【発明の詳細な説明】
2つまたはそれ以上の相互作用性(ポリ)ペプチドをコードする核酸配列の新規
同定方法
本発明は2つまたはそれ以上の特定の相互作用性ペプチドまたはタンパク質を
コードする核酸配列の同定方法に関する。さらに本発明は本発明の方法にしたが
って核酸配列を同定するために用いることができるキットに関する。
タンパク質−タンパク質相互作用は遺伝子の複製および発現から生物の形態形
成まで、すべての生物学的プロセスにおいて重要な役割を演じている(Lewin,B
.1994,Genes V.Oxford University Press)。タンパク質−タンパク質相互作
用の検出方法は種々の生物学的プロセスの基本機構および治療学の発展を理解す
るのに有用であることが証明されている。タンパク質−タンパク質相互作用の検
出は2つの主要なカテゴリー:(i)物理−化学に基づくアプローチおよび(ii
)遺伝学的アプローチ(Phizicky,E.,M.& Fields,S.Microbiological Revi
ews 59(1995)94-123)に分けられる。通常、物理−化学的方法によるタンパク
質−タンパク質相互作用の検出は大量の材料を必要とし、より重要な点は研究す
るタンパク質の実体(アイデンティティー)が既知でなければならないことであ
る。最近の質量分析法の発達によりこの問題は回避されたが、高性能の装置と熟
練性を要するという不都合を伴う(Wang,R.& Chait,B.T.,Current Opinion
in Biotech.5(1994)77-84)。対照的に、遺伝的アプローチは純粋な材料お
よび専門の装置を必要とせず、さらに処理量がより高いという利点を有するタン
パク質−タンパク質相互作用の簡易かつ強力な同定方法を可能とする。
種々の遺伝学的アプローチがタンパク質−タンパク質相互作用の同定に用いら
れてきた。現在通用している1つの方法は酵母2−ハイブリッドシステム(Fiel
ds,S.& Song,O.K.,Nature(London)340,(1989)245-246)であり、これ
は既知のタンパク質と相互作用する新規タンパク質を同定できる。
もう1つの一般的な遺伝学的アプローチはファージディスプレイシステム(特
許出願WO90/02809)であり、これは、タンパク質を繊維状ファージの表面タンパ
ク質成分に融合させることにより、目的のリガンドとの結合について選択するこ
とを可能とする。ファージ表面にディスプレイ(表示)されるタンパク質をコー
ドする遺伝子はファージ内に包含され、遺伝情報がその遺伝子産物とカップリン
グされる。これにより「ライブラリー」タンパク質のスクリーニングが可能にな
り、スクリーニングされたタンパク質の実体をファージの核酸配列から推定する
ことができる。この技術はWinterら(特許出願WO92/20791)によって適用拡大さ
れ、特異的結合ペアの多量体メンバー(例えば、抗体のVHおよびVL鎖の組み合わ
せ)のライブラリーを作成し、相補的な特異的結合ペアメンバーに結合できる機
能的な特異的結合ペアメンバー(例えば、抗原)が選択された。このライブラリ
ーは、当該多量体メンバーの対応するサブユニット集団をそれぞれコードする2
つのサブライブラリーを組み合わせる(例えば、VH鎖のライブラリーをVL鎖のラ
イブラリーと組み合わせる)ことによって構築されるが、原理的には、第1サブ
ライブラリー由来のそれぞれのサブユニットは第2サブライブラリー由来のそれ
ぞれのサブユニットに非特異的に結合することができるものである。この方法に
より特定の抗原に対する唯一の抗体を同定することができるけれども、特異的結
合ペアの2つのパートナーがともに未知である場合、それらを同定する方法は提
供できない。
最近、非感染ファージに依存する独特のバージョンのファージティスプレイ法
が提唱されている(Duenas,M.& Borrebaeck,C.A.K.,Bio/Technology 12(
1994)999-1002;EP 0 614989)。junタンパク質と相互作用する、cDNAライブラ
リーからのタンパク質を同定できるこのシステムのバージョンが記載されている
(Gramatikoffら、Nucleic.Acids Res.22(1994)5761-5762)。また、同じ原
理が抗体−抗原システムに作用することも示されている(Krebberら、FEBS Lett
ers 377(1995)227-231)。
前述の遺伝子選択アプローチはすべて強力であるが、これらは遺伝的に異なる
単一の集団のみから相互作用する結合性物質を選択することに限定されている(
ライブラリーvs.個々)。
しかし、ライブラリーvs.ライブラリーセッティングにおいて結合性物質およ
びそれらの特異的結合パートナーを同時に同定し、好ましくは少なくとも2つの
遺伝的に異なる集団が関与する同定方法が強く望まれる。先行文献は、この技術
的問題に対する解決法、すなわち2つ以上の遺伝的に異なる集団(ライブラリー
vs.ライブラリー)由来の相互作用性物質およびそれぞれの核酸配列を同定する
ことを記載も示唆もしていない。本発明は、上記の技術的問題を請求の範囲に特
徴づけされている態様を提供することによって解決するものである。これらの態
様を用いることによって(ポリ)ペプチド−(ポリ)ペプチド相互作用が検出さ
れる割合を指数関数的に増加させることができた。本発明は機能的ゲノム分野に
おいて種々の適用がみいだされ、これにより未知の機能の種々のタンパク質を他
のタンパク質と関連づけることができる。
すなわち、本発明は、核酸配列の集合体であって該核酸配列のそれぞれが該核
酸配列集合体中の別のメンバーによってコードされる少なくとも1つのさらなる
(ポリ)ペプチドと相互作用できる(ポリ)ペプチドをコードしているものであ
る該核酸配列集合体を同定するための方法であって、工程:
(a)(ポリ)ペプチドをコードする種々の核酸配列からなる遺伝的に異なる核
酸配列を含む組換えベクター分子の第1ライブラリーを入手し;
(b)工程(a)に記載のさらなる(ポリ)ペプチドと相互作用することができる(
ポリ)ペプチドをコードする種々の核酸配列からなる遺伝的に異なる核酸配列を
含む組換えベクター分子の第2ライブラリーを入手し(ここに当該組換えベクタ
ー分子および/または組換え挿入物の製造に用いるベクター分子は工程(a)に用
いるベクター分子および/または組換え挿入物とは表現型が区別できる性質を表
示し、また工程(a)および(b)に用いるそれぞれのベクター分子および/または組
換え挿入物によって表示される少なくとも1つの該性質は、当該第1ライブラリ
ー由来の(ポリ)ペプチドと当該第2ライブラリー由来の(ポリ)ペプチドとが
ともに相互作用すると、スクリーニング可能なまたは選択可能な性質を発生させ
る);
(c)要すれば、工程(a)および/または(b)に記載のさらなる(ポリ)ペ
プチド(群)と相互作用できる、あるいは該相互作用を引き起こすことができる
(ポリ)ペプチドをコードする種々の核酸配列からなる遺伝的に異なる核酸配列
を含む組換えベクター分子の付加的なライブラリーを入手し(ここに当該組換え
ベクター分子および/または組換え挿入物の製造に用いるベクター分子は工程(a
)および(b)に用いるベクター分子および/または組換え挿入物と表現型が区別で
きる性質を表示し、また任意に、工程(c)に用いる当該ベクター分子および/ま
たは組換え挿入物によって表示される少なくとも1つの該性質は、工程(a)およ
び/または(b)に用いる当該ベクター分子および/または当該組換え挿入物のい
ずれかによって表示される少なくとも1つの当該性質とともに、当該付加的なラ
イブラリー由来の(ポリ)ペプチドと当該第1ライブラリー由来の(ポリ)ペプ
チドおよび/または当該第2ライブラリー由来の(ポリ)ペプチドのいずれかと
が相互作用するとスクリーニング可能なまたは選択可能な性質を発生させること
ができる);
(d)工程(a)、(b)および任意に(c)に記載の組換えベクターまたは核酸配列の該
ライブラリーのメンバーを適当な宿主細胞中、少なくとも1つの相互作用が確立
するように発現させ;
(e)該(ポリ)ペプチドの相互作用を表すスクリーニング可能なまたは選択可
能な性質の発生について選択し;
(f)任意に、さらに選択、スクリーニングおよび/または精製工程を行い;
そして
(g)該(ポリ)ペプチドをコードする該核酸配列を同定する
ことを特徴とする方法に関する。
これゆえ本明細書中では、用語「表現型が区別できる性質」はベクター分子に
よってコードされる性質もしくは組換え挿入物によってコードされる性質または
両方のタイプの性質のいずれかに関する。ベクターにコードされる性質に関して
は、これらは例えば耐性マーカーまたは特定栄養の要求性であり得る。組換え挿
入物は相互作用に寄与する核酸部分に加えて当該性質をコードする核酸部分を含
むことができることに留意すべきである。
本明細書中において、用語「別のメンバー」は必ずしもそうではないが、構造
的に異なる相違物であり得る。
さらに、本発明の本文中において、用語「集合体」は「少なくとも2つ」の意
味をもつ。
少なくとも2つの組換え挿入物によって発生される新規な性質は本発明の発明
原理を反映している。すなわち、2つ(またはそれ以上)の(ポリ)ペプチドが
、例えばホモ2量体またはヘテロ2量体形態で相互作用する場合のみ、スクリー
ニング可能または選択可能な性質が生成する。2つまたはそれ以上の分子間の相
互作用は直接の相互作用であるか、あるいは間接的に媒介されてもよい。直接的
相互作用の例は、ライブラリー1由来の核酸配列によってコードされる抗体とラ
イブラリー2由来のcDNAタンパク質との結合、cDNAライブラリー1由来の核酸配
列によってコードされるタンパク質とcDNAライブラリー2由来のタンパク質との
結合および一方のライブラリー由来の核酸配列によってコードされる抗イディオ
タイプ抗体と他方のライブラリー由来の核酸配列によってコードされる対応する
抗体との結合である。核酸配列は好ましくはDNAであり、最も好ましくは遺伝子
またはその一部である。
間接的相互作用の例は2つのライブラリーによってコードされる2つの(ポリ
)ペプチドの、リン酸化酵素によって媒介される架橋である。例えばライブラリ
ー1によってコードされる1つの(ポリ)ペプチドが各々のキナーゼによってリ
ン酸化されると、このタンパク質はライブラリー2によってコードされる第2の
