【発明の詳細な説明】
グレーデッドインデックスポリマー光ファイバーの製造方法(a)発明の分野
本発明は、ファイバーの中心から外周に向かって次第に減少する屈折率を有す
る、ポリマーの光ファイバー(グレーデッドインデックスポリマー光ファイバー
)の製造方法に関する。又、本発明は該方法により得られるグレーデッド(傾斜
)インデックスポリマー光ファイバーに関する。
グレーデッドインデックスポリマー光ファイバーは、広帯域の光通信に使用す
ることができる。電線による通信を光ファイバー通信で置き換える傾向が増加し
ていることから、家庭及び職場に光ファイバー接続を提供することが必要になる
であろう(「家庭へのファイバー」)。広帯域光ファイバー接続は、専門技術及
び道具無しに扱うにはあまりにも厳密なアライメントを要求するので、家庭及び
職場で取り扱うサイズまで光路を大きくするために、相互接続手段が必要である
。この目的のため、グレーデッドインデックスポリマー光ファイバーは大変好適
で有り得る。というのは、それらは比較的大きい帯域を与え、且つ比較的大きい
直径を有し得るからである。(b)背景技術
グレーデッドインデックスポリマー光ファイバー及びその製造方法は知られて
いる。例えば、芯紡糸物質及び鞘紡糸物質を含む紡糸物質を用いるところの紡糸
プロセスを含
むグレーデッドインデックスポリマー光ファイバーの製造方法であって、該紡糸
物質は、ポリマー、重合可能なモノマー、及び開始剤を含み、ここで芯紡糸物質
中のモノマーは、鞘紡糸物質中のモノマーより高い屈折率を有し、且つ紡糸物質
は押出され及び硬化される方法が、Hoら、ポリマージャーナル、第27巻、1995年
、第310〜313頁、により知られる。
Hoらは、上部から底部へのグレーデッドインデックスポリマーファイバーの紡
糸方法を開示し、該方法では、ポリ(メチルメタクリレート)及びべンジルメタ
クリレートを含む芯紡糸物質と、ポリ(メチルメタクリレート)及びメチルメタ
クリレートを含む鞘紡糸物質が、80℃に維持された、囲まれた拡散領域へと押
出され、及び続くUV硬化領域へと押出される。紡糸工程の速度は2.5m/分まで
である。得られるファイバーは、1mmの直径を有し、ファイバー直径のたった
62%の屈折率2次分(quadraticdistribution)を有する。ジャーナル オブ
アプライド ポリマーサイエンス、第60巻、1996年、第1379〜1383頁に記載さ
れるChen、Hoらの方法において、ファイバーは次いで、ファイバーの最も外側部
分の40%を除去するために、より小さいオレフィスを通って押し出される。得
られるファイバーは、イメージングレンズとして用いられる。
Hoらの方法の欠点は、上述の目的に適した好ましい屈折率プロフィールを有す
るフアイバーを与え損なうことであ
る。この方法のさらなる欠点は、UV硬化が、作業環境の安全の点で特別の注意
を有するところの、UV-C光(235nm)を用いて行われることである。
グレーデッド屈折率プロフィールを有するファイバーの製造を開示するいくつ
かの他の方法が知られている。欧州特許第451 266号は、2以上の層からなるフ
ァイバーの、底部から上部への紡糸方法を開示する。この方法で使用されるポリ
マーおよびモノマーは、例えばポリ(メチルメタクリレート)とメチルメタクリ
レート、べンジルメタクリレート、2,2,3,3-テトラフロロプロピルメタクリレー
ト、および2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフロロペンチルメタクリレート、又はこれら
モノマーの混合物である。拡散の間、ファイバーから放出される揮発物質は、窒
素等の不活性ガスの流れにより除去される。3又は4層の、半径0.4〜0.6mmおよ
び長さ13.5〜18.4mmの光伝達素子が備え付けられ、該素子は複写機の像伝達アレ
イにおけるレンズとして用いられる。該光伝達素子は、素子の中心から0.25〜0.
