JP2000511190A - 外傷に起因する出血に見舞われたヒトにおけるbpiタンパク質産物の治療用途 - Google Patents
外傷に起因する出血に見舞われたヒトにおけるbpiタンパク質産物の治療用途Info
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Abstract
(57)【要約】
治療上有効な量のBPIタンパク質産物が投与される工程を含む、外傷に起因する出血に見舞われたヒトの処置ための方法及び物質が提供される。
Description
【発明の詳細な説明】
外傷に起因する出血に見舞われたヒトにおける
BPIタンパク質産物の治療用途
本願は、1996年5月23日出願の、米国特許出願第08/652,292号の一部継続出願
である。
発明の背景
本発明は一般に、殺菌性/透過性増強(BPI)タンパク質産物の投与による、
外傷に起因する出血に見舞われたヒトの処置ための方法及び物質に関する。
急性外傷性出血は、一般に速やかな外科的介入を要するものであり、米国にお
ける病的状態及び死亡の主要な原因になっている。[Bickellら、New Eng.J.M
ed.331巻、1105〜1109頁(1994)、Tranら、Surgery、114巻、21〜30頁(1993)]
1982年には、外傷に起因する死亡が米国でおよそ165,000件発生している(
各死亡につき、少なくとも2例のさらなる随伴障害(permanent disability)を
伴う)。これら外傷性死亡の約50%は、中枢神経系、心臓、または主要血管の
一つを直接的に損傷したことに起因して即時的に起こるものである。およそ30
%にあたるさらなる初期の死亡は、損傷後数時間以内に起こるもので、通常これ
は出血が抑制されなかったことに起因している。死亡例の残り20%は、いわゆ
る「晩発死」であり、損傷後数日から数週間の間に起こるものであって、この症
例の約80%は感染または多臓器系不全(MOSF)を包含する外傷性出血由来
の合併症に起因している。[Trunkeyら、Sci.Am.249巻、28〜35頁(1983)、Trun
keyら、New Eng.J.Med.324巻、1
259〜1263頁(1991)]
即時の蘇生及び外科的介入で生き永らえたそれらの患者のうち、およそ10〜
40%は様々な病的状態(例えば、全身性炎症、創傷感染、肺炎、敗血症、呼吸
不全、腎不全、凝固障害、及び膵炎を含む)に罹患する。出血及び輸血(輸液)
の必要が、特に術後感染、呼吸性合併症、及び多臓器系不全の危険性の増大に関
連しているようである[Agarwalら、Arch.Surg.128巻、171〜177頁(1993)、Duk
eら、Arch.Surg.128巻、171〜177頁(1993)、Tranら、前出]。
外傷性出血に起因するこれらの合併症の原因は、多因子性であって且つ相互に
関連したものである。多くの病的状態は、損傷後の全身性炎症に関連しうる。組
織に対する物理的外傷、直接的組織低灌流、ならびに内在性細菌の局在及び腸管
腔からの内毒素の吸収(低灌流及び/または胃腸管に対する他の損傷に起因する
もの)が、これら合併症の病因において役割を果たしているかもしれないという
仮説も提唱されている。病的状態の病態生理学におけるこれらの提案された因子
と、ヒトにおける急性出血性ショックに伴う晩発死との関連性は、しかしながら
明らかではない。
急性の外傷性出血は、血液量減少性ショック(すなわち、脈管内容量の減少に
起因するショック)の一因であるが、例えば、胃腸出血、腹腔内または後腹膜出
血、大腿部への出血、胸腔内出血、大動脈切開及び動脈瘤破裂などといった内出
血;例えば、腸または幽門の閉塞に起因する激しい嘔吐、激しい下痢、発汗、脱
水、過量な排尿(真性糖尿病、尿崩症、過量な利尿、または急性腎不全の利尿期
に起因するもの)、腹膜炎、膵炎、床性(planchnic)虚血、壊疽、火傷などに
起因する過量な流体遺失;例えば、神経系損傷、麻酔、神経節及びアドレナリン
遮
断剤、バルビツール酸塩投与過多、毒物などに起因する血管拡張;ならびに代謝
性、毒性、または体液性血管拡張(アディソン病など)、またはアナフィラキシ
ー反応などの数多くの他の潜在的原因もある。循環容量の遺失とは無関係の他の
ショックの原因には、心原性ショック(例えば、急性心筋梗塞、心タンポナーデ
など)、及び閉塞性ショック(例えば、急性肺塞栓症)が含まれる。[例えば、
Manual of Medical Therapeutics、第28版、Ewaldら編、Little,Brown and Com
pany、ボストン(1995);Cecil's Textbook of Medicine、第17版、Wyngaardenら
編、W.B.Saunders Co.、フィラデルフィア(1985)を参照のこと。]
以下の表Iに概略示すように、正常な個体は何の兆候や症状もなく血液容量の
20%を速やかに遺失することができる。血液容量の30%までを遺失するに伴
い、心血管窮迫の限局的な兆候が現れるが、血液量減少性ショックの兆候及び症
状が現れるのは一般に血液の損失量が30〜40%を越えた場合である。 患者は、1時間当たり20mL未満の排尿量となってしまう減尿症になること
が多い。ショックが初期の代償性期から進行段階へと進展するにつれ、理学的所
見が進行性のパターンに従うことが多い。第I段階では、拍出量の増大または全
身血管抵抗性の上昇などの生理的代償性機構が働いており、臨床症状や兆候は極
く僅かしか観察されない。第II段階では、これらの機構が有効に血液容量の喪失
を代償することができず、患者は低血圧、頻脈、及び換気亢進を呈することがあ
る。生命維持を担う器官の灌流の減少の結果、動揺から昏迷へ、そして昏睡に至
る範囲の精神状態の変化、尿排泄量の減少、及び心筋虚血(冠状動脈疾患の患者
の場合)が引き起こされうる。患者の外観も、チアノーゼ、悪寒、及び皮膚冷汗
を伴い、過剰の交感神経性排出(sympathetic discharge)を反映したものにな
る。第III段階は、不可逆性である場合があり、組織灌流の過剰且つ長期的な減
少によって、細胞膜機能の有意な変化、血球の凝集、及び毛細血管における「沈
積」へと導かれる。いまや血圧が高くなりすぎ、血流量が減少している生命維持
への重要性が比較的低い生命器官で血圧を維持するために、細胞損傷が引き起こ
されない程度での血管収縮が起こる。
外傷性出血後に、旧来の療法は、出血停止、ショックへの対処、そして血液容
量の復元に対して取り組むものである。即時的な流体蘇生は、好ましくは大末梢
血管に配置された口径の大きなカテーテルを通して行われる。空圧式抗ショック
衣(pneumatic antischock garment)で、脚部及び腹部の区画を15〜40mm
Hgに連続的に高めて末梢の全身血管耐性を増大させることにより、一時的に患
者が安定化するかもしれない。血液容量の回復は、電解質溶液;血漿タンパク質
、アルブミン、もしくはデキストランのコロイド溶液;または新鮮全血の静脈内
注入によって成し遂げることができる。緊急の状態にあっては、電解質溶液、ア
ルブミン、またはデキストランが、新鮮全血よりも、大量の液体が必要とされる
