JP2000515165A - ホスファターゼ阻害剤およびその使用方法 - Google Patents
ホスファターゼ阻害剤およびその使用方法Info
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Abstract
(57)【要約】
本発明は式Iを有する化合物に関し、式中R、R'およびR'''は同一でも異なっていてもよく、好ましくは疎水性基であり、Zは1または2個の2価セグメントを表し、そしてYはHであるか、またはZが2個の2価セグメントを表す場合はYは存在しない。R''はR、R'およびR'''と同一でも異なっていてもよく、Zが2個の2価セグメントを表す場合はR''は存在しない。本発明はさらに、式Iの化合物の製造方法を提供する。本化合物はプロテインホスファターゼ(例えば、PP1、PP2A、PP3、CDC25A、CDC25BおよびCDC25C)の阻害剤として有用である。本発明はさらに、プロテインホスファターゼの阻害方法、細胞増殖の抑制方法、および本化合物を含有する医薬組成物に関する。
Description
【発明の詳細な説明】
ホスファターゼ阻害剤およびその使用方法
本出願は、1996年7月30日に出願された米国特許出願第08/688,530号の一部継
続出願であり、それに基づく優先権を主張するものである。
キナーゼとホスファターゼによるタンパク質リン酸化の調節は、シグナル伝達
、細胞接着、遺伝子転写、細胞増殖を含めて、多くの真核細胞機能を制御してい
る。したがって、キナーゼ、ホスファターゼおよびそれらの阻害剤を同定し特性
決定することにより、さまざまな細胞機能の医薬による調節が可能となる。本発
明はプロテインホスファターゼの阻害剤、並びに前記阻害剤を製造し使用する方
法を提供する。本発明の化合物は例えば細胞増殖の抑制剤として有用である。発明の背景
シグナル伝達、細胞接着、遺伝子転写、RNAスプライシング、アポトーシス
、細胞増殖をはじめとする多くの真核細胞機能はタンパク質のリン酸化により制
御されている。タンパク質のリン酸化はキナーゼとホスファターゼとの動的関係
により調節される。合成化学において注目に値する研究はプロテインキナーゼに
集中してきた。しかしながら、プロテインホスファターゼの多数の調節機能に関
する最近の生物学的証拠により、更なるホスファターゼ研究が注目を集めるよう
になった。プロテインホスファターゼは小分子阻害および薬理学的介入のための
ユニークで興味を引く標的である。
真核生物のポリペプチドやタンパク質中のアミノ酸のリン酸誘導体は大部分が
セリン、トレオニンおよびチロシン残基に見られる。真核生物のプロテインホス
ファターゼは基本的に3つのタイプが規定されており、すなわち、セリン/トレ
オニンプロテインホスファターゼ(PSTPアーゼ)、チロシンプロテインホスファタ
ーゼ(PTPアーゼ)、および二重特異性ホスファターゼ(DSPアーゼ)である。DSPア
ーゼは同一のポリペプチド基質上のチロシン残基とトレオニン残基を脱リン酸化
する。
セリン/トレオニンプロテインホスファターゼ(PSTPアーゼ)は基質特異性、
金属イオン依存性および阻害に対する感受性によりサブファミリー(PP1,PP2A,
PP2B,PP2CおよびPP3)にさらに類別される。このタイプの酵素はDNAクローニ
ングによって少なくとも40種類がこれまでに同定されている。セリン/トレオニ
ンホスファターゼの強力な阻害剤が、インヒビター1、インヒビター2、DARPP-
32およびNIPP-1と称するタンパク質を含めて、同定されており、これらは例えば
Honkanenら,Protein Kinase C,Kuo編,Oxford Univ.Press,Oxford,1994,p
.305中に載っている。さらに、数種類の毒素(大部分は海洋生物由来)がセリン
/トレオニンホスファターゼの強力な阻害剤として同定されている。天然物阻害
剤は図1(a)および1(b)に示してあり、例えばFujikiら(1993)Gazz.Chim.It
al.123:309に記述されている。
数種の海洋渦鞭毛虫により産生されるポリエーテル脂肪酸であるオカダ酸は、
セリン/トレオニンホスファターゼのサブタイプPPI1,PP2AおよびPP3の触媒サ
ブユニットを可逆的に阻害する。しかし、オカダ酸は細胞膜に速やかに浸透せず
、細胞内に徐々に蓄積して、この化合物の細胞内濃度は制御できなくなる。さら
に、オカダ酸は化学的に非常に不安定である。
より安定していて、いくつかの細胞型に良好に浸透し、より強力で、PSTPアー
ゼの種々のイソタイプに対して選択性を示す他の天然物阻害剤も同定されている
。カリクリン(Calyculin)Aは海綿Discodermia calyxの細胞毒成分である。これ
はPP1,PP2AおよびPP3に対してきわめて高い親和性を有し、約0.3nMの阻害濃度5 0
(以後「IC50」という)を有する(IC50は未処理の対照調製物と比べて50
%の阻害を引き起こす濃度を表す)。ミクロシスチン(microcystin)は一般構造
:シクロ[D-Ala-X-D-erythro-b-メチル-iso-Asp-Y-Adda-D-iso-Glu-N-メチルデ
ヒドロ-Ala]を有する強力な環状ヘプタ-およびペンタペプチド毒素であり、ここ
でXおよびYは変化しうるL-アミノ酸である。ミクロシスチンはin vivoにおいて
腫瘍を進行させることが知られているが、肝細胞を除くほとんどの細胞にin vit
roで不浸透性である。ノジュラリン(nodularin)系の化合物はPP1およびPP3に対
してそれぞれ約2nMおよび約1nMのIC50を示す。ニューギニア海綿から最近単
離されたモツポリン(Motuporin)はより一層強力であり、PP1に対して1nM未満の
IC50を示す。タウトマイシン(Tautomycin)は陸生のストレプトミセ
ス株により産生され、PP1,PP2AおよびPP3を無差別的に阻害して15nM範囲のIC50
を示す。残りの天然物阻害剤であるチルシフェラール-23-アセテート(thyrsif
eral-23-acetate)およびカンタリジン(cantharidine)はやや選択的であるが、PP
2Aの弱い(0.16〜10μMのIC50)阻害剤である。
天然のセリン/トレオニンホスファターゼ阻害剤の場合は高い毒性、特に肝毒
性が通常見られる。この高毒性はもともと非特異的ホスファターゼ活性に関係し
ているようであり、しばしば実施可能な薬理学的研究の範囲を狭めてしまう(Hon
kanen(1994)Toxicon 32:339)。さらに、天然源から得られる化合物の化学的多
様性(chemical complexity)は限られている。したがって、当技術分野では天然
物の化学的複雑性を多様化し、かつ生化学的および薬理学的作用を最適化する必
要性が存在している。
しかしながら、天然のセリン/トレオニンホスファターゼ阻害剤に関しては、
限られた構造−活性関係(以後「SAR」という)の研究しか報告されていない
。例えば、オカダ酸のSAR研究からは、カルボキシル基と4個のヒドロキシル
基が活性にとって重要であることが示された(Nishiwkiら(1990)Carcinogenesi
s 11:1837;Takaiら(1992)Biochem J.284:539;Sasakiら(1994)Biochem J.2
88:259)。
天然ミクロシスチンの限定されたSAR研究がRinehartら(1994)J.Appl.P
hycol.6:159により行われた。アルギニンをアラニンで置換するとホスファター
ゼ阻害効力がほとんどなくなるが、相対的な細胞毒性は相違することがわかった
。デヒドロアミノ酸残基とN-メチル置換基も重要でないことが見いだされた。グ
ルタミン酸残基のエステル化は不活性な化合物をもたらし、(6Z)Adda異性体は不
活性であった。こうしたことはグルタミン酸単位とAdda残基の全体的な形状の重
要性を示唆している。しかし、Adda単位のいくつかの変更、例えばO-ジメチルお
よびO-ジメチル-O-アセチル類似体、は生物活性に対してほとんど影響を及ぼさ
なかった。ノジュラリン系の一般的SARはミクロシスチンに類似しているよう
だが、試験には少数の化合物しか入手可能でない。カリクリンA、タウトマイシ
ンまたはチルシフェリルアセテートに関するSAR研究はこれまで報告されてい
ない。
DSPアーゼのクラスのホスファターゼが最近定義されて、そのメンバーは細胞
周期の制御およびシグナル伝達の重要な調節物質として浮上してきた。最初に記
述されたDSPアーゼであるVH1は、Guanら(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 8
9:12175に記載されるように、ワクシニアウイルスのH1オープンリーディングフ
レームに一致する。DSPアーゼのクラスの他のメンバーも同定され、これらは一
般的に2つの基質モチーフ、すなわちVH1タイプとCDC25タイプに入る。哺乳動物
細胞は少なくとも3種類のCDC25相同体(CDC25A,CDC25B,CDC25C)を含む。CDC25
ホスファターゼは細胞周期の進行の正の調節物質であり、Hunterら(1994)Cell
:573に記載されている。さらに、CDC25ホスファターゼの過剰発現と癌遺伝子の
形質転換の間には、特にヒト乳癌において、強い関連性がある(Galaktinovら(1
995)Science 269:1575)。天然源からは抗DSPアーゼ活性をもつ化合物が4種類
単離されている。2つのベンゾキノイド抗腫瘍性抗生物質であるドナシンA1およ
びドナシンB1(図1(a)参照)は、それぞれ141および64μMのIC50で、非競合
的にCDC25B DSPアーゼ活性を阻害すると報告された(Horiguchiら(1994)Bioche
m.Pharmacol.48:2139)。また、ダイシドリド(dysidolide)はCDC25Aによるp-ニ
トロフェノールホスフェートの脱リン酸化を9.4μMのIC50で阻害することが
報告された(図1(a)参照)。最近、ストレプトミセス分離株RK-682は二重特異
性ホスファターゼVHRの阻害剤であることが示された。そのIC50は1μMで
あった。しかし、容易に合成でき、比較的分子量の低いDSPアーゼの強力な阻害
剤は全く知られていない。その上、DSPアーゼを選択的に阻害するものも知られ
ていない。
ほとんど全ての形のヒト腫瘍形成では細胞周期の制御が改変されているので、
細胞周期の制御におけるホスファターゼの役割は、これらの分子を薬学的介入の
ための魅力的な標的にしている。異常な細胞活性を妨げるホスファターゼ阻害剤
の能力は実証済みである。例えば、天然のPSTPアーゼ阻害剤であるオカダ酸は、
骨髄性白血病細胞において(Ishidaら(1992)J.Cell.Physiol.150:484)、ま
た、ラット肝細胞、ラット下垂体腺癌細胞、ヒト乳癌細胞およびヒト神経芽細胞
腫細胞において(Boeら(1991)Exp.Cell Res.195:237)、アポトーシスを誘導
することが示された。かくして、有用な治療薬を同定するためにこのファミリ
ーの酵素の選択的モジュレーターを設計し合成するという重大なニーズが存在す
る。発明の概要
本発明は、式Iを有する化合物を提供し、
式中、R,R'およびR'''は同一でも異なっていてもよく、好ましくは疎水性基で
ある。Zは式Iに示す2個の中心窒素原子に結合された1個または2個の2価セ
グメントを表す。Zが1個の2価セグメントを表すとき、YはHである。Zが2個の
2価セグメントを表すとき、Yは存在しない。R''は、Zが2個の2価セグメント
を表すとき存在しない。Zが1個の2価セグメントを表すとき、R''はR,R'およ
びR'''と同一でも異なっていてもよく、好ましくは疎水性基である。
別の実施態様において、本発明は、式Iを有する化合物の合成方法を提供する
。この合成方法は、グルタメートを固相支持体にカップリングさせ、疎水性残基
R'''COX(ここでXは離脱基である)を添加し、式-NYZNH(R'')を有するジアミン
を添加し、式II:
(式中、RおよびR'は同一でも異なっていてもよく、好ましくは疎水性基である
)を有するオキサゾールカルボン酸を添加し、そして得られた化合物を固相支持
体から開裂する、ことを含んでなる。
本発明はさらに、ホスファターゼを阻害するのに有効な量の式Iの化合物とプ
ロテインホスファターゼとを、プロテインホスファターゼの活性を阻害する条件
下で接触させることを含んでなる、プロテインホスファターゼの阻害方法を提供
する。
本発明はまた、細胞増殖を抑制する量の式Iの化合物を細胞に導入することを
含んでなる、細胞増殖の抑制方法を提供する。好ましい実施態様において、細胞
はヒト乳癌細胞またはマウスSCCVII/SF頭部頸部癌(head and neck cancer)細胞
である。
式Iの化合物および製薬上許容される担体を含有する医薬組成物も本発明によ
り提供される。図面の簡単な説明
図1(a)は、セリン/トレオニンホスファターゼの天然に存在する阻害剤の式
を示す。
図1(b)は、式I(ここでYはH、Zは2価エチレンセグメントである)の化合物
の構造と、天然物ミクロシスチン-LRおよびカリクリンAの構造との比較を示す
。
図2は、式Iの化合物の代表的な合成スキームを示す。
図3は、モノ保護ジアミンへの代表的な合成経路スキームを示す。
図4(a)は、N-ベンゾイルトレオニンからの複素環部分の合成スキームを示す
