JP2000512860A - β―ラクタム抗生物質を調製する方法 - Google Patents

β―ラクタム抗生物質を調製する方法

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Abstract

(57)【要約】 本発明はβ-ラクタム抗生物質を調製する方法に関するものであり、一般式(I)を有するN-置換β-ラクタムまたはその塩を少なくとも一種のジカルボキシレートアシラーゼまたはその機能的等価物と接触させ、少なくとも1種のペニシリンアシラーゼまたはその機能的等価物の存在下で、β-ラクタム抗生物質の側鎖の前駆体と反応させる方法に関する。 (式中R0は水素またはC1-3アルキル、YはCH2、酸素、イオウ、イオウの酸化型であり、Zは(a)、(b)、(c)または(d)であり、式中R1は水素、ヒドロキシ、ハロゲン、C1-3アルコキシ、置換されていてもよく、1またはそれ以上のヘテロ原子を含んでいてもよい飽和または不飽和の分枝状または直鎖状のC1-5アルキル、好ましくはメチル、置換されていてもよく1又はそれ以上のヘテロ原子を含んでいてもよいC5-8シクロアルキル、置換されていてもよいアリールまたはヘテロアリール、または置換されていても良いベンジルであり、Xは(CH2m-A-(CH2)nであり、ここでmおよびnは同一又は異なっており整数0、1、2、3、または4からなる群より選ばれ、AはCH=CH、C≡C、CHB、C=O、置換されていてもよい窒素、酸素、イオウまたは酸化型でもよいイオウであり、Bは水素、ハロゲン、ヒドロキシ、C1-3アルコキシ、または置換されていてもよいメチルである。)

Description

【発明の詳細な説明】 β-ラクタム抗生物質を調製する方法 本発明の分野及び背景 本発明はβ-ラクタム抗生物質の調製方法に関する。 ペニシリンおよびセファロスポリン抗生物質のようなβ-ラクタム抗生物質の 類は非常に多様な化合物を含み、全て独自の活性特性を有している。一般には、 β-ラクタム抗生物質は核、いわゆるβ-ラクタム核からなり、この核は1級アミ ノ基を通していわゆる側鎖に直鎖アミド結合によって結合している。 β-ラクタム核は半合成ペニシリンおよびセファロスポリン抗生物質の調製に おいて非常に重要な中間体である。これらの半合成ペニシリンおよびセファロス ポリンを調製する経路は、大部分ペニシリンG、ペニシリンVおよびセファロス ポリンCのような発酵生産物から開始し、これらは対応するβ-ラクタム核に転 換され、この様式は例えば、K.Matsumoto、Bioprocess.Techn.,16,(1993),67 -88,J.G.Schewale & H.Sivaraman,Process Biochemistry,August 1989,14 6-154、T.A.Savidge,Biotechnology of Industrial Antibiotics(E.J.Vandam me編集)Marcel Dekker,New York,1984、あるいはJ.G.Shewaleら、Process Bi ochemistry International,June 1990,97-103に開示されたようなものである 。 いくつかの抗生物質の前駆体として用いられるβ-ラクタム核の例は6-アミノ ペニシラン酸(6-APA)、7-アミノセファロスポラン酸(7-ACA)、3-クロロ-7-アミ ノデスアセトキシデスメチルセファロスポラン酸(7-ACCA)、7-アミノデスアセチ ルセファロスポラン酸(7-ADAC)、および7-アミノデスアセトキシセファロスポ ラン酸(7-ADCA)である。 β-ラクタム核は、特にEP 0 339 751、JP 53005185およびCH 640 240に記載さ れているように、適切な側鎖にカップリングさせることにより望みの抗生物質に 転換される。側鎖とβ-ラクタム核との異なる組み合わせを作ることにより、い ろいろなペニシリンおよびセファロスポリン抗生物質が得られることがあり、 これらは全て独自の活性特性を有しているであろう。 例えば、D-(-)-フェニルグリシン、またはアミド若しくはエステルのような 、その適当な誘導体は7-ACA、7-ACCA、7-ADCAおよび6-APAのいずれかに結合され ることがあり、それぞれセファログリシン、セファクロール、セファレキシン、 またはアンピシリンを生成する。しばしば用いられる側鎖の他の例はD-(-)-4- ヒドロキシフェニルグリシン、2-シアノ酢酸および2-(2-アミノ-4-チアゾリル)- 2-メトキシイミノ酢酸である。 