こと、血液型判定及び交差試験を行った場合の輸液の遅延の可能性、そしてアレ
ルギー性の輸液反応の可能性があることのために好ましい。ショックが出血に起
因する場合、可及的速やかに濃縮血球パックを与えるべきである。出血がひどい
場合には、血液型に特異的な、交差試験を行っていない血液を、安全に与えるこ
とができる。まれに、O型の血液が必要とされることがある。
リンゲル乳酸加液または通常生理食塩水溶液の迅速な注入が、出血後に最も広
く用いられる流体療法である。血液損失推定量の2〜3倍容量で初期注入が施さ
れる。これらの溶液は速やかに血管内及び血管外区画へ広く行き渡るので、コロ
イド溶液で供給しなければならない。大量の電解質溶液が注入される場合、とき
として患者に末梢性浮腫が発症することがあり、また年長患者に肺水腫が発症す
ることがある。
広く使用されているコロイド調製液は、6%の高分子量デキストラン(デキス
トラン70)、10%の低分子量デキストラン(デキストラン40)、及び5%
のアルブミンの生理食塩水溶液を含んでいる。デキストラン70の注入によって
、注入量をわずかに越える初期容量効果が引き出される。デキストラン70は、
1〜2日間かけてゆっくりと一掃され(cleared)、損失容量に置き換わる正常
な生理的機構のための時間が許容される。デキストラン40は、注入容量のほぼ
2倍の初期容量効果が達成されるという利点を有している。低分子量物質は、よ
り速やかに一掃されるが、容量の増大効果は24時間までに、正常な容量換機構
が最高に達する前に消散してしまう。デキストラン40が与えられた患者の数名
に、急性腎不全が発生している。いずれのデキストラン溶液を用いても、1リッ
トルを越える容量の場合、血小板の接着性及び正常な凝固カスケードを干渉する
ことがある。5%アルブミンを含む通常生理食塩水の溶液は、血液量減少症患者
において既知の容量効果を奏するという利点を有するが、この調製液は比較的高
価につき、また調製のために時間がかかる。1リットル当たり120ミリ当量の
乳酸ナトリウム、120ミリ当量の塩化ナトリウム、及び12.5グラムのアル
ブミンを含有する高張アルブミン調製液によって、予測可能な容量効果が提供さ
れ、そして間質液漏出が最低
限度に抑えられる。高張液を使用する場合、液体の過剰負荷を防ぐために動脈圧
及び中心静脈圧を注意深く監査する必要がある。鬱血性心不全、弁膜性心疾患、
心筋虚血、または腎機能不全などの併存する問題点を注意深く監査しなければな
らず、そして緊急の管理に際しては観血的な血行動態監視について考慮する必要
がある。随伴する凝固障害及び電解質の不均衡も、是正しなければならない。
BPIは、侵入してくる微生物に対する防御において必須の血液細胞である、哺
乳動物の多形核白血球(PMNまたは好中球)の顆粒から単離されたタンパク質で
ある。ヒトBPIタンパク質は、イオン交換クロマトグラフィー[Elsbachら、J.Bi
ol.Chem.、254巻、11000頁(1979)]または大腸菌アフィニティークロマトグラフ
ィー[Weissら、Blood、69巻、652頁(1987)]のいずれかと、酸抽出とを併用し
てPMNから単離されている。このようにして得られたBPIを、本明細書中では天然
型BPIと称するが、これは広範囲にわたるグラム陰性細菌に対して強力な殺菌活
性を有することが示されている。ヒトBPIの分子量はおよそ55,000ダルトン(55k
D)である。ヒトBPIタンパク質全体のアミノ酸配列、及びかかるタンパク質をコ
ードするDNAの核酸配列は、Glayら、J.Biol.Chem.、264巻、9505頁(1989)の図1
にて報告されており、かかる文献を引用することにより、本明細書に組み入れる
こととする。Grayらのアミノ酸配列を、本明細書中では配列番号:1で示す。米
国特許第5,198,541号には、BPIホロタンパク質及びBPIの断片を含むBPIタンパク
質をコードする組換え遺伝子と、その発現のための方法を開示している。
BPIは、強い陽イオン性のタンパク質である。BPIのN−末端半分は、高い正の
実効電荷を担い、この分子のC−末端半分は、-3の実効電荷を有している[Elsb
ach及びWeiss(1981)、前出
]。約25kDの分子量を有するBPIのタンパク質分解N−末端断片は、天然に由来
する55kDのヒトBPIホロタンパク質の抗菌効力を本質的にすべて保有している。
[Ooiら、J.Biol.Chem.、262巻、14891〜14894頁(1987)]。N末端部分とは対照
的に、単離されたヒトBPIタンパク質のC末端領域は、グラム陰性生物に対して
、ほんのわずかに検出可能な抗細菌活性を呈するに過ぎない。[Ooiら、J.Exp.M
ed.、174巻、649頁(1991)]。「rBPI2。」と称される、およそ23kDのN−末端BP
I断片が、組換え法によって製造されており、これもグラム陰性生物に対する抗
細菌活性を保有している。Gazzano-Santoroら、Infect.Immun.、60巻、4754〜47
61頁(1992)。
BPIの殺菌効果は、例えばElsbach及びWeiss、Inflammation:Basic Principles
and Clinical Correlates、Gallinら編、30章、Raven Press,Ltd.(1992)にお
けるごとく、グラム陰性の種に特異性が高いとの報告がなされている。BPIがグ
ラム陰性細菌を殺傷する際の正確な機構はいまだ完全には解明されていないが、
まず、陽イオン性BPIタンパク質とLPS上の陰性に荷電した部位との間の静電気的
相互作用及び疎水性相互作用を通して、細菌の表面にBPIが結合しなければなら
ないと考えられている。感受性のグラム陰性細菌において、BPIの結合はLPS構造
を崩壊させ、リン脂質及びペプチドグリカンを分解する細菌酵素の活性化を惹起
し、細胞外膜の透過性を変化せしめ、そして、最終的には細胞死へと導く事象を
開始させると考えられる。[Elsbach及びWeiss(1992)、前出]。LPSは、それが
刺激する強い炎症応答(すなわち、回復不能の内毒性ショックを最終的には引き
起こしうる宿主炎症細胞によるメディエータの放出)のゆえに、「内毒素」と称
されている。BPIはリピドAに結合するのであるが、これはLPSの最も毒性が強く
且つ最も生物学的活性を有
する成分であると報告されている。
BPIタンパク質はこれまでに、外傷に起因する出血または外傷性の血液喪失に
伴うショック(すなわち、血液減少性ショック)に罹った患者の処置のために用
いられたことはなかった。Bahramiらは、1992年8月のウイーン国際内毒素学会
での発表において、出血させたラットへのBPIタンパク質の投与を報告している
。Yaoら、Ann.Surg.221巻、398〜405頁(1995)は、180分間にわたって長期出
血傷害にさせたラットにrBPI21(後述する)を投与し、その後蘇生したことを報
告している。米国特許第5,171,739号、5,089,724号及び5,234,912号は、内毒素
関連ショックを含む内毒素関連疾患の処置方法に相関関係があることが表明され
た様々なin vitro及びin vivoの動物モデル試験におけるBPIの使用を報告してい
