶解する。請求項3は、請求項2をより詳しく記述し
たものに相当する。この方法によると、次のような作用
がある。すなわち、すでに請求項2の作用で説明したと
おりに、変質感光性材料を含めて感光性材料が実質的に
完全に除去された離型性のすぐれたスタンパが得られ
る。そして、従来の技術に必要とされていた真空装置も
付帯する大掛かりな設備の乾式エッチング装置を用いな
いですむ。
【0012】本発明にかかわる請求項4のスタンパの製
造方法は、上記請求項2,3において、前記溶剤として
水酸化カリウムなどの無機アルカリを用いることを特徴
としている。無機アルカリは、電鋳膜や電極膜は溶かさ
ないが、感光性材料や犠牲層は溶かす溶剤である。この
無機アルカリを変質感光性材料に溶かさせて犠牲層に至
らせ、無機アルカリによって犠牲層を溶かし、結果とし
て変質感光性材料を電極膜から分離除去するのである。
無機アルカリは、アルコールやアセトンなどの有機溶剤
や剥離剤に比べて揮発性が弱く、また人体への害が充分
に少ないものである。
【0013】本発明にかかわる請求項5の導波路基板
は、上記請求項1に記載のスタンパまたは上記請求項2
〜4の製造方法によって製造されたスタンパを用いて作
製されたクラッド基板を備えているものである。導波路
基板は、スタンパで成形することによりスタンパのパタ
ーン部の凸部に対応して形成される凹部を有するクラッ
ド基板を用い、このクラッド基板の凹部に導波路をなす
コア部を形成し、さらにこのコア部を覆うようにクラッ
ド材料を塗布するという構成を有するものである。この
導波路基板の心臓部ともいうべきコア部のアスペクト比
(縦寸法H/横寸法W)は比較的に大きい(1またはそ
れに近い値である)ものであり、スタンパの離型性が非
常に重要となっている。そのコア部を形成するパターン
部を有するスタンパとして本発明によるスタンパを採用
して成形したクラッド基板は、そのスタンパにおけるす
ぐれた離型性のためにコア部の成形精度が充分に高いも
のとなっている。
【0014】本発明にかかわる請求項6の導波路基板の
製造方法は、上記請求項1のスタンパまたは上記請求項
2〜4の製造方法によって製造されたスタンパを用いて
クラッド基板を射出成形し、前記クラッド基板の凹部に
コア材料を充填し、さらにその上にクラッド材料および
補強板を配置することを特徴としている。この製造方法
によって、請求項5のようにコア部の成形精度が充分に
高いすぐれた導波性能を有する導波路基板の製造が可能
となる。
【0015】なお、上記した本発明の構成要件における
「実質的に完全に除去されている」という表現について
は、感光性材料が変質感光性材料を含めて100%除去
されている場合のみに限定される必要性は必ずしもなく
て、このほかに、許容誤差範囲で残留している場合も含
み得ると解することが肝要である。なお、その許容誤差
については、特に限定する必要はなく、技術的に合理的
な範囲で解釈し得るものとする。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明にかかわる実施の形
態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0017】〔実施の形態1〕実施の形態1はスタンパ
およびその製造方法にかかわるものである。図1(a)
〜(f)は本発明の実施の形態のスタンパの製造方法の
各工程を順を追って示すものである。以下、順に説明す
る。
【0018】まず、図1(a)に示すように、ガラス基
板1上に感光性材料(フォトレジスト)2を塗布し、そ
の感光性材料2をフォトリソグラフィ技術により所望の
形状にパターニングする。これが第1の工程である。感
光性材料2の一部は残存し、残りはガラス基板1の表面
まで除去されて、全体として凹凸を形成することにな
る。次に、図1(b)に示すように、パターニングした
感光性材料2の上に犠牲層3を成膜する。これが第2の
工程である。この犠牲層3というのは、後述する電極膜
4や電鋳膜5に対して選択的にエッチングが可能なもの
であり、例えばアルミニウムで構成される。犠牲層3
は、残存している感光性材料2の表面と露出しているガ
ラス基板1の表面と感光性材料2の凹部の周壁面とにわ
たって連続的な膜として形成される。なお、このとき、
感光性材料2が一部ダメージを受けて変質する可能性が
ある。次に、図1(c)に示すように、犠牲層3の上に
電鋳のための電極膜4を成膜する。これが第3の工程で
ある。電極膜4は例えばニッケルで形成する。この電極
膜4も犠牲層3に沿った凹凸状態となる。なお、このと
きにも、感光性材料2が一部ダメージを受けて変質する
可能性がある。次に、電極膜4の上に対して電鋳(電気
