JP2000512653A - 大環状13員環エリスロマイシンa及びbの誘導体 - Google Patents

大環状13員環エリスロマイシンa及びbの誘導体

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Abstract

(57)【要約】 高モチリン血症に伴う胃腸障害治療に用いる、R、R1、R2、R3及びXが個別に定義される式(I)を有するエリスロマイシンA及びBの環縮小により誘導される新規な大環状13員環化合物及びその薬剤として許容される塩、それからなる薬剤組成物、前記組成物による高モチリン血症に伴う胃腸障害の治療法及びその製造法。

Description

【発明の詳細な説明】 大環状13員環エリスロマイシンA及びBの誘導体 技術分野 本発明は、新規な環縮小大環状13員環エリスロマイシンA及びB誘導体、そ れらの化合物を含有する薬剤組成物、それらの化合物を含有する薬剤組成物によ る高モチリン血症(hypermotilinemia)に伴う胃腸障害の治療法及びその製造法 に関する。 発明の背景 消化管すなわち胃腸管の主たる機能は、体に対して水分、電解質及び栄養のバ ランスのとれた供給をすることである。これが行われるためには、食物は適切な 速度で胃腸管内を移動し、消化、吸収及び分泌されなければならない。通常、食 物は前進運動によって良く調和のとれた状態で胃腸管内を移動する。この運動は 蠕動と称する過程で平滑筋収縮によるものである。 正常の胃腸管機能は、ホルモン、22のアミノ酸からなるペプチドのモチリン といったいくつかの自然要因によって保たれている。モチリンの役割は、胃腸管 の調和のとれた前進収縮を 引き起こすことにあり、その作用は食道から始まって、胃から腸にまで及ぶ。こ れらの前進的収縮の目的は、胃で消化された食物を胃腸管を経由して運ぶことで あり、この過程は移動運動複合(migrating motor complex)と呼ばれる。また 、モチリンは膵液分泌にも作用し、それが食物栄養物の消化、吸収および貯蔵に 関連する膵臓の諸因子およびホルモンの放出につながる。空腹状態でモチリンは 周期的に放出され、筋電運動複合(myoelectric motor complex:MMC)の第 III相として知られている前進的収縮運動が誘発される結果となる。MMCの 誘発は空腹感をもたらすと言われており、食欲に結びつくこともある。 秩序あるモチリンの放出は有益であるが、ある種の病的状態においては、胃腸 管の正常運動パターンの何らかの欠陥がいくつかの徴候の発現をもたらす。 例えば、下部食道括約筋が働かなくなったり機能が低下することにより、胃か ら食道への食物の逆流が頻繁に起こり、食道炎をきたすことがある。プロカイネ ティック剤(運動促進剤とも呼ばれている)は次の理由から逆流性食道炎治療に 有用である。(a)下部食道括約筋の圧力を増加させ、それによって逆 流を抑える。(b)食道から食物をなくし胃へ移動させる食道の蠕動力を増加さ せる。(c)胃通過を早め、それによって逆流の元となる固形物をさらに減少さ せる。 一方、モチリンが過剰に放出するかあるいはモチリン受容体が過剰感作になる と胃脳管収縮が無秩序かつ過剰に刺激されることがあり、様々な症状をもたらす 。胃脳管ダンピング症候群、萎縮性胃炎、膵炎、下痢、過敏性町管症候群、クロ ーン病、潰瘍性大腸炎及び小児脂肪便症などである。モチリン拮抗剤が高モチリ ン血症及びモチリン受容体の過剰感作に伴う症状の治療あるいは予防に用いられ ることがある。さらに、モチリン拮抗剤の投与によって空腹感が抑制されること もあり、それによる満腹感が得られる。 大環状ラクトン(マクロライド)のプロカイネティック剤が知られている。例 えば、J.S.Gidda他は、欧州特許出願番号0349100号(1990 年1月3日)に、胃腸運動促進剤として有用な12員環マクロライド類を開示し ている。S.Omura及びZ.Itohは米国特許番号4,677,097号 (1987年6月30日)、欧州特許出願番号215,355号(1987年3 月25日)、及び欧州特許出願番号213,617 (1987年3月11日)に、消化管収縮運動の刺激剤として有用なエリスロマ イシンA、B、C及びDの誘導体を開示している。さらに、T.Sunazuk a他は、Chem.Pharm.Bull.(37巻10号:2701−270 9(1989年))に、胃腸運動刺激作用を持つ8,9−アンヒドロエリスロマイ シンA6,9−ヘミアセタール及び9,9−ジヒドロエリスロマイシンA9−エ ポキシドの四級塩を開示している。大環状ラクトン(マクロライド)のプロカイ ネティック剤が知られている。例えば、R.Faghih他は、PCT出願番号 WO9312780号(1993年7月22日)に、胃腸運動の促進に有用な4 ”−デオキシエリスロマイシン化合物類を、またJ.S.Gidda他は、欧州 特許出願番号0349100号(1990年1月3日)に、胃腸運動促進剤とし て有用な12員環マクロライド類を開示している。 しかしながら、上述の文献のいずれにも、モチリン拮抗作用を有する誘導体は 開示されていない。従って、モチリン拮抗剤として有用かつ、肥満の治療に用い ることのできる化合物が求められている。 発明の概要 本発明の一態様においては、式(I)を有するエリスロマイシンA及びBから 誘導される大環状13員環化合物 及びそれらの薬剤として許容される塩を提供する。 式(I)中、 Rは水素又はヒドロキシ、 R1及びR2は各々独立して水素、C1〜C8−アルキル、フェニル−C1〜C8− アルキル及びナフチル−C1〜C8−アルキルからなるグループから選択され、 R3は水素、ヒドロキシ、O−C1〜C8−アルキル、O−CO−C1〜C8−ア ルキル、O−CO−フェニル、O−CO−NR45(R4及びR5は各々独立して 水素又はC1〜C8−アルキル)、アミノ、N−CO−C1〜C8−アルキル、N− CO−フェニル及びN−CO−NR45(R4及びR5は各々独立して水素又はC1 〜C8−アルキルであり)、 Xはフッ素、塩素、臭素又はヨウ素からなるグループから選択される。 