る。共有で係属中の、1995年1月24日に出願せる米国特許出願第08/378,228号、
1994年8月16日に出願せる第08/291,112号、及び1994年1月24日に出願せる第08
/188,221号(引用することにより本明細書に組み入れる)には、血液循環中に内
毒素を有するヒトへのBPIタンパク質産物の投与が記載されている。[von der M
ohlenら、J.Infect.Dis.172巻、144〜151頁(1995);von der Mohlenら、Bloo
d 85巻、3437〜3443頁(1995);de Winterら、J.Inflam.45巻、193〜206頁(199
5)も参照されたい]。共有で係属中の、1995年5月10日に出願せる米国特許出願
第08/644,287号には、重篤な髄膜炎菌血症に罹患したヒトに対するBPIタンパク
質産物の投与が記載されていた。
抗生物質及び到達水準技術による医療集中治療での療法を用いた処置にも関わ
らず、外傷に起因する出血に伴う死亡及び病的状態は重大なる問題のままであり
、現行の療法によっては解決に至っていない。劣悪事象を減じるか緩和すること
ができ、
そして、かかる患者の臨床的予後を改善することができる新しい治療法が希求さ
れる。
発明の要約
本発明は、外傷に起因する出血に見舞われたヒトの処置のための新規な方法を
提供するものであり、この方法は、かかるヒト疾患の劣悪事象や、これに伴う合
併症(死亡及び余病または病的状態を含める)を臨床的に立証可能なまでに軽減
するために、BPIタンパク質産物を投与する工程を含むものである。
本発明によれば、死亡を防ぐのに、ならびに/または、感染(例えば、施術部
位感染)もしくは臓器機能障害(例えば、汎発性血管内凝固、急性呼吸窮迫症候
群、急性腎不全、または肝胆道系機能障害)を包含する、合併症もしくは病的状
態の発症率(すなわち、発生率)もしくは重篤さを低減するのに充分な量にて、
rBPI21などのBPIタンパク質産物が、急性外傷性出血に見舞われたヒトに投与さ
れる。
さらに企図されるのは、外傷に起因する出血に見舞われたヒトの処置用の医薬
調製におけるBPIタンパク質産物の使用である。
現在のところ好ましい実施態様を記載した、以下の発明の詳細な説明を当業者
が考慮すれば、本発明の数多くのさらなる特徴及び利点が明らかになるであろう
。
図面の簡単な説明
図1は、rBPI21及び偽薬処置群における劣悪事象の発生率を示す図である。
発明の詳細な説明
外傷に起因する急性出血は、到達水準技術の医療集中治療にもかかわらず、有
意な死亡及び重篤なる病的状態を伴う、生命を脅かす病態である。急性外傷性傷
害(穿通性及び/または非穿通性(blunt)外傷など)に起因する出血に見舞わ
れたヒトにBPIタンパク質産物を投与すると、効率的に死亡率を低下させ、外傷
に起因する出血の結果として起こるかまたはそれに伴う合併症または病的状態の
発症率(発生率)またはその重篤さを減じることが予測される。合併症には、感
染(例えば、施術部位、創傷、臓器、解剖空間(anatomical space)、血流、尿
管、もしくは肺におけるもの)または臓器機能障害(例えば、汎発性血管内凝固
、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、急性腎不全、または肝胆道系機能障害)が
含まれ、そして重症の合併症も含みうる。さらなる合併症として、ARDS及び
肺炎を含む肺機能障害が挙げられる。外傷に起因する出血の結果起こるかそれに
伴う、死亡率及び合併症に対する思いがけないこれらの効果は、この病態におけ
る劣悪な予後へと導いている、あまり理解はされていない数多くの多様な病態生
理学的プロセスを、BPIタンパク質産物が有効に干渉または阻止することを示す
ものである。BPIタンパク質産物は、臓器機能障害及び重症感染の処置または予
防における補助的療法として用いてもよい。BPIタンパク質産物は、傷害重篤性
スコアの低減、補助換気及び筋収縮(血管作用性)療法の期間の短縮、併発する
凝固障害の期間及び重篤さの低減、ICUでの滞在期間の短縮、病院での滞在期
間全体の短縮、ならびに凝固障害、呼吸不全、腎不全、肝不全、昏睡または精神
状態の変化、副腎壊死、そして創傷、臓器、解剖空間、血流、尿管、もしくは肺
での感染を含む重篤な感染などの合併症の発生率及び期間の減少などといった、
外傷に起因
する出血に見舞われた患者に対して有益な効果を提供することが予期される。
BPIタンパク質産物を含む治療用組成物は、全身に、あるいは局所に投与する
ことができる。全身投与の経路には、経口、静脈内、筋肉もしくは皮下注射(長
時間放出用のデポ剤に含有せしめられる)、眼内及び眼球後部、鞘内、腹膜組織
内(例えば腹腔組織内灌流による)、エアゾル化もしくは霧状にした薬物を用い
た経肺、または経皮経路が包含される。好ましい経路は静脈内投与である。非経
口的に投与される場合、BPIタンパク質産物組成物は一般に、1日当たり1μg/
kgから100mg/kgの範囲の量で、好ましくは1日当たり0.1mg/kgから20mg/kgの
範囲の量で、さらに好ましくは1から20mg/kg/日の範囲の量で、そして最も好ま
しくは2から10mg/kg/日の範囲の量で注射される。処置は、外傷を受けた直後か
、または外傷を受けた後所定時間以内(例えば、外傷後6、12もしくは24時
間以内、または例えば外傷後48〜72時間程度の、処置担当の医師によって決
定される臨床的に妥当な期間以内を含む)に直ちに開始されるとよい。現在のと
ころ好ましいのは、48〜72時間継続して1日当たり4〜6mg/kgの用量にてB
PIタンパク質産物を継続的に静脈内注入することである。この処置は、継続的注
入または間欠的注射もしくは注入によって継続されるとよく、同時に、例えば1
〜3日の間に、1日当たりの用量を減少または増加してもよく、そしてさらには
、処置担当の医師が決定するとおりにするとよい。あるいは、BPIタンパク質産
物は、最初に丸薬により、次いで継続的な注入によって静脈内に投与される。か
ような投薬計画の一例は、BPIタンパク質産物の静脈内用丸薬で1〜20mg/kg、次
いで1〜20mg/kg/日にて、静脈内注入を1週間まで継続するものである。かよう
な投薬計画の別の例は、最
初の丸薬が2〜10mg/kgで、次に2〜10mg/kg/日の静脈内注入を72時間まで継続
することである。局所経路には、潅注液(例えば創傷、または胸腔内もしくは腹
腔内の潅注用)での投与が包含される。他の局所投与経路には、軟膏、眼用滴剤
、耳用滴剤、または医療用シャンプーの剤形での投与が包含される。例えば、滴
剤の剤形での局所投与については、約10〜200μLのBPIタンパク質産物組成物が
、処置担当の医師によって決定されるとおりに、1日当たり1回以上適用される
とよい。当業者であれば、良好な医療実務及び個々の患者の臨床状態によって判
定されるとおり、BPIタンパク質産物を含む治療用組成物に対する有効投与量及
び投薬計画を難なく至適化できるはずである。
本明細書において用いられる「BPIタンパク質産物」なる語には、天然に、及