(ポリ)ペプチドと相互作用できる。このタイプの相互作用のよい例であるリン
酸化酵素は追加の(付加的な)ライブラリー(の1つ)由来の核酸によってコー
ドされてもよいし、ならびに/あるいは宿主細胞のゲノムによってコードされて
いてもよい。通常、2つの(ポリ)ペプチドの相互作用は分子の「架橋」を形成
し、この「架橋」は適当な検出方法を用いて検出可能である。この架橋はライブ
ラリー1または好ましくは2によってコードされるポリペプチドの1つと共役し
、あるいはこれによってコードされ、結合するタグ分子によって間単に検出でき
る。
さらに本発明は、核酸配列の集合体であって該核酸配列のそれぞれが該核酸配
列集合体中の別のメンバーによってコードされる少なくとも1つのさらなる(ポ
リ)ペプチドと相互作用できる(ポリ)ペプチドをコードしているものである該
核酸配列集合体を同定するための方法であって、工程:
(a)適当な宿主細胞中で以下のものを少なくとも1つの相互作用を確立するよ
うに発現させる;
(aa)(ポリ)ペプチドをコードする種々の核酸配列からなる遺伝的に異なる核
酸配列を含む組換えベクター分子の第1ライブラリーに含まれる核酸配列;
(ab)工程(aa)に記載のさらなる(ポリ)ペプチドと相互作用することができる
(ポリ)ペプチドをコードする種々の核酸配列からなる遺伝的に異なる核酸配列を
含む組換えベクター分子の第2ライブラリーに含まれる核酸配列(ここに当該組
換えベクター分子および/または組換え挿入物の製造に用いるベクター分子が工
程(aa)に用いるベクター分子および/または組換え挿入物とは表現型が区別でき
る性質を表示し、また工程(aa)および(ab)に用いるそれぞれのベクター分子およ
び/または組換え挿入物によって表示される少なくとも1つの該性質は、当該第
1ライブラリー由来の(ポリ)ペプチドと当該第2ライブラリー由来の(ポリ)
ペプチドとが相互作用すると、スクリーニング可能なまたは選択可能な性質を発
生させる);
(ac)要すれば、工程(aa)および/または(ab)に記載のさらなる(ポリ)ペプチ
ド(群)と相互作用できる、あるいは該相互作用を引き起こすことができる(ポ
リ)ペプチドをコードする種々の核酸配列からなる遺伝的に異なる核酸配列を含
む組換えベクター分子の付加的なライブラリーに含まれる核酸配列(ここに当該
組換えベクター分子および/または組換え挿入物の製造に用いるベクター分子が
工程(aa)および(ab)に用いるベクター分子および/または組換え挿入物と表現型
が区別できる性質を表示し、また任意に、工程(ac)に用いる当該ベクター分子お
よび/または組換え挿入物によって表示される少なくとも1つの該性質は、工程
(aa)および/または(ab)に用いる当該ベクター分子および/または当該組換え挿
入物のいずれかによって表示される少なくとも1つの当該性質
とともに、当該付加的なライブラリー由来の(ポリ)ペプチドと当該第1ライブ
ラリー由来の(ポリ)ペプチドおよび/または当該第2ライブラリー由来の(ポ
リ)ペプチドのいずれかとが相互作用するとスクリーニング可能または選択可能
性質を発生することができる);
(b)該(ポリ)ペプチドの相互作用を示す当該スクリーニング可能なまたは選
択可能な性質の発生について選択し;
(c)任意に、さらにスクリーニング、選択および/または精製工程を行い;
そして
(d)該(ポリ)ペプチドをコードする該核酸配列を同定する
を特徴とする方法に関する。
本発明の方法の好ましい態様においては、当該スクリーニング可能なまたは選
択可能な性質を細胞外に発現させる。
この態様は、上記の性質を細胞外検出する従来からの方法、例えばスクリーニ
ング可能なタグを保持させたカラムクロマトグラフィーなどを例えばプラーク精
製法とともに使用しているであろう多くの研究室により簡便に利用され、それに
より例えばこのカラムクロマトグラフィー工程によって始めに増産した細胞をさ
らに精製することができる。
本発明の方法のさらに好ましい態様においては、工程(a)/(aa)(スラッシュの
後に特定した工程は上記した本発明方法の第2態様の対応工程を意味する)の組
換えベクター分子は表面に当該(ポリ)ペプチドを表示する複製可能遺伝的パッ
ケージ(RGP)を生み出す。本明細書中において用語「複製可能遺伝的パッケー
ジ(RGP)」は適当な宿主細胞に感染後、複製することができるウイルスまたは
バクテリオファージのようなものを意味する。例えばバクテリオファージの場合
は、核酸配列集団をファージまたはファージミドベクターのどちらかにファージ
の外殻成分、例えばgene IIIと解読枠内で挿入すればよく、その結果、コードさ
れる結合性物質がファージの表面に表示される。組換えベクター分子として特に
好ましいものは組換えファージ、ファージミドまたはウイルスであり、ファージ
としては以下のものが最も好ましい:
(a)クラスIファージfd、M13、If、Ike、ZJ/2、Ffのいずれか;
(b)クラスIIファージXf、Pf1およびPf3のいずれか;
(c)λファージ群、ラムダ、434、P1のいずれか;
(d)包膜ファージ群、PRD1のクラスのいずれか;あるいは
(e)パラミクソウイルス群、オソミクソウイルス群、バキュロウイルス群、レト
ロウイルス群、レオウイルス群およびアルファウイルス群のクラスのいずれか。
本発明の方法のさらに好ましい態様においては、上記選択工程(e)/(b)を相互
作用性(ポリ)ペプチドを含むポリファージの選択によって行う。ポリファージ
は1コピーより多くのファージゲノムDNAを含有する。新しく生成するファージ
外殼が2またはそれ以上の一本鎖DNA分子を包嚢する場合に、これらは低〜中頻
度で天然に存在する。本発明の場合には、生成されるポリファージは少なくとも
2つのファージゲノムを含み、これらは(i)両方ともライブラリー1を表すか
、または(ii)両方ともライブラリー2を表すか、または(iii)それぞれライ
ブラリー1およびライブラリー2を表すか、または(iv)付加的なライブラリー
のいずれかからの少なくとも1つのメンバーと(i)〜(iii)とを組み合わせ
たものであるか、のいずれかである。当業者に周知のように(例えばLopez,J.
およびWebster,R.E.,Virorlogy 127(1983),177-193、Bauer,M.およびSm
ith,G.P.,Virology 167(1988)166-175、またはGailus,V.ら、Res.Microb
iol.145(1994)699-709参照)、ポリファージの生成効率はファージゲノムに
適当な突然変異を導入することによって増加させることができる。
本発明の方法のさらに好ましい態様では、スクリーニング可能なまたは選択可
能な性質を上記RGPの感染力に結び付ける。
この態様では、例えばバクテリオファージの感染力を操作できる可能性を利用
し、感染力を当該(ポリ)ペプチドの相互作用と直接相関させるものである。
本発明の方法の最も好ましい態様では、RGPは工程(a)/(aa)に用いる当該組換
えベクターによってコードされ、非感染性とされており、そしてRGPの感染性力
は、RGPに感染力を与えるドメインに融合させた工程(b)/(ab)および/または工程
(c)/(ac)の(ポリ)ペプチドと工程(a)/(aa)の(ポリ)ペプ
チドとの相互作用によって回復する。
本発明の方法のさらに最も好ましい態様では、RGPが宿主細胞に結合し、感染
するのに必要な表面タンパク質をコードする遺伝子配列の修飾によって当該RGP
を非感染性にする。
RGPの感染性に関する本発明の方法のこれらの好ましい態様および最も好まし
い態様は、スクリーニングタグの別用途として用いられる。これらの態様では、
選択感染の現象に利点をみいだすことができる(Krebbsrら、FEBS Letters 377
(1995)227-239)。スクリーニングタグは集合中の他の分子からその分子を物
理的に分離することを可能にする一方、選択感染の利用によって相互作用ペアを
積極的に選択することを可能にする。この現象は、例えばgeneIIIタンパク質の
C末端以外のすべてを欠失させることによって非感染性にしたファージに対し感
染性を選択的に回復させることができる構築体を利用することに基づくものであ
る。ライブラリー1を表示するためにそのようなファージを利用し、結合性物質
を保有する非感染性ファージが得られる。ライブラリー2と共発現させることに
よって上記のように結合性物質および結合パートナー間の相互作用が確立する。
結合性物質−結合パートナーペアを保有するファージは非感染性であるが、上記
のスクリーニングタグのかわりに感染性タンパク質を用いると感染性が回復する
。本明細書中において用語「感染性タンパク質」はファージと結合した場合に、
ファージがその後複製する場である細菌宿主内に侵入することを可能にする物質
を意味する。感染性タンパク質の例は繊維状バクテリオファージgeneIIIタンパ
ク質のN末端(少なくとも最初の220アミノ酸)である。
感染性タンパク質はそれを保有するファージに対し、複製能力を与える。これ
ゆえ、結合性物質/パートナーペアを保有するファージのみが複製する。ライブ
ラリー1および2両者由来の遺伝子を含むハイブリッドファージの精製は、例え
ば上記の2つの選択マーカーの利用に左右される。このファージ中の遺伝子は当
業者に周知の方法論を用いて同定できる。
本発明のさらに好ましい態様は工程(a)/(aa)の組換えベクター分子が細胞、好
ましくは細菌の表面に発現される融合タンパク質を生み出す方法に関する。
これらの融合タンパク質は、例えばスクリーニングタグを連結したライブラリ
ー2由来の適当な結合パートナーと相互作用すると、例えば細菌、酵母、昆虫細
胞または哺乳類細胞とすることができる宿主細胞の表面にて検出することができ
る。融合タンパク質の細菌表面における表示自体は当分野に周知である。すなわ
ち、リポタンパク質(Lpp)、外膜タンパク質A(OmpA)および鞭毛は大腸菌細胞
表面に対する抗体およびペプチドを標的化するため用いられている。Fuchsら、B
io/Technology 9(1991)1369-1372、WO93/01287は大腸菌表面に一本鎖抗体をペ
プチドグリカン関連リポタンパク質との融合タンパク質として提示させた。この
抗体は蛍光ラベルした抗原および表示された一本鎖抗体のリンカーペプチドに指