。
図4(b)は、複素環部分の別の合成スキームを示す。
図5は、モデル化合物IIの液相合成スキームを示す。
図6は、化合物1dによるPP2A活性の阻害を示すグラフである。PP2Aの触媒サブ
ユニットをビヒクルのみ(対照)、カリクリンA(10nM)または化合物1d(100μ
M)とインキュベートし、基質フルオレセインジホスフェートの脱リン酸化を分
光光度分析により測定した。2回の独立した実験で得られた結果の平均を示す。
図7は、CDC25AおよびCDC25B活性を阻害する化合物1(a)-(r)の能力を示すグラ
フである。結果は対照(100%)に対するパーセントで表してある。
図8は、CDC25Aを阻害する化合物1fの能力の用量-応答曲線を示す。
図9は、ヒトMDA-MB-231乳癌細胞に対する化合物1fの抗増殖作用を示すグラフ
である。
図10A-Dは、フローサイトメトリーで測定した、化合物1fで処理した後のヒト
乳癌細胞の細胞周期分布を示す。図10Aはビヒクルのみで処理したMDA-MB-231細
胞のフローサイトメトリー分析を示す。図10Bは88μMの化合物1fで処理した48
時間後のフローサイトメトリー分析を示す。蛍光チャンネルはDNA含量の指数
である細胞内ヨウ化プロピジウム濃度を測定する。水平の棒は細胞周期分析を可
能にするゲーティング位置(gating position)である。図10Cは88μMの化合物1f
による連続処理の48時間後のMDA-MB-231細胞周期分布を示し、これは一実験の結
果である。白棒は対照細胞であり、黒棒は化合物1fで処理した細胞である。図10
Dは88μMの化合物1fによる連続処理の72時間後の細胞周期分布を示す。3回の
独立した測定から平均値を得た。白棒は対照細胞であり、黒棒は88μMの化合物
1fで処理した細胞である。平均の標準誤差を表示する。
図11は、本明細書に記載するコンビナトリアル法(Zが種々の2価セグメント
を表す)で合成した式Iの化合物の一般式を示す。
図12(a)-12(n)は、種々のZ置換を有する14の式Iの化合物の特定の構造式を示
す。これらの化合物は本明細書に記載するコンビナトリアル法で合成した。
図13は、表Iからの化合物1(a)-1(r)、化合物SC-ααδ9およびSC-αα69、お
よび図12(a)-12(n)に示した化合物のPTP1B阻害能を示すグラフである。結果を阻
害パーセントとして表す。
図14は、図12(a)-12(n)に示した化合物、および化合物SC-ααδ9およびSC-α
1δ9(すなわち、液相法で再合成された、表Iのそれぞれ化合物1fおよび1c)がC
DC25C,PP-1,PP-2AおよびPTP1Bの活性を阻害する能力を示すグラフである。潜
在的阻害剤を100μMで試験した。
図15(a)-15(d)は、それぞれSC-αα69およびSC-ααδ9である化合物1eおよび
1f、およびそれらの溶液化学類似体がCDC25AおよびCDC25Bを阻害する能力の
濃度依存性を示すグラフである。
図16は、マウスSCCVII/SF細胞に対する化合物1a-1rの細胞毒性を示すグラフで
ある。指数的に増殖しているSCCVII細胞を、10倍異なる2つの濃度の各薬物に連
続して48時間さらした。平均薬物濃度は80μM(黒棒)と800μM(白棒)とし
た。実施例IIIに記載したアッセイにより全細胞数を測定した。それぞれの数値
は4回の反復実験の3つの測定値の平均である。
図17は、SC-αα69(すなわち、溶液化学法により製造した表Iの化合物1e)
およびSC-ααδ9(すなわち、溶液化学法により製造した表Iの化合物1f)に対
する培養下のマウスSCCVII/SF細胞の濃度依存的細胞毒性応答を示すグラフであ
る。
図18は、化合物SC-αα69およびSC-ααδ9についてのSCCVII/SF腫瘍切除クロ
ーン原性アッセイの結果を示すグラフである。
図19は、マウス胚性繊維芽細胞(以後「MEF」という)およびMEF/SV40細胞に
おけるSV-40ラージT抗原(パネルA)、CDC25B(パネルB)およびCDC25A(パ
ネルC)発現のウエスタンブロットを示す。実施例XIIに記載するようにMEFおよ
びSV-40/MEF細胞から細胞溶解物を単離し、分離し、SV-40ラージT抗原(Ab-2,
Oncogene)またはCDC25B(C-20,Santa Cruz)に対する抗体を用いてイムノブロ
ットした。示したデータは3回の独立した実験を表す。
図20(a)-20(c)は、オカダ酸、バナデートまたは化合物1(f)に対するMEFおよび
MEF/SV40細胞の濃度依存的細胞毒性応答を表す。96ウェルプレートにMEFおよびM
EF/SV40細胞をまいた。24時間後に種々の濃度のオカダ酸(パネルA)、バナデ
ート(パネルB)またはSC-ααδ9を加えた。実施例XIIに記載するマイクロタ
イトレーションアッセイを用いて48時間後に細胞の生存度を調べた。それぞれの
数値は4回反復して行った3〜4の独立した実験の平均である。バーはSEMを表
す。
図21は、化合物SC-ααδ9の濃度に対するコロニー形成率のグラフを示す。ME
FおよびMEF/SV40細胞を3回反復して6ウェルプレートにまき、実施例XIIに記載
するようにビヒクルまたは阻害剤で処理した。薬物に連続して10〜12日間さらし
た後、コロニーをクリスタルバイオレットで染色してカウントした。データ
は5つの独立した実験を表す。このデータは、化合物SC-ααδ9が形質転換細胞
のクローン原性増殖を選択的に抑制したことを示す。発明の詳細な説明
本発明は、次式Iを有する化合物を提供し、
式中、R,R'およびR'''は同一でも異なっていてもよく、好ましくは疎水性基で
ある。Zは式Iに示す2個の中心窒素原子に結合された1または2個の2価セグ
メントを表す。2個の中心窒素原子間のZを通る最短経路は好ましくは10原子未
満である。Zが1個の2価セグメントを表すとき、YはHである。Zが2個の2価セ
グメントを表すとき、Yは存在しない。R''は、Zが2個の2価セグメントを表す
ときは存在しない。Zが1個の2価セグメントを表すとき、R''はR,R'およびR''
'と同一でも異なっていてもよく、好ましくは疎水性基である。
式Iに従う好ましい化合物では、YがHであり、Zがアルキレンセグメント、ア
ルケニレンセグメント、アルキニレンセグメント、シクロアルキレンセグメント
、芳香族炭化水素セグメント、およびこれらの2価セグメントのヘテロ原子置換
体よりなる群から選択され、そしてR,R',R''およびR'''が独立してH、アルキ
ル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、フェニル(Ph)、オキセタニル、
アゼチジニル、フラニル、ピロール、インドリル、オキサゾリル、イソキサゾリ
ル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピラニル、ピリ
ジル、ピリドニル、ピペリジル、ピペラジニル、キノリル、アゼピニル、および
ジアゼピニルである。
より好ましくは、式Iの化合物において、YはHであり、Zはアルキレンセグメ
ント、アルケニレンセグメント、アルキリデニレンセグメント、およびアルキニ
レン、シクロアルキレンセグメント、芳香族炭化水素セグメント、およびこれら
の2価セグメントのヘテロ原子置換体よりなる群から選択され、RおよびR'''は
独立してPh、CH3、n-C5H11、n-C7H15、n-C9H19、PhCHCH、PhCH2CH2、Ph(CH2)2CC
(CH3)、(p-MeO)Ph、(p-MeNHCO)Ph、PhCHC(CH3)CH2CH2、Ph(CH2)2CHCHCHC(CH3)、
Ph(CH2)2CHCHCHCH、Ph(CH2)3CHC(CH3)CHCH、C6H13CH(CH3)CHC(CH3)CHCHまたはC4
H9CH(CH3)CHC(CH3)CHC(CH3)であり、R'はH、CH3またはPhであり、そしてR''はH
、CH3、ベンジル(Bn)、CH2CH(CH3)、n-C6H13、CH2CH2NHBn、CH2CH2Phまたは(CH2
)3Phである。
最も好ましくは、YはHであり、Zは2価エチレンセグメント(すなわち、-CH2C
H2-)であり、そしてRはPh、R'はPh、R''はBnまたはCH3、R'''はn-C9H19である
。
別の実施態様において、Yは存在せず、R''も存在せず、Zは2個の2価セグメ
ントであり、これらは一緒になって式Iに示す2個の中心窒素原子を取り込んだ
縮合ピペリジン環を形成するのに必要な原子を構成し、そしてR、R'およびR'''
は独立してH、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、フェニル(
Ph)、オキセタニル、アゼチジニル、フラニル、ピロール、インドリル、オキサ
ゾリル、イソキサゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾ
リル、ピラニル、ピリジル、ピリドニル、ピペリジル、ピペラジニル、キノリル
、アゼピニル、およびジアゼピニルである。
本発明の化合物は固相コンビナトリアルケミストリー法により合成することが
できる。本発明は、各化合物の構造が知られている単一ビーズのコンビナトリア
ル戦略により本発明の化合物を合成する方法を提供する。したがって、本方法は
従来の他のコンビナトリアル合成にもともと存在する難点、例えば合成した化合
物を同定するための複雑なタギング(tagging)スキームまたは徹底的な分析技術
の必要性、を排除できる。
本発明化合物の合成方法は、ジ保護グルタメート成分を固相支持体にカップリ
ングさせ、グルタメートのアミノ末端を脱保護し、疎水性残基R'''COX(ここで
Xはクロリド、無水物、活性エステル、ペンタフルオロフェニル、ホスフェート
誘導体またはホスホネート誘導体などの離脱基である)を添加し、グルタメート
のカルボキシ末端を脱保護し、式A-NYZNH(R'')(ここでAは保護基である)を有
する保護ジアミンを添加し、このジアミンのアミノ末端を脱保護し、式II:
を有するオキサゾールカルボン酸を添加し、そして得られた化合物を固相支持体
から開裂する、ことを含んでなる。大規模で保護グルタメートを固相支持体にカ
ップリングさせ、伸長中の化合物のバッチをそれぞれの工程で(例えば、各保護
基の除去後に)異なる容器に分配することによって、R、R'、R''およびR'''基を
変えることで各反応中に多数の化合物を合成することができる。代表的な合成ス
キームを図2に示す。
コンビナトリアル合成用の固相支持体は当業者に公知である。本発明の好まし
い実施態様において、固相支持体はポリスチレン樹脂である。より好ましい実施
態様では、固相支持体はWang(1973)J.Amer.Chem.Soc.95:1328に記載され
たポリスチレン樹脂で、これはWang樹脂としても知られている。Wang樹脂は市販
されており、例えばAdvanced Chemtechから入手可能である。その他の適当な固
相支持体としては、ポリエチレングリコールーポリスチレングラフトまたはRink
樹脂がある。
ジ保護グルタメートは当技術分野で公知の方法により製造しうる。当業者であ
れば、グルタメートのアミノ末端とカルボキシ末端に適した保護基について熟知
しており、それらは例えばGreeneら,Protective groups in organic synthesis
,第2版,Wiley,New York,1991に記述されている。好ましい実施態様におい
て、アミノ末端保護基はFmocであり、カルボキシ末端保護基はγ-アリルエステ
ル基
である。この好ましいジ保護グルタメートを合成するには、Belshawら(1990)S
yn.Comm.20:3157に記載のようにカルボキシル官能基をアリルエステルで保護
し、その後Fmoc-Clで処理する。Belshawらの方法によれば、無水アリルアルコー
ル中のL-グルタミン酸の懸濁液にクロロトリメチルシランをN2下で添加し、18時
間攪拌し、次にエチルエーテルを添加する。
ジ保護グルタメートは、所望の支持体に適した当業者に公知の方法で固相支持
体にカップリングされる。好ましい実施態様では、大規模においてジ保護グルタ
メートをWang樹脂に1-エチル-3-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-カルボジイミド
塩酸塩(EDC1)によりカップリングさせて、ジ保護グルタメートにカップリングし
た固相ビーズの供給材料を得る。その他の適当なカップリング法は例えばBodans
zky,Principles of peptide synthesis,第2版,Springer,Berlin,1993に記
述されており、DCC、HOBt、BOC試薬などを含む。
グルタメートのアミノ末端は保護基に適した方法で脱保護される。例えば、Fm
ocのような塩基に不安定な基はピペリジンとテトラヒドロフラン(THF)で処理す
ることで除去しうる。この時点で樹脂を多数の別々の容器に分配し、異なるR'''
置換基をもつ化合物を製造できるようにする。例えば、定常的なバブリングを維
持するための不活性ガス入口と吸引アダプターを設置した多数のフィルターに樹
脂を分配する。溶媒の添加後、各フラスコに疎水性残基R'''COXを添加する。こ
うして異なるアミド誘導体が得られ、その数は樹脂を分配した容器の数と異なる
R'''置換基の数で決まる。各容器に異なるR'''置換基をもつR'''COXを添加する