び組換えにより製造されるBPIタンパク質;天然、合成、及び組換えの、BPIタン
パク質の生物学的活性を有するポリペプチド断片;ハイブリッド融合タンパク質
及びダイマーを含む、BPIタンパク質の生物学的活性を有するポリペプチド変異
体またはその断片;システインで置換された類似体を含む、BPIタンパク質の生
物学的活性を有するポリペプチド類似体またはその断片または変異体;ならびに
BPI由来ペプチドが包含される。本発明に従って投与されるBPIタンパク質産物は
、当該技術分野において知られているいかなる手段によって生産及び/または単
離してもよい。引用することによりその開示が本明細書に含まれるものである、
米国特許第5,198,541号に、rBPI50(またはrBPI)と称される組換えBPIホロタン
パク質及びBPIの組換え断片を含むBPIタンパク質をコードする組換え遺伝子、及
びその発現のための方法が開示されている。共有であり係属中の米国特許出願第
07/885,501号及びその一部継続出願である1993年5月19日出願の米国特許出願第0
8/072,063号及び1993年5月19日
出願の対応国際出願第93/04752号(すべて引用することによりその開示が本明細
書に含まれるものである)は、培養において遺伝的に形質転換した哺乳動物宿主
細胞で発現され、そして当該細胞から分泌される組換えBPIタンパク質産物の新
規精製方法を開示しており、また、安定で均質な医薬製剤に配合するのに好適な
、大量の組換えBPI産物をどのように製造するかを開示している。
BPIの生物学的活性を有する断片(BPI断片)には、その断片分子が、ホロタン
パク質のアミノ末端アミノ酸、内部アミノ酸、及び/またはカルボキシ末端アミ
ノ酸を欠くことを除いては、天然のヒトBPIホロタンパク質と同じまたは類似の
アミノ酸配列を有する、生物学的活性を有する分子が包含される。このような断
片の例に、Ooiら、J.Exp.Med.、174巻、649頁(1991)に記載されるおよそ25kDの
天然ヒトBPIのN-末端断片、及びGazzano-Santoroら、Infect.Immun.60巻、475
4〜4761頁(1992)に記載され、rBPI23と称されている天然ヒトBPIの第1位よりお
よそ第193または199位までのN-末端アミノ酸をコードするDNAの組換え発現産物
が包含されるが、これらに限定されるものではない。かかる出版物において、Gr
ayら、前出の図1に示されるごとき、31残基のシグナル配列及び成熟ヒトBPIの
N-末端の最初の199アミノ酸を有する組換え発現産物(rBPI23)をコードするDN
A(第151位のバリンがGTCでなくGTGで特定され、第185位の残基がリジン
(AAGで特定される)でなくグルタミン酸(GAGで特定される)であるとい
う例外を含む)の供給源として、発現ベクターが用いられた。Grayら、前出の図
1に示される配列(配列番号:1及び2)(rBPI23について注解した例外、及び
第417位の残基がバリン(GTTで特定される)でなくアラニン(GCTで特定
される)であるという例外を含む)を
有する組換えホロタンパク質(rBPI50)も製造されている。他の例には、共有で
あり係属中の1994年3月11日出願の米国特許出願第08/212,132号及び対応国際出
願第PCT/US95/03125号(引用することによりその開示が本明細書に含まれるもの
である)に記載されるごとき、BPI断片の二量体型が包含される。好ましい二量
体産物には、その単量体がBPIホロタンパク質の約1〜175位から、約1〜199位ま
でのN−末端残基を有するアミノ末端BPI断片である、二量体BPIタンパク質産物
が包含される。特に好ましい二量体産物は、rBPI42二量体と命名された、第1位
から193位までのN−末端残基を有する、BPI断片の二量体型である。
BPIの生物学的活性を有する変異体(BPI変異体)には、BPIホロタンパク質ま
たはその生物学的活性を有する断片、及び他のポリペプチドの少なくとも一部を
含む組換えハイブリッド融合タンパク質、ならびにBPI変異体の二量体型が包含
されるが、これらに限定されない。このようなハイブリッド融合タンパク質及び
二量体型の例は、共有であり係属中の米国特許出願第07/885,911号(Theofanら
による)及びその一部継続出願である1993年5月19日出願の米国特許出願第08/06
4,693号と1993年5月19日出願の対応国際出願第US93/04754号(引用することに
よりそれらのすべてが本明細書に含まれるものである)に記載されており、アミ
ノ末端端部でBPIタンパク質またはその生物学的活性を有する断片、及びカルボ
キシ末端端部で少なくとも1つの免疫グロブリン重鎖の定常ドメインまたはその
対立変異体を含む、ハイブリッド融合タンパク質が包含される。リポ多糖結合タ
ンパク質(LBP)の一部またはすべてを含み、同様に構成されたハイブリッド融
合タンパク質もまた、本発明における使用が企図されるものである。
BPIの生物学的活性を有する類似体(BPI類似体)には、1以
上のアミノ酸残基が異なるアミノ酸に置換されているBPIタンパク質産物が包含
されるが、これらに限定されない。例えば、共有で係属中の1993年2月2日に出願
された米国特許出願第08/013,801号及び1994年2月2日に出願された対応国際出願
第US94/01235号(引用することによりその開示が本明細書に含まれるものである
)に、システイン残基が異なるアミノ酸で置換されたBPI及びBPI断片のポリペプ
チド類似体が開示されている。この出願に記載された好ましいBPIタンパク質産
物は、BPIホロタンパク質のN-末端アミノ酸の第1位からおよそ第193または199
位までのアミノ酸をコードするDNAの発現産物(但し、第132番目のシステイン残
基がアラニンで置換されており、rBPI21ΔcysまたはrBPI21と名付けられている
)である。他の例としては、BPI類似体の二量体型、例えば、1994年3月11日に出
願された、共有であり係属中の米国特許出願第08/212,132号及び対応国際出願第
US95/03125号(引用することによりその開示が本明細書に含まれるものである)
が挙げられる。
本発明の方法に有用な他のBPIタンパク質産物は、1995年7月20日出願の、共有
且つ係属中の米国特許出願第08/504,841号及び1994年9月15日出願の米国特許出
願第08/306,473号に対応する、1994年9月15日に出願された共有で係属中の国際
出願第US94/10427号、及び1994年3月11日に出願された米国特許出願第08/209,76
2号に対応する、1994年3月11日出願の国際出願第US94/02465号、これは1994年1
月14日出願の米国特許出願第08/183,222号の一部継続出願であり、さらにこれは
1993年7月15日出願の米国特許出願第08/093,202号の一部継続出願であって、こ
れに対応するのが、1994年3月11日に出願された国際出願第US94/02401号で、こ
れは1993年3月12日出願の米国特許出願第08/030,644号の一部継続出願である(
これらはすべて、引用することによ
