JP2000501412A - キトサンを含んでなる鼻内投与用ワクチン組成物およびその使用 - Google Patents

キトサンを含んでなる鼻内投与用ワクチン組成物およびその使用

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Abstract

(57)【要約】 鼻内投与用のワクチン組成物であって、1または2以上の抗原と、キトサンの有効アジュバント量とを含んでなる組成物が提供される。

Description

【発明の詳細な説明】 キトサンを含んでなる鼻内投与用ワクチン組成物およびその使用 本発明は、鼻内投与用のワクチン組成物であって、1または2以上の抗原およ び有効なアジュバントを含んでなる組成物に関する。本発明は、哺乳動物にこれ らの組成物を投与することにより哺乳動物を疾患に対して免疫する方法、鼻内投 与した抗原の免疫原性を増強する方法、および特定の疾患に対して哺乳動物を免 疫する鼻内投与用のワクチン組成物の製造のための抗原のアジュバントと組合わ せた使用にも関する。 ワクチンは、細菌またはウイルスなどの特定の微生物に対する活性免疫を誘導 することによる感染症に対する抵抗を高める目的で患者に投与される抗原物質の 製剤である。 ワクチンは、単一でもまたは混合成分ワクチンであってもよく、様々な形態で 提供される。例えば、流行性インフルエンザワクチンは、不活性化した全ウイル ス、破砕したウイルス(スプリットワクチン)、または抗原性タンパク質の精製 した製剤からなっている。 ワクチンは、典型的には注射により非経口的に投与される。従来の非経口免疫 法は、多くの欠点を有することが知られている。例えば、多くの個体は注射に対 する自然な恐怖感を持っており、その結果精神的不快感を経験することがある。 更に、多くの個体は注射を肉体的に苦痛なものと感じている。また、非経口ワク チン接種(筋肉内、皮下など)は、(例えば、感染により)以前に局部的暴露が なかった場合には、局部的抗体産生を誘導する有効な手段ではない。 従って、有効な局部的(local)および/または局所的(topical)投与法が望 まれる。 幾つかの疾患の場合には、粘膜免疫系を刺激することが有利である。これを行 うには、ワクチンを粘膜表面に局所適用しなければならない。従って、場合によ っては(例えば、上気道(respiratory tract)の感染症の場合には)、気道の 局部粘膜免疫系を更に効果的に刺激するのが有利となる。 従って、粘膜ワクチンを開発するための多くの試みが行われてきた。しかしな がら、一つの欠点は、不活性化ワクチンは、粘膜投与したときに、余り免疫原性 でないことが多いことである。この問題点を解決するため、経口または鼻内投与 されるワクチンの免疫原性を向上させる他の方法は、アジュバント(下記参照) の使用、各種ミクロスフェアへのワクチンのカプセル封入、および弱毒化した生 株の使用を含んでいた。 ある種のアジュバントは、ワクチン抗原と共投与したときに、免疫応答を刺激 することによってワクチン組成物の有効性を更に高めることが示されている(例 えば、Hibberd et al.,Arm.Intern.Med.,110,955(1989))。有効であるこ とが示されているアジュバントの例としては、インターフェロンアルファ、Kleb siella pneumoniae、糖タンパク質、およびインターロイキン−2が挙げられる 。 キトサンは、キチンまたはポリ−N−アセチル−D−グルコサミンの誘導体で あって、かなりの割合のN−アセチル基が加水分解によって外されたものである 。 欧州特許出願第460,020号明細書には、粘膜吸収増強剤としてキトサン を含んでいる医薬処方が開示されている。ワクチン組成物に投与されたときにキ トサンがアジュバント効果を提供することができることは、開示も示唆もされて いない。 意外なことには、本発明者らは、キトサンは、鼻内共投与すると、抗原の免疫 応答を増強し、従ってアジュバント効果をを提供することを見出だした。 従って、本発明の第一の局面では、鼻内投与に適したワクチン組成物であって 、 抗原と、キトサンの有効アジュバント量とを含んでなる組成物(以後、「本発明 の組成物と呼ぶ)が提供される。 「有効アジュバント量」という用語は、当業者によって十分に理解されるであ ろうし、鼻内投与した抗原に対する免疫応答を刺激することができるキトサンの 量、すなわち、鼻内洗浄液中のIgA濃度によって測定した鼻内投与した抗原組 成物の免疫応答を増加させる量を包含する。