JP2000517009A - セルロースファイバの製造方法 - Google Patents

セルロースファイバの製造方法

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、乾式/湿式紡糸法によって水性第3アミンオキサイドの紡糸可能溶液を処理することによってリオセルタイプのセルロースファイバを製造する方法に関する。本発明の方法は、紡糸のために使用する溶液が、溶液の体積をベースとして、分子量が少なくとも5×105のセルロースを0.05体積%〜0.70体積%有することを特徴とする。この方法において、10,000個を超える紡糸孔の紡糸口金を使用できる。隣接する紡糸孔が互いに最大3mm離れるように配置されるため、紡糸孔の線形密度は少なくとも20である。

Description

【発明の詳細な説明】 セルロースファイバの製造方法 本発明は、乾式/湿式紡糸法によって水性第3アミンオキサイドのセルロース 紡糸可能溶液を処理することによってリオセル(lyocell)タイプのセルロースフ ァイバを製造する方法に関する。 ビスコース法に代わる物として、誘導体を形成せずに有機溶剤、有機溶剤と無 機塩の組み合わせ又は食塩水にセルロースを溶解する数々の方法が近年述べられ てきた。このような溶液から生成されたセルロースファイバは、BISFA(国際人 工ファイバ基準局)によってリオセルという属名が与えられた。BISFAによつて 定義付けられた"lyocell"という用語は、紡糸方法によって有機溶剤から得られ たセルロースファイバを意味する。BISFAが定義付けた"有機溶剤"という用語は 、有機化学薬品と水との混合物を意味する。 しかし、これまでのところ、たったひとつのリオセルタイプのセルロースファ イバの製造方法、即ちアミンオキサイド法しか実際の産業上の実現化の程度にお いて許容されていなかった。この方法における使用に好ましい溶剤は、N−メチ ルモルホリン−N−オキサイド(NMMO)である。本明細書の目的のために、" NMMO"という略語は"第3アミンオキサイド"に置き換えられ、ここでNMM Oという用語はさらにN−メチルモルホリン−N−オキサイドを示し、後者は今 日好んで使用されている。 第3アミンオキサイドは、セルロースに替わる溶剤として長い間知られてきた 。米国特許第2,179,181号からは、例えば、第3アミンオキサイドが誘導体化せ ずにハイグレードの化学パルプを溶解する能力を有し、このような溶液からセル ロース成形体、例えばファイバを沈殿によって得ることができることが知られて いる。米国特許第3,447,939号、第3,447,956号及び第3,508,941号は、環状アミ ンオキサイドを好ましい溶剤として使用するセルロース溶液のさらなる調製方法 について述べている。これらの方法全てにおいて、セルロースは高温で物理的に 溶解する。 本願の出願人によるEP-A-0 356 419号では、水性第3アミンオキサイド中の細 断パルプの懸濁液を薄い層の形態に広げ、加熱面の上を搬送し、その薄い層の表 面が真空にさらされる、薄膜処理装置で行うのが好ましい方法が説明されている 。懸濁液は加熱表面の上を搬送されるため、水が蒸発しセルロースが溶解するこ とによって、紡糸可能セルロース溶液がフィルムトルーダー(Filmtruder)から放 出される。 セルロース溶液の紡糸方法は,例えば、US-A-4,246,221号から知られている。 この方法によると、紡糸溶液は紡糸口金を介して押出されてフィラメントとし、 該フィラメントは、エアギャップを通過してセルロースが沈殿する沈殿浴に通過 させる。エアギャップにおいて、フィラメントを延伸し、これによって好ましい 物理的特性、例えば改良された強度をファイバに付与することができる。セルロ ースを沈殿浴に沈殿させることによって、これらの好ましい物理的特性が固定さ れ、さらなる延伸は必要なくなる。この方法は乾式/湿式紡糸法として一般的に 知られている。 