ことにより、最終化合物を容易に同定することができる。R'''CO2HまたはR'''CO
Xは標準的な溶液合成で製造できるか、市販品として入手できる。
固相支持体を濾過してすすいだ後、カルボキシ末端保護基を保護基に適した方
法で除去する。例えば、アリルエステルはDanglesら(1987)J.Org.Chem.52:
4984に記載されるPd(O)化学により除去できる。この時点で樹脂を再度バッチに
分け、上記フィルターのような別々の容器に分配して、異なるR''基を含む化合
物を製造できるようにする。次に保護ジアミンを適当なカップリング剤と共に添
加して、グルタメートの側鎖カルボキシル末端を伸長させる。好ましい実施態様
では、ジアミンはエチレンジアミンであり、このジアミンの保護基はN-アリ
ルオキシカルボニル基であって、ジアミンは式Alloc-NHCH2CH2NH(R'')を有する
。適当なカップリング剤には例えばPyBroP60およびCloP61が含まれる。Alloc-NH
CH2CH2NH(R'')は、図3に示すように、クロロエチルアミンをカルバモイル化し
、続いてヨウ化ナトリウムおよび市販のアミンR''NH2で処理することにより簡便
に製造できる。エチレンジアミン以外の保護ジアミンも同様に製造することがで
きる。
得られた化合物を脱保護し、この時点で化合物を再度、異なるRおよびR'置換
基の添加のために別々の容器に分配する。式II:
(式中、RおよびR'は式Iについて先に定義したとおり)を有するオキサゾール
カルボン酸とCloPの存在下でカップリングさせ、次に溶媒ですすぐと、固相支持
体に結合された本発明化合物が得られる。オキサゾールカルボン酸は、構造R-CO2
H(ここでRは式Iについて先に定義したとおり)を有するカルボン酸およびセ
リンメチルエステル、トレオニンメチルエステル、およびフェニルセリンメチル
エステルから液相で別途製造しうる。Wipfら(1993)J.Org.Chem.58:3604に
記載され、図4(a)に示した酸化-シクロ脱水プロトコールとその後のけん化によ
り、所望のカルボン酸セグメントが得られる。中間体オキサゾールエステルはSi
O2によるカラムクロマトグラフィーで精製することができる。
Vorbruggenら(1993)Tetrahedron 49:9353およびWilliamsら(1997)Tetrahe
dron 38:331に記載されるプロトコールの変法である別の合成法では、カルボン
酸とセリンメチルエステルのワンポット縮合/脱水により50%を超える収率でオ
キサゾールが得られる。C(5)位置での臭素化およびパラジウム触媒によるカップ
リングはこれらの成分の様々な置換パターンをもたらす。この合成法は
図4(b)に示してある。
50%トリフルオロ酢酸を用いる完全または部分開裂によりカルボキシレートを
支持体から解放すると、本発明の化合物が得られる。固相支持体の濾過およびそ
の結果得られる母液の蒸発後に得られる式Iの化合物は化学的に純粋で、構造的
に十分確定されたものである。
本発明によると、式Iの化合物はセリン/トレオニンプロテインホスファター
ゼ阻害能があることが見いだされた。セリン/トレオニンプロテインホスファタ
ーゼの阻害は、本明細書では阻害剤化合物の濃度100μMまたはそれ以下でPP1、
PP2AまたはPP3のうち1種以上の活性を阻害することと定義される。好ましい実
施態様では、ホスファターゼの活性が少なくとも10%阻害される。より好ましい
実施態様では、ホスファターゼの活性が少なくとも25%阻害され、さらにより好
ましくは、少なくとも50%阻害される。PP1、PP2AまたはPP3の阻害は当業者に公
知の方法で評価することができる。適当なアッセイは、例えばHonkanenら(1994
)Toxicon 32:339およびHonkanenら(1990)J.Biol.Chem.265:19401に記述され
ており、これらの開示内容を参考としてここに組み入れる。簡単に述べると、ホ
スファターゼ活性を測定するには、ホスホヒストンまたはホスホリラーゼ-aなど
の32P-標識基質から放出される[32P]を定量する。対照サンプルと比べて本発明
化合物の存在下での[32P]放出の低下は、その本発明化合物がPP1、PP2AまたはPP
3を阻害できることの指標を提供する。
別の適当なアッセイでは、プロテインホスファターゼPP2Aの活性を阻害する本
発明化合物の能力が評価される。ウシ心筋PP2A(Gibco-BRL,Gaithersburg,MD)
の触媒サブユニットの活性は、基質としてフルオレセインジホスフェートを用い
て96ウェルのマイクロタイタープレートで次のように測定する。阻害剤をDMSO(
ビヒクル対照としても使用)中に懸濁する。25mM Tris,pH8.0,5mM EDTA,33μ
g/mL BSA,20μMフルオレセインジホスフェートおよび100μM阻害剤またはDM
SO対照を含有するインキュベーション混合物150μLを調製する。0.2ユニットの
PP2Aを添加して反応を開始させ、室温で一夜インキュベートする。生成物から発
生する蛍光を分光蛍光分析で、例えばPerseptive Biosystems Cytofluor II(Fr
amingham,MA)(励起フィルター485nm;発光フィルター530nm)を用いて
測定する。脱リン酸化基質の生成による吸光度の増加率はホスファターゼ活性に
比例する。したがって、対照サンプルに対する吸光度の低下は、本化合物がホス
ファターゼを阻害できることの指標を提供する。
本発明の化合物はまた、二重特異性ホスファターゼ、例えばCDC25A、CDC25Bお
よびCDC25Cを阻害することもできる。ホスファターゼCDC25AおよびCDC25Bは米国
特許第5,441,880号に記述されている。組換えGST-CDC25A、GST-CDC25B、GST-CDC
25Cワクシニアヒト関連ホスファターゼ(以後「VHR」という)およびマイトジェ
ン活性化プロテインキナーゼホスファターゼ(以後「MAPKP」という)を単離す
る方法はBaratteら(1992)Anticancer Res.12:873に記述されており、その開
示内容を参考としてここに組み入れる。二重特異性ホスファターゼの阻害は、本
明細書では阻害剤化合物の濃度100μMでCDC25A、CDC25BおよびCDC25Cの活性を
阻害することと定義される。好ましい実施態様では、このホスファターゼの活性
が少なくとも10%阻害される。より好ましい実施態様では、ホスファターゼの活
性が少なくとも25%阻害され、さらにより好ましくは、少なくとも50%阻害される
。本発明化合物のホスファターゼ阻害能は、CDC25A、CDC25B、CDC25C、VHRまた
はMAPKPが基質を脱リン酸化するその能力に及ぼす本化合物の作用を測定するこ
とで確認できる。適当な方法は当業者に公知であり、例えば比色アッセイを含む
。好ましいアッセイは米国特許第5,441,880号に記述されており、その開示内容
を参考としてここに組み入れる。そこに開示されているように、試験すべき化合
物をCDC25A、CDC25BまたはCDC25Cおよび適切なCDC25基質(例えばp-ニトロフェニ
ルホスフェートまたは不活性なサイクリン/cdc2)と混合し、CDC25のホスファタ
ーゼ活性を阻害する化合物の能力を評価する。ホスファターゼ活性は公知の手法
で評価することができ、例えば光学濃度を測定して、それを阻害剤不含の対照サ
ンプルと比較する。このアッセイは高速比色マイクロタイトレーションプレート
アッセイとして行うことができる。適当なアッセイでは、基質として3,6フルオ
レセインジホスフェートの20μM溶液を使用し、約250ngの組換えタンパク質お
よび1mMのDTTと共に室温で60分インキュベートする。蛍光の発生を上記のよう
にモニターする。
本発明の化合物はプロテインホスファターゼの阻害剤として有用である。プロ
テインホスファターゼの阻害はin vitroおよび細胞内でのタンパク質リン酸化を
増加させる(Sassaら(1989)Biochem.Biophys.Res.Comm.159:939;Yatsunami
ら(1991)Biochem.Biophys.Res.Commun.177:1165)。したがって、本化合物
は、例えばリン酸化されたタンパク質を測定もしくは検出するin vitroアッセイ
において、またはタンパク質をリン酸化により標識する方法において、タンパク
質の脱リン酸化を阻害するために有用である。例えば、タンパク質は検出を容易
にするために通常32Pで標識する。本発明化合物の添加は内因性ホスファターゼ
による脱リン酸化を防止するのに有用である。さらに、ホスファターゼはシグナ
ル伝達、細胞接着、遺伝子転写、RNAスプライシング、アポトーシス、有糸分
裂、細胞増殖を含むがこれらに限らない多数の機能をもつことが知られている。
それゆえ、プロテインホスファターゼの阻害剤は様々な細胞機能の変更に有用で
ある。特に、本化合物はアポトーシスの誘導物質および細胞増殖の阻害剤として
有用である。
したがって、本発明は、ホスファターゼを阻害するのに有効な量の式I:
を有する化合物とプロテインホスファターゼとを、プロテインホスファターゼの
活性が阻害される条件下で接触させることを含んでなる、プロテインホスファタ
ーゼの阻害方法を提供する。置換基Z,Y,R,R',R''およびR'''は先に定義した
とおりである。
R''位置に嵩高い基を有する化合物は優れた阻害剤であると考えられる。嵩高
い基の例には、イソブチル、イソプロピル、ベンジル、ネオペンチルなどの置換
基が含まれる。
好ましい実施態様では、プロテインホスファターゼがセリン/トレオニンホス
ファターゼである。より好ましい実施態様では、プロテインホスファターゼがPP
1、PP2AまたはPP3である。他の好ましい実施態様では、ホスファターゼがCDC25A
、CDC25B、CDC25C、VHRおよびMAPKPなどを含む二重特異性ホスファターゼである
。当業者であれば、プロテインホスファターゼを阻害するのに必要なホスファタ
ーゼ阻害剤の量を、阻害剤の存在下および非存在下でホスファターゼ活性を測定
することにより簡単に決定しうる。ホスファターゼ活性を測定するには、上記の
ように基質の脱リン酸化を評価するか、ホスファターゼ活性から生起することが
知られているパラメーターを測定する。例えば、本発明の化合物によるホスファ
ターゼ阻害は、本化合物による細胞の処理に応答する細胞増殖の阻害を測定する
ことにより評価しうる。
本発明の化合物はまた、抗増殖剤としても有用である。CDC25酵素は細胞周期
の進行の正の調節物質である。例えば、CDC25Cは有糸分裂誘導物質cdc2を脱リン
酸化して活性化することにより有糸分裂に入るように働く。米国特許第5,294,53
8号には、CDC25ホスファターゼによるcdc2の脱リン酸は細胞周期のG2/M転移を開
始させるM期促進因子(MPF)を活性化すること、そしてCDC25ホスファターゼ活性
の阻害は細胞が有糸分裂に入るのを阻止することが記載されている。さらに、CD
C25AおよびCDC25Bは癌遺伝子として作用し、しかもCDC25Bは原発ヒト乳癌の3分
の1において過剰発現されており(Galaktionovら(1995)Science 269:1575)、
その他のヒト腫瘍細胞型およびウイルスで形質転換された細胞でも上昇している
(Nagataら(1991)New Biologist 3:959)。また、細胞増殖はサイクリン依存性
キナーゼによって調節されており、キナーゼとホスファターゼの双方により厳格
に制御されていることも知られている。CDC25の細胞周期調節活性はPP2Aにより
制御されている(Hunterら(1994)Cell 79:573)。かくして、PP1またはPP2Aの
阻害も細胞周期転移の妨害をもたらす可能性がある。
本発明によると、本発明の化合物は、未処理細胞培養物に対して阻害剤処理細
胞培養物において細胞の数を減らすことにより細胞増殖を阻止することが実証さ
れた。したがって、本発明はさらに、増殖阻止量の式Iの化合物を細胞に導入す
ることを含んでなる細胞増殖の阻止方法を提供する。好ましい実施態様において
、この化合物は式IにおいてZがエチレンセグメント、YがH、RがPh、R'がPh、R'
'がBn、そしてR'''がn-C9H19であるものである。別の好ましい実施態様では、細
胞が腫瘍細胞である。さらに別の好ましい実施態様では、細胞がヒト乳癌細胞で
ある。さらに別の好ましい実施態様では、細胞がマウスSCCVII/SF頭部頸部癌細
胞であり、この癌細胞はマウスの腫瘍として急速に増殖し、CDC25A陽性であるこ
とがウエスタンブロット分析により示されている。
本発明化合物の増殖阻止能は当業者に公知の方法で評価しうる。例えば、増殖
中の細胞を本発明の化合物と接触させて、細胞数を数える。未処理細胞に対する
処理細胞の細胞数の減少が本化合物の増殖阻止能の指標となる。好ましい実施態
様では、処理すべき細胞が癌細胞、例えばアメリカン・タイプ・カルチャー・コ
レクション(受託番号HTB-26)から入手可能なCDC25B陽性の乳癌細胞MDA-MB-231
のような乳癌細胞である。本化合物の抗増殖活性はLazoら(1995)J.Biol.Che
m.270:5506に記載されるアッセイで測定することもでき、この文献の開示内容
を参考としてここに組み入れる。マイクロタイターをベースとした比色アッセイ
