【発明の詳細な説明】
骨形成を誘発するための方法
発明の背景
骨の再造形は、組織質量及び骨格構造が維持される動的過程である。その過程
は、骨の吸収と骨の形成との間の均衝であり、そして2種の細胞型がその主要プ
レーヤーである。それらの細胞は、骨芽細胞(osteoblast)及び破骨細胞(oste
oclast)である。骨芽細胞は、新しい骨になるマトリックスを合成し、そして沈
積する。骨芽細胞及び破骨細胞の活性は、多くの因子、すなわち全身性及び局部
性因子、たとえば成長因子により調節される。
局部性因子と全身性因子との間の相互作用は完全には解明されていないが、い
くつかのホルモン、たとえば副甲状腺ホルモン(PTH)、ビタミンD及びカルシ
トニンが骨に見出される局部性因子により介在され得る証拠が存在する。骨にお
いて同定されている成長因子のいくつかは、IFG−I,IGF−II,TGF−β1,TGF
−β2,bFGF,aFGF,PDGF、及び骨形態発生タンパク質の種類を包含する(Baylin
kなど.,J.Bone Mineral Res .8(Supp.2):S565-S572,1993)。
骨の吸収が骨の形成を越える場合、骨の最終的な骨折がもたらされ、そして骨
折の傾向が高められる。低められた骨形成は、年齢及び一定の病理学的状態に関
連している。骨粗鬆症は、多くの年輩の人々、特に閉経後の女性を苦しめる疾病
である。アメリカ合衆国のみにおいては、骨粗鬆症に帰する約1.5百万の骨折が
毎年存在する。患者の生命の本質に対するそれらの骨折の影響は、免疫である。
骨粗鬆症による股関節部骨折に同定される人々のうち、10〜20%が死亡し、そし
て50%がもはや単独では歩行できないであろう(Riggs
など.,Bone 17:505S-511S,1995)。アメリカ合衆国における健康管理システム
に対する関連する費用は、長期管理費用を除いて、毎年50〜100億ドルであると
見積もられる。
骨粗鬆症の防止のための現在利用できる治療は、サケカルシトニン、エストロ
ゲン及び/又はプロゲステロンを用いてのホルモン置換療法(HRT)、並びに少数
のビスホスホネート化合物に制限される。サケカルシトニンについての世界中の
市場は、1年に5億ドルを越える。しかしながら、患者はサケカルシトニンに対
する免疫応答を進行せしめることが知られており、そしてエストロゲン療法は子
宮及びたぶん乳癌の高められた危険性と相互関係している。ビスホスホネートは
、胃腸問題に関連している。従って、骨損失に対するより効果的な処理の必要性
が存続する。
発明の要約
骨形成細胞の拡張のために効果的な多量のobタンパク質に骨髄間葉細胞(marro
w mesenchymal cell)を含む細胞集団を暴露することを含んで成る、前記細胞集
団を刺激するための方法を提供することが、本発明の目的である。1つの態様に
おいては、前記集団は、骨髄間葉細胞について富化される。1つの態様において
は、造血細胞が除去されて来た。もう1つの態様においては、骨形成細胞は主に
骨芽細胞である。1つの態様においては、前記方法は、抗−吸収剤と細胞集団を
組合す段階をさらに含んで成る。もう1つの態様においては、前記方法は、細胞
集団を哺乳類中に注入することをさらに含んで成る。
骨髄間葉細胞を含む細胞集団を、obタンパク質処理された動物から得られる生
物学的流体に暴露することを含んで成る、前記細胞集団を刺激するための方法を
提供することが、本発明のさらなる目的
である。もう1つの態様においては、前記生物学的流体は血清である。もう1つ
の態様においては、前記生物学的流体は、骨形成細胞の拡張のために効果的な分
子を富化するために分別されている。
obタンパク質に暴露された内分泌物又はCNS細胞もしくは組織の増殖によりコ
ンディショニングされた培養培地に、骨髄間葉細胞を含む細胞集団を暴露するこ
とを含んで成る、前記細胞集団を刺激するための方法を提供することが本発明の
さらなる目的である。もう1つの態様においては、前記細胞は、下垂体又は視床
下部細胞である。
骨修復又は骨治癒速度において臨床学的に有意な上昇を付与するために効果的
な多量のobタンパク質を哺乳類に投与することを含んで成る、哺乳類における骨
修復又は治癒を促進するための方法を提供することが本発明のさらなる目的であ
る。
補綴装置又は歯移植物中への骨増殖の臨床学的に有意な上昇を付与するために
効果的な多量のobタンパク質を哺乳類に投与することを含んで成る、哺乳類中に
挿入されている補綴装置又は歯移植物中への骨増殖を刺激するための方法を提供
することが本発明のさらなる目的である。
骨増殖プレート幅の臨床学的に有意な増加を付与するために効果的な多量のob
タンパク質を哺乳類に投与することを含んで成る、哺乳類における骨損失を処理
するための方法を提供することが本発明のさらなる目的である。もう1つの態様
においては、哺乳類は青年期又は前青年期哺乳類である。
前骨折の骨の長さを修復するために効果的な多量のobタンパク質を哺乳類に投
与することを含んで成る、骨増殖プレートの骨折を有する哺乳類において活性骨
増殖を刺激するための方法を提供することが本発明のさらなる目的である。
骨の切除の部位で骨形成を誘発するために効果的な多量のobタンパク質を哺乳
類に投与することを含んで成る、骨の腫瘍学的切除を有する哺乳類における骨形
成を誘発するための方法を提供することが、本発明のさらなる目的である。
本発明の詳細な記載
本発明を詳細に記載する前、本明細書に使用される一定の用語を定義すること
が有用である:
ob /obマウス:ob(obese)遺伝子座での不活性化突然変異についてホモ接合性
である同系マウス。ob/obマウスは過食性及び代謝低下性であり、そして循環飽
満因子の生成の欠損であると思われる。
ob:本明細書において使用される場合、ob又はobとは、核酸を示す。この名称
は、形式“*/*”で使用されるが、しかし単独“*”では使用されない、上記
のゲッ歯類突然変異表現型の名称(すなわち、ob/obマウス)とは異なる。
ob:本明細書において使用される場合、obはタンパク質を示す。obタンパク質
はまた、“レプチン”としても知られている。
幹細胞(stem cell):本明細書において使用される場合、用語“幹細胞”とは
、複数の細胞型に分化する可能性を有し、そして固定された数の有糸分裂に制限
されない多能性細胞を言及する。
前駆体細胞(precurcor cell):本明細書で使用される場合、用語“前駆体細
胞”とは、分化路に付与されるが、しかし一般的には、マーカーを発現せず、又
は成熟し、十分に分化された細胞として機能しない細胞を言及する。
骨形成細胞(osteogenic cell):本明細書で使用される場合、用語“骨形成細
胞”とは、骨芽細胞(osteoblast)又は骨芽前駆体細胞(osteoblast precursor
cell)を包含する。線維芽細胞(fibroblast)又は細網細胞(reticulan cell):本明細書で使用
される場合、この用語は、柔結合組織網の細胞を意味し;そのような細胞は骨髄
及び骨における空間を通して見出される。
脂肪細胞(adirocyte):本明細書で使用される場合、用語“脂肪細胞”とは、
それらの脂質封入体の存在及び特定の遺伝子生成物の発現により区別される細胞
を意味する。
本発明は、obタンパク質が、哺乳類に投与される場合、骨形成細胞又はそれら
の骨形成活性の劇的な上昇を生ぜしめる発見に基づく。
マウス及びヒトobタンパク質をコードする配列は知られている(Friedmanなど.