IgA濃度の有効増加量は、アジュ バントを含まない同じ抗原組成物と比較して5%超過、好ましくは25%以超過 、特に50%超過を包含するのが好適である。 本発明の組成物におけるキトサンの好ましい濃度は、0.02〜10%の範囲 であり、更に好ましくは0.1〜5%であり、特に0.25〜2%である。 本発明者らは、鼻内組成物において特定のキトサン誘導体と共に抗原を投与す ることによって、免疫(例えば、IgGおよびIgA)応答を得ることができる ことを見出だした。本発明者らは、抗原を含む鼻内ワクチン組成物にキトサンを 配合すると、良好な全身的および局部的免疫応答が得られることも見出だした。 特に、本発明者らは、本発明の組成物を鼻内投与すると、防御的IgA粘膜(mu cosal)免疫応答およびIgG全身性(systemic)免疫応答を両方とも増強する ことを見出だした。 従って、本発明は、抗原とキトサンの有効アジュバント量とを含んでなるワク チン組成物を哺乳動物に鼻内投与することによる防護的IgA粘膜免疫応答およ びIgG全身的免疫応答を増強する方法も提供する。 抗原は、細胞壁タンパク質または多糖類のサブユニットとして、または(例え ば、トランスフェクションによる)DNAの導入の後に細胞中で抗原を生成する DNAとして提供することができる。厳密にいえば、DNAはそれ自身は「抗原 」ではないが、抗原をコードするので、本明細書では抗原と呼ぶ。 抗原は、精製したまたは未精製の形態で提供することもできる。しかしながら 、 抗原を精製した形態で提供するのが好ましい。 本発明は、病原体由来のタンパク質、組換えタンパク質、ペプチド、多糖類、 糖タンパク質、リポ多糖類、およびDNA分子(ポリヌクレオチド)などの抗原 に適用することができる。 下記の抗原のリストは、例示のために提供したものであり、排他的であること を意味しない。インフルエンザウイルス抗原(例えば、血球凝集素およびノイラ ミニダーゼ抗原)、Bordetella pertussis抗原(例えば、百日咳毒素、線維状血 球凝集素、ペルタクチン(pertactin))、ヒトパピローマウイルス(HPV)抗 原、Helicobacter pylori 抗原、狂犬病抗原、ダニ媒介脳炎(TBE)抗原、髄 膜炎菌抗原(例えば、血清群A、B、C、YおよびW−135のカプセル状多糖 類)、破傷風菌抗原(例えば、破傷風トキソイド)、ジフテリア抗原(例えば、 ジフテリアトキソイド)、肺炎球菌(例えば、Streptococcus pneumoniae3型の カプセル状多糖類)、結核抗原、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)抗原(例えば 、GP−120、GP−160)、コレラ抗原(例えば、コレラ毒素Bサブユニ ット)、ブドウ球菌抗原(例えば、ブドウ球菌エンテロトキシンB)、シゲラ抗 原(例えば、シゲラ多糖類)、水疱性口内炎ウイルス抗原(例えば、水疱性口内 炎ウイルス糖タンパク質)、サイトメガロウイルス(CMV)抗原、肝炎抗原( 例えば、A型(HAV)、B型(HBV)、C型(HCV)、D型(HDV)お よびG型(HGV)肝炎ウイルス抗原)、呼吸シンシチウムウイルス(RSV) 抗原、単純疱疹抗原、またはそれらの組合わせ(例えば、ジフテリア、百日咳お よび破傷風の組合わせ(DPT))。適当な抗原としては、網膜抗原のような耐 性を誘導する目的で送達されるものも挙げられる。 好ましい抗原としては、Bordetella pertussis抗原、髄膜炎菌抗原、破傷風抗 原、ジフテリア抗原、肺炎球菌抗原、結核抗原、およびRSV抗原等が挙げられ る。 本発明のもう一つの局面によれば、抗原はインフルエンザウイルス抗原でない のが好ましい。 キトサンは水溶性であるのが好ましく、キチンから40%を上回る程度の脱ア セチル化により、好ましくは50〜90%、更に好ましくは70%〜95%の脱 アセチル化によって有利に製造することができる。 挙げることができる特定の脱アセチル化したキトサンとしては、Protan Biopo lymer A/S、ドラーメン、ノルウェーから入手できる「Sea Cure+」キトサングル タメート等が挙げられる。 キトサンの分子量は、10kD〜500kD、好ましくは50kD〜300k D、更に好ましくは100kD〜300kDであることができる。 