JP2000509404A - 遺伝物質の導入システムとしてのカチオン性ヴィロソーム - Google Patents

遺伝物質の導入システムとしてのカチオン性ヴィロソーム

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、哺乳類の休止細胞または増殖細胞に遺伝物質の効果的な導入をするための陽荷電ヴィロソームに関する。このヴィロソーム膜は、カチオン性および/またはポリカチオン性脂質、少なくとも1個のウイルス融合ペプチド、好ましくは、少なくとの1個の細胞特異的マーカを含み、このマーカが、標的細胞の選択的探知をしてそれに結合するために、モノクローナル抗体、抗体フラグメントであるF(ab')2、Fab'、サイトカイン、成長因子から成るグループから選択されることが都合がよい。本発明は、さらに、新規のヴィロソームの製造法およびその適用、特に、癌または白血病の治療のための薬剤成分に関する。

Description

【発明の詳細な説明】 遺伝物質の導入システムとしてのカチオン性ヴィロソーム発明の属する技術分野 本発明は、遺伝バイオテクノロジーと遺伝子治療の分野に属し、遺伝物質の標 的部位への効率的な導入のために使える新規のヴィロソーム、即ち、膜内にウイ ルス糖タンパク質を含んだ陽荷電リポソームおよびその製造方法と応用に関する 。本発明のカチオン性ヴィロソームは、遺伝子を標的細胞に、インヴィトロ(in vitro)およびインヴィヴォ(in vivo)で特異的/非特異的に、非感染状態で送達 する場合に実用面で適している。発明の背景 リポソームは、ドラッグデリバリー(薬物輸送・送達)の担体として、および 、有効期間の短い医薬品物質の保護材または体液による(生)化学的な攻撃から 医薬品物質を守るための保護材として広く使用されている。ウイルスのエンベロ ープ由来の再構成膜タンパク質またはその一部分を含んでいるリポソームは、通 常「ヴィロソーム(virosomes)」と呼ばれている(サイザー(Sizer)ら、Bioche mi stry 26:5106-5113、1987)。このヴィロソームは、各種薬剤やDNA分子の非特 異的な輸送用として現在使用されている(ヴァインスタイン(Vainstein)ら、Meth ods Enzymol、101:492-512、1983)。しかし、標的細胞の細胞膜と融合させた従 来型のヴィロソームの主な欠点は、標的細胞の細胞質内に輸送された物質が、標 的細胞内で制御不能な状態で遊離されてしまい、そのために、送達・導入させた 物質が非保護の状態になるために細胞内の破壊的プロセスの中で容易に攻撃され てしまうことである。 WO92/13525(この全内容は、本出願中に参考文献の形で記載)には 、インフルエンザウイルスから得たウイルス・スパイク・タンパク質およびモノ クローナル抗体のような細胞特異的マーカを使用して標的細胞に物質を向かわせ る型のリン脂質二重層膜のヴィロソームが、受容体依存性エンドサイトーシスに よるウイルス様透過機構により、モデル膜および動物細胞と、非常に効率よく融 合することが開示されている。但し、これらのヴィロソームは、化学物質と導入 を希望する薬剤を標的部位までうまく輸送はするが、負荷電の核酸のような荷電 分子を、安定的に導入・送達する場合にはある種の短所がある。 最近の2・3年において、リポソーム内に組み込んだ遺伝物質の標的細胞への 導入、とりわけ細胞特異的な導入について、特に、抗癌、遺伝子治療への適用に 関連して注目され重要性が増してきている。最近、DNAやRNAを細胞に導入 するための数種の方法が利用できるようになっている。例えば、ウイルス仲介法 (virus mediated method)、脂質仲介法(lipid mediated method)、マイクロイン ジェクション法およびエレクトロポレーションのような方法もある。最近におけ る、そのような遺伝子導入技術の長所と短所を下記に概説する。 a)ウイルス仲介遺伝子導入の場合 レトロウイルス・ベクターを使用することにより、遺伝子を安定的に、しかも、 効率的に哺乳類の細胞内に導入させることができる。しかし、レトロウイルスは 分裂性細胞にだけしか感染しないために、非複製細胞への遺伝子導入の効率は非 常に低い。さらに、レトロウイルス・ベクターの使用については、例えば、癌遺 伝子の活性化などの点で、一般的な安全性に関連して問題がある。多数の研究者 は、遺伝子導入のベクターとして、複製能を欠失させたアデノウイルスを選択す るようになってきている。アデノウイルスベクターを使用して遺伝子を導入する 方法には、欠失変異させたアデノウイルスに希望する遺伝子を挿入する方法や、 トランスフェリン-ポリリシン架橋により、挿入するDNAとアデノウイルス・ コート(外殻)との間に複合体を形成させる方法とがある。このインヴィヴォ導 入システムは、非常に効率のよい方法ではあるが、感染と炎症に関して不確定的 なリスクが伴うという欠点がある。E1遺伝子を欠失させて、ウイルスの複製能 を失わせているにも関わらず、なお残存するウイルスゲノムには、ウイルスタン パク質をコードしている多数のオープンリーディングフレームが依然として含ま れているからであるからである(ヤング(Yang)ら、1994;Proc.Natl.Acad.Sci. USA 91,4407-4411)。形質導入させた細胞によるウイルスタンパク質の発現は、 ヒトおよび動物体内の体液性および細胞性の両方の免疫応答を刺激するために、 結果として炎症と増殖を誘発することになる。HVJ(センダイウイルス)を使 用した方法では、外来DNAとリポソームとの複合体を形成させる。その後、こ のリポソームに不活化したセンダイウイルス(HVJ)を負荷させる。この方法 は、すでに、多様な組織へのインヴィヴォ遺伝子導入に使用されている。さらに 、HJV・リポソームを使ったアンチセンス・オリゴヌクレオチドの細胞内取り 込みが報告されている(モリシタ(Morishita)ら、1993;J.Cell.Biochem、17E、 239)。しかし、これらの方法の最大の短所は、HJVリポソームが赤血球細胞に 非特異的に結合してしまうことである。 b)脂質使用遺伝子導入の場合 カチオン性脂質から作製した陽荷電リポソームは、安全で、使用法が簡単であり 、しかも、インヴィトロでのDNAとアンチセンス・オリゴヌクレオチドの導入 に有効であるように見える。高い負電荷の核酸は、自然にカチオン性リポソーム と相互作用する。ポリヌクレオチドを前形成状態のカチオン性リポソームと単純 に混ぜるだけで、完全なDNA-リポソーム複合体が形成される。しかし、リポ ソーム膜には、融合ペプチドと細胞特異的マーカが含まれていないために、イン ヴィヴォトランスフェクションの効率は極めて低く、インキュベーション時間が 長いので、望むような薬剤効果を得るためには、投与量を多くする必要がある。 しかも、大量のカチオン性脂質はインヴィヴォで有毒であるとの証拠があるので 、望まない副作用が発生するかもしれない。 最近、小型のオリゴヌクレオチドが、癌の治療薬および抗ウイルス剤として使 用できないかとの試験がされている。メッセンジャーRNA(mRNA)の合成 では、2つのDNA鎖のうちの一方だけが転写される。RNAに転写されたDN A鎖は、コーデイング鎖あるいはセンス鎖と呼ばれている。相補的である非コー ディングまたはアンチセンス鎖は、mRNAと同じ塩基配列を有している。非コ ーディング鎖が転写されると、アンチセンスRNA分子が産生され、これは標的 (センス)mRNAに結合することができる。一度アンチセンスRNAがセンス RNAに結合すると、その結果生成されるRNA複合分子は転写されることはな く、その結果、タンパク質合成が阻止される。通常の場合、18-22塩基の短 い合成アンチセンス・オリゴヌクレオチドが効率良くmRNAに結合し、mRN Aの翻訳を阻止することになる。このメカニズムにより、アンチセンス・オリゴ ヌクレオチドを使用してヒト癌細胞の増殖を停止させることが可能となる。癌に 含まれる遺伝子というのは、構造タンパク質を過剰に発現することにより影響を 与えていく。c-fos,c-myc,L-myc,N-myc,c-myb,abl,bcr-abl,c-raf,c-erb -2,k-rasのような遺伝子が、アンチセンス癌治療法の潜在的なターゲットであ る。アンチセンス・オリゴヌクレオチドは、抗ウイルス剤のような従来型の薬剤 に対する魅力的な潜在代替物質であり、例えば、ヒト免疫不全ウイルス(HIV )のtat遺伝子およびgag遺伝子のアンチセンス・オリゴヌクレオチドなどがその 例である。 文献に記載されているような再構成ウイルス・エンベロープを含んだリポソー ム膜もヴィロソームと呼ぶことができる(ステッグマン(Stegmann)ら;EMBO J.6 :2651-2659、1987)。ヴィロソームとは、通常、ホスファチジルコリン(PC) およびホスファチジルエタノールアミン(PE)から成るリン脂質二重層膜に、 スパイクタンパク質のようなウイルスエンベロープが組み込まれた構造のものを 言う。遺伝物質をPC/PEヴィロソームに導入する従来の方法には、その核酸 導入の効率が低いという欠点がある。発明の概要 それ故、本発明は、特別な膜組成を実現することにより、長鎖/短鎖DNA、 RNA、オリゴヌクレオチド、リボヌクレオチド、ペプチド核酸(PNA)、リ ボザイム(酵素活性を有するRNA分子)、遺伝子、プラスミド、ベクターなど の導入したい希望の遺伝物質を、非常に効率良く膜に負荷させることができ、そ れにより、先行技術の欠点を克服した新規なカチオン性ヴイロソームに関する。 さらに、本発明は、平均直径が約120-180nmであり、従来型の多くの ヴィロソームに見られたような導入した物質の漏れという欠点を克服した連続脂 質二重層で構成されるカチオン性ヴィロソームを形成させるために、A型インフ ルエンザウイルス、特に、シンガポールA型ウイルス株の赤血球凝集素を、実質 的に単膜のリポソーム内で効率良く再構成させる方法に関する。このカチオン性 二重層膜(単層が望ましい)の構造は、親水性で、陽荷電の脂質頭部が液相に接 しており、疎水性の脂肪酸尾部が二重層の中心部に接している。