,WO 96/05309)。そのヒト及びマウスabDNA及びタンパク質配列は、それぞれ配
列番号1,2,3及び4に示されている。当業者は、配列番号1,2,3及び4
に示される配列がヒト及びマウスob遺伝子の単一の対立遺伝子に対応し、そして
対立遺伝子変動の存在が予測されることを理解するであろう。たとえば、ヒト及
びマウスob遺伝子の対立遺伝子変異体は、存在する位置49でGln残基を有さない
。
配列番号1及び3に示されるDNA配列の対立遺伝子変異体によりコードされるo
bタンパク質、たとえばサイレント突然変異を含むそれらのタンパク質及び突然
変異がアミノ酸配列の変化をもたらすそれらのタンパク質は、配列番号2又は4
の対立遺伝子変異体であるobタンパク質のように、本発明の方法の範囲内にある
。本発明は、obタンパク質をコードするDNA分子の使用にも関し、ここで前記DNA
分子は、配列番号1又は3又はそれらの対立遺伝子変異体に対して配列において
、一般的に少なくとも60%、好ましくは少なくとも80%、及び90〜95%又はそれ
以上同一である。
本発明はまた、配列番号2又は4のタンパク質に対して実質的に相同である単
離されたタンパク質及びそれらの種相同体の使用にも関する。“単離された”と
は、たとえば血液及び動物組織は別として、その生来の環境以外の条件下で見出
されるタンパク質を意味する。好ましい形においては、その単離されたタンパク
質は、他のタンパク質、特に動物起源の他のタンパク質を実質的に含まない。高
く精製された形、すなわち95%以上の純度、より好ましくは99%以上の純度でタ
ンパク質を供給することが好ましい。用語“実質的に相同である”とは、配列番
号2又は4、又はそれらの種相同体に示される配列に対して、50%、好ましくは
少なくとも80%の配列同一性を有するタンパク質を示すために本明細書において
使用される。そのようなタンパク質は、より好ましくは、配列番号2又は4、又
はそれらの種相同体に対して少なくとも90%の同一性、及び最とも好ましくは95
%又はそれ以上の同一性を有するであろう。実質的に相同のタンパク質は、1又
は複数のアミノ酸置換、欠失又は付加を有するものとして特徴づけられる。それ
らの変更は好ましくは、マイナーな性質のもの、すなわちタンパク質の折りたた
み又は活性に有意に影響を及ぼさない保存性アミノ酸置換;少々の欠失、典型的
には、1〜約45個のアミノ酸の欠失;及び少々のアミノ−又はカルボキシル−末
端又は内部延長、たとえばアミノ−末端メチオニン残基の延長、約20〜25個まで
の残基の小さなリンカーぺプチドの延長、又は精製を促進する小さな延長、たと
えばポリ−ヒスチジン路、抗原性エピトープ又は結合ドメインの延長のものであ
る。一般的には、Fordなど.,Protein Expression and Purification 2:95-107
,1991(引用により本明細書に組込まれる)を参照のこと。さらに、本発明のob
タンパク質(もしくはそのポリペプチドフラグメント)は、多機能分子を供給す
るために、他の生物活性分子、特に標的
化成分又は抗−吸収剤に連結され得る。そのようなハイブリッドobタンパク質分
子は、化学接合もしくはポリヌクレオチド融合、又はその組合せにより形成され
得、そして前記成分タンパク質又は(ポリ)ぺプチド間にリンカー(たとえば、
ポリペプチドリンカー)をさらに含んで成る。
上記に開示されるobタンパク質の他に、本発明の方法は、それらのタンパク質
のフラグメント、及び前記フラグメントをコードする単離されたポリヌクレオチ
ド分子の使用を包含する。骨形成又は骨原性細胞刺激活性を示す少なくとも10個
のアミノ酸の長さのobタンパク質フラグメント、及びそのようなポリペプチドを
コードする少なくとも30個のヌクレオチドの長さのポリペプチド分子が特に興味
の対象である。このタイプのポリペプチドは、既知の生物学的スクリーニング及
びアッセイ方法により同定され、そして損なわれていないobタンパク質をタンパ
ク質分解消化することにより、又は小さなオーバーラップするポリペプチド又は
ポリヌクレオチドを合成することにより(そして後者を発現する)生成され得る
。次に、得られるポリペプチドフラグメントが、骨形成活性について、又は増強
された骨形成に関連する活性又は効果について試験される。完全な成熟obタンパ
ク質のサイズまでのより大きなポリペプチドもまた、本発明においては有用であ
る。
二次構造体の生成のためのパターン認識(Cohenなど.,Biochem .25:266-75,1
986)及び神経網(Knellerなど.,J .Mol.Biol.214:171-82,1990)ソフトウェア
を用いて、配列番号2に示されるアミノ酸配列の分析及び構造模型形成は、obタ
ンパク質が4本のα−ヘリックス束に折りたたむことを予測した。このヘリック
ス構造の予測は、他のらせんサイトカインとの多整合(mulitiple aliynment)
の生成におけるガイドとして使用された(Buzan,Immunology T oday 11:350-54,1990;Gribskovなど.,PNAS USA 84:4355-58,1987)。その
多整合は、obタンパク質がらせんサイトカイン構造種類に対して類似性を有する
ことを示した。そのらせんサイトカイン構造種類に対するobタンパク質の可能な
関連性のさらなる証拠が、2種の形のob cDNA(位置49での+Gln及び−Gln)によ
り提供された。それらの2つの形は、スプライス受容体配列でのずれにより引き
起こされ得、それはエキソン−イントロン境界の位置を示す(Zhangなど.,Nature 372:425-32,1994)。多整合に関しては、obのエキソン−イントロン境界の位
置は、インタ−ロイキン−3及びGM-CSFにおけるエキソン−イントロン境界と一
致することが決定されており、そしてインタ−ロイキン−2及びインタ−ロイキ
ン−6におけるエキソン−イントロン境界の2つの残基内に存在する。
この予測は、obタンパク質受容体を記載する最近のレポートにより支持される
(OB-R;Tartagliaなど.,Cell 83:1263-71,1995)。OB-Rは、IL-6,G-CSF及びL
IF受容体のgp130ジグナル−トランスダクシション成分に密接に関連する膜−ス
パン受容体である。OB-Rの細胞外ドメインは、クラスIサイトカイン種類に対し
て多くの類似性を示す。
好ましい態様においては、実質的に相同のobタンパク質又はobタンパク質フラ
グメントは、4種のα−らせん束に折りたたむことができ、そして自己アセンブ
ルすることができる。obタンパク質分子の4種のα−らせん束特徴を付与するア
ミノ酸残基は好ましくは、ほとんどの又はまったくのアミノ酸置換、付加又は欠
失を伴わないで維持される。しかしながら、残るアミノ酸残基は、所望する生物
学的機能の保持を伴って、より広範なアミノ酸置換、付加又は欠失に対して耐性
がある。