は、生存細胞による3-[4,5-ジメチルチアゾール-2-イル]-2,5-ジフェニルテトラ
ゾリウムブロミドの減少に基づき、マウス胚性繊維芽細胞およびヒトCDC25B陽性
乳癌細胞において多数の化合物の細胞増殖抑制または細胞毒性作用を迅速に評価
することを可能にする。簡単に述べると、指数増殖期のCDC25B陽性MDA-MB-231細
胞を0〜100μMの本発明化合物で連続的に処理し、3-[4,5-ジメチルチアゾール
-2-イル]-2,5-ジフェニルテトラゾリウムブロミドを減少させる細胞の能力を評
価することにより72時間後に細胞増殖を比色測定する。
また、本発明化合物の抗増殖能はin vivo腫瘍縮小アッセイで測定することも
できる。胸腺欠損(nu/nu)および重症複合型免疫不全(SCID)マウスが抗腫瘍活性
の十分に確認されたモデルを提供する。マウスにリン酸緩衝溶液(PBS)100μ中の
106個のMDA-MB-231細胞を皮下(s.c.)注射する。腫瘍が触知できる大きさ(100mm2
)になったら、マウスを0、0.1、1、10または30mg/kgの本発明化合物で1日1回
、5日間経口的(p.o.)、腹腔内(i.p.)または皮下(s.c.)処理する。腫瘍塊をvern
ierカリパスで測定し、Janiら(1992)Cancer Res.52:2931に記載
されるように計算する。未処理マウスに対する処理マウスの腫瘍塊の縮小は本発
明化合物の抗増殖活性を示すものである。別のin vivo腫瘍アッセイでは、確立
された皮下腫瘍(移植後14日)を有するC3/HeJマウスを、Fuら(1984)Int.Rad
ical Oncol.Biol.Phys.10:1473に記載されるクローン原性生存アッセイに従
って本発明の化合物で処理する。投与量および投与計画を最適にするため薬理学
的原理を採用しうるが、これは当業者の知るところである。
本発明はさらに、本発明の化合物および製薬上許容される担体または希釈剤を
含有する医薬組成物を提供する。本明細書中で用いる「製薬上許容される担体ま
たは希釈剤」とは、活性成分と不適合性でない溶媒、分散媒、抗細菌剤および抗
真菌剤、マイクロカプセル、リポソーム、カチオン性脂質担体、等張剤、吸収遅
延剤などのいずれかまたは全部を意味する。医薬として活性な物質用の上記媒体
および剤の使用は当技術分野で周知である。補助活性成分を本発明の組成物に配
合しても、本発明の方法で使用してもよい。
医薬組成物の処方は一般に当技術分野で公知であり、Remington'sPharmaceuti
cal Sciences,第17版,Mack Publishing Co.,Easton,Paを参考にすることが
できる。本発明化合物の製剤は製造および保存の条件下で安定でなければならず
、また、細菌や真菌などの微生物の汚染作用から防御されねばならない。微生物
汚染からの防御は種々の抗細菌剤および抗真菌剤の添加により達成しうる。
投与に適する本発明化合物の医薬形態は、無菌の水性溶液または分散液、およ
び無菌の注射用溶液または分散液の用時調製のための無菌粉末剤を含む。典型的
な担体としては、例えば、水、緩衝水溶液(すなわち、生物適合性緩衝液)、エ
タノール、ポリオール(例:グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレ
ングリコール、これらの適当な混合物)、界面活性剤および植物油を含む溶媒ま
たは分散媒が挙げられる。糖や塩化ナトリウムなどの等張剤を組成物に配合する
こともできる。
本発明の化合物は、適当な製薬上許容される担体と共に有効量で簡便かつ効果
的に投与するために、好ましくは投薬単位剤形で、製剤化される。本明細書で用
いる投薬単位剤形とは、処置すべき被験者のための単一投薬として適した、物理
的に分離している単位をさし、各単位は必要な製薬上の担体と共に所望の治療効
果を生ずるように計算された所定量の本発明化合物を含有する。本組成物は製剤
と適合しうる方法で、治療的に有効な量で、医学的に許容されるやり方で投与さ
れる。可能な投与経路として、経口および非経口投与、例えば血管内、静脈内、
動脈内、皮下、筋肉内、腫瘍内、腹腔内、心室内、硬膜内投与などがある。本組
成物を組織表面に直接適用することも可能である。また、例えばデポー注射また
は浸食可能なインプラントによる、持続放出投与も含まれる。
本発明は以下の特定の実施例によりさらに例示されるが、これらの実施例はい
かなる場合も本発明の範囲を制限するものではない。実施例I
式I(図2)の化合物のコンビナトリアル合成方法を、モデル化合物II(すな
わち表Iの化合物1(a))の溶液相合成を最適化することによって開発した。
モデル化合物IIの溶液相合成は図5に示されており、下記のようにして行われる
ガラス器具はすべて使用前にオーブン内で150℃にて乾燥した。THFおよび
ジオキサンを窒素雰囲気下でNa/ベンゾフェノン上で蒸留することによって乾燥
した。乾燥CH2Cl2、DMFおよびCH3CNはCaH2から蒸留することによって得られ
た。
L-グルタミン酸(3)を、下記のようにしてアリルアルコールおよびクロロト
リメチルシランを用いてγ−アリルエステルとして収率62%で保護することによ
り、2-アミノ-ペンタン二酸5-アリルエスエル4を得た:
2.5g(16.9mmol)のL-グルタミン酸(3)を40mLの乾燥アリルアルコールに
加えた懸濁液に、攪拌しながら、5.4mL(42.3mmol)のクロロトリメチルシラン
を滴下した。この懸濁液を22℃で18時間攪拌し、300mLのEt2Oに注いだ。得られ
た白色固体を濾取し、Et2Oで洗浄し、減圧乾燥して3.80g(62%)のエステル4
を得た。 下記のようにしてFmocで処理することにより2-(9-H-フルオレン-9-イルメトキ
シカルボニルアミノ)-ペンタン二酸5-アリルエステル5を得た。20mLのジオキサ
ンに1.5g(6.7mmol)、のエステル4を加えた。得られた懸濁液を16.8mmolの炭
酸ナトリウム(10%溶液17.7mL)で0℃にて処理し、5分間攪拌し、ジオキサン
10
mLに溶解した1.74g(6.7mmol)のFmoc-Clで処理した。反応混合物を22℃まで加
温して、3時間攪拌し、50mLのH2Oに注いでEt2O(2×25mL)で抽出した。水相を
0℃に冷却し、濃HClでpH1にしてEtOAc(3×25mL)で抽出した。得られた有機
相を乾燥し(Na2SO4)、減圧濃縮して粘性油として5を2.72g(99%)得た。
C23H23NO6に対して計算したHRMS(E1):409.1525、実測値:409.1501。
Fmoc-Clで処理した後、1-エチル-3-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-カルボジ
イミド塩酸塩(EDCl)を用いてベンジルアルコールにカップリングすること
によって2-(9H-フルオレン-9-イルメトキシカルボニルアミノ)-ペンタン二酸5-
アリルエステル1-ベンジルエステル6を収率82%で得た。1.5g(36.6mmol)の5
を5mLのCH2Cl2に溶かした溶液に0.42mL(40.3mmol)のベンジルアルコール、0.
912g(47.6mmol)のEDClおよび45mg(3.66mmol)のジメチルアミノピリジ
ン(DMAP)を加えた。反応混合物を22℃で6時間攪拌し、20mLのCH2Cl2で希
釈し、H2O(1×15mL)、0.1MのHCl(2×15mL)およびブライン(2×10mL)
で抽出した。有機相を乾燥し(Na2SO4)、減圧濃縮し、SiO2(ヘキサン/EtOAc
、5:1)のクロマトグラフィーにかけて6を白色個体として1.83g(82%)得
た:
その後、下記のようにして、Fmoc保護基をDMAPに曝すことによって除去し
、遊離アミンを塩化デカノイルを用いてin situでアシル化して2-デカノイルア
ミノ-ペンタン二酸5-アリルエステル1-ベンジルエステル(7)を収率63%で得
た。1g(2.0mmol)の6を10mLのCH2Cl2に加えた懸濁液に、1g(8.2mmol)の
DMAPを加えた。反応混合物を22℃で24時間攪拌し、0.62mL(3.0mmol)の塩
化デカノイルで処理し、22℃で2時間攪拌して、飽和重炭酸ナトリウム溶液(2
×10mL)で抽出した。有機相を乾燥し(NaSO4)、蒸発乾固し、残留物をSiO2(
ヘキサン/EtOAc、5:1)のクロマトグラフィーにかけて7を粘性油として548
mg(63%)得た:C25H37NO5に対して計算したHRMS(E1)m/z:431.2672、実測値:431.2673。
アリルエステルのPd(O)−触媒脱保護を下記のようにして行って2-デカノイル
アミノ−ペンタン二酸1-ベンジルエステル(8)を得た。752mg(1.74mmol)の2
-デカノイルアミノ−ペンタン二酸7を10mLのCH2Cl2に溶かした溶液に100mg(0.
087mmol)のテトラキストリフェニルホスフィンPd(O)を加えた後、0.52mL(1.9m
mol)の水素化トリブチルスズを加えた。15分後、反応混合物を10mLの10%HCl溶
液でクエンチした。水相を15mLのCH2Cl2で再抽出し、有機相を乾燥し(Na2SO4)
、減圧濃縮し、SiO2(ヘキサン/EtOAc、9:1)のクロマトグラフィーにかけ
て8を濃厚油として545mg(79.9%)得た。
C22H33NO5に対して計算したHRMS(E1)m/z:391.2358、実測値:391.2350。
エチレンジアミン(9)にカップリングさせることにより、4-[(2-アリルオキ
シカルボニルアミノ−エチル)-メチル−カルバモイル]-2-デカノイルアミノ酪酸
ベンジルエステル(10)を得た。526mg(1.3mmol)の8を10mLのCH2Cl2に溶か
した溶液に225μL(1.61mmol)のトリエチルアミンおよび320mg(2.0mmol)の
第二級アミン9を加えた。溶液を22℃で5分間攪拌し、710mg(1.61mmol)のベ
ンゾトリアゾール-1-イルオキシ−トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキ
サフルオロホスフェート(BOP試薬)で処理し、22℃で10分間攪拌し、減圧濃
縮し、15mLのEtOAcに溶解し、2MのHCl溶液で抽出した。有機相をSiO2(ヘキサ
ン/EtOAc、1:3)のクロマトグラフィーにかけて10を透明油として715mg(
94%)得た:
C29H45N3O6に対して計算したHRMS(E1)m/z:531.3308、実測値:531.3316
。
2-クロロエチルアミン一塩酸塩(12)のカルバモイル化、フィンケルスタイ
ン(Finkelstein)反応、およびアミノリシスによってモノ保護(monoprotected)エ
チレンジアミン9を簡単に得た(図3)。
(2-クロロ-エチル)-カルバミン酸アリルエステル(13)を下記のようにして
合成した。2.5g(22mmol)のクロロエチルアミン塩酸塩を10mLの6M NaOHに溶
かした溶液を0℃に冷却し、6M NaOH溶液を加えることによりpHを9に保持し
ながら2.7mL(25.9mmol)のクロロギ酸アリルを滴下して処理した。次いで、反
応物を22℃に加温し、2時間攪拌し、THFで抽出した。有機相を乾燥し(Na2S
O4)、減圧濃縮し、SiO2(ヘキサン/EtOAc、9:1)のクロマトグラフィーに
かけて13を黄色油として3.1g(88%)得た: (2-メチルアミノ-エチル)-カルバミン酸アリルエステル(9)を製造するため
に、14g(86mmol)の13および25g(172mmol)のヨウ化ナトリウムを40mLの
アセトンに溶かした溶液を18時間還流し、減圧濃縮し、H2Oに溶解し、CH2Cl2で
抽出した。有機相を乾燥し(Na2SO4)、0℃に冷却した。メチルアミンを反応混
合物に溶液が飽和するまでバブリングした。反応混合物を22℃に加温し、36時間
攪拌し、減圧濃縮し、SiO2(EtOAc)のクロマトグラフィーにかけて9を黄色油
として6.14g(45%)得た:
下記および図4に示したようにして複素環式部分11をN-ベンゾイルトレオニ
ン(14)から調製した。
750mg(3.2mmol)の14を10mLのCH2Cl2に溶かした溶液を1.61g(3.8mmol)
のデス−マーチン(Dess-Martin)試薬で処理することにより、5-メチル-2-フェニ
ル−オキサゾール-4-カルボン酸メチルエステル(15)を合成した。反応物を2
2℃で10分間攪拌し、減圧濃縮し、SiO2(ヘキサン/EtOAc、3:2)のクロマト
グラフィーにかけて658mg(89%)の2-ベンゾイルアミノ-3-オキソ-酪酸メチル
エステルを得た。一方、9.12g(38mmol)の14を80mLのCH2Cl2に溶かした溶液
を−23℃に冷却し、16.1mL(115mmol)のトリエチルアミンと、18.3g(115mmol
)のSO3−ピリジン錯体を60mLの乾燥DMSOに溶かした溶液とで処理した。反
応混合物を22℃に加温し、30分間攪拌し、次いで−48℃に冷却し、20mLの飽和Na
HCO3でクエンチした。溶液を50mLのヘキサン/EtOAc(2:1)で抽出した。水
相をヘキサン/Et2O(2:1)で再抽出し、有機相を一つにまとめてブラインで
洗浄し、乾燥し(Na2SO4)、クロマトグラフィーにかけ(ヘキサン/EtOAc、3
:2)、2-ベンゾイルアミノ-3-オキソ-酪酸メチルエステルを白色固体として7.