再構成されたウ イルス・スパイク・タンパク質(赤血球凝集素(hemagglutinin))が脂質二重層 と一体となっており、カチオン性リポソームの表面に広がっている状態を電子顕 微鏡で観察することができる(図1)。 このリポソーム膜の脂質組成は、カチオン性および/またはポリカチオン性脂 質から成り、ホスファチジルエタノールアミンおよびホスファチジルコリンのよ うなリン脂質から構成されていてもよい。大抵の場合、膜に含まれる脂質組成の 割合が下記のようになっているものを選択することが好都合であることが判明し ている(全脂質に対しての割合)。 (i)カチオン性脂質および/またはポリカチオン性脂質が重量比で100%、 または、 (ii)カチオン性脂質および/またはポリカチオン性脂質が重量比で90~9 5%で、ホスファチジルエタノールアミンが重量比で5~10%、または、 (iii)カチオン性脂質および/またはポリカチオン性脂質が重量比で45~ 90%、ホスファチジルエタノールアミンが重量比で5~10%、ホスファチジ ルコリンが重量比で5~50%。 好適な実施例によれば、本発明は、標的細胞の選択的探知およびそれへの結合 に有用である、モノクローナル抗体、F(ab')2およびFab'フラグメントのような 抗体フラグメント、サイトカイン、および/または増殖因子(これらに限定され ない)を含んでいる細胞特異的マーカとカチオン性ヴィロソームとの間の不可逆 共有結合に関する。 これらのマーカは、リポソーム膜に結合することになるが、その場合、まずリ ポソーム膜の外側に広がって行き、本質的に機能的な動作、つまり、受容体の探 知とそれに対する結合をすることになる。マーティン(Martin)ら(J.Biol.Chem.2 57:286-288、1982)が報告しているように、抗体フラグメントのような結合性細 胞特異的マーカを前形成のリポソームに結合させると、結合収量が低いことが多 く、結合産生が不能であることも頻繁に起こるということがあり、このことは、 標的細胞への遺伝物質導入という目標に重大な制限を課すことになる。そのため に、本発明での好適な実施例によれば、これらのマーカは、界面活性剤の存在下 で、例えば、N-[4-(p-マレイミド-フェニルブチリル]ホスファチジルエタノール アミン(MPB.PE)のような前形成状態のホスファチジルエタノールアミン -架橋試薬複合分子に結合するようになっている。 最善の結果を達成するためには、タンパク質分解により消化させるか、または 分子内S−S結合を減らすかのいずれかの方法により不活性化現象を避け、ウイ ルス糖タンパク質を、再構成する前に、丹念に分離・精製することが好都合であ ることが判明した。従って、複合マーカ、例えば、マーカ-MPB.PEを、活 性化アガロース・マトリックスを使用した(好ましくは、還元チオプロピル・セ ファロース6B)アフィニティ-クロマトグラフィにより、非複合ホスファチジ ルエタノールアミン-架橋試薬複合分子(例:MPB.PE)から分離すること が好ましい。その後、カチオン性ヴィロソームを作製する前に、精製した複合マ ーカ(ホスファチジルエタノールアミン-架橋試薬-マーカ分子複合体)のアリコ ートを、溶解膜脂質、融合タンパク質、その他の望ましい成分を含んだ界面活性 剤溶液に添加する。 ヴィロソームの調製の前に、二価性架橋試薬とリン脂質と細胞特異的マーカを 、個別のプロセスにより、結合させるのが好都合であることが判明した。この手 順を取ることで、ヴィロソーム膜の表面密度、特に、ヴィロソームと結合した細 胞特異的マーカの数をより最適化させることができる。ヴィロソーム膜に組み込 まれているか、または膜に結合しているタンパク質分子の濃度をよりうまく制御 し、改善することは重要である。ヴィロソーム膜上での融合ペプチド(例:赤血 球凝集素)および細胞特異的マーカの割合に不均衡があると、それらの選択特性 が減少したり破壊されたり、極端な場合には、リポソームの凝塊形成と沈澱が起 こるからである。 全抗体分子の代わりに、抗体フラグメントF(ab')2およびFab'を細胞特異的マ ーカとして使用することが特に好都合である。その理由は、全抗体分子を使用す る場合に較べて免疫原性がはるかに少ない点にある。また、Fcドメインがなけ れば、Fcフラグメントが原因となる望ましくない生物学的、免疫学的活性、た とえば、古典経路による補体活性化、および、抗体と標的細胞上のFc受容体と の間の相互作用による標的細胞表面からの付着ヴィロソームの分離を引き起こす 急性体液性免疫応答などの活性を減少させる。 核酸輸送のための既知のリポソーム組成物と違って、本発明にかかるカチオン 性ヴィロソームは、通常、標的細胞の細胞質に入る際に、形質細胞膜との融合を 必要としない。このヴィロソームは、2つのステップ機構を通して宿主細胞に入 ることができる。つまり、(1)付着と(2)透過である。最初の付着ステップ では、ヴィロソームは、融合ペプチド(例:赤血球凝集素)および/または細胞 特異的マーカにより、細胞受容体に結合するが、特に、末端にシアル酸を有する 糖タンパク膜または糖脂質に結合し、その後、受容体依存性エンドサイトーシス により極め効率良く細胞に取り込まれることになる。細胞特異的マーカ、例えば 、抗体フラグメントを含んでいるヴィロソームの場合には、これらのマーカは、 追加的に標的細胞の抗原構造を認識し、その結果、2つの違った結合メカニズム により付着することになる。このように、本発明の細胞特異的ヴィロソームは、 膜上にある細胞特異的マーカにより、種々の細胞の型に対して選択性を示し、同 時に、ウイルス融合ペプチド、例えば、赤血球凝集素により、エンドサイトーシ ス機構を通して高い細胞透過能力を発揮する。TAG72、CEA、17-1A、CA19-9の ような腫瘍関連抗原またはCD10(CALLA=急性リンパ性白血病共通抗原)やCD20の ような白血病関連抗原を認識するFab'フラグメントを有するヴィロソームの場合 には、細胞表面に上記の抗原を持っている腫瘍細胞または白血病細胞と選択的に 結合する。 第2のステップでは、ヴィロソームが受容体依存性エンドサイトーシスにより 宿主細胞に入る際に、エンドソームにトラップされる。その結果、エンドソーム のpHが約5~6までに低下するが、このpH値の変化により、赤血球凝集素融合ペ プチドを活性化させ、ヴィロソーム膜とエンドソーム膜との融合をトリガーする 。膜融合反応により、ヴィロソームの脂質エンベロープが広がり、トラップされ ている遺伝物質を細胞質体内に放出する。このメカニズムは、導入された遺伝物 質が、消化および/またはエキソサイトーシスにより消滅させられることなく核 に到達する可能性をかなり改善させる。発明の説明 本発明の主要目的は、カチオン性またはポリカチオン性の脂質と、内部空間( 通常、液状)とから成り、さらに、小胞膜に組み込まれているか、あるいは、こ の膜に共有結合している少なくとも1個のウイルス融合ペプチドから成る陽荷電 リポソームを提供することである。この小胞は、膜上にある少なくとも1個の細 胞特異的マーカから構成されていることが好ましい。本発明のさらに別の目的は 、完全な生物学的融合活性、つまり、生きたインフルエンザ・ウイルスと本質的 に同じ融合活性を有する小胞を提供することである。この融合ペプチドとして、 赤血球凝集素やその誘導体のようなウイルス糖タンパク質、あるいは、エンドサ イトーシスの後、上記の小胞と標的細胞のエンドソーム膜との迅速な融合を誘導 できる合成融合ペプチドがある。 このような新規の小胞またはヴィロソームは、望ましい遺伝物質を標的部位、 特に、動物およびヒト細胞および組織にインヴィトロおよびインヴィヴォで導入 する場合に特に有用である。この新規ヴィロソームは、増殖する細胞、即ち、複 製する細胞だけでなく、非増殖細胞、即ち、休止細胞も透過することができるの で、バイオサイエンス、薬理学、医薬分野において、薬剤としても研究または診 断ツールとしても使用可能であるに注目する必要がある。薬剤として使用する場 合には、本発明のヴィロソームを、通常の添加剤や薬学的に適当である担体を含 んだ医薬成分の一部分としてもよい。この薬剤成分は注射液として調剤すること が好ましいが、別の適用分野では、局所または全身投与用として、エマルション 、クリーム剤、ゲル、軟膏剤で使用したほうが好都合の場合もあるかもしれない 。 それ故に、本発明のヴィロソームを、動物またはヒトの疾病予防目的および/ または現在の治療目的に適した薬剤成分の製造のために使用することも本発明の 目的である。さらに、本発明のもう1つの目的は、このヴィロソームをインヴィ トロおよびインヴィヴォで使用可能な診断キットの製造に使用することである。 本発明の1つの実施例では、この小胞は、A型インフルエンザウイルスの赤血 球凝集素(HA)の効率の良い再構成のプロセスにより得られる。従って、カチ オン性ヴィロソームの調製法を教示することも本発明の目的である。好適な実施 例では、この方法は、遺伝物質をカチオン性脂質小胞に導入するステップから成 る。基本的には、この調製方法は、下記のステップから成る。 (1)カチオン性脂質を非イオン性界面活性剤、好ましくは、オクタエチレング リコール・モノ-n-ドデシルエーテル(OEG,C128)中で、好ましくは精製 したウイルススパイク糖タンパク質、輸送を望む遺伝物質と一緒に溶解すること 、オプションとして、ホスファチジルエタノールアミンで作製された前形成状態 の複合体分子、架橋試薬、細胞特異的マーカと一緒に溶解するステップ、および 2)界面活性剤吸収マイクロキャリヤー・ビーズ、好ましくはSM-2バイオビ ーズ(Biobeads)型であり、そのメッシュサイズ(ウエット)が好ましくは20- 50(0.84~0.30mm)のポリスチレンビーズを使用して界面活性剤除 去(好ましくは反復して)することにより小胞を形成させるステップ。 本発明の好ましい実施例では、適当な二価性架橋試薬を適用して、細胞特異的 マーカを不可逆的に小胞膜に結合させる。ヴィロソームを細胞に選択的に結合さ せる役割をする細胞受容体に向かうことになる細胞特異的マーカを、生物学的に 活性になるような方法で、架橋試薬に結合させる。架橋試薬がホスファチジルエ タノールアミンに共有結合しているか、または、ホスファチジルエタノールアミ ンと細胞特異的マーカの両方と共有結合している前形成の分子複合体の形で架橋 試薬を使用することが好ましい。