向する蛍光ラベルした抗体の結合によって視覚化された。Franciscoら、Proc.N
atl.Acad.Sci.USA 90(1993)10444-10448およびGeorgiu,G.ら、WO93/1021
4は一本鎖抗体のN末端をOmpAのC末端に融合させ、一方OmpAのN末端はシグナ
ル配列およびLppの最初の9アミノ酸と融合させることによって、大腸菌表面に
抗体を表示させている。蛍光ラベルした抗原のOmpA−抗体融合タンパク質への結
合をFACSによって検出した。Klauser(WO 95/17509)はIgAプロテアーゼシステ
ムを淋菌から大腸菌に移し抗体を表示させた。IgAプロテアーゼ前駆体のベータ
ドメインを外膜に組み込むことによって、プロテアーゼドメインの膜を通した輸
送を、続いて培地中への自己タンパク質分解放出を導いた。それゆえIgAプロテ
アーゼのベータドメインに連結している抗体が細菌の表面に提示される。Furthe
r,Lu,Z.ら、Bio/Technology 13(1994)366-371はペプチドをチオレドキシンお
よび細菌鞭毛と融合させることによって抗IL-8抗体に対するエピトープのペプチ
ド擬似体に対しスクリーニングする、そのペプチドを細菌表面に表示するシステ
ムを記載している。
次いで相互作用性(ポリ)ペプチドをコードする所望の核酸分子のさらなる同
定は、当分野に既知の方法、例えば表面にタグを表示している宿主細胞の精製お
よびさらに抗生物質に基づく(antibioticum-based)選択技術、DNA精製および
配列決定によって達成され得る。
本発明の方法の特に好ましい態様では、当該細菌は淋菌または大腸菌であり、
当該融合タンパク質は少なくとも鞭毛、lamB、ペプチドグリカン関連リポタンパ
ク質またはOmpAタンパク質の一部および当該(ポリ)ペプチドからなる。
本明細書の上記部分において繰り返し指摘したように、ライブラリー2にコー
ドされる(ポリ)ペプチドに連結されたタグは所望の核酸配列の同定戦略にて用
いられる。したがって本発明の方法のさらに好ましい態様では、工程(b)/(ab)ま
たは(c)/(ac)の組換えベクター分子によってコードされる(ポリ)ペプチドを少
なくとも1つのスクリーニングまたは選択タグに連結する。本明細書中において
、用語「スクリーニングまたは選択タグ」は特定の物質が認識し、結合すること
ができる短いアミノ酸配列を意味する。タグは一般に生体分子の精製に用いられ
、その例は、Niまたは特異的抗体が結合することができるHis(n)[ここにn=4-6
である]ならびに適当な抗体によって認識されるflagおよびmycタグである。こ
れらいずれの場合も、タグはライブラリー2のすべての結合パートナーとのC末
端融合物としてコードされ得る。本発明では、タグは例えば上記のポリファージ
の単離に用いることができる。これゆえ、ファージに結合している結合性物質お
よびその相互作用性結合パートナー間の相互作用はファージ粒子ならびにスクリ
ーニングおよび選択タグ間の連結を確立する。この特徴は相互作用する分子を保
有するポリファージを単離するために例えばアフィニティークロマトグラフィー
による工程において利用される。最終工程では、2つの異なる核酸分子、好まし
くは遺伝子(結合性物質および結合パートナーをコードする遺伝子)を保有する
ポリファージをこの2つの遺伝子のうち1つだけを保有するポリファージから、
形質導入または個々のゲノムに存在する異なる選択マーカー(例えば抗生物質耐
性)に基づく選択によって分離することができる。このようにして、2つの相互
作用性分子をコードする遺伝子を同定することができる。
本発明の最も好ましい態様は、このスクリーニングまたは選択タグが工程(b)/
(ab)または(c)/(ac)の組換えベクターによってコードされている方法に関する。
本発明のさらに最も好ましい態様は、スクリーニングまたは選択タグがHis(n)
、myc、FLAG、malE、チオレドキシン、GST、ストレプトアビジン、ベータ
-ガラクトシダーゼ、アルカリ性ホスファターゼT7gene10、Strep-ダグおよびカ
ルモジュリンのリストから選択される方法に関する。これらのスクリーニングタ
グは当分野に周知であり、当業者は完全に利用可能である。
本発明の方法のさらに特に好ましい態様では、当該スクリーニングおよび選択
タグが宿主細胞のゲノムによってコードされる。この態様の例は宿主細胞によっ
て発現され、例えばカラムクロマトグラフィーによる精製において別のの架橋と
して機能できる抗Fcレセプター特異的抗体である。本態様のもう1つの例は宿主
細胞によって産生される酵素であって、この酵素によって起こる修飾がスクリー
ニングまたは選択タグとなるような、工程(b)/(ab)および(a)/(aa)の(ポリ)ペ
プチドの相互作用を崩壊させない第2ライブラリーの(ポリ)ペプチドのリン酸
化のようなタグを生成させる酵素である。
本発明の方法のさらに好ましい態様では、工程(c)/(ac)の追加ライブラリーの
核酸配列によってコードされる(ポリ)ペプチドが工程(a)/(aa)および(b)/(ab)
の(ポリ)ペプチドの少なくとも1つのリン酸化、グリコシル化、メチル化、脂
質化またはファルネシル化によって工程(a)/(aa)および(b)/(ab)の(ポリ)ペプ
チドの相互作用を引き起こす。
本発明のさらに好ましい態様は工程(d)/(a)の宿主細胞が空間的にアドレス可
能であり、工程(g)/(a)に記載の核酸配列が対応する空間的アドレス可能宿主細
胞から回収できる方法に関する。
本発明の本文中において、用語「空間的アドレス可能」は第1、第2および任
意に追加ライブラリーメンバーの潜在的組み合わせの1つを担持する個々の細胞
がその相対的位置によって、例えば親プレート上のそれらの位置によって同定で
きる状況を意味する。例えばスクリーニングおよび選択を親プレートから誘導さ
れた単一のコロニーか、レプリカプレート上の単一のコロニーかどちらかについ
て行い、そうしてスクリーニング可能または選択可能な性質と親プレート上の宿
主細胞中に含まれる情報との間の結びつきを維持することができる。
本発明のさらに好ましい態様は当該スクリーニング可能または選択可能な性質
を細胞内において発現させる方法に関する。
特に好ましいのは、スクリーニング可能な性質がベーターガラクトシダーゼ、
アルカリホスファターゼまたはhis3およびleuのような栄養マーカーまたはアン
ピシリン、クロラムフェニコール、カナマイシン、ゼオシン、ネオマイシン、テ
トラサイクリンまたはストレプトマイシンのような抗生物質に対する耐性を与え
る耐性遺伝子などのレポーター遺伝子の転写のトランス活性化である方法である
。
さらには、上記本明細書中にて言及した酵母2-ハイブリッドシステムもしくは
相互作用トラップシステム(Brentら、EP-A0672 131)またはビブリオコレラのt
oxRシステムを利用する上記引用システムに類似する原核生物バージョンシステ
ム(Fritz,H.-J.ら、EP-A 0 630 968)を使用できる。さらに当分野に既知のス
クリーニングシステムを本発明の方法と組み合わせることは当業者の技術の範囲
内にある。
本発明のさらに好ましい方法では、工程(a)/(aa)、(b)/(ab)および(c)/(ac)の
組換えベクターは組換え促進部位を含み、工程(e)/(b)では組換えイベントを選
択し、ここでは工程(a)/(aa)の(ポリ)ペプチドをコードする核酸配列、工程(b
)/(ab)の(ポリ)ペプチドをコードする核酸配列および任意の工程(c)/(ac)の(
ポリ)ペプチドをコードする核酸配列はこの同じベクターに含有される。このア
プローチでは、ライブラリー1および2を保有するベクター中に適当な組換え部
位を組み込む場合には、2つの遺伝子は単一のベクター中にてカップリングさせ
、標準サイズのファージ中にパッケージングさせることができる。両方の核酸配
列および遺伝子を保有するファージは例えばスクリーニングタグを利用して再び
精製することができる。組換えを利用して2つのライブラリー由来の遺伝子をカ
ップリングする場合、部位特異的組換えはあまり効率的でないため、いくつかの
ハイブリッド後代ファージは非組換えゲノムを含むことがあろう。しかし、ハイ
ブリッドファージは、ライブラリー2を含まない宿主細胞の再感染、続くもう一
度のスクリーニングタグによって選択できる。
本発明の方法の特に好ましい態様では、当該組換えイベントは部位特異的組換
え機構Cre-lox、attP-attB、Mu ginまたは酵母flpによって媒介される。
本発明の方法の特に好ましい態様では、当該組換え促進部位は制限酵素認識部
位であり、当該組換えイベントは工程(a)/(aa)、(b)/(ab)および任意に(c)/(ac)
に記載の組換えベクター分子の少なくとも2つの異なる制限酵素を用いる切断お
よび当該ベクターに含まれる核酸配列の連結による組換えによって達成される。
本発明は別の好ましい態様としてPCRによる選択工程(e)/(b)後に当該核酸配列
の同定を行い、および好ましくは当該PCR後に当該核酸配列の配列決定を行う方
法に関する。当該選択工程(e)/(b)後、PCRは都合よく組換えベクター分子のベク
ター部分にハイブリダイズするプライマーを用い、豊富な所望の産物を伴って行
うことができる。次いでPCR産物の配列決定は常法により行うことができる。
本発明に記載の方法のさらに好ましい態様では、工程(a)/(aa)、(b)/(ab)およ
び/または(c)/(ac)の組換えベクターは選択マーカーをコードする少なくとも1
つの遺伝子を含む。
当該選択マーカーをコードする遺伝子は工程(a)/(aa)、(b)/(ab)および/また
は(c)/(ac)のそれぞれにおいて異なっている、すなわち当該ベクターは異なる選
択マーカーをコードする遺伝子を含むのが好ましい。当該選択マーカーは都合よ
く工程(f)/(c)においてもくろまれるさらなる精製用に用いることができる。例
えば、ライブラリー1および2それぞれの2つのメンバーを含むポリファージは
、抗生物質に対する二重耐性に基づいて選択することができる。また成功した組
換えイベントはライブラリー1および2由来の核酸分子の両方および異なる選択
マーカーをコードする遺伝子を保有する新たな組換えベクターを生む。再び、二
重耐性選択が所望産物を同定する助けとなろう。
当該方法の特に好ましい態様においては、当該選択マーカーは抗生物質、好ま