本発明のエリスロマイシンA及びBの環縮小化新規13員環化合物はモチリン 拮抗剤として、胃腸障害、特に次のような高モチリン血症にともなう障害の治療 に有用である。障害とは胃腸管ダンピング症候群、萎縮性胃炎、膵炎、下痢、過 敏性腸管症候群、クローン病、潰瘍性大腸炎、小児脂肪便症及び肥満などである 。 本発明の他の態様においては、式(I)の化合物を含有する薬剤組成物を提供 する。 本発明の他の態様は、当該化合物を含有する薬剤組成物による高モチリン血症 に関連する胃固障害の治療法である。 さらに発明の他の態様においては、式(I)で示す化合物の製造法を提供する 。 発明の詳細な説明 本発明の好ましい実施形態は、式(I)でR1及びR2がC1〜C8−アルキル、 R3が水素、ヒドロキシ、O−C1〜C8− アルキル、O−CO−NR45(R4及びR5は各々独立して水素又はC1〜C8− アルキル)及びアミノである。 本発明のさらに好ましい実施形態は、式(I)でRが水素、R1及びR2がC1 〜C8−アルキル、R3は水素及びXがフッ素である。 本発明の代表的な化合物には、 Rが水素、R1がメチル、R2がエチル、R3が水素、Xがフッ素である式(I )の化合物、 Rが水素、R1がメチル、R2が水素、R3が水素、Xがフッ素である式(I) の化合物、 Rがヒドロキシ、R1がメチル、R2がエチル、R3が水素、Xがフッ素である 式(I)の化合物、 Rが水素、R1がメチル、R2がイソプロピル、R3が水素、Xがフッ素である 式(I)の化合物 Rが水素、R1がメチル、R2がフェニルメチル、R3が水素、Xがフッ素であ る式(I)の化合物、 Rが水素、R1がメチル、R2がメチル、R3がヒドロキシ、Xがフッ素である 式(I)の化合物、 Rが水素、R1がメチル、R2がメチル、R3がメトキシ、X がフッ素である式(I)の化合物、 Rが水素、R1がメチル、R2がメチル、R3がOCON(CH32、Xがフッ 素である式(I)の化合物 Rが水素、R1がメチル、R2がメチル、R3がアミノ、Xがフッ素である式( I)の化合物 Rが水素、R1がメチル、R2がメチル、R3が水素、Xが塩素である式(I) の化合物、 又はその薬剤として許容される塩が含まれる。 本発明の好ましい化合物は下記式を有する化合物であって、 Rが水素、R1がメチル、R2がエチル、R3が水素、及びXがフッ素である式( I)の化合物、 又はその薬剤として許容される塩である。 本発明の別の態様においては、下記式を有する化合物の製造 法を提供する。上式で、 Rは水素又はヒドロキシ R1及びR2は各々独立して水素、C1〜C8−アルキル、フェニル−C1〜C8− アルキル及びナフチル−C1〜C8−アルキルからなるグループから選択され、 R3は水素、ヒドロキシ、O−C1〜C8−アルキル、O−CO−C1〜C8−ア ルキル、O−CO−フェニル、O−CO−NR45(R4及びR5は各々独立して 水素又はC1〜C8−アルキル)、アミノ、N−CO−C1〜C8−アルキル、N− CO−フェニル及びN−CO−NR45(R4及びR5は各々独立して水素又はC1 〜C8−アルキル)からなるグループから選択され、さらに、 Xはフッ素、塩素、臭素又はヨウ素からなるグループから選択される。 本発明の方法は、 (a)下記式を有する化合物(ここでR3は前記と同じ)を、 中性非プロトン条件下で、酸無水物及び酸ハロゲン化物からなる群から選択し た試薬で処理して、2’−水酸基を選択的に保護し下記式を有する第一の中間化 合物を単離するステップと、 (b)第一中間化合物を、求核性ハロゲン種供与能のある試薬で常温、不活性 ガス雰囲気中で処理して、環縮小し、下記式の13損環に環縮小した第二中間化 合物を単離するステップと、 (c)任意に、酢酸ナトリウムのメタノール溶液存在下でヨウ素で処理して、 一つ又は複数の3’−Nメチル基を脱メチルし、次いでアルデヒド又はケトン及 びアルカリ金属ハロゲン化物の存在下で、ハロゲン化アルキル、水素及び貴金属 触媒からなる群から選択した試薬で処理することによりN−アルキル化を行い、 下記式の第三の中間化合物を単離するステップと、 (d)メタノールで処理して2’−水酸基の脱保護を行い、所望の生成物を単 離するステップとを含む。 上記の方法のうちさらに好ましくは、Xがフッ素で、工程(b)の求核性ハロ ゲン種供与能のある試薬として好ましくはジエチルアミドサルファートリフルオ リド(DAST)を使用する。 発明の別の態様においては、下記式を有する化合物の製造法を提供する。 本発明の方法は、 (a)下記式を有する化合物を、 窒素気流中、室温で4時間無水酢酸で処理し、下記式を有する第一中間化合物を 単離するステップと、 (b)第一中間化合物を、窒素気流中室温で、4時間ジエチルアミドサルファ ートリフルオリド(DAST)で処理して、環縮小し、下記式で示す第二中間化 合物を単離するステップと、 (c)第二中間化合物をメタノールと処理し、目的物を分離するステップとを 含む。 本明細書中で用いる「C1〜C8−アルキル」という用語は、メチル、エチル、 n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、te rt−ブチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル等のC1〜C8−アルキル直鎖又は 分枝鎖飽和炭化水素を意味するが、これに限定されるものではない。 「ナフチル−C1〜C8−アルキル」という用語は、アルキル部分の一つの水素 がナフチル基で置換された先に定義したC1〜C8−アルキルを意味する。 「フェニル−C1〜C8−アルキル」という用語は、アルキル部分の一つの水素 がフェニル基で置換された先に定義したC1〜C8−アルキルを意味する。 