本発明のヴィロソームに含まれる機能的に活性 な融合ペプチドのために、主として、エンドソームのpHが低下すると同時に、封 入された物質が標的細胞の細胞質体に放出されることになる(上記で説明した通 り)。そのような制御された放出は、一方において、導入物質の標的細胞内での 滞留時間を長くさせるが、他方では、ヴィロソームのエンドソーム内での望まな い長期滞留を避けることができ、そのために、ヴィロソームにより輸送された貴 重な物質の非特異的な劣化の危険を減少させることが可能となる。 別の実施例によれば、本発明は、さらに、膜脂質がホスファチジルコリンおよ びホスファチジルエタノールアミンから成り、しかも、独特のヴィロソームの設 計可能性を改善させ、融合ペプチドおよび/または細胞特異的マーカの膜との固 定を促進させる小胞に関連する。 ここで「融合ペプチド」とは、ヴィロソーム膜と標的細胞の脂質膜との間の融 合反応を誘発および/または促進させる能力のあるペプチドまたはタンパク質の ことである。大抵の実施例で使用されている「融合ペプチド」とは、融合ペプチ ドを含んだウイルス・スパイク・糖タンパク質、特に、機能的な融合ペプチドを 含んだウイルス表面スパイクの完全な赤血球凝集素三量体、その単量体、または その切断サブユニットである糖ペプチドHA1およびHA2の1つまたは両方の ことである。さらに本発明の別の実施例では、この融合ペプチドという用語は、 自然界から分離されたか、あるいは、合成されたかのどちらかである純粋な融合 ペプチドそのものを指している。本発明の特別に好適な実施例で使用されている 、融合ペプチドを含むポリペプチドとは、インフルエンザ赤血球凝集素、特に、 A-H11サブタイプのことである。この合成融合ペプチドを下記の表1のアミ ノ酸配列(この表では、各アミノ酸は1文字表記で特定されている)から選択す ることが好ましい(WO92/13525の例6および図2を参照)。 この「架橋試薬」という用語は、本発明により調製された小胞の表面に結合す る能力があり、しかも、ポリペプチドを結合する能力のある有機ヘテロ二価性分 子のことである。本発明の好適な実施例では、この分子には、スクシニミディル -4-(N−マレイミドメチル)-シクロヘキサン-1−カルボキシレート、m-マレ イミドベンゾイル-N-ヒドロキシスクシニミド・エステル、m-マレイミドベン ゾイル-N-ヒドロキシスルホスクシニミド・エステル、スクシニミディル4(p- マレイミドフェニル)-ブチレート、スルホスクシニミディル4(p-マレイミド フェニル)ブチレートのような、ホスファチジルエタノールアミンのアミノ基に 結合させるN-ヒドロキシスクシニミド基およびモノクローナル抗体フラグメン トと結合させるためのマレイミド基、あるいは、N-ヒドロキシスクシニミディ ルスベレート(NHS-SA)、N-ヒドロキシスクシニミディル-4-アジドベン ゾエート(HASAB)、N-スクシニミディル-6-(4'-アジド-2'-ニトロフェニ ルアミノ)ヘキサノエート(SANPAH)、N-スルホスクシニミディル-6-(4 '-アジド-2'-ニトロフェニルアミノ)ヘキサノエートのような、サイトカインと 結合させるための、N-ヒドロキシスクシニミド基および光化学反応性アジド基 が含まれている。 この架橋試薬を、架橋試薬と脂質、特に、架橋試薬とホスファチジルエタノー ルアミン、または脂質プラス架橋試薬プラス細胞特異的マーカの前形成の分子複 合体の形で使用することが好ましい。 ここで「細胞特異的」タンパク質または「細胞特異的」マーカという用語は、 架橋試薬(タンパク質の場合)または架橋試薬-脂質複合体(マーカの場合)に 結合することができ、さらに、標的細胞の受容体に結合することのできるタンパ ク質のことである。本発明の好適な実施例では、このタンパク質分子は、モノク ローナル抗体、抗体フラグメント、サイトカイン、または成長因子のような細胞 受容体特異的化合物のことを指している。この細胞特異的マーカは、標的細胞を 選択的に探知し、それに結合すると同時にヴィロソーム膜に存在する融合ペプチ ドの活性を改善させる。この抗体フラグメントは、F(ab')2およびFab'フラグメ ントで構成されていることが好ましく、一方、細胞特異的マーカは、インターロ イキンおよび、特に下表2にリストされているようなサイトカインから構成され ていてもよい。 ここで使用されている「カチオン性脂質」という用語は、カチオン性成分と、塩 化N-[(1,2,3-ジオレオイルオキシ)プロピル]-N,N,N-トリメチルアンモニウム( DOTMA)(フェルグナー(Felgner)ら、;Proc Natl Acad USa 84:7413-7417 、1987)、硫酸N-[(1,2,3-ジオレオイルオキシ)-プロピル]-N,N,N-トリメチルア ンモニウムメチル(DOTAP)、またはN-t-ブチル-N'-テトラデシル-3-テト ラデシルアミノプロピオン-アミジン(ルイシャート(Ruysschaert)ら、;Biochem .Biophys.Res.Commun.203:1622-162B,1994)のような、いわゆる頭- 尾両親媒性分子と呼ばれる無極性尾部を含む有機分子のことである。特に別の明 記をしていない限り、この用語には下記で定義したポリカチオン性脂質が含まれ る。 この「ポリカチオン性脂質」という用語は、ポリカチオン性成分と、1,3-ジパ ルミトイル-2-ホスファチジルエタノールアミド-スペルミン(DPPES)およ びジオクタデシルアミドグリシルスペルミン(DOGS)(ベアー(Behr)ら、Pro c.Natl.Acad.USA 86:6982-6986、1989)、トリフルオロ酢酸2,3-ジオレオイル オキシ-N-[2(スペルミンカーボキサミド)エチル]-N,N-ジメチル-1-プロパンアミ ニウム(DOSPA)、1,3-ジオレオキシル-2-(6-カルボキシ-スペルミル)-プ ロピルアミド(DOSPER);ヨウ化N,N,N',N'-テトラメチル-N,N'-ビス(2- ヒドロキシエチル)-2,3-ジオレイルオキシ-1,4-ブタンジアンモニウム(THD OB)などのリポスペルミンのような無極性尾部を含む有機分子のことである。 ここで使用されている「核酸」または「遺伝物質」には、短鎖DNAまたはR NA、デオキシリボヌクレオチド、オリゴデオキシリボヌクレオチド、セレン酸 オリゴデオキシリボヌクレオチド、チオリン酸オリゴデオキシリボヌクレオチド (OPT)、アミドリン酸オリゴデオキシリボヌクレオチド、メチルホスホン酸 オリゴデオキシリボヌクレオチド、ペプチド核酸(PNA)、リボヌクレオチド 、オリゴリボヌクレオチド、チオリン酸オリゴリボヌクレオチド、リン酸2'-OMe -オリゴリボヌクレオチド、チオリン酸2'-OMe-オリゴリボヌクレオチド、リボザ イム(酵素活性を有するRNA分子)、遺伝子、プラスミド、ベクター(小胞ク ローニング)が含まれる。 ここで使用されている「ヴィロソーム」(最も簡単な形の場合)は、カチオン 性脂質と内部空間(液状が好ましい)から成る二重層膜を有し、この膜には、ウ イルスタンパク質、特にウイルス糖タンパク質が含まれるリポソーム小胞である 。好適な実施例では、完全な生物学的融合活性を有する、少なくとも1個の融合 原性ペプチドまたはタンパク質から成り、特に、スパイク糖タンパク質である赤 血球凝集素および/またはインフルエンザA型ウイルス(例:シンガポールA型 )のノイラミダーゼが使用されている。ウイルスタンパク質には、ここで記載さ れているようなインフルエンザウイルスの融合ペプチドに匹敵するかまたは等し い合成のアミノ酸配列も含むことが理解できるであろう。膜脂質は、上記で規定 されたカチオン性脂質から成るが、オプションとして、他の天然または合成の脂 質でもかまわないし、ホスファチジルコリン(PC)およびホスファチジルエタ ノールアミン(PE)のようなリン脂質であれば好ましい。 本発明のカチオン性ヴィロソームは、多くの場合、あるいは、特にインヴィト ロでの細胞培養実験では、膜上に細胞特異的マーカを有していなくても使用が可 能であるが、インヴィヴォで使用する場合には、すでに説明したように、これら のヴィロソームが、膜上に少なく1個の細胞特異的マーカを有しているが特に望 ましい。この小胞の平均直径は、電子顕微鏡および動的光散乱法で測定した数値 で、120~180nmの範囲である。 ここで使用されている「(生物学的に)完全な融合活性」とは、小胞膜内で再 構成されたウイルスタンパク質から成る本発明のヴィロソームが、通常、再構成 のための材料とする生きたウイルスが標的細胞に対して示す場合と本質的に同じ 融合活性を有しているという意味である。 生きたインフルエンザA型ウイルスの融合原性とカチオン性ヴィロソームの融 合原性の比較をすることが望ましい。この融合活性については、すでに知られて いる手順、例えば、ヘクストラ(Hoekstra)ら(Biochemistry 23:5675-5681、1984 )、または、ルッシャー(Luscher)ら(Arch.Virol.130:317-326、1993)が報告し ているような手順で測定することが可能である。アンチセンス技術が患者の治療 または予防治療に使用できるようになるには、多数の問題、特に、適当な担体シ ステムの開発の問題が解決される必要がある。例えば、アンチセンス・オリゴヌ クレオチドのような遺伝物質を標的細胞に送達させようとする場合には、それが 標的細胞に届く前に、不安定となってしまい破壊されるか、またはそうでない時 には、多かれ少なかれ不活性の状態になるので、従来のようなカチオン性リポ ソームに組み込んで使用する場合には、この物質を大量に使用する必要がある。 大量に使う場合には、動物やヒトに対しての毒性がないのかとの疑問が出てくる 。本発明にかかるカチオン性ヴィロソームを遺伝物質の輸送担体として使用する ことにより、これらの問題はうまく克服可能であり、さらに毒性による副作用を 防止、少なくとも、かなり減少させることができる。このような効果が期待でき るのは、本発明のカチオン性ヴィロソームは、従来知られているリポソームまた はヴィロソームよりも1,000~2,000倍の高い効率と高い活性で、内部 に組み込れたアンチセンス・オリゴヌクレオチドを標的細胞に導入できるからで ある。