US-A-4,144,080号によると、新しく紡糸したフィラメントをエアギャップの空 気で冷却できる。さらに、フィラメント間の付着の危険性を低減させるために、 フィラメントの表面を沈殿剤で湿らせることが提案されている。しかし、このよ うな湿潤の欠点は、フィラメント表面のセルロースが沈殿し、これによって延伸 によるファイバの特性の調節がより難しくなることである。 EP-A-0 648 808号は、セルロース溶液の生成方法について述べており、この溶 液のセルロース成分は平均重合度(DP)500〜2000のセルロースからなる第1の 成分及び350〜900の範囲で第1の成分のDPの90%未満のセルロースからなる第2 の成分を含有する。第1の成分:第2の成分の重量比は、95:5〜50:5である。 本願の出願人によるWO93/19230号は、乾式/湿式紡糸法を改良し、その生産性 を向上させた。これは、紡糸口金のすぐ下で冷却を行う、不活性冷却ガスを使用 した特殊な吹き付け技術によって行われる。このようにして、新しく押出したフ ィラメントの接着性をかなり低減させることができ、より密なフィラメントカー テンを紡糸することができる、即ち、1.4ホール/mm2までの高い孔密度 を有する紡糸口金を使用することができ、これによって乾式/湿式紡糸法の生産 性ももちろんかなりの程度向上させることができる。−6℃〜+24℃の温度の空 気を、新しく押出されたフィラメントの冷却に使用する。 本願の出願人によるWO95/02082号も同様に乾式/湿式紡糸法について述べてい る。この方法では、10℃〜60℃の温度の冷却空気を使用する。供給される冷却空 気の湿度は、20gH2O/kg〜40gH2O/kgである。 本願の出願人によるWO95/01470号及びWO95l04173号は、孔密度1.59ホール/m m2の紡糸口金及び合計で15048ホールを有する紡糸口金をそれぞれ用いる紡糸法 について述べている。各場合において、冷却空気の温度は21℃である。 WO94/28218号は、一般に500〜100,000ホールの紡糸口金を使用することを提案 している。冷却空気の温度は、0℃〜50℃である。湿気が1kgの空気当たり5.5g H2O〜7.5gH2Oであることを、当業者はこの文献から得ることができる。したがっ て、これによって比較的乾燥した環境のエアギャップを形成できる。 WO96/17118号もエアギャップの環境について扱っており、その環境はできるだ け乾燥している、即ち、1kgの空気当たり0.1gH2O〜7gH2O、相対湿度85%未満 であるべきであると述べている。冷却空気に提案された温度は6℃〜40℃である 。したがって、当業者は、紡糸中の環境をできるだけ乾燥に保つことをこの文献 から得ることができる。 このことはWO96/18760号からも得ることができ、これはエアギャップ内の温度 10℃〜37℃、相対湿度8.2%〜19.3%であるため、1kgの空気当たり1gH2O〜7.5 gH2Oとなることを提案している。 本願の出願人によるWO96/20300号は、特に紡糸孔28392個の紡糸口金の使用に ついて述べている。エアギャップ内の空気は、温度12℃及び湿度1kgの空気当た り5gH2Oである。したがって、実質的に多数の紡糸孔を有するダイを使用する場 合、即ち、比較的密なフィラメントカーテンを紡糸する場合、特に、エアギャッ プ内の環境を乾燥且つ涼しく保つ傾向を、この文献からも得ることができる。 WO96/21758号も同様にエアギャップで調節される環境について述べており、 異なる冷却空気を用いる二段階吹き付け技術であって、湿気がなくより冷却した 空気を使用してエアギャップの上部領域に吹き付ける二段階吹き付け技術を提案 している。 低湿度空気を使用することのひとつの欠点は、このような空気がかなりの費用 でないと調節できないことである。アミンオキサイド法のために多量の低湿度冷 却空気を提供するためには、相当の技術手段が必要となる。 