75r0の範囲の屈折率2次分布を有する。
この方法の欠点は、この底部から上部への方法の速度が低い、すなわち0.5m/
分であることである。他の欠点は、蒸発されるモノマーが処理されなければなら
ず、すなわち、廃棄物として処理、あるいは再使用されなければならず、これは
工程経済にとって致命的である。速く、経済的な方法であって、紡糸が上部から
底部へと行われ、所望する屈折率分布プロフィールを有するグレーデッドインデ
ックス
ポリマー光ファイバーを与える方法を提供することが望まれる。
類似の方法および光伝達素子は、欧州特許第447 548号および欧州特許第527 2
39号より知られる。欧州特許第447 548号の方法は、3つ以上の層からなり、素
子中心から0.25〜0.70r0の範囲の屈折率2次分布を有する光伝達素子を与える
。この方法は、欧州特許第451 266号について上述したのと同じ欠点を有する。
欧州特許第527 239号は、3つ以上の層から成り、半径0.45±0.1mmを有し、且
つ素子中心から0.25〜0.80r0の範囲の屈折率2次分布を有するプラスチックグ
レーデッドインデックス伝達素子を与える。互いに屈折率において相違する芯紡
糸物質及び鞘紡糸物質が用いられる場合のみ、ファイバー中心から0.25〜約0.70
r0の範囲の屈折率2次分布を有するファイバーを作ることが困難であるとされ
ている。従って、この方法においては、プリフォームファイバーから外側の周囲
部分が除去される。得られるファイバーは、複写機およびファクシミリのレンズ
として用いられる。ファイバーからモノマーが蒸発されるところの底部から上部
への方法であることを別としても、0.35mmよりも小さい半径のファイバーを取り
扱うことも問題である。
特開平8-106,016号は、光通信媒体として使用することができるプラスチック
光ファイバーの製造方法を開示する。各々の紡糸溶液は、ポリマー、ポリマーの
モノマー、
およびポリマーでない化合物を含む。重合可能でない化合物の紡糸溶液への添加
は、連続的に分布されている屈折率を得るために必須である。この方法には、欧
州特許第451266号について上述したのと同様ないくつかの欠点がある。
これは、底部から上部への紡糸方法であり、重合可能でない化合物は部分的に蒸
発する。この方法の他の欠点は、重合可能でない化合物がファイバー中に可塑剤
として残留し、低分子量化合物のさらなる拡散の結果、不安定性につながる。類
似の方法が特開平8-106,013号および特開平8-106,014号に開示されている。
さらに、芯紡糸物質及び鞘紡糸物質を用いる2成分紡糸工程を含む方法が日本
国特開平6−186,441号において開示されている。屈折率分布型プラスチック光伝
送体は、転化率50〜90%で規定されるポリマーとモノマーの混合物を、2重
同心円状の吐出孔を有するノズル板の外側吐出孔から吐出し、同時に、モノマー
の混合物又は転化率50%以下のポリマーとモノマーの混合物を内側吐出孔から
吐出させることによって製造される。後者の混合物は、高屈折率を有する非重合
性の無色透明の化合物、例えばフタル酸べンジルブチルを含有する。上記混合物
は、吐出されて芯−鞘複合ロッドを作る。高屈折率の化合物は、内側層の混合物
(芯混合物)から外側層の混合物(鞘混合物)ヘと拡散させられる。吐出された
ロッドをさらに重合させることにより、中心から外周部へ向かって連続的に低下
する屈折率分布を有する光伝送体がもたらされる。該ロッドか
ら光ファイバーを作るためには、該ロッドが所望するファイバー直径まで延伸さ
れる。
この方法の不利な点は、その多段階性である。ロッドの吐出、ロッドの後重合
、及びそれのファイバーへの延伸、の別個の工程は、本質的に完全には経済的で
ない工程を構成する。又、グレーデッドインデックスロッドを形成する工程が遅
い。直接的に、すなわち、延伸すべきロッドを最初に作る必要なく、ファイバー
を与える方法を提供することが望ましい。そのような方法が1段階であること、