本明細書中で用いる「非プロトン性溶媒」という用語は、プロトン作用に比較 的不活性な溶媒、すなわちプロトン供与体として作用しない溶媒を意味する。ヘ キサン、トルエン等の炭化水素類、塩化メチレン、塩化エチレン、クロロホルム 等のハロゲン化炭化水素類、テトラヒドロフラン、N−メチルピロリジノン等の 複素環化合物類、さらに、ジエチルエーテル、ビス−メトキシメチルエーテル等 のエーテル類が例示できるが、これに限定されるものではない。このような化合 物は当業者にはよ く知られており、個々の溶媒又はそれらの混合物が、試薬の溶解度、試薬の反応 性及び好ましい温度範囲等の因子に依存する特定の化合物及び反応条件にとって 好ましいことは当業者には明らかである。非プロトン性溶媒についてのたちいっ た考察は、有機化学の教科書又はTechniques of Chemist ry Series(ジョンウイリーアンドサン、ニューヨーク、1986年) の中のJohn A.Riddick他の編、第II巻「Organic So lvents Physical Properties and Metho ds of Purification」第4版、等の専門書に見い出すことが できる。 ここで用いた「水酸基保護基」とは、合成操作において望ましくない反応に対 して水酸基を保護し、さらに選択的に除去され得る、当技術分野で知られた容易 に除去可能な基を意味する。合成操作において望ましくない反応に対する保護基 として水酸基保護基を用いることは当技術分野ではよく知られており、多くのこ のような保護基が知られている。例えば、T.H.Greene及びp.G.M .wuts著「Protective Groups in Organic Synthesis」 第2版(ジョンウイリーアンドサン、ニューヨーク、1991年)を参照。水酸 基保護基の例には、メチルチオメチル、tert−ジメチルシリル、tert− ブチルジフェニルシリル、芳香族基を有するアシル置換等があるが、これに限定 されるものではない。 「保護された水酸基」という用語は、先に定義した水酸基保護基で保護された 水酸基を意味し、例としては、ベンゾイル、アセチル、トリメチルシリル、トリ エチルシリル、メトキシメチル基がある。 「萎縮性胃炎」という用語は、ホルモン変化による胃腸管の消耗及び炎症を意 味する。 「小児脂肪便症」という用語は、グルテンに対する感受性に起因する胃腸管の 異常を意味する。 「クローン病」という用語は、小腸の炎症を意味する。 「下痢」という用語は、腸からの液状便の異常な放出を意味する。 「胃腸管ダンピング症候群」という用語は、一部未消化の食物が胃腸管を通過 することを意味する。 「過敏性腸管症候群」という用語は、胃腸管の秩序のない痙 攣運動を意味する。 「膵炎」という用語は、膵臓の炎症を意味する。 「潰瘍性大腸炎」という用語は、大腸の炎症を意味する。 「薬剤として許容される塩」とは、式(I)の化合物の酸付加塩を意味し、こ の塩は妥当な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激性、アレルギー反応もな く、妥当な利益危険比に比例するように、ヒトおよび下等動物の組織に接触した 使用に適しており、また、それらの使用目的にも有効である。 薬剤として許容される塩は当技術分野ではよく知られている。例えば、S.M .Berge他はJ.Pharmaceutical Sciencesの66 巻1−19ページ(1977年)に薬剤用の塩を詳細に述べている。薬剤として 許容される非毒性の酸付加塩の例としては、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸及 び過塩素酸等の無機酸又は、酢酸、蓚酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハ ク酸又はマロン酸等の有機酸で、又は、イオン交換等の技術分野で用いられる他 の方法によって形成されるアミノ基の塩がある。他の薬剤として許容される塩と しては、硝酸塩、硫酸水素塩、ホウ酸塩、ギ酸塩、酪酸塩、吉草酸塩、3−フェ ニルプロピオン酸塩、樟脳酸塩、アジピン酸塩、安息香 酸塩、オレイン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、ラウリン酸塩、乳酸塩 、フマル酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ニコチン酸塩、パラトル エンスルホン酸塩、カンファースルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ヒドロ キシエタンスルホン酸塩、グルコン酸塩、グルコヘプタン酸塩、ラクトビオン酸 塩、グリセロリン酸塩、ペクチン酸塩、ラウリル硫酸塩、アルギン酸塩、シクロ ペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸 塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、 パモ酸塩、ペルオキソ二硫酸塩、ピバリン酸塩、プロピオン酸塩、ウンデカン酸 塩等があり、これらは通常の方法に従って製造できる。代表的なアルカリ又はア ルカリ土類金属塩としては、ナトリウム、カルシウム、カリウム、マグネシウム 塩等がある。R4が存在する場合に形成される四級アンモニウム塩化合物の薬剤 として許容される対イオンには、ハロゲン化物(特に臭化物及びヨウ化物)、水 酸化物、カルボン酸、硫酸、リン酸、硝酸、低級アルキルスルホン酸及びアリー ルスルホン酸等のイオンがある。 本明細書で使用したように、「薬剤として許容される担体」 とは、非毒性で不活性な固体、半固体又は液体の増量剤、希釈剤又はカプセル化 剤、又はどのタイプの補助にもなる製剤を意味する。薬剤として許容される担体 として有用な材料を例示する。