また、紡糸口金から現れる新たに押出されたファイバが100℃より高い温度及 び含水率約10%を呈し、冷却空気に熱及び湿度を放つため、冷却空気は、フィラ メントカーテンを通過するとかなり暖まりより湿潤になることがわかっている。 実際、非常に密なフィラメントカーテンでは、このように水の取り込みが増加す ることによって、必要な環境を技術的に複雑な吹き付け装置によってしか調節で きず、このような装置がなければフィラメント密度を増大させることができない 状況になることを出願人は見出した。 本発明は、これらの欠点をなくし、乾式/湿式紡糸法によって水性第3アミン オキサイドのセルロース紡糸可能溶液を処理することによってリオセルタイプの セルロースファイバを製造する方法を提供し、吹き付け空気を乾燥させる必要な く、密なフィラメントカーテンを紡糸することを可能とすることを目的とする。 これらの条件にもかかわらず、この方法は優れた曳糸性を実現化して実行され、 曳糸性が向上すると得られる最小力価(titer)が小さくなる(以下を参照のこと) 。 最初に定義付けた種類の方法において、分子量が少なくとも5×105(=500,000 )のセルロース及び/又は別のポリマーの含量が、溶液の質量をベースとして、0 .05質量%〜0.70質量%、特に0.10質量%〜0.55質量%、好ましくは0.15〜0.45 質量%である溶液を紡糸のために使用することでこれを達成する。 分子量を、以下に述べるクロマトグラフ法によって測定する。本明細書の目的 のために、以下に述べるクロマトグラフ法によって分子量少なくとも5×105に 対応する信号を生成するセルロース分子又は他のポリマー分子を長鎖分子と称す る。 本発明は、長鎖セルロース分子及び/又は他のポリマーが、紡糸溶液中に示し た濃度範囲で存在することによって、乾燥していなくてもよい吹き付け空気を用 いることができるように、紡糸挙動を改良できるという認識に基づく。したがっ て、非常に密なフィラメントカーテンに対して吹きつけた場合でも、吹き付け方 向から見てさらに外側に配置されるため"使用済みの"、即ち非常に暖かく湿潤し た吹き付け空気しか到達できないフィラメントカーテンの領域にも優れた曳糸性 を保証することができる。 長鎖セルロース分子の示した含量が紡糸直前の紡糸溶液に存在することが本発 明にとって必須である。一般的に知られているように、紡糸溶液中のセルロース 鎖は徐々に崩壊するため、紡糸溶液を生成する時間から実際の紡糸の時間までの セルロースの崩壊が、本発明の最小濃度、即ち0.05質量%を下回るほど大きくな らないように、紡糸溶液の調製の際、大部分の長鎖分子を既に提供しているよう 試みなければならない。湿潤した吹き付け空気又はエアギャップ内の湿潤な環境 を用いる際、ドープの長鎖分子の含量が0.05質量%より低いと曳糸性は著しく劣 化することがわかっている。 一方、長鎖分子の濃度が0.70質量%より高くても曳糸性は著しく劣化する。こ れは、湿潤及び乾燥の両方の吹きつけ空気で紡糸する場合に当てはまる。 本発明の方法によると、紡糸溶液中で長鎖分子が示した含量を呈するパルプ混 合物を使用するのが好ましい。 これに関して、驚くべきことに、このようなパルプ混合物を含有するドープの 紡糸によって、フィブリル化傾向の低いファイバを得ることができることも示さ れる。この効果は、高湿潤な空気をエアギャップで用いるとさらに高まる。 N−メチル−モルホリン−N−オキサイドがもっとも効率のよい第3アミンオ キサイドであることが証明された。 本発明はさらに水性第3アミンオキサイドのセルロース紡糸可能溶液の使用に 関し、この溶液は、最大で1dtexの力価を有するセルロースファイバを製造する ために、分子量が少なくとも5×105のセルロースの含量が、溶液の質量をベー スとして、0.05〜0.70質量%、特に0.10〜0.55質量%、好ましくは0.15〜0.45質 量%である。このようなリオセルファイバは新規である。 また、本発明は、本発明の方法によって得ることができることを特徴とするリ オセルタイプセルロースファイバにも関する。 