本明細書において有用なobポリペプチドにおける必須アミノ酸は
、当業界において知られている方法、たとえば特定部位の突然変異誘発又はアラ
ニン−走査突然変異誘発に従って同定され得る(Cunningham and Wells,Science 244,1081-85,1989)。後者の技法においては、単一のアラニン突然変異が分
子におけるあらゆる残基で導入され、そしてその得られる突然変異体分子が、ob
タンパク質ポリペプチド又はフラグメントの活性に対して決定的であるアミノ酸
残基を同定するために、生物学的活性(すなわち、骨芽細胞を活性化する活性又
は骨を形成する活性)について試験される。リガンドー受容体相互作用の部位は
また、核磁気共鳴、クリスタログラフィー又はホトアフィニティ−ラベリングの
ような技法により決定されるように、結晶構造の分析によっても決定され得る。
たとえば、de Vosなど.,Science 255:306-12,1992;Smithなど.,J .Mol.Bio l
.224:899-904,1992;Wlodaverなど.,FEBS Letl. 309:59-64,1992を参照の
こと。
複数のアミノ酸置換が、突然変異誘発及びスクリーニングの既知方法、たとえ
ばReidhaar-Olson and Sauer(Science 241:53-57,1988)又はBowie and Sauer
(Proc .Natl.Acad.Sci.USA 86:2152-56,1989)により開示される方法を用
いて行なわれ、そして試験され得る。手短に言及すれば、それらの著者は、タン
パク質における複数の位置を同時にランダム化し、機能するタンパク質について
選択し、そして次に、個々の位置での許容できる置換のスペクトルを決定するた
めに突然変異誘発されたタンパク質を配列決定するための方法を開示する。それ
らの方法は、注目のタンパク質における個々のアミノ酸残基の重要性の急速な決
定を可能にし、そして未知の構造のタンパク質に適用され得る。
配列番号1に示されるDNA分子が、マウスObese遺伝子(Zhangなど.,Nature 37 2
:425-432,1994)の配列、及びヒト脂肪組織cDNA
ライブラリーからのcDNA(Clontech,Polo Alto,CAから得られた)から企画さ
れたプローブを用いて、ポリメラーゼ鎖反応(PCR;Mallisなど.,アメリカ特許
第4,683,195号;Mallis,アメリカ特許第4,683,202号を参照のこと)によりクロ
ーン化された。この方法によれば、配列番号1に示されるDNA分子が同定された
。
配列番号2に示されるアミノ酸配列の分析は、そのタンパク質が21個のアミノ
酸残基のアミノ末端シグナルペプチドを含むことを示した。従って、成熟タンパ
ク質は、配列番号2のアミノ酸残基22(Val)から開始した。
骨は組織であり、そして従って、異種細胞集団の複合材料を含む。骨に見出さ
れる細胞型のいくつかは、骨芽細胞、破骨細胞、軟骨細胞及び骨細胞を包含する
。他の組織の例は、骨髄、皮膚、骨格及び心筋、膵臓、脳及び肝臓を包含する。
組織は通常、組織特異的細胞型、及び多くの組織に見出される細胞型、たとえば
線維芽細胞の混合物から成る。それは初期前駆体細胞の多くが見出される骨髄内
に存在し、そしてそれらは一般的に、造血幹細胞又は間葉幹細胞(mesenchymal s
tem cell)のいづれかとして記載される。ヒト造血幹細胞は、CD34+として同定さ
れ、そして骨髄性細胞(例えば、赤血球細胞、巨核球、マクロファージ、及び好
中球)又はリンパ球細胞(T細胞又はB細胞)のいづれかになるよう分化する。
本明細書において特に興味あるものは、間葉系(mesenchymal lineage)の細胞で
あり、そして骨芽細胞、軟骨細胞、脂肪細胞、線維芽細胞及び網状細胞のための
幹細胞及び前駆体細胞を包含する(Owenなど.,Ciba Fdn .Symp.136:42-46,198
8)。間葉幹細胞のためのマーカーは十分には同定されておらず(Owenなど.,J .of Cell Sci
.87:731-738,1987)、その結果、同定は通常、前駆体及び成熟細胞
段階で行なわれる。本明細書において定義される場合、間葉細胞は造血細胞
とは組織学的に異なる。間質細胞は一般的に、インビトロ培養される場合、付着
する骨髄細胞の副集団として見なされ、そして間葉系細胞に含まれる。
分化は、細胞の成熟の過程である。それは、進行性で且つ動的な過程であり、
多能幹細胞から開始し、そして細胞系路下にさらに進行しない最終的に分化され
た細胞により終結する。細胞の機能、表現型及び増殖特徴は、細胞の分化程度に
より影響される。幹細胞又は前駆体細胞が分化の過程を開始する場合、それらは
一般的に、選択された組織及び/又は器官に移動し、ここでそれらはさらなる分
化を受けるように見える。
典型的には、細胞の分化された状態は、特定細胞型に対して特異的である一組
の分化マーカーを用いて同定され得る。分化マーカーは、細胞系生長の種々の段
階で過渡的に示される。多能幹細胞(pluripotent rtem cells)は、系統への連
命付け(commitment)を伴わないで再生することができ、そして細胞系統への連
命付けが行なわれる場合に失なわれる一組の分化マーカーを発現することができ
る。前駆体細胞は、細胞が成熟の方の細胞系統路下に進行するにつれて発現され
続けることができるか、又は続けることができない一組の分化マーカーを発現す
る。成熟細胞により独占的に発現される分化マーカーは通常、機能的性質、たと
えば細胞生成物、細胞生成物を生成する酵素、及び受容体に関連している。成熟
破骨細胞は、酒石酸塩耐性酸ホスファターゼ(TRAP)及びカルシトニン受容体か
ら成る群から選択される一組の分化マーカーを発現する(Sudaなど.,Endocrine R ev. 13:66-80,1992)。破骨細胞の同定は主に表現型的であり、そしてアルカリ
ホスファターゼの発現(Manducaなど.,J .Bone Min.Res.8:281,1993);タイ
プIコラーゲン合成(Kuriharaなど.,Endocrinol.118(3):940-947,1986);オ
ステオカル
シンの生成(Rodanなど.,Crit .Rev.Eucar.Gene Expr.1:85-98,1991);及
び副甲状腺ホルモンに対する応答性(Aubinなど.,J .Cell Bio1.92:452-461,1
982)を包含する。
特定細胞型に対する他の分化マーカーは次のものを包含する:心筋細胞に関し
ては、心臓ミオシンアイソザイム発現、クレアチンキナーゼアイソザイム発現の
心臓特異的パターン(Yaffeなど.,Develop .Biol.15:33-50,1967及びRichler
など.,Develop .Biol.23:1-22,1970)、及びインシュリン及びインシュリン様
生長因子受容体I(Wollebenなど.,Am .J.Physiol.252:E673-E678,1987);骨