本発明による組成物は、例えば下記の試験で記載されているような疾患に対す る宿主の免疫化に用いることができる。 本発明のもう一つの局面によれば、疾患の感染に対して宿主を免疫化する方法 であって、宿主に抗原を上記に定義したキトサンの有効アジュバント量と共に含 んでなるワクチン組成物を鼻内投与することを含んでなる方法が提供される。 更に本発明のもう一つの局面によれば、鼻内投与した抗原の免疫応答を高める 方法であって、上記抗原と上記に定義したキトサンとを共投与することを含んで なる方法が提供される。 本発明による鼻内用組成物は、エアゾール、点滴または吸入剤として投与する ために液体または乾燥粉末として処方することができる。 本発明による組成物は、乾燥粉末として、またはミクロスフェアの形態で処方 するのが好ましい。 鼻用点滴として投与する組成物は、このような組成物に通常含まれる種類の1 または2以上の補形剤、例えば保存剤、粘度調節剤、緊張度(tonicity)調節剤 、緩衝剤などを含むことができる。 キトサンが水性媒質に可溶性のままにし、抗原が酸性が強すぎるpHによって 悪影響を受けないないようにするため、鼻内投与用溶液のpHは5.5〜6.5 の範囲であるのが好ましく、pHが約6であるのが最も好ましい。 本発明は、精製した表面抗原とキトサンとの鼻用組成物を投与する手段も提供 する。投与装置は、例えばエアゾール投与装置の形態をとることができ、また単 回投与量だけまたは複数回の投与量を投与するように整えることができる。 ワクチンは、患者の防御的免疫応答を刺激するのに有効な量で患者に投与され る。例えば、ワクチンは、1または2以上の投与量で、各投与量がそれぞれのウ イルスまたは菌株から調製したタンパク質または多糖類を1〜250μg、更に 好ましくは2〜50μg含むものをヒトに投与することができる。例えば、血球 凝集素およびノイラミニダーゼ製剤は、3種類のウイルス株、例えば2×インフ ルエンザAおよび1×インフルエンザBから調製される場合に、投与されるウイ ルスタンパク質の総投与量は15〜150μgの範囲とすることができる。Bord etella pertussis抗原を用いる場合には、FHA、百日咳毒素(トキソイド)ま たはペルタクチン(pertactin)として個々にまたは組合わせて投与される細菌タ ンパク質の総投与量は、5〜150μgの範囲とすることができる。 本発明を下記の実施例によって説明するが、これに限定されるものではない。 記載される検討は、粘膜ワクチン接種のアジュバントとして用いられるキトサン は、多数の抗原に対する全身性および粘膜体液性応答のいずれをも高める可能性 を有している。 図面の簡単な説明 第1図は、インフルエンザの精製表面抗原(PSA)で免疫したマウスにおけ る血清IgG抗−血球凝集素応答を示している。各棒線は、4匹のマウスの相乗 平均価(geometric mean titre)を示している。誤差の棒線は平均の1標準誤差 を表す。カットオフ値は、検出下限の50である。 第2図は、精製表面抗原(PSA)で免疫したマウスにおける鼻におけるIg A抗血球凝集素応答を示している。第1図と同様に、それぞれの棒線は、4尾( 匹)のマウスの相乗平均力価(titre)を表し、誤差の棒線は1標準誤差または 平均を表している。 第3aおよび3b図は、ELISPOTを用いる精製表面抗原(PSA)で免 疫したマウスの鼻および肺の抗ヘマグルチニン分泌細胞の測定を示す。第3a図 は対数目盛を用いているが、第3b図では線形目盛を用いている。 第4a、4bおよび4c図は、それぞれFHAで免疫したマウスでの抗−Bord etella pertussis線維状ヘマグルチニン(抗−FHA)血清IgG応答、肺洗浄 液(lung lavage)中の抗−FHA分泌IgA応答、および鼻洗浄液中の抗−F HA分泌IgA応答を示す。 第5a、5bおよび5c図は、それぞれFHAおよびPTで免疫したマウスで の、坑−FHAおよび抗−Pertussis 毒素(トキソイド;抗−PT)血清IgG 応答、肺洗浄液分泌IgA応答、および鼻洗浄液分泌IgA応答を示す。 実施例1 インフルエンザB精製表面抗原/キトサングルタメート組成物の調製 1A. 中粘度脱アセチル化キチンが約11%の残存N−アセチル基を有する1 %キトサングルタメートの溶液を、キトサングルタメートを0.8%塩化ナトリ ウムに溶解することによって調製した。