ラクトース、グルコース及びスクロース等の糖類 、コーンスターチ及び馬鈴薯デンプン等のデンプン類、カルボキシメチルセルロ ースナトリウム、エチルセルロース及び酢酸セルロース等のセルロースとその誘 導体類、粉末状トラガントゴム、麦芽、ゼラチン、タルク、ココアバター及び座 薬用油類といった賦形剤、落花生油、綿実油、サフラワー油、ごま油、オリブ油 、とうもろこし油及び大豆油等の油類、プロピレングリコール等のグリコール類 、グリセリン、ソルビトール、マンニトール及びポリエチレングリコール等のポ リオール類、オレイン酸エチル及びラウリン酸エチル等のエステル類、寒天、水 酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウム等の緩衝液用試薬、アルギン酸、パイ ロジェンフリーの水、等張食塩水、リンゲル溶液、エチルアルコール及びリン酸 緩衝溶液、及び製剤に用いられる非毒性のその他の物質。湿潤剤、乳化剤及びラ ウリル硫酸ナトリウム及びステアリン酸マグネシウム等の潤滑剤ばかりでなく、 着色剤、放出剤、コーティング剤、甘味剤、調味及び芳香剤、防腐 剤及び酸化防止剤も、製剤担当者の判断によって組成に加えることができる。 本発明化合物の「治療上の有効量」とは、いかなる薬物療法にも適用される妥 当な有益性と危険性の比で胃腸障害を治療するのに充分な化合物の量を意味する 。しかしながら、化合物及び組成物の一日分の使用量は、妥当な医学的判断の範 囲内で主治医によって決められるべきことは言うまでもない。ある患者に対して 決められる治療上の有効投与量は種々の因子に左右される。それらの因子には、 治療する障害、障害の重症度、用いた特定の化合物の活性、用いた特定の組成、 患者の年齢、体重、一般健康状態、性別及び食事、投与時間、投与法及び用いた 特定の化合物の排泄速度、治療期間、用いた特定の化合物と組合せるか又は併用 した薬物、又は医学的技術分野では知られているその他の因子がある。 単回又は分割してヒト又は他の哺乳類に投与される本発明による化合物の1日 投与量は、例えば体重1キログラム当たり約0.0001から約25ミリグラム であり、好ましくは約0.0005から約10ミリグラム、より好ましくは約0 .005から約2ミリグラムである。単回投与用組成物は一日投与量、 又は一日投与量の約数量を含有する。一般に、本発明による治療法は、1日当た り約1から100ミリグラムの本発明化合物を必要とするヒト患者に複数回、又 は単回投与により投与することを含む。 経口投与のための液体投与形態には、薬剤として許容される乳濁液、微小乳濁 液、溶液、懸濁液、シロップ及び水等の常用される不活性な希釈剤を含有するエ リキシール等がある。このような組成物は湿潤剤、乳化剤、沈殿防止剤、甘味剤 、調味及び芳香剤等の補助剤を含むことができる。 注射剤、例えば無菌の水性又は油性の懸濁注射剤は、分散剤又は湿潤剤、及び 沈殿防止剤を使用する公知技術に従って製剤化できる。無菌注射剤はまた、非毒 性で非経口で許容される希釈剤又は溶媒中の無菌注射用溶液、懸濁液又は乳濁液 、例えば1,3−ブタンジオール溶液でもよい。使用可能な許容されるビヒクル 又は溶媒としては、水、アメリカ薬局方リンゲル溶液及び等張の食塩水等が含ま れる。さらに無菌の不揮発性油が、溶媒又は懸濁液の媒質として従来から用いら れている。この目的の場合、合成モノ又はジグリセリド類を含む刺激のない不揮 発性油を用いてもよい。さらに、オレイン酸等の脂肪酸も注射 剤の調製に用いてもよい。 注射製剤の滅菌は、例えば、細菌濾過フィルタによるろ過、又は、滅菌水又は 他の注射可能の媒質中に使用の直前に溶解又は分散させうる無菌の固体組成物の 形で殺菌剤を導入することにより可能である。 薬物の作用を持続させるため、皮下又は筋肉内注射により薬物の吸収を遅らせ ることがしばしば求められる。これを行うために最も普通の方法は、水溶性の低 い結晶又は無定型材料の懸濁液を注射することである。薬物の吸収速度は薬物の 溶解速度に依存するようになるが、その溶解速度は、薬物の物理的状態、例えば 結晶の大きさ及び結晶形に依存する。薬物の吸収を遅らせるもう一つの方法は、 薬物を油中の溶液又は懸濁液として投与するものである。デポ型注射剤はまた、 薬物及びポリラクチド−ポリグリコリド等の生物的に分解されるポリマーでマイ クロカプセルマトリックスを形成することによっても製造可能である。薬物とポ リマーの比率、及びポリマーの組成により、薬物放出の速度が制御できる。生物 的に分解可能なポリマーの例として、ポリオルソエステル類及びポリアンヒドリ ド類がある。デポ型注射剤は、生体組織に適合したリポソーム類又は微小乳 濁液類に薬物を取り込むことによっても製造可能である。 経口投与のための固体剤形には、カプセル、錠剤、丸薬、粉末、小球及び顆粒 がある。このような固体の剤形では、活性化合物はスクロース、ラクトース又は デンプン等の少なくとも1種の不活性な希釈剤と混合することもある。この剤形 はまた、不活性希釈剤以外の添加物質、例えばステアリン酸マグネシウム及びセ ルロース微結晶等の錠剤化用潤滑剤及びその他の錠剤化用剤を含むこともある。 カプセル、錠剤及び丸薬の場合、剤形は緩衝性の試薬を含むこともある。さらに 、錠剤及び丸薬は腸溶コーティング及びその他の放出制御コーティングを行って も製造できる。 同様のタイプの固体組成物は、高分子量のポリエチレングリコール類等ばかり でなくラクトース又は乳糖といった賦形剤を用いた軟質及び硬質ゼラチンカプセ ル中の増量剤として用いられることもある。 活性化合物はまた、前述の一種類以上の賦形剤とともにマイクロカプセル中に 混合することもできる。錠剤、糖衣錠、カプセル、丸薬及び顆粒等の固体剤形は 、薬剤の製剤技術分野では知られている腸溶コーティングその他のコーティング 等のコー ティング及び殻をほどこして製造してもよい。それらは場合によっては乳白剤を 含むこともあり、また活性化合物のみを放出、又は、好ましくは腸管の一定の場 所に、場合によっては時問をずらして放出するといった組成とすることもできる 。