好ましくは連続的方法であることがさらに望ましい。
好ましくない多段階性は別として、この既知の方法は、高屈折率を有する非重
合性の化合物(それは鞘及び芯のポリマーと相溶性である)が可塑剤として系の
中に残留するというさらなる欠点を有する。さらに、そのような低分子量化合物
の存在は、該低分子量化合物のさらなる拡散の結果、最終的な光ファイバーが温
度により誘発される不安定状態になり易いことを意味する。従って、屈折率分布
がポリマー中で固定されているグレーデッドインデックスポリマー光ファイバー
を提供することが望ましい。
最終的なファイバー中の屈折率分布が、低分子量化合物の存在によって定めら
れるのでは無いポリマー光ファイバーを提供する方法が知られている。
この点で、日本国特開平2−33,104号が参照される。
開示されているのは、再び芯及び鞘紡糸物質の二成分紡糸によるグレーデッドイ
ンデックスポリマー光ファイバーの
製造方法である。鞘はポリマー、例えばポリ(メチルメタクリレート)とモノマ
ー、例えばメチルメタクリレートの混合物より紡糸される。芯は高屈折率モノマ
ー、例えばフェニルメタクリレート、から紡糸される。二成分紡糸ノズルから吐
出された後、紡糸された芯−鞘フィラメントは、加熱された管を通されて拡散が
起こされ、次いでUV照射に付されて光重合が起こされる。かくしてメチルメタク
リレート及びフェニルメタクリレートモノマーの拡散によって屈折率分布が達成
されているところの、芯−鞘光ファイバーが形成される。屈折率分布は、重合の
結果、ポリマーの構造の中で固定される。
この方法は、所望される速度で遂行されず、加熱管内の典型的な滞留時間及び
典型的な照射時間は、それぞれ約3分である。さらに、該方法は芯がフィラメン
ト形成に寄与しないという欠点を有する。
日本国特開平3−42,604号には、異なる方法が開示されている。ここでは、グ
レーデッドインデックスポリマー光ファイバーが二成分紡糸により作られ、芯物
質はポリマー−モノマー混合物を含み、且つ鞘物質は低屈折率ポリマー、例えば
ポリ(テトラフロロプロピルメタクリレート)である。本方法も、長すぎる工程
時間を要し、再び加熱管及びUV照射を含む。
日本国特開平2−33,104号及び日本国特開平3−42,604号の方法を遂行するため
には、紡糸物質が底部から上部へ向かって吐出されるところの二成分紡糸装置が
使
用される。通常の紡糸(紡糸物質が紡糸装置の上部から底部へ吐出される)を許
容するために屈折率分布の導入が十分速いところの、グレーデッドインデックス
ポリマー光ファイバーを製造する方法を提供することが、実用性のために望まれ
る。
グレーデッドインデックスポリマー光ファイバーを製造するいくつかの他の方
法が、先行技術文献により開示されている。例えば日本国特開昭52−5857号は、
高い屈折率のモノマー(ジアリルフタレート)を不完全に重合することによって
ロッドが形成される方法に関する。低い屈折率のモノマー(メチルメタクリレー
ト)が、同時に重合しながら、ロッド内に拡散される。類似の方法が日本国特開
昭56−37521号に開示される。部分的に重合された高い屈折率のポリマーが、ガ
ス相状態に在るモノマー内に置かれ、次いで更なる重合が起きつつ、該モノマー
がポリマー内に拡散する。
日本国特開平1−94,228号は、ポリマー、ビニルモノマーおよび光増感剤を含
む、高い屈折率および低い屈折率の紡糸物質を混合して、同軸多層グレーデッド
インデックス光ファイバーへと紡糸する方法を開示し、そこではビニルモノマー
の一部は紡糸されたファイバーから蒸発する。
この方法は、異なる屈折率を有するモノマーの拡散に基づくものではない。
欧州特許第615,141号は、透明なポリマーを溶融すること、前記溶融物の中心
部に、前記透明なポリマーとは異
なる屈折率を有する透明且つ拡散可能な物質又は、前記透明且つ拡散可能な物質
と透明なポリマーを含有する物質を注入すること、および押出し溶融成型を行い
プラスチック光伝達媒体を形成することを含む方法を記載する。この方法では、