また、本発明は最大で力価1dtexを示すことを特徴とするリオセルタイプセル ロースファイバにも関する。 本発明のファイバの好ましい態様は、分子量が少なくとも5×105のセルロー スの含量が、セルロースファイバの質量をベースとして、0.25〜7.0質量%、特 に1.0〜3.0質量%である。 本発明のファイバの別の好ましい態様はステープルファイバである。 本発明はさらに乾式/湿式紡糸法によって水性第3アミンオキサイドのセルロ ース紡糸可能溶液を処理することによってリオセルタイプのセルロースファイバ を製造する方法に関する。この方法は、 (1) 分子量が少なくとも5×105のセルロースの含量が、溶液の質量をベー スとして、0.05質量%〜0.70質量%、特に0.10質量%〜0.55質量%、好ましくは 0.15〜0.45質量%である溶液を紡糸用に用いて、かつ、 (2) 10,000個より多い紡糸孔を有する紡糸口金を紡糸のために用い、これら の孔を、近隣の紡糸孔が最大3mmの間隔となるように配置し、紡糸孔の線形密 度が少なくとも20であることを特徴とする。 "線形密度"という用語は、本願出願人が定義付けた臨界値であり、吹き付け空 気があたるフィラメントカーテンのミリメートル当たりのファイバの数を示す。 線形密度は、ダイの紡糸孔の合計数をいわゆる入射領域(mm2)で除算し、そ の商にエアギャップの長さ(mm2)を乗算することによって計算する。"入射領 域"は紡糸浴表面に対して直角に配置される領域であり、エアギャップ(mm) 及び吹き付けガスが最初に到達するフィラメントの行、ならびにマッチする紡糸 口金の"孔の行"及びこれによって形成された直線(全長mm)によって形成され る。より明確にするために、添付の図3を参照する。 図3は、フィラメント3が押出される紡糸孔2を有する矩形ダイlを図示する 。エアギャップの全長を"l"で示す。エアギャップを通過した後、フィラメント 3は沈殿浴(図示せず)に入る。図3では、フィラメントをエアギャップのみで しか例示しない。 入射領域はエアギャップの長さ"l"とフィラメントの第1行の幅"b"の積であ る。したがって線形密度を以下の数学的関係によって得ることができる。 以下において本発明をさらに詳細に説明する。 1.パルプの分子量曲線を決定する一般的方法 パルプの分子量曲線をゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって得るこ とができ、ここで分子量(g/mol;対数プロット)に対して"重量差分画"(%)を 縦座標として図表にプロットする。 ここで、"重量差分画"とは、モル質量分画の%度数を示す。 GPCによる試験のために、パルプをジメチルアセトアミド/LiClに溶解し、 クロマトグラフした。反射率を測定し、いわゆる"MALLS"(多角レーザ光散乱) 測定(HPLCポンプ:コントロン(Kontron)製;サンプルコレクター:ヒューレッ トパッカード(Hewlett Packard)製HP1050;溶離液:9gLiCl/LDMAC;RI検出 器:ERC製のF511型;レーザ波長:488nm;増分dn/dc:1.36ml/g;評価ソフトウェ ア:ワイアット(Wyatt)製のAstra 3d,バージョン4.2:カラム装置:4カラム、 300mm×7.5mm;充填材料:ポリマーラボラトリーズ(Polymer-Laboratories)によ るPL Gel 20μ−Mixed−A;サンプル濃度:1g/l溶離液;射出体積40μl、流 速:1ml/分によって検出を行った。 測定装置を当業者に公知の測定値によって較正した。 ジム(Zimm)に準拠して信号評価を行い、ジムの式が必要ならば評価ソフトウェ アで調節する必要がある。 1.1 パルプの分子量曲線 図1aは、ビスコクラフト(Viscokraft)LVパルプ(インターナショナルペーパ ー(International Paper)製)の分子量曲線の例示的な例示である。図1aの線図 は、このパルプの大部分が分子量約100,000の分子から構成されており、このパ ルプが分子量500,000を超える部分を実質的に殆ど含まない(約0.2%)ことを示す 。したがって、水性アミンオキサイドのこのパルプ(調製については以下を参照 のこと)のみの15%のセルロース溶液(=ドープ)は本発明で使用するものに対 応しない。 これと比較して、図1bはアリステープル(Alistapel)LD9.2パルプ(ウェスタ ンパルプ(Western Pulp)製)の分子量曲線を示す。このパルプは、モル質量の度 数の最大値がほぼ200,000であり、また、この特定のパルプが分子量500,000より 大きな分子を高い割合(約25%)で含むことも示す。このタイプのパルプのみを15 質量%含むドープは、分子量が500,000より大きなセルロース分子を約4%含む (溶液の質量に対し、溶液の沈殿中の崩壊を考慮しない)ため、本発明で利用す るドープに対応しない。 図1cは、ビスコクラフトLV70%とアリステープルLD9.230%とのパルプ混合 物の分子量曲線を示す。このパルプ混合物は、最大値が約100,000であり、また 、このパルプ混合物が分子量500,000を超える分子を約7%含むことも示す。 このような混合物を15%を含有するドープは、溶液の調製中の分子の崩壊を考 慮しなければ、分子量が500,000を超えるセルロース分子を(溶液の質量をベー スとして)ほぼ1%含有するであろう。しかし、既に述べたように、セルロース 分子は水性アミンオキサイドに溶解している最中に崩壊するため、長鎖分子の含 量が減少し、この混合物から調製したドープはこれらの長鎖分子部分を少量しか 含まない。これは図1dに示されている。この図は、GPCによって描いた、紡 糸直前のドープから沈殿したパルプの分子量曲線を示す。このドープは紡糸直前 のセルロース溶液であり、長鎖分子が0.4質量%しか残っていないため、本発明 で利用するセルロース溶液である。 ソルセル(Solucell)400(ブラジルのバセル(Bacell)SA製)タイプのパルプも同 様に本発明によるセルロース溶液の生成に適した分子量分布を示す。 2.ドープ(水性第3アミンオキサイドのセルロース紡糸可能溶液)の調製 細断パルプ又は細断パルプの混合物を水性50%NMMOに懸濁し、混練機(型 :IKA-Laborkneter HKD-T;IKA-Labortechnik製)に置き、1時間含浸させた。続 いて、パルプが完全に溶液になるまで、温度130℃に維持した加熱媒体を使用し て混練機を加熱し、圧力を低下させることで水を蒸発させた。 3.溶液の紡糸及び最大延伸速度又は最小力価(曳糸性)の決定 紡糸装置として、プラスチック処理において一般的に使用するダベンポート (Davenport)社によるメルトフローインデックス装置を用いた。この器械は、ド ープが注がれる加熱可能かつ温度制御されたスチールシリンダーからなる。重量 を負荷したピストンによつて、スチールシリンダーの下面に配置した紡糸口金を 介してドープが押出され、この紡糸口金には直径100μmの孔が設けられていた 。 分析のために、紡糸装置に置いたドープ(セルロース含量:15%)を紡糸孔か ら押出し、長さ3cmのエアギャップを通過して水性沈殿浴へと通過させ、向き を変えて、沈殿浴に続いて設けたゴデットの上で延伸し、伸張した。ノズルを介 したドープの出力は、0.030g/分であった。押出温度は80℃〜120℃であった。 最小紡糸可能力価を用いて、紡糸挙動をシミュレートした。このため、フィラ メントが破壊するまで延伸速度を増大させることで、最大延伸速度(m/分)を測定 した。この速度を記録し、また、以下に説明する式によって力価を計算するのに 使用した。この値が高くなると、紡糸挙動即ち曳糸性がよくなる。 最大延伸速度が与えられた力価を以下の一般式で計算した。 式中、Kはセルロース濃度(質量%)であり、Aはドープの出力(g/分)であり、 Gは延伸速度(m/分)であり、Lは紡糸口金の紡糸孔の数である。以下の例に おいて、セルロース濃度が15%、A=0.030g/分、L=1である。 4.