しくはアンピシリン、クロラムフェニコール、カナマイシン、ゼオシン、ネオマ
イシン、テトラサイクリンまたはストレプトマイシンに対する耐性である。
本発明のさらに好ましい態様は宿主細胞がF'および好ましくは大腸菌XL-1ブル
ー、K91もしくはその誘導体、TG1、XL1kanまたはTOP10Fである方法に関する。
本発明の特に好ましい態様において、当該RGPはR408、M13k07およびVCSM13、M
13de13、fCA55ならびにfKN16またはその誘導体のリストから選択されるヘル
パーファージを用いて生産する。
さらに好ましいのは、その方法中で少なくとも1つの当該遺伝的に異なる核酸
配列が免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバーをコードするような方法で
ある。
当該方法は当該遺伝的に異なる核酸配列が免疫グロブリンの重または軽鎖のレ
パートリーをコードするものであれば特に好ましい。
本発明の別の好ましい態様においては、当該方法中で当該遺伝的に異なる核酸
配列を突然変異法によって生産する。種々の突然変異法は当業者に周知であり、
さらに詳細には本明細書中に記載する必要はない。
本発明は別の好ましい態様においては、その方法中で当該遺伝的に異なる核酸
配列がcDNAライブラリーから生産されるような方法に関する。
本発明の方法の最後の好ましい態様において、当該核酸配列は遺伝子またはそ
の一部である。
本明細書中に用いている、用語「その一部」は他のライブラリーによってコー
ドされるいくつかの産物と相互作用することができる産物をコードする遺伝子の
一部に関する。種々のタンパク質は異なるドメインから構成されることは周知で
ある。当該ドメインの1つだけが、異なる(ポリ)ペプチドと相互作用できる場
合がある。本発明によれば、そのようなドメインは当該遺伝子の一部がコードし
ていることがあり得る。
また本発明は2以上の相互作用性ペプチドまたはタンパク質をコードする遺伝
子の同定を提供している。これは上記の方法の拡大により、遺伝的に異なる別の
核酸をコードする別のベクターを用いることによって行うことができる。前記の
ように、スクリーニングタグまたは感染性タンパク質のどちらかの存在を用い、
複合体の構成成分をコードする遺伝子を保有するファージを精製する。次いで再
び、ファージ中のこの遺伝子の配列を当業者に周知の方法論によって決定するこ
とができる。
加えて、本発明は少なくとも
(a)工程(a)/(aa)に記載の組換えベクター分子または相当するベクター分子;
(b)工程(b)/(ab)に記載の組換えベクター分子または相当するベクター分子;お
よび任意に
(c)工程(c)/(ac)に記載の少なくとも1つのさらなる組換えベクター分子または
相当するベクター分子
を含むキットに関する。
一般に、組換えベクター分子が上記キットに含まれる場合、これは核酸分子の
ライブラリーを含む。言い換えれば、本発明のキットは種々の組換えベクター分
子の集合体を含む。
図および表の説明
図1:ポリファージ原理の概説
図2:2つのファージミドの共形質導入、ポリファージ形成およびHis-タグによ
る選択:概説
A、B:好ましくは異なる耐性マーカーをもつファージミドのライブラリー;
A:gIIIpへの融合物;B:タグ(His)への融合物;共形質導入後、同族ペアを表示
する(図の左側)あるいは表示しない(右側)ファージ集合を導くファージ産生
、宿主細胞の選択感染後、二重耐性による選択
別方法では、プラスミドまたはファージミドに基づくライブラリーBを担持する
細胞をファージライブラリーAで感染させる(再必要条件:抑制-耐性構築体)。
図3:pBSベクター群:pBS13の機能地図および配列
図4:ファージミドの共存在:制限消化の結果
二重耐性(Amp/Cm)クローンの制限分析。R1:pIG10.3、Xba/ScaI;R2:pBS13、X
ba/ScaI;R1+R2:R1およびR2をおよそ等しい割合で混合する;M1:マーカーλ
:BstEII;M2:マーカーpBR322:MspI;1から10:ランダムにピックアップし
たクローン:Xba/ScaI
図5:ファージミドベクターpYING1-C1:機能地図
fosペプチド含有。対応するベクターpYING1-C2およびpYING1-C3はfosのかわりに
それぞれp75およびIL16ペプチドを含む。
図6:ファージミドベクターpYANG3-A:機能地図
junペプチド含有。対応するベクターpYANG3-Ape2、pYANG3-Ape3およびpYANG3-Ap
e10はjunのかわりにそれぞれp75結合性ペプチドpe2、pe3およびpe10を含む。
図7:選択クローンの分析(表2参照):
7.a:選択前および後のクローンの制限消化
R:pYANG3-Ape2:XbaI;M1:マーカーλ:BstEII;M2:マーカーpBR322:Msp
I;α/1から10:選択前にランダムにピックアップしたクローン:XbaI/Hind
III;β/1から10:選択後にランダムにピックアップしたクローン:XbaI/Hind
III;予想サイズ:jun-gIII:745bp;fos:256bp;p75:577bp;IL-16:502bp
7.b:選択後のクローンのプライマーOPEP5LおよびOGIII3を用いるPCR反応
R1:鋳型としてのpYANG3-A;R2:鋳型としてのpYANG3-Ape2;M:マーカーλ:
BstEII;β/1から10:選択後にランダムにピックアップした鋳型としてのクロー
ン
図8:ファージミドベクターpING1-C1:機能地図
Hisタグペプチド含有。対応するベクターpING3-C1はさらにFLAGエピトープを含
み;pING1-C2およびpING3-C2はHisタグのかわりにStrepタグを含み、
pING3-C2はさらにFLAGエピトープを含む。
図9:ファージミドベクターpONG3-A:機能地図
ファージディスプレイライブラリー(gIII融合体)の作成用
図10:ファージおよびプラスミドの共形質導入、ポリファージ形成およびSIPに
よる選択:概説
fA:ファージ構築体におけるライブラリーA;B:ライブラリーB、IMPと融合して
いるライブラリーメンバー;好ましくはファージおよびプラスミド上に異なる耐
性マーカー;共形質導入後のファージ生産;同族ペア相互作用の場合における感
染性ファージの形成;選択;二重耐性のプレートにまくことによるポリファージ
粒子の同定。
図11:ファージベクターfhag1A:機能地図
α-HAG scFvのファージディスプレイ用
図11a:CAT遺伝子モジュール:機能地図および配列
図12:ファージベクターfjun1A:機能地図
junペプチドのファージディスプレイ用
図13:ファージベクターfjun1B:機能地図
junペプチドのファージディスプレイ用
図14:ファージベクターfpep3-IB:機能地図
p75の細胞内ドメインに結合するペプチドpe3のファージディスプレイ用
図15:ファージベクターfNGF-1B:機能地図
NGFのファージディスプレイ用
図16:プラスミドpUC19/IMPhag:機能地図
HAGペプチドのgIIIP(IMP)のN末端ドメインへの融合物を含む
図17:プラスミドpUC18/IMPp75:機能地図
p75細胞内ドメインのgIIIP(IMP)のN末端ドメインへの融合物を含む;
pUC18/IMPfosはp75細胞内ドメインのかわりにfosペプチドを含む。
図18:プラスミドpUC18/IMPIL16:機能地図
IL16のgIIIP(IMP)のN末端ドメインへの融合物を含む
図19:選択クローンの分析(表3参照)
レーン1:マーカーλ:BstEII;レーン2から20:Xba/HindIIIで消化したポリ
ファージ形質導入体クローン#1から#19;f..-lb:消化後のファージベクター
断片;pUC18:消化後のプラスミド断片;α-HAG:gIIIcへ融合している抗HAG sc
Fvを含む断片;IMP-p75およびIMP-HAG:それぞれp75へ融合しているIMP、および
IMP-HAGペプチドを含む断片;PeP3-gIIIs:gIIICへ融合しているpep3を含む断片
(s:短型)
図20:ファージミドの共形質導入、インビボ組換えおよびHisタグによる選択:
概説
A、B:ファージミドライブラリー;好ましくは異なる耐性マーカーを伴う;A:g
IIIpへの融合物;B:タグ(His)への融合物;lox/loxPのような組換え促進部
位(*)を含む両構築体;共形質導入および組換え後のファージ生産;Ni-NTAによ
る選択;宿主細胞への再感染、二重耐性による選択
図21:インビトロ組換えおよびHisタグによる選択:概説
A、B:ファージミドのライブラリー;好ましくは異なる耐性マーカーを伴う;
A:gIIIpへの融合物;B:タグ(His)への融合物;制限酵素(+/o)に対応する
認識部位を含む両構築体;消化および共ライゲーション後の形質導入およびファ
ージ生産;Ni-NTAによる選択;宿主細胞への再感染、二重耐性による選択
図22:ファージベクターfjunhag:junペプチドのファージディスプレイ用機能地
図
図23:空間的インビボSIP:概説
上記方法のいずれかに記載の形質導入または共形質導入後、マスタープレートを
作成する。これより、個々のクローンから分泌されたファージは個々に分析でき
(上)、あるいはレプリカ(フィルター盤を通す分泌ファージの移動物)はその
上でタグの存在または感染性の選択を行うことができるように作成できる。マス
タープレートにもどることによって、組換えおよび/またはポリファージ生産を
必要とせずに選択された同族の相互作用ペアの情報を回収することができる。
図24:大腸菌ディスプレイ:概説
A、B:ファージミドのライブラリー;好ましくは異なる耐性マーカーを伴う;
A:大腸菌表面ディスプレイタンパク質への融合物;B:タグ(His)への融合物
;共形質導入後の構築体の発現;表面ディスプレイ;同族相互作用が起こった場
合における宿主細胞表面のタグのディスプレイ;選択
図25:pTERMsc2H10myc3sCAM:機能地図および配列
表1:実験2および3用に構築したファージミド
表2:実験2の結果(図7参照)
2.a:最初のライブラリーに存在するファージミドの組み合わせ(α)
2.b:選択後に存在するファージミドの組み合わせ(β)
表3:実験4の結果(図19参照)
3.a:個々のクローンに存在するファージ/プラスミドの同定