格筋細胞に関しては、ミオシンアイソザイム発現、及びクレアチンキナーゼアイ
ソザイム発現の筋肉特異的パターン(I及びII)(Yaffeなど.,Develop .Biol.1 1
:300-317,1965;Yaffeなど.,Develop .Biol.5:33-50,1967;Richlerなど
.,DeveloP .Biol. 23:1-22,1970);軟骨細胞に関しては、アグレカン(aggrec
an)(Doegeなど.,J .Biol.Chem.266:894-902,1991)及びコラーゲンタイプII
B(Sandellなど.,J .Cell Biol.114:1307-1319,1991);巨核細胞に関しては
、mpl受容体(Souyriなど.,Cell63:1137-1147,1990)及びアセチルコリン(Ravid
など.,J .Cell.Biol. 123:1545-1553,1993);膵臓b−細胞に関しては、イン
シュリン(Powersなど.,Diabetes 39:406-414,1990);膵臓a−細胞に関して
は、グルカゴン及びグルカゴン様ポリペプチド(Lacyなど.,Diabetes 16:35,1
967;Gotohなど.,Transplantation 40:437-438,1985:Hamaguchiなど.,Diabe tes 40:842-849,1991);膵臓d−細胞に関しては、ソマトスタチン(Wiliiams
など.,Somatostatin and Pancreatic Polypeptide in International Textbook of Diabetes Mellitus
,Albert;など.,eds.,1992);脂肪細胞に関しては、pob2
4、脂肪タンパク質リパーゼ、AP2,PPARr(Butt
erwith,Pharmac .Ther. 61:399-411,1994)、トリグリセリド及びぺリリピン(
perilipin)(Greenbergなど.,J .Biol.Chem.266(17):11341-11346,1991;Gre
enbergなど.,Proc .Natl.Acad.Sci.90(24):12035-12039,1993);マクロフ
ァージ及び破骨細胞前駆体を包含する単球系の細胞に関しては、Ly-6C及びMac-1
(McCormackなど.,J .Immunol.151:6389-6398,1993;Gordonなど.,Current Up in in Immunol
.4(25):25-32,1992)及び非特異的エステラーゼ(NSE;Yamなど.
,Amer .J.Clin.Path.55:283,1971);及び肝細胞に関しては、アルブミン、
肝臓特異的グルコキナーゼ、肝臓特異的ピルビン酸塩キナーゼ、及びグリコーゲ
ンシンターゼの肝臓アイソザイム(Millerなど.,J .Biol.Chem.261:785-790,
1986;Magnuson,Diabetes 39:523-527,1990)。
子孫細胞(progemitor cells)又は前駆体細胞は分化するよう刺激され、それ
により、分化された細胞を供給する。分化は、分化されていない幹細胞又は前駆
体細胞を、周囲細胞により(パラクリン調節)、その細胞自体により(オートク
ライン調節)又は遠方のホルモン−分泌細胞により(エンドクリン調節)、供給
される因子に暴露することによって誘発される。さらに、一定の因子が外因的に
付加され得、そして細胞の分化を剌激するであろう。たとえば、破骨細胞は、ビ
タミンD及びデキサメタゾンへの暴露により分化を刺激される。破骨細胞は、レ
チン酸、TGF-b又は骨形態発生タンパク質(BMP)への暴露により分化を誘発される
。
本発明は、obタンパク質が骨形成細胞を活性化された骨芽細胞になるよう誘導
する能力を有する刺激物であることを開示する。obタンパク質は、食欲(Friedma
nなど.,WO 96/05309)及び受胎能(Chehabなど.,Nature Genetics 12:318-320
,1995)の調節物としてこれまで意味して来たが、しかし骨−刺激因子であるこ
とはこれま
で知られていなかった。obタンパク質のための受容体は、脳、腎臓及び肺に見出
されることが報告されているが、しかし骨には見出されていなかった(Tartagia
など.,Cell 83:1263-1271,1995)。
ob/obマウスがレプチンにより処理される場合、種々の効果が、間葉系統の細
胞(たとえば、幹細胞、間質細胞、破骨細胞前駆体細胞及び成熟破骨細胞)にお
いて観察される。間葉系細胞の増殖及び/又は分化の刺激は、標準的アッセイに
より決定される場合、多数の成熟骨芽細胞をもたらす。典型的には、間葉系統の
細胞を含む試験サンプルが、obタンパク質の存在下で及びobタンパク質の不在下
で(対照サンプル)インキュベートされる。次に、試験サンプルが、眼での試験
及び/又は染色により細胞増殖及び分化について評価される。そのような試験サ
ンプルはインビトロ培養された細胞であり得、又はインビボモデルシステムから
得られる。さらに、obタンパク質への暴露は、その得られる成熟骨芽細胞のサイ
ズを高めることができる。他方では、obタンパク質は、タンパク質の〔3H〕チ
ミジン組込み又は〔35S〕ラベリングにより決定されるように、単離された骨芽
細胞の増殖を刺激することができる。さらに、間葉系細胞のobタンパク質への暴
露は、骨形成(すなわち、インビボ)又は骨形成分子(すなわち、インビトロ)
が誘発されるように、細胞の生物学的活性(たとえば、骨刺激分子のアップ−レ
ギュレーション又は活性化)を調節することができる。特に、インビボ環境にお
いては、obタンパク質は、適切な骨形成組織及び組織部位への骨形成細胞の補充
又は移動を増強することができる。
骨形成又は骨芽細胞の活性化に対するobタンパク質の効果は、直接的又は間接
的のいづれかであり得る。脂肪細胞と骨形成細胞とのインビトロ分化間に逆関係
が存在し(Berestordなど.,J .Cell.Sci.102:341-351,1992)、そして骨髄脂
肪組織の高められた容積と
骨粗鬆症との間の相互関係が確立された(Meunierなど.,Clin .Orthop.Rel.Res
.80:147-154,1971:Barkhardtなど.,Bone 8:157-164,1987及びMinaireな
ど.,Calcif .Tiss.Int.36:338-340,1984)。それらの観察は、本発明と組合
せて、obタンパク質が通常の脂肪細胞−骨芽細胞前駆体を骨形成表現型に誘導す
る間葉細胞分化路において役割を演じる可能性を示唆する。
骨髄脂肪細胞は、骨髄に見出される他の細胞型の成熟のために必要とされる因
子を分泌することが知られている(Gimble,The New Biologist 2:304-312,1
