【発明の詳細な説明】
弾性ファイバー
本発明は、熱可塑性ポリマーと化学的に架橋されたゴムとを含有する組成物の
弾性ファイバーに関する。
この種類のファイバーは、日本国特許願第68−26348号に開示されてお
り、それはポリエチレンと化学的に架橋されたエチレン−プロピレン−1,4−
ヘキサジエンゴムの混合物からなるファイバーを記載する。
この公知のファイバーの欠点は、ファイバーを伸長すると生じるところの高い
永久伸度である。前記の出願は、ファイバーがその元の長さより50%長く伸ば
された後、この伸びから85%以下しか回復しないことを示す。従って、ファイ
バーの長さはその元の長さの少なくとも7.5%永久に増加する。これは、該公
知のファイバーを、弾性特性を与える部材としてヤーンまたは織布に適用する可
能性をかなり制限する。
本発明は、ファイバーが50%伸張された後の永久伸度が5%以下のファイバ
ーを提供する。確かに、ファイバーが50%伸長された後の永久伸度が3%以下
及び1%以下でさえあるファイバーが見出された。永久伸度は、それが伸長され
る前のファイバーの長さに対して決定される。
従って、本発明の弾性ファイバーは例外的に高い弾性回復の割合によって特徴
付けられ、及び、加えて、高い破断時伸びを有する。
弾性ファイバーの多くの用途では、実質的に元の長さの50%より多い伸びが
付随する。これらの実質的に高い伸びにおいてでさえ、本発明のファイバーは優
れた弾性回復を示した。元の長さの100%伸長されたときでさえ、本発明のフ
ァイバーは、伸長される前のファイバーの長さの15%以下の永久伸度を示し、
及び、多くの場合永久伸度は、10%以下または5%以下でさえ、もしくは2%
以下でさえあった。
伸長された後の永久伸度、以後「永久伸度(tension set)」という、は室温で
所定の長さのファイバーを引張り試験機のジョー(jaw)に掴んで、該ジョー
を所望する伸長に到達するまで200mm/分の速度で離し動かして測定される
。そのために、ファイバー上に50mmの間隔をあけて印が付けられる(10)。
ファイバーが伸長された状態で10秒間維持されると、ファイバーに作用してい
た引張り力が除かれ、ファイバーがジョーから取り外される。ファイバーを室温
で1時間緩和させた後、伸長後緩和されたファイバー上の印の間の長さ(1)と
元の長さ(10)との差を、元の長さ(10)で割って、100を乗じることによ
って永久伸度が%で求められる。
本発明のファイバーにおける好適な熱可塑性ポリマーは、直鎖状又は分岐した
ポリマーで、それはポリマー中で感知できるほどの熱劣化が起こる温度よりも低
い加工温度、特に溶融温度、を有する。この例としては、ポリオレフィン、特に
ポリエチレン、及び、ポリプロピレン、ポリアミド、
特にナイロン−6、ナイロン−6,6、及び、ナイロン−4,6、ポリエステル、特に
ポリエチレンテレフタレート(PET)及びポリブチレンテレフタレート(PB
T)、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリビニル
ポリマー及び芳香族ビニルポリマーがある。好ましくは、ファイバーは半結晶質
熱可塑性ポリマーを含む。なぜなら、そのようなファイバーはより低い永久伸度
を有することが見出されたからである。この例としては、ポリオレフィン、ポリ
アミド、ポリエステル、及び、ポリビニルポリマーがある。最良の永久伸度は、
非晶相におけるガラス転移温度が80℃未満、及び好ましくは50℃未満である
半結晶質ポリマーがその中に存在するファイバーによって示される。この例とし
てはポリオレフィン、ポリアミド、及び、ポリビニルポリマーがある;後者は好
ましくは可塑剤と混合されるべきである。種々の熱可塑性ポリマーの混合物もフ
ァイバーにおいて使用し得る。熱可塑性ポリマーがポリオレフィンであることが
好ましい。