このような高い導入効率であるために、従来型のヴィロソームまたはカチ オン性のリポソームの性能と本発明のカチオン性ヴィロソームの性能を比較する ことは実際上不可能である。図面の簡単な説明 図1は、ウイルス・スパイク・タンパク質を有するDOTAPヴィロソームの顕 微鏡写真である。 図2は、モデルリポソームを使用して観察した、オクタデシル・ローダミンB標 識DOTAP-ヴィロソームにおけるpH誘導による融合活性を示したもので ある。 図3は、組み込んだアンチセンスFITC-OPTをヒト小細胞肺癌細胞に導入 させたDOTAP-ヴィロソームを示している。 図4と5は、アンチセンス-L-myc-DOTAP-ヴィロソームのヒト小細胞肺癌 細胞への抜群の取り込みとトランスフェクション効率を示したものである。 図6は、別種類のヒト小細胞肺癌細胞とアンチセンス-L-myc-ヴィロソームのイ ンキュベーションを示したものである。 図7a、7bは、pRSVcat-DOTAPヴィロソームのジャーカット細胞 へのトランスフェクション効率を示したものである。 図8は、DOTAP-ヴィロソームとリン脂質-リポソームとの融合を示したも の。融合状態は、37℃でのR18分析法により測定した。 図9は、ヴィロソーム処理をしたNCI-H209細胞へのチミジン導入。アン チセンスFITC-OPT、センス・FITC-OPTあるいはmsc・F ITC-OPTのいずれかの200ピコモルを含んだヴィロソームの75μ lと、0.5μCi 14C-チミジンを含んだ新鮮培地の625μlを、5 x54cells/ml per wellに添加した場合の結果を示したものである。 図10は、アンチセンス-L-myc-OPTを含んだヴィロソームの添加直後のチミ ジンのNCI-H209細胞への導入に関する用量依存性阻止を示したもの である。NCI-H209細胞を、初期濃度1x105wellあたりmlあたり(p er well and per ml)としてインキュベートした。数値は3回の実験の平均 値±標準偏差である。 図11は、別種類のヒト小細胞肺癌細胞系と75μlのアンチセンス-L-myc-ヴ ィロソームとのインキュベーションを示す。L-myc癌遺伝子発現が細胞系ご とに減少している。つまり、H82<H510A<H209である。ロット 1のヴィロソームには、ロット2のヴィロソームよりも少ない量のアンチセ ンス-L-mycが含まれていた。 図12は、違った生産法で調剤した2種類のヴィロソームによるSp2細胞のト ランスフェクションを示す。 図13は、違った生産法で調剤した2種類のヴィロソームによるP3/NS1細 胞のトランスフェクションを示す。 図14は、違った生産法で調剤した2種類のヴィロソームによるNIH/3T3 細胞のトランスフェクションを示す。 図15,16,17は、センスc-myb-DOTAPヴィロソーム、アンチセ ンスc-myb-DOTAPヴィロソームによる処理直後のKG1の細胞増 殖を示したもの。18pmol・OPTを含むヴィロソーム溶液25μl、36 pmol・OPTを含むヴィロソーム溶液50μlまたは72pmol・OPTを含 むヴィロソーム溶液100μlを添加した。数値は3回の実験の平均値±標 準偏差である。 図18は、50μlのセンスc-myb-ヴィロソームと50μlのアンチセンスc-my b-ヴィロソームを添加して、DOTAP-ヴィロソームで処理した直後のC EM-C3細胞の細胞増殖を示したもの。数値は3回の実験の平均値±標準 偏差である。 本発明がさらに詳しく理解されるように、下記の実施例を示す。この実施例は 単に例示目的であって、いかなる点においても、本発明を制限するものではない 。実施例1 インフルエンザウイルス由来の完全な融合活性のあるウイルス・赤血球凝集素の 三量体を有し、組み込まれたアンチセンス-L-myc-FITC(フルオロセリ ン標識)-オリゴデオキシヌクレオチドを含むカチオン性脂質小胞の調製。 DOTAPヴィロソームおよびDOTAP-ホスファチジルコリン(PC)ヴィ ロソームの調製。 A型シンガポールウイルスの6/86株由来の赤血球凝集素(HA)を、スケ ール(Skehel)及びシールド(Schild)(1971)(Proc.Natl.Acad.Sci.USA79:968-97 2)が記載した方法により分離した。簡単に言えば、ウイルスを鶏卵の尿膜腔内 で増殖させ、蔗糖密度勾配超遠心分離法により2回精製した。精製したウイルス を、7.9mg/mlのNaCl、4.4mg/mlのクエン酸三ナトリウム・ 2H2O、2.1mg/mlのスルホン酸2-モルオホノエタン、1.2mg/m lのスルホン酸N-ヒドロキシエチル-ピペラジン-N'-2-エタン(pH7.3)を 含む緩衝液内で安定化させた。345μg/mlのHAを含むウイルス懸濁液の 53mlを超遠心分離(100,000xg、10分)にかけて沈澱させた。1 45mM・NaClと2.5mM・HEPESを含んでいる7.7mlの緩衝界 面活性剤と54mg/mlの非イオン性界面活性剤オクタエチレングリコール・ モノドデシルエーテル(OEG=C128)(pH7.4)を、インフルエンザ沈殿物に 添加した。その沈殿物を、室温で2分間超音波処理をすることにより完全に溶解 させた。その溶液を100,000xgで1時間超遠心分離した。ここから得た 上清には、溶解したHAの三量体(1.635mgHA/ml)と微量のノイラ ミダーゼが含まれていた。6mgのDOTAPを3.7mlの上清(6mgHA )に添加して溶解した。その溶液を0.2μmフィルタを通過させることで滅菌 し、その後、1.15gの滅菌マイクロキャリヤー・ビーズ(バイオビーズ[Bio beads]・SM-2が好ましい)の入ったガラス容器に移した。その容器をハイドル フ(Heidolph)社製(ケルハイム、ドイツ)の振とう器・REAX2を使用し て1時間振とうさせた。必要な場合には、この手順を、0.58mgのバイオビ ーズを使って3回まで繰り返した。この手順の後、DOTAPヴィロソームのか すかに透明な溶液が得られた。DOTAP-PCヴィロソームを調製するために 、3mgのDOTAPと3mgのPCを、6mgHAを含む上清に添加し溶解さ せた。この後に続くステップは、DOTAPヴィロソーム調製の場合と同じであ った。 合成融合ペプチドを有するヴィロソームの調製 膜内に合成の融合ペプチドを有するカチオン性ヴィロソームの調製ステップは 下記の通りである。 1.架橋試薬であるN-[γ-マレイミドブチリルオキシ]スクシニミド・エステル (GMBS)を使用して下記の反応により、ホスファチジルエタノールアミン( PE)の活性化させるステップ。 PE + GMBS −>MBS-PE+N-ヒドロキリスクシニミド これは、マーティン(Martin)らが報告しているように、イミュノグロブリン・フ ラグメントの前形成の小胞への不可逆結合である(J.Biol.Chem.257:286-288,198 2)。 2.活性化されたPE(GMB-PE)脂質小胞の調製。この調製では、20% ホスファチジルコリン、70%DOTAP、10%GMB-PEを、DOTAP ヴィロソームを含むHAに関して記載した方法で、緩衝界面活性剤内で溶解させ る。この後に続く脂質小胞を調製するためのステップは、DOTAPヴィロソー ム調製の場合と同じである。 3.合成融合ペプチドの脂質小胞への結合。このステップでは、20個のアミノ 酸から成るペプチドを使用する(このアミノ酸の配列は、G-L-F-E-A-I-A-G-F-I- E-N-G-W-E-G-M-I-D-Cである)。さらに、このアミノ酸は、そのN末端に遊離ア ミノ基、C末端にアミド基を有する。C末端のアミノ酸はシステインであるので 、脂質小胞の膜でのペプチドのGMP-PEへの結合に使える遊離チオール基が 存在する。 [PE-GMB膜+HS-Cys-ペプチドー>PE-GMG膜-S-Cys-ペプ チド]の結合反応を実行するために、緩衝液(40mM・クエン酸、35mM・ リン酸二ナトリウム、100mM・NaCl、2mM・EDTA、pH5.5)中で 新しく調製された脂質小胞の溶液を同じ緩衝液内のペプチドと混合させる。この 混合物を窒素存在下で静かに1夜撹拌する。脂質小胞をハイロードスーパデック ス(High Load Superdex)200カラムを使用したゲル濾過により、非結合ペプチ ドから分離する。 代替の方法として、Fab'フラグメントの例として下記に述べる方法により、融 合ペプチドを、前形成させたPE-架橋試薬-ペプチド複合体を使用して、脂質小 胞と結合させてもよい。 チオリン酸オリゴデオキシリボヌクレオチドのDOTAPヴィロソームへの導入 L-myc遺伝子のアンチセンス・チオリン酸オリゴデオキシリボヌクレオチドお よびセンス・チオリン酸オリゴデオキシリボヌクレオチド(OPT)を、カチオ ン性ヴィロソームにより高効率のトランスフェクションが可能であることを例と して使用した。5'-FITC-OPTをホスファルアミド化学により合成した(Mic rosynth GmbH,Balgach,Switzerland)。アンチセンスOPTとして15量体(5 '-FITC-GTAGTCCATGTCCGC-3')、センスOPTとして、15量体(5'-FITC-GCGGACA TGGACTAC-3')を使用した。アンチセンスOPTとアンチOPTと同じ長さのヌク レオチドで構成される混合配列コントロール(msc)OPTを合成した。 1mlのDOTAPヴィロソームまたはDOTAP-PCヴィロソームを下記 のそれぞれに添加した。 a)2mgのアンチセンスFITC-OPT(1.3μmol)と、 b)3.4mgのセンスFITC-OPT(1.3μmol) c)3.1mgのmscFITC-OPT(1.3μmol) FITC-OPTを溶解させ、その後、その溶液を26℃で2分間音波処理し た。封入されていないFITC-OPTを、ハイロードスーパデックス(High Loa d Superdex,Pharamacia,Sweden)200カラムを使用したゲル濾過手順により 、ヴィロソームから分離した。その後、カラムを無菌PBSで平衡化させた。F ITC-OPTを封入しているDOTAPヴィロソームを含んでいるボイドボリ ューム分画を溶出させて集めた。