芯紡糸物質および鞘紡糸物質のいずれも重合可能モノマーだけでなく、ポリマー
をも含まない。
日本国特開昭54−30,301号では、2つの異なるモノマーが、モノマー組成に傾
きが形成されるよう不均一に共重合される。日本国特開昭61−130,904号では、
種々の屈折率を有するモノマーの混合物が、外側から硬化に付される。内側のモ
ノマー混合物は、より高い屈折率のモノマーに富むようになる。
欧州特許第208 159号では、ポリマーとモノマーの混合物が押出され、該モノ
マーは揮発性であり、且つ比較的高い屈折率を有する。外側からの気化により、
芯が鞘よりも高屈折率モノマーを多く有するようになる。弗化ビニリデンタイプ
の樹脂及びメタクリレートタイプのモノマーを用いた類似の方法が日本国特開平
8−106,019号に開示されている。
欧州特許第496 893号では、ポリ(メチルメタクリレート)チューブが作られ
、且つメチルメタクリレートとべンジルメタクリレートのモノマー混合物で満た
される。重合条件下で該チューブを回転させる(約20時間)ことによって、グレ
ーデッドインデックスロッドが形成される。ロッドは、グレーデッドインデック
スポリマー光ファイバー
ヘと延伸される。欧州特許第497 984号では、ポリマーのチューブがモノマーか
ら作られ且つモノマーで満たされる。徐々に変化する屈折率を有するロッドが、
拡散によりもたらされる。グレーデッドインデックスポリマー光ファイバーは、
ロッドから延伸される。
総てのこれら背景技術の開示は、魅力的ではなく、上述の要求を満たさない。
本発明は、上述の問題を解決し、速い連続的紡糸工程(好ましくは10m/分まで
さえ、又はより速い)で遂行可能であり、且つ所望する円形形状及び屈折率プロ
ファイルを与えるところの、効率的なグレーデッドインデックスポリマー光ファ
イバーの製造方法を提供することを目的とする。(c) 発明の開示
1.要約
これらの及び他の目的を達成するために、本発明は、芯紡糸物質及び鞘紡糸物
質を含む紡糸物質を用いる紡糸プロセスを含み、該芯紡糸物質は、ポリマー、重
合可能なモノマー、及び開始剤を含み、ここで芯紡糸物質中のモノマーは、鞘紡
糸物質中のモノマーより高い屈折率を有し、且つ紡糸物質が押出され及び硬化さ
れるところのグレーデッドインデックスポリマー光ファイバーの製造方法であっ
て、本方法は、押出し及び硬化の間にモノマーが実質的にファイバー内に含まれ
、且つ紡糸物質の全体が本質的に糸形成するように紡糸条件が選ばれることを特
徴とするグレーデッドインデックスポリマー光ファイバーの製造方法である。
2.詳細な説明
2成分および多成分紡糸方法は、当業者に知られている。
基本的な原理の記載は、例えばディー.アール.ポール及びエス.ニューマン著
、ポリマーブレンズ、第16章「ポリマーブレンドからのファイバー」、第176
〜177頁に見出される。2成分紡糸方法においては、通常、芯紡糸物質及び鞘紡
糸物質が同時に紡糸口金を通して押し出され、芯-鞘構造は紡糸口金の形状(例
えば2重同心円状オレフィスを有するもの)によって、又は、通常の紡糸口金の
直前に置かれる管であって、芯紡糸物質がその中を通って押し出されるところの
管によって得られる。
本発明の方法では、屈折率の分布は、紡糸物質が紡糸口金を通過した直後の明
確な段階的分布から、所望されるところの、芯の中央から鞘の外周への次第な減
少へと発展する。紡糸点(それは、好ましい上部から底部への紡糸工程において
は、紡糸口金の直下である)を通過した直後は、屈折率の分布は、2つの紡糸物
質間の屈折率の相違により決定される。この出発時の芯及び鞘紡糸物質の屈折率
の違いは、通常0.01〜0.1のオーダーである。この相違が比較的大きいことが好
ましく、なぜならそれは、適切な工程速度を維持しながら、数値の最大の開き、
及び最終的な分布の急峻さの決定における最大の自由度を供給するからである。
双方の紡糸物質の押出しは、糸(この場合、光フアイバー)の連続的な形成へ
と導く。形成された糸のある固定点