化学的に架橋されたゴムは、化学反応によって不溶性で且つ溶融不能のポリマ
ーに形成されたゴムを意味し、その中では分子鎖は互いに結合されて3次元網目
構造を形成している。前記反応の例は、エンサクロペディア オブ ポリマーサ
イエンス アンド エンジニアリング、第2版、ジョン ワイリー アンド サ
ンズ、第4巻、第350頁以降、及び第666頁以後に記載されている。
本発明のファイバーに適したゴムは、アクリルゴム、ブ
チルゴム、ハロゲン化ゴム、例えば臭素化及び塩素化イソブチレン−イソプレン
、スチレン−ブタジエン ゴム、ブタジエンゴム、ブタジエン−スチレン−ビニ
ルピリジンゴム、ニトリルゴム、天然ゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、ポ
リスルフィドゴム、フロロカーボンゴム、エチレン−プロピレン ゴムもしくは
エチレン−プロピレン−ジエンゴム(通常 EP(D)M ゴムと呼ばれる)、ポリイソプ
レン、ポリエピクロロヒドリン、塩素化ポリエチレン、ポリクロロプレン、クロ
ロスルホン化ポリエチレンである。好ましくは、ファイバーは、経済的に魅力あ
り且つ慣用されているアクリルゴム、スチレン−ブタジエン ゴム、ブタジエン
ゴム、ブチルゴム、塩素化ポリエチレン、ポリクロロプレン、クロロスルホン
化ポリエチレン、ポリエピクロロヒドリン、エチレン−プロピレン−ジエンゴム
、エチレン−プロピレン ゴム、ニトリルゴム、天然ゴム、ポリイソプレン、又
はシリコーンゴムである。EP(D)M(エチレン−プロピレン ゴムもしくはエチレン
−プロピレン−ジエンゴム)が大変好ましい。ファイバーは、種々のゴムの混合
物を含んでいてもよく、そのうちの少なくとも1つは化学的に架橋されている。
ファイバー中のゴムは、何らかの公知の方法で架橋され得、各々のゴムに最適
な方法が選ばれる。架橋は、架橋剤の影響下で通常実現され、その良く知られた
例は硫黄、過酸化物、金属酸化物、エポキシ樹脂、キノンジオキシム、フェノー
ル樹脂、アルキルフェノールホルムアルデヒド樹
脂、ジウレタン、ビスマレイミド及びアミンである。ハロゲン化ブチルゴムは、
例えば、酸化亜鉛により架橋できるが、樹脂、例えば、(臭素化)フェノール樹
脂及びウレタン樹脂、によっても架橋できる。これらの樹脂は、例えばEPDM
ゴムについて好適な架橋剤でもある。有機過酸化物及び硫黄も公知であり且つ好
適な架橋剤である。架橋は、促進剤、及び/又は活性化剤の存在下で随意に実現
され得る。組成物が熱可塑性加硫ゴムであることが好ましい。熱可塑性加硫ゴム
は、それ自体公知であり、通常 TPV と略され、熱可塑性ポリマーの存在下、静
的又は動的加硫もしくは架橋により得られる。動的加硫は、架橋されていないゴ
ムと熱可塑性ポリマーを含む組成物において、該ゴムがせん断力下で架橋される
方法を意味する。該動的加硫は、公知の混合機、例えばロールミル、バンバリー
ミキサー、連続ミキサー、ニーダー、及び混合押出機で行うことができ、それら
のなかでは二軸押出機が好ましい。
公知の動的加硫技術は、米国化学会ゴム分科会、第 41番論文、11 月4日、19
92 年、ナッシュビル、テネシー州、アメリカ合衆国、に概説されている。
架橋剤の選択は、まず、そのゴムを架橋する能力により決定される。加えて、
熱可塑性ポリマーに望ましくない影響を何ら与えない架橋剤が選択されなければ
ならない。過酸化物は、例えば、ポリエチレンの架橋を起こすことが知られてい
る。従って、ポリエチレンが熱可塑性ポリマーとして用いられる場合には、過酸
化物はゴム用の架橋剤とし
てはあまり好ましくない。いずれの場合でも、先行技術において公知でない場合
には、当業者は使用対象として考えている架橋剤と使用対象として考えている熱
可塑性ポリマーとが併用可能であるかを簡単な実験により決定することができる
。
ゴムは、通常の添加剤を含有してよい。それらの例は、硬化剤、促進剤、加硫