りその開示が本明細書に含まれるものである)に記載されたものなどの、組換え
もしくは合成手段によって生産されたBPIに由来するか、またはかかるBPIに基づ
くペプチド(BPI由来ペプチド)である。
現在のところ好ましいBPIタンパク質産物には、組換えによって製造されるBPI
のN-末端断片、特にrBPI23もしくはrBPI21などの、およそ21から25kDのあいだ
の分子量を有するもの、または、これらN-末端断片の二量体型(例えば、rBPI4 2
二量体)が包含される。加うるに、好ましいBPIタンパク質産物には、rBPI50及
びBPI由来ペプチドが包含される。特に好ましいのは、rBPI21である。
BPIタンパク質産物の投与は、好ましくは、BPIタンパク質産物と、医薬上容認
されうる賦形剤、佐剤、または担体とを含む医薬組成物を用いて成し遂げられる
。BPIタンパク質産物は、既知の界面活性剤、他の化学療法剤もしくはさらなる
既知の抗微生物剤と組み合わせて、またはそれらと組み合わせることなく投与さ
れるとよい。BPIタンパク質産物(例えば、rBPI50、rBPI23)を含有する医薬組
成物の一つは、0.1重量%のポロキサマ−188(Pluronic F-68、BASF Wyandotte
、Parsippany)ニュージャージー州)及び0.002重量%ポリソルベート80(Tween
80、ICI Americans Inc.、Wilmington、デラウェア州)を含むクエン酸緩衝性
生理食塩水(5または20mMクエン酸塩、150mM NaCl、pH 5.0)中に、1mg/mlの濃
度でBPIタンパク質産物を含むものである。BPIタンパク質産物(例えばrBPI21)
を含有する他の医薬組成物は、5mMクエン酸塩、150mM NaCl、0.2%ポロキサマ
ー188及び0.002%ポリソルベート80中に2mg/mlの濃度でBPIタンパク質産物を含
むものである。このような組合せが、1994年2月2日出願の米国特許出願第08/190
,869号及び1993年2月2日
出願の米国特許出願第08/012,360号に対応する、共有で係属中の、1994年2月2日
出願の国際出願第US94/01239号に記載されており、これらはすべて引用すること
によりその開示が本明細書に含まれるものである。
本発明の他の特徴及び利点は、以下の実施例を考慮することで明らかになるで
あろう。実施例1に、外傷に起因する出血に伴う死亡及び合併症に対する、ヒト
でのBPIタンパク質産物投与の効果を示す。
実施例1
臨床試験のプロトコル−
BPIタンパク質産物の治療効果
外傷に起因する急性出血に見舞われた患者の処置における、BPIタンパク質産
物の一例としてのrBPI21の効果を調べるために、ヒト臨床試験を設計した。すな
わち、外傷に起因する急性出血に見舞われた患者で、48時間にわたって行われ
たrBPI21での処置と偽薬処置とを比較する、複数医療[研究]センターにまたがり
、無作為化され、二重盲検とした偽薬での対照に基づく試験が実施された。外傷
に起因する急性出血で救急治療部を訪れ、少なくとも2単位の輸血を必要として
いるおよそ400名の患者が、rBPI21または偽薬のいずれかでの処置のために1
:1に無作為化された。標準的な療法に加えて、各患者は48時間にわたり、8
mg/kg(4mg/kg/日で2日間)にてrBPI21の継続的静脈内注入か、または同容量
の偽薬の注入を受けた。ほとんどの場合、患者の体重のキログラム数は最良推定
値として定量された。
第1日から第15日まで、臓器機能の障害及び感染などの合併症について、な
らびに生存についての追跡を行うことによっ
て有効性を監査した。安全性は、化学及び血行動態パラメータの処置前及び連続
的処置後試験によって監査し、さらに15日間にわたり劣悪事象についての評価
を毎日行って監査した。生存及び劣悪な合併症の最終評価は、第29日に下した
。
外傷に起因する急性出血で病院に連れて来られた患者を、以下の包含及び除外
の基準に見合うか否かで、試験への参入について選択した。包含基準は、
(1)18歳(または承諾年齢(age of consent))から75歳までの年齢を包
含;
(2)外傷に起因する急性出血に見舞われた患者;
(3)外傷事件発生の6〜12時間以内に試験薬物が投与される(事件発生の正
確な時間が不明な場合は、最良推定値を採用);
(4)患者は、第2単位の濃縮赤血球パックを必要とし、それを受け始めている
;ならびに
(5)患者が口頭でのインフォームドコンセントを行っているか、または最近親
者が書面のインフォームドコンセントを提出していること
であった。除外基準は、
(1)選別改訂外傷スコア(Triage Revised Trauma Score、TRTS、スケー
ル0〜12)が、救急処置部への入院時に2.0未満である(下記表IIを参照さ
れたい)[Championら、Crit.Care Med.9巻9号、672〜676頁(1981);Greenfiel
dら、Surgery Scientific Principles and Practices J.B.Lippincott Co.、
フィラデルフィア、252〜255頁(1993)];
(2)重篤な頭部外傷(グラスゴー昏睡スコア(GCS)≦5または同等の明示
がある、下記表IIIを参照されたい)[Teasdaleら、Lancet 1巻、81頁(1974)]
;
(3)孤立性頭蓋損傷;
(4)麻痺を伴う脊髄損傷;
(5)体表面積の少なくとも20%が2度の火傷を負っている熱火傷;
(6)HIV陽性がわかっている(参加時の試験が不可欠なわけではない);
(7)腎臓病の現症歴がわかっている(クレアチニン>2.0);
(8)心疾患の現症歴がわかっている(ニューヨーク心関連等級(NY Heart Ass
ociation class)がIIIを越える、下記表IVを参照されたい)[Braunwald、Brau
nwaldらのHeart Disease,The Textbook of Cardiovascular Medicine、第3版
、W.B.Saunders Company)フィラデルフィア、ペンシルバニア、12頁(1988);J
.Am.Med.Ass'n 249巻、539〜544頁(1988)];
(9)内臓における原発性または転移性の悪性部の現症歴がわかっている;
(10)動脈pH(最初の評価値)<6.8または塩基欠乏>15(測定した場合
);
(11)ステロイド療法が現在行われていることがわかっている(1カ月以上、1
日当たり>10mgのプレドニゾロン);
(12)硬変症または急性肝炎の現症歴がわかっている;
(13)妊娠または授乳;
(14)過去30日以内における他の治験薬試験への関与(治験用血液産物を含む
);
(15)120kgを越える体重(推定値);ならびに
(16)「蘇生処置をするな」(DNR)またはこれと同等の要望がある
ことであった。 *TRTSは、RR、SBP及びGCSに対するコードの合計(0〜12の範囲)である。 *スコアは、3〜15の範囲である。 以下の項目が、処置につき無作為化されたすべての患者について記録された。
(1)事件発生の日付及び推定時間、ならびに救急治療部への
入院時間;(2)無作為化された患者が処置を受けない場合、処置を受けない理