1g(79%)得た:
277mg(1.06mmol)のトリフェニルホスフィン、268mg(1.06mmol)のヨウ素、
および0.29mL(2.11mmol)のトリエチルアミンを5mLのCH2Cl2に溶かした溶液を
−48℃に冷却し、124mg(0.528mmol)の2-ベンゾイルアミノ-3-オキソ-酪酸メチ
ルエステルを5mLのCH2Cl2に溶かした溶液で処理した。反応混合物を22℃に加温
し、20分間攪拌し、分液漏斗に移し、チオ硫酸ナトリウム水溶液で抽出した後飽
和重炭酸ナトリウム水溶液で抽出した。有機相を減圧濃縮し、SiO2(ヘキサン/
EtOAc、9:1)のクロマトグラフィーにかけて15を白色固体として84.4mg(7
4%)得た:
C12H11NO3に対して計算したHRMS(E1)m/z:217.0739、実測値:217.0729。
2.07g(9.5mmol)の15を20mLの3M NaOHおよび12mLのMeOHに溶かした溶液
を22℃で2時間攪拌し、Et2Oで抽出することによって5-メチル-2-フェニル−オ
キサゾール-4-カルボン酸11を製造した。水相を濃HClでpH1にしてEtOAcで抽
出した。有機相を乾燥し(Na2SO4)、減圧濃縮して11をオフホワイトの固体と
して1.84g(95%)得た:
C11H9NO3に対して計算したHRMS:203.0582、実測値:203.0583。
次いで、下記のようにして2-デカノイルアミノ-4-(メチル−{3-[5-メチル-2-
フェニル−オキサゾール-4-カルボニル]-エチル}-カルバモイル)-酪酸ベンジル
エステル(式II)を得た:193mg(0.363mmol)の10を15mLのCH2Cl2に溶かした溶
液に、20mg(0.018mmol)のテトラキストリフェニルホスフィンPd(O)、127μL
(0.472mmol)の水素化トリブチルスズ、および20μLのH2Oを加えた。反応混合
物を22℃で5分間攪拌し、塩基性Al2O3のプラグによって濾過し、150mg(0.726m
mol)のオキサゾール11、60μL(0.436mmol)のトリエチルアミン、および19
2mg(0.436mmol)のBOP試薬で処理した。反応混合物を22℃で30分間攪拌し、
10mLのCH2Cl2で希釈し、飽和NaHCO3溶液、1M HCl、およびブラインで抽出した
。有機相を減圧濃縮し、SiO2(ヘキサン/EtOAc、1:1)のクロマトグラフィ
ーにかけて2を粘性油として131mg(57%)得た:C36H48N4O6に対して計算したHRMS:632.3574、実測値:632.3572。
実施例II
実施例Iにおける化合物1a(式II)の溶液相合成によって、固体担体上におい
て式Iの化合物の構造変異体のライブラリーを調製するための必須の一般的プロ
トコルが確立された。YがHであり、Zがエチレンジアミンに対応する2価のセ
グメントである式Iの化合物の代表的な固相合成は図2に示されており、下記の
ようにして行われる。
ジ保護(diprotected)グルタミン酸塩5を、Wang(1973),J.Am.Chem.Soc.9
5:1328に記載されたポリスチレンを基材とするWang樹脂にEDClによって大規
模にカップリングして固相ビーズを供給した。塩基不安定性Fmoc保護基をピペリ
ジンおよびTHFで処理することによって除去し、樹脂を、定常のバブリングを
維持するための吸引アダプターおよび不活性ガス入り口を備えた特別にデザイン
した3つのシュレンク(Schlenk)濾過器に分配した。溶媒を加えた後、疎水性樹
脂R'''COClを各フラスコに加えて、3つの異なるアミド誘導体17を得た。樹
脂を濾過し、すすいだ後、アリルエステル17をPd(O)化学によって脱保護し、
各バッチを3つの改良型シュレンク濾過器に分配することによって、アシル化の
ための9個の異なる反応部位が得られた。カップリング剤PyBroP39またはCloP40
の存在下で3つの異なるN-アリルオキシカルボニル保護ジアミンを添加すること
により、グルタミン酸の側鎖カルボキシル末端を1における所望の複素環式部分
に対して伸張させた。得られた9個の化合物18のN-末端をそれぞれ脱保護し、
最終的なセグメント縮合のために2個の追加のシュレンク濾過器に分配した。Cl
oPの存在下で2個の異なるオキサゾールカルボン酸とカップリングさせ、溶媒で
すすぐことによって最終精製することにより、固体担体に結合したままのホスフ
ァターゼライブラリー(式I)が得られた。50%トリフルオロ酸性酸を用いた完
全または部分切断には、生物学的活性に要求されるカルボキシレートを放出させ
ることが必要であった。固体担体を濾過し、得られた母液を蒸発させた後に、式
Iの所望の化合物が、高速処理量生物学的スクリーニングのために用意された化
学的に純粋で、構造的に十分規定された状態で得られた。各場合において、最終
化合物の純度は分光分析(1HNMR、MS)によれば>60%であった。Alloc-N
HCH2CH2NH(R")の立体障害をうけた第二級アミン部分への不完全カップリングか
ら不純物が生じた。
前記の合成は、より詳細には下記のようにして行われる:
工程1,5→16。中多孔度のシュレンク濾過器に750mgのWang樹脂(0.96mmo
l/g、0.72mmolの活性部位)を入れた。樹脂を12mlの乾燥DMFに懸濁し、窒
素流を濾過器に溶媒が穏やかにバブリングされるような流量で強制的に流通させ
た。この反応混合物に、1.47g(3.6mmol)の5を加えた。懸濁液を5分間攪拌
し、26mg(0.216mmol)のDMAPおよび550mg(2.88mmol)のEDClで処理し
、22℃で18時間攪拌し、濾過し、樹脂をDMF(2×10mL)、H2O(3×10mL)
、THF(3×10mL)およびCH2Cl2(3×10mL)で洗浄した。樹脂を減圧乾燥し
、樹脂に10mLのCH2Cl2および10mLの無水酢酸を26mg(2.88mmol)のDMAPとと
もに加えることによって残留している活性部位をキャップした。バブリングを22
℃で3時間続けて、次いで樹脂をCH2Cl2(6×15mL)で洗浄し、減圧乾燥した。
樹脂への添加量を試験するために、30mgの樹脂を取り出し、2mLのトリフルオロ
酢酸に22℃で5分間懸濁し、濾過し、CH2Cl2で洗浄した(3×3mL)。濾液を減
圧濃縮し、5を7.3mg(85%)得た。
工程2、16→17。Wang樹脂16に結合させた690mg(0.576mmol)の2-(9H-
フルオレン-9-イルメトキシカルボニルアミノ)-ペンタン二酸5-アリルエステル
を15mLのTHFに加えた懸濁液を、6mL(57.6mmol)のピペリジンで処理し、30分
間バブリングすることによって攪拌し、濾過し、CH2Cl2(6×10mL)で洗浄した
。樹脂を減圧乾燥した。この樹脂を10mLのCH2Cl2に加えた懸濁液を0.48mL(2.31
mmol)の塩化デカノイルおよび14mg(0.115mmol)のDMAPで処理した。反応
混合物を22℃で6時間攪拌し、濾過し、樹脂をCH2Cl2(6×10mL)で洗浄し、減
圧乾燥した。
工程3、17→18。Wang樹脂に結合させた690mg(0.576mmol)の2-デカノイ
ルアミノ-ペンタン二酸5-アリルエステル17を10mLのTHFに加えた懸濁液を、6
7mg(0.0576mmol)のテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(O)およ
び806mg(5.75mmol)のジメドンで処理し、22℃で18時間バブリングによって攪
拌した。次いで、樹脂を濾過し、THF(2×10mL)、CH2Cl2(2×10mL)、M
eOH(2×10mL)、H2O(2×10mL)、1%酢酸溶液(2×10mL)、H2O(2×
10mL)、MeOH(2×10mL)、CH2Cl2(2×10mL)で洗浄し、減圧乾燥した。
40mgの樹脂の切断および1H NMRによる試験によりアリルエステルは完全に脱
保護されていることがわかった。
この樹脂を12mLのDMFに加えた懸濁液を0.22mL(1.572mmol)のトリエチル
アミンおよび414.1mg(2.62mmol)のAlloc-NHCH2CH2NHMeで処理した。確実に適
正混合させるために反応混合物を5分間攪拌した後、540mg(1.572mmol)のCloP
を加えた。反応混合物を30℃で18時間バブリングにより攪拌し、22℃まで冷却し
、樹脂を濾過し、DMF(2×10mL)、CH2Cl2(2×10mL)、MeOH(2×10
mL)、H2O(2×10mL)、THF(2×10mL)、およびCH2Cl2(2×10mL)で洗浄し
た。樹脂を減圧乾燥した後、40mgの樹脂をCF3CO2Hで切断した。残基の1H NM
Rによってカップリングはほぼ100%生じていたことが分かった。
工程5、18→19。Wang樹脂に結合させた200mg(0.192mmol)の4-[(2-アリ
ルオキシカルボニルアミノエチル)-メチル-カルバモイル]-2-デカノイルアミノ-
酪酸18を6mLのCH2Cl2に加えた懸濁液を12mg(0.0096mmol)のテトラキストリ
フェニルホスフィンPd(O)、62μl(0.230mmol)の水素化トリブチルスズ、およ
び10μlの水で処理した。反応混合物を、N2を15分間バブリングすることによ
って攪拌し、濾過し、樹脂を10mLずつのCH2Cl2、THF、アセトン、MeOH、
H2O、アセトン、EtOAc、ヘキサン、THF、およびCH2Cl2で洗浄した。次いで、
樹脂を減圧乾燥し、15mgを試験のために取り出した。TFA−切断残基の1H N
MRにより完全に脱保護されており、スズ副産物の全てが完全に除去されている
ということがわかった。
185mg(0.190mmol)のかかる樹脂を8mLのCH2Cl2に加えた懸濁液を、117mg(0
.576mmol)のオキサゾールカルボン酸、198mg(0.576mmol)のCloP、および80μ
l(0.576mmol)のトリエチルアミンで処理した。反応混合物を、N2をバブリン
グすることによって3時間攪拌し、濾過し、20mLのCH2Cl2、アセトン、水、アセ
トンおよびCH2Cl2で洗浄した。樹脂を減圧乾燥して15mgを試験のために取り出し
た。その残基の1H NMRから、反応は60%完了まで行われていたことがわかっ
た。続いて、樹脂を第2のカップリングサイクルに付した。
工程6、19→1。Wang樹脂に結合させた115mg(0.12mmol)の2-デカノイル
アミノ-4-(メチル-{3-[5-メチル-2-フェニル-オキサゾール-4-カルボニル]-エチ
ル}-カルバモイル)-酪酸19を3mLのTFAに加えた懸濁液を、5分間攪拌し、
濾過し、5mLのCH2Cl2で洗浄した。抽出液を減圧濃縮して1を33.1mg(工程2〜
工程6に対して100%)得た。1H NMRによって主な不純物として2-アシルア
ミノ-ペンタン二酸を含む、純度66%の生成物であることがわかった。酸1aを3m
LのCH2Cl2に溶解し、0.016mL(0.138mmol)の臭化ベンジルおよび0.02mL(0.138
mmol)のDBUで処理することにより、溶液相化学によって調製されたベンジル
エステル2と同一の物質が得られた。
また化合物1b〜1rも同様の一般的な方法によって調製した。溶液相合成と固体
ビーズ合成との最も重要な違いは、2,2,2-トリクロロエトキシカルボニルおよび
アリルオキシカルボニル保護基ならびにカップリング剤BopCl(_)およびDP
PA(_)とのアミドカップリングの使用にある。全てのコンビナトリアル化合
物は、1H NMRおよび質量分光分析に基づく純度が最大60%であり、一方、溶
液化学によって調製された対応する化合物は1H NMR質量分光分析および13C
NMR分析に基づく純度が>90%であった。溶液化学によって調製された化合物
はラセミ化合物であり、一方コンビナトリアル化合物はL-立体異性体富化であっ
た。
Zがエチレンでない化合物は、単に同保護基の代わりに異なる保護アミンを用
いることによって上記の方法と同様の方法で調製され得る。また、Yが存在しな
い化合物も異なる保護アミンを代用することによって同様に調製される。
実施例III
Y=Hであり、Zが2価のエチレンセグメントである式Iに対応する下記の化
合物1a〜r(表1)を、それらのPP1、PP2およびPP3を阻害する能力に
ついて試験した。 表1の化合物のホスファターゼ活性および阻害活性は、Honkanenら,(1994)To
xicon 32:339の方法によって測定した。簡単に言うと、ホスホリラーゼ−aまた
はホスホヒストンに対するホスファターゼ活性を遊離[32P]の定量によって測
定した。50mMのトリス-HCl、pH7.4、0.5mMのDTT、1mMのEDTA(ア
ッセイ緩衝液)および[32P]リンタンパク質(1〜2μMのPO4)を含む、合
計容量80μlのアッセイを以前に記載されたようにして行った(Honkanenら,19
91,
Mol.Pharmac.40:577)。脱リン酸化反応を、基質としてホスホリラーゼ−aを
用いて5〜10分間、ホスホヒストンを用いて10〜20分間、ルーチン的に行った。
全てのアッセイにおいて、基質の脱リン酸化を利用可能な全リン酸化基質の10%
未満に維持し、反応を、酵素活性が酵素濃度および時間に対して確実に直線的に
なるように調節した。酵素によって遊離された[32P]ホスフェートをリンモリ
ブデン酸錯体として抽出し、Killileaら,(1978)Arch.Biochem.Biophys.19
1:638の方法にしたがって測定した。阻害物質によるタンパク質ホスファターゼ
活性の阻害を、基質を添加することにより反応を開始する5〜10分前に酵素混合
物に100μMの阻害物質を加えることによって測定した。
結果を、対照(100%)に対するパーセント阻害として表2に示す。
さらに、化合物1d(R=Ph、R’=Ph、R”=CH3、R'''=n-C9H19)を、そ
のPP2Aを阻害する能力について評価し、PP2Aの公知の阻害物質であるカ
リキュリン(calyculin)Aと比較した。
ウシ心筋PP2A(Gibco-BRL、ゲティスバーグ(Gaithersburg)、メリーラン
ド州)の触媒サブユニットの活性を、96ウェルマイクロタイタープレート中で基
質としてフルオレセイン二リン酸(Molecular Probes社、ユージーン(Eugene)、
オレゴン州)を用いて測定した。最終インキュベーション混合物(150μL)は
、25mMのトリス(pH=7.5)、5mMのEDTA、33μg/mlのBSA、および
20μMのフルオレセイン二リン酸から構成されていた。阻害物質をDMSO(ビ
ヒ
クル対照としても使用される)に再懸濁した。0.2単位のPP2Aを添加するこ
とによって反応を開始させ、室温で一晩インキュベートした。生成物からの蛍光
放出をPerseptive Biosystems CytoflourII(励起フィルター、485nm;放出フィ
ルター、530nm)(フレーミンガム(Framingham)、マサチューセッツ州)を用い
て測定した。
図6に示したように、カリキュリンAは10nMでPP2A活性を阻害し、化合
物1dは100μMで50%阻害を引き起こした。
上記のアッセイを、異なる起源から精製されたPP1およびPP2Aの触媒サ
ブユニットを用いて第2の試験系列において繰り返した。具体的には、PP1お
よびPP2Aの触媒サブユニットをカキから精製し、ホスファターゼ活性を放射
能標識ホスホヒストン基質(ヒストンHI)を用いて、上記のように[32P]の遊
離によって測定した。オカダ酸(1nM)をいくつかのPP1調製物中に含有せ
しめて内因性PP2A活性を抑制した。オカダ酸は試験される化合物の阻害活性
には識別できる影響を及ぼさなかった。[32P]標識ヒストンの脱リン酸化を、
100μMのコンビナトリアル化合物とともにまたはコンビナトリアル化合物なし
で10〜20分間インキュベートした後、リンモリブデン酸錯体として抽出すること
によって測定した。反応は、これらの条件下で、酵素濃度および時間に直接依存
していた。また、PP1およびPP2Aに対するSC−ααδ9およびSC−α
α69(すなわち、それぞれ、表Iの化合物1eと1fの溶液化学類似体)の阻害活
性も、ウサギ骨格筋PP1およびPP2Aならびに基質として[32P]標識ホス
ホリラーゼAを用いて市販の方法(GIBCO、BRL)(グランドアイランド(Grand I
sland)、ニューヨーク)によって測定した。
第2の試験系列の結果を下記の表3に示す。
各値は非処理の対照と比較した%阻害であり、3個の別個の試験の平均である。
表2は化合物1dがウシ心筋由来のPP2A触媒サブユニットによる酵素活性の
約50%阻害を引き起したことを示すものであるが、カキPP1およびPP2Aの
有意な阻害は観察されなかった(表3)。オカダ酸(100μM)およびカリキュ
リンA(10nM)はこのアッセイにおいて非常に効果的であり、PP1およびP
P2A活性の>99%阻害を引き起こした。100μMでPP1またはPP2Aの>6
0%阻害を生じさせる化合物はないが(表3)、このファーマコホア(pharmacoph
ore)を含むR”およびR'''に芳香族置換基を有する化合物がこれらのPSTP
アーゼに対して浮上した。実施例IV
化合物1a〜1rを、CDC25AおよびCDC25Bを阻害する能力について評
価した。組換えヒトCDC25A、CDC25BおよびCDC25Cを、ヒトc
DNAおよび標準分子生物学的方法を用いてグルタチオン-S-トランスフェラー
ゼ(GST)融合タンパク質として得た。cDNA構築物は、においてイソプロ
ピル-β-D-チオガラクトシダーゼ(IPTG)の調節下で発現するプラスミド内
にある。細菌ペレットを超音波処理によって破壊し、10,000×gで遠心分離した
。グルタチオン−アガロースビーズを用いることにより、Baratteら,(1992)12:
873-880に記載されているようにして融合タンパク質をミクロソーム後(postmicr
osomal)上清画分から精製した。ホスファターゼ活性を下記の条件下で蛍光分光
光度計を用いてアッセイした:96ウェルマイクロタイタープレート内での25mM
のトリス(pH=8.0)、5mMのEDTA、33μg/mlのBSAおよび20μMのフ
ルオレセイン二リン酸を含んでなる最終インキュベーション混合物(150μL)中
1単位(1U=生成物についての33蛍光単位/分を誘発するタンパク質の量)の
融合タンパク質。プレートを室温で0(対照)、0.3、1、3、10、30,100μM
の化合物とともに1時間予備インキュベートした。室温で1時間予備インキュベ
ートした後、フルオレセイン生成物の蛍光(励起、485nm;放出、530nm)をBios
ystems Cytofluor II(フレーミンガム、マサチューセッツ州)を用いて測定し
た。
結果を、対照に対するパーセント阻害として図7および表4に示す。化合物1f
についての用量応答曲線を図8に示す。 前記の結果は、化合物1a〜1cおよび1e〜1rがCDC25Aおよび/またはCD
C25Bの活性を阻害する能力があるということを示すものである。
第2系列のアッセイを、化合物1a〜1rに対して行ってこれらの実験を繰り返し
、それらのCDC25A、CDC25B、CDC25CおよびMAPKPを阻害
する能力を評価した。特に、CL100(MAPKPの1種である)を阻害する
その化合物の能力を試験した。
CL100、CDC25A、CDC25B、およびCDC25Cは、上記の手
順と同様の手順によって得られた。具体的には、イソプロピル-β-D-チオガラク
トピラノシド(IPTG)の転写調節下でGSTならびにCDC25A、Bまた
はCをコードする融合構築物を含むプラスミドによるトランスフェクションにE.