で、より高い及びより低い屈折率のモノマーが拡散して、芯ではより低い屈折率
のモノマーが増え、且つより高い屈折率のモノマーが減少し、鞘ではその逆とな
る。従って、押し出されたフィラメントがさらに進行すると、紡糸点直後では段
階状の分布であったものが、ますます連続的な分布になる。仮に拡散工程が自由
に進行できるようにすると、最終的には芯と鞘との屈折率の差は均されて無くな
ってしまう。
所望される屈折率分布をポリマーのファイバー内で固定されたものとするため
に、モノマーは重合又は共重合して、ポリマーにされる。このために、芯紡糸物
質及び鞘紡糸物質の双方が重合開始剤、好ましくはUV開始剤を含む。好ましい
UV開始剤は、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド(L
ucirin TP0)を含む。なぜなら、この化合物は高い効率を有するからである。重
合が起きた処では、モノマーの拡散は阻止される。実際の状況下では、ファイバ
ーの直径方向に亙る硬化の相違が存在し得る。当業者にとっては、開始剤の型及
び濃度の適切な組み合わせによって、これを如何に回避するかは共通の一般的知
識である。適正な紡糸速度とUV照射時間の選択によって、本方法は、重合の完
了が、所望される屈折率分布が達成されるのと時間的に一致するように遂行され
る事ができる。
所望する円形形状および、適合された屈折率分布を有する糸を製造することに
関して、押出しおよび硬化の間、モ
ノマーが実質的にファイバー内に含まれるような紡糸条件を選択すること、及び
、本質的に糸形成する紡糸物質の全体を用いることが、予想外に非常に良い効果
を与えることが見出された。言及された背景技術の開示においては、モノマーが
鞘紡糸物質から蒸発した後に初めてファイバーが紡糸され得る。その結果、再現
性および屈折率プロフィールに関するモノマーの拡散工程の制御の点で劣る。本
発明で、実質的にとは少なくとも95%のモノマーがファイバー内に含まれるこ
とを意味する。
少なくとも97%のモノマーがファイバー内に含まれることが好ましい。より
好ましくは、少なくとも99%のモノマーがファイバー内に含まれる。モノマー
が完全にファイバー内に含まれることが最も好ましい。押出しの間にモノマーが
ファイバー内に含まれることは、種々の方法で達成することができる。紡糸物質
を、紡糸物質中で使用される1または2以上のモノマーで飽和された不活性ガス
、例えば窒素、雰囲気内に押出すことができる。好ましくは、不活性ガスが鞘紡
糸物質中の1又は複数のモノマーで飽和されている。紡糸物質が不活性液体中に
押出されることが好ましい。ここで不活性とは、液体がモノマーと混合、溶解、
凝固、および反応しないことを意味する。好適な不活性液体は、水、ならびにジ
ー及びトリエチレングリコールを含む。水中への押出しが特に好ましい。不活性
液体中への押出の、さらなる効果は、該不活性液体が押出されるゲルとほぼ同じ
密度を有する場合に達成され、紡糸速度をよ
り満足の行くように制御することができることである。なぜなら、重力の効果が
中和され、より低い溶融強度を有する物質の紡糸が可能となるからである。
押出しの間にモノマーがファイバー内に含まれることを達成する他の方法は、
高い沸点(bp)、すなわち紡糸温度より50℃を越えて高い温度、を有する1又は
複数のモノマーを選択することである。好ましくは、1又は複数のモノマーは、
紡糸温度より100℃を越えて高い温度の沸点を有する。少なくとも鞘のモノマ
ーは、高沸点モノマーであることが好ましい。好適な高沸点モノマーは2,2,3,3-
テトラフロロプロピルメタクリレート(沸点69〜70℃/51mm)及び2,2,3,3,
4,4,5,5-オクタフロロペンチルメタクリレート(沸点87〜88℃/40mm)であ
る。当業者は押出しの間にモノマーがファイバー内に含まれることを達成する他
の条件を選択することに何等問題はないであろう。他の1つの方法は、例えば、
押出しの間にファイバーにポリマーの表皮(skin)を付与することである。