用いたキトサングルタメートの等級は、 Protan Biopolymer A/S、ドラメン、ノルウェーから発売されている「Sea Cure+ 210」であった。 1B. Evans Medical Limited、スペック(speke)、マージサイド、英国から 「Fluvirin」の商標で発売されているインフルエンザAおよびインフルエンザB タンパク質の両者を含むインフルエンザ精製表面抗原(PSA)をリン酸緩衝塩 水中で調合して、タンパク質濃度を約1mg/mlとした。PSAはほとんど 完全にスパイクタンパク質(spike protein)血球凝集素(HA)からなってい るが、幾らかのノイラミニダーゼを含んでいる。 1C. キトサングルタメート溶液とPSA溶液との1:1混合物を調製して、 0.5%キトサングルタメート(11%アセチル化)、0.8%NaCl、0. 05%PSA、および溶液pHを6とするリン酸緩衝液を含む鼻内ワクチン組成 物を得た。 1D. 同じ濃度のPSAを含むがキトサングルタメートは含まない、および同 濃度のキトサングルタメートは含むがPSAは含まない対照溶液も、調製した。 更に、既知のアジュバントAlhydrogel(水酸化アルミニウム)に吸着させた同濃 度のPSAを含んでなる組成物も調製した。PSAは、Alhydrogelに40℃で一 晩吸着させた。 実施例2 マウス免疫研究 2A. 実施例1に記載の方法で調製した4種類の組成物を、12尾の成熟した (6〜8周齢)雌BALB/cマウスの群に下記のようにして投与した。 群1: 20μl(鼻孔当たり10μl)PSA/キトサン溶液を鼻内(intran asally)投与。PSA投与量=10μg。 群2: 20μlPSAを鼻内投与(総PSA投与量=10μg)。 群3: 200μlPSA/Alhydrogelを皮下(subcutaneously)投与(PSA 投与量=10μg)。群4: 20μlキトサン溶液を鼻内投与。 群5: 20μlPSA(鼻孔当たり10μl)を3日間毎日投与。(本研究に 用いた4尾のマウスの群)。 2B. 免疫化の手続きは、マウスを3日間連続毎日投与して免疫した群5を除 き、1か月の間隔をおいて3回行った。免疫化および試料採取法を、第1表に示 す。 免疫化および試料採取法 各試料採取点において、各群からの4尾のマウスを心臓穿刺によって定期に採 血し、頭部を取り除いて、鼻通路を1mlPBS+1%ウシ血清アルブミンで洗 浄した。群5は4尾のマウスだけであったので、血液は最初の2回の試料採取で は尾穿刺によって得て、鼻洗浄は3回目の試料採取時にだけ行った。抗体分析 総ての分析において、全インフルエンザワクチン(WIV)を抗原として用い た。WIVは約50%HAに過ぎないが、これらの分析は、主として抗−HA抗 体を測定しているものと思われた。この推定は、WIVの代わりにPSA(10 0%HA)を用いて、幾つかの分析を繰り返すことによって確かめた。結果は、 いずれの抗原でも同様であった。HAに特異的な血清IgGおよび鼻IgA抗体 は、エンザイム・リンクト・イムノソルベント・アッセイ(ELISA)によっ て測定した。バックグラウンドを補正した後、個々の光学密度(OD)希釈曲線 をプロットし、力価値を測定した。力価は、ODの読みが0.2となる血清の希 釈度、またはODの読みが0.1となる鼻洗浄の希釈度として測定した。 第三の試料で鼻洗浄液の採取と同様に、リンパ球を鼻腔の粘膜および肺から単 離して、局部免疫応答をELISPOTによって分析した。結果 1. 血清抗−HA血清応答 精製表面抗原(第1図および第2表): 予想されたように、良好な血清応答が、PSA+Alhydrogelによる皮下(SI C)免疫によって誘導された。試験を行った総ての動物では第一の免疫化の後に 血清変換し、幾何平均力価(GMT)は良好であった。応答は各追加免疫の後に 増加し、3回目の投与の後のGMTは極めて高かった(約800,000)。対 照的に、鼻内投与したPSAだけに対する血清応答は不十分であり、4尾のマウ スの2尾だけが1回目の投与の後に血清変換し、試験を行ったマウスのいずれも 2回目の投与の後にも血清HA抗体を持たず(これらは最初の免疫化の後に試験 したものとは異なるマウスである)、試験を行った総ての動物は3回目の投与の 後には血清変換したが、GMTはPST+Alhydrogelを一回投与した動物より低 かった。