ヴィロソームが、0.1%(v/v)トリトン(Tr iton)X−100を含んだ0.1M・NaOH中で完全に溶解した後、そのヴィ ロソームにトラップされているFITC-OPT濃度を蛍光測定した。蛍光測定 のスケールの校正のために、上記の界面活性剤溶液に溶解された何も封入してい ない空のDOTAPヴィロソームの蛍光度をゼロに設定した。 前形成したホスファチジルエタノールアミン-二価性架橋試薬分子複合体による 、Fab'-フラグメントのヴィロソームへの結合 2.8mlのクエン酸緩衝溶液(100mM・NaCl、40mM・クエン酸 、35mM・Na2HPO4.2H2O、2mM・EDTA、pH5.5)に溶解さ せた、マウスモノクローナル抗-CD10-(抗-CALLA)抗体から新しく還元され たFab'の3mgを,0.524mgのN-[4-(p-マレイミド-フェニル)-ブチリ ル]ホスファチジルエタノールアミン(MPB.PE)の、0.5%のn-オクチ ル-オリゴ-オキシエチレンを含むクエン酸緩衝液溶液215μlに添加した。そ の後、この混合物を窒素存在下で、静かに撹拌しながら、4℃で16時間インキ ュベートした。インキュベーションの後、非結合MPB.PEを、400μlの 新しく還元された湿式チオプロピル・セファロース6B(Thiopropyl Sephaose)( Phamacia,Sweden)を使用することにより除去した。この混合物を室温で4時間 インキュベートした。チオプロピル・セファロース6Bを遠心分離により除去し 、その結果生成する溶液をpH7.0に中性化させた。中性化した溶液をOEG (54mg/ml)で捕足した。上記で記載されたような方法で調製された溶液 をDOTAPヴィロソームの調製溶液に添加した。ヴィロソームの 形成がなされている間に、このFab'-MPB.PE分子は脂質二重層に挿入され る。 電子顕微鏡観察 DOTAPヴィロソームの電子顕微鏡写真により、レーザ光分散法により測定 される平均直径が120~180nmである小胞の好ましい単膜構造が確認され た。インフルエンザウイルスのHAタンパク質スパイクがはっきりと見える(図 1)。 DOTAPヴィロソームの融合活性の測定 本発明にかかるDOTAPヴィロソームの融合活性をヘクストラ(Hoekstra)ら (1984)(Biochemistry 23:5675-5681)やルーシャー(Luscher)ら(1993)(Arch.Vir ol.130:317-326)が提唱した蛍光デクェンチング法に基づいた定量分析により測 定した。蛍光プローブである塩化オクタデシルローダミンB(R18)(Molecular P robes,Inc.,Eugene USAより入手)を高濃度で、DOTAPとHAを含んだ緩 衝OEG(C12E8)溶液として、蛍光プローブの乾燥薄膜に添加し、このプローブ を溶解させるために5~10分間振とうさせながら、DOTAPヴィロソームの 膜内に挿入し、その後、「カチオン性脂質小胞の調製」の項で説明した方法を連 続実施した。クェンチング・ローダミンの希釈物をローダミン標識したDOTA Pヴィロソームをモデルリポソーム(DOTAPの割合:リポソームリン脂質= 1:20)と一緒にインキュベーションすることにより観察した。パーキンエル マー(Perkin-Elmer)1000蛍光分光光度計により、励起・放射波長をそれぞれ 560nmと590nmとして蛍光測定した。図2は、DOTAPヴィロソーム のpH誘導融合反応を、蛍光デクェンチング・パーセント値(%FDQ)として 示したものである。 封入したアンチセンス-L-myc-FITC-OPTの細胞内取り込み DOTAPヴィロソームの細胞内取り込みのメカニズム研究には、OPTをフ ルオロセンで標識することが有用であることが判明している。L-myc遺伝子(ナウ (Nau)ら、1985;Nature318,69-73)を高レベルで発現するヒト小細胞肺癌細胞(ATC C-NCL-H209)を2ウエル組織培養チャンバースライド上で増殖させた(Nunc,Naper ville,IL 60566,USA)。50μlのFITC-OPTヴィロソームを細胞に添加 した。これらを37℃で、5,15,30分間インキュベートし、PBSで2回 洗浄し、蛍光顕微鏡により観察した。図3に示されたように、アンチセンスFI TC-OPTを封入したDOTAPヴィロソームは急速に細胞に導入された。 チミジン導入法により測定したアンチセンス-L-myc-FITC-OPT-DOTA Pヴィロソームの生物学的効果 ヒト小細胞肺癌細胞(ATCC-NC1-H209アメリカ型カルチャコレクション,rockvil le,USA)を24ウエル型コースター(Costar)プレート内で、初期濃度を1x105 /well/mlとして培養した。24時間のインキュベーションの後、培地を除去し 、0.5μCiの14C-チミジン([2-14C]チミジンから調製。52.0mCi/ mmol;Amersham,England)を含む625μ1の新鮮培地と、0.2nmo 1のアンチセンスFITC-OPTまたはセンスFITC-OPTまたはmscF ITC-OPTのいずれかを含む75μlのDOTAPヴィロソームを添加した 。培養物を非常にゆっくりと撹拌し静かに37℃で1時間振とうさせた後、イン キュベータに移した。48時間後に細胞懸濁液を除去し、遠心分離バイアルに移 し、遠心分離を行った。得られた細胞沈殿物を2回洗浄した。細胞を十分に単一 の細胞懸濁状態に分散させることができない場合には、細胞を短時間だけトリプ シン/EDTA溶液に浸した。細胞沈澱物を1.5mlの0.1M・NaOH/ トリトン-X-100溶液(0.1%)に溶解させた。3mlの液体シンチレーション反 応混液(ReadyProtein+,Beckman,Fullerton)を1mlの溶液に添加した。14C放 射活性を液体シンチレーションカウンター(Beckman,Fulleton,CA,USA) で計測した。 図4,5は、アンチセンス-L-myc-DOTAPヴィロソームの抜群の取り込みと トランスフェクション効率を示している。 図6は、L-myc遺伝子を発現しない細胞は、アンチセンス-L-myc-ヴィロソームに 影響されたり、阻止されたりすることもないことを示している。また、何も封入 してない空のヴィロソームは、癌細胞や正常細胞に影響を示さなかった。従って 、本発明にかかるヴィロソームに封入されたアンチセンスOPTを使用した抗癌 治療は、特に、下記で述べるような従来のカチオン性リポソームに見られた欠点 がないために、非常に有効であると思われる。実施例2 インフルエンザウイルス由来の完全な融合活性のあるウイルス赤血球凝集素三 量体を有し、ヒトIL-6遺伝子がポリリンカー部位にクローン化されたベクターp cDNA3(pcDNA3-IL-6)を封入したカチオン性脂質小胞の調製。 DOTAPヴィロソームの調製とpcDNA3-IL-6の導入 pcDNA3(Invitrogen Corporation,San Diego,USA)は、真核細胞宿主に おけて、高レベルで安定した一過性発現を起こさせるための、5.4kbの大き さのベクターである。実施例1で記載された方法で、HAを分離・精製した。4 mgのDOTAPを、145mM・NaCl、2.5mM・HEPES、54m g/mlのOEG(C128)(pH7.4)を含んでいる0.5mlの緩衝界面活性剤 溶液に溶解させ、4mgHAを含んでいる、2mlの上清に添加した。その結果 生じた混合物に、100μgのpcDNA3-IL-6を添加して溶解させた。この溶 液を30秒間超音波処理を行った。OEGを実施例1で説明した方法で、バイオ ビーズ(Biobeads)により除去した。 pcDNA-IL-6を負荷したDOTAPヴィロソームのマウス骨髄腫細胞へのト ランスフェクション pcDNA-IL-6を負荷したDOTAPヴィロソームから成る溶液をPBSで 1:1000に希釈した。1ngのpcDNA-IL-6を含んだ、この溶液の20 μlと、2.5ngのpcDNA-IL-6を含んだ、この溶液の50μlを、2x 106骨髄腫細胞(P3/NSI/1-Ag4-1,アメリカ型カルチャコレクション,Rockville ,USA)に添加した。48時間のインキュベーションの後、細胞培養の上清につい て、ヒトIL-6遺伝子が存在するかどうかをELISA法により試験した。ml当 たり20-45pgのIL-6が測定された。 pcDNA-IL-6を負荷したDOTAPヴィロソームとpcDNA-IL-6を負荷し たDOTAPリポソームとの間のトランスフェクション効率の比較 DOTAPと同じ量のpcDNA-IL-6を含ませた従来のDOTAPリポソー ム(これには、ウイルス融合ペプチドがない)でトランスフェクションした骨髄 腫細胞培養物にはIL-6が認められなかった。pcDNA-IL-6を負荷したDOT APヴィロソームと同じトランスフェクション効果を得るためには、pcDNA -IL-6を負荷したDOTAPリポソームの量を1000倍に増加させる必要があ った。実施例3 完全に融合活性のあるウイルス赤血球凝集素・三量体を有し、封入したベクタ ーpRSVcatを含んでいるカチオン性小胞の調製 DOTAPヴィロソームの調製とpRSVcatの導入 発現ベクターpRSVcat(ATCCより入手、Rockville,USA)にはクロラ ムフェニコール・アセチルトランスフェラーゼ(CAT)をコードしたCAT遺 伝子を含む。 酵素はアセチル基のアセチルCoAからクロラムフェニコールの3'ヒドロキシ 位への輸送を触媒する。CATベクターは、トランスフェクション効率のモニタ ーに有用である。実施例2で説明した方法により、pRSVcatをDOTAP ヴィロソームに封入する。 pRSVcatを負荷したDOTAPヴィロソームのジャーカット細胞へのトラ ンスフェクション ジャーカット細胞(106cell/ml)を、pRSVcatを負荷したDOTAP ヴィロソームの量を変化させながら(0.0001μl-25μl)、一緒にイ ンキュベートした。37℃で48時間インキュベーションした後、ジャーカット 細胞におけるCAT活性をCAT-ELISA測定法(Boehringer Mannheim,Ger many)により測定した。 