由;(3)病院到着時から術後およそ48時間までの、救急治療部、手術室、麻
酔後介護室、または外科手術集中治療室などの場所で患者が、血液、血液産物、
そして濃縮赤血球パック、全血、自己輸血、血小板、新鮮凍結血漿、クリスタロ
イド、コロイドなどの流体投与を受けた、日付、時間、容量、及び部位;但し、
患者が手術を行わなかった場合、前記の該当項目は試験日第1、2及び3日目に
集められた;(4)第2単位の血液が投与された日付及び時間(手術前にすべき
であったもの、出血が外傷に起因するのであって手術によるのではない場合)、
そして麻酔の日付ならびに開始及び終了時間;(5)手術の開始及び終了時間、
手術室での血液損失量の推定値、そして麻酔後介護室にいた日付及び時間;(6
)注入が開始及び終了した日付及び時間、注入容量、ならびに一時的または長期
的中止の理由;該当の場合、そして中止された場合、注入された量:(7)管理
下にあった(directed)病歴(傷害の程度及び本質、併発症、出血に寄与する状
態等を含む)、性別、年齢、体重(推定値または測定値)、身長(推定値または
測定値)、生命兆候、傷害の身体的徴候などの人口統計学的検査及び管理下の身
体検査についての情報;(8)相応な女性患者(子供を出産する可能性を有する
すべての女性、すなわち、外科的に不妊か、または月経開始後であることの証拠
書類が提出されているかのいずれかでない全女性)の適格性についてスクリーニ
ングする際に実施される妊娠テストの結果;ならびに(9)適格性についてのス
クリーニングに際して実施されたTRTSの結果(実測値を含む)。
第2単位の血液の輸血が開始された後、調査者は連番の順にキットから、知ら
されていない被験薬を投与した。各々のキッ
トには、rBPI21または偽薬のいずれかが含まれていた。rBPI21は、清澄、無色、
滅菌済みの、発熱物質を含まない溶液として、10mLの使い捨てガラス製バイアル
の中に、0.2%ポロキサマー188及び0.002%ポリソルベート80を含み、防腐剤を
含有しない5mMクエン酸ナトリウム/0.15M塩化ナトリウム緩衝液、pH5.0中2mg/m
lの濃度で供給された。投与前には常時、保存のためにrBPI21のバイアルは2〜
8℃に冷却された。偽薬は、10mLの使い捨てガラス製バイアルの中に、清澄、無
色、滅菌済みの、発熱物質を含まない溶液として供給された。この偽薬は、防腐
剤を含有しない5mMクエン酸ナトリウム/0.15M塩化ナトリウム緩衝液、pH5.0中
に0.2mg/mLのヒト血清アルブミンを含むものであった。偽薬も、投与前には常時
、2〜8℃に冷却して保存された。各患者に割り当てられたキットは、その患者
に対する全投与量に充分な数の被験投薬バイアルを含んでいた。各バイアルは、
10mLの被験物を含有していた。
以上概説したとおりに、試験は2群(「活性」rBPI21及び偽薬対照群)に対し
て行われた。被験薬物は、注入に先駆けて室温に戻された。投薬処理が行われて
いる間ずっと、静脈内投与のために良好な無菌的手技に従って実施された。被験
薬物は中心または末梢静脈へ、48時間にわたって静脈内注入によって投与され
た。注入バッグ/チュービング投与セットは、24時間後に完全に交換された。
静脈内に適切に進入しているか否かは、進入部から血液を容易に引き出せること
と、さらに浸潤することなく静脈内用流体の注入が容易に行えることによって判
定した。被験薬物は、注入プロトコルの期間中、選択された部位に投与された唯
一の物質であった。静脈の進入部位はヘパリン処理されなかったが、必要に応じ
て生理食塩水を流した。患者の症例記録書及び原書類に、注入部位での反応の何
らかの兆
候で悪いものとして記録されたことはなかった。
選択された試験部位で処置された患者は以下の項目について評定される。
(1)rBPI21の血中レベル:rBPI21レベルの評定用の血液は以下の時間に採取す
る(選択された被験部位のみで採取):注入開始前(注入開始の60分前まで)
、注入開始後の以下の時間;7分(48:07)、15分(48:15)、30分(48:30
)1時間(49:00)、3時間(51:00)、6時間(54:00)及び24時間(72:00)
;
(2)rBPI21に対する抗体:選択された被験部位で、rBPI21に対する抗体の評定
用の血液を以下の時間に採取する:薬物注入前第1日、患者が病院に依然滞在し
ているか、または診療室に戻ってきた場合、第15及び29日(実際の採取日は
第10〜20日と第21〜29日に変わってもよい);ならびに
(3)サイトカイン:サイトカインの評定用の血液は、選択された被験部位から
採取される。
以下の安全性実験室パネルを、被験薬物注入前第1日、第3日(注入終了後)
及び第8日に評定したが、患者が第8日またはそれより前に退院の場合には、可
能であれば退院前に評価を行った:
(1)血行動態学的パネル:ヘモグロビン、ヘマトクリット、赤血球数、白血球
数及び数差、ならびに血小板数;
(2)血清化学パネル:ナトリウム、カリウム、塩化物、カルシウム、リン、血
液尿素窒素、クレアチニン、尿酸、グルコース(絶食時)、CPK、コレステロ
ール、アルブミン、総タンパク質、AST(SGOT)、ALT(SGPT)、
ビリルビン(総量)、GGT、LDH、及びアルカリホスファターゼ。
被験薬物の注入開始開始後第15日及び/または第29日に
至るまで、処置患者全員につき以下の項目を記録した:
(1)劣悪事象(第29日まで継続);(2)死亡日及び死因を含む生存状態(
第29日まで継続);(3)ICU滞在日数(第29日まで継続);(4)入院
日数(第29日まで継続);(5)換気装置設置日数;(6)透析または血液濾
過実施日数、指定方法(第29日まで継続);(7)輸血された血液の毎日の量
を含む、併用薬物療法(第15日または第29日まで継続);(8)実施された
主要な外科的処置、例えば、再手術を含むが、中心線、スワン・ガンツカテーテ
ル、動脈線(arterial line)の設置は除く;腰椎穿刺等(第15日まで継続)
;(9)現在の病院滞在中に実施される診断評価に基づく傷害重篤性スコア(I
SS);(10)臓器機能障害及び感染の有無の毎日の評定(第15日まで継続
):(11)毎日の最高体温及び毎日の最低体温に関わり、これらを含む、毎日
の生命兆候(第15日まで継続);ならびに(12)少なくとも8時間ごとの、
被験薬物投与に用いられた注入部位の視診と、経過記録(カルテ)またはこの同
等物に文書化された所見。
臓器機能障害は、以下の限定項目を用いて評定した。患者は、以下に該当する
場合、汎発性血管内凝固(DIC)ありと考えられた。
(1)血小板の数値が異常に低く(すなわち、予め記録されていた数値に対する
減少率が25%を越える)且つ、プロトロンビン時間が上昇しているかもしくは
部分トロンボプラスチン時間が上昇しているかのいずれかで、且つ出血の臨床的
証拠がある、または(2)得られた場合に、確認試験の結果が陽性である(FD
P>1:40またはD-ダイマー>2.0である)。これらの異常は、肝不全、主血腫
、または抗凝固療法などの医療上重要な交絡因子がない場合に起こっているもの
でなければならない
。