3.b:個々のクローンの感染性についての試験
以下の実施例は本発明を例示する。
実施例1:ポリファージ原理の概説(図1)
ライブラリー1を構成する結合性物質はペプチドまたはタンパク質であってよ
く、遺伝的に異なるの第1核酸配列の集団によってコードされる。複製可能遺伝
的パッケージの表面にこのコードされる結合性物質を表示させる第1ベクター中
へこれらの核酸配列を挿入する。これに続く選択のため、第1ベクターは抗生物
質耐性のような選択マーカーをコードする遺伝子も保有するべきである。ライブ
ラリー2を構成する結合パートナーはペプチドまたはタンパク質であってよく、
第2ベクターに挿入される遺伝的に異なる第2核酸配列の集団によってコードさ
れ得る。例として、この第2ベクターはプラスミドであってよく、あるいはファ
ージまたはファージミドでもよいが、この場合には複製起点が第1ベクターのも
のと異なっているべきである。これに続く選択のため、第2ベクターは抗生物質
耐性のような選択可能マーカーをコードする遺伝子であって、好ましくは第1ベ
クターに存在するものと異なるものも保有しているべきである。結合性物質-結
合パートナーペア間で形成される複合体の精製を容易にするため、ライブラリー
2のメンバーにスクリーニングタグを連結するのが都合よい場合がある。
次いで2つの遺伝的に異なる核酸集団を、コードされるライブラリー1および
2が発現できるように宿主細胞集団に導入する。これは(i)2つのベクターを
共形質導入する、すなわち実際に図に示されているようにするか、(ii)相補的
核酸集団が導入された細胞集団を高い効率で感染させるために用いることができ
るベクター(例えばバクテリオファージ)へ核酸集団の1つをパッケージングさ
せること、のいずれかによって達成できる。この結果、その細胞集団において個
々の細胞がそれぞれのライブラリーの代表を保有する細胞集団となる。
2つの核酸集団を発現させると、それぞれがそれぞれのライブラリー由来の分
子である分子のペアが生産される。それぞれの場合において結合性物質ライブラ
リーの1つまたはそれ以上のメンバーをRGPの外殻中にパッケージングさせる。
いくつかの細胞においては、RGP表面の結合パートナーおよびライブラリー2か
ら発現される結合パートナー間に相互作用が確立するであろう。したがってその
ような相互作用が確立した場合、RGPは結合性物質および結合パートナーの両方
を保有する。
次いで本明細書中、前述ようにポリファージおよび種々の選択マーカーを用い
、そのような相互作用を表示するRGPをさらに精製することができる。そのよう
な選択後、1つまたは両方の結合パートナーをコードする核酸配列をDNA配列決
定のような当分野に既知の方法論によって都合よく同定することができる。
実施例2:同じ大腸菌複製起点をもつファージミドの共形質導入、ポリファージ
形成およびHisタグによる正しいペア形成相互作用の選択
2.1:原理(図2参照)
ポリファージ形成により、タンパク質ペアの1つのメンバーに融合させたタグ
を用いて選択される同族タンパク質ペアの遺伝情報が回収可能となることを示す
ため、ファージミドベクターにおいて2つの別個の小ライブラリーを構築する。
2.2:同じ大腸菌複製起点をもつファージミドの共形質導入試験
2つの異なるファージミドを含むポリファージ粒子形成に必要な条件は、異な
るファージミドベクターが宿主細胞中に共存できることである。
ベクターpBS13はカナマイシン耐性遺伝子のかわりにクロラムフェニコール耐
性遺伝子、2H10-gIII融合遺伝子のかわりにβラクタマーゼ遺伝子カセットを含
むベクター(Krebberら、1996)の誘導体であり、pto2H10a3sから出発する標準
的方法によって組み立てることができる。図3は機能地図およびpBS13配列を含
む。pIGHAG1A(実施例4.2.1.f参照)はXbaIおよびHindIIIによって消化可能で
ある。繊維状ファージpIIIタンパク質のC末端ドメインを融合している抗HAG遺
伝子を含むこの1.3kb断片を単離し、前もって消化しておいたファージミドベク
ターpIG10.3、およびpBS13(XbaI-HindIII)と連結し、それぞれベクター
pIG10.3-scFv(抗HAG)(ApR)およびpBS13-scFv(抗HAG)(CmR)を構築する。
このベクターを用いてコンピテントXL-1ブルー細胞を形質転換し、Amp/Cm/Tetお
よびグルコース(20mM)を含むLBプレート上にて選択する。
二重耐性コロニー(Amp/Cm)のクローン由来のファージミドを単離する。制限
消化は単一のコロニーから両方のファージミドが共単離されることを示す(図
4)。
2.3:ライブラリーAおよびBの設計
ライブラリーAはそれぞれ低アフィニティー神経成長因子(NGF)レセプター(
実施例4参照)の細胞内ドメインに結合した3つの環状ペプチドおよびjun転写
因子由来ロイシンジッパードメインを含み、これらはすべて繊維状ファージ由来
gIIIのC末端にそのN末端を介して融合している。
ライブラリーBはロイシンジッパードメインを介してjunとヘテロニ量体を形
成しているfos転写因子のロイシンジッパードメイン、NGFレセプターp75の細胞
内ドメイン、およびライブラリーAのメンバーと相互作用しないネガティブコン
トロールとしてのIL-16の3つのメンバーをコードし、これらすべてはタグとし
てのHis6ペプチドとそのN末端で融合している(Hochuliら、1988;Lindnerら、
1992)。
同族ペア形成はjunおよびfos(CrameriおよびSuter、1993)ならびにp75およ
び選択される環状ペプチド(実施例4参照)間の相互作用から生じる。非同族ペ
ア形成は記載の非同族ペア間ならびにjunまたは環状ペプチドの1つおよびIL-16
間に起こるであろう。
2.4:個々の構築体のPCR増幅
pOKl(Gramatikoffら、1994)を鋳型として、OFOS-5およびOFOS-3をプライマ
ーとして用い、N末端がHis6に融合しているFosをPCR増幅した。ここにHis6はOF
OS-5プライマー中にコードされる。pOK1を鋳型として、オリゴヌクレオチドOJUN
-5およびOJUN-3をプライマーとして用い、junをPCR増幅した:
ホットスタート法を用いる。段階的タッチダウンPCRを適用する:92℃、1分間
;58-52℃、ΔT=2℃、1分間;72℃、1分間。これをその後26サイクル(92℃、
1分間;52℃、1分間;72℃、1分間)続ける。
PCR産物をQIAquickキット(Qiagen)を用いて精製し、ddH2O中に溶出させる。
次いで一晩これらをEcoRIおよびEcoRVで消化する。
またpUC18-IMPp75(実施例4参照)を鋳型として、オリゴヌクレオチドOP75-5
(ここにHis6がコードされている)およびOP75-3をプライマーとして用いてp75
断片をPCR増幅する:
上記と同じPCRおよび制限消化条件を適用する。
OIL16-5(ここにHis6がコードされている)およびOIL16-3をプライマーとして
用いてcDNAクローンであるpcDNA3-ILHu1(M.Baier,Paul Ehrlich
Institute,Germany;Baierら、1995;Bannertら、1996)からIL-16断片を増幅す
る:
上記と同じPCRおよび制限消化条件を適用する。
すべての場合においてこれらの断片は容易に増幅され、消化される。
2.5:中間体ベクター中へのクローニング
消化したPCR断片をゲル精製(QIAquickキット、Qiagen)し、TE緩衝液中へ溶
出させる。またpIG1ベクター(Geら、1995)のEcoRV/EcoRI断片も単離する。fos
、p75およびIL-16消化PCR断片はベクター断片に連結し、この連結ベクターをTG1
細胞中へ形質導入する。
pIG1ベクター中の構築体はこの構築体にインフレームで融合しているOmpAシグ
ナル配列を含む。
配列決定によって正しいクローンをスクリーニングし、確認する。これらは次
いでXbaI/HindIII消化し、断片を単離する。
2.6:発現ベクター中へのクローニング
2.3より単離した断片をXbaI/HindIIIで切断したpBS13中へ挿入した結果、ベク
ターpYING1-C1(Fos),pYING1-C2(p75)、pYING1-C3(IL-16)となる(図5参照)。
EcoRV/EcoRIを用いてjunを含む断片をpIG10.3ベクター中へクローニングした結
果、pYANG3-Aとなる(図6参照)。XbaI/HindIIIを用いて抗p75ペプチドpe2、pe
3およびpe10(実施例4参照)をpIG10.3中へクローニングした結果、それぞれベ
クターpYANG3-Ape2、-Ape3、-Ape10(図6参照)となる。
2.7:Hisタグを用いる正しいペア形成の選択
pYANG3-A+pYING1-C1またはpYANG3-A+pYING1-C2またはpYANG3-A+pYING1-C3また
は(pYANG3-Ape2、-Ape3および-Ape10)+pYING1-C1または(pYANG3-Ape2、-Ape3
および-Ape10)+pYING1-C2または(pYANG3-Ape2、-Ape3および-Ape10)+pYING1-
C3の組み合わせでTG1細胞を形質転換し、これによりすべての可能な組み合わせ
を作り出し、選択実験においてこれら各々を確実に存在させる。形質転換細胞を
アンピシリン/クロラムフェニコール含有LB寒天プレートにまき、二重耐性(ApR
/CmR)をもつコロニーを選択する。このコロニーをプレートからかきとり、2xYT
培地(Amp/Cm)に植え付け、37℃で3時間振とうする。培養物を30℃で1時間誘
導(1mM IPTG)し、37℃で30分間R408(Stratagene)で感染させる。培養物を室
温で3時間振とうし、カナマイシンを加え、振とうを室温で一晩継続する。
一晩培養物からファージ粒子を回収し、混合し、PEG沈殿させる。ファージを
固定Ni-NTA(Ni-NTA HisSorb Strips、Qiagen)上で直接選択する。溶出したフ
ァージを用いてTG1細胞を感染させ、これをアンピシリン/クロラムフェニコール
含有LB寒天プレートにまき、二重耐性(ApR/CmR)をもつコロニーを選択する。
選択されたコロニーのファージミドを単離し、制限消化によって分析し(図7.