β-ラクタム抗生物質を調製する既知の酵素的方法は、全てβ-ラクタム核の調 製、および、続いてこれを適当な側鎖にカップリングすることを含むものである 。酵素的合成についての参考文献は、T.A.Savidge,Biotechnology of Industr ial Antibiotics(E.J.Vandamme編集)Marcel Dekker,New York 1984、J.G.She waleら、Process Biochemistry International,June 1990 97-103、E.J.Vanda mme,Advances in Applied Microbiology, 21,(1977),89-123およびE.J.Vand amme,Enzyme Microb.Technol.,5,(1983),403-416である。加えて、新たな 経路、7-ADCAおよび7-ACAの直接発酵生産を示すものが、EP 0 532 341、EP0 540 210、WO 93/08287、WO 95/04148およびWO 95/04149に開示されている。 これらの方法の不利な点は、側鎖のカップリング反応がβ-ラクタム核から開 始し、β-ラクタム核がカップリング反応の前に単離されなければならない点で ある。β-ラクタム核の単離において、これは通常は結晶化によって行われるが 、理論収率の約10%までが失われる。β-ラクタム核の両性的性質のため、どん なpH値においても水性環境で容易に溶け、母液の結晶化においてβ-ラクタム 核生産量の非常に多くの部分が失われる。 本発明は、β-ラクタム核と異なる物質から開始する反応に側鎖を導入するこ とにより上記の不利益を克服するものである。 発明の説明 本発明の目的は、β-ラクタム抗生物質を調製する方法であって、側鎖がβ-ラ クタム核と異なる物資から開始する反応に導入される方法を提供することである 。 本発明の更なる目的は、β-ラクタム抗生物質を調製する方法であって、ペニ シリンGあるいはセファロスポリンCのような発酵生産物から開始する既知の酵 素的方法と適当に組み合わせてもよい方法を提供することである。 本発明の別の目的はβ-ラクタム抗生物質を調製する方法であって、清浄で、 効率的で、かつ経済的に実施可能な方法、いいかえれば廃液の問題を生じない、 または、高価な化学薬品を含まない方法を提供することである。 上記目的の要求は、以下の一般式(I)を有するN−置換β-ラクタムまたは その塩が、少なくとも1つのジカルボキシレートアシラーゼまたはその機能的等 価物と接触させられ、少なくとも1つのペニシリンアシラーゼまたはその機能的 等価物の存在下で、β-ラクタム抗生物質の側鎖の前駆体と反応するものである 、β-ラクタム抗生物質を調製する方法において満足させることができることが 分かっている。 (式中、 R0は水素またはC1-3アルコキシ; YはCH2、酸素、イオウ、またはイオウの酸化型; Zは、 (式中、R1は水素、ヒドロキシ、ハロゲン、C1-3アルコキシ、置換されていて もよく、1またはそれ以上のヘテロ原子を含んでいてもよい、飽和または不飽和 の、分枝又は直鎖状C1-5アルキル、好ましくはメチル、置換されていてもよく 、1またはそれ以上のヘテロ原子を含んでいてもよいC5-8シクロアルキル、置 換されていてもよいアリールまたはヘテロアリール、または置換されていてもよ いベンジルである);および、Xは(CH2)m−A−(CH2)n、ここでmおよびn は同一または異なっており、整数0、1、2、3または4からなる群より選ばれ 、AはCH=CH、C≡C、CHB、C=O、置換されていてもよい窒素、酸素 、イオウまたは酸化型でもよいイオウであり、Bは水素、ハロゲン、ヒドロキシ 、C1-3アルコキシ、または置換されていてもよいメチルである。) 驚くべきことに、β-ラクタム抗生物質はN-置換β-ラクタムから開始し、異 なる基質をもつ2種の酵素が使用される反応にβ-ラクタム抗生物質の側鎖を導 入することにより効率的に調製されるかもしれないことが見出されている。本発 明の方法においては、中間産物、すなわち第1の酵素反応の産物を、第2の酵素 を作用させる前に回収する必要がない。 