紡糸物質の全体が本質的に糸形成することは、紡糸溶液全体が、先行技術にお
けるようなモノマーの蒸発を要すること無く、それ自体で糸を形成することを意
味する。紡糸物質全体が本質的に糸形成することを達成するためには、紡糸物質
の少なくとも1つが本質的に糸形成する紡糸物質であることが必要である。この
場合、紡糸物質の体積比率が紡糸物質全体が糸形成するように選択されることが
勿論重要である。各々の紡糸物質が糸形成することが好ましい。
紡糸溶液が糸形成する能力は、ポリマーの分子量、選択されるポリマー及びモノ
マー、及び、モノマー中のポリマー溶液における所望のポリマー濃度に依存する
。モノマー中のポリマー溶液が糸を形成する能力は、85℃以下の温度で、1m
m径の細管を用いて、水中へ1.0mm/分の速度で押出しする紡糸実験により求める
ことができる。
所定のポリマー、モノマー、UV開始剤、及び照射波長の系について、当業者
は過度の実験をすることなくグレーデッドインデックスポリマー光ファイバーの
製造条件を定めることができる。本発明の範囲内での変形についてのさらなる開
示が以下に示される。
重要な変量は、紡糸物質中のポリマー濃度である。芯紡糸物質及び鞘紡糸物質
が十分低いポリマー濃度を有するときには、高い屈折率のモノマー及び低い屈折
率のモノマー双方の拡散は、紡糸工程速度を制限しないよう十分に速い。
驚くことには、本発明の方法によれば、連続紡糸工程で、グレーデッドインデッ
クスポリマー光ファイバーを約5.5m/分の速度で製造できる程に速い速度で
拡散が起きる工程を得ることが可能であることが見出された。このために、芯紡
糸物質及び鞘紡糸物質は、ポリマー濃度が20〜70重量%である、モノマー中のポ
リマーの溶液である。速い拡散速度が最も有利であるので、ポリマー濃度は30〜
60重量%であることが好ましい。
芯紡糸物質及び鞘紡糸物質において、ポリマーとモノマーとの組み合わせは、
達成可能であるところの予期されな
い速い工程速度をもたらすだけでなく、速い紡糸速度においてでさえ、十分な強
さのフィラメントが形成され得るという利点をも有する。
光透過性の点で最適なグレーデッドインデックスポリマー光ファイバーを得る
ために、芯及び鞘のポリマーは化学的に同一であることが望まれる。好ましくは
物理的にも同じである。より好ましくは、それらは芯及び鞘物質中で濃度が同じ
である。このことは、ファイバーの最終特性に良い影響を及ぼすことは別として
、驚くほど単純且つ便利な方法を構成する。というのは、芯及び鞘のポリマーが
同じであるので、芯紡糸物質と鞘紡糸物質(及び従って最終的なグレーデッドイ
ンデックスポリマー光ファイバー)における屈折率の相違は、モノマーの選択の
みによって定まるからである。好ましくは、この相違は0.01〜0.1である。
本記載の範囲内に於いて、モノマーの屈折率は対応するホモポリマーの屈折率
に比例すると考えられる。元のポリマーと、高屈折率モノマー及び低屈折率モノ
マーとの共重合により得られる共重合体の屈折率は、共重合体に取り込まれた各
モノマー量と比例的な関係がある。
2つの紡糸物質の内の1つに含まれるモノマーが、同一の紡糸物質に含まれる
ポリマーと対応することが、さらに好ましい。このことは、各紡糸物質において
、モノマーとポリマーとが対応すること、及び従って芯及び鞘が異なるポリマー
を含むことを排除するものではないが、段階状の屈折率分布を回避するために、
ポリマーが同一であり、且
つ芯紡糸物質及び鞘紡糸物質のいずれかが対応するモノマーを含有することが好
ましい。
加工性、安価な高分子量体の入手のし易さ、及び良い光学的特性の理由から、芯
紡糸物質及び鞘紡糸物質双方のポリマーはポリ(スチレン−コ−アクリロニトリ
ル)又はポリ(メチルメタクリレート)であることが好ましい。前者の場合、鞘
のモノマーがメチルメタクリレートであり、且つ芯のモノマーがメチルメタクリ
レートよりも高い屈折率を有することがさらに好ましい。この場合のモノマーは