遅延剤、活性化剤、充填剤、エクステンダー、可塑剤、他のポリマー、色修飾剤
、抗劣化剤、例えば酸化防止剤、オゾン亀裂防止剤など、コンパティビライザー
、熱安定化剤及びUV安定化剤である。
ファイバー中のゴムの重量部数の選択及び決定においては、ゴム中に存在する
添加剤を除いたゴムが基準として用いられる。
ファイバーは、外観、成形性、及び使用特性に影響を与え得る物質をさらに含
んでよい。それらの例としては、つや消し剤、塗料、顔料、及び光安定剤、UV
安定剤、及び熱安定剤がある。
本発明のファイバーは、繊度1〜1000dtex、好ましくは2〜500dtex、より好
ましくは5〜250 dtex である。破断時伸びは、架橋されている場合、実際的に
はゴムのそれと一致し、少なくとも 100%に達し、且つ 400%もの高さに、ある
いは 600%にさえ達する。
ファイバーは繊維物質、織布、及び編み物に弾性特性を与えるのに特に適する
。それらの例は、水着、下着、運動着、レジャー着、ストッキング、タイツ、ソ
ックス、衣類
の弾性帯、おむつ、及び医療用包帯である。
本発明のファイバーは、それ自体として用いることもできるが、他のファイバ
ー、特にポリアミド及び綿、によって覆い、又は他のファイバーをそれらの周り
に巻きつける、もしくは紡糸することが可能である。あるいは、本発明のファイ
バーを他のファイバーと共に公知の方法により成形して弾性ヤーンを形成し得る
。
本明細書で既述の及び後述の「ファイバー」は、テープ、又はフィルム及び、
少なくとも1方向に、1000μm以下、好ましくは 500μm以下、より好ましくは
250μm以下、最も好ましくは 100μm以下もしくは 50μm以下でさえあると
ころのいかなる物をも概括的に含むものと理解されなければならない。ファイバ
ーの断面は、円形、楕円形、またはマルチローブ状(multi-lobed、多弁形)、例
えば、トライローブ状(tri-lobed)であり得る。これらの形状の例はイントロダ
クトリー テキスタイル サイエンス、第5版、マージョリー エル.ジョセフ著
、コルト、ラインハート アンド ウィンストン社、第 40 頁、に見出される。
本発明は、上述した弾性ファイバーの製造方法にも関し、それは熱可塑性ポリ
マーとゴムとの混合物を溶融紡糸する工程を含む。
この種の方法も、日本国特許出願第68−26348 号から公知である。前記出願に
おいては、ファイバーは架橋されていない EPDM ゴムとポリエチレンとの混合物
を溶融紡糸して製造される。得られたファイバーは、架橋工程に付され
る。
この公知の方法の欠点は、それにより製造されたファイバーは、まさに中程度
の弾性回復を示すことである。このことは、ファイバーにおいて顕在化され、50
%伸長されると、その伸びからの回復は 85%に過ぎず、その結果、永久伸度は
少なくとも 7.5%である。これは、該公知の方法により製造されるファイバーの
、弾性特性を与える部材としての、ヤーン又は織布への適用をかなり制限する。
本発明の目的は、この欠点が無い、あるいはこの欠点が顕著に少ない程度であ
る方法を提供することである。
該目的は、本発明により達成され、そこでは、ファイバーが形成される時に完
全に、又は、ほぼ完全にゴムが架橋され、且つ形成されたファイバーは冷却後に
引き伸ばされる(be drawn)。
驚くことには、本発明の方法は、公知の方法で可能であるよりも顕著に良い弾
性回復を呈する弾性ファイバーを製造することが可能であることが証明された。
従って、元の長さの 50%伸長あるいは 100%伸長後の永久伸度が 5%以下、お
よび3%以下でさえある、さらに1%以下でさえあるファイバーを製造すること
が可能であることが証明された。
本方法のさらなる利点は、公知の方法に比べて、顕著に高い生産性を達成する
ことが可能であることである。これは、1つには、可能であることが証された高