キトサンは鼻内投与したPSAの血清応答を高め、3回目のワクチン接 種の後には、PSA+キトサンを投与したマウスの抗体応答は、PSAだけを鼻 内投与(I/N)したマウスの360倍大きかった。PSA+キトサンマウスに おける血清応答の大きさは、SIC免疫したマウスのものと極めて類似しており 、実際に、いずれの試料採取時での2つの群のGMTには統計的差異はなかった (Studentのt検定、p>0.01)。 数尾のマウスをPSAのみを連日で3回鼻内投与して免疫して、この方法が月 1回の方法より有利かどうかを検討した。この群の総てのマウスは、最初の投与 から21日後には検出可能な血清抗体を有し、この時点でのGMTは、PSAを 1回鼻内投与したマウスでのものより大きく、セロポジティブなマウスの数は検 討の経過中に減少したが、GMTは減少しなかった(この群では、各時点で同じ マウスから試料採取した)。最終的な時点で、月毎の方法でのマウスのGMTの 大きさの程度は、日毎の方法でのマウスより大きかった。 aポジティブ数/試験数。 2. 鼻内洗浄液IgA抗−HA応答 精製表面抗原(第2図および第3表): 皮下投与したPSA+Alhydrogelは、鼻IgA応答の誘導は極めて不十分であ り、本発明者らの以前の知見および他の研究者らの知見と一致している。PSA だけを鼻内投与したものも、応答する動物の数に関しては皮下免疫化より僅かに 良好であったが、やはり不十分な粘膜免疫原であった。キトサンを添加すると、 この応答は1回目の投与の後には低かったが、IgA応答は著しく高められ、H A特異的IgAが4尾のマウスのうち3尾に検出することができた。IgA応答 は、2回目の免疫化によってこれらのマウスで著しく高められた。最後の免疫化 の効果はわずかであり、実際に平均特異的IgA濃度は若干減少した。 aポジティブ数/試験数。キトサンのみに対する応答 キトサンだけで免疫した対照マウスからの血清および鼻内洗浄液は、総ての分 析において陰性であった。鼻および肺組織における局所抗−HA抗体分泌細胞応答(ASC) 3回目の試料採取の時点で、リンパ球を4尾のマウスの群の鼻内粘膜および肺 実質組織から単離した。個々のマウスからのリンパ球をプールして、IgA、I gGおよびIgM抗インフルエンザ(anti-flu)抗体を分泌する細胞についてE LISPOTを用いて分析した。結果を、第3aおよび3b図に示す。 HA特異抗体を分泌するB細胞は、総ての群の鼻および肺組織で検出可能であ った。PSA+キトサン群にはこれらの細胞が極めて多数であり、これは結果を 線形目盛上にプロットするときには極めて明らかである(第3b図)。皮下で免 疫したマウスを除く総ての場合において、IgA抗体分泌細胞(ASC)が鼻腔 では支配的であり、IgGまたはIgMが肺で支配的であった。応答の大きさは 、PSA+キトサンマウスの肺および鼻では同程度である。 実施例3 Bordetella pertussis繊維状血球凝集素/キトサングルタメート組成物の調製3 A. 1%(10mg/ml)キトサングルタメート(CSN)の溶液を、上記 実施例1に記載した方法で調製した。 3B. National Institute for Biological Sciences、サウス・ミムス、ポッ タース・バー、ロンドン、英国から入手したBordetella pertussis繊維状血球凝 集素(FHA)をリン酸緩衝塩水(PBS)中で調製し、タンパク質濃度を約1 mg/mlとした。 3C. CSN溶液とFNA溶液との1:1混合物を調製して、0.5%CSN 、0.5mg/mlFHA、0.8%塩化ナトリウムおよびリン酸緩衝液、pH 6.0を含む鼻内ワクチンを得た。 3D. 同濃度のFHAを含むがCSNは含まない鼻内ワクチン接種用の対照溶 液も調製した。更に、既知のアジュバントAlhydrogel(水酸化アルミニウム)に 吸着したFHA約0.1mg/mlを含む混合物も調製した。FHAは、混合物 を室温で30分間攪拌することによってAlhydrogelに吸着した。マウス免疫化研究 3E 上記の方法(3Cおよび3Dの節)で調製した3種類の組成物を、下記の ような13尾の成熟雄Balb/cマウスの群に投与した。 群1: 20μl(鼻孔当たり10μl)のFHA溶液を鼻内投与。(FHA投 与量=10μg)。 群2: 20μl(鼻孔当たり10μl)のFHA/CSN溶液を鼻内投与。 (FHA投与量=10μg、およびキトサン=100μg)。 群3: 50μlFHA/Alhydrogel混合物を皮下投与。(FHA投与量=5μ g、およびAlhydrogel=0.25mg)。免疫化および試料採取法 3D 免疫化の手続きは、1か月の間隔で3回行った。免疫化および試料採取法 を、第4図に示す。 3E 試料採取点1および2におけるそれぞれの群からの4尾のマウス、および 試料採取点3における各群からの5尾のマウスを心臓穿刺によって定期に採血し た。血液試料を採取した後、ペントバルビトンナトリウムの静脈内過剰投与によ って動物を殺し、鼻通路および肺をそれぞれ1%ウシ血清アルブミンを含む1m lPBSで洗浄した。 抗体分析 3F 血清試料中の抗−FHA IgG抗体および鼻洗浄および肺洗浄試料中の 抗−FHA分泌IgA抗体をエンザイム・リンクト・イムノソルベント・アッセ イ(ELISA)によって測定した。個々の動物において異なる組成物によって 誘導される抗体応答を比較するため、ある値を、試験試料の分析の際の標準曲線 を作成するのに用いた対照ポジティブ血清および対照ポジティブ肺洗浄試料に割 り当てた。対照ホジティブ血清および対照ホジティブ肺洗浄液は、それぞれ10 6IgG当量単位(Eq.unit)/mlおよび104IgA当量単位/mlの値を 得た。結果 3G 血清IgG濃度(第5表および第4a図)は、鼻内投与したFHA/キト サン組成物は、22日、43日および70日の応答の安定増加を誘導したことを 示している。対照的に、鼻内投与したFHA溶液も70日目までに幾らかの応答 を誘導したが、これはFHA/キトサン溶液によって生成される相当する応答の 5分の1に過ぎなかった。期待したように、皮下投与したFHA/Alhydrogel組 成物は高い二次応答を誘導した(43日目)。この応答は、FHA/キトサンの 鼻用組成物によって生成される相当する応答の7倍程であった。しかしながら、 皮下投与に対する応答は70日までに減少し、これはFHA/キトサン鼻用組成 物についての相当する値の3倍程にすぎなかった。 3H 肺洗浄液における分泌IgA濃度(第5表、第4b図)は、FHA/キト サン鼻用組成物は、鼻内投与したFHA溶液または皮下投与したFHA/Alhydr ogel組成物によって生成される応答と比較して43日目および70日目に最大の 応答を誘導したことを明らかに示している。43日目には、応答は、それぞれ鼻 用FHA溶液および皮下用FHA/Alhydrogel組成物によって誘導される応答の 100および250倍程であった。 3I 鼻内洗浄液中の分泌IgA濃度(第5表および第4c図)も、EHA/キ トサン鼻用組成物は43日目および70日目の応答に安定な増加を誘導したこと を示している。対照的に、皮下投与では、応答は全く生じず、鼻内FHA溶液で は70日目に幾らかの応答を生じたが、これはFHA/キトサン鼻用組成物によ って生成される応答の3分の1に過ぎなかった。実施例4 Bordetella pertussis線維状血球凝集素/百日咳毒素(トキソイド)/キトサン グルタメート組成物の調製 4A 2%(20mg/ml)キトサングルタメート(CSN)の溶液を、20 0mgのキトサンを10mlの水に溶解して調製した。 4B CAMR、サリスバリー、ウィルトシャー、英国から入手したBordetella per tussis繊維状血球凝集素(FHA)を、Aquacide IIカラムを用いて濃縮し、リ ン酸緩衝塩水(PBS)中で調合して、タンパク質濃度を267μg/mlとし た。IRIS、シエナ、イタリアから入手した百日咳毒素(PT)の非毒性突然変異 体をAquacide IIカラムを用いて濃縮し、0.5M塩化ナトリウム中で調合して 、最終濃度を267μg/mlとした。これらの2種類の抗原溶液の等容ずつを 混合して、それぞれの抗原を133μg/mlの最終タンパク質濃度で含む溶液 を得た。 4C 2%CSN溶液およびFHA/PT溶液の1:3混合物を調製して、0. 5%CSN、約100μg/mlFHA、100μg/mlPT、0.8%塩化 ナトリウム、およびリン酸緩衝液を含む鼻内ワクチンを得た。 4D 同じ濃度のFHAおよびPTを含むが、CSNは含まない鼻内ワクチン接 種用の対照溶液を調製した。0.5%CSNを含むが、FHAもPTも含まない 鼻内ワクチン接種用のネガティブコントロール溶液も、2%CSN溶液1部を0 .0014M塩化カリウムおよび0.3185M塩化ナトリウムを含むPBS3 部で希釈することによって調製した。