鋳造;ニッケルメッキ)を行う。すなわち、電極膜4を
陰極としてNiメッキを行って電極膜4上に電鋳膜5を
形成する。これが第4の工程である。この場合、例えば
スルファミン酸ニッケル電解液を用いて、ニッケルから
なる電鋳膜5を形成する(図1(d)参照)。電鋳膜5
は電極膜4の平坦部だけでなく凹部にも進入する状態で
形成され、凹部は完全に埋め、表面は全体として平坦と
なる。次に、図1(d)に示すように、電鋳膜5を電極
膜4、犠牲層3および感光性材料2と一体の状態でガラ
ス基板1から剥離する。これがスタンパ素材9となる。
これが第5の工程である。なお、図1(d)の図示につ
いては膜厚が薄すぎて識別しずらいきらいがあるため、
念のために記述しておくが、上から下にかけて、電鋳膜
5、電極膜4、犠牲層3、感光性材料2の順である。次
に、スタンパ素材9に対して外形加工および裏面研磨を
施す。次に、図1(e)に示すように、スタンパ素材9
を無機アルカリ例えば水酸化カリウム(KOH)からな
る溶剤6に浸漬する。この溶剤6は、感光性材料2のほ
とんど全部を溶解する。しかし、犠牲層3に近接して変
質している感光性材料については直接には溶解すること
はできない。しかし、この溶剤6は、その変質感光性材
料に浸透し、その下層のアルミニウムからなる犠牲層3
に至り、犠牲層3を溶解することができる。すなわち、
溶剤6によって犠牲層3を溶解することにより、犠牲層
3を挟んでいる変質感光性材料および一部残留している
感光性材料2と電極膜4とを分離し、変質感光性材料お
よび一部残留している感光性材料2を結果的に電極膜4
から実質的に完全に除去するのである。これが第6の工
程である。なお、図1(e)の図示については膜厚が薄
すぎて識別しずらいきらいがあるため、念のために記述
しておくが、上から下にかけて、感光性材料2、変質感
光性材料、犠牲層3、電極膜4、電鋳膜5の順である。
最後に、図1(f)に示すように、変質感光性材料を含
めて感光性材料2を実質的に完全に除去したスタンパ素
材9を水洗し、乾燥することにより、所望の凹凸のパタ
ーンが刻設されたスタンパ10を得る。スタンパ10
は、電鋳膜5と電極膜4とが一体化されたものとして構
成され、その表面側に凹凸からなるパターン部が形成さ
れている。
【0019】なお、各層の厚み関係の一例を示すと、犠
牲層3は例えばアルミニウムとすると約1000Å(オ
ングストローム)であり、電極膜4は例えばニッケルと
すると約1000Åであり、電鋳膜5は例えばニッケル
とすると約300μmであり(1μm=10000
Å)、変質感光性材料は一般的には500Å程度以下で
ある。また、溶剤6としての水酸化カリウムの濃度は例
えば約30%である。もっとも、このような数値は単な
る例示にすぎず、仕様に応じて適宜に変更してよいこと
はいうまでもない。結合強度を最適にするためには、電
極膜4と電鋳膜5とを同一材料、同一材質とするのが好
ましい。
【0020】以上のようにして製造されたスタンパ10
は、変質感光性材料を含めて感光性材料を実質的に完全
に除去してあるので、樹脂成形において離型性に非常に
すぐれたものとなっている。
【0021】また、上述の本発明の実施の形態のスタン
パの製造方法においては、真空装置を付帯する大掛かり
な設備の乾式エッチング装置を用いないですみ、長い時
間のかかる真空引きなども不要となるので、プロセスに
要する時間の短縮化を図ることができる。また、必要な
設備の規模が小さくてすみ、イニシャルコストの面でも
ランニングコストの面でも負担を大幅に軽減することが
できる。
【0022】また、感光性材料2や犠牲層3を溶解する
ための溶剤6として、有機溶剤や剥離剤を用いなくても
すみ、人体への害が充分に少ない水酸化カリウムなどの
無機アルカリを用いているので、大掛かりな安全設備を
構築しなくても、作業者に対する安全性を確保すること
ができる。この点においても、イニシャルコスト、ラン
ニングコストの負担を軽減することができる。
【0023】ただし、乾式エッチング装置を用いないこ
とと、気化性溶剤に対する安全装置を用いないこととは
別のことである。したがって、気化性溶剤に対する安全
装置を設ける余裕のある場合には、変質感光性材料は溶
解できないが感光性材料2および犠牲層3を溶解するこ
とのできる有機溶剤や剥離剤を用いてもよい。このよう
な場合でも、乾式エッチング装置を用いないことによる
メリットは確保できている。
【0024】〔実施の形態2〕実施の形態2は導波路基
板およびその製造方法にかかわるものである。上記のよ
うにして製造したスタンパ10を用いて導波路基板を製
造する方法の実施の形態2について、以下に説明する。