い紡糸速度に拠り、及び大半は、既に架橋されたゴムから出発し、それ
により、紡糸したファイバーを長い時間をかけて架橋する必要性を除去した本発
明の方法に拠り達成することができる。
本発明の方法のさらに他の利点は、公知の方法により得られるファイバー中で
の架橋の程度が、ファイバーの断面に亘って、異なることが予測され得るのに対
し、本発明方法により得られるファイバー中のゴムは均一に架橋されていること
である。従来技術の問題は、ファイバーが形成された後に初めて、架橋剤を外側
から作用させることにより架橋が実現されるという状況から帰結するものである
。
完全に、又は、ほぼ完全に架橋されたゴムを含む組成物の高い紡糸速度での良
い紡糸性は、それ自体驚くことである。なぜなら、必要とされる紡糸温度は、使
用される熱可塑性ポリマーに依存して 150〜350℃であり、該温度での該組成物
の動的粘度は、剪断速度 0.1/秒と 200/秒で、それぞれ 1,000,000 Pa.s と 100
0Pa.s であるからである。教科書プラスチック エクストルージョンテクノロジ
ー、フリードヘルム ヘンセン編、ヘンセン出版社、ミュンヘン、第 566 頁、に
拠れば、許容できる紡糸速度を達成しようとするならば、紡糸可能な組成物の通
常の粘度は 80〜300Pa.s である。高い粘度であることを考えると、当業者は最
高紡糸速度は 10m/分であると予測するであろう。しかし、ずっと高い紡糸速度
、100〜200m/分以上の速度が可能であることが見出された。制約は、あるとす
れば、紡糸機の性能限度によってのみ与えられ、混合物の紡糸性によっ
ては与えられない。このようであるので、1000m/分または 2000m/分さえもの
高い速度が可能性として考えることができる。
本発明の方法の他の利点は、非常に細いファイバーを簡単な方法で製造するこ
とが可能であることである。従って、繊度2dtex 及び1dtex さえものファイバ
ーを製造することができる。一般に、本発明の方法においても、太いファイバー
の製造は、例えばヤーンの破断等の問題が、細いファイバーの紡糸におけるより
も少ない。例えば、25、50、100 または 250 dtex さえまで太いファイバーは、
単に、より大きい紡糸口金の孔を用いることにより製造できる。500、1000 又は
それより以上の dtex の、もっと太いファイバー(そのような太さでは糸又はテ
ープと呼ぶべきであろうが)も作ることが可能である。そのような太さにおいて
も、出発組成物の良い紡糸性は、上述の方法上の利点を与え、その場合にさえ、
製造物において好ましい物質特性が存在する。
本発明の方法では、熱可塑性ポリマーとゴムを含む組成物が紡糸され、ファイ
バーが形成される時点において、ゴムは完全に、又は、ほぼ完全に架橋される。
該組成物は通常、90〜10 重量部の熱可塑性ポリマーに対して 10〜90 重量部の
ゴムを含み、及び好ましくはポリマー 70〜25 重量部に対して 30〜75 重量部の
ゴムを含む。最も好ましくは、組成物は 40〜30 重量部の熱可塑性ポリマーに対
して 60〜70 重量部のゴムを含む。ゴムの含有量を定めるにあたり、
その中に在る添加物を除いたゴムが考えられなければならない。
好適な且つ好ましいゴム及び熱可塑性ポリマーは、本発明の弾性ファイバーに
ついて好ましいとして上記したものである。そこにおいて、通常の及び公知の添
加剤として言及したものも紡糸されるべき組成物に添加され得る。
本方法は、要求される特性を有する何らかの組成物を用いて遂行することがで
きる。プロセスエンジニアリングの観点からは、組成物が1つの連続工程操作で
調製及び紡糸されることが有利である。架橋されたゴム及び熱可塑性ポリマーを
含む組成物が、架橋剤の存在下で、架橋されていないゴムと熱可塑性ポリマーと
の混合物から調製されることが好ましい。熱可塑性ポリマーと混合される時に、