また、約10μg/mlFHAおよび10 μg/mlPTを既知のアジュバントAlhydrogel(200〜g/ml)に吸着し たものを含む混合物を調製した。抗原は、混合物を室温で30分間攪拌してAlhy drogelに吸着した。マウス免疫化研究 4E 上記の方法(第3Cおよび3Dの節)で調製した4種類の組成物を、下記 のような10尾の成熟した雌Balb/cマウスの群に投与した。 群1: 20μl(鼻孔当たり10μl)のFHA/PT/CSN溶液を鼻内投 与。(FHAの投与量=2μg、PT投与量=2μg、キトサン投与量=100 μg)。 群2: 20μl(鼻孔当たり10μl)のPT/FHA溶液を鼻内投与。(F HAの投与量=10μg、PT投与量=2μg)。 群3: 20μl(鼻孔当たり10μl)のCSN溶液を鼻内投与。(CSNの 投与量=100〜g)。 群4: 200μlのFHA/PT/Alhydrogel混合物を腹腔内(intraperiton eally)投与。(FHAの投与量=2μg、PTの投与量=2μg、Alhydrogel =40μg)。免疫化および試料採取法 4D 免疫化の手続きは1か月の間隔で2回行った。免疫化および試料採取法を 、第6表に示す。 4E 試料採取点1および2におけるそれぞれの群からの5尾のマウスを心臓穿 刺によって定期に採血した。血液試料を収集した後、動物をペントバルビトンナ トリウムを静脈内過剰投与によって殺し、鼻通路および肺をそれぞれ1%ウシ血 清アルブミンを含む1mlPBSで洗浄した。 抗体分析 4F 血清試料中の抗−FHA IgG、抗−PT IgG抗体、および鼻内洗 浄液および肺洗浄試料中の抗−FHA分泌IgA、抗−PT分泌IgA抗体を、 エンザイム・リンクト・イムノソルベント・アッセイ(ELISA)によって測 定した。試験試料を試料緩衝液で適当に希釈して4種類の異なる濃度とし、それ ぞれの抗体に対して2回分析した。滴定曲線を作成し、y−軸値をバックグラウ ンド値の2.5倍に固定して、それぞれの試料に対する内挿値をKineticalc pro gramme KC3を用いて計算した。次いで、各試料についての相乗平均タイトレーシ ョン(GMT)を、内挿値の逆数を計算することによって得た。結果 4G 抗−FHAおよび抗−PT血清IgG抗体のGMT値(第7、8表および 第5a図)は、鼻内投与したFHA/PT/キトサン組成物(群1)は、一次全 身性(systemic)応答およびかなり増強された二次応答を誘導することを示して いる。対照的に、鼻内投与したFHA/PT溶液(群2)も、幾らかの一次全身 性応答と増強された二次応答を誘導した。しかしながら、群1によって生成した FHAおよびPTの両者に対する二次応答は、群2によって生じた相当する応答 の約5倍高かった。 4H 期待したように、腹腔内投与したFHA/PT溶液(群4)は、FHAお よびPTに対する高い一次および二次応答を誘導した(第7、8表および第5A 図)。しかしながら、FHAおよびPTに対する二次応答は、それぞれ一次応答 の約30および10倍高かった。ネガティブコントロール群の血清試料(群3) は、抗−FHAおよび抗−PT IgG抗体(第7および8表)の両者に対して ネガティブであることがわかった。 4I 肺洗浄における分泌IgA抗体のGMT値(第7、8表および第5b図) は、鼻内組成物FHA/PT/キトサン(群1)およびFHA/PT(群2)は いずれもFHAおよびPTに対して二次応答を誘導したが、いずれの抗原も一次 応答は生じないことを明らかに示している。群1および群2によって生成された PTに対する二次応答は同様であったが、群1によって生成されたFHAに対す るこの応答は、群2によって生成されたFHAに対する応答の約15倍高かった 。 4J 鼻内洗浄液中の分泌IgA抗体のGMT値(第7、8表および第5c図) も、群1および群2の鼻内組成物はいずれも両抗原に対する二次応答を誘導した が、PTだけが小さな一次応答を生じることを示している。群1によって生じた FHAに対する二次応答は、群2によって生じたもののほぼ15倍高かったが、 群1によって生じたPTに対する相当する応答は群2によって生じた応答の2倍 に過ぎなかった。 4K キトサン対照群(群3)からの肺洗浄および鼻洗浄試料は、抗−FHAお よび抗−PT IgA抗体の両者に対してネガティブであることがわかった(第 7および8表)。腹腔内投与したFHA/PT/Alhydrogel(群4)も、肺洗浄 または鼻洗浄液中のいずれの抗原に対しても粘膜応答(IgA抗体)を生じなか った。