990)。従って、骨髄微小環境における細胞集団内の移動による生長及び分化因子
のレベルの変化は、骨芽細胞成熟過程を変更することが予測される。
obタンパク質の効果は、中枢性及び末梢性の両者であると思われる(Yuなど.,Proc .Natl.Acad.Sci.USA 94:1023-1028,1997)。従って、obタンパク質
に暴露され、そして次に、培養されている、エンドクリン、又はCNS組織もしく
は細胞型は、骨形成効果に寄与する追加の因子を含むことができる。特に、obタ
ンパク質への暴露の後、CNS細胞、たとえば下垂体又は視床下部細胞の培養は、
骨形成効果を増強するであろう。
PTHは、骨形成剤のためのパラダイムを提供する。卵巣解剖されたマウスにお
ける特定用量レベルで、PTHは骨芽細胞数及びサイズを高める(Luiなど.,J .Bone Mineral Res
.5:973-981,1990)。骨芽細胞サイズ及び数のこの上昇は、癌性
骨形成の上昇と対応する。
エストロゲンは抗−吸収剤であり、そして骨粗鬆症の治療のために使用され得
る。脂肪細胞は、エストロゲンを生成することが示されており(Heissなど.,J .C lin.Endocrinol.Metabolism 80:1591-1596,1995)、そして閉経後の女性に
おけるエストロゲンの主要
源であり得る。低い体脂肪レベルは、骨粗鬆症のための危険因子と思われる。し
かしながら、骨髄脂肪は、種々の骨粗鬆症患者において高められることが示され
た。骨損失が停止する場合、骨髄脂肪レベルは低下した(Martinなど.,Bone 12
:123-131,1991)。従って、末梢脂肪細胞、骨髄脂肪細胞、及び骨形成及び損失
の間の関係は、複雑であり、そしてさらなる解明を必要とする。
本発明の1つの態様においては、obタンパク質を含んで成る組成物が、骨芽細
胞−介在の骨形成を増強するための治療剤として使用される。本発明の方法は、
骨欠損及び欠如、たとえば閉鎖、開放及び非結合骨折において生じるそれらの修
復を促進するために;形成外科における骨治癒を促進するために;セメント結合
されていない補綴間節及び歯移植物中への骨の増殖を刺激するために:歯周病及
び欠損の処理に;伸延骨形成の間、骨形成を高めるために;及び骨芽細胞活性の
刺激により処理され得る他の骨格疾患、たとえば骨粗鬆症及び関節炎の治療に適
用され得る。本発明の方法により提供される新たな骨形成は、骨の先天的な、外
傷誘発された、腫瘍学的切除の修復、又は放射性誘発された骨壊死に続いての骨
の治癒に使用される(Hartなど.,Cancer 37:2580-2585,1976)。本発明の方法
はまた、形成外科にも使用され得る。
成長ホルモンは、過剰の糖質コルチコイドの存在下での骨の成長に見られるい
くつかの病理学的表現型を低める(そしてたぶん、排除する)ことが示されてい
る(Altmanなど.,Calcif .Tissue Int.51:298-304,1992)。obポリペプチドは
、培養された下垂体細胞からの成長ホルモンの成長ホルモン放出ホルモン(GHRH
)刺激を増大することが示されている。新たな骨形成を包含する、成長ホルモン
の多くの末梢作用は、IGF−Iにより介在される。本発明の方法は、obタンパク
質が骨に対する効果を発揮する推定上の経路と矛盾しな
い、IGF-Iの高められたレベルをもたらす。
本発明の組成物は、全身的に又は局部的に投与され得る。全身性使用のために
は、obタンパク質は、従来の方法に従って、非経口投与(たとえば静脈内、皮下
、筋肉内、腹腔内、鼻腔内又は経皮)又は腸内投与(たとえば経口又は直腸)の
ために配合される。静脈内投与は、一連の注射又は長時間にわたっての連続的な
注入により行なわれるであろう。注射、又は別々に間隔を開けられた投与の他の
経路による投与が一般的に、週1回から毎日1〜3回の範囲の間隔で行なわれる
であろう。処理は、所望する結果が達成されるまで続くであろう。一般的に、医
薬製剤は、医薬的に許容できるビークル、たとえば塩溶液、緩衝溶液、水中、5
%デキストロース、微量の金属を含む硼酸塩緩衝溶液、又は同様のものと組合し
てobタンパク質を含むであろう。製剤はさらに、1又は複数の賦形剤、保存剤、
溶解剤、緩衝剤、バイアル表面上でのタンパク質の損失を防ぐためのアルブミン
、滑剤、充填剤、安定剤(たとえば、可溶性受容体)、等を含むことができる。
配合方法は、当業界において良く知られており、そしてたとえば、Reminaton's Pharmaceutical Sciences
,Gennaro,ed.,Mack Publishing Co.,Easton PA,1
990(引用により本明細書に組込まれる)に開示されている。本発明内で使用す
るための医薬組成物は、無菌の、非発熱性液体溶液、又は懸濁液、被覆されたカ
プセル、坐剤、凍結乾燥された粉末、経皮用パッチの形、又は当業界において知
られている他の形で存在することができる。局部投与は、損傷又は欠損の部位で
の注射により、又は前記部位での固体キャリヤーの挿入又は結合により、又は粘
性液体の直接的な局部適用により行なわれ得る。
創傷部位へのobタンパク質の供給は、調節された開放性の組成物、たとえば係
属中のアメリカ特許出願第07/871,246号(その全体
を引用により明細書中に組込むWIPO公開WO93/20859に対応する)に記載される組
成物の使用により増強され得る。このタイプのフィルムは、補綴装置及び手術用
移植物の被膜として特に有用である。このフィルムは手術用ネジ、棒、ピン、プ
レート及び同様のものの外表面のまわりを包むことができる。このタイプの移植
可能装置は、矯正手術において通常使用される。フィルムはまた、骨充填材料、
たとえばヒドロキシアパタイトブロック、鉱物質除去された骨マトリックスプラ
グ、コラーゲンマトリックス及び同様のものを被覆するためにも使用され得る。
一般的に、本明細書に記載されるフィルム又は装置は、骨折部位での骨に適用さ
れる。適用は、一般的に、標準の手術方法を用いての骨中への移植又はその表面
への結合により行なわれる。
上記コポリマー及びキャリヤーの他に、生物分解性フィルム及びマトリックス
は、他の活性又は不活性成分を含むことができる。組織増殖又は浸潤を促進する
それらの剤が特に興味の対象である。骨増殖を促進するか又は骨吸収を阻害する
剤、たとえば骨形態発生タンパク質(アメリカ特許第4,761,471号;PCT公開WO 9
0/11366)、オステオゲニン(osteogenin)(Sampathなど.,Proc .Natl.Acad. Sci.USA 84:7109-7113,1987)、及びNaF(Tencerなど.,J .Biomed.Mat.Res
.23:571-589,1989)が好ましい。
obタンパク質を供給するための他の方法は、ALZET浸透ミニポンプ(Alza Corp
.Palo Alto,CA);持効性マトリックス材料、たとえばWangなど.(WO 90/113