図7a、7bは、0.01μlのDOTAPヴィロソームを添加することで、最 大のトランスフェクションが達成されることを示している。上記とは反対に、0 .01μlのpRSVcatを負荷したDOTAPリポソームを上記と同じイン キュベーション条件で、ジャーカット細胞に添加した場合には、CAT活性が検 出できなかった。実施例4 細胞のヴィロソームの取り込み ヴィロソームの標的細胞への移入は、2つのステップに明白に分けられる。 1.付着 2.透過 付着ステップには、ヴィロソームのHAによる細胞受容体への結合が含まれる。 この細胞受容体は、末端にシアル酸を有する糖タンパク質または糖脂質膜である 。細胞特異性ヴィロソームの場合には、Fab'フラグメントが標的細胞表面の抗原 構造を認識し、その結果、2つの違った結合メカニズムにより標的細胞にヴィロ ソームが付着することになる。このように、細胞特異的ヴィロソームは特定の細 胞型に選択性を示す。TAG72,CEA,17-1A、CA19-9のような腫瘍関連抗原またはC D10(CALLA)およびCD20のような白血病関連抗原を認識するFabフラグメントを有 するヴィロソームは、標的細胞の表面にこれらの抗原を持っている腫瘍または白 血病細胞とそれぞれ選択的に結合する。赤血球凝集素である糖タンパク質を注意 深く分離して精製する。タンパク質分解または分子内ジスルフィド(-S-S-) 結合の減少のいずれによっても不活性化が起こることはない。 透過ステップには、受容体依存性エンドサイトーシスによるヴィロソームの細 胞内への移入が含まれる。ヴィロソームがエンドソームにトラップされる。エン ドソーム内のpH(5−6)が酸性となることで、ヴィロソーム膜とエンドソー ム膜の融合がトリガーされる。ウイルスのスパイク糖タンパク質である赤血球凝 集素(HA)がこの融合を仲介する。エンドソームでの膜融合反応により、ヴィ ロソームが脂質エンベロープから遊離し、封入された薬剤が細胞質体に届くこと になる。これらのヴィロソーム調剤の融合活性を蛍光デクェンシングにより試験 した。ヴィロソームを蛍光プローブであるオクタデシル・ローダミンB(R18)で 標識し、HAの融合活性を、プローブのヴィロソームからリポームの標的膜への 希釈による蛍光デクェンシング値を見ることでモニターした。 図8は、R18で標識したDOTAPヴィロソームをリン酸脂質-リポソームに 添加した後すぐに観察された蛍光状態を示したものである。この蛍光は急激に増 加し始め、生きたHAの仲介する融合がなされていることを示した。 細胞による時間依存的取り込み ヴィロソームの取り込み量を、細胞を、14C標識したヴィロソームと共にイン キュベーションすることにより測定した。細胞濃度が1x105/mlであるP3/ NS1を40μlのヴィロソームと、37℃で5,10,15,20,30分間イ ンキュベートした。洗浄後、細胞を溶解し、14C標識したヴィロソームの量を測 定した。表3から分かるように、細胞の取り込みは極めて速い。最初の5分間で ヴィロソームの10%が取り込まれた。これ以上インキュベーション時間を延ば しても取り込みが強化されるということはなかった。約1011~1012のヴィロ ソーム、つまり、細胞当たり4,000~40,000ヴィロソームを含んだ1 mlのヴィロソームが5分以内に取り込まれた。 実施例5 癌治療へのアンチセンス戦略 いわゆる、「アンチセンス」オリゴデオキシヌクレオチド(ODN)というの は、標的としているmRNAのヌクレオチド配列の逆補体として合成されたDN Aの短いヌクレオチド配列のことである。RNA-DNA複合体を形成させて、 遺伝情報の翻訳を阻害し、RNアーゼHによる分子の破壊を促進させる。癌遺伝 子を標的にしたODNをコードしているmRNAを癌細胞に送達することができ れば、癌細胞の増殖を阻止できるし、一定の環境では、癌細胞を殺すこともでき る。 アンチセンスODNを治療薬として使用できる大きな可能性がある。多くの前 臨床動物試験および臨床治験フェーズI~IIIにおいて、アンチセンスODN が癌遺伝子に対抗的に作用していること、ウイルス遺伝子が治療的に活性を示す ことが示されている。 DNA負荷リポソームまたは従来のヴィロソームを使った機能DNA分子の細 胞への導入はあまり効率が良くない。このために、遺伝物質の導入のための陽荷 電脂質二重層(カチオン性)構造のヴィロソームを開発した。陽荷電の脂質二重 層は、核酸と相互反応し、核酸を小胞の中に凝縮させる。 アンチセンス-L-myc-ヴィロソーム L-myc遺伝子(これは最初、小細胞肺癌[SCLC]細胞系で見つかったものである )は頻繁に増幅され、SCLC中で過剰発現されてしまう。5'-FITC-チオリ ン酸オリゴデオキシリボヌクレオチド(OPT)をホスファルアミド化学法によ り合成した(Microsynth GmbH,Balgach,Switzerland)。アンチセンスOPTと して15量体(5'-FITC-GTAGTCCATGTCCGC-3')、センスOPTとして、15量体(5 '-FITC-GCGGACATGGACTAC-3')を使用した。アンチセンスOPTとアンチOPTと 同じ長さのヌクレオチドで構成される混合配列コントロール(msc)OPTを 合成した。翻訳開始部位をカバーするアンチセンスOPTは、標的mRNAのリ ボソームでの翻訳を阻止する。アンチセンス-L-myc-チオリン酸オリゴデオキシ リボヌクレオチドをヴィロソームに封入した。SCLC細胞系のH209,H5 10,H82において、ヴィロソームに封入されたL-mycアンチセンスDNAの 抗増殖効果が認められた。アンチセンス-L-mycヴィロソームをヒト小細胞肺癌細 胞系の細胞に添加した。センス-L-mycヴィロソームおよびmsc(混合配列コント ロール)ヴィロソームを対照として使用した(図9)。 アンチセンス-L-myc-ヴィロソームは、非封入アンチセンスOPTに較べて2 0,000倍の活性があった。図10で見られたと同じような効果を引き出すた めに、濃度がマイクロモルの範囲の非封入L-myc-アンチセンスOPTを細胞培養 に加える必要があった。カチオン性ヴィロソームは、ODNの送達という点で、 非封入ODNの細胞内取り込みに較べてはるかに効率がよく、さらに、カチオン 性リポソームよりも効率がよい。 アンチセンス-L-myc-ヴィロソームの増殖阻止効果は、3つのSCLC細胞系( H209,H510,H82)においてL-myc発現レベルと関連があった。図11から、L-myc 遺伝子を発現しない細胞は、アンチセンス-L-myc-ヴィロソームにより影響を 受けることはないと結論された。空のカチオン性ヴィロソームは正常細胞と癌細 胞に対してはなんら影響を示さなかった。L-myc遺伝子は、SCLCにおいて頻 繁に増幅され過剰発現されヒト成人組織では増幅は非常に制限され発現のレベル も低いので、L-mycがアンチセンス・ヴィロソーム治療の良い標的になりうるで あろう。実施例6 遺伝子治療のためのプラスミドベクターの非感染性導入。哺乳類での発現のた めのベクターのカチオン性ヴィロソームによるトランスフェクション。 癌遺伝子治療の現在のアプローチでは、適切な治療用遺伝子をヒト癌細胞に生 体外(ex vivo)またはインヴィヴォで発現させるために、プラスミド・ベースの ベクターを使用して導入しようとする。現在、治療に使える遺伝子として下記の ものが評価されている。単純ヘルペスウイルス・チミジンキナーゼ(HSV-TK)遺伝 子のような感受性遺伝子(Moolten FL,Cancer Res.46:5276-5281,1986);サイト カイン遺伝子のような癌細胞を減少させるために免疫系を標的にする遺伝子(Tep per RI等;Cell 57:503-512,1989);補助的刺激分子をコードしている遺伝子(T ownsend SE等;Science 259:368-370,1993);外来性の組織適合遺伝子(Plauts GE等;Proc Natl Acad Sci USA90:4645-4649,1993);p53のような野生型腫瘍抑 制遺伝子の代替遺伝子(Chen Pl等;Science 250:1576-1580,1990)。 遺伝子治療のための最近使用されているウイルス・ベースのベクターにはある 種の制限があり、例えば、遺伝子導入のために標的腫瘍細胞に到達させるための 特異性の欠如、さらに、二次悪性疾患の誘発に関する安全性の問題や複製コンピ タント・ウイルス形成の組み換えの起こる可能性などの問題があるので、プラス ミド・ベースの発現ベクターをインヴィヴォで遺伝子導入できるための非感染性 遺伝子導入技術の開発が必須である。ここで開示したカチオン性ヴィロソーム技 術を使用すれば、非感染性の受容体仲介遺伝子導入が可能となる。 市販されている脂質の通常のトランスフェクション効率は、5~50%である 。本発明のヴィロソームを使用すれば、市販されているリポソームよりも高い効 率でのトランスフェクションが可能となるだけでなく、DNAをヴィロソームに 封入することにより、細胞の安定した形質転換を実現できる。 ヒト・インターロイキン6(IL-6)遺伝子を、pcDNA3(これは、真核細胞 宿主において、高レベルの安定した一過性発現をするように設計した5.4kb のベクターである)のポリリンカー部位にクローン化した。このベクターは、ネ オマイシン耐性マーカーを含んでおり、これは、G418存在下で安定形質転換 細胞を選択するために使用されるもので、SV40初期プロモータ領域から発現 される。 3つの方法により、ベクターの封入を行った。 1.透析:ヴィロソームの作製中にプラスミドを封入した。透析により、界面活 性剤であるオクチル-POE(Octyl-POE)(Alexis Corp.,Laeufelfingen,Switze rland)を除去した。 2.バイオビーズ(Biobeads):ヴィロソームの作製作製中にプラスミドを封入し た。界面活性剤OEGをバイオビーズで除去した。 3.超音波処理:プラスミドをDOTAPで封入して、得られたDOTAP-リ ポソームを、超音波処理により、DOTAP-ヴィロソームと融合させた。14 Cチミジンで標識したpcDNA-cIL-6-DNAを作製して封入されたプラス ミドの量を測定した。 