N-置換β-ラクタムはまた、ペニシリンG、ペニシリンV、セファロスポリン C、アジピル-7-ADCA、3-カルボキシエチルチオプロピオニル-7-ADCA、2-カルボ キシエチルチオアセチル-7-ADCA、3-カルボキシエチルチオプロピオニル-7-ADCA 、アジピル-7-ACA、3-カルボキシエチルチオプロピオニル-7-ACA、2-カルボキシ ルエチルチオアセチル-7-ACA、および3-カルボキシエチルチオプロピオニル-7-A CA、のような発酵生産物から調製してもよいため、本発明の大きな利点は、その ような発酵生産物から開始して、β-ラクタム核中間体の単離、この単離は産物 の有意な損失をもたらすものだが、それをすることなく、酵素的にβ-ラクタム 抗生物質を調製することができるようになったということにある。 本発明の方法は、清浄で高度に特異的な方法である。このことは、廃液および /または精製の問題を起こし得る副産物を全く、あるいはほとんど生成しないと いう意味である。さらに、本発明の方法は、その鋭敏性のため通常取り扱いが困 難である複雑で高価な試薬の使用を必要としない。 驚いたことに、本発明の方法において、有意な酵素阻害的効果が全く見られな いことが分かってきた。これまで、β-ラクタム抗生物質の調製において1また は2種の酵素を用いたトランスアシレーションは、酵素阻害効果のために可能で はないと信じられてきた。トランスアシレーション反応において、フェニル酢酸 Applied and Environment Microbiology,(2月、1984)、307-312および、A.L.Ma rgolinら、Biochim.Biophys.Acta,616,(1980),283-289に記載されたように ある種の酵素に対して阻害剤として働く。 本発明の方法における出発物質は上記一般式(I)を有するN-置換β-ラクタ ムまたはその塩である。式(I)中の種々の記号の上記定義において、イオウの 酸化型とは、スルホキシドおよびスルホンのような基を含むことを意味している 。置換されていてもよいアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール およびベンジルとは、1から3個の炭素原子のアルキル基のような置換基を有す る基を意味する。置換されていてもよい窒素とは、1級、2級、3級アミン基を 含み、それらは、例えば1個から3個の炭素原子のアルキル基で置換されていて もよい。置換されていてもよいメチルとはメチル基および−CHpqのような、 いろいろな置換メチル基(Dはハロゲンであり、pおよびqはその合計が3であ るような整数である)を意味する。 式(I)は、"Cephalosporins and Penici1lins,Chemistry and Biology",E .H.Flynn編集、Academic Press,1972,151-166頁、および“The Organic Che mistry of β-Lactams”,G.I.George,VCH,1992,89-96頁に開示された、いず れのβ-ラクタム核に基づくN-置換β-ラクタムをも包含することを意図したも のである。これらの文献は本明細書に含まれるものとする。好ましいのは、R1 がCH2−EあるいはCH=CH−E基である出発物質であり、ここでEは水素 、ヒドロキシ、ハロゲン、C1-3アルコキシ、置換されていてもよく1またはそ れ以上のヘテロ原子を含んでいてもよい、飽和または不飽和の分枝または直鎖状 のC1-5アルキル、置換されていてもよく1またはそれ以上のヘテロ原子を含ん でいてもよいC5-8シクロアルキル、置換されていてもよいアリールまたはヘテ ロアリール、置換されていてもよいベンジルである。 N-置換β-ラクタム出発物質の適切な塩には、アルカリ金属(例えばナトリウ ムまたはカリウム)塩、アルカリ土類金属(例えば、カルシウムまたはマグネシ ウム)塩、アンモニウム塩、または有機塩基(例えば、トリメチルアミン、トリ エチルアミン、ピリジン、ピコリン、ジシクロヘキシルアミン、N,N'-ジベンジ ルジエチレンジアミン)塩のような、どんな非毒性の塩も含まれる。 一般式(I)を有する好ましいN-置換β-ラクタム出発材料は、例えば、EP 0 532 341、WO 95/04148またはWO 95/04149に開示された方法で酵素的に調製して もよい。好ましい出発物質は、N-グルタリル、N-スクシニル、N-アジピル、 N-3-(カルボキシメチルチオ)プロピオニル、N-トランス-β-ヒドロムコニル 、N-ピメリルまたはN-3,3'-チオジプロピオニルβ-ラクタム、またはこれらの 塩である。これらのジカルボン酸に基づく出発物質は、本発明に従って用いられ る酵素によって効率的に転換される。 