、アクリルモノマーであることが好ましい。高い屈折率のアクリルモノマーの例
は、べンジルメタクリレート、フェニルメタクリレート、1−フェニルエチルメ
タクリレート、2−フェニルエチルメタクリレート、フルフリルメタクリレート
、及び2−クロロエチルアクリートである。べンジルメタクリレートが最も好ま
しい。芯紡糸物質及び鞘紡糸物質双方のポリマーがポリ(メチルメタクリレート
)である場合には、芯のモノマーがメチルメタクリレートであり、且つ鞘のモノ
マーがメチルメタクリレートよりも低い屈折率を有することがさらに好ましく、
好ましくは2,2,3,3-テトラフロロメタクリレートである。驚くことには、本発明
の方法により直径の89%の屈折率2次分布を有するポリマー光ファイバーを得る
ことができる。
なお、好適な光ポリマー及び対応する、又は類似の、より高い及びより低い屈
折率のモノマーは、当業者に公知である。例えば、グレーデッドインデックス物
質及び成分は
ワイ.コイケにより光導波路及び集積光学用ポリマー、エル.エー.ホーナック
編、第3章、第71〜104頁に記載されている。
近赤外領域(near-IR)で用いるためのグレーデッドインデックスポリマー光フ
ァイバーの製造が所望される場合は、水素原子を含む結合、特に0-H、N-H、C-H
、の周波数の倍振動周波数による光吸収による光の減衰は、できる限り避けられ
なければならない。これは、水素原子をより重い元素で置き換えることによって
達成する事ができる。
他の波長領域においても、ポリマーの光導波路内における水素原子のより重い元
素での置き換えは、最小吸収が見出されるべきところの周波数領域の好ましい拡
張をもたらし得る。
大抵、しかしながら、本発明のグレーデッドインデックスポリマー光ファイバ
ーは、可視光について用いられる。
このことは、光ファイバーの結合が企業内で作成される場合には有利である。さ
らに、好適な物質、ポリ(メチルメタクリレート)は大抵可視光について用いら
れ、なぜなら、当該領域で最小の吸収を有するからである。
水素を置き換える元素としては、とにかくフッ素及び/又は塩素が好ましく、
というのは、屈折率をさらに調整するために用いられ得るからである。FとClと
は各々反対の効果を有する。フッ素は、屈折率を鋭く低下させるのに対し、塩素
はそれを高くする。そのようなハロゲン化されたモノマーの例は、2,2,3,3-テト
ラフロロプロピルメタ
クリレート及び2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフロロペンチルメタクリレートである。
詳細な説明のために、且つ限定ではなく、以下に本発明に従う実施例1及び2
並びに比較例が記載される。
2つのゲルが、二成分紡糸工程で芯−鞘ファイバーへと加工される。紡糸物質
(ゲル)は、ポリマーを、それぞれのモノマー中に、80℃において攪拌して溶解
させることによって調製する。熱硬化を回避するために、防止剤(例えばハイド
ロキノン、ベンゾキノン、又はメトキシフェノール)を紡糸物質に添加すること
が好ましい。UV硬化を遂行できるようにするために、開始剤(例えばLucirin TP
0)が添加される。
紡糸装置には、2つのプランジャーポンプが備えられ、1つは芯用、一つは鞘
用である。該ポンプに、紡糸物質を注ぎ入れて満たし、次いで紡糸装置が組立て
られる。2つの導管が、プランジャーポンプから、二成分紡糸口金へと繋がり、
その口金を通って芯−鞘ファイバーが形成される。
プランジャーポンプの吐出を調整することによって、鞘と芯の体積比で表したフ
ァイバーの組成を、所望されるとおりに選択することができる(例えば20/80〜
80/20)。
工業的実施においては、プランジャーポンプよりも連続供給システムが好ましい
。
紡糸して、形成された糸は、例えば使用される1または2以上のモノマーで飽
和された窒素ガスなど、を含むガラス管に囲まれる。好ましくは、該ガラス管は
不活性液体、
例えば水など、を含む。予め定められた距離(この間に亙りモノマーの拡散が起