患者は、肺水腫に一致した双側性肺浸潤があり、PaO2/FiO2<である場合に急
性呼吸窮迫症候群(ARDS)であると考えられた。これらの兆候は、鬱血性心
不全または肺塞栓もしくは肺炎などの主要な肺疾患がない場合に起こるはずのも
のである。肺動脈楔入圧(PAWP)を測定した場合、これは18mmHgを下回っ
ていなければならない。
患者は、以下の場合に急性腎不全(ARF)であると考えられた。
(1)透析または血液濾過が必要であった(最初の分析について用いられた定義
)、または(2)正常のクレアチニン基底値が文書化されていた患者で2.0mg
/dL以上増大して、血清クレアチニンが異常になった、または(3)腎機能不全
になっていなかったことはわかっているが、基底値の(外傷前の)クレアチニン
がわかっていない患者で、血清クレアチニンが3.0mg/dL以上であった、また
は(4)以前より腎機能不全であった患者で入院時もしくはrBPI21処置前のレベ
ルよりクレアチニンが倍加していた。これらの所見は本来腎前性のものであった
り(例えば、脱水または胃腸管出血に関わる)あるいは、横紋筋融解に起因する
ものであったりするはずはない。
外科手術後の肝胆機能障害(HBD)は、最初に肝疾患(例えば、肝炎または
肝硬変)、アルコール中毒症、または胆管疾患がなかった患者でのみ評価を行っ
た。患者は、ビリルビンが3.0mg/dLを越え、そしてアルカリホスファターゼ
、ガンマグルタミルトランスペプチダーゼ(GGT)、アラニンアミノトランス
フェラーゼ(ALT、もしくはSGPT)またはアスパラギン酸アミノトランス
フェラーゼ(AST、もしくはSGOT)のいずれかが正常値の上限の2倍を越
えた場合に肝胆機能
障害を有すると考えられた。これらの所見は、交絡疾患がない場合に起こるはず
のものである。
患者は、創傷、施術部位(表層及び切開深部の双方)、臓器、解剖空間、血流
(菌血症)、尿管、もしくは呼吸器(肺炎)における感染についても評価された
。
医師(主要調査者)には、各臓器機能障害の定義を提供し、そして、処置前及
び第1〜15日までの間毎日、
(a)その提供された定義に従い、各臓器機能障害が「あり」、「臨床的にあり
」、「なしまたは臨床的にあり」、または「不明」のいずれであるか、そして
(b)その定義が適合するか否かに関わらず、その定義により必要とされる実際
の実験室データまたは臨床データで得られる者すべてを記録するように依頼した
。調査者には、感染の定義も提供して、(a)第1〜15日の間に各タイプの感
染が「あり」または「なし」のいずれであったか、そして(b)「あり」の場合
、その定義により必要とされる実際の培養または臨床データを記録するように依
頼した。
これらの最終状況(endpoint)のさらに客観的な分析のために、そして独立し
たデータ安全性監査会(Data Safety Monitoring Board)の推奨に鑑み、各定義
に必要とされる実際の実験室、臨床及び培養データを用い、同様の臓器機能障害
及び感染の定義を満たすために、50%累増時の最初の有効性暫定分析(effica
cy interim analysis)に先駆けて、コンピュータープログラムを開発した。ア
ルゴリズム的処理で、各臓器機能障害を処置前及び第1〜15日の間、「あり」
、「臨床的にあり」、「なしまたは臨床的にあり」、または「不明」として定義
した。各臓器機能障害は、定義により必要とされる特定の最低限の評定が、ある
日に提供されなかった場合に、その日は「不明
」として定義された。ある日の「あり」に対する定義は、すべての評定がなされ
ており、そして特定の臓器機能障害に対するそれぞれの基準に各評定が適合した
ことを必要とした。このように、ある日1以上の必要な評定が欠けていた患者は
、その日の臓器機能障害に対する「あり」の定義に適合するものとして分類され
ることはできなかった。評定が不完全な日には、各々の欠けなかった評定がその
臓器機能障害に対するそれぞれの「あり」の基準に適合していれば、臓器機能障
害は「臨床的にあり」として分類された。従って、「臨床的にあり」とは、不完
全な証拠に基づけばその日は臓器機能障害が存在したかもしれないこと、そして
矛盾するような証拠はその日にまったく記録されなかったことを含意している。
重症のARFは、第1〜15日の間の少なくとも1日に透析/血液濾過が行われ
たものとして定義されたので、「臨床的にあり」というのは重症のARFには適
用されえなかった。その日に「あり」、「臨床的にあり」または「不明」に対す
るいずれの定義にも適合しない場合に、臓器機能障害は「なしまたは臨床的にあ
り」と考えられた。臓器機能障害が「あり」または「臨床的にあり」の前処置を
有するとして分類された患者には、第1〜15日の間に主要な最終状況に適合し
ているとして分類されるために、別の合併症による主要な最終状況を満たしてい
ることが必要とされる。
感染については、アルゴリズム的アプローチによって、第1〜15日の間に「
あり」または「なし」として各々の感染が定義された。「あり」に対する各々の
定義は、提供されたデータに従って、第1〜15日の問の少なくとも1日に、そ
の定義が厳密に適合していることが要求された。患者が感染の「あり」の定義に
適合しない場合には、その患者は当該感染に対して「なし」として分類された。
重症の合併症は、以下の重症の感染の発生として定義された。
(1)切開深部切開施術部位感染、(2)臓器または解剖空間感染、(3)第二
次血流感染、(4)第一次血流感染、(5)肺炎;
または以下の重症の臓器機能障害:
(1)汎発性血管内凝固(DIC)または凝固障害、(2)急性呼吸窮迫症候群
(ARDS)、(3)透析もしくは血液濾過を要する急性腎不全(ARF)、及
び(4)肝胆機能障害(HBD)。
患者は合併症の数に関わらず、合併症への罹患としてカウントされた。
19箇所に及んで、1411名の患者がスクリーニングされて401名の患者
が被験群に無作為選出され、そして治療を受けた。これら401名の患者のうち
、199名が偽薬処置を受け、そして202名がrBPI21処置を受けた。31名の
患者(15名が偽薬で16名がrBPI21処置)が、被験薬物の完全な投与を受けな
かった。12名の患者(6名が偽薬で6名がrBPI21処置)は、第29日よりも前
に試験を中止した。注入が不完全であった場合でも、何らかの量の被験薬物を与
えられたすべての患者からのデータを、その患者が試験を中止したか否かに関わ
らず、すべての安全性及び有効性の分析に含めた。
被験集団の平均年齢は35歳(範囲:16〜80歳)であり、患者の80%が
45歳の年齢を下回っていた。被投薬者の平均体重は79kgであった(範囲:4
5〜145kg)。77%の患者が男性であった。外傷性傷害の起源は、非穿通
性外傷(50%)、穿通性外傷(48%)、またはその両方(2%)であった。
他の外傷に関連する特性で、平均TRTSは10.6(
範囲:0〜12)であり;平均GCSは13.2(範囲:3〜15)であり;平
均ISS(バージョン'90)は23.9(範囲:1〜75)であって、被験薬物
の注入に先駆けて開始されたPRBC単位の平均値は6.4(範囲:0〜57)
であり、そして外傷発生から薬物注入までの平均時間は9.5時間(範囲:1.