さらに好ましい出発材料は、N-置換6-アミノペニシラン酸(6-APA)、N-置換7 -アミノセファロスポラン酸(7-ACA)、N-置換3-クロロ-7-アミノデスアセトキシ デスメチルセファロスポラン酸(7-ACCA)、N-置換7-アミノデスアセチルセファ ロスポラン酸(7-ADAC)またはN-置換7-アミノデスアセトキシセファロスポラン 酸(7-ADCA)であり、なぜなら、これらのN-置換β-ラクタムは最も有利な活性特 性を有するβ-ラクタム抗生物質を生ずるからである。 N-置換βラクタムが本発明の方法において接触される適切なジカルボキシレ ートアシラーゼは真菌類やバクテリアのような天然に存在する種々の微生物から 単離されるかもしれない酵素である。そのような微生物は適当な基質の加水分解 を監視することにより望みのジカルボン酸特異性をもった酵素についてスクリー ニングすることができる。そのような適切な基質は例えば、スクシニル-、グル タリル-またはアジピル-p-ニトロアニリドのような発色団でよい。また、対応す るN-置換β-ラクタムの加水分解が、求める酵素を同定するために利用されても よい。これらの酵素に最適なpH範囲は約6、好ましくは約7から、約9、好ま しくは約8の間であることが見つかっている。 ジカルボキシレートアシラーゼを産生することが分かっている生物は、アルカ リゲネス(Alcaligenes)、アルスロバクター(Arthrobacter)、アクロモバクター( A chromobacter)、アスペルギルス(Aspergillus)、アシネトバクター(Acinetobact er)、バチルス(Bacillus)およびシュードモナス(Pseudomonas)種である。 より詳細には、以下の種が非常に適切なジカルボキシレートアシラーゼを産生 する:アクロモバクター・キシロソオキシダンス(AchroEobacter xylosooxidans) 、アルスロバクター・ビスコシス(Arthrobacter viscosis)、アルスロバクターC A128、バチルスCA78、バチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)ATCC53667 、バチルス・セレウス(Bacillus cereus)、バチルス・ラテロスポルス(Bacillus laterosporus)J1、ペシロマイセス(Paecilomyces)C2106、シュードモナス・ ディミヌタ(Pseudomonas dininuta)sp N176、シュードモナス・ディミヌタ spV2 2、シュードモナス・パウシモビリス(Pseudomonas paucimobilis)、シュードモ ナス・ディミヌタBL072、シュードモナスC427株、シュードモナスsp SE83、シュ ードモナスsp SE495、シュードモナス・オバリス(Pseudomonas ovalis)ATCC950 、コマモナスsp SY77、シュードモナスGK16、シュードモナスSY-77-1、シュード モナスsp A14、シュードモナス・ベシキュラリス(Pseudomonas vesicularis)B 965、シュードモナス・シリンゲ(Pseudomonas syringae)、Ps プチダ(putjda) ATCC17390、Psアエロギノサ(aeroginosa)NCTC10701、プロテウス・ブルガリス(P roteus vulgaris)ATCC9634、Psフラギ(fragi)DSM3881、およびB.ズブチルスIF0 3025。 ジカルボキシレートアシラーゼは、例えばシュードモナスsp SE83株についてU S 4,774,179に記載されたような、いずれかの適切な方法において、これを産生 する微生物から得てもよい。また、例えば、SE83またはSY77ジカルボキシレート アシラーゼの遺伝子は、J.Bacteriology,169,(1987),5818-5820においてMats udaらによりSE83株について、および、US 5,457,032においてSY77株について記 載されたように、大腸菌(E.coli)のような異種の適切な宿主中で発現させてもよ い。 上記の供与源から単離した酵素はしばしばグルタリルアシラーゼと称される。 しかしながら、この酵素の側鎖特異性はグルタリル側鎖に限定されず、より小さ な、および、より大きなジカルボキシル側鎖を含む。またジカルボキシレートア シラーゼの幾つかはγ-グルタミルトランスペプチダーゼ活性を示し、従って、 ときどきγ-グルタミルトランスペプチダーゼとして分類される。 本発明による方法においてN-置換βラクタムが接触させられる適切なペニシ リンアシラーゼは、真菌類やバクテリアのような天然に存在する種々の微生物か ら単離されるかもしれない酵素である。