66)に開示されるもの;Baoなど.(WO 92/03125)に開示されるような電気的に荷
電されたデキストランビーズ;たとえばKsanderなど.(Ann .Surg.211(3):288-
294,1990)に開示されるようなコラーゲン基材の供給システム;Beckなど.(J .B one Min.Res
.6(11):1257-1265,1991)に開示されるような
メチルセルロースゲルシステム;及びEdelmanなど.(Biomaterials,12:619-626
,1991)に開示されるようなアルギネート基材のシステムの使用を包含する。骨
における持効性局部供給のために当業界において良く知られている他の方法は、
含浸され得る多孔性被覆された金属補綴、その内部に組込まれる治療組成物を有
する固体プラスチック棒、及び成長因子のキャリヤーとしての多孔性ヒドロキシ
アパタイト/リン酸三カルシウムセラミックを包含する(Toriumiなど.,Laryngos cope 101:395-404,1991)。
本発明の全身的に投与される組成物の供給は、標的分子にobタンパク質を接合
することによって増強され得る。“標的分子”とは、注目の組織に結合する分子
を意味する。たとえば、骨標的化分子は、テトラサイクリン;カルセイン;ビス
ホスホネート;ポリアスパラギン酸;ポリグルタミン酸;アミノリン糖酸;骨の
鉱物相、たとえばオステオネクチン、骨シアロタンパク質及びオステオポンチン
と関係することが知られているペプチド;骨特異的抗体;骨鉱物結合ドメインを
有するタンパク質、及び同様のものを包含する。たとえば、Bentzなど.(EP05128
44)及びMurakamiなど.(EP0341961)の開示を参照のこと。
本発明の方法は、HRT及び他の抗吸収剤、たとえばビスホスホネート及びカル
シトニンと共に、骨損失を治療するためへのobタンパク質の使用を提供する。
本発明において、組成物の“有効量”は、統計学的に有意な効果を生成する量
である。obタンパク質が骨芽細胞の増殖をインビトロで刺激するために使用され
る場合、obタンパク質の不在下で増殖される細胞に比較して、3H−チミジンの
組込みにより測定される場合、少なくとも50%の増殖の上昇を生成することが一
般的に所望される。治療用途のためには、“有効量”とは、骨折修復における治
癒速度の臨床学的に有意な上昇、骨粗鬆症における骨損失の逆転、非癒合性骨折
及び伸延性骨形成における骨形成の刺激及び/又は増強、補綴装置中への骨成長
の強化及び/又は促進、及び歯欠損の修復を提供するために必要とされるobタン
パク質を含んで成る組成物の量である。そのような有効量は、処理されるべき特
定の条件、及び当業者に明らかである他の要因に一部、依存するであろう。たと
えば、骨粗鬆症においては、骨形成の上昇が、治療と対照グループとの間の骨質
量の統計学的に有意な差異として明白である。骨質量におけるこの差異は、たと
えば治療グループにおける骨質量の5〜20%又はそれ以上の上昇として見られ得
る。治癒における臨床学的に有意な上昇の他の測定は、たとえば、強度及び張力
の破壊、強度及び捩りの破壊、4点曲げ、骨生検における高められた結合性、及
び当業者に良く知られている他の生物機構試験についての試験を包含することが
できる。処理法のための一般的なガイドが、興味ある疾病の動物モデルにおいて
実施される実験から得られる。
インビトロでのobタンパク質濃度についての好ましい範囲は、約1pg/ml〜100
ng/ml、好ましくは50pg/ml〜5ng/mlである。
治療用量は、一般的に、10μg/kg〜100mg/kg患者の体重/日、好ましくは0
.1〜10mg/kg/日の範囲で存在し、そして正確な用量は、処理されるべき条件の
性質及び厳密性、患者の体質、等を考慮して、許容された標準に従って臨床医に
より決定される6用量の決定は、当業者のレベルの範囲内である。一般的に、持
効性組成物は、言及された範囲の上限での用量を供給するために配合されるであ
ろう。用量は、開放速度に調節されるであろう。初期用量の決定は、投与の経路
、及び薬物動力学的因子、たとえば吸収、分布、生物変換の速度、生物利用性及
び排泄の速度を考慮して、標準の原理に従って、動物モデルからの推定により行
なわれ得る。たとえば、
Goodman and Gilman,eds.,The Pharmacological Basis of Therapeutics,fif
th Edition,MacMillan Publishing Co.,Inc.,New York,1975を参照のこと。
上記組成物は、治療されるべき条件に依存して、1日〜6ヵ月又はそれ以上の
範囲の期間にわたって投与される。一般的に、用量は1日5度〜1日1度、及び
好ましくは1日1度〜1ヵ月1度、治癒が実質的に完全であり、又は骨質量の上
昇が達成されるまで、投与されるであろう。実際の治療法は、患者の年齢及び一
般的状態、処理されるべき状態、及び供給の路のような要因に依存するであろう
。治療法の決定は、当業者のレベル内である。
例例1.マウス脛骨の分析 A.雌マウス
生後10週目のC57BL/6J ob/ob雌マウス(Jackson Labs,Bar Harbor,ME)
を、ビークル又はobタンパク質(1日当たり2度での50μgi.p.,合計100μg
/日/動物)により14日間、処理した。すべての動物は、実験を通してペアー供
給された。ob−処理された動物とビークル処理された動物との間の調和された食
物摂取を達成するためには、ペアーをまず、年齢及び体重について合した。ob処
理のためのペアーメイトに食物を注入し、そして24時間後、ビークル処理された
動物に食物を注入し、そして食物摂取をob−処理されたペアーメイトにより消費
される量に制限した。14日後、動物を殺し、そして脛骨を摘出した。脛骨サンプ
ルを、10%中性の緩衝化されたホルマリンに固定し、10%クエン酸ナトリウムを
含む5%蟻酸において脱灰し、水道水により洗浄し、一連の70%〜100%のエタ
ノールにおいて脱水し、そしてグリコールメタクリレートに固定し
た。脛骨の近位端(約5mmの長さ)を5μmで正面から切除し、酒石酸塩−耐性
酸ホスファターゼ(TRAP)活性のために染色し、そして骨細胞の同定のためにメ
チルグリーン及びチオニンにより対比染色した。
骨芽細胞を、中央の陰性(透明)ゴルジ領域、偏奇性核、及びメチルグリーン
及びチオニンの強い好塩基性対比染色により同定し、そして破骨細胞をTRAP染色
、多核性化、及び非均等形状により同定した。次の骨パラメーターを、組織体型
測定変化について評価した;
1)成長プレート活性:成長プレート活性を決定するために、42倍の倍率で50
〜100μmごとに測定された幅。
2)皮質内骨芽細胞の数:212倍の倍率で皮質内表面の片側にそって測定され
る。
3)皮質内破骨細胞サイズ:ビークル−処理されたマウスにおいて計数された
すべての骨芽細胞、又はob−処理されたマウスにおいてランダムに選択された50