Sp2/0-Ag14細胞(ハイブリッド、非分泌性、マウス;ID番号:ATCC C RL-1581、ここではSpと呼ぶ)、P3/NSI/1-Ag4-1細胞(非分泌性骨髄腫 、マウス、ID番号:ATCC TIB-18,ここではP3/NS1と呼ぶ) 、NIH/3T3細胞(胚、接触阻止、NIHスイスマウス;ID番号:ATCC C RL-1658)を1ml培地中1x105の濃度で、ヴィロソーム調製物(1)- (3)を使用して、トランスフェクションした。トランスフェクションを行って から10日後、ELISAにより、発現したIL-6の量を測定した(図12,図1 3,図14)。これらの細胞系すべてについて、ATCC(アメリカ型カルチャ ・コレクション)(12301,Parklawn Drive,Rockville,Maryland,USA)から入手 できる。 トランスフェクションされたSp2およびP3/NS1細胞をG418により 2回選択した。2カ月の培養の後、IL-6の産生量を再度測定した。表4はその数 値を示したものである。 細胞沈殿物に添加された溶解緩衝液を調製して、およそ2x106/mlの細胞数と なるようにした。実施例7 白血病治療におけるアンチセンス戦略 ヒト白血病における最もよく見られる遺伝子異常は、フィラデルフィア染色体 (Ph1)転座である。癌原遺伝子ablの第9染色体から第22染色体上のbcr領域へ の転座が、結果としてbcr-ablハイブリッド遺伝子の生成となる。abl癌原遺伝子 は、通常、トリプシンキナーゼ活性を有するタンパク質をコードし、これはbcr- ablハイブリッド遺伝子を有する細胞内で増える。bcr-abl転写物は、ヒト慢性骨 髄性白血病(CML)患者およびPh1急性リンパ芽球性白血病患者の多くに見られる。 CMLにおけるbcr-abl遺伝子を標的にして治療することは最も合理的方法であるこ とは明らかである。bcr遺伝子の第2または第3のエクソンからc-ab1遺伝子の 第2エクソンまでのスプライシングにより産生されたbcr-abl転写物の接続部分 に相補的である合成ODNは、フィラデルフィア1白血病細胞の増殖をインヴィ トロで抑制し、正常骨髄前駆細胞を保存することが判明している(スズチリック (Szczylik)C等;Science 253:562-565,1991)。しかし、bcr-ablアンチセンス治 療はCML患者に限定されている。 アンチセンス治療のもう1つの分子標的はmyb遺伝子である。myb(癌原遺伝子 c-mybがコードされた産物)は、DNA結合特異的転写因子として機能する。こ のmybは、造血細胞に優先的に発現され、造血細胞増殖に必要である。 c-mybのコドン2−7を標的として送達された18-mer・アンチセンスODN は、試験した一次急性骨髄性白血病症例の78%において、さらに、一次慢性骨 髄性白血病(CML)の頻発症例5例のうちの4例において、T細胞白血病細胞(CCRF -CEM)のクローン原性増殖を阻止するかまたは完全に廃止させた(カラブレッタ( Calabretta)Bら;Proc Natl Acd Sci USA 88:2351-2355,1991)。 急性および慢性の白血病などの数種の新生物治療の一部として、骨髄のパージ ングが採用されている。現在は、骨髄について免疫製剤および化学療法薬などの 多様な薬剤で白血病性細胞の洗浄を行っている。 白血病細胞の増殖をさせる癌遺伝子を標的として送達されるODNを封入した ヴィロソームは、治療的に有用かつ重要であり、白血病細胞を減少させる効果の 点で、従来の化学療法剤よりも選択性が高い、他方、正常な前駆細胞を保存する 。 アンチセンス-c-myb-ヴィロソーム c-mybコドン2−9に対応するセンスOPTおよびアンチセンスOPTを調製 した。センスc-myb配列は、5'-GCCCGAAGACCCCGGCAC-3'であり、およびアンチセ ンス-c-myb-配列は5'-TGTGCCGGGGTCTTCGGGC-3'であった。OPTのDOTAPヴ ィロソームへの封入は、L-myc-DOTAPヴィロソームで使用したと同じ方法で 行った。ヒト骨髄白血病細胞系KG−1およびヒト急性リンパ芽球性白血病細胞 系CEM−C3をセンスc-mybヴィロソームおよびアンチセンスc-mybヴィロソー ムに曝露させた。KG−1細胞の増殖は、癌原遺伝子myb遺伝子産物に依存して いるが、CEM−C3はc-myb遺伝子の産物に依存していない。KG−1遺伝子 を、25,50,100μlのセンスc-mybヴィロソームおよびアンチセンスc-m ybヴィロソーム(これらのそれぞれに、18,36,72pmo1のセンスOP TとアンチセンスOPTを含む)と一緒にインキュベートさせた。インキュベー ションして2日目、3日目、4日目に細胞数を測定した。 25μlのセンスc-mybヴィロソームとアンチセンスc-mybヴィロソームを添加 した場合には、細胞増殖に対してはほんのわずかの影響しかなかった(図15) 。しかし、これらの50μl(図16)および100μl(図17)を添加した 場合には、細胞増殖を強く阻止した。センスc-mybヴィロソームの用量を多くす ることによっても、阻止効果を示した。CEM−C3細胞は、同じヴィロソーム 調剤には影響を受けなかったので(図18)、これらの効果はヴィロソーム膜に より誘起されなかったことが推定される。 説明において使用された略字 2'-OMe:2'-Oメチル CALLA:急性リンパ性白血病共通抗原 CAT:クロラムフェニコール アセチルトランスフェラーゼ DOTAP:硫酸N-[(1,2,3-ジオレオイルオキシ)-プロピル]-N,N,N-トリメチルアンモ ニウムメチル DOTMA:塩化N-[(1,2,3-ジオレオイルオキシ]-N,N,N-トリメチルアンモニウム FITC-OPT:チオリン酸フルオレセン・イソチオネート標識オリゴデオキシリボヌ クレオチド G418:ジェネティシン・ディサルファート(Geneticin disulfat(抗生物質 G4 18) HA:赤血球凝集素 IL-6:インタロイキン 6 MPB.PE:N-[4-(p-マレイミド)-フェニル[ブチリル]-ホスファチジルエタノールア ミン(=架橋試薬−リン脂質複合体) msc:混合配列コノトロール NA:ノイラミダーゼ Octyl-POE:n-オクチル-オリゴ-オキシエチレン ODN:オリゴデオキシヌクレオチド OEG:オクタエチルグリコール・モノドデシルエーテル(C12E8) OPT:チオリン酸オリゴデオキシリボヌクレオチド PC:ホスファチジルコリン PE:ホスファチジルエタノールアミン PNA:ペプチド・核酸 SCLC:小細胞肺癌 SV40:シミアンウイルス40
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(GH,KE,LS,MW,S D,SZ,UG),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ ,MD,RU,TJ,TM),AL,AM,AT,AU ,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH, CN,CU,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,G B,GE,GH,HU,IL,IS,JP,KE,KG ,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT, LU,LV,MD,MG,MK,MN,MW,MX,N O,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG ,SI,SK,TJ,TM,TR,TT,UA,UG, US,UZ,VN,YU (72)発明者 クライン、ペーター スイス国 ツェーハー―4438 ランゲンブ ルック、ノイホッフ(番地なし)

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.カチオン性および/またはポリカチオン性脂質を含んでいる陽荷電脂質二重 層膜を有し、機能的に活性であるウイルスの少なくとも1個の融合ペプチドと、 膜に結合した少なくとも1個の細胞特異的マーカと、好ましくは、標的細胞への 送達のための望ましい材料から成る脂質小胞。 2.膜の構成が、全脂質に対する割合で、 ‐カチオン性脂質および/またはポリカチオン性脂質が重量比で90~95%で 、ホスファチジルエタノールアミンが重量比で5~10%、または、 ‐カチオン性脂質および/またはポリカチオン性脂質が重量比で45~90%、 ホスファチジルエタノールアミンが重量比で5~10%、ホスファチジルコリン が重量比で5~50%である請求項1に記載の小胞。 3.(i)カチオン性脂質が、塩化N-[(1,2,3-ジオレオイルオキシ)プロピル]-N ,N,N-トリメチルアンモニウム(DOTMA);硫酸N-[(1,2,3-ジオレオイルオ キシ)-プロピル]-N,N,N-トリメチルアンモニウムメチル(DOTAP);N-t-ブ チル-N'-テトラデシル-3-テトラデシルアミノプロピオンアミドのグループから 選択された少なくとも1つから成り、(ii)プロカチオン脂質が、1,3-ジパル ミトイル-2-ホスファチジルエタノールアミドスペルミン(DPPES);ジオ クタデシルアミドグリシルスペルミン(DOGS)、2,3-ジオレオイルオキシ-N -[2(スペルミン-カーボキサミド)エチル]-N,N-ジメチル-1-プロパンアミニウム トリフルオロアセテート(DOSPA);1,3-ジオレオイルオキシ-2-(6-カル ボキシ-スペルミル)-プロピルアミド(DOSPER);ヨウ化N,N,N',N'-テト ラメチル-N,N'-ビス(2-ヒドロキシエチル)-2,3-ジオレオイルオキシ-1,4-ブタ ンジアンモニウム(THDOB)から選択された少なくとも1つから成る請求項 1または2に記載の小胞。 4.融合ペプチドが、赤血球凝集素三量体または単量体、これらの切断サブユニ ットの1つまたは両方、糖ペプチドであるHA1およびHA2、自然界から分離 された融合ペプチド、および合成融合ペプチドのグループから選択される、前記 クレームの1つまたはそれ以上に記載の小胞。 5.