使用可能な付加組成物の例としては重合物質及びろうがある。 生物学的に不安定な誘導体、又は、患者に投与することによって生体内で元の 化合物に変換されるプロドラッグを形成することによって、本発明化合物の輸送 をさらに改良することもできる。プロドラッグは当技術分野では知られており、 本化合物では2’位のエステル化又は他の誘導化、又は薬剤として許容され生物 学的に切断できるグループを付加することによって製造しても良い。(プロドラ ッグについての立ち入った考察はT.Higuchi及びV.Stella著、 アメリカ化学会シンポジウムシリーズ第14巻「Pro−drugs as N ovel Delivery Systems」、及びEdward B.Ro che編、「Bioreversible Carriersin Drug Design」(アメリカ製薬協会及びペルガモンプレス、1987年)に提供 されており、いずれの著書も本明細書中で参考として援用する)。このようなプ ロドラッ グは当業者には自明のことであり、発明化合物と機能的な等価体であるとみなさ れるものと考えられる。 合成法 本発明の化合物及び製造工程は、発明化合物の製造方法を図示した以下の合成 スキームでよりよく理解できよう。R、R1、R2、R3及びXの置換基は、以下 に記述のない限り前記の式(I)で定義した通りである。 下記のスキーム1に従い、化合物(1)の2’−水酸基を無水酢酸等の酸無水 物で、例えば塩化メチレン又は酢酸エチル等の中性非プロトン性条件で処理する か、又は同様の条件で塩化アセチル等のハロゲン化アシルで処理することにより 選択的に保護し、2’−水酸基が保護された化合物(2)を製造する。合成工程 において望ましくない反応に対する保護基として水酸基保護基を用いることは当 技術分野では知られており、このような多くの保護基が知られている。例えば、 T.H.Greene及びP.G.M.Wuts著「Protective G roups in Organic Synthesis」第2版(ジョンウイ リーアンドサン、ニューヨーク、1991年)を参照。 出発物質である化合物(1)は、エリスロマイシンA(R は水酸基)又はB(Rは水素)の8,9−アンヒドロ−6,9−ヘミアセタール 誘導体で、既報(Kurath他、Experientia,27:362−36 3(1971年))の手順に従って製造する。式(I)の最終化合物においてR1又 はR2が水素であることが望ましい場合、他の試薬と窒素原子が反応するのを防 ぐため、脱メチル化反応は工程の最後又はそれに近い段階で行う。R3がエステ ル、カーバメート等の4”水酸基誘導体である出発物質は、エリスロマイシン化 学技術分野で標準的な方法で製造する。R3が4”−デオキシである出発物質は 、Lartey他(J.Med.Chem.,38:1793−1798(19 95年))の方法で製造する。R3がアミノ誘導体である出発物質は、L.A. Freiberg他によって第29回Interscience Confer ence on Antimicrobial Agents and Che motherapy(ヒューストン、テキサス州)、1029(1989年)に 述べられた方法で製造する。 R1、R2及びR3を目的とする組み合わせにするのは適切な反応条件のもとで 前駆体を段階的に処理することにより達成できる(本明細書中に述べたように又 は引用した参考文献中にあ るように)。さらに目的化合物を製造するもう一つのルートでは、始めにN−メ チル基を他のアルキル基で置換し(R1及びR2)、次いで2−水酸基の保護、さ らに以下に述べる反応を行う。 2’−水酸基を保護した化合物(2)を塩化メチレン等の非プロトン性溶媒に 溶解し、常温、不活性雰囲気中、ジエチルアミドサルファートリフルオリド(D AST)等の求核性ハロゲン種供与能のある試薬で処理する。この反応で環縮小 が起こり、環縮小した13損環エリスロマイシン化合物(3)(新たにドデカラ イドと命名した)が得られ、同時に以前は環に含まれていた炭素原子(化合物( 3)でX基がついた炭素原子)にハロゲン原子が導入される。スキーム1 化合物(3)の3’−N−メチル基を置換したい場合は、メタノールに溶解し 酢酸ナトリウムの存在下ヨウ素で処理し、一つ以上の3’−N−メチル基を除去 する。N−脱メチル化合物(4,R1が水素)又は一つ脱メチル化された化合物 (4,R1がメチル)はハロゲン化アルキルを用い、アルカリ金属水素化物の存 在下アルデヒド若しくはケトンによる還元アルキル化反応、又はアルデヒド若し くはケトンで接触還元を行う還元アルキル化反応によってアルキル化を行い、目 的化合物(5)を製造する。 化合物(5)をメタノールと処理しアセチル基(2’−水酸基保護基)を除去 し、R、R1、R2、R3及びXが望む置換基である式(I)の化合物、化合物( 6)が得られる。スキーム2 環縮小の前にR1及びR2を選択し、変換する別途製造法をスキーム2に図示す る。化合物(7)(PCT出願番号WO9312780号(1993年7月22 日)の実施例5の記述に従って製造した)を窒素気流中室温で4時間無水酢酸と 処理し、化合物(8)を製造する。化合物(8)を窒素気流中室温で4時間DA STと処理し、化合物(9)を製造する。化合物(9)を一昼夜メタノール中で かきまぜ化合物(10)を得る。 実施例 上記のスキームは以下の実施例を参照することにより、よりよく理解できよう 。以下の実施例は、例示のために示したものにすぎず、本発明を限定するもので はない。 実施例1Rが水素、R1がメチル、R2がエチル、R3が水素、Xがフッ素である式(I) の化合物 ステップ1a.スキーム2の化合物(8) スキーム2の化合物(7)(3.01グラム,4.31ミリモル、PCT出願 番号WO 9312780号(1993年7月22日)の実施例5の記述に従っ て製造した)を塩化メチレン(23ミリリットル)に溶解した。