そのような微生物を、ジカルボキシレー トアシラーゼについて記載したものと類似の監視テストにおいて、求める特異性 をもった酵素についてスクリーニングすることができる。これらの酵素について 、最適pHは約4、好ましくは約5から、約7、好ましくは約6の間にあること が分かった。 ペニシリンアシラーゼを産生することが分かっている生物は、例えば、アセト バクター(Acetobacter)、アエロモナス(Aeromonas)、アルカリゲネス、アファノ クラジウム(Aphanocladium)、バチルスsp.、セファロスポリウム(Cephalosporiu mu)、エシェリキア、フラボバクテリウム、クルイベラ(Kluyvera)、マイコプラ ナ、プロタミノバクター(Protaminobacter)、プロビデンチア(Providentia)、シ ュードモナスまたはザントモナス種である。アセトバクター・パスツーリオアナ ム(Acetobacter Pasteurioanum)、アルカリゲネス・ファエカリス(Alcaligenes faecalis)、バチルス・メガテリウム、大腸菌(Escherichia coli)、プロビデン チア・レットゲリ(Providentia rettgeri)、およびザントモナス・シトリィ(Xa nthomonas citrii)由来の酵素は本発明の方法において好結果を与えることが分 かった。文献中では、ペニシリンアシラーゼはペニシリンアミダーゼとも称され ている。 ジカルボキレートアシラーゼおよびペニシリンアシラーゼは遊離の酵素として 用いられてもよいが、例えば、EP 0 222 462およびWO 97/04086において記載さ れているような、どんな固定化型でもよい。本発明による方法であって、両酵素 が一つの担体上に固定化されているような方法、または酵素が異なる担体上に固 定化されている方法を実行することができる。加えて、この酵素の一つ、または 両方と機能的に等価なものを使用することもでき、その場合、例えば、pH依存 性、熱安定性あるいは比活性のようなその酵素の特性は、本発明の方法における 酵素の活性に関して、量的ではなく性質的に有意な影響なく、化学修飾またはク ロスリンクによって影響を受けていてもよい。また、古典的手段または組換え DNA方法論、酵素の生物学的活性部分または酵素のハイブリッドによって得られ る、変異体または他の誘導体のような機能的等価物を用いてもよい。ある場合に は、化学的または他の方法での修飾は本発明の方法において有益なことがあるが 、これは当業者の標準的知識の一部である。 本発明によって調製されるβ-ラクタム抗生物質の側鎖の前駆体は上で明らか にしたペニシリンアシラーゼによって認識され、β-ラクタム抗生物質類産物へ 導かれる、どんな化合物であってもよい。好ましくは、基質は、D-(-)-フェニ ルグリシン、D-(-)-4-ヒドロキシフェニルグリシン、D-(-)-2,5-ジヒドロフェ ニルグリシン、2-チエニル酢酸、2-(2-アミノ-4-チアゾリル)-2-メトキシイミノ 酢酸、α-(4-ピリジルチオ)酢酸、3-チオフェンマロン酸、または2-シアノ酢酸 、およびそれらの誘導体からなる群より選ばれる。なぜなら、これらの基質は、 最も有利な活性特性を有するβ-ラクタム抗生物質となるからである。これらの 基質の適切な誘導体はエステルおよびアミドであり、側鎖分子がエステルまたは アミド結合を通してC1−C3アルキル基に結合しているものである。 本発明の方法においては、ジカルボキシレートアシラーゼ、β-ラクタム抗生 物質の側鎖の前駆体およびペニシリンアシラーゼは、N-置換β-ラクタム出発物 質に一緒に、または別々に添加されて良い。酵素は一緒にN-置換β-ラクタムお よび側鎖の前駆体に添加されるのが好ましい。 本発明の好ましい実施態様では、この方法はどこかの時点で反応混合物中に存 在するかもしれない、いかなる中間体をも単離および/または精製せずに行われ る。こうして、単離または生成工程で生産物が失われることがない。 本発明の非常に好ましい実施態様では、この方法は1ポット工程で行われる。 「1ポット工程」とは、全ての工程が1つの反応容器内で行われるどんな工程を も意味する。言い換えると、本発明の方法が行われる時間中のどの時点において も主要反応成分は反応容器から実質的に抜き出されない。本実施態様の利点は当 業者には明らかであろう。 本発明の方法に適用される条件は種々のパラメーター、特に試薬の型、試薬の 濃度、反応時間、滴定剤、温度、pH、酵素濃度、酵素形態に依存する。