エアギャップでの吹き付け エアギャップでのフィラメントに対する吹き付けを、その全長にわたつてフィ ラメントに対して直角に行った。空気の湿度をサーモスタット装置によって調節 した。 5.セルロース溶液の紡糸挙動 5.1 長鎖分子部が非常に低い(<0.05質量%)セルロース溶液 上述した作動方法によって、その分子量曲線が図1aに示されたビスコクラフ トLVパルプ(インターナショナルペーパー社(International Paper Corp.)製)を 使用してドープを調製し、このドープをエアギャップ内の異なる湿度で紡糸し、 そうすることによって最大延伸速度及び最小紡糸可能力価を測定した。結果を表 1に示す。 表1では、"温度"はドープの温度(℃)を意味し、"湿度"はエアギャップ内の 空気の湿度(g水/kg空気)を意味し、"max.draw.rate"は最大延伸速度(m /分)を意味する。力価を上記の式によって計算し、その単位はdtexである。 表1 パルプ 温度 湿度 max.draw.rate 力価 ビスコクラフトLV 115 0 176 0.31 〃 115 20 99 0.55 〃 115 48 63 0.86 〃 120 0 170 0.32 〃 120 22 83 0.66 〃 120 47 52 1.05 表1に示した結果から、エアギャップの湿度が増大すると、最大延伸速度は減 少し、かつ最小力価は増加することがわかる。これは、エアギャップの湿度が増 大すると実質的に長鎖部分のないこのパルプの溶液の曳糸性が劣化することを意 昧する。 5.2 長鎖分子部が非常に高い(>0.70質量%)セルロース溶液 上述の作動方法によって、その分子量分布が図1bに示されるアリステープル LD 9.2パルプ(ウェスタンパルプ(Western Pulp)製)を使用してドープを調製し 、このドープを異なったエアギャップの湿度で紡糸し、処理中、最大延伸速度及 び最小紡糸可能力価を測定した。反対の結果が得られた。エアギャップ内の湿度 が低いよりも高い方が曳糸性がやや優れていた。しかし、高分子成分の含量が既 に高すぎるため、最小力価からも明らかであるように、このようなドープの曳糸 性は全体的にかなり貧弱である。 5.3 長鎖分子部が異なるセルロース溶液の紡糸挙動 上述の作動方法によって、アリステープルLD 9.230%とビスコクラフトLV70% との混合物を15質量%を含有するドープを生成した。紡糸直前、このパルプ混合 物は図1dに示すような分子量分布を示した。エアギャップの温度120℃且つ種 々のエアギャップの湿度でドープを紡糸した。これらの分析の結果を以下の表2 に示す。 表2 パルプ混合物 湿度 max.draw.rate 力価 (アリステープル/ビスコクラフト) 30/70 30 116 0.47 30/70 50 118 0.46 30/70 70 127 0.43 ビスコクラフトパルプを15%を含有するドープとは異なり、エアギャップで使 用している湿度が増大しても最小の達成可能な力価の崩壊はなく、若干の改良を 達成できたことがこの表から明らかである。しかし、アリステープルパルプを15 %含有するドープと比較すると、明らかに低い力価しか得ることができない。本 発明のこのドープの曵糸性はエアギャップで使用している環境から比較的独立し ていることがさらにわかる。 これらの又は類似のパルプ混合物を用い、本発明の組成の紡糸ドープを得た多 数の紡糸試験において、このように調製したファイバのフィブリル化傾向が本発 明によって調製しなかったファイバのフィブリル化傾向よりも低いことを、出願 人は見出した。これに関して、本発明のドープの紡糸中、エアギャップの湿度が 高くなればなるほど、このように調製したファイバのフィブリル化傾向はさらに 低下する。 図2は、長鎖分子部を変えたセルロース溶液の紡糸挙動を示し、最小力価(dte x)を縦座標としてプロットし、横座標として分子量が少なくとも500,000のセル ロース溶液のセルロース分子の濃度をプロットした。紡糸直前に濃度を測定 した。 