a参照)、PCRスクリーニング用の鋳型として用いる。プライマーOPEP5Lを用いて
pYANG3-Ape2、-Ape3および-Ape10構築体を特異的に増幅する(図7.b参照)。OPE
P5L 5'-GACTACAAAGATGTCGACTG
正しいペア形成の構築体が特異的に豊富であった(表2)。
実施例3:大腸菌ゲノムDNAライブラリーの相互作用スクリーニング(ポリファ
ージ/タグシステム)
3.1:原理(図2参照)
実施例2の2つのモデルライブラリーを用いるかわりに、大腸菌のゲノムDNA
ライブラリーを調製し、自身に対してスクリーニングし、相互作用する大腸菌ペ
プチドまたはタンパク質を同定する。
3.2:ゲノムDNA用表示および発現ベクターの構築
オリゴヌクレオチドカセットまたはPCRによってHisタグ、Strepタグ(Schmidt
およびSkerra、1994)またはgIIIのC末端ドメイン(gIIIc)いずれかの前に挿
入された平滑末端制限部位SmaIを有する発現ベクターを構築する。
自己相補的オリゴヌクレオチドOHIS5&OHIS3およびOSTREP5&OSTREP3を用いて
それぞれHisタグおよびStrepタグをコードするカセットを作成する:
これらのカセットをリン酸化し、アニーリングしてEcoRIおよびHindIII部位を
再構築する。これらのカセットを同じ制限酵素で切断したpIG1およびpIG3ベクタ
ー(Geら、1995)中へ挿入する。得られたベクターはそれぞれpING1-A1、pING3-
A1(pIG1およびpIG3ベクター中のHisタグ用)、pING1-A2および
pING3-A2(Strepタグ用)である。正しいベクターをXmaI部位(SmaIのアイソシ
ゾマー)の存在に対してスクリーニングし、配列決定によってこれらの構築体を
確認する。これらのベクターのXbaI/HindIII断片をpBS13ベクター中へ挿入し、
同じ酵素で線状化した結果、それぞれベクターpING1-Cl、pING3-Cl、およびpING
1-C2、pING3-C2となる(図8参照)。
pIG10.3ベクターをPCR増幅するに当たり、プライマーOGIII5およびベクター中
のgeneIIIの3'にアニーリングするOGIII3を用いてSmaI部位を含むgIIIc断片を作
成する:
ホットスタート:92℃、1分間;46℃、1分間;72℃、1.5分間でPCRを3回行
う。続いて、92℃、1分間;50℃、1分間;72℃、1.5分間を30回行う。PCR産物
を精製(QIAquick)し、EcoRIおよびHindIIIで消化する。この断片をゲル精製(
QIAquick)し、pIG10.3中へ連結する。得られたベクターpONG3-A(図8参照)の
配列は制限分析および配列決定によって確認する。
3.2:Hisタグを用いる大腸菌ゲノムDNA由来の相互作用性ペアの選択
大腸菌株XL-1ブルー(Stratagene)のゲノムDNAをブラッド&セルカルチャー
DNAマキシキット(Qiagen)を用いて単離し、TE緩衝液(pH8.0)中に溶出させる
。このDNA 200μgをとり、超音波破砕(50回、270mA、0.5秒/ストローク)する
。断片化DNA(平均サイズ:最大0.7kB)をT4 DNAポリメラーゼでの充填反応(ギ
ャップをうめる)反応によって平滑末端化する。
ベクターpING1-C1およびpONG3-AをEcoRVおよびSmaIで消化し、これらのベク
ター断片をゲル精製(Qiagen)する。次いでこれらのベクター断片を16℃で一晩
、平滑末端ゲノムDNAと連結する。得られた連結混合物でTG1細胞を形質転換する
。
pING1-C1およびpONG3-A形質転換体をプレートからかきとり、それぞれCm/グル
コースまたはAmp/グルコースを含有する2xYT培地に植え付ける。pING1-C1培養物
をヘルパーファージ(VCSM13またはM13k07)で感染させ、ファージ粒子を単離す
る。これらのファージ粒子を用いてpONG3-Aを含む対数期細胞を感染させる。得
られた培養物を大きなAmp/Cm/グルコースプレート上にまく。
コロニーを上記プレート表面からかきとり、Amp/Cmを含有する2xYT培地に移す
。37℃で30分間振とうした後、この培養物を30分間誘導(1mM IPTG)し、室温で
一晩振とうする。
ファージ粒子を一晩培養物から採取し、PEG沈殿させる。これらを固定Ni-NTA
(NI-NTA HisSorb Strips、Qiagen)上で選択する。溶出ファージを用いて対数
期TG1細胞を感染させる。選択されたタンパク質ペアを対応するDNA配列の決定に
よって特性化する。
実施例4:ポリファージ、およびSIPを用いる正しいペア形成相互作用の選択
4.1:原理(図10参照)
この実験の目的は、SIP(選択感染ファージ:Krebberら、1995;この実験セク
ションに用いている用語「IMP」は繊維状ファージのgeneIIIタンパク質のN末端
ドメインを含む「感染性媒介粒子」を意味する)選択システムを用いて2つのラ
イブラリーの組み合わせから正しい相互作用性ペアが単離同定でき、ポリファー
ジ粒子の形成および選択によって相互作用性パートナー両方についての情報を回
収できることを示すことである。対応するライブラリーのメンバーと相互作用性
するペアを形成するライブラリーメンバーは、対応するライブラリーのメンバー
と相互作用しないライブラリーメンバーと「混ざる(doped)」ことがあり、ポ
ジティブSIP選択を与えるべきでない。
4.2:ベクター構築
4.2.1:fhag1A(図11参照)
a.ファージベクターf17/9-hag(Krebberら、1995)をEcoRVおよびXmnIで消化す
る。抗HAG Ab遺伝子を含む1.1Kb断片をアガロースゲル電気泳動によって単離し
、Qiagenゲル抽出キットを用いて精製する。この断片を前もって消化しておいた
pIG10.3ベクター(EcoRV-XmnI)に連結する。連結したDNAをDH5α中へ形質導入
し、ポジティブクローンを制限分析で確認する。この組換えクローンをpIGhag1A
と称する。上記および以下に記載のすべてのクローニングは標準的手法(Sambro
okら、1989)にしたがう。
b.ベクターf17/9-hag(Krebberら、1995)をEcoRVおよびStuIで消化する。
7.9kbの断片を単離し、自己連結させてベクターfhag2を形成させる。
c.鋳型pACYC(CardosoおよびSchwarz、1992)を用いるアセンブリーPCR(Geおよ
びRudolph、1997)によって組み立てたクロラムフェニコール耐性遺伝子(CAT)
(図11aはCAT遺伝子の機能地図および配列を示す)をプライマー:
を用いるポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって増幅する。
d.標準的手法(Sambrookら、1989)に引き続いてPCRを行う。増幅産物はBspEIお
よびBsu36Iで消化した後、前もって消化しておいたfhag2ベクター(BspEI-Bsu36
I;7.2kb断片)に連結し、fhag2Cを形成させる。
e.ベクターfhag2CをEcoRIで消化し、クレノー断片で充填することによって末端
を平滑化する。平滑化ベクターを自己連結させ、ベクターfhag2CdelEcoRIを形成
させる。
f.pIGHAG1AをXbaIおよびHindIIIで消化する。繊維状ファージpIIIタンパク質の
C末端ドメインに融合した抗HAG遺伝子を含む1.3kb断片を単離し、前もって消化
しておいたfhag2CdelEcoRIファージベクター(XbaI-HindIII;6.4kb)と連結し
、ベクターfhag1Aを作成する。
4.2.2:fjun1A(図12参照)
a.プライマー:
を用いるオリゴヌクレオチドサイトダイレクト突然変異(Sambrookら、1989)に
よってpIG10.3のEcoRV部位をSalI部位に変換する。
突然変異pIG10.3をpIG10.3SalIと称する。
b.pOK1(Grammatikoffら、1994)由来junロイシンジッパードメインをプライマ
ー:
を用いるPCRによって増幅する。
b.標準的手法(Sambrookら、1989)に引き続いてPCRを行う。増幅産物はSalIお
よびEcoRIで消化した後、前もって消化しておいたpIG10.3SalIベクター(SalI-E
coRI)に連結し、ベクターjun-pIG10.3SalIを形成する。
d.ベクターjun-pIG10.3SalIをXbaIおよびEcoRIで消化する。0.14kb断片を前もっ
て消化しておいたベクターfhag1A(XbaI-EcoRI;7kb)に連結し、ベクターfjun1
Aを形成する。
4.2.3:fjun1B(図13参照)
a.繊維状ファージpIII(短gIII)のアミノ末端ドメインからC末端ドメインを
分離する長いリンカーを含むC末端ドメインをコードするDNAをプライマー:
を用い、pOK1(Grammatikoffら、1994)を鋳型として用いて増幅する。
b.標準的手法(Sambrookら、1989)に引き続いてPCRを行う。増幅産物はEcoRIお
よびHindIIIで消化した後、前もって消化しておいたfhag1Aベクター(EcoRI-Hin
dIII)に連結し、ベクターfjun1Bを形成する。
4.2.4:fpep2-1b)fpep3-1B、fpep10-1b(図14参照)
a.これらの構築物は、SIP実験におけるp75の細胞内ドメインである、NGF低アフ
ィニティーレセプターに対してスクリーニングされたペプチドライブラリーから
得られる。
b.6-16アミノ酸の長さ変異体をもつ環状ペプチドのペプチドライブラリーカセッ
トをオリゴ:
[ここにMはcysをコードするコドンを除く19トリヌクレオチドコドンの混合
から調製する。長さの変異は、標準カップリング手法を用いる6トリヌクレオチ
ド位置のカップリング、それに続く10カップリングサイクルにおけるDNA合成の
間のキャッピング工程を省略し、そしてトリヌクレオチド混合物を希釈して50%
のカップリング収率を段階的に達成することにより行われる。
上記オリゴをアニーリングし、DNAポリメラーゼIのクレノー断片で充填し、
標準的方法(Sambrookら、1989)を用いて二本鎖DNAカセットを形成する。この
カセットをSalI-EcoRIで消化し、Qiaex DNAゲル抽出キットで精製し、前もって
消化しておいたfjun1Bベクター(Sal I-EcoR I)に連結し、ペプチドライブラリ
ーを形成する。連結ペプチドライブラリーをpUC18/IMP-p75(以下参照)
を宿すコンピテントDH5α細胞中に形質導入し、ルリアブロス(LB)(30μg/ml
クロラムフェニコール+l00μg/mlアンピシリン)プレート上にまき、環境温度で
一晩インキュベートする。
c.AmpR CmRロニーをLBとともにかきとり、この懸濁液1mlをLB(30μg/mlクロラ
ムフェニコール+100μg/mlアンピシリン+1mM IPTG)25mlに植え付ける。この培
養物を一晩室温でインキュベートする。
d.この上清を遠心(10,000RPM、10分間、4℃)によって細胞から分離する。30%
PEG/3M NaCl 5mlをこの上清に加え、100回混合する。氷上で1時間後ファージ沈
殿物を遠心(10,000RPM、10分間、4℃)によって集める。ペレットをTBS緩衝液1