こる)の後、多くのUV源を含む硬化セクションが備えられ、その放射は、好まし
くは300〜450nmである。より好ましい放射は、350〜400nmである。
なぜなら、これらの波長は好ましい透過深さを有し、且つ適した開始剤が入手可
能であるからである。例えばPhi1ips TL/10 (340〜400nm)が用いられる。
理想的な状態は、所望される屈折率プロフィールを形成すべく第1段階で拡散
が起き、第2段階で該プロフィールがUV硬化によって固定されることであること
に注意されるべきである。実際上は、しかしながら、これらの段階は通常重なり
、その理由は、硬化速度が拡散速度と同じオーダーの大きさ(秒)であるからで
ある。当業者は、過度の実験をすることなく、且つ比較的長い距離に亙る硬化(
厚い層、大きい直径、すなわちnmスケールの薄いフィルムではなくmmスケール)
に関する、彼が当然に有する技術を用いて、所望されるプロフィールが得られる
ように、硬化が開始すべき時間上の点を決定することができる。この点について
、J.Rad.Curing、第7巻、第2号、第20頁、1980年、並びにジェー.ジー.ウッ
ズ著、「放射線硬化型接着剤(Radiation curable adhesives)」、放射線硬化:科
学と技術(Radiation Curing: Science andTechnology)(エス.ピー.パパス編
)、P1enum Publishers、 New York、第9章、1992年が参照される。
硬化の後、かくして固形化されたグレーデッドインデッ
クス光ファイバーは押出し手段から除去され、巻き取られる。
実施例1
ポリ(スチレン−コ−アクリロニトリル)(SAN)(モンサント製、商品名 L
ustran 32、HPLCで測定した分子量Mw=200,000)のメチルメタクリレート(MM
A)中50.0%溶液を調製した。該溶液は50ppmのハイドロキノンを熱重合防止剤と
して、および1.0重量%の2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフイ
ンオキサイド(BASF社製、LucirinTP0)をUV開始剤として含んだ。
同様に、第2の溶液としてべンゾイルメタクリレート(BzMA)とMMAの混合物(
重量比70/30)中の48.2重量%のSAN(Lustran 32)溶液を調製した。
紡糸実験においては、これらの溶液を2つの高圧シリンジポンプに満たした。
該2つのポンプを二成分紡糸口金に結合した。紡糸温度は75℃であった。鞘の
MMA中溶液と、芯のBzMA/MMA中の溶液から二成分ファイバーを、直径1mmの細管
を通して水を含む槽内に紡糸した。
押出し速度は1.2m/分、表皮と芯との体積比は50:50であった。巻取速度は、5.5
m/分であった。
紡糸口金の下に、長さ60cmの拡散セクションが作られ、長さ150cmの硬化セク
ションがそれに続いた。延伸(drawdown)は拡散セクションで行われた。硬化セク
ションは、24個のUV管を、紡糸フィラメントの周りを囲んで円周状に含み、350
〜400nm(Phi1ips TL/10)で照射した。
製造されたファイバーは、屈折率2次分布が直径の89%(すなわち、ファイ
バーの中心から半径の89%まで)であった。実施例2
鞘紡糸物質からのモノマー、すなわちMMA、で飽和させた窒素中に紡糸物質を
押出したことを除き、実施例1を繰り返した。同じ屈折率プロフィールのファイ
バーが得られた。比較例
MMA中52.4重量%のPMMA(Rohm 7H)溶液を調製した。
該溶液は50ppmのハイドロキノンを熱重合防止剤として、および1.0重量%のLuci
rin TP0をUV開始剤として含んだ。同様に、第2の溶液として、BzMA/MMA(70/3
0)中の50.6重量%のPMMA(Rohm 7H)溶液を調製した。紡糸実験は、鞘のMMA中溶液
と、芯のBzMA/MMA中の溶液を用いて実施例1と全く同様に行った。
何等のファイバーも紡糸することができなかった。