図2(a)〜(e)は本発明の実施の形態の導波路基板
の製造方法の各工程を順を追って示すものである。以
下、順に説明する。
【0025】電鋳膜5に電極膜4が積層されてなるスタ
ンパ10は、そのパターン部における凸部10aが導波
路のコア部を形成するものとして製造されているものと
する。まず、図2(a)に示すように、上記実施の形態
1の製造方法によって製造されたスタンパ10を用いて
樹脂の射出成形によりクラッド基板11を成形する。ス
タンパ10の凸部10aがクラッド基板11における凹
部11aを形成する。これが第1の工程である。このク
ラッド基板11を成形する樹脂としては、例えばアクリ
ル樹脂の一種であるPMMA(ポリメチルメタアクリレ
ート)樹脂がある。この場合の射出成形温度としては、
例えば280℃前後が適している。もっとも、このよう
な数値は単なる例示にすぎない。この工程において、ス
タンパ10は前述のとおりに離型性にすぐれたものであ
るため、スタンパ10からのクラッド基板11の離型を
きわめて良好に行うことができる。クラッド基板11に
おける凹部11aの形状および寸法の精度はきわめて高
いものとなっている。この点が本発明において重要なこ
とである。
【0026】次に、図2(b)に示すように、離型した
クラッド基板11の凹凸のある表面側すなわちパターン
部表面に対してコア材料12を塗布する。これが第2の
工程である。このコア材料12は、導波路におけるコア
部を構成するためのものであり、その性質上、クラッド
基板11よりも屈折率の高い材料となっている。クラッ
ド基板11としてPMMA樹脂を用いるときは、コア材
料12としてはPMMA樹脂よりも屈折率が高いもので
ある。また、コア材料12として紫外線硬化型樹脂を用
いると、製造が容易となる。クラッド基板11にコア材
料12を塗布した後に、図2(c)に示すように、ブレ
ード13を用いてクラッド基板11上のパターン部以外
すなわち凹部11aに進入しているコア材料12以外の
表面のコア材料12を掻き取る(スクイージ)。これに
より、クラッド基板11のパターン部における凹部11
aのみにコア材料12が充填された状態となる。これが
第3の工程である。そして、この状態でコア材料12を
硬化させてコア部22を形成する。これが第4の工程で
ある。コア材料12が紫外線硬化型樹脂の場合は紫外線
を照射することにより硬化させる。次に、図2(d)に
示すように、クラッド基板11およびコア部22の共通
の平坦な表面に対してクラッド材料14を塗布し、平坦
化する。これが第5の工程である。このクラッド材料1
4としては、屈折率がクラッド基板11と同じものを用
いることが好ましい。クラッド基板11が前述のように
PMMA樹脂である場合には、そのPMMA樹脂と同じ
屈折率の材料とするのが好ましい。また、クラッド材料
14として紫外線硬化型樹脂を用いると、製造が容易と
なる。そのような紫外線硬化型樹脂のうちでクラッド基
板11と同じ屈折率の材料を選択するのである。次に、
図2(e)に示すように、平坦なクラッド材料14の上
に補強板15を貼り付ける。これが第6の工程である。
この補強板15としては、クラッド基板11と同じ材質
のものが好ましい。そして、紫外線を照射することによ
り、クラッド基板11およびコア部22と補強板15と
の間にあるクラッド材料14を硬化させ、全体を一体化
する。これが第7の工程である。以上によって、所望の
導波路基板20を得る。
【0027】この導波路基板20においては、クラッド
基板11とクラッド材料14と補強板15とがクラッド
21を構成し、そのクラッド21に取り囲まれた状態で
複数のコア部22が内装された状態となっている。コア
部22の屈折率はクラッド21よりも高く、コア部22
を透過する光波はコア部22とクラッド21との境界で
全反射することになる。
【0028】導波路基板20におけるコア部22は、こ
れを四角形とするとき、なるべく正方形に近いことが好
ましい。コア部22が光波の通路となっているからであ
る。例えば、コア部22を8μm×8μmの正方形とす
ることが考えられる。コア部22についてのアスペクト
比(縦横比)を考えると、コア部22の縦寸法をH、横
寸法をWとして、アスペクト比はH:W=H/Wである
ので、8μm×8μmの場合は、1:1=1となり、大
きなアスペクト比となっている。
【0029】このような大きなアスペクト比の凹部11
aをもつパターン部を図2(a)のクラッド基板11の
成形において実現する必要がある。このようなパターン
部のクラッド基板11を射出成形する際に用いるスタン
パ10としては、特別にすぐれた離型性が要求されるの
である。
【0030】本発明の実施の形態のスタンパの製造方法
によって製造したスタンパ10を用いて成形したクラッ
ド基板11においては、クラッド基板11に対するスタ
ンパ10の離型性が非常にすぐれているので、クラッド
基板11のパターン部の凹部11aの形状および寸法の
精度が非常に高い。このような精度の高い凹部11aに
コア部22を形成した導波路基板20は、その導波性能
において非常にすぐれたものとなる。
【0031】以上、実施の形態について詳しく説明して
きたが、本発明は次のように構成したものも含み得るも
のとする。
【0032】(1)上記の実施の形態の説明では、特に
導波路基板の製造にとって有用なスタンパまたはそのよ
うなスタンパの製造方法としたが、本発明はこれに限定
する必要性はなく、どのような成形品の製造に対しても
本発明によるスタンパは適用し得るものとする。したが
って、光ディスクの製造に用いてもよいことはいうまで
もない。
【0033】(2)上記の実施の形態では、犠牲層3と
してアルミニウムを用い、その犠牲層3を溶解する無機
アルカリの溶剤6として水酸化カリウムを用いた例を示
したが、本発明はこれに限定する必要性はなく、犠牲層
3としては、電極膜4や電鋳膜5とは異なる材質のもの
であって、電極膜4および電鋳膜5を溶解せず感光性材
料2を溶解し変質感光性材料に浸透する性質をもつ溶剤
によって溶解される材質のものであれば任意のものが採
用可能である。また、溶剤6としては、そのような犠牲
層3を感光性材料2とともに溶解する性質をもつもので
あれば任意のものが採用可能である。
【0034】(3)すでに説明しておいたが、犠牲層3
を感光性材料2とともに溶解する溶剤6としては、無機
アルカリに限定する必要性は必ずしもなくて、任意のも
のを採用してよいのである。
【0035】(4)上記の実施の形態では、電極膜4を
ニッケルとし、電鋳膜5もニッケルとしたが、スタンパ
として所要の性状を有するものになるのであれば、電極
膜4としてどのような材質のものを用いてもよく、また
電鋳膜5としてもどのような材質のものを用いてもよ
く、さらには電極膜4と電鋳膜5とを別材質あるいは別
材料としてもよいものとする。
【0036】(5)上記の実施の形態では、導波路基板
20におけるコア部22のアスペクト比を1として説明
したが、上記の(1)にも関連して、導波路基板20の
コア部22のアスペクト比は必ずしも1に限定する必要
性はなく、任意のアスペクト比を採用してよい。また、
凹部11aの形状は必ずしも方形または矩形に限る必要
性はなく、任意の形状を採用してよきものとする。
【0037】(6)上記の実施の形態では、クラッド基
板11、補強板15としてPMMA樹脂を用いるとし、
クラッド材料14として紫外線硬化型樹脂を用いると
し、コア材料12についても紫外線硬化型樹脂を用いる
としたが、必ずしもこのように限定する必要性はなく、
所要の性状を有するのであれば、任意のものを採用して
よい。
【0038】(7)その他本発明の要旨と直接に関係し
ない任意の事項については、公知の任意のものが適用可
能であり、また、公知以外のものであっても、本発明の
要旨を逸脱しない範囲において適用可能であることはい
うまでもない。
【0039】上記の(1)〜(7)は互いに独立した事
項であり、これらのうち任意の事項を任意数適当に組み
合わせてもよきものとする。
【0040】最後に、本件にかかわる明細書の記述につ
いての留意事項を述べる。本件にかかわる明細書(特に
発明の詳細な説明および特許請求の範囲)または図面に
おいては、記載してある任意の事項(任意の要素または
任意の要素の結合関係・組み合わせ関係を含む)につい
て、その省略の可能性を留保する。さらに、特許請求の
範囲に記載していないが発明の詳細な説明または図面に
記載してある任意の事項について特許請求の範囲への追
加の可能性ならびにその追加に伴う説明の変更の可能性
を留保する。
【0041】
【発明の効果】スタンパについての請求項1の発明によ
れば、パターン部では変質感光性材料を含めて感光性材
料が実質的に完全に除去されているので、樹脂成形にお
いてすぐれた離型性を発揮し、成形品の品質を良好なも
のにする。また、スタンパ自体の寿命が長いものとな
る。そして、離型性がすぐれているため、アスペクト比
の大きな成形品、例えば導波路基板におけるクラッド基
板の作製にとって好適なスタンパとなる。
【0042】スタンパの製造方法についての請求項2ま
たは請求項3の発明によれば、請求項1にいうように変
質感光性材料を含めて感光性材料が実質的に完全に除去
された離型性のすぐれたスタンパを得ることができる。
それでいて、従来の技術に必要とされていた大掛かりな
設備の乾式エッチング装置を用いないですみ、真空装置
の動作としての時間のかかる真空引きなども不要となる
ので、プロセスに要する時間の短縮化を図ることができ
る。また、必要な設備の規模が小さくてすみ、イニシャ
ルコストの面でもランニングコストの面でも負担を大幅
に軽減することができる。
【0043】スタンパの製造方法についての請求項4の
発明によれば、溶剤として無機アルカリを用いるので、
従来の技術のアルコールやアセトンなどの有機溶剤や剥
離剤を用いる場合に比べて、揮発性が低くまた人体への
害を充分に少なくでき、大掛かりな安全設備を構築しな
くても、作業者に対する安全性を確保することができ
る。この点においても、イニシャルコスト、ランニング
コストの負担を軽減することができる。
【0044】導波路基板についての請求項5の発明によ
れば、心臓部ともいうべきコア部のアスペクト比は比較
的に大きいのであるが、そのコア部を形成するパターン
部を有するスタンパとして本発明による上記のように離
型性の非常にすぐれたスタンパを採用して成形したクラ
ッド基板を用いているので、コア部の成形精度を充分に
高いものとでき、その導波性能をすぐれたものにするこ
とができる。
【0045】導波路基板の製造方法についての請求項6
の発明によれば、請求項5のようなすぐれた導波性能を
有する導波路基板を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1のスタンパの製造方法
の各工程を順を追って示す工程図
【図2】 本発明の実施の形態2の導波路基板の製造方
法の各工程を順を追って示す工程図
【図3】 従来の技術におけるスタンパの製造方法を順
を追って示す工程図
【符号の説明】
1…ガラス基板、2…感光性材料、3…犠牲層、4…電
極膜、5…電鋳膜、6…溶剤、9…スタンパ素材、10
…スタンパ、10a…凸部、11…クラッド基板、11
a…凹部、12…コア材料、13…ブレード、14…ク
ラッド材料、15…補強板、20…導波路基板、21…
クラッド、22…コア部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C25D 1/00 321 C25D 1/00 321 361 361 G02B 6/13 1/02 311 6/12 G02B 6/12 M // C25D 1/02 311 N B29L 17:00

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電鋳膜とその表層の電極膜とからなって
    いて凹凸によるパターン部を有しており、前記パターン
    部では感光性材料が実質的に完全に除去されていること
    を特徴とするスタンパ。
  2. 【請求項2】 パターニングした感光性材料に対して犠
    牲層を成膜し、前記犠牲層に対して電極膜を成膜したう
    えで電鋳膜を形成し、選択性のある溶剤によって前記感
    光性材料および犠牲層を溶解することを特徴とするスタ
    ンパの製造方法。
  3. 【請求項3】 基板に感光性材料を塗布しその感光性材
    料に対してパターニングする第1の工程と、前記パター
    ニングした感光性材料に対して犠牲層を成膜する第2の
    工程と、前記犠牲層に対して電極膜を成膜する第3の工
    程と、前記電極膜に対して電鋳膜を形成する第4の工程
    と、前記電鋳膜を前記電極膜、犠牲層および感光性材料
    と一体の状態で前記基板から剥離する第5の工程と、前
    記の剥離によって得られたスタンパ素材に対して選択性
    のある溶剤を用いて前記感光性材料および犠牲層を溶解
    する第6の工程とを含むことを特徴とするスタンパの製
    造方法。
  4. 【請求項4】 前記溶剤として無機アルカリを用いるこ
    とを特徴とする請求項2または請求項3に記載のスタン
    パの製造方法。
  5. 【請求項5】 前記請求項1に記載のスタンパまたは前
    記請求項2から請求項4までのいずれかに記載の製造方
    法によって製造されたスタンパを用いて作製されたクラ
    ッド基板を備えていることを特徴とする導波路基板。
  6. 【請求項6】 前記請求項1に記載のスタンパまたは前
    記請求項2から請求項4までのいずれかに記載の製造方
    法によって製造されたスタンパを用いてクラッド基板を
    射出成形し、前記クラッド基板の凹部にコア材料を充填
    し、さらにその上にクラッド材料および補強板を配置す
    ることを特徴とする導波路基板の製造方法。
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