ml中へ再懸濁する。この懸濁物を0.45ミクロンフィルター(Sartorius)を用い
てろ過する。
e.ファージ上清10μlを用いて対数期K91細胞(またはいずれかの雄性大腸菌細胞
(F線毛含有))100μlを感染させ、LB(30μg/mlクロラムフェニコール)プ
レート上にまき、環境温度で一晩インキュベートする。
f.クロラムフェニコール耐性形質導入体をとり、一晩培養物を調製して、配列決
定用DNAを単離する。配列決定によりペプチドpe2、pe3およびpe10を含む
fpep2-1b、fpep3-1B、fpep10-1bを同定する。
4.2.5:fNGF1B(図15参照)
a.神経成長因子(NGFI)遺伝子をコードするDNAをプライマー:
を用い、pXM NGF(Ibanezら、1992)を鋳型として増幅する。
b.標準的手法(Sambrookら、1989)に引き続いてPCRを行う。増幅産物はSal
IおよびEcoRIで消化した後、前もって消化しておいたfjun1Bベクター
(Sal I-EcoR I)に連結し、ベクターfNGF1Bを形成する。
4.2.6:pUC19/IMP-HAG(図16参照)
a.ベクターf17/9-hag(Krebberら、1995)をEcoIおよびHindIIIで消化する。
HAGペプチドとIMPの融合遺伝子を含む1.4kb断片を単離し、前もって消化し
ておいたpUC19(EcoR I-Hind III)中へクローニングし、ベクターpUC19/IMP-
HAGを形成する。
4.2.7:pUC18/IMP-p75(図17参照)
a.C末端の142アミノ酸を含むp75の細胞内ドメインをプライマー
を用い、p75のcDNAクローン(Chaoら、1986)を鋳型として増幅する。
b.標準的手法(Sambrookら、1989)に引き続いてPCRを行う。増幅産物はBsiW I
およびHind IIIで消化した後、前もって消化しておいたpUC19ベクター(BsiW I-
Hind III)に連結し、ベクターpUC19/IMP-p75を形成する。
c.ベクターpUC19/IMP-p75をXbal IおよびHind IIIで消化する。この1kb断片を単
離し、前もって消化しておいたpUC18ベクター(Xbal I-Hind III)中へクローニ
ングし、ベクターpUC18/IMP-p75を形成する。
4.2.8:pUC18/IMP-IL16(図18参照)
a.IL16遺伝子をプライマー
を用い、クローンpcDNA3-ILHu1(M.Baier、Paul Ehrlich Institute)
Germany;Baierら、1995;Bannertら、1996)を鋳型として増幅する。
b.標準的手法(Sambrookら、1989)に引き続いてPCRを行う。増幅産物は
Bsu36
IおよびHind IIIで消化した後、前もって消化しておいたpUC18/IMP-p75ベク
ター(Bsu36I-Hind III)中へ連結し、ベクターpUC18/IMP-IL16を形成する。
4.3:共形質導入およびポリファージを用いるインビボSIP
4.3.1:2ライブラリーの組み合わせ(ライブラリー1をgIIIに融合させ、一
方ライブラリー2をIMPに融合させる)
a.fjun1B、fjun1A、fpep3-1B、fhag1A、fNGF1Bの各10ngをpUC18/IMP-p75、pUC18
/IMP-HAG、pUC18/IMP-IL16の各500ngと共にエレクトロポレーションによってDH5
α細胞中へ共形質導入する。この細胞をルリアブロス(LB)(30μg/mlクロラム
フェニコール+100μg/mlアンピシリン)プレート上にまき、環境温度で一晩イン
キュベートする。
AmprCmrコロニーをLBからかきとり、懸濁物1mlをLB(30μg/mlクロラムフェニ
コール+100μg/mlアンピシリン+1mM IPTG)25mlに植え付けた後、室温で一晩イ
ンキュベートする。
4.3.2:インビボSIP。細胞からの上清を遠心(10,000RPM、10分間、4℃)によっ
て分離する。30%PEG/3M NaCl 5mlをこの上清に加え、100回混合する。氷上に1
時間後、ファージ沈殿物を遠心(10,000RPM、10分間、4℃)によって集める。こ
のペレットをTBS緩衝液1ml中に再懸濁し、この懸濁物を0.45ミクロンフィルター
(Sartorius)を通してろ過する。
ファージ上清200μlを用いて、対数期K91細胞(または雄性大腸菌細胞(F線毛
含有)のいずれか)1.8mlを感染させ、この細胞をLB(30μg/mlクロラムフェニ
コール+100μg/mlアンピシリン)プレート上にまき、環境温度で一晩インキュベ
ートする。
4.3.3:感染性ポリファージのDNAパターンおよび感染性の試験。20の独立したAmpr
CmrコロニーをそれぞれLB(30μg/mlクロラムフェニコール+100pg/mlアンピシ
リン)5ml中に植え付け、環境温度で一晩インキュベートする。Qiagen Miniprep
DNA kitを用いてそれぞれのクローンからプラスミドおよびRF DNAを単離する。
製造元によって供給され、指示されるように制限酵素Xba IおよびHindIIIを適当
な緩衝液といっしよに用いる制限分析によってクローンを分析する。この制限消
化は0.8%TBEアガロースゲル中、100Vの一定電圧で1.5時間行う。
制限パターンはバンドの相対的な強さと共に(ファージベクター(fjun1B、fjun
1A、fpep3-1B、fNGF1B,.fhag1A)はプラスミドベクターより非常に少ないコピ
ー数しかないから)、相互作用性ペアの正確な同定を可能にする。ペアfhag1A+p
UC19/IMP-HAGに対し、Xba I-Hind III消化により6.5kb、3.3kb、1.3kbおよび0.7
kb断片が生成し、一方ペアfpep3-1B+pUC18/IMP-p75に対しては同消化によって6.
3kb、2.8kb、1kbおよび0.7kb断片が生成する。問題はfjun1Bまたはfjun1AのpUC1
8/IMP-p75との潜在的非同族ペアの組み合わせを区別することであるが、これら
がfpep3-1B+pUC18/IMP-p75と類似のパターンを与えるからである。さらにこれを
解決するためには、同一のパターンを含むクローンをBamH I-Hind IIIで再消化
することができる。fjun1Aまたはfjun1BはpUC18/IMP-p75との組み合わせにおい
てただ4つのみの断片-4.1kbおよび2.9kb、2.6kb、1.2kb断片-を生成するが、一
方同族ペアfpep3-1B+pUC18/IMP-p75は5断片-3.5kb、2.9kb、2.6kb、1.2kb、0.5
kbを生成するであろう。さらに同族相互作用性ペアが選択されたことを証明する
ために、クローンの選択的感染性ファージ粒子形成能力を試験する。同族ペアを
もつクローンだけが感染性ファージを形成できる。個々のクローンの一晩培養物
からの上清を0.45ミクロンフィルター(Sartorius)でろ過する。ファージ上清1
0μlを対数期K91細胞(または雄性大腸菌細胞(F線毛含有)のいずれか)100μl
と37℃で10分間混合する。この懸濁物をLB(30pg/mlクロラムフェニコール)プ
レート上にまき、37℃で一晩インキュベートする。この結果を表3.bに示す。
要約すると(図19参照)、上記実施例から得られた結果は分析した19クローン
中、8/19が同族ペアfpep3-1B+pUC18/IMP-p75をもって、選択的感染性ファージを
生産し;1/19はfhag1A+pUC19/IMP-HAG組み合わせをもち、選択的感染性ファージ
を生産することを示している。
実施例5:組換えおよびタグ系を用いたスクリーニングによる多ライブラリーの
単一ファージミドベクターへの組み込み
5.1:原理(図20参照)
パートナーの1つに融合したタグによって選択される同族タンパク質ペアに対
する遺伝情報の回収を可能にするために、lox組換え促進部位を含むファージミ
ドベクター中に2つの別個のライブラリーを構築し、それをインビボ組換えにお
けるcre組換え酵素の働きによって1つのファージミド上に組換えする。
5.2:ベクター構築
loxPおよびloxP511部位(Hoessら、1986)両方を縦一列にベクターpING1-C1中
のCo1E1複製起点およびβラクタマーゼが両端に隣接する領域に挿入するが、ベ
クターpONG3-AにおいてloxP部位はXba Iの上流に、loxP511はHind III部位の下
流にクローニングする。これゆえクローニングされたゲノムDNAの両端にはloxP
およびloxP511部位が隣接する。
5.3:ライブラリー構築および組換え
ライブラリーは実施例3に記載のとおりに調製する。二重耐性クローン中のフ
ァージミドを、誘導可能なファージミド中にコードされている(Tsurushitaら、
1996)か、あるいはP1ファージの感染によって転位されてる(Rosner、1972;Wa
terhouseら、1993)cre組換え酵素によって組換える。ファージは組換えクロー
ンからヘルパーファージ感染によって調製し、これを用いて新たな大腸菌細胞(
cre-)を感染させる。
5.4:選択
ファージ粒子をCmrクローンから調製し、実施例2および3に記載のとおりにH
isタグ選択に付す。mycタグ領域(ライブラリー1)およびHisタグ領域(ライブ
ラリー2)に特異的なプライマーを用いて配列決定することにより、両方のライ
ブラリーのメンバーを現に含むそれぞれのファージミド中にコードされる配列を
決定することができる。
実施例6:別個に構築されたライブラリーを1つのファージベクターにインビト
ロ組換えすることによるSIPに基づくライブラリーvs.ライブラリースクリーニ
ング
6.1:原理(図21参照)
インビボのSIP相互作用によって選択される同族タンパク質ペアに対する遺伝
情報の回収を可能にするために、ファージおよびプラスミドベクター中の2つの
別個のライブラリーを構築し、インビトロ組換えにおける共連結によって組換え
する。
6.2:ライブラリーAおよびBの構築
ライブラリーAは2つのメンバー、すなわちヘマグルチニンから誘導されるペ
プチドに対する単鎖Fv抗体(fαhag)およびjun転写因子(fjun)から誘導され
るロイシンジッパードメインをコードし、両者ともN末端を介して繊維状ファー
ジ由来gIIIのC末端ドメインに融合し、Flagエピトープが後に続くompAシグナ
ル配列の後に続く。
ライブラリーBはpUC類プラスミドベクター上の3つのメンバー、すなわち上記
αhag抗体が結合しているヘマグルチニンペプチド(pUC19-IMPhag)、ロイシン
ジッパードメインを介してjunとヘテロダイマーを形成するfos転写因子のロイシ
ンジッパードメイン(pUC18-IMPfos)および、ライブラリーAメンバーと相互作
用しないネガティブコントロールとしての低アフィニティー神経成長因子の細胞
内ドメイン(pUC18-IMPp75)をコードしており、これらすべてはファージgIIIタ
ンパク質の感染性媒介N末端ドメインに融合し、gIIIシグナル配列に後続する。
ライブラリーA挿入部位の下流にgIIIのN末端ドメイン(N1-N2)を含み、この
後にライブラリーBメンバーのインフレーム挿入を可能とするクローニング部位B