無水酢酸(0. 8ミリリ ットル、8.5ミリモル)を注射器で加え、混合物を窒素気流中、室温で4時間 攪拌した。混合物を塩化メチレン(150ミリリットル)で希釈し、飽和重曹水 、水及び食塩水(各40ミリリットル)の順で洗浄した。有機相を硫酸ナトリウ ムで乾燥し、溶媒を減圧留去し、得られた固体をクロマトグラフィで精製すると 標題化合物2.60グラム(81%)が得られた。[α]D−30.0(c1. 0、CHCl3);1HNMR(CDCl3)d0.84(d、3H、J=12. 5)、0.90(t、3H、J=12.5、12.5)、0.96(d、3H、 J=13.0)、1.01(t、3H、J=11.8、11.8)、1.06( d、3H、J=11.5)、1.15(s、3H)、1.16(d、3H、J= 12.0)、1.17(d、3H、J=9.0)、1.18(d、3H、J=1 0.0)、1.25−1.54(m、4H)、1.34(s、3H)、1.56 (s、3H)、1.68(m、4H)、1.93(m、3H)、2.0(s、3 H)2.24(s、3H)、2.25−2.80(m、7H)3.32(s、3 H)、3.42(m、1H)、3.62(m、1H)、3.82(d、1H、J =11.0)、4.0(m、1H)、4.34(m、1H)、4.65(m、2 H)、5.15(m、1H)、 5.19(d、1H、J=7.0);13C−NMR(CDCl3)d8.7、1 0.4、11.9、13.3、14.1、14.4、21.1、21.4、21 .7、25.0、25.4、26.4、31.9、33.3、33.6、36. 7、42.1、42.7、43.0、44.5、45.9、47.9、49.2 、61.4、62.3、67.8、70.7、71.9、76.8、77.2、 80.0、85.7、95.6、100.2、101.4、151.5、169 .9、178.2:MSm/e740(M+H+):元素分析値 計算値(C40 69NO11):C、64.92;H、9.39;N、1.89.実測値:C、6 4.97;H、9.79;N、2.12.ステップ1b.スキーム2の化合物(9) ステップ1aで得られた化合物(0.50グラム,0.68ミリモル)を塩化 メチレン(20ミリリットル)に溶解した。DAST(0.3ミリリットル、2 .27ミリモル)を注射器で加えた。混合物を窒素気流中、室温で4時間攪拌し 、塩化メチレン(50ミリリットル)で希釈し、飽和重曹水、水及び食塩水(各 10ミリリットル)の順で洗浄した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を 減圧留去し、得られた混合物をクロ マトグラフィで精製すると標題化合物0.37グラム(73%)が得られた。[ α]D−24.1°(c、0.9、CHCl3);1HNMR(CDCl3)d0. 80(t、3H、J=7.5、7.5)、0.85(d、3H、J=8.0)、 0.88(d、3H、J=7.5)、0.94(t、3H、J=7.5、7.5 )、1.09(d、3H、J=7.5)、1.10(s、3H)、1.12(d 、3H、J=6.0)、1.19(d、3H)J=6.0)、1.25(m、3 H)、1.30(s、3H)1.32(dd、3H、J=5.5、24.3)、 1.36(m、2H)、1.50(s、3H)、1.60(m、3H)、1.8 5(d、1H、J=16.5)、1.98(m、1H)、1.99(s、3H) 、2.15(s、3H)、2.24(dd、1H、J=7.5、14.8)、2 .30(m、2H)、2.48(m、1H)、2.55(mN、1H)、2.6 4(m、1H)2.75(d、1H、J=15)、3.22(s、3H)、3. 40(m、1H)、3.58(d、1H、J=8.5)、3.88(m、1H) 、4.20(m、1H)、4.45(d、1H、J=8.0)、4.59(m、 1H)、4.70(m、2H)4.80(m、1H)4.86(d、1H、J= 4.5);13C−NMR (CDCl3)d9.4、9.4、10.2、13.0、13.6、14.1、 19.5、19.8、21.1、21.4、21、25.5、25.6、27. 0、31.9、33.9、34.0、34.1、36.7、42.5、44.2 、45.7、47.9、49.4、52.2、52.5、61.1、62.5、 68.4、70.7、71.5、77.3、81.4、82.2、86.2、8 8.9、91.1、96.5、101.2、146.0、146.2、169. 9、177.2:MSm/e742(M+H+):元素分析値 計算値(C406 8 FNO10):C、64.75;H、9.23;N、1.88.実測値:C、6 4.81;H、9.48;N、1.75.ステップ1c.Rが水素、R1がメチル、R2がエチル、R3が水素、Xがフッ素 である式(I)の化合物(スキーム2の化合物(10)) ステップ1bで得られた化合物(0.072グラム,0.097ミリモル)を メタノール(10ミリリットル)に溶解し、混合物を室温で一昼夜攪拌した。溶 媒を減圧留去し、得られた残留物をクロマトグラフィにかけると0.06グラム (90%)の7が得られた。[α]D−20.5°(c0.9、CHCl3);1 HNMR(CDCl3)d0.88(t、3H、J=7.5、7.5)、1.0 0(d、3H、J=6.5)、1.08(t、3H、J=3.5、3.5)、1 .09(d、3H、J=7.5)、1.12(d、3H、J=7.5)、1.1 4(s、3H)、1.19(d、3H、J=6.5)、1.20(d、3H、J =6.0)、1.26(s、1H)、1.32(m、1H)、1.36−1.4 7(m、8H)、1.59(s、3H)、1.64(m、1H)、1.65(m 、1H)、1.76(m、1H)、1.96(d、1H、J=15.5)、2. 