所定の ジカルボキシレートアシラーゼと所定のペニシリンアシラーゼを用いて所定のβ -ラクタム抗生物質に転換すべき具体的なN-置換β-ラクタムが与えられたなら 、当業者は適切に最適反応条件を選択することができるであろう。 しかしながら、本発明の方法における最適反応温度は0から80℃にあり、好ま しくは10から50℃にあることが見出されている。本発明によるβ-ラクタム抗生 物質の調製における最適pHは4.5から9.0の間にある。このことについては、本 発明の方法は水性環境で行うことが非常に好ましいことを述べておくべきである 。なぜなら、そうすれば有機溶媒の使用、これは廃液の問題につながるであろう が、これが回避されるからである。さらに、ジカルボキシレートアシラーゼおよ びペニシリンアシラーゼ酵素は両者とも水性環境において最も効率的に転換反応 を触媒することが分かった。 一般には、どちらのステップにおいても、試薬はキログラム反応混合物あたり 0.01、好ましくは0.5から3モルの量で存在し、好ましくは反応混合物のキログ ラムあたり2molで存在するであろう。 適切な酵素濃度は総反応時間が4時間を越えないように選ばれる。1時間内に 10ミリモルの基質を生成物に転換するためには、約500から3000酵素反応ユニ ットを作用させなければならない。ここで、酵素反応ユニットとは実際の工程条 件を表す条件下で1分間に1マイクロモルの基質を生成物に転換する酵素量とし て定義される。一般には、1時間にある一定量の基質を転換するために酵素の用 量が1モルあたり50から300キロユニットであることが好ましいであろう。しか しながら、この工程中で起こるかもしれない損失を補償するために、通常は大過 剰の活性が加えられる。 適切な滴定剤は、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリ ウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、水酸化アンモニウム、その他の ような無希酸及び塩基、または、ギ酸、酢酸、コハク酸、アジピン酸、グルタル 酸その他のような有機酸である。滴定剤濃度は、反応のスケール及び滴定剤の溶 解性に依存して、0.01から8Mの間で変動するであろう。 勿論、本発明は上で開示した方法で得られるβ-ラクタム抗生物質も含むもの である。 本発明は以下の非限定的実施例により明瞭になるであろう。実施例 定義及び手順酵素活性 ペニシリンGアシラーゼ活性の定義としては以下を用いた:1ユニット(U) は標準条件で(100g.1-1ペニシリンGカリウム塩、0.05Mリン酸カリウムバッフ ァー、pH8.0、28℃)1分間に1μMのペニシリンGを加水分解する酵素量に 相当する。 カルボキシレートアシラーゼ活性の定義としては以下を用いた:1ユニット( U)は標準条件で(100mM N-アジピル-7-ADCA、100mM Trisバッファー、pH8. 0、37℃)1分間あたり1mmolのN-アジピル-7-ADCAを加水分解する酵素量に相 当する。pH測定 自動ビュレットを備えたMettler DL21滴定装置とBrother M1509印字装置を用 いた。HPLC 解析 アモキシリン用: カラム :Chromsphere C18、5Mm(100x3.0nm) 溶媒 :0.2%ドデシル硫酸ナトリウムを含む、12mMリン酸カリウム バッファー中の25%アセトニトリル 流速 :1ml.min-1 検出 :214mn セファレキシン用: カラム :Micromsphere C18,3Mm(100x4.6mm) 溶媒 :リン酸でpH3.0にした、14mMリン酸2水素カリウム バッファー中の29%アセトニトリル 流速 :1ml.min-1 検出 :254mn 実施例1 N-アジピル-6β-アミノペニシラン酸とD-(-)-4-ヒドロキシフェニルグリシン メチルエステルからのアモキシシリン N-アジピル-6β-アミノペニシリネート(0.71g、純度59%;1.0mmol)および D-(-)-4-ヒドロキシフェニルグリシンメチルエステル(0.45g、純度>97%、2. 4mmol)の水溶液(10ml)に、シュードモナスSE83から得たジカルボキシレート アシラーゼ(1.044g、96U・g-1)および大腸菌から得たペニシリンアシラーゼ( 0.80g、125U・g-1)を加えた。混合物を室温で撹拌し、pHを水酸化ナトリウム 1M水溶液を用いて6.9に維持した。生成物の形成はHPLC分析を用いて監視した 。その結果を表1に示す。 