siW IおよびHind IIIが続くfdファージベクター中へライブラリーAのメンバーを
クローニングする。ライブラリーA構築物fαhagはf17/9-hag fdファージベクタ
ー(Krebberら、1995)と同一であり、fjun構築の基礎となる。junロイシンジッ
パーをgIIIのC末端部分の290から326のアミノ酸といっしよに実施例4にて構築
する構築体fjun1B(gIIIのアミノ酸290から493に融合しているjunロイシンジッ
パーを含む)からPCR増幅(プライマーFR620およびFR621、それぞれEcoR Iおよ
びSfi I部位含有)する。得られたPCR断片をEcoRV/SfiIで消化したf17/9-hagベ
クター中へgIIIC末端ドメインのアミノ酸327から493とインフレームで一定方向
に連結し、結果としてベクターfjunhag(図22参照)とする。
ライブラリーB構築体pUC19IMPhagおよびpUC18-IMPp75の作成は実施例4に記載
されている。pUC18-IMPfosを構築するためにgIIIのN末端部分のアミノ酸219か
ら272をfosロイシンジッパーといっしょにpOK1ファージミドベクター(Grammati
koffら、1994)からPCR増幅(プライマーFR618およびFR619、それぞれBsiW Iお
よびHind III部位を含む)する。得られたPCR断片をBsiW I/Hind IIIで消化した
pUC18-IMPp75中に一定方向に連結し、pUCl8-IMPfos(図17参照)を作成する。
プライマー6.3:ライブラリーAおよびBの調製および組換えならびにSIPによる相互作用性タ
ンパク質ペアの選択
αhag抗体のhagペプチドとの非共有結合的な同族相互作用(Krebberら、1995
)ならびにfosおよびjunロイシンジッパードメインの非共有結合的同族相互作用
(Grammatikoffら、1994)は感染性SIPファージを生み出す。これゆえ、モデル
ライブラリーAおよびBのメンバーの6つの可能な組み合わせ(fαhag-hag、fαh
ag-fos、fαhag-p75、fjun-fos、fjun-hag、fjun-p75)から2つの組み合わせ(
同族ペアは太字)だけがインビボSIPによって選択されるはずである。すべての
可能な順列におけるライブラリーメンバーの組換えのため、ライブラリーAをBsi
W I/Hind IIIで消化することによって線状化し、上記の構築体BプールからBsiW
I/Hind IIIで集団切断することによって調製されるライブラリーBメンバーをラ
ンダムに包含するように調製する。集団切断ライブラリーB断片をライブラリーA
ベクター中へ共連結した後、サンプルをコンピテント大腸菌細胞中へ形質導入し
、これをクロラムフェニコール含有LBアガープレート上にまき、37℃で一晩培養
する。組換えライブラリーのサイズは形質転換体の連続希釈物をプレートにまく
ことによって測定でき、それは個々のライブラリーAおよびBの
複雑性と比較することができる。総組換えライブラリーをLB培地のプレートから
かきとり、1mM IPTGを補充した適当な量のクロラムフェニコール選択LB培地に植
え付ける。SIPファージを生産させるため30℃で一晩振とうを続けながら培養し
た後、細菌を遠心によってペレットにし、氷上で1時間20%PEG/2.5M NaCl 0.25
容量を加えることによって上清中に存在するファージを沈殿させる。このファー
ジを30分間、10,000Xgにて、4℃で遠心することによってペレットとする。この
ペレットを適当な容量の1×TBS緩衝液中に再懸濁し、0.45μMフィルターを通
してろ過する。このろ液を連続希釈してF+大腸菌細胞を感染させるのに用いる。
標準方法によって得られた形質導入体コロニーから二本鎖の、複製形態ファージ
DNAを調製し、制限消化および配列決定によってライブラリーAおよびBメンバー
の存在および同一性について分析する。さらに感染性SIPファージの存在につい
て形質導入体コロニーの上清を分析し、組換えライブラリーAおよびBから選択さ
れる特定ペアのタンパク質-タンパク質相互作用がSIPファージ感染性の原因であ
ることを確認する。
一方、モデルライブラリーA(2メンバー)およびB(3メンバー)を用いてす
べての可能な組み合わせ(上記)を個々に構築し、6つの組み合わせそれぞれの
等量(50ng)をコンピテント大腸菌細胞中へ共形質導入し、引き続いて上記工程
を行うことができる。共形質導入後の個々の構築体の分配およびモデルライブラ
リーから得られる形質導入体の分配を上記のように分析することができる。同族
タンパク質ペアを共コードするファージ構築体の選択回収により、適当な組換え
イベント後の結合パートナーのSIPに基づく選択が実現可能であることを示す。
実施例7:「空間的」インビボSIP
7.1:原理(図23参照)
相互作用ペプチドまたはタンパク質のメンバーについての情報のカップリング
は選択可能またはスクリーニング可能な性質をディスプレイする粒子(この実施
例においてSIP実験用ファージ)および個々のライブラリーメンバーに対する遺
伝情報を含むパッケージ(この実施例において大腸菌細胞が分泌するスクリーニ
ングされるファージ粒子)間の空間的関係、すなわちマスタープレート上におけ
る試験されるファージおよび対応する大腸菌宿主の位置間の相関を有することに
よって達成される。
7.2:2ライブラリーの混合(ライブラリーAはgIIIと融合し、一方ライブラリー
BはIMPと融合する)
fjun1B、fjun1A、fpep3-1B、fhag1A、fNGF1Bのそれぞれ10ngをpUC18/IMP-p75
、pUC19/IMP-HAG、pUC18/IMP-IL16のそれぞれ500ngと共にDH5α細胞中ヘエレク
トロポレーションによって共形質導入する。形質転換体をLB(30μg/mlクロラム
フェニコール+100μg/mlアンピシリン)プレート上にまき、環境温度で一晩イン
キュベートする。
7.3:SIPによる共形質転換体のスクリーニング
共形質転換体のマスタープレートから、それぞれの共形質転換体をラベルし、
LB(30pg/mlクロラムフェニコール+100μg/mlアンピシリン)5ml中に分離して植
え付け、環境温度で一晩インキュベートする。
Qiagen Miniprep DNAキットを用いてそれぞれのクローンからプラスミドおよ
びRF DNAを単離する。製造元によって供給され、指示されたように制限酵素Xba
IおよびHind IIIを適当な緩衝液と共に用いて制限分析することによって、クロ
ーンを分析する。この制限消化は0.8%TBEアガロースゲル中、100Vの一定電圧に
て1-2時間行う。制限パターンは特定クローンの識別を可能にする。
個々のクローンの一晩培養物からの上清を0.45ミクロンフィルター(Sartoriu
s)を通してろ過する。ファージ上清10μlを対数期K91細胞(または雄性大腸菌
細胞(F線毛含有))100μlと37℃で10分間混合する。この懸濁物をLB(30μg/m
lクロラムフェニコール)プレート上にまき、37℃で一晩インキュベートする。
ポシティブ共形質転換体(すなわち正しい相互作用ペアを含む)は対応する正
しい制限パターンを有し、2次またはそれ以降の感染できない感染性ファージを
生産することができる。ポリファージ粒子はそのような感染が可能であり、また
相互作用ペアの遺伝情報を含むので、これらの制限消化パターンによって容易に
同定することができる。
実施例8:大腸菌表示
8.1:原理(図24参照)
2つのライブラリーを細胞表面に存在するライブラリーAの発現メンバー(例
えば抗体、ペプチドまたはcDNAライブラリー)と共に大腸菌細胞中へ導入する。
相互作用ペアが形成される場合、ライブラリーBのメンバー(例えば抗体、ペプ
チドまたはcDNAライブラリー)もまたその同族パートナーとの複合体において細
胞表面に輸送され、これゆえタグのような選択可能またはスクリーニング可能な
性質を表示する。選択される細胞は相互作用パートナー両方についての情報を含
む。
8.2:ライブラリーAの調製
チオレドキシンペプチドライブラリーはpFLITRXベクター中、大腸菌鞭毛への
融合物として本質的に記載(Luら、1995)のように調製する。
8.3:ライブラリーBの調製
FLAGエピトープを含む環状、変動可能長のペプチドライブラリー(Hoppら、
に調製し、カナマイシン耐性遺伝子のかわりにクロラムフェニコール耐性遺伝子
を含むpto2H10a3sベクター(Krebberら、1996)の修正バージョンである、pTERM
ベクター中にクローニングする。このpTERMベクターはpto2H10a3sから出発する
標準方法によって組み立てることができる。この環状ペプチドライブラリーは標
準方法(Sambrookら、1989)によりヘルパーファージ(M13K07またはVCSM13)で
感染させることによって包含させる。
8.4:ライブラリーAおよびBの混合
ライブラリーAを含む大腸菌細胞をLB(100μg/mlアンピシリン)50mlに植え付
け、環境温度でOD600が0.4に達するまでインキュベートする。ライブラリーBを
含むファージで10多感染(MOI)によりこの細胞を感染させる。30分の感染後、
細胞を遠心(5000RPM、10分間、4℃)によって集め、LB 1ml中に再懸濁する。こ
の懸濁物をM9培地(+1mMMgCl2、0.5%グルコース、0.2%カザアミノ酸、100μg/
mlアンピシリン、30μg/mlクロラムフェニコールを補充)プレート上に
まく。
8.5:相互作用ペアの選択
AmprCmrコロニーをM9培地(+1mM MgCl2、0.5%グルコース、0.2%カザアミノ
酸、100μg/mlアンピシリン、30μg/mlクロラムフェニコールを補充)からひっ
かきとり、この懸濁物をM9培地(+1mM MgCl2、0.5%グルコース、0.2%カザアミ
ノ酸、100μg/mlアンピシリン、30μg/mlクロラムフェニコールを補充)25mlに
植え付け、37℃で飽和するまでインキュベートする。選択は本質的に記載(Luら
、1995)のように行い、修正は選択に用いる抗体をM1抗FLAG抗体(Kodak)とす
ることである。
個々の豊富なAmprCmrコロニーを単離し、対応する相互作用ペプチドおよび環
状ペプチドの配列をDNA配列決定によって決定する。そのコードされるペプチド
および環状ペプチド同族ペアを形成することを確認するために、それぞれのコロ
ニーを上記選択方法に基づく豊富さについて試験し、これにより1回の選択にお
いてAmprCmrコロニーはM1抗FLAG抗体に結合する。
文献:
Baierら,1995,Nature 378,563
Bannertら,1996,Nature 381,30
CardosoおよびSchwarz,J.Appl.Bacteriol.72(1992)289-293
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表1:実験2および3用に構築されたファージミド
表2:実験2の結果(Figure7参照)
表2a:最初のライブラリーに存在するファージミドの組み合わせ(α)
表2b:選択後に存在するファージミドの組み合わせ(β)
表3:実験4の結果(Figure19参照)
表3a:個々のクローンに存在するファージ/プラスミドの同定表3b:個々のクローンの感染性についての試験