coli株BL21(DE3)を用いた。まず、E.coliを37℃で405時間増殖させた。次いで
、IPTG(最終濃度1mM)を加えて、培養物を37℃でさらに3時間インキュ
ベートした。細胞を3,500g、4℃で10分間遠心分離することによって採取した
。得られた細菌ペレットを抽出まで80℃で凍結し続けた。His6をタグ付けしたC
L100を、GL21(DE3)の代わりにE.coli株DH5αを用いた以外は同様にして産
生させた。
次に、タンパク質を下記のようにして精製した。細菌ペレットを10μg/mlの
アプロチニン、10μg/mlのロイペプチン、100μg/mlのAEBSFおよび10m
MのDTTを含む溶解緩衝液中で4℃にて超音波処理することによって破壊した
。次いで、ホモジネートを4℃、100,000gで10分間遠心分離した。得られた上
清画分をただちに混合し、グルタチオンビーズ(溶解緩衝液で平衡化したもの)
とともに4℃で1時間回転させた(上清5容/50%ビーズスラリー1容)。グ
ルタチオンビーズを10容の溶解緩衝液で2回洗浄し、次いで、10μg/mlのアプ
ロチニン、10μg/mlのロイペプチン、100μg/mlのAEBSFおよび10mMの
DTTを含む10容の2×反応緩衝液(60mMのトリス、pH8.5、145mMのNaCl、
1.34mMのEDTA、0.066%のBSA)で2回洗浄した。融合タンパク質を10
mMのグルタチオンを加えた2×反応緩衝液を用いて3連続洗浄で溶離させた。
溶出の効率を下記のホスファターゼアッセイによって監視した。活性画分をプー
ルし、−80℃で保存する前に20%グリセロールを補給した。His6をタグ付けした
CL100を、精製工程全てに対してDTTの代わりに20mMのβ-メルカプト
エタノールを使用し、溶出に対して10mMのグルタチオンの代わりに100mMの
イミダゾールを使用した以外は同様の手順を用いて精製した。
上記のDSPアーゼの活性を、FDP(Molecular Probes社、ユージーン、オ
レゴン州)(これは96ウェルマイクロタイタープレート内で容易に基質としてフ
ルオレセイン一リン酸に代謝される)を用いて測定した。最終インキュベーショ
ン混合物(150ml)には、30mMのトリス(pH8.5)、75mMのNaCl、0.67mMの
EDTA、0.033%のウシ血清アルブミン、1mMのDTTおよび20μMのFD
Pが含まれていた。阻害物質をDMSOに再懸濁し、対照を含む全ての反応を
7%DMSOの最終濃度で行った。〜0.25μgの融合タンパク質を加えることに
よって反応を期始させ、周囲温度で1時間インキュベートした。生成物からの蛍
光発光をマルチウェルプレートリーダー(Perseptive Biosystems CytoflourII
;フレーミンガム、マサチューセッツ州;励起フィルター、485/20;放出フィル
ター、530/30)を用いて測定した。全ての酵素について、反応は2時間のインキ
ュベーションにわたって直線的であり、実験では1時間以内で十分であり、酵素
濃度および基質濃度の両方に正比例していた。実験結果を下記の表5に示す。
各値は非処理の対照と比較した%阻害であり、3個の試験の平均である。
表4は、化合物が、100μMでCDC25A、CDC25BおよびCDC25
Cホスファターゼ活性を有意に阻害したということを裏付けるものである。具体
的には、化合物1eおよび1fは100μMでCDC25Aの>90%阻害を引き起こし
、化合物1b、1cおよび1mはCDC25Aの>80%阻害を引き起こした。これらの
化合物もCDC25BおよびCDC25Cの>50%阻害を生じさせた。しかしな
がら、MAPKP CL100の阻害は限定されていた。
表3および表4のデータを比較することにより、PP2AおよびCDC25を
うまく阻害する物質と関連し得る構造特性が存在することがわかる。具体的には
、R’位の修飾による変化は小さく、コンジナー(congener)中でメチルに対して
フェニルが全体的に好ましいということは明らかではない。この系列の最良の阻
害物質は、R”およびR'''が芳香族または長鎖アルキル種などの疎水性部分を
含む場合であるということがわかった。化合物1eおよび1gは、100μMでCL1
00活性の約30%阻害をもたらした。それとは対照的に、化合物1a〜1rからなる
コンビナトリアルライブラリーのその他の化合物は、このMAPKP DSPア
ーゼにおいてほとんどまたは全く影響を及ぼさなかった。したがって、1fなどの
いくつかの化合物は、MAPKP DSPアーゼCL100またはPSTPアー
ゼと比べてCDC25DSPアーゼに対して多少選択的であるようにみえる。さ
らに、明確な特異性がPP2AとCDC25の間に現れた。ノニル部分はフェネ
チル(logP=3.15)またはスチリル(logP=2.95)部分と比べてより嵩高く、よ
り疎水性(logP>4)である。R’にフェニルを、R'''にベンジルを含む化合
物のR'''部位をノニル部分(これはフェネチルまたはスチリル部分よりも嵩高
い)に置換することによって、R'''をフェニル部分またはスチリル部分に置換
することと比較した場合、CDC25ホスファターゼ阻害の有意な増大とPST
Pアーゼ阻害の完全な消失が引き起こされた。これは、活性部位付近のCDC2
5上の疎水性領域を反映し得るものである。CDC25ホスファターゼとは対照
的に、PSTPアーゼはR'''における嵩高さ及び疎水性の置換の許容範囲がか
なり小さく、R'''ノニル化合物はどれもPP1またはPP2Aの効果的な阻害
物質ではない一方、化合物1bおよび1cはCDC25AおよびBの相当な阻害物
質である。
実施例V
SC-ααδ9およびSC−αα69の阻害定数を、下記のようにして定常状
態速度論によって測定した。GST−CDC25A、BおよびCとの反応を、30
mMのトリス(pH8.5)、75mMのNaCl、0.67mMのEDTA、0.033%のウシ血
清アルブミンおよび1mMのDTT中で行った。CL100との反応を、30mM
のトリス(pH7.0)、75mMのNaCl、0.67mMのEDTA、0.033%のBSA、1
mMのDTTおよび20mMのイミダゾール中で行った。反応混合物中のDMSO
を7%に維持して化合物の溶解性を確保した。すべて室温で行い、生成物の形成
は、マルチウェルプレートリーダー(Perseptive Biosystems CytoflourII;フ
レーミンガム、マサチューセッツ州;励起フィルター、485/20;放出フィルター
、630/30)で測定した。データを10分間隔で1時間にわたって集めた。V0を各
基質濃度について測定し、次いでミカエリスーメンテンの式(方程式1):
V0=Vmax[S]/Km+[S] (方程式1)
にPrism2.0(GraphPad Software社)を用いて適合させた。各実験および基質に
ついての相関係数は常に>0.9であった。CDC25A、BおよびCについての
定常状態速度を測定するのに用いた基質濃度は、それぞれ10、20、30、40、50、
75、100および200μM FDPであり、一方、CL100については濃度は75、1
00、200、300、400、500、および750μM FDPであった。
SC−ααδ9およびSC−αα69について0〜30μMの範囲の少なくとも
4つの濃度をCDC25AまたはBに用いた。CDC25CのKiはSC−αα
δ9およびSC−αα69を、0〜100μMの範囲の少なくとも4つの薬物濃度
で用いて計算した。CL100のKiをSC−ααδ9の3つの異なる濃度、30
、100および300μMを用いて測定した。これらの実験の結果を下記の表6に示す
。 表6に示したように、CDC25A、CDC25B、CDC25CおよびCL
100に対してFDPを用いて測定したKmは、それぞれ、45±3(SEM、-n
=10)、12±3、22±1および192±72μMであった。したがって、FDPはM
APKP CL100よりもCDC25ホスファターゼに対してすぐれた基質で
あった。CDC25BとともにSC−ααδ9およびSC−αα69を用いる速
度論研究は競合阻害モデルと非常に一致していた。また、SC−ααδ9はCD
C25A、CDC25CおよびCL100を競合的に阻害し、SC−αα69は
CDC25AおよびCDC25Cを競合的に阻害することもわかった。SC−α
α69はCDC25Bホスファターゼに対して7±3μMのKiを有していた。
CDC25AおよびCDC25Cに対するKiは、それぞれ8±3μMおよび11
±2μMであった。MAPKPホスファターゼCL100に対するSC−ααδ
9のKiは、229±115であった。
実施例VI
化合物1eおよび1fならびに溶液化学によって調製されたそれらの類似体、すな
わちSC−αα69およびSC−ααδ9の阻害効果の濃度依存性を調べた。図
15A〜Dに示したように、固相誘導1fおよび溶液相誘導SC−ααδ9はいず
れも組換えヒトCDC25AおよびB活性の濃度依存的阻害を示した。CDC−
25AおよびBについての50%最大阻害濃度(half-maximal inhibitory concent
ration)(IC50)は、化合物1fで処理した場合75μMであり、一方、SC−α
αδ9はCDC25AおよびBに対して約15μMのIC50を示した。したがって
、
溶液化学によって調製された化合物は、固相方法によって合成された化合物と比
べて5倍の阻害活性を示し、これは純度の増大、ラセミ溶液化学化合物における
R−立体異性体の包含、またはその両方を反映するものであり得る。同様に、化
合物1eおよびSC−αα69試料によりCDC25AおよびBの濃度依存性阻害
が生じ、ラセミ溶液化学化合物は約5〜6倍以上の能力を有していた(図15(
b)および(d))。広く用いられているPTPアーゼ阻害物質バナジン酸塩は
、このアッセイにおいてCDC25AおよびBに対して1μMのIC50を有して
いた。
実施例VII
図12a〜12nに挙げた化合物のいくつかを、それらがPP1、PP2A、
CDC25CおよびPTP1Bの効果的な阻害物質であるかどうかを確認するた
めに、実施例IIIおよびIVに記載した方法によっても試験した。Zが2価のエチ
レンセグメントではないこれらの化合物は、100μMでの阻害活性において、抗
CDC25C活性が欠けているFY−αα69、FY−α109、FY6−α1
09、FY9−α109およびFY10−α109と有意な相違を示した。また
、これらの化合物は、3μMでの抗PTPIB活性においても有意な相違を示し
た。FY2−αα69、FY2−α109、FY3−αα69、FY−αα69
、FY7−αα69、FY7−α109およびFY8−αα69などの窮屈な構
造は、かかる低濃度でCDC25C阻害活性を保持していた(図14を参照され
たい)。2つのシス−メタフェニル化合物、FY7−αα69およびFY7−α
109は、100μMでPP1および/またはPP2Aの>50%阻害を引き起こす
唯一の化合物であった。
実施例VIII
化合物1a〜1rをヒトMDA−MB−231乳がん細胞に対する抗増殖活性につ
いて試験した。
ヒトMDA−MB−231乳がん細胞は、継代28でAmerican Type Culture Co
llectionから入手し、20継代以下の間維持した。細胞を、1%ペニシリン(100
μg/mL)およびストレプトマイシン(100μg/mL)、1%L-グルタミン酸塩、
ならびに10%ウシ胎児血清を補給したRPMI−1640中で、湿潤インキュベ
ー
タ内で37℃にてCO2を5%含む空気下で増殖させた。細胞をマイコプラズマが含
まれていないか定期的に観察した。継代またはフローサイトメトリー用に単層か
ら細胞を取り出すために、細胞をリン酸緩衝液で2回洗浄し、0.05%トリプシン
/2mM EDTAで室温にて手短に(<3分間)処理した。10%ウシ胎児血清
を含む増殖培地を少なくとも2倍容量加えた後、細胞を1,000×gで5分間遠心
分離した。DMSOを用いて化合物を保存溶液にして、−20℃で保存した。すべ
ての化合物および対照を加えることにより実験用の最終濃度0.1〜0.2%(v/v)の
最終溶液を得た。
化合物の抗増殖活性をLazoら(1995),:5506の方法によって測定した。簡単に言
うと、細胞(6.5×103細胞/cm2)を細胞毒性試験のために96ウェル平底プレー
トに入れて、37℃で48時間インキュベートした。平板培養培地を96ウェルプレー
トから吸引して、化合物を含む増殖培地をウェル当たり200μL加えた。化合物
を、濃度0から、30〜100μMの範囲の最大有効濃度で用いた。プレートを72時
間インキュベートし、次いで血清を含まない培地で4×洗浄した。洗浄後、50μ
Lの3-[4,5-ジメチルチアゾール-2-イル]-2,5-ジフェニルテトラゾリウムブロミ
ド溶液(2mg/mL)を各ウェルに加えて、その後150μLの完全増殖培地を加え
た。次いで、プレートを37℃でさらに4時間インキュベートした。溶液を吸引し
、200μLのDMSOを加えてプレートを室温で30分間振盪させた。540nmにおけ