の骨芽細胞を用いて424倍の倍率で測定される。
4)骨内膜骨芽細胞の数:成長プレートに対して0.62〜3.10mm遠位の領域にお
いて212倍の倍率で骨幹端における網状骨の骨内膜表面にそって測定される。
5)骨内膜破骨細胞の数:骨内膜骨芽細胞の計数が取られる場合に同時に測定
される。
6)網状骨の%(骨体積/組織体積、BV/TV):対照の組織領域当たりの網状
骨領域から計算され、そして骨内膜骨芽細胞及び破骨細胞計数が取られる同じ対
照領域において測定される。
7)骨端骨芽細胞の数:骨芽細胞がまた、この代謝的に不活性な骨部位におい
て活性化されるかどうかを決定するために、骨端にお
ける網状骨の骨内膜表面から測定される。
データの分析(平均±SEM、n=5/グループ)は、次のことを示した:
1.obタンパク質処理は、高められた成長プレート幅により測定されるように
成長プレート活性を有意に高めた。
2.obタンパク質処理は、対照グループにおけるレベルよりも約32倍、大きい
、皮質内表面で生じる最とも劇的な変化を伴って、骨幹端及び骨端における皮質
内表面及び骨内膜表面を包含する、試験されるすべての骨部位での骨芽細胞の数
を有意に高めた。それらの結果は、obタンパク質が骨芽細胞活性を刺激したこと
を示唆する。
3.obタンパク質処理は、骨内膜破骨細胞の数を有意に変更せず、これは骨吸
収レベルが変更されなかったことを示唆する。
4.網状骨体積の百分率はobタンパク質により有意に変更されず、これはobタ
ンパク質の骨形成効果が連続的であり、そしてPTHを用いての類似する実験が示
したように、硬化された骨を見出すために長時間を必要とすることを示唆する。B.雄マウス
C57BL/6J ob/ob雄マウスを用いて実施される同一の実験は、類似する結
果を提供し、これは観察される骨芽細胞活性化及び骨形態下にある機構がエスト
ロゲン介在されないことを示唆する。例2.石灰化
obタンパク質への骨芽細胞の暴露に続く骨芽介在の骨石灰化が、次のインビト
ロアッセイを用いて分析された:
24−ウェルプレート(American Scientific Products,Chicago,IL)を、ラッ
トの尾コラーゲンタイプ1(Collaborative Research,Inc.,Bedford,MA)によ
り、300μlの1mg/mlラット尾コラーゲンと14.7mlの0.02N酢酸とを混合する
ことによって被覆した。前
記混合物をウェル当たり2mlで添加し、そして室温で1時間インキュベートした
。
インキュベーションの後、ウェルを2.5mlのPBSにより2度すすぎ、そして乾燥
のためにフードに1時間、保持した。乾燥の後すぐに、プレートを4℃で貯蔵し
た。
骨芽細胞を、次の日までに90〜100%の集密性になるようにプレート化した。
使用される細胞は、P53ノックアウトマウス(WO 96/07733を参照のこと)に由来
し、そして細胞系2−45及びCCC-4のためには約5×104個の細胞/ウェルで、及
び細胞系2−29のためには1×104個の細胞/ウェルで、1〜2ml/ウェルでの
成長培地、及びビークル、又は50ng/ml〜5pg/mlの範囲のobタンパク質の一連
の希釈溶液を用いてプレートした。
表1 成長培地
α−MEM(JRH Biosciences,Lenexa,KS)、
15%ウシ胎児血清(Hyclone,Logan,UT)、
(1mM)ピルビン酸ナトリウム(Irvine,Santa Ana,CA)、
(0.29mg/ml)L−グルタミン(Hazelton,Lenexa,KS)、
1×PSN(5mg/mlのペニシリン、5mg/mlのストレプトマイシン、
10mg/mlのネオマイシン)(Gibco BRL,Gaithersburg,MD)。
β−グリセロホスフェート(Sigma,St.Louis,MO)を添加し、2〜l0mMの最
終濃度にした。L−アスコルビン酸ホスフェートマグネシウム塩n−水和物(Wak
o Pure Chemical Industries,Ltd.,Osaka,Japan)を添加し、50μg/mlの最
終濃度にした。
細胞を、β−グリセロホスフェート、L−アスコルビン酸及びobタンパク質又
はビークルを含む培地と共に2〜4日ごとに供給した。
石灰化の測定の前、ウェルをPBSによりすすぎ、そして石灰化された層を、0.5
NのHCIを300μl/ウェルで添加し、そして室温で一晩インキュベートすること
によって溶解した。
インキュベーションの後、その溶液を、0.5NのHCI溶解された石灰化層250μ
lを混合し、そして2Mのトリス(pH7.4)600μl、600μlのNova7/9/10
尿素希釈溶液(Nova Biomedical,Waltham,MA)及び2NのNaOH 50μlを添加
することによって緩衝化した。合計カルシウムを、Nova7/7+7Electorolyte
分析機(Nova Biomedical)を用いて測定した。
結果は、1〜6日間、石灰化がビークル処理された細胞よりも500pg/mlのob
タンパク質により処理された細胞において高められたことを示した。例3.頭蓋冠アッセイ
骨成長に対するobタンパク質の効果を、マウスの頭蓋冠上の皮下組織中にobタ
ンパク質を注射することによって、生後10週目のCD-1雄マウス(Jackson Labs)
において試験した。用量は0.001〜5.0mg/マウスの範囲であり、5日間、1日3
度与えられた。
14日後、マウスを殺害し、そして頭蓋冠骨の成長を組織形態計測により測定し
た。測定されるパラメーターは、例1に記載される通りである。結果は陰性であ
り、有意な石灰化は頭蓋冠には見られなかった。例4.卵巣摘出されたラットのアッセイ
卵巣摘出されたラットを、ヒト閉経後骨粗鬆症の動物モデルとして許容した。
閉経後の女性に見られるエストロゲン欠損に類似するエストロゲン欠損に関連す
る急性骨損失の動物モデルにおける骨格組織に対するobタンパク質の全身性投与
の効果を評価するために、雌の正常なラットを擬似手術するか又は手術的に卵巣
摘出する。手
術の7日後、処理を開始し、ビークル、obタンパク質又はエストロゲン(160μ
g/kg、皮下)のいづれかを投与する。動物を殺害する前、テトラサイクリン又
はデメクロサイクリンの1回の用量を投与し、骨形成及び石灰化を評価する。脛
骨及び腰部椎骨を、例1に記載のようにして除去し、固定し、処理し、そして分
析する。例5.レプチン処理されたob/obマウスの組織形態計測試験
生後13週目の遺伝的に肥満のマウス(ob/ob、C57BL/6J)を体重別に5つの
グループに分け、そして次の通りに処理した:
PBS 28日(n=4)
ビークル14日(14日のオン及び14日のオフ)(n=6)
レプチン14日(14日のオン及び14日のオフ)(n=7)
ビークル28日(n=6)
レプチン28日(n=6)
両ビークル(PBS中、0.007mMの硼酸塩)及びレプチンを、1日当たり2度、i.p.
注射した(レプチン50μg 2×/日、合計100μg)。マウスは食物及び水を
自由に与えられた。カルセイン注射(15mg/kg体重)を、力学的な骨の変更の評
価のために新しく形成された骨をラベルするために、殺害の9及び2日前に与え
た。すべての動物を28日目の最後で殺害した。脛骨サンプルを70%エタノールに
固定し、そして脱灰を伴わないでメチルメタクリレートに固定した。脛骨(約5
mmの長さ)の近位端を、5及び10μmで横側に矢状方向に切断した。10μmの断
片をカルセインラベルの評価のために染色しないで固定し、そして5μmの断片
を酒石酸塩耐性酸性ホスファターゼ(TRAP)活性のために染色し、そして骨細胞
の同定のためにメチルグリーン及びチオニンにより対比染色した。骨芽細胞を、
中央の陰性(透明な)ゴルジ領域、偏奇性核及び強い好塩基性染色により同定し
、そして破骨細胞をTRAP染色、多核化及び非均等形
状により同定した。
次の骨の部位を、組織形態計測変化について評価した:
A.皮質内骨
皮質内骨を、90倍の倍率で、成長プレート下3.7mm以内の前方及び後方領域で
評価した。一般的に、骨形成活性は、骨内の種々の部位で有意に異なっており、
そして評価された骨部位の前方領域よりも後方領域で活性が高かった。
評価は次の通りであった:
1)%単一ラベルされた表面(sLS):単一のカルセインラベルを有する骨表面
の百分率。
2)%二重ラベルされた表面(dLS):二重カルセインラベルを有する骨表面の
百分率。
3)鉱物付着速度(MAR、μm/d):皮質内骨表面上に1日当たりに付着さ
れる硬化された骨の幅。
4)骨形成速度(BFR/BS、μm3/μm2/日):形成される新しい骨の量/
単位骨表面/日(骨表面に関する)。
B.骨幹端
レプチン処理に続く骨細胞活性の変化は直下の網状骨(一次海綿体)において
、及び成長プレート(二次海綿体)とはさらに、異なるので、組織形態計測骨変
化は、両部位で評価された。
次の力学的骨変化を、180倍の倍率及び成長プレートに対して0.62mm遠位で前
記二次海綿体において評価した:
1)%単一ラベルされた表面
2)%二重ラベルされた表面
3)鉱物付着速度
4)骨形成速度(BFR/BS)
5)骨内膜骨芽細胞の数(#骨芽細胞/mm網状骨周囲)
6)骨内膜破骨細胞の数(#破骨細胞/mm網状骨周囲)
7)%網状骨体積(骨の体重/組織の体積、BV/TV)
一次海綿体においては、最後の3種の骨パラメーターのみが、360倍の倍率で
及び成長プレートから0.3mm以内で評価された。
C.骨端
この骨部位で、骨細胞は、他の2種の骨部位と比較して、通常ほとんど応答し
ない(たとえば、短期エストロゲン欠損又は処理に応答しない)。しかしながら
、骨芽細胞は、前で示されたように、ob/obマウスにおいて次のレプチン処理に
対して活性的であった。このまれな発見を確かめるために、力学的骨変化をさら
に評価した。次の骨パラメーターを、180倍の倍率で網状骨の全骨内膜表面から
評価した:
1)%単一ラベルされた表面
2)%二重ラベルされた表面
3)鉱物付着速度(MAR、μm/日)
4)骨形成速度(BFR/BS、μm3/μm2/日)
この研究から得られたデータ(平均±SD)を、次の通りに要約する:
1.ob/obマウスのレプチン処理は、高められた%単一及び/又は二重−ラベ
ルされた表面、鉱物付着速度、及び骨形成速度により示されるように、前方及び
後方部位の両者で脛骨皮質内骨形成を有意に高め、これはレプチン処理による高
められた骨芽細胞活性の初期発見を確かにした。
2.14日のレプチン処理は、この高められた皮質内骨形成活性を単に部分的に
保持した。
3.レプチンによる骨形成の類似する刺激が、骨形成の力学的表示(二次海綿
体)により示されるように脛骨性骨幹端に見出される
が、しかしそれはほとんど劇的ではなかった(たとえば、骨内膜骨芽細胞の数は
レプチン処理の28日後、高められたが、しかしその上昇は、一次海綿体において
評価される場合にそれは有意であるが、統計学的に有意ではなかった)。
4.初期のレプチン実験に比較して、二次海綿体における骨内膜破骨細胞の数
は、レプチンにより有意に高められた。しかしながら、この上昇は、一次海綿体
においては有意ではなかった。
5.前に観察されたように、%網状骨体積は、レプチン処理により有意に変更
されなかった。
6.骨端においては、レプチン処理は、%単一ラベルされた表面、%二重ラベ
ルされた表面及び骨形成速度における有意な上昇をもたらした。
7.レプチンによる骨形成の刺激は、レプチン処理に続いての高められた血清
IGF-Iレベルに近似し、そしてob/obマウスにおける骨芽細胞に対するレプチン
効果の介在にその可能性ある役割を示すことができる。
8.それらの結果は、糖コルチコイド過剰に関連する骨欠損(Dubucなど.,Horm .Metab.Res
.7:102,1975及びBrayなど.,Physiological Rev. 59:719-809
,1979)及び/又は糖尿病がレプチン処理により正常化され又は改善され得るこ
とを示唆する。
9.抗吸収剤との組合された処理は、骨に対するレプチンの同化効果を潜在的
に増強することができた。
前述から、本発明の特定の態様が例示目的のために本明細書において記載され
て来たが、種々の修飾が本発明の範囲内で行なわれ得ることが認識されるであろ
う。従って、本発明は、添付される請求の範囲を除いて、制限されない。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L
U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF
,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,
SN,TD,TG),AP(GH,KE,LS,MW,S
D,SZ,UG),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ
,MD,RU,TJ,TM),AL,AM,AT,AU
,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,
CN,CU,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,G
B,GE,HU,IL,IS,JP,KE,KG,KP
,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,
LV,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,N
Z,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI
,SK,TJ,TM,TR,TT,UA,UG,UZ,
VN
(72)発明者 クイパー,ヨセフ エル.
アメリカ合衆国,ワシントン 98011,ボ
セル,ノースイースト ワンハンドレッド
フィフティーフォース ストリート 6640
(72)発明者 ウェイグル,デビッド エス.
アメリカ合衆国,ワシントン 98110,バ
インブリッジ アイランド,ノースイース
ト ベイカーヒル ロード 6551
(72)発明者 リウ,チュン シー.
アメリカ合衆国,ワシントン 98115,シ
アトル,ノースイースト エイティース
ストリート 2820