アリステープルLD 9.2適量をビスコクラフトLVに混合することによって、長鎖 分子部を調節した。溶液中のセルロース濃度は、全ての場合において15質量%で あった。 各セルロース溶液に対して、エアギャップの湿度を30gH2O(曲線"a")及び0gH2 O(乾燥)(直線"b")の両方で紡糸挙動を測定した。図2から以下のことがわかった 。 ・曳糸性と長鎖分子の濃度には関係がある。 ・乾燥空気をエアギャップで使用した場合(直線"b")、長鎖分子の濃度が減少 すると曳糸性はほぼ線形に向上する。 ・湿潤空気をエアギャップで使用した場合(曲線"a")、曳糸性は長鎖分子の濃 度が減少すると最初は向上するが、濃度約0.25質量%から下降して再び崩壊が起 こり、崩壊は、特に0.05質量%の下降から顕著である。 図2に、本発明の範囲(0.05〜0.70質量%)を図面に記した。この範囲において 、最小力価はエアギャップ内の湿度に無関係に約0.4dtex〜0.75dtexの範囲内で しか変動しない。これは、この範囲内で曳糸性はエアギャップの湿気と実質的に 無関係であり、本発明に示した濃度範囲の長鎖分子を有するドープが厚いフィラ メントカーテンへと紡糸することができ、該カーテンでは空気湿度が実務上曳糸 性にマイナスの影響を与えないため、高価な環境化及び吹き付け空気の調節の必 要がなくなることを意味する。 さらなる実験から、このようにして、通常の空気を吹き付けた高線形密度、即 ち線形密度が少なくとも20のフィラメントカーテンを紡糸できることを、出願人 は見出した。 6.本発明でなく各々のドープから形成したファイバのフィブリル化特性 パラグラフ2に述べた方法によって、全セルロース濃度15重量%のセルロース ドープを調製した。 セルロース材料として、以下のパルプ及びパルプ混合物を用いた。 1)ビスコクラフトLV(100%) 2)ビスコクラフトLV(85%),アリステープルLD 9.2(15%) セルロース材料としてビスコクラフトLVを100%含むセルロースドープは、紡 糸直前、本発明で利用したドープに対応しなかった。 セルロース材料としてビスコクラフトLV 85%とアリステープルLD 9.2を15% を含むセルロースドープは、紡糸直前、本発明で利用するドープに対応した。 これらのセルロースドープから、パラグラフ3で述べた方法によってファイバ を調製した。別個の試験において、異なる湿度の空気をエアギャップのフィラメ ントに吹き付けるために用い(cf.4.)、他のパラメータは全て一定のままとした 。このようにして調製したフィラメントから、以下の試験方法によってフィブリ ル化傾向を測定した。 洗浄工程中及び仕上げ工程中のそれぞれの湿潤挙動のファイバの磨耗を、以下 の試験によってシミュレートした。長さ20mmのファイバ8本を水4mlの入ったサ ンプルボトル20mlに入れ、ボンのゲルハルド(Gerhardt)(FRG)社によるRO-10タイ プの実験用機械的攪拌器中でレベル12で9時間攪拌した。これに続いて、ファイ バ長各0.276mm当たりのフィブリルの数を数えることによってファイバのフィブ リル挙動を顕微鏡で評価した。 結果 上述の試験方法によって決定したフィブリル化特性を以下の表に挙げる。 本発明による組成のセルロースドープから形成したファイバのフィブリル化傾 向は、本発明によらない組成のセルロースドープから形成したファイバよりも低 いことは表から明らかである。さらに、本発明の組成のセルロースドープから形 成したファイバのフィブリル化傾向は、湿度の高い空気をフィラメントに吹き付 けるのに用いた場合、さらに低くなることも、この表からわかる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR, NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,KE,L S,MW,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM,AZ ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),AL ,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR, BY,CA,CH,CN,CU,CZ,DE,DK,E E,ES,FI,GB,GE,GH,GM,GW,HU ,ID,IL,IS,JP,KE,KG,KP,KR, KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,M D,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ,PL ,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK, SL,TJ,TM,TR,TT,UA,UG,US,U Z,VN,YU,ZW (72)発明者 ルーフ、ハルトムート オーストリア国 アー―4840 フェークラ ブルック ピルグリムシュトラーセ 6 (72)発明者 ファイルマイヤー、ヴィルヘルム オーストリア国 アー―4860 レンツィン グ ラッヒャーヴィーゼ 30

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.乾式/湿式紡糸法によって水性第3アミンオキサイドの紡糸可能溶液を処理 することによってリオセルタイプのセルロースファイバを製造する方法であ って、分子量が少なくとも5×105のセルロース及び/又は別のポリマーの 含量が、溶液の質量をベースとして、0.05質量%〜0.70質量%である溶液を 紡糸のために使用することを特徴とする、上記方法。 2.分子量が少なくとも5×105のセルロースの含量が、溶液の質量をベースと して、0.10質量%〜0.55質量%である溶液を紡糸のために使用することを特 徴とする、請求項1記載の方法。 3.分子量が少なくとも5×105のセルロースの含量が、溶液の質量をベースと して、0.15〜0.45質量%である溶液を紡糸のために使用することを特徴とす る、請求項2記載の方法。 4.N−メチル−モルホリン−N−オキサイドを第3アミンオキサイドとして使 用することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項記載の方法。 5.水性第3アミンオキサイド中のセルロース紡糸可能溶液の使用であって、分 子量が少なくとも5×105のセルロースの含量が、溶液の質量をベースとし て、0.05質量%〜0.70質量%である溶液を、最大で1dtexの力価を有するセ ルロースファイバを製造するために使用する、上記使用。 6.最大で1dtexの力価を呈することを特徴とするリオセルタイプのセルロース ファイバ。 7.請求項1〜4のいずれか1項記載の方法で得ることができるリオセルタイプ のセルロースファイバ。 8.分子量が少なくとも5×105のセルロースの含量が、セルロースファイバの 質量をベースとして、0.25質量%〜7.0質量%、特に1.0〜3.0質量%である ことを特徴とする、請求項6又は7のいずれか1項記載のセルロースファイ バ。 9.ステープルファイバの形態で存在することを特徴とする、請求項6〜8のい ずれか1項記載のセルロースファイバ。 10.乾式/湿式紡糸法によって水性第3アミンオキサイドのセルロース紡糸可能 溶液を処理することによってリオセルタイプのセルロースファイバを製造す る方法であって、 (1) 分子量少なくとも5×105のセルロースの含量が、溶液の質量をベ ースとして、0.05質量%〜0.70質量%である溶液を紡糸用に用い、かつ (2) 10,000個より多い紡糸孔を有する紡糸口金を紡糸のために用い、こ れらの孔を、近隣の紡糸孔が最大3mmの間隔となるように配置し、紡糸孔 の線形密度が少なくとも20であることを特徴とする、上記方法。
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