る吸光度をTitertek Multiskan Plusプレートリーダーを用いて測定した。生物
学的に活性な化合物を少なくとも3回別個に試験した。
化合物1hの投与により、20μMで50%増殖阻害が生じたが、より高い薬物濃度
においてもさらなる細胞毒性はなかった。化合物1fは100μMで50%増殖阻害を
引き起こし、明らかな濃度依存性を有していた(図9)。
実施例IX
化合物1fで処理した後のヒト乳がん細胞の細胞周期分布をフローサイトメトリ
ーによって測定した。
MDA−MB−231細胞(6.5×105/cm2)を平板に入れて、37℃で48時間
インキュベートした。次いで平板培養培地を吸引し、約50%増殖阻害を引き起こ
す濃度の化合物1f(88〜100μM)を含む培地を48〜72時間加えた。同様の細
胞密度の非処理細胞を対照集団として用いた。単一細胞調製物を氷冷した1%パ
ラホルムアルデヒド中に固定し、1,000×gで5分間遠心分離し、Puck's生理食
塩水に再懸濁し、遠心分離し、氷冷した70%エタノールに一晩再懸濁した。細胞
を遠心分離(1,000×g、5分間)によって固定液から取り出し、5μg/mLのヨ
ウ化プロピジウムおよび50μg/mLのRNアーゼA溶液で染色した。フローサイ
トメトリー分析をBecton Dickinson FACS Starを用いて行った。単一パラメータ
ーDNAヒストグラムを10,000細胞について集めて細胞周期速度パラメーターを
DNA細胞周期分析ソフトウェアバージョンC(Becton Dickinson)を用いて計算
した。72時間での実験を、少なくとも3回別個に行った。
結果を図10A〜Dに示す。
指数関数的に増殖するヒトMDA−MB−231乳がん細胞集団(集団倍加時
間約30〜35時間)は、典型的には、全細胞の約30%が細胞周期のS期またはDN
A合成期にある(図10AおよびC)。それとは対照的に、MDA−MB−23
1細胞を88μMの化合物1fとともに48時間インキュベートした場合、G1期に顕
著に蓄積するとともにS期およびG2/M期の両方で同時に減少していた(図1
0BおよびC)。MDA−MB−231細胞を88μMの1fとともに72時間イン
キュベートすることによってもG1期において顕著な蓄積が生じた(図10D)
。
これらの結果は、化合物1fがMDA−MB−231細胞の増殖において濃度依
存性阻害を示し、G1チェックポイントで細胞周期進行における妨害があるとい
うことを示すものである。
実施例X
図12(a)〜12(n)に挙げた化合物ならびにSC−ααδ9およびSC
−α1δ9を、SCCVII/SF細胞に対する抗増殖活性について試験した。
マウスSCCVII/SF偏平上皮細胞がん腫を、Fuら(1984):1473に記載されて
いるようにして(この開示は参照により本明細書に含まれるものである)、6週
齢〜10週齢の雌C3/HeJマウスの右側腹部の培養物由来の5×105の指数増殖期細
胞を皮下接種することによって生じさせた。日常切開し、20%ウシ胎児血清、ペ
ニシリン(100IU/ml)およびストレプトマイシン(100μg/ml)を含むダルベッ
コの最小必須培地中に、5%のCOを含む湿潤大気において37℃にて再懸濁す
ることによって腫瘍からSCCVII/SF細胞を作製した。
指数増殖マウスSCCVII/SF頭部および頚部がん細胞(これらの細胞はマ
ウスにおいて腫瘍として急速に増殖し、ウェスタンブロッティングに基づいてC
DC25A陽性である)を、ライブラリー化合物に48時間曝して、細胞数を実施
例VIIIに記載したタイトレーション手順によって測定した(図16を参照された
い)。80μMにて、12化合物の中の6個が>50%増殖阻害を示した(例えば、
化合物1eおよび1fを参照されたい)。したがって、SCCVII/SF腫瘍細胞は
、実施例VIIIに記載したMDA−MB−231細胞よりもライブラリー化合物に
よる増殖阻害に対する感受性が高い。化合物1eおよび1fの増殖阻害についてのI
C50は、それぞれ20および25μMであった(図16)。SCCVII/SF細胞を3
0μMのSC−ααδ9に24時間曝してから後、それらの細胞はG1期で停止し
ていることがわかった。MDA−MB−231細胞を用いた研究において、FY
8−α109およびFY8−αα69についてのIC50は約100μMであり、F
Y7−αα69についてのIC50は50μMであった。図12(a)〜12(n)
に示したその他の化合物は、この最初の研究においてほとんどまたは全く増殖阻
害を示さなかった。このことは、細胞毒性における何らかの選択性を示唆するも
のであり、図12(a)〜12(n)に示した化合物の細胞への侵入を裏付ける
ものである。
実施例XI
in vivo抗腫瘍試験を、腫瘍を有するマウスを本発明の化合物で処理すること
によって行った。
これらの試験を容易にするために、化合物SC−ααδ9(これはコンビナト
リアル化合物1fに対応する)の毒性を測定した。予備試験において、3匹の同年
齢の雌C571B/6マウス(平均体重=24g)に、1日1回5日間この薬物を0また
は30mg/kg腹腔内注射した。有意な体重の減少は観察されず、注射のほぼ2ヶ月
後において死亡は全く見られなかった。
腫瘍を有するマウスをSC−ααδ9で処理してこの化合物が腫瘍を阻害する
かどうかを確認した。使用した特定のクローン原性生存アッセイは、Fuら,(198
4):1473に記載されており、これは参照により本明細書に含まれるものである。
樹立皮下(s.c.)腫瘍(移植の14日後)を有する雌マウス(3/4処理群)を
、SC−ααδ9、SC−αα69またはビヒクル(クレモホア(Cremophore)お
よびエタノール)のいずれかの腹腔内1回投与により処理した。次いで、腫瘍を
24時間後に採取して、クローン原性腫瘍細胞の数を測定した。図18はいずれか
の薬剤を1回投与した後のSCCVII/SF腫瘍細胞のクローン原性における用
量−依存性減少を示す。SC−ααδ9およびSC−αα69の両方について観
察された最大の効果は、45mg/kgで50%減少であった。この減少は、この腫瘍モ
デルにおける30mg/kgのシクロホスファミド、30mg/kgのドキソルビシン、75mg
/kgのカルボプラチンまたは4mg/kgのシスジアミンジクロロ白金(cisdiamined
ichloroplatinum)の1回投与で観察された効果に匹敵するものである。
実施例XII
SC−ααδ9を、それが形質転換細胞に対して選択的な細胞毒性を示すかど
うかを確認するために試験した。
まず、MEF細胞を妊娠14.5日目のマウス(12901a×C57B1/6)の胎児から前
に記載された方法を用いて単離した。細胞を20%ウシ胎児血清(HyClone、ロー
ガン(Logan)、ユタ州)、ペニシリン(100IU/ml)、およびストレプトマイシン
(100μg/ml)を含むデルベッコ最小必須培地(GIBCO、BRL)中に、5%のCO
を含む湿潤大気において37℃で維持した。MEF細胞の初代培養を継代15を超え
ないように行って危機(crisis)が入り込むのを回避した。製造業者の指示にした
がってSV−40ラージT抗原を含むプラスミドによりリプフェクタミン(lipfe
ctamine)(GIBCO,BRL)を用いてMEF細胞を形質転換した。
ウェスタンブロッティングを下記のようにして行った。細胞を、Sunら,(1995
):4243(これは参照により本明細書に含まれるものである)に記載されているよ
うにして100mm皿中でサブ集密的(subconfluency)に増殖させ、採取し、HEPES溶
解緩衝液に溶解した。溶解物を4〜20%SDS−PAGE上で電気泳動し、ニト
ロセルロースに移し、SV−40ラージT抗原に対する抗体(Ab-2 Oncogene Sc
ience,マンハセツト(Manhasset)、ニューヨーク州)、CDC25B(C−20
)、または抗CDC25A(144)(Santa Cruz Biotechnology,サンタクル
ズ(Santa Cruz)、カリフォルニア州)抗体でイムノブロットした。陽性抗体反
応をペルオキシダーゼ結合二次抗体およびVogtら(1995):660(これは参照によリ
本明細書に含まれるものである)に記載されたような強化(enhanced)化学発光検
出系を用いて視覚化した。
コロニー形成アッセイを下記のようにして行った。MEFおよびSV40/M
EF細胞を6ウェルプレートに3組ずつ平板に入れ(それぞれ300および200細胞
/ウェル)、翌日、ビヒクル(DMSO)またはDMSOに種々の濃度で加えた
SC−ααδ9で細胞接着過程を妨害しないように培地を交換せずに処理した。
10〜12日後、目に見えるコロニーが形成されたらコロニーを固定して結晶バイオ
レット/ホルムアルデヒド溶液で染色した。平板効率を、担体に接着し、直径1
mmよりも大きいコロニーに成長した細胞の割合として測定した。
ウェスタンブロッティングの結果から、形質転換細胞はCDC25Bのレベル
を上昇させるということがわかった(図19(a)〜(c))。SC−ααδ9
で処理した後、正常なおよび形質転換されたMEFが選択的な細胞毒性を示すと
いうことがわかった(SV40MEFのIC50:180μM;図20C)。それと
は対照的に、オカダ酸もバナジン酸塩も選択的には細胞増殖に影響を及ぼさなか
った。これらの結果は、SC−ααδ9がPSTP阻害物質および広範なPTP
阻害物質バナジン酸塩とは異なる抗増殖活性を有するということを示すものであ
る。また、SC−ααδ9への連続的な暴露は、非形質転換MEF細胞と比べて
SV40形質転換MEFのコロニー形成により大きな影響を及ぼすということも
わかった。(図21)
【手続補正書】
【提出日】平成12年4月27日(2000.4.27)
【補正内容】
請求の範囲
1.式Iを有する化合物。
〔式中、
Zは式Iに示す2個の中心窒素原子に結合された1または2個の2価基を表し
、2個の中心窒素原子間の最短路は10原子未満であり、
R,R'およびR'''はそれぞれが独立してH、アルキル、アルケニル、アルキニル
、シクロアルキル、フェニル、オキセタニル、アゼチジニル、フラニル、ピロー
ル、インドリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、
トリアゾリル、テトラゾリル、ピラニル、ピリジル、ピリドニル、ピペリジル、
ピペラジニル、キノリル、アゼピニル、およびジアゼピニルよりなる群から選択
され、
R''は、Zが2個の2価基を表すときは存在せず、Zが1個の2価基を表すとき
は、R''はH、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、フェニル、
オキセタニル、アセチジニル、フラニル、ピロール、インドリル、オキサゾリル
、イソキサゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、
ピラニル、ピリジル、ピリドニル、ピペリジル、ピペラジニル、キノリル、アゼ
ピニル、およびジアゼピニルよりなる群から選択され、
Yは、Zが2個の2価基を表すときは存在せず、Zが1個の2価基を表すときは
、YはHである。〕
2.Zが1個の2価基を表し、RおよびR'''が独立してフェニル、CH3、
n-C5H11、n-C7H15、n-C9H19、PhCHCH、PhCH2CH2、Ph(CH2)2CC(CH3)、(p-MeO)Ph
、(p-MeNHCO)Ph、PhCHC(CH3)CH2CH2、Ph(CH2)2CHCHCHC(CH3)、Ph(CH2)2CHCHCHCH
、Ph(CH2)3CHC(CH3)CHCH、C6H13CH(CH3)CHC(CH3)CHCHまたはC4H9CH(CH3)CHC(CH3
)CHC(CH3)であり、R'がH、CH3またはPhであり、そしてR''がH、CH3、ベンジル、
CH2CH(CH3)、n-C6H13、CH2CH2NHBn、CH2CH2Phまたは(CH2)3Phである、請求項1
に記載の化合物。
3.Zが2価エチレン基であり、YがHであり、Rがフェニルであり、R'がフェニル
であり、R''がベンジルまたはCH3であり、そしてR'''がn-C9H19である、請求項
1に記載の化合物。
4.YがHであり、そしてZがアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、
シクロアルキレン基、芳香族炭化水素基、およびこれらの2価基のヘテロ原子置
換体よりなる群から選択される1個の2価基である、請求項1に記載の化合物。
5.Zがアルキレン基、シクロヘキシレン基およびフェニレン基よりなる群から
選択される、請求項4に記載の化合物。
6.YがHであり、そしてZがアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、
シクロアルキレン基、芳香族炭化水素基、およびこれらの2価基のヘテロ原子置
換体よりなる群から選択される1個の2価基である、請求項2に記載の化合物。
