JP2002168332A - 自動変速機の変速制御装置 - Google Patents

自動変速機の変速制御装置

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JP2002168332A
JP2002168332A JP2000360055A JP2000360055A JP2002168332A JP 2002168332 A JP2002168332 A JP 2002168332A JP 2000360055 A JP2000360055 A JP 2000360055A JP 2000360055 A JP2000360055 A JP 2000360055A JP 2002168332 A JP2002168332 A JP 2002168332A
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弘之 湯浅
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Abstract

(57)【要約】 【課題】異なる2つの摩擦係合要素の締結制御と解放制
御とを同時に行う摩擦係合要素の掛け替えによって変速
を行う自動変速機の変速制御装置において、ダウンシフ
ト時のイナーシャフェーズ後期におけるトルク変動を抑
制する。 【解決手段】変速中の摩擦係合要素の指示油圧を、入力
軸トルクに応じて設定する構成とし、かつ、イナーシャ
フェーズ中に解放側の指示油圧の演算に用いる入力軸ト
ルクをイナーシャトルクによって補正する。イナーシャ
フェーズ中に所定ギヤ比を超えて掛け替えタイミングに
なったことが検出されると、解放側の指示油圧をイナー
シャトルク相当分だけステップ的に増大させ、かつ、締
結側の指示油圧をスタンバイ圧から立ち上げる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、摩擦係合要素の掛
け替えによって変速を行うよう構成された自動変速機の
変速制御装置に関し、詳しくは、ダウンシフト時におけ
る伝達トルク容量の制御に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、異なる2つの摩擦係合要素の
締結制御と解放制御とを同時に行う摩擦係合要素の掛け
替えによって変速を行うよう構成された自動変速機の変
速制御装置が知られている(特開平6−341526号
公報及び特開平9−133205号公報等参照)。
【0003】上記掛け替え変速を行う自動変速機におい
て、ダウンシフト時には、変速による入力軸回転速度
(タービン回転速度)の変化方向が増大方向であるた
め、まず、解放側摩擦係合要素の解放制御によってギヤ
比(本願では、ギヤ比=入力軸回転速度/出力軸回転速
度とする。)及び入力軸回転速度を上昇変化させ、入力
軸回転速度が上がり切る前の掛け替えタイミングをギヤ
比や入力軸回転速度の絶対値に基づいて判断し、前記掛
け替えタイミングが判断されたときに締結側摩擦係合要
素の伝達トルク容量を立ち上げ、解放側から締結側への
トルクの掛け替えを行わせるようにしていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記従来の
ように、解放側摩擦係合要素の伝達トルク容量を漸減さ
せつつ、締結側摩擦係合要素の伝達トルク容量を掛け替
えタイミングで立ち上げてトルクの掛け替えを行う構成
では、解放側伝達トルク容量の漸減速度や締結側伝達ト
ルク容量の立ち上げタイミング・立ち上げ速度などの適
合を行っても、変速の間延びを防止し、かつ、イナーシ
ャフェーズ後期以降におけるトルク変動を充分に抑制す
ることが困難であるