JP2000357660A - 多結晶シリコン膜を備えた基板及びその形成方法、並びに該膜を用いた太陽電池 - Google Patents

多結晶シリコン膜を備えた基板及びその形成方法、並びに該膜を用いた太陽電池

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JP2000357660A
JP2000357660A JP11168218A JP16821899A JP2000357660A JP 2000357660 A JP2000357660 A JP 2000357660A JP 11168218 A JP11168218 A JP 11168218A JP 16821899 A JP16821899 A JP 16821899A JP 2000357660 A JP2000357660 A JP 2000357660A
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Kenji Wada
健司 和田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 複雑な処理工程を必要とせず、粒界における
欠陥密度を低減させた多結晶シリコン膜を備えた基板を
提供することを課題とする。 【解決手段】 2軸配向を有する金属基板上にエピタキ
シャル成長法により多結晶シリコン膜を形成することに
より、該膜を構成する単結晶体の結晶方位の揃った多結
晶シリコン膜を形成することができるので、上記課題を
解決することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、多結晶シリコン膜
を備えた基板及びその形成方法、並びに該基板を用いた
太陽電池に関する。更に詳しくは、本発明は、欠陥密度
が少ない多結晶シリコン膜を備えた基板及びその形成方
法、並びに該基板を用いた光電変換効率が良好な太陽電
池に関する。
【0002】
【従来の技術】石油等の化石燃料は、将来の需給が懸念
され、かつ地球温暖化現象の原因となる二酸化炭素を排
出するという問題を有している。このような化石燃料の
代替エネルギー源として太陽電池が注目されている。
【0003】太陽電池は、光エネルギーを電力に変換す
る光電変換層にpn接合を用いており、このpn接合を
構成する半導体として一般的にはシリコンが最もよく用
いられている。シリコンは、光電変換効率の点からは単
結晶シリコンを用いることが好ましいが、原料供給や大
面積化が困難なため、高コストであるという問題があ
る。
【0004】一方、大面積化及び低コスト化を実現する
のに有利な光電変換層用の材料として、アモルファスシ
リコンを使用したアモルファスシリコン太陽電池が実用
化されている。しかし、その光電変換効率は、単結晶シ
リコン太陽電池と比較して劣っている。更に、アモルフ
ァスシリコンには、光を照射するにつれて膜中の欠陥密
度が増加する、Staebler-Wronski効果と呼ばれる現象が
生じることが知られている。そのため、アモルファスシ
リコン太陽電池には、光電変換効率が経時劣化するとい
う問題がある。
【0005】そこで近年、単結晶シリコン太陽電池レベ
ルの高くて安定な光電変換効率と、アモルファスシリコ
ン太陽電池レベルの大面積化、低コスト化を兼ね備えた
太陽電池を実現するために、多結晶シリコンの光電変換
層への使用が検討されている。特にアモルファスシリコ
ンの場合と同様の化学的気相成長法(CVD)による薄
膜形成技術を用いて、多結晶シリコンを光電変換層とし
て使用した多結晶シリコン太陽電池が注目されている。
【0006】ところが、上記の方法により作製された多
結晶シリコン太陽電池の光電変換効率は、アモルファス
シリコン太陽電池の光電変換効率と比較して同等レベル
でしかない。光電変換効率が低くなる大きな要因とし
て、(1)多結晶シリコンの個々の結晶粒が互いに関係
ない様々な方位をとっているため、結晶粒界におけるシ
リコン原子の結合状態が非常に乱れたものとなっている
こと、(2)結晶粒径が数十nmと非常に小さいために
結晶粒界面積が大きいこと等が挙げられる。
【0007】一般に、半導体層中の原子の未結合手、い
わゆるダングリングボンドは、禁制帯に欠陥準位を形成
するため、半導体デバイスの特性は半導体層の欠陥密度
と密接に関係する。特に多結晶半導体における結晶粒界
は、原子の結合状態が乱れており、ダングリングボンド
密度が非常に高い部分であることから、多結晶半導体デ
バイスの特性の向上には結晶粒界面積を低減させるこ
と、すなわち結晶粒径を大きくすることが効果的である
と考えられている。結晶粒径の大きな多結晶シリコン膜
を得る試みは様々な手法で行われている。
【0008】例えば、基板上にCVD法等により形成した
非晶質シリコン膜にレーザ光を照射して該膜を溶融させ
た後、凝固させて多結晶シリコン膜を得る、いわゆるレ
ーザアニール法が知られている。また、非晶質シリコン
膜の一部分に、リン、ボロン等をドーピングすることに
より、選択的に固相成長による結晶化を開始させる、い
わゆるパーシャルドーピング法が知られている。
【0009】ところが、上述の方法で得られる結晶粒径
は、高々数μm程度である。この粒径は、素子の大きさ
が数μm程度である薄膜トランジスタ(TFT)等のデ
バイスには十分なレベルである。しかし、大面積で形成
することを要求される太陽電池においては更に大きな粒
径のものが望まれる。ところが、上述の方法でさらなる
大粒径化を図ろうとすると、膜特性が劣化したり、数十
時間もの熱処理時間を要する等の問題があった。そのた
め更に大きな結晶粒径の多結晶シリコン膜を得ることは
困難であった。
【0010】一方、多結晶シリコン半導体において、半
導体を構成する結晶粒の結晶方位をできるだけ揃えれ
ば、結晶粒界における原子の結合状態の乱れが少なくな
ることが知られている。結合状態の乱れを少なくするこ
とにより、デバイス特性の向上が期待される。
【0011】結晶方位を揃える方法として、特許番号第
2721271号公報に記載の方法が知られており、こ
の方法は次のように行われる。まず、金属基板上に結晶
方位の揃った単結晶シリコン膜を間隔をあけて配置した
後、加熱することにより金属基板と単結晶シリコン膜と
の間に金属−シリコンの中間層を形成する。次に、露出
している金属基板表面を酸化する。次いで、選択的エピ
タキシャル成長法により、単結晶シリコンを種結晶とし
て結晶成長を行い多結晶シリコン膜を形成している。得
られた多結晶シリコン膜は、構成要素である単結晶体の
結晶方位が揃うので、粒界の欠陥密度が減ると記載され
ている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】上記特許番号第272
1271号公報に記載された方法では、金属基板上に以
下の方法により単結晶シリコン膜を配置している。即
ち、まずシリコンウエハ上に絶縁層を形成し、該絶縁層
の一部に微細な開口部を設ける。この後、選択的エピタ
キシャル成長法により単結晶シリコン膜を形成し、該単
結晶シリコン膜を超音波振動によりシリコンウエハより
剥離する。次いで、剥離した単結晶シリコン膜を金属基
板上に配置している。このように上記公報に記載された
方法は、複雑な処理工程を含んでおり、安定して安価に
多結晶シリコン膜を製造することが困難であった。
【0013】本発明の目的は、複雑な処理工程を要せず
に、結晶粒界における欠陥密度を低減させた多結晶シリ
コン膜及びその形成方法、並びに該膜を用いた高品質で
安価な太陽電池を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】かくして本発明によれ
ば、圧延加工により形成された2軸配向させた金属基板
と、その上にエピタキシャル成長により形成するか、ア
モルファスシリコン膜又は微結晶シリコン膜にエネルギ
ーを付与して形成した多結晶シリコン膜からなり、その
多結晶シリコン膜が、前記金属基板の配向をひきついだ
結晶方位を有する個々の単結晶体からなることを特徴と
する多結晶シリコン膜を備えた基板が提供される。
【0015】更に、本発明によれば、圧延加工を行うこ
とにより2軸配向させた金属基板を得、その上にエピタ
キシャル成長法によるか、アモルファスシリコン膜又は
微結晶シリコン膜にエネルギーを付与することにより、
金属基板の配向をひきついだ結晶方位を有する個々の単
結晶体からなる多結晶シリコン膜を形成することを特徴
とする多結晶シリコン膜を備えた基板の形成方法が提供
される。また、本発明によれば、上記多結晶シリコン膜
を光電変換層とし、金属基板を電極として備えたことを
特徴とする太陽電池が提供される。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明を説明する。本発明
では、圧延加工により形成され、2軸配向した金属基板
が使用される。金属基板を構成する材料は、アルミニウ
ム、銅、ニッケル、銀、鉄、クロム及びチタンのうち少
なくとも1つの金属を含むことが好ましい。また、これ
ら金属の合金(例えば、鉄−ニッケル合金)であっても
よく、シリコンとの合金(例えば、鉄−シリコン合金)
であってもよい。なお、これら材料は、面心立方格子や
体心立方格子を有していてもよい。
【0017】金属基板は、表面が(100)面と圧延加工方
向が[001]方向又は表面が(110)面と圧延加工方向が[-11
2]方向の2軸配向した結晶方位を有する面心立方格子か
らなるか、あるいは表面が(110)面と圧延加工方向が[00
1]方向の2軸配向した結晶方位を有する体心立方格子か
らなることが好ましい。ここで、上記結晶方位は100
%所定の方向を向いていることが好ましいが、一般的に
は100%を実現することは困難であるため、金属基板
全体として2軸配向していると認識することができれば
よい。
【0018】なお、上記において、表面とは、圧延加工
方向に対して平行で、最も表面積の大きい面を意味す
る。具体的には、圧延加工時の圧延手段(例えば、ロー
ラ)と接する面を意味する。
【0019】更に、多結晶シリコン膜を形成する金属基
板面の結晶の格子間距離は、結晶シリコンの格子間距離
とできるだけ近いことが好ましい。特に、金属基板上に
多結晶シリコン膜をエピタキシャル成長させる際には、
両格子間距離の差が15%(絶対値)以下であることが
好ましい。金属基板は、例えば、スラブの形態の上記材
料を圧延加工することにより形成することができる。圧
延加工は、熱間及び/又は冷間で行うことができる。
【0020】なお、圧延加工後の金属基板は多結晶から
なる。そのため一般的な圧延加工では、多結晶の各構成
要素である単結晶体の結晶方位はお互いにランダムとな
る。ランダムな方位を持つ多結晶中の結晶粒界は結晶格
子の連続性がない。
【0021】ところが圧延加工時の圧下率や温度等の加
工条件及び熱処理条件を適切なものとすることによっ
て、多結晶の構成単位である単結晶体の結晶方位がある
特定の2軸方向(例えば、金属基板表面に垂直な方向及
び圧延加工を行った方向)に配向させることができる。
2軸配向させることにより、結晶粒界における結晶格子
の連続性を保つことができる。
【0022】なお、圧延加工は、特許番号第26268
45号公報、特開昭63−255911号公報、特開平
1−201447号公報、米国特許第5741377号
等に記載された方法をいずれも採用することができる。
次に、金属基板上には多結晶シリコン膜が形成されてい
る。
【0023】ここで、多結晶シリコンにおいて、結晶格
子の連続性が保たれた場合には結晶粒界における欠陥密
度が非常に減少するので、結晶格子の連続性が保つこと
が望まれる。従って、上述のような2軸配向を有する金
属基板上に多結晶シリコン膜を形成すれば、金属基板の
配向をひきついだ結晶方位の揃った個々の単結晶体から
なる多結晶シリコン膜を得ることができる。
【0024】多結晶シリコン膜の形成方法としては、ス
パッタリング法、電子ビーム蒸着法、プラズマCVD法等
といったエピタキシャル成長が可能な方法が挙げられ
る。更に、金属基板上に非晶質(アモルファス)シリコ
ン膜あるいは微結晶シリコン膜を形成した後に、熱や電
磁波等のエネルギーを付与することによって結晶化させ
る方法も挙げられる。
【0025】また、多結晶シリコン膜の導電型を、真性
型(i型)だけでなく、例えば、シリコン膜中にボロン
あるいはリン等の元素を含有させることで、p型あるい
はn型とすることも可能である。
【0026】上記結晶方位の揃った多結晶シリコン膜
は、高い光電変換効率を有する太陽電池の光電変換層と
して特に好適に使用することができる。
【0027】光電変換層に使用する場合、その構造は公
知の構造をいずれにも適用することができ、例えば、pn
型、pin型、nip型、MIS構造のショットキーセル型等が
挙げられる。なお、金属基板は、裏面電極としての役割
を果たす。
【0028】光電変換層が、pin型(又は、nip型)から
なる場合、各層の厚さは、p層が5〜50nm、i層が
300〜30000nm、n層5〜50nmがであるこ
とが好ましい。
【0029】また、太陽電池の場合、光電変換効率、特
に短絡電流の向上のために、裏面電極とシリコン膜の光
電変換層との間にSnO2、ITO、ZnO等の材料からなる透明
の導電膜が挿入されることが多い。これらの材料の屈折
率は2〜3程度であり、シリコンの屈折率(4程度)と
比較して小さく、太陽電池裏面における光の反射層とし
て機能させることができる。従って、太陽電池の光電変
換効率を向上させるために非常に有用である。
【0030】ここで、上記導電膜は、その上に基板の配
向をひきついだシリコン膜を積層させるため、導電膜も
基板の配向をひきつぐことが要求される。このような条
件は、上記に具体的に記載した、導電膜の材料はいずれ
も満たしている。
【0031】従って、光電変換効率のさらなる向上のた
めに、透明導電膜を形成する際には、(1)導電膜が金
属基板上に、スパッタリング法、電子ビーム蒸着法、CV
D法等の方法でエピタキシャル成長可能な材料からなる
こと、(2)導電膜が、その上に多結晶シリコン膜をエ
ピタキシャル成長させうる材料からなることが必要であ
る。上述の材料は、このような条件を満たしている。透
明導電膜の厚さは、一般的に、10〜1000Åであ
る。更に、金属基板と反対側の光電変換層上には、通
常、表面透明導電膜、その上に表面集電電極が形成され
る。この表面透明導電膜は、上記導電膜と同じ材料を使
用することができる。また、電極は、例えば、アルミニ
ウム、銀等の金属からなる。その厚さは1000〜50
000Å程度である。
【0032】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。なお、多
結晶シリコン膜の形成方法及び形成条件は本実施例によ
り限定されるものではなく、金属基板及び透明導電膜の
材質、所望の配向等により適宜設定することができる。 <多結晶シリコン膜の形成>
【0033】[実施例1]特開昭63−255911号
公報又は特開平1−201447号公報に記載された方
法に準じて金属基板を形成した。即ち、純度99.9重
量%以上のアルミニウム板(厚さ50mm)を約450
℃で10mmまで熱間圧延し、次いで約0.3mmまで
冷間圧延し、更に約500℃で熱処理(焼鈍)した。得
られた金属基板は、(100)面の表面と[001]方向の圧延加
工方向を有し、結晶方位の揃った2軸配向組織を有して
いた。なお、このような2軸配向は一般にcube方位
の配向と呼ばれる。
【0034】このようにして得られた約0.3mm厚の金
属基板上に、プラズマCVD法により非ドープ結晶シリコ
ン膜を約1μm厚となるように形成した。形成条件はSiH
4/H 2流量比1/20、金属基板温度200℃、パワー密度0.5W
/cm2、圧力0.3Torrとした。
【0035】上述の条件において得られた結晶シリコン
膜は多結晶シリコン膜であった。多結晶シリコンの構成
要素である単結晶体は、下地となるアルミニウムの金属
基板の結晶方位を受け継ぐように、アルミニウムの(10
0)面と結晶シリコンの(100)面とが平行となり、かつ、
アルミニウムの[001]方向と結晶シリコンの[001]方向と
が平行となるように積層していることをX線回折法の一
種であるX線ポールフィギュア法により確認した。
【0036】アルミニウムの(100)面、結晶シリコンの
(100)面におけるそれぞれの原子配列の模式図を図1
(a)及び(b)に示す。アルミニウムの[001]方向の
格子間距離と、結晶シリコンの[001]方向の格子間距離
との差は、(3.84−4.05)/4.05×100=−5.19%に過
ぎず、一般に知られているエピタキシャル成長が可能と
なる条件である、格子間距離の差が15%以下である条件
を満たしていた。
【0037】なお、圧延加工及び熱処理によりcube方位
を取る金属材料はアルミニウムに限定されるものではな
く、面心立方格子を持つ金属及びその合金系全体に当て
はまるものである。例えば、米国特許第5741377
号公報には、圧延加工及び熱処理を施すことにより、ニ
ッケルの場合においてcube方位を得る方法が記載されて
いる。ニッケルの[100]方向の格子間距離と、結晶シリ
コンの[100]方向の格子間距離との差は(3.84−3.52)/
3.52×100=+9.09%に過ぎない。従って、多結晶シ
リコンをニッケル板上にエピタキシャル成長することが
可能である。よって、米国特許第5741377号公報
に記載された金属基板及びその製造方法を、本発明にお
いても使用することができる。
【0038】[実施例2]特許番号第2626845号
公報に記載された方法に準じて金属基板を形成した。即
ち、純度99.9重量%以上のアルミニウム板(厚さ5
0mm)を約450℃で10mmまで熱間圧延し、次い
で約0.3mmまで冷間圧延した。得られた金属基板
は、(110)面の表面と[-112]方向の圧延加工方向を有
し、結晶方位の揃った2軸配向組織を有していた。この
ようにして得られた約0.3mm厚の金属基板上に、実施
例1と同じ条件で非ドープ結晶シリコン膜を形成した。
【0039】上述の条件において得られた結晶シリコン
膜は多結晶シリコン膜であった。多結晶シリコンの構成
要素である単結晶体は、下地となるアルミニウムの金属
基板の結晶方位を受け継ぐように、アルミニウムの(11
0)面と結晶シリコンの(110)面とが平行となり、かつ、
アルミニウムの[-110]方向と結晶シリコンの[001]方向
とが平行となるように積層していた。
【0040】アルミニウムの(110)面、結晶シリコンの
(110)面におけるそれぞれの原子配列の模式図を図2
(a)及び(b)に示す。アルミニウムの[-110]方向の
格子間距離と、結晶シリコンの[001]方向の格子間距離
との差は(5.43−5.72)/5.72×100=−5.07%に過ぎ
ない。また、アルミニウムの[001]方向の格子間距離
と、結晶シリコンの[1-10]方向の格子間距離との差は
(3.84−4.05)/4.05×100=−5.19%に過ぎない。こ
の方位関係において、一般に知られているエピタキシャ
ル成長が可能となる条件である、格子間距離の差が15%
以下である条件を満たしていた。
【0041】[実施例3]重量分率で数%程度のシリコ
ンを含んだ鉄−シリコン合金板(厚さ200mm)に対
して約900℃で3mmまで熱間圧延し、次いで約0.
5mmまで冷間圧延し、更に約1200℃で熱処理(焼
鈍)した。得られた金属基板は、(110)面の表面と[001]
方向の圧延加工方向を有し、結晶方位の揃った2軸配向
組織を有していた。このような2軸配向はGoss方位の配
向と呼ばれる。この約0.5mm厚の鉄−シリコン合金基
板上に、実施例1と同じ条件により非ドープ結晶シリコ
ン膜を形成した。
【0042】上述の条件において得られた結晶シリコン
膜は多結晶シリコン膜であった。多結晶シリコンの構成
要素である単結晶体は、下地となる鉄−シリコン合金の
結晶方位を受け継ぐように、鉄−シリコン合金板表面に
垂直な方向、すなわち鉄−シリコン合金の(110)面と結
晶シリコンの(110)面とが平行となり、かつ、鉄−シリ
コン合金板の圧延加工方向、すなわち鉄−シリコン合金
の[001]方向と結晶シリコンの[001]方向とが平行となる
ように積層していた。
【0043】鉄−シリコン合金の(110)面、結晶シリコ
ンの(110)面におけるそれぞれの原子配列の模式図を図
3(a)及び(b)に示す。鉄−シリコン合金の[001]
方向の格子間距離と、結晶シリコンの[001]方向の格子
間距離との差は(5.43−5.74)/5.74×100=−5.40%
に過ぎない。また、鉄−シリコン合金の[1-10]方向の格
子間距離と、結晶シリコンの[1-10]方向の格子間距離と
の差は(3.84−4.06)/4.06×100=−5.42%に過ぎな
い。この方位関係において、一般に知られているエピタ
キシャル成長が可能となる条件である、格子間距離の差
が15%以下である条件を満たしていた。
【0044】<太陽電池の作製> [比較例]ランダムな配向となっている厚さ約1mmのア
ルミニウムからなる金属基板41上にスパッタリング法に
より、透明導電膜42としてSnO2を約6000Å厚となるよう
に形成した。形成条件は圧力0.005Torr、O2/Ar比率0.02
3、金属基板温度200℃とした。この金属基板上に、プラ
ズマ励起周波数81.56MHzを用いたプラズマCVD法によりn
型多結晶シリコン膜43、i型多結晶シリコン膜44、p型
多結晶シリコン膜45の順に形成し、光電変換層とした。
形成条件を表1に示す。
【0045】
【表1】
【0046】次に、表面透明導電膜46としてZnOを厚み
約700Åとなるようにスパッタリング法により形成し
た。更に表面集電電極47としてAl電極を厚み約6000Åと
なるように電子ビーム蒸着法により形成することで図4
に示す構造の太陽電池を作製した。
【0047】以上のようにして得られたpin型多結晶シ
リコン太陽電池のAM1.5(100mW/cm2)照射条件下におけ
る電流−電圧特性を測定した。その結果、セル面積1cm2
において開放電圧0.448V、短絡電流18.23mA/cm2、曲線
因子0.54、光電変換効率4.41%という値が得られた。
【0048】[実施例4]実施例1に示したcube方位と
なるように2軸配向処理した厚さ約1mmのアルミニウム金
属基板上に、比較例と同様の方法及び条件で、図4に示
す構造の多結晶シリコン太陽電池を作製した。
【0049】この条件において得られたSnO2は多結晶と
なるが、各構成要素であるSnO2の単結晶体は、下地とな
るアルミニウムの結晶方位を受け継ぐように、アルミニ
ウム板表面に垂直な方向、すなわちアルミニウムの(10
0)面とSnO2の(100)面とが平行となり、かつ、アルミニ
ウム板の圧延加工方向、すなわちアルミニウムの[001]
方向とSnO2の[001]方向とが平行となるように積層して
いた。
【0050】更に、この条件において得られた結晶シリ
コン膜は多結晶シリコン膜であった。多結晶シリコン膜
の構成要素である結晶シリコンの単結晶体は、下地とな
るSnO2の結晶方位を受け継ぐように、SnO2の(100)面と
結晶シリコンの(100)面とが平行となり、かつ、SnO2
[001]方向と結晶シリコンの[001]方向とが平行となるよ
うに積層していた。
【0051】アルミニウムの(100)面、SnO2の(100)面、
結晶シリコンの(100)面におけるそれぞれの原子配列の
模式図を図5(a)〜(c)に示す。なおここでSnO2
原子配列はSnの原子位置で代表して表した。
【0052】アルミニウムの[001]方向の格子間距離
と、SnO2の[001]方向の格子間距離との差は(3.80−4.0
5)/4.05×100=−6.17%に過ぎず、一般に知られて
いるエピタキシャル成長が可能となる条件である、格子
間距離の差が15%以下である条件を満たしていた。
【0053】また、シリコンの[011]方向の格子間距離
は3.84Åであるから、SnO2の[100]方向の格子間距離と
の差は(3.84−3.80)/3.80×100=+1.05%に過ぎ
ず、この場合もエピタキシャル成長が可能となる条件を
満たしていた。
【0054】以上のようにして得られたpin型多結晶シ
リコン太陽電池のAM1.5(100mW/cm2)照射条件下におけ
る電流−電圧特性の測定を行ったところ、セル面積1cm2
において開放電圧0.512V、短絡電流20.84mA/cm2、曲線
因子0.62、光電変換効率6.62%という値が得られた。比
較例におけるランダム配向である多結晶シリコン太陽電
池に比べて、本発明の多結晶シリコン太陽電池の方が高
い特性を有していた。
【0055】
【発明の効果】本発明により、2軸配向処理した金属基
板を使用することにより、結晶粒界における欠陥密度が
少ない多結晶シリコン膜を形成できる。この多結晶シリ
コン膜を光電変換層として使用すると、高い光電変換率
を示し、またこの膜は安価に製造できるので、太陽電池
の製造コストを下げることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1におけるアルミニウムの(10
0)面、結晶シリコンの(100)面におけるそれぞれの原子
配列の模式図である。
【図2】本発明の実施例2におけるアルミニウムの(11
0)面、結晶シリコンの(110)面におけるそれぞれの原子
配列の模式図である。
【図3】本発明の実施例3における鉄−シリコン合金の
(110)面、結晶シリコンの(110)面におけるそれぞれの原
子配列の模式図である。
【図4】比較例及び本発明の実施例4における太陽電池
の素子構造の模式図である。
【図5】本発明の実施例4におけるアルミニウムの(10
0)面、SnO2の(100)面、結晶シリコンの(100)面における
それぞれの原子配列の模式図である。
【符号の説明】
41 金属基板 42 透明導電膜 43 n型多結晶シリコン膜 44 i型多結晶シリコン膜 45 p型多結晶シリコン膜 46 表面透明導電膜 47 表面集電電極

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 圧延加工により形成された2軸配向させ
    た金属基板と、その上にエピタキシャル成長により形成
    するか、アモルファスシリコン膜又は微結晶シリコン膜
    にエネルギーを付与して形成した多結晶シリコン膜から
    なり、その多結晶シリコン膜が、前記金属基板の配向を
    ひきついだ結晶方位を有する個々の単結晶体からなるこ
    とを特徴とする多結晶シリコン膜を備えた基板。
  2. 【請求項2】 金属基板と多結晶シリコン膜との間に導
    電膜を備えてなる請求項1に記載の基板。
  3. 【請求項3】 金属基板が、アルミニウム、ニッケル、
    銅、銀、鉄、クロム及びチタンから選択された金属又は
    合金からなり、面心立方格子あるいは体心立方格子の結
    晶構造を有する請求項1又は2に記載の基板。
  4. 【請求項4】 金属基板が、表面が(100)面と圧延加工
    方向が[001]方向又は表面が(110)面と圧延加工方向が[-
    112]方向の2軸配向した結晶方位を有する面心立方格子
    からなるか、あるいは表面が(110)面と圧延加工方向が
    [001]方向の2軸配向した結晶方位を有する体心立方格
    子からなる請求項1〜3のいずれか1つに記載の基板。
  5. 【請求項5】 圧延加工を行うことにより2軸配向させ
    た金属基板を得、その上にエピタキシャル成長法による
    か、アモルファスシリコン膜又は微結晶シリコン膜にエ
    ネルギーを付与することにより、金属基板の配向をひき
    ついだ結晶方位を有する個々の単結晶体からなる多結晶
    シリコン膜を形成することを特徴とする多結晶シリコン
    膜を備えた基板の形成方法。
  6. 【請求項6】 金属基板上にエピタキシャル成長法によ
    り導電膜を形成した後、導電膜上に多結晶シリコン膜を
    形成する請求項5に記載の形成方法。
  7. 【請求項7】 請求項2〜4のいずれか1つに記載の多
    結晶シリコン膜を光電変換層とし、金属基板を電極とし
    て備えたことを特徴とする太陽電池。
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