ゴムがある程度既に架橋されていてもよい。しかし、その時点において、ゴムが
熱可塑として挙動し、且つ溶融状態で熱可塑性ポリマーと相溶する程度に架橋さ
れていないことが必要である。
組成物を調製するのに適した方法は、既に述べた。好ましくは、組成物は、既
に述べた動的加硫法により製造された TPV である。一般に、ここで施される混
合及び混練は、ゴムが完全に、又は、ほぼ完全に架橋されるまで継続される。こ
れは、ゴムが、通常の方法で、すなわち、それ自体で及び熱可塑性ポリマーの存
在下で動的ではなく、加硫されたゴムに共通に付随する弾性特性と同程度の弾性
特性を有するのには十分過ぎる程に架橋されることを意味する。
架橋が進行した程度は、高められた温度で、動的に加硫されたゴム組成物からの
、ゴム用の溶媒による抽出量の割合で特徴付けられる。好ましくは、この割合は
混合物中のゴムの量を基準として、40重量%以下、より好ましくは25重量%
以下、又は10重量%以下、最も好ましくは5重量%以下である。抽出可能な割
合が減少するに従い、永久伸度は減少する。抽出可能なゴムの割合の決定方法は
、それ自体公知の方法である。溶媒としては、問題とするゴムについて良溶媒と
して公知の溶媒が使用される。一般に、例えば、沸騰キシレンが EP(D)M の抽出
可能な割合を求めるのに使用される。
架橋操作の一部は、紡糸工程の間にも起こり得る。この紡糸工程においては、
組成物は溶融され、均一化され、及び紡糸ヘッドに運ばれ、そこで実際のファイ
バーの形成が起こる。概して、前記の操作は高められた温度で、且つ剪断力が与
えられて、及び、そのような動的加硫に資する条件下で行われる。全体的に、又
は上述のように、場合によっては一部のみが架橋された組成物も紡糸装置に投入
され得る。混合機が紡糸装置に複合されていてもよく、その場合には、装置は、
例えば押出機を備え、その中でゴムと熱可塑性ポリマーが混合され、同時にゴム
が架橋される。その工程において、組成物は、熱可塑性ポリマーの融点より高い
温度まで加熱され得、それは溶融成形可能となる。組成物は、その形態で、押出
機を閉じる紡糸口金に供給されてよく、該紡糸口金は、所望する形状及び大きさ
の、且
つ所望する押出し量となる孔を有する。溶融組成物は、紡糸ポンプに供給され、
そこから紡糸口金に供給されてもよい。その場合、実際のファイバーの形成は紡
糸口金で起こる。その場所では、組成物は溶融成形可能な形態で存在し、且つ、
ゴムは完全に又はほぼ完全に架橋される。
所望する場合には、組成物の調製及び紡糸は、別々の時間及び別々の場所で行
うことも可能である。組成物は完全に架橋されて又はされずに、随意に冷却後、
サイズを減じられ、及び得られる粒状物又はもとの塊を、後に及び/又は別の場
所で紡糸装置に供給し、そこでは必要であればゴムがさらに架橋され、及び組成
物は、架橋されたゴムと共に再溶融されて溶融物として紡糸口金に供給される。
紡糸装置としては、同時にゴムの架橋を行い又は行わずに組成物を調製するこ
とが随意に可能であるが、組成物を溶融し及び該溶融組成物を、所望する速度で
所望する形状及びサイズの孔を有する紡糸口金を通過させることが必ず可能な公
知の装置が用いられ得る。必要であれば、ゴムの完全な又は部分的な架橋に必要
な条件が、紡糸装置において設定されることも可能でなければならない。
ファイバーは、空気中で又は、不活性ガスもしくは液体が存在する空間中で紡
糸される。使用される組成物に応じて、ガス、空気、又は液体は、周囲温度もし
くは高められた温度に維持され得、後者はいかなる場合にも、熱可塑性ポリマー
の融点よりも低い。ファイバーは、工程中で冷却され、安定な形態を得て、そし
てボビンに巻き取られる。
ファイバーはモノフィラメントとしてだけでなくマルチフィラメントとしても紡
糸及びボビンに巻き取りすることができる。ファイバーは紡糸の間もしくは紡糸