7.式Iを有する化合物の製造方法であって、
(a)ジ保護グルタメートを固相支持体にカップリングさせ、
(b)グルタメートのアミノ末端を脱保護し、
(c)R'''COX(ここでXは離脱基である)を添加し、
(d)グルタメートのカルボキシ末端を脱保護し、
(e)式 A-NYZNH(R'')(ここでAは保護基である)を有するジアミンおよびカッ
プリング剤を添加し、
(f)前記ジアミンのアミノ末端を脱保護し、
(g)
を添加し、そして
(h)得られた化合物を固相支持体から開裂する、
ことを含んでなる上記方法。
8.固相支持体がポリスチレン樹脂である、請求項7に記載の方法。
9.前記ジ保護グルタメートが2-(9-H-フルオレン-9-イルメトキシカルボニルア
ミノ)-ペンタン二酸5-アリルエステルである、請求項7に記載の方法。
10.AがN-アリルオキシカルボニル基である、請求項7に記載の方法。
11.前記化合物がトリフルオロ酢酸により固相支持体から開裂される、請求項7
に記載の方法。
12.式Iを有する化合物の製造方法であって、
(a)ジ保護グルタメートを固相支持体にカップリングさせ、
(b)グルタメートのアミノ末端を脱保護し、
(c)前記固相支持体を多数の容器に分配し、
(d)R'''COX(ここでXは離脱基である)を各容器に添加し、
(e)グルタメートのカルボキシ末端を脱保護し、
(f)前記固相支持体を追加の多数の容器に分配し、
(g)式 A-NYZNH(R'')(ここでAは保護基である)を有するジアミンおよびカッ
プリング剤を各容器に添加し、
(h)前記ジアミンのアミノ末端を脱保護し、
(i)前記固相支持体を追加の多数の容器に分配し、
(j)
を添加し、そして
(k)得られた化合物を固相支持体から開裂する、
ことを含んでなる上記方法。
13.プロテインホスファターゼを、プロテインホスファターゼ阻害有効量の式I
:
〔式中、
Zは式Iに示す2個の中心窒素原子に結合された1または2個の2価基を表し
、2個の中心窒素原子間の最短路は10原子未満であり、
R,R'およびR'''はそれぞれが独立してH、アルキル、アルケニル、アルキニル
、シクロアルキル、フェニル、オキセタニル、アゼチジニル、フラニル、ピロー
ル、インドリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、
トリアゾリル、テトラゾリル、ピラニル、ピリジル、ピリドニル、ピペリジル、
ピペラジニル、キノリル、アゼピニル、およびジアゼピニルよりなる群から選択
され、
R''は、Zが2個の2価基を表すときは存在せず、Zが1個の2価基を表すとき
は、R''はH、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、フェニル、
オキセタニル、アゼチジニル、フラニル、ピロール、インドリル、オキサゾリル
、イソキサゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、
ピラニル、ピリジル、ピリドニル、ピペリジル、ピペラジニル、キノリル、アゼ
ピニル、およびジアゼピニルよりなる群から選択され、
Yは、Zが2個の2価基を表すときは存在せず、Zが1個の2価基を表すときは
、YはHである〕
を有する化合物と接触させることを含んでなる、プロテインホスファターゼの阻
害方法。
14.前記プロテインホスファターゼがセリン/トレオニンプロテインホスファタ
ーゼである、請求項13に記載の方法。
15.前記プロテインホスファターゼがPP1、PP2AまたはPP3である、請求項14に記
載の方法。
16.前記プロテインホスファターゼが二重特異性ホスファターゼである、請求項
13に記載の方法。
17.前記プロテインホスファターゼがCDC25AまたはCDC25Bである、請求項16に記
載の方法。
18.前記プロテインホスファターゼがVHRまたはMAPKPである、請求項13に記載の
方法。
19.増殖抑制量の式I:〔式中、YはH、Zはエチレン基、Rはフェニル、R'はフェニル、R''はベンジル、
そしてR'''はn-C9H19である〕を有する化合物を細胞に導入することを含んでな
る、細胞増殖の抑制方法。
20.前記細胞が腫瘍細胞である、請求項19に記載の方法。
21.前記細胞が乳癌細胞である、請求項19に記載の方法。
22.請求項1に記載の化合物および製薬上許容される担体を含有する医薬組成物
。
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(72)発明者 クニンガム,エイプリル
アメリカ合衆国 19438 ペンシルバニア
州,ハーレイスヴィレ,フローレンス ド
ライブ 239
(72)発明者 ワイプ,ピーター
アメリカ合衆国 15213 ペンシルバニア
州,ピッツバーグ,テックビュー テラス
135
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1.式Iを有する化合物。 〔式中、 Zは式Iに示す2個の中心窒素原子に結合された1または2個の2価セグメ ントを表し、2個の中心窒素原子間の最短路は10原子未満であり、 R,R'およびR'''はそれぞれが独立してH、アルキル、アルケニル、アルキニ ル、シクロアルキル、フェニル、オキセタニル、アゼチジニル、フラニル、ピ ロール、インドリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、イミダゾリル、ピラゾ リル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピラニル、ピリジル、ピリドニル、ピペ リジル、ピペラジニル、キノリル、アゼピニル、およびジアゼピニルよりなる 群から選択され、 R''は、Zが2個の2価セグメントを表すときは存在せず、Zが1個の2価セ グメントを表すときは、R''はH、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロ アルキル、フェニル、オキセタニル、アゼチジニル、フラニル、ピロール、イ ンドリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリ アゾリル、テトラゾリル、ピラニル、ピリジル、ピリドニル、ピペリジル、ピ ペラジニル、キノリル、アゼピニル、およびジアゼピニルよりなる群から選択 され、 Yは、Zが2個の2価セグメントを表すときは存在せず、Zが1個の2価セグ メントを表すときは、YはHである。〕 2.Zが1個の2価セグメントを表し、RおよびR'''が独立してフェニル、CH3、n -C5H11、n-C7H15、n-C9H19、PhCHCH、PhCH2CH2、Ph(CH2)2CC(CH3)、(p-MeO)Ph 、(p-MeNHCO)Ph、PhCHC(CH3)CH2CH2、Ph(CH2)2CHCHCHC(CH3)、 Ph(CH2)2CHCHCHCH、Ph(CH2)3CHC(CH3)CHCH、C6H13CH(CH3)CHC(CH3)CHCHまたは C4H9CH(CH3)CHC(CH3)CHC(CH3)であり、R'がH、CH3またはPhであり、そしてR'' がH、CH3、ベンジル、CH2CH(CH3)、n-C6H13、CH2CH2NHBn、CH2CH2Phまたは(CH 2)3Phである、請求項1に記載の化合物。 3.Zが2価エチレンセグメントであり、YがHであり、Rがフェニルであり、 R'がフェニルであり、R''がベンジルまたはCH3であり、そしてR'''がn-C9H19 である、請求項1に記載の化合物。 4.YがHであり、そしてZがアルキレンセグメント、アルケニレンセグメント、 アルキニレンセグメント、シクロアルキレンセグメント、芳香族炭化水素セグ メント、およびこれらの2価セグメントのヘテロ原子置換体よりなる群から選 択される1個の2価セグメントである、請求項1に記載の化合物。 5.Zがアルキレンセグメント、シクロヘキシレンセグメントおよびフェニレン セグメントよりなる群から選択される、請求項4に記載の化合物。 6.YがHであり、そしてZがアルキレンセグメント、アルケニレンセグメント、 アルキニレンセグメント、シクロアルキレンセグメント、芳香族炭化水素セグ メント、およびこれらの2価セグメントのヘテロ原子置換体よりなる群から選 択される1個の2価セグメントである、請求項2に記載の化合物。 7.式Iを有する化合物の製造方法であって、 (a) ジ保護グルタメートを固相支持体にカップリングさせ、 (b) グルタメートのアミノ末端を脱保護し、 (c) R'''COX(ここでXは離脱基である)を添加し、 (d) グルタメートのカルボキシ末端を脱保護し、 (e) 式A-NYZNH(R'')(ここでAは保護基である)を有するジアミンおよびカ ップリング剤を添加し、 (f) 前記ジアミンのアミノ末端を脱保護し、 (g) を添加し、そして (h) 得られた化合物を固相支持体から開裂する、 ことを含んでなる上記方法。 8.固相支持体がポリスチレン樹脂である、請求項7に記載の方法。 9.前記ジ保護グルタメートが2-(9-H-フルオレン-9-イルメトキシカルボニルア ミノ)-ペンタン二酸5-アリルエステルである、請求項7に記載の方法。 10.AがN-アリルオキシカルボニル基である、請求項7に記載の方法。 11.前記化合物がトリフルオロ酢酸により固相支持体から開裂される、請求項7 に記載の方法。 12.式Iを有する化合物の製造方法であって、 (a) ジ保護グルタメートを固相支持体にカップリングさせ、 (b) グルタメートのアミノ末端を脱保護し、 (c) 前記固相支持体を多数の容器に分配し、 (d) R'''COX(ここではX離脱基である)を各容器に添加し、 (e) グルタメートのカルボキシ末端を脱保護し、 (f) 前記固相支持体を追加の多数の容器に分配し、 (g) 式A-NYZNH(R'')(ここでAは保護基である)を有するジアミンおよびカ ップリング剤を各容器に添加し、 (h) 前記ジアミンのアミノ末端を脱保護し、 (i) 前記固相支持体を追加の多数の容器に分配し、 (j) を添加し、そして (k) 得られた化合物を固相支持体から開裂する、 ことを含んでなる上記方法。 13.プロテインホスファターゼを、プロテインホスファターゼ阻害有効量の式I : 〔式中、 Zは式Iに示す2個の中心窒素原子に結合された1または2個の2価セグメ ントを表し、2個の中心窒素原子間の最短路は10原子未満であり、 R,R'およびR'''はそれぞれが独立してH、アルキル、アルケニル、アルキニ ル、シクロアルキル、フェニル、オキセタニル、アゼチジニル、フラニル、ピ ロール、インドリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、イミダゾリル、ピラゾ リル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピラニル、ピリジル、ピリドニル、ピペ リジル、ピペラジニル、キノリル、アゼピニル、およびジアゼピニルよりなる 群から選択され、 R''は、Zが2個の2価セグメントを表すときは存在せず、Zが1個の2価セ グメントを表すときは、R''はH、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロ アルキル、フェニル、オキセタニル、アゼチジニル、フラニル、ピロール、イ ンドリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリ アゾリル、テトラゾリル、ピラニル、ピリジル、ピリドニル、ピペリジル、ピ ペラジニル、キノリル、アゼピニル、およびジアゼピニルよりなる群から選択 され、 Yは、Zが2個の2価セグメントを表すときは存在せず、Zが1個の2価セグ メントを表すときは、YはHである〕 を有する化合物と接触させることを含んでなる、プロテインホスファターゼの 阻害方法。 14.前記プロテインホスファターゼがセリン/トレオニンプロテインホスファタ ーゼである、請求項13に記載の方法。 15.前記プロテインホスファターゼがPP1、PP2AまたはPP3である、請求項14に記 載の方法。 16.前記プロテインホスファターゼが二重特異性ホスファターゼである、請求項 13に記載の方法。 17.前記プロテインホスファターゼがCDC25AまたはCDC25Bである、請求項16に記 載の方法。 18.前記プロテインホスファターゼがVHRまたはMAPKPである、請求項13に記載の 方法。 19.増殖抑制量の式I: 〔式中、YはH、Zはエチレンセグメント、Rはフェニル、R'はフェニル、R''は ベンジル、そしてR'''はn-C9H19である〕を有する化合物を細胞に導入するこ とを含んでなる、細胞増殖の抑制方法。 20.前記細胞が腫瘍細胞である、請求項19に記載の方法。 21.前記細胞が乳癌細胞である、請求項19に記載の方法。 22.請求項1に記載の化合物および製薬上許容される担体を含有する医薬組成物 。
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