実施例2 N-アジピル-7-アミノ-3-メチルセフ-3-エム-4-カルボキシレートとD-(-)-フ ェニルグリシンアミドからのセファレキシン N-アジピル-7-アミノ-3-メチルセフ-3-エム-4-カルボキシレート(N-adipyl- 7-aulino-3-methylceph-3-em-4-carboxylate)(0.68g、純度97.1%、2.0mmol)お よびD-(-)-フェニルグリシンアミド(0.75g、純度96%、4.8mmol)の水溶液(2 0ml)に、シュードモナスSE83から得たジカルボキシレートアシラーゼ(4.00g、 369U・g-1)および大腸菌から得たペニシリンアシラーゼ(1.6g、250U・g-1) を加えた。反応混合物の開始時pHは6.3であった。反応混合物を35℃で撹拌し 、30分後(pH=6.8)HPLC分析によりセファレキシンの形成が示された。HPLC 分析のため、反応容器から0.5mlの反応混合物を取り、遠心して濾液から0.2mlの 量をpH7のバッファー溶液で50mlにした。この結果を表2に示した。 実施例3 N-アジピル-7-アミノ-3-メチルセフ-3-エム-4-カルボキシレートおよびD-(-) -フェニルグリシンアミドからのセファレキシン N-アジピル-7-アミノ-3-メチルセフ-3-エム-4-カルボキシレート(0.68g、純 度97.1%、2.0mmol)の水溶液(20ml)にシュードモナスSE83から得たジカルボ キシレートアシラーゼ(4.00g、369U・g-1)を加えた。反応混合物を35℃で撹拌 し、水酸化カリウムの2M水溶液を用いてpHを8.0に維持した。約1時間後、反 応内容物を濾過し、合わせた濾液にD-(-)-フェニルグリシンアミド(0.75g、純 度96%、4.8mmol)および大腸菌から得たペニシリンアシラーゼ(1.6g、250U・g-1 )を加えた。反応内容物を13℃に、および1M塩酸水溶液を用いてpH7.5に維 持した。HPLC分析によりセファレキシンの形成が示された。HPLC分析のため、反 応混合物の0.5mlを反応容器からとり、遠心し、濾液から0.2ml容量をpH7のバ ッファー溶液で25mlにした。結果を表3に示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR, NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,KE,L S,MW,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM,AZ ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),AL ,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR, BY,CA,CH,CN,CU,CZ,DE,DK,E E,ES,FI,GB,GE,GH,GM,GW,HU ,ID,IL,IS,JP,KE,KG,KP,KR, KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,M D,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ,PL ,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK, SL,TJ,TM,TR,TT,UA,UG,US,U Z,VN,YU,ZW (72)発明者 カプール ジャグディシュ チャンダー オランダ エヌエル―2624カーベー デル フト ローラント ホルストラーン 799 【要約の続き】 それ以上のヘテロ原子を含んでいてもよい飽和または不 飽和の分枝状または直鎖状のC1-5アルキル、好ましくは メチル、置換されていてもよく1又はそれ以上のヘテロ 原子を含んでいてもよいC5-8シクロアルキル、置換され ていてもよいアリールまたはヘテロアリール、または置 換されていても良いベンジルであり、Xは(CH2m-A- (CH2)nであり、ここでmおよびnは同一又は異なってお り整数0、1、2、3、または4からなる群より選ば れ、AはCH=CH、C≡C、CHB、C=O、置換されていてもよい 窒素、酸素、イオウまたは酸化型でもよいイオウであ り、Bは水素、ハロゲン、ヒドロキシ、C1-3アルコキ シ、または置換されていてもよいメチルである。)