直後にドローダウンに付され得、その時ファイバーは未だ全体的にまたは部分的
に溶融状態にある。このようにして、繊度のより低いファイバーを得ることがで
きる。
ファイバーは、ファイバーについて通常行われる後処理、例えば引き伸ばし(d
rawing)、熱処理、地直し、クリンプ加工及び染色等に、さらに付されてもよい
。例えばポリアミド、綿及びポリエステル等の他のファイバーもしくはヤーンを
ファイバーの周囲に紡糸してもよく、又はファイバーは他のファイバーもしくは
ヤーンと共紡糸され又は編まれ、もしくは織られてもよい。ファイバーが好まし
くは室温まで冷却された後の引き伸ばしは、永久伸度をかなり向上させるように
観察された。好ましくは、ファイバーはその元の長さの少なくとも2倍にまで、
より好ましくは元の長さの少なくとも3倍にまで引き伸ばされる。
本発明は、以下の実施例により、それらに限定されることなく、より詳細に説
明される。
ファイバーは、1.2cc の紡糸ポンプを備えたフルネ ス
長さL 10mm、直径D 0.5mm(L/D=20)の紡糸口金を用いて紡糸した
。バレルの直径は 12mm であり、及びプランジャー速度は 1mm/秒であった。
機械的特性はツビック(Zwick)1435 引張り試験機を用いて、クロスヘッド速度
20cm/分及びグリップ間隔 5cmにして調べた。実施例 I
39.8 重量部のナイロン−6(Akulon(商標)K120)、59.4重量部のニトリルブチ
ルゴム(Perbunan(商標)N2807)及び0.2 重量部の安定化剤 Flectol(商標)H/DS
を 240℃に設定した2軸押出し機 ZSK53 にて溶融した。サイドフィーダーを通
じて、0.6 重量部の架橋剤 Parkadox(商標)を押出し機に投入した。押出し機
のスループットは 25kg/時であった。押出し機の出口のゴムは、混合物の比較的
短い押出し機内滞在時間のために、未だに完全には架橋されていなかった。従っ
て、押出し機外でのそれ以上の架橋を阻止するために、押出し物を押出し直後に
迅速に冷却した。部分的に加硫された組成物を、さらなる架橋のために2軸押出
し機 ZSK30 へと投入した。そのようにして得られたほぼ完全に架橋された押出
し物を造粒した。ビスコテスター1500 で、該 TPV 粒から以下の特性を有するヤ
ーンを紡糸した。
繊度 1535 dtex
引張り強度 0.18 N/tex
破断時伸び 230%
50%伸張後の永久伸度 3%
100%伸張後の永久伸度 11%実施例II
ビスコテスター 1500 を用いて、200℃で、熱可塑性成分としてのポリプロピ
レンと、架橋された弾性成分としての、フェノール樹脂で架橋された油展 EPDM
からなる TPV、Sarlink(商標)4175 natural、からファイバーを紡糸した。該フ
ァイバーは以下の特性を有した:
繊度 1687dtex
引張り強度 0.07N/tex
破断時伸び 550%
50%伸張後の永久伸度 2%
100%伸張後の永久伸度 10%
ファイバーの一部を元の長さの5倍まで引き伸ばし、引き伸ばされた状態を 30
秒維持し、次いで1時間緩和させた。引伸ばされたファイバーは、繊度 945 dte
x であった。50%伸張後の永久伸度は1%、100%伸張後は2%、及び 200%伸
張後は3%であった。実施例III
ビスコテスター 1500 を用いて、200℃で、熱可塑性成分としてのポリプロピ
レンと、架橋された弾性成分としての、過酸化物で架橋された油展イソプレン−
イソブチレンゴムからなる TPV、Sarlink(商標)2160 natural、からファイバー
を紡糸した。該ファイバーは以下の特性を有した:
繊度 1593 dtex
引張り強度 0.055 N/tex
破断時伸び 325%
50%伸張後の永久伸度 4%
100%伸張後の永久伸度 12%実施例IV
以下の物質を順次、ハーケ(Haake)50cc バンバリーミキサーに投入した:
t=0において 11.6gのポリプロピレン(Stamylan(商標)13E10)、24.7gの EPDM
(Keltan(商標)578)、2.8g のフェノール樹脂(Schenectady(商標)SP1045)、及び
安定化剤として、0.12g のイルガノックス(商標)1076;t=4分において、0.28g
の SnCl2及び 0.56g の ZnO。
ミキサーの温度は 180℃であり、及び回転速度は 80r.p.m.であった。t=8
分において、得られた組成物をミキサーから取り出して、ペレットにした。
該組成物の一部をビスコテスター 1500 を用いてファイバーに紡糸した。該ファ
イバーは以下の特性を有した:
繊度 1698 dtex
引張り強度 0.074 N/tex
破断時伸び 408%
50%伸張後の永久伸度 3%
100%伸張後の永久伸度 10%
同様のファイバーを元の長さの5倍まで引き伸ばした。ファイバーを1時間緩和
させた後に、その特性を測定した。
結果は以下のとおりである:
繊度 978 dtex
50%伸張後の永久伸度 1%
100%伸張後の永久伸度 2%実施例V
以下の物質を順次、ハーケ(Haake)50cc バンバリーミキサーに投入した:
t=0において、11.9g の LDPE(Stamylan(商標)2004TC00)、25.2gの EPDM(Keltan
(商標)578)、及び安定化剤として、0.12g のイルガノックス(商標)1076;t=4
分において 0.12g のフェノール樹脂(Schenectady(商標)SP1045)。
ミキサーの温度は 220℃であり、及び回転速度は 80r.p.m.であった。t=8
分において、得られた組成物をミキサーから取り出した。該組成物の一部をビス
コテスター 1500を用いてファイバーに紡糸した。該ファイバーは以下の特性を
有した:
繊度 1611 dtex
引張り強度 0.063 N/tex
破断時伸び 311%
50%伸張後の永久伸度 1%
100%伸張後の永久伸度 5%実施例VI
実施例IIの TPV を、フルネ スピンテスターを用いて、以下の条件下で、マル
チフィラメント弾性ファイバーに溶融紡糸した。
溶融温度 :220℃
紡糸口金開口 :1x0.5mm
L/D比 :2
巻き取り速度 :150mm/分
紡糸されたファイバーは以下の特性を有した:
繊度 : 1100 dtex
引張り強度 : 0.08 N/tex
破断時伸び : 360%
50%伸張後の永久伸度 : 2%
100%伸張後の永久伸度 : 8%
ファイバーの一部を元の長さの3倍まで引き伸ばし、引き伸ばされた状態を 30
秒維持し、次いで1時間緩和させた。引伸ばされたファイバーは、繊度 740 dte
x であった。50%伸張後の永久伸度は1%、100%伸張後は2%、及び 200%伸
張後は3%であった。
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(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L
U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF
,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,
SN,TD,TG),AP(KE,LS,MW,SD,S
Z,UG),UA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD
,RU,TJ,TM),AL,AU,BA,BB,BG
,BR,CA,CN,CU,CZ,EE,GE,HU,
IL,IS,JP,KP,KR,LC,LK,LR,L
T,LV,MG,MK,MN,MX,NO,NZ,PL
,RO,SG,SI,SK,TR,TT,UA,US,
UZ,VN