3〜21.8時間)であった。年齢、体重、民族、傷害の起源、TRTS、GC
S、及び注入までの時間についての処置群の顕著な差異はなかったが(場所につ
きp>0.10で制御)、偽薬群では女性の割合が若干高かった(場所につきp=0
.11で制御)。薬物の注入に先駆けて輸血された濃縮赤血球パック(PRBC
)の単位数は、rBPI21及び偽薬に無作為化された患者間で類似していた。平均I
SS(場所につきp=0.07で制御)は、rBPI21患者(平均22.7)についてよ
りも、偽薬患者(平均25.1)についての方がわずかに悪かった。
特定しておいた有効性の分析は、0時以降から第15日に至るまでのいずれか
時点で発生している死亡または合併症(アルゴリズム的アプローチによって、重
症の臓器機能障害または重症の感染として定義される)の主要な最終状況に焦点
を向けたものであった。この試験における死亡率は全体として低かった(およそ
5〜6%)。処置群はコックス回帰を用い、場所によって階層化して比較し、そ
して共変動による調整は行わなかった。結果は、「あり」の厳密な定義を用いて
、さらに不完全な証拠(「ありまたは臨床的にあり」の分類に導くもの)も組み
込んだ後にコンピューターアルゴリズムによって分析した。アルゴリズム法とは
無関係に、第15日までの死亡または重症な合併症の割合は、偽薬患者に比べて
rBPI21患者で7%低かった。両方のアルゴリズム法を用いた死亡または重症の合
併症についての事象の割合のカルプラン−メイヤー推定値を、以下の表
Vに示す。
双方のアルゴリズム法により、コックス回帰からのハザード率で測定した場合に
、偽薬患者はrBPI21患者よりも死亡または重症の合併症に見舞われる可能性がお
よそ1.27倍高かった(rBPI21対偽薬ハザード率=0.79;「あり」を用い
た、死亡または重症の合併症につき、p=0.13;「ありまたは臨床的にあり
」を用いた、死亡または重症の合併症につき、p=0.09、中心で階層化)。
第2次分析として、有意な共分散に対する調整を行って第一次分析を繰り返し
、その結果以下のハザード率を得た。「あり」を用いたrBPI21対偽薬ハザード率
=0.79、p=0.14(年齢、傷害の起源、ISS'90及び薬物注入前に輸
血さ
れたPRBC単位について調整);
「ありまたは臨床的にあり」を用いたハザード率=0.81、p=0.16(年
齢、ISS'90及び薬物注入前に輸血されたPRBC単位について調整)。評定
された第二次の有効性基準の各々に対する事象発生率を、図1に示す。これらの
第二次有効性基準の分析により、偽薬調剤で処置された患者に比べて、rBPI21で
処置された患者において以下の合併症の発生頻度が低いことが明らかになった。
何らかの合併症、何らかの重症の合併症、何らかの臓器機能障害、何らかの重症
の臓器機能障害、何らかの感染、何らかの重症な感染、及び肺炎。また、汎発性
血管内凝固または凝固障害、一次及び二次血流感染ならびに症候性細菌尿症を発
症している患者の割合でも、rBPI21処置の優位性を示すようにわずかなが減少が
認められた。
rBPI21または偽薬のいずれかで処置した患者において、この重篤な傷害を受け
た集団での劣悪事象の発生は頻繁なものであった。しかしながら、rBPI21の群に
比較して偽薬の群で、劣悪事象に見舞われた患者の率が数値的に高かった。rBPI21
の群に比較して偽薬の群で、何らかの至極異常な処置後実験室検査の結果とな
る患者の率がより高いことも認められた。これらのデータは、さらなる有益な効
果の可能性を示唆するものである。
要約すると、単一の投薬計画を評価する、この制御された臨床試験によって、
第15日までに及ぶ死亡または重症の合併症の主要な最終状況におけるrBPI21処
置の優位性の傾向が立証されている。合併症に見舞われた患者の割合においても
、減少が認められた。これらの結果をまとめると、外傷に起因する出血に見舞わ
れた患者でのrBPI21を用いた処置に関する有益な効果に一致するものである。
当業者であれば、如上の本発明の多くの修正及び変更が想起されると考えられ
る。従って、本発明は、添付の特許請求の範囲における記載のみによってしか限
定を受けるべきではない。
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フロントページの続き
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- 【特許請求の範囲】 1.外傷に起因する出血に見舞われたヒトの処置方法であって、 治療上有効な量の殺菌性/透過性増強(BPI)タンパク質産物を、該ヒトに投 与する工程を含む方法。 2.前記BPIタンパク質産物が、約21kDから25kDの分子量を有するBPI タンパク質のアミノ末端断片である、請求の範囲第1項記載の方法。 3.前記BPIタンパク質産物が、rBPI23またはそのダイマーフォームである、 請求の範囲第1項記載の方法。 4.前記BPIタンパク質産物が、rBPI21である、請求の範囲第1項記載の方法 。 5.外傷に起因する出血に見舞われたヒトの処置用の医薬の調製における、BP Iタンパク質産物の用途。 6.前記BPIタンパク質産物が、約21kDから25kDの分子量を有するBPI タンパク質のアミノ末端断片、rBPI23またはそのダイマーフォーム、及びrBPI21 よりなる群から選択される請求の範囲第5項記載の用途。
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