08(m、1H)、2.24(s、4H)2.33−2.38(m、2H)、2 .43(dd、1H、J=10.5、15.3)、2.50−2.64(m、3 H)、2.97(d、1H、J=16.5)、3.21(m、1H)、3.28 (s、3H)、3.51(m、1H)、3.70(d、1H、J=8.0)、4 .00(m、1H)、4.31(m、1H)、4.45(d、1H、J=7.0 )、4.64−4.95(m、3H);13C−NMR(CDCl3)d9.0、 9.4、10.2、12.9、13.6、13.9、19.5、19.8、21 .3、21.6、25.4、25.6、27.1、29.8、33.8、34. 0、34.1、36.2、 42.8、44.2、45.7、45.7、47.6、49.4、52.3、5 2.5、61.1、64.7、68.8、70.4、70.6、77.2、81 .5、82.2、86.2、88.9、91.2、96.5、103.3、10 4.1、146.1、146.2、177.3:MSm/e700(M+H+) :元素分析値 計算値(C3866FNO9.2H2O):C、62.01;H、9 .58;N、1.90.実測値:C、62.24;H、9.21;N、1.75 . 実施例2−10 実施例1の方法に従ってステップ1aの出発物質を適切に置換された出発物質 (ここでR、R1、R2及びR3は下記の表1に示す通り)に置き換え、表1に示 したR1、R2及びR3である下記式の化合物を製造する。 実施例11 生物活性インビトロのプロキネティック活性及び抗菌活性 インビトロプロキネティック活性 本発明の化合物について、ウサギの小腸から分離した平滑筋ストリップの収縮 誘発能をインビトロで以下の方法を用いて試験した。 ウサギを致死せしめ、直ちに15センチメートルの十二指腸を切除し、氷冷し た改良リンゲル溶液(120ミリモルの塩化ナトリウム、25ミリモルの炭酸水 素ナトリウム、4.7ミリモルの塩化カリウム、1.25ミリモルの塩化カルシ ウム、1.20ミリモルの硫酸マグネシウム及び5.6ミリモルのグルコース) 中に入れた。縦方向の筋肉層を鈍的剥離により環状の筋肉から分離し、10×2 0ミリメートルのストリップに切り分けた。二重に重ねたストリップを、1グラ ムの機械的負荷をかけて10ミリリットルの組織浴中、二ヶ所のフックに垂直に 吊した。上方のフックは等張力変換器に接続し、その変化をGrassポリグラ フで記録した。組織浴には37℃の改良リンゲル溶液を入れ、pHを7.5に維 持するため、95%酸素 及び5%の炭酸ガスを連続的に通気した。 少なくとも60分間の安定時間をおき、収縮能の用量−反応試験を100マイ クロリットル容量でメタコリンの最終濃度を段階的に増加させて(10-7モル、 10-6モル及び10-5モル)行った。組織浴の溶液は用量毎に少なくとも3回交 換した。 メタコリン用量−反応試験の終了後、試験化合物の用量反応曲線をメタコリン 用量−反応試験と同様の方法で開始した。この際、試験化合物濃度は10-10モ ルから10-4モルの範囲で、少なくとも五種類設定した。組織は各用量毎に繰り 返し洗浄し、筋肉調製物が元のままであることを確認するために10-5モルのメ タコリンに対する収縮応答を記録して試験を終了した。収縮応答は最大のメタコ リン誘発収縮に対する百分率で表した。最大収縮の半分を生ずる試験化合物の濃 度(ED50値)及びED50値の負対数値(pED50)は用量−応答曲線から推定 した。得られたpED50の値を、既知の胃腸管プロキネティック剤であるモチリ ン(pED50は8.10)と比較した。 実施例1の化合物はpED50が4.0未満と、モチリンと比較して4桁も活性 が低く、ウサギ十二指腸平滑筋調製物における収縮活性誘発の点からは、非常に 弱い作用物質であること が判明した。抗菌活性 次に、発明化合物の抗菌活性を試験したが、このような活性はモチリン拮抗剤 療法の好ましくない副作用と考えられる。抗菌試験は当技術分野で知られている 方法で行った(寒天希釈法)。表2で例示したように、発明化合物の抗菌活性は 非常に低いことが判明し、従って、それらは典型的なエリスロマイシン抗生物質 とはっきりと区別される。 モチリン受容体結合活性 モチリン受容体への結合親和性を、Peeters他(「モ チリン受容体」モチリン、z.Itoh編、アカデミックプレス、サンディエゴ 、PP93−109、1990年)の方法に従って決定した。モチリン受容体は 、ウサギの平滑筋組織から単離した。125Iで標識したモチリンを受容体のリガ ンドとして使用した。試験化合物の結合は、結合した 125Iで標識したモチリ ンの50%を交換する試験化合物濃度の負対数で表した。実施例1の化合物はpK dが7.94でモチリン受容体と結合することが分かった。同様の条件でモチリ ンのpKdが9.1であり、従って、この化合物はモチリン受容体と強く結合す ることが明らかとなった。本発明化合物が強力なモチリン受容体結合能を有し、 また予想治療濃度でもウサギの十二指腸平滑筋で収縮活性がほとんど見られない ことは、いずれも、本発明化合物のモチリン拮抗活性に結びつくものである。 上記の詳細な記述及び付属の実施例は例示のために示したものにすぎず、添付 の特許の請求範囲及びそれら同等のものを定義したにすぎない、本発明の範囲を 限定するものではないことが理解されよう。開示された具体例に対する種々の変 更や改良は当業者にとっては明白であろう。化学構造、置換基、誘導体、中間体 、合成、製剤及び/又は本発明の使用法に関連する際限 ない変更及び修正をその精神及び範囲から逸脱することなく加えることができる 。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 3/04 A61K 31/00 603K 43/00 643D A61K 31/7048 31/70 613 (72)発明者 フアジー,ラミン アメリカ合衆国、イリノイ・60045、レイ ク・フオレスト、ノース・ワシントン・ロ ード・36 (72)発明者 ネランズ,ヒユー・ネルビイ アメリカ合衆国、イリノイ・60044、レイ ク・ブラフ、ウエスト・シエリダン・プレ イス・44 (72)発明者 ピーターセン,アルバート・クリスチヤン アメリカ合衆国、イリノイ・60048、リバ テイビル、クラブツリー・レイン・1022

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.下記式を有する化合物であって、 Rは水素又はヒドロキシ、 R1及びR2は各々独立して水素、C1〜C8−アルキル、フェニル−C1〜C8−ア ルキル及びナフチル−C1〜C8−アルキルからなる群から選択され、 R3は水素、ヒドロキシ、O−C1〜C8−アルキル、O−CO−C1〜C8−アル キル、O−CO−フェニル、O−CO−NR45(R4及びR5は各々独立して水 素又はC1〜C8−アルキルである)、アミノ、N−CO−C1〜C8−アルキル、 N−CO−フェニル及びN−CO−NR45(R4及びR5は各々独立して水素又 はC1〜C8−アルキルである)からなる 群から選択され、 Xはフッ素、塩素、臭素又はヨウ素からなる群から選択される化合物又はその薬 剤として許容される塩。 2.R1及びR2がC1〜C8−アルキル、R3が水素、ヒドロキシ、O−C1〜C8 −アルキルであり、O−CO−NR45(R4及びR5は各々独立して水素又はC1 〜C8−アルキルである)及びアミノである請求の範囲第1項に記載の化合物。 3.Rが水素、R1がメチル、R2が水素、R3が水素、Xがフッ素である式(I )の化合物、 Rがヒドロキシ、R1がメチル、R2がエチル、R3が水素、Xがフッ素である 式(I)の化合物、 Rが水素、R1がメチル、R2がイソプロピル、R3が水素、Xがフッ素である 式(I)の化合物 Rが水素、R1がメチル、R2がフェニルメチル、R3が水素、Xがフッ素であ る式(I)の化合物、 Rが水素、R1がメチル、R2がメチル、R3がヒドロキシ、Xがフッ素である 式(I)の化合物、 Rが水素、R1がメチル、R2がメチル、R3がメトキシ、Xがフッ素である式 (I)の化合物、 Rが水素、R1がメチル、R2がメチル、R3がOCON(CH32、Xがフッ 素である式(I)の化合物 Rが水素、R1がメチル、R2がメチル、R3がアミノ、Xがフッ素である式( I)の化合物 及び Rが水素、R1がメチル、R2がメチル、R3が水素、Xが塩素である式(I) の化合物、 からなる群から選択される請求の範囲第1項に記載の化合物。 4.Rが水素、R1及びR2がC1〜C8−アルキル、R3が水素、及びXがフッ素 である請求の範囲第1項に記載の化合物。 5.Rが水素、R1がメチル、R2がエチル、R3が水素、Xがフッ素である式( I)の化合物である請求の範囲第4項に記載の化合物。 6.治療上有効な量の請求の範囲第1項に記載の化合物及び薬剤として許容され る担体を含む薬剤組成物。 7.治療上有効な量の請求の範囲第5項に記載の化合物及び薬剤として許容され る担体を含む薬剤組成物。 8.治療上有効な量の請求の範囲第1項に記載の化合物を必要とする患者に投与 することを含む、治療を必要とするヒト及び他のほ乳類における、高モチリン血 症に伴う胃腸障害の治療法。 9.治療上有効な量の請求の範囲第5項に記載の化合物を必要とする患者に投与 することを含む、治療を必要とするヒト及び他のほ乳類における、高モチリン血 症に伴う胃腸障害の治療法。 10.下記式を有する化合物の製造方法であって、 ここで、 Rは水素又はヒドロキシ R1及びR2は各々独立して水素、C1〜C8−アルキル、フェニル−C1〜C8− アルキル及びナフチル−C1〜C8−アルキルからなる群から選択され、 R3は水素、ヒドロキシ、O−C1〜C8−アルキル、O−CO−C1〜C8−ア ルキル、O−CO−フェニル、O−CO−NR45(R4及びR5は各々独立して 水素又はC1〜C8−アルキルである)、アミノ、N−CO−C1〜C8−アルキル 、N−CO−フェニル及びN−CO−NR45(R4及びR5は各々独立して水素 又はC1〜C8−アルキルである)からなる群から選択され、さらに、 Xはフッ素、塩素、臭素又はヨウ素からなる群から選択され、 (a)下記式を有する化合物(ここでR3は前記と同じである) を中性非プロトン条件下で酸無水物及び酸ハロゲン化物からなる群から選択し た試薬で処理して、2’−水酸基を選択的に保護し、下記式を有する第一の中間 化合物を単離するステップと、 (b)第一中間化合物を、求核性ハロゲン種供与能のある試薬で常温、不活性 ガス雰囲気中で処理して、環縮小し、下記式の13D環に環縮小した第二中間化 合物を単離するステップと、 (c)任意に、酢酸ナトリウムのメタノール溶液存在下でヨウ素で処理して、 一つ又は複数の3’−Nメチル基を脱メチルし、次いでアルデヒド又はケトン及 びアルカリ金属ハロゲン化物の存在下で、ハロゲン化アルキル、水素及び貴金属 触媒からなる群から選択した試薬で処理することによりN−アルキル化を行い、 下記式の第三の中間化合物を単離するステップと、 (d)メタノールで処理して2’−酸基を脱保護し、所望の生成物を単離する ステップとを含む方法。 11.Xがフッ素であり、ステップ(b)において求核性ハロゲン種供与能のあ る試薬がジエチルアミドサルファートリフルオリド(DAST)である請求の範 囲第10項に記載の方法。 12.下記式を有する化合物の製造方法であって、 (a)下記式を有する化合物を、窒素気流中、室温で4時間無水酢酸で処理し、下記式を有する第一中間化合物を 単離するステップと、 (b)第一中間化合物を、窒素気流中、室温で4時間、ジエチルアミドサルフ ァートリフルオリド(DAST)で処理して、環縮小し、下記式で示す第二中間 化合物を単離するステップと、 (c)第二中間化合物をメタノールで処理し、所望生成物を単離するステップ と を含む方法。
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