膜が、少なくとも1つの二価性架橋試薬から成り、少なくとも1つの融合ペ プチドおよび/または少なくとも1つの細胞特異的マーカが、上記架橋試薬によ りその膜と結合している前記クレームの1つまたはそれ以上に記載の小胞。 6.膜がホスファチジルエタノールアミンから成り、架橋試薬がホスファチジル エタノールアミンへの共有結合により、その膜に結合しており、架橋試薬が融合 ペプチドまたは細胞特異的マーカの遊離チオール基にそれぞれ結合している請求 項5に記載の小胞。 7.上記の細胞特異的マーカが、モノクローナル抗体、F(ab')2フラグメント、F ab'フラグメント、サイトカイン、成長因子のグループから選択される前記クレ ームの1つまたはそれ以上に記載の小胞。 8.上記小胞にトラップされた望ましい遺伝物質、好ましくは、短鎖DNAまた はRNA、デオキシリボヌクレオチド、オリゴデオキシリボヌクレオチド、セレ ン酸オリゴデオキシリボヌクレオチド、チオリン酸オリゴデオキシリボヌクレオ チド、オリゴデオキシリボヌクレオチド・ホスホルアミド、メチルホスホン酸オ リゴデオキシリボヌクレオチド、ペプチド核酸、リボヌクレオチド、オリゴリボ ヌクレオチド、チオリン酸オリゴリボヌクレオチド、リン酸2'-OMe-オリゴリボ ヌクレオチド、ホスホリン酸2'-OMe-オリゴリボヌクレオチド、リボザイム、遺 伝子、プラスミド、ベクターから成るグループから選択された遺伝物質から成る 前記クレームの1つまたはそれ以上に記載の小胞。 9.直径が120~180nmの範囲にある前記クレームの1つまたはそれ以上 に記載の小胞。 10.(a)少なくとも1個の天然または合成のウイルス融合ペプチドを、非イ オン性界面活性剤を含んでいる適当な緩衝液に溶解させるステップと、 (b)ステップ(a)により生成した溶液に添加し、その中でカチオン性および /またはポリカチオン性脂質を溶解させるステップと、 (c)ホスホチジルエタノールアミン(PE)、架橋試薬、および、その架橋試 薬に結合することができる少なくとも1個の細胞特異的マーカ、好ましくは、架 橋試薬活性のホスホチジルエタノールアミン(PE/架橋試薬)およびPE/架 橋試薬/マーカ複合体から成るグループから選択された前成形の分子複合体から 成るマーカを添加するステップと、(d)オプションとして、ホスホチジルコリ ンを添加するステップと、 (e)この溶液をマイクロキャリヤー・ビーズ、好ましくは、ポリスチレン・バ イオビーズSM−2で処理することで界面活性剤を除去して、その結果として、 陽荷電脂質二重層小胞を形成させるステップと、 (f)好ましくは、ステップ(e)から作製される小胞に、標的細胞に導入させ る望ましい物質のある量を添加し、その物質を小胞に取り込ませるために、その 混合物を音波処理し、取り込まれなかった物質を、好ましくは、ゲル濾過により 除去するステップから成る請求項1に記載の小胞の製造プロセス。 11.(a)カチオン性および/またはポリカチオン性脂質を非イオン性界面活 性剤を含んでいる適当な緩衝液に溶解させるステップと、 (b)ステップ(a)で生成した溶液に、ホスファチジルエタノールアミン(P E)および、好ましくは、前形成のPE/架橋試薬複合体から成る二価性架橋試 薬、または代替的に、 (b’)ステップ(a)で生成した溶液に、ホスファチジルエタノールアミン( PE)、二価性架橋試薬、少なくとも1個の融合ペプチド、および好ましくは、 PE/架橋試薬、PE/架橋試薬/融合ペプチド、およびPE/架橋試薬/マー カから成るグループから選択された前形成分子複合体である少なくとも1個の細 胞特異的マーカを添加し、この後に続くステップ(e)を省略するステップと、 (c)オプションとして、ホスホチジルコリンを添加するステップと、 (d)この溶液をマイクロキャリヤー・ビーズ、好ましくは、ポリスチレン・バ イオビーズSM−2で処理することで界面活性剤を除去して、その結果として、 陽荷電脂質二重層小胞を形成させるステップと、 (e)その小胞に、少なくとも1個のウイルス融合ペプチドおよび架橋試薬に結 合することのできる、少なくとも1個の細胞特異的マーカを添加するステップと 、 (f)好ましくは、ステップ(e)から作製される小胞に、標的細胞に導入させ る望ましい物質のある量を添加し、その物質を小胞に取り込ませるために、その 混合物を音波処理し、取り込まれなかった物質を好ましくはゲル濾過により除去 するステップから成る請求項1に記載の小胞の製造プロセス。 12.(i)カチオン性脂質が、塩化N-[(1,2,3-ジオレオイルオキシ)プロピル] -N,N,N-トリメチルアンモニウム(DOTMA);硫酸N-[(1,2,3-ジオレオイル オキシ)-プロピル]-N,N,N-トリメチルアンモニウムメチル(DOTAP);N-t- ブチル-N'-テトラデシル-3-テトラデシルアミノプロピオンアミドから成るグル ープから選択された少なくとも1つの物質から成り、さらに、(ii)ポリカチ オン性脂質が、1,3-ジパルミトイル-2-ホスファチジルエタノールアミドスペル ミン(DPPES);ジオクタデシルアミドグリシルスペルミン(DOGS)、 2,3-ジオレオイルオキシ-N-[2(スペルミン-カーボキサミド)エチル]-N,N-ジメチ ル-1-プロパンアミニウムトリフルオロアセテート(DOSPA);1,3-ジオレ オイルオキシ-2-(6-カルボキシ-スペルミル)-プロピルアミド(DOSPER );ヨウ化N,N,N',N'-テトラメチル-N,N'-ビス(2-ヒドロキシエチル)-2,3-ジ オレオイルオキシ-1,4-ブタンジアンモニウム(THDOB)から成るグループ から選択された少なくとも1つの物質から成る請求項10または11に記載のプ ロセス。 13.上記緩衝液がHEPES緩衝液であり、好ましくは、オクタエチレングリ コール・モノドデシルエーテルおよびn-オクチル-オリゴ-オキシエチレンから成 るグループより選択された250μmol/mlの非イオン界面活性剤から成る請求項 10~12の1つまたはそれ以上に記載のプロセス。 14.上記ウイルス融合ペプチドが、赤血球凝集素の三量体または単量体、それ らの切断サブユニットの1つまたは両方、糖ペプチドHA1およびHA2、自然 界から分離された融合ペプチド、合成融合ペプチドから成るグループから選択さ れる請求項10~13の1つまたはそれ以上に記載のプロセス。 15.脂質の構成が、全脂質に対する割合で、 ‐カチオン性脂質および/またはポリカチオン性脂質が重量比で90~95%で 、ホスファチジルエタノールアミンが重量比で5~10%、または、 ‐カチオン性脂質および/またはポリカチオン性脂質が重量比で45~90%、 ホスファチジルエタノールアミンが重量比で5~10%、ホスファチジルコリン が重量比で5~50%である請求項10~14の1つまたはそれ以上に記載のプロ セス。 16.上記のマイクロキャリヤー・ビーズのメッシュ・サイズ(ウエット)が2 0~50(0.84~0.30mm)であり、その溶液がこのビーズで4回まで処理 される請求項10~15の1つまたはそれ以上に記載のプロセス。 17.上記細胞特異的マーカが、モノクローナル抗体、F(ab')2フラグメント、F ab'フラグメント、サイトカイン、成長因子から成るグループにより選択される 請求項10~16の1つまたはそれ以上に記載のプロセス。 18.上記架橋試薬が、好ましくは、ビス-N-スクシニミディル誘導体および光 活性スクシニミディル誘導体から成るグループより選択されたヘテロ二価性スク シニミディル誘導体である請求項10~17の1つまたはそれ以上に記載のプロ セス。 19.前形成の分子複合体であるPE/架橋試薬/融合ペプチドまたはPE/架 橋試薬/細胞特異的マーカが、融合ペプチドまたは細胞特異的マーカがチオール 基を通して、好ましくは、N-[4-(p-マレイミドフェニル)-ブチリル]-ホスファチ ジルエタノールアミン(MPB.PE)および4-(N-マレイミドメチル)シクロヘ キサン-1-カルボキシレート-ホスファチジルエタノールアミン(MCC.PE) のグループから選択される共有結合の架橋試薬/PE-分子複合体の架橋試薬部 分に結合する反応により得られる請求項10~18の1つまたはそれ以上に記載 のプロセス。 20.未反応架橋試薬-ホスファチジルエタノールアミン分子、特に、未反応M PB.PEまたはMCC.PEが、ゲルクロマトグラフィ、好ましくは、アガロ ースマトリックスを使用したアフィニティクラマトグラフィ、最も好ましくは、 還元チオプロピルセファロース6Bにより、反応生成物から分離される請求項1 9に記載のプロセス。 21.導入のための上記の望ましい物質は、短鎖DNAまたはRNA、デオキシ リボヌクレオチド、オリゴデオキシリボヌクレオチド、セレン酸オリゴデオキシ リボヌクレオチド、チオリン酸オリゴデオキシリボヌクレオチド、オリゴデオキ シリボヌクレオチド・ホスホルアミド、メチルホスホン酸オリゴデオキシリボヌ クレオチド、ペプチド核酸、リボヌクレオチド、オリゴリボヌクレオチド、チオ リン酸オリゴリボヌクレオチド、リン酸2'-OMe-オリゴリボヌクレオチド、ホス ホリン酸2'-OMe-オリゴリボヌクレオチド、リボザイム、遺伝子、プラスミド、 ベクターから成るグループから選択された遺伝物質である請求項10~20の1 つまたはそれ以上に記載のプロセス。 22.より好ましくは、望みの遺伝物質を標的細胞、特に、哺乳類の休止細胞ま たは増殖性細胞に特異的かつ非感染で送達することのできるドラッグデリバリー の輸送システムとして使用される請求項1~10のうちの1つまたはそれ以上に 記載の、および/または請求項10~21のうちの1つまたはそれ以上に記載の プロセスにより達成できる陽荷電脂質小胞。 23.診断用または医療用、好ましくは、ヒトまたは動物における予防/治療に 使用可能である請求項22に記載の陽荷電脂質小胞。 24.癌、白血病、ウイルス感染から成るグループより選択された疾病の治療用 として、好ましくは、アンチセンス治療に適した、少なくとも1個のアンチセン スオリゴヌクレオチドで構成される請求項22または23に記載の陽荷電脂質小 胞。 25.アンチセンスオリゴヌクレオチドが、癌原遺伝子または癌遺伝子をコード したmRNAを標的とする請求項24に記載の陽荷電脂質小胞。
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