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.β-ラクタム抗生物質を調製する方法であって、以下の一般式(I)を有す るN-置換β-ラクタムまたはその塩を、少なくとも1種のジカルボキシレートア シラーゼまたはその機能的等価物と接触させ、少なくとも1種のペニシリンアシ ラーゼまたはその機能的等価物の存在下で、β-ラクタム抗生物質の側鎖前駆体 と反応させる方法: (式中、 R0は水素またはC1-3アルコキシであり、 YはCH2、酸素、イオウ、またはイオウの酸化型であり、 Zは、 (式中、R1は水素、ヒドロキシ、ハロゲン、C1-3アルコキシ、置換されていて もよく、1またはそれ以上のヘテロ原子を含んでいてもよい飽和または不飽和の 分枝状または直鎖状のC1-5アルキル、好ましくはメチル、置換されていてもよ く1またはそれ以上のヘテロ原子を含んでいてもよいC5-8シクロアルキル、置 換されていてもよいアリールまたはヘテロアリール、または置換されていても よいベンジルである。)であり、 Xは(CH2m−A−(CH2n、ここでmおよびnは同一または異なっており 、整数0、1、2、3、または4からなる群より選ばれ、AはCH=CH、C≡ C、CHB、C=0、置換されていてもよい窒素、酸素、イオウまたは酸化型で あってもよいイオウであり、Bは水素、ハロゲン、ヒドロキシ、C1-3アルコキ シ、または置換されていてもよいメチルである。)。 2.中間体産物が全く単離および/または精製されない、請求項1に記載の方法 。 3.1ポット工程で行われる、請求項2に記載の方法。 4.N-置換β-ラクタムが、N-グルタリル、N-スクシニル、N-アジピル、N- 3-(カルボキシルメチルチオ)プロピオニル、N-トランス-β-ヒドロムコニル 、N-ピメリルまたはN-3,3'-チオジプロピオニルβ-ラクタム、またはこれらの 塩である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。 5.N-置換β-ラクタムがN−置換6-アミノペニシラン酸(6-APA)、7-アミノセ ファロスポラン酸(7-ACA)、3-クロロ-7-アミノデスアセトキシデスメチルセファ ロスポラン酸(7-ACCA)、7-アミノデスアセチルセファロスポラン酸(7-ADAC)、ま たは7-アミノデスアセトキシセファロスポラン酸(7-ADCA)、またはそれらの塩で ある、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。 6.β-ラクタム抗生物質の側鎖の前駆体がD-(-)-フェニルグリシン、D-(-)-4 -ヒドロキシフェニルグリシン、D-(-)-2,5ジヒドロフェニルグリシン、2-チェ ニル酢酸、2-(2-アミノ-4-チアゾリル)-2-メトキシイミノ酢酸、α-(4-ピリジル チオ)酢酸、3-チオフェンマロン酸、または2-シアノ酢酸、またはそれらのアミ ド若しくはエステルである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。 7.ジカルボキシレートアシラーゼが、アルカリゲネス、アルスロバクター、ア クロモバクター、アスペルギルス、アシネトバクター、バチルスまたはシュード モナス種から得られるものである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。 8.ペニシリンアシラーゼが、アセトバクター、アエロモナス、アルカリゲネス 、アファノクラジウム、バチルスsp.、セファロスポリウム、エシェリキア、フ ラボバクテリウム、クルイベラ、マイコプラナ、プロタミノバクター、プロビデ ンチア、シュードモナスまたはザントモナス種から得られるものである、請求項 1 〜7のいずれか1項に記載の方法。 9.N-置換β-ラクタムが、発酵生産物から開始する酵素的製法によって得られ るものである、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。 10.発酵生産物がペニシリンG、ペニシリンV、セファロスポリンC、アジピ ル-7-ADCA、3-カルボキシエチルチオプロピオニル-7-ADCAN、2-カルボキシルエ チルチオアセチル-7-ADCA、および3-カルボキシエチル-チオプロピオニル-7-ADC A、アジピル-7-ACA、3−カルボキシエチルチオプロピオニル-7-ACA、2-カルボ キシルエチルチオアセチル-7-ACAおよび3-カルボキシエチルチオプロピオニル-7 -ACAである、請求項9に記載の方法。 11.N-置換β-ラクタムをβ-ラクタム抗生物質に転換するためのジカルボキ シレートアシラーゼおよびペニシリンアシラーゼの使用。
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