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Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1. 鼻内投与に適合したワクチン組成物であって、抗原と、キトサンの有効 アジュバント量とを含んでなる組成物。 2. 抗原が、病原体由来のタンパク質、組換えタンパク質、糖タンパク質、 ペプチド、多糖類、リポ多糖類、またはポリヌクレオチドである、請求の範囲第 1項に記載のワクチン組成物。 3. 抗原が全細胞またはウイルスである、請求の範囲第1項に記載のワクチ ン組成物。 4. 抗原が、抗原をコードするDNAとして提供される、請求の範囲第1項 に記載のワクチン組成物。 5. 抗原が、Bordetella pertussis抗原、髄膜炎菌抗原、破傷風菌抗原、ジ フテリア抗原、肺炎球菌抗原、結核抗原、またはRSV抗原である、請求の範囲 第1項または第2項に記載のワクチン組成物。 6. 抗原が、耐性を誘導するために送達されるものである、請求の範囲第1 項または第2項に記載のワクチン組成物。 7. 抗原がインフルエンザウイルス抗原ではない、請求の範囲第1項または 第2項に記載のワクチン組成物。 8. 抗原が精製された形態で存在する、請求の範囲第1〜7項のいずれか1 項に記載のワクチン組成物。 9. キトサンの濃度が0.02〜10%の範囲にある、請求の範囲第1〜8 項のいずれか1項に記載のワクチン組成物。 10. キトサンの濃度が0.1〜5%の範囲にある、請求の範囲第9項に記 載のワクチン組成物。 11. キトサンの濃度が0.25〜2%の範囲にある、請求の範囲第10項 に記載のワクチン組成物。 12. キトサンが水溶性である、請求の範囲第1〜11項のいずれか1項に 記載のワクチン組成物。 13. キトサンが、40%を上回る脱アセチル化の程度までの脱アセチル化 によってチキンから生成される、請求の範囲第1〜12項のいずれか1項に記載 のワクチン組成物。 14. 脱アセチル化の程度が50%〜90%である、請求の範囲第13項に 記載のワクチン組成物。 15. 脱アセチル化の程度が70%〜95%である、請求の範囲第14項に 記載のワクチン組成物。 16. キトサンの分子量が10kD〜500kDである、請求の範囲第1〜 15項のいずれか1項に記載のワクチン組成物。 17. キトサンの分子量が50kD〜300kDである、請求の範囲第16 項に記載のワクチン組成物。 18. キトサンの分子量が100kD〜300kDである、請求の範囲第1 7項に記載のワクチン組成物。 19. 組成物のpHが5.5〜6.5の範囲にある、請求の範囲第1〜18 項のいずれか1項に記載のワクチン組成物。 20. pHが約pH6である、請求の範囲第19項に記載のワクチン組成物 。 21. 乾燥粉末として、またはミクロスフェアの形態で処方される、請求の 範囲第1〜20項のいずれか1項に記載のワクチン組成物。 22. 請求の範囲第1〜21項のいずれか1項に記載のワクチン組成物と組 合わせて組成物を鼻内送達するのに適した分配手段を含んでなる医薬生成物。 23. 分配手段がエアゾール送達装置である、請求の範囲第22項に記載の 医薬生成物。 24. 適当な抗原を請求の範囲第1〜21項のいずれか1項に記載のキトサ ンの有効アジュバント量と共に含んでなるワクチン組成物を宿主に鼻内投与する ことを含む、疾患の感染に対して宿主を免疫する方法。 25. 哺乳動物に、抗原と、請求の範囲第1〜21項のいずれか1項に記載 のキトサンの有効アジュバント量とを含んでなるワクチン組成物を鼻内投与する ことによって、防護的IgA粘膜免疫応答およびIgG全身性応答を増強する方 法。 26. 抗原と、請求の範囲第1〜21項のいずれか1項に記載のキトサンと を共投与することを含む、鼻内投与した抗原の免疫応答を高める方法。 27. 鼻内投与した抗原の免疫原性を高めるための鼻内アジュバント組成物 の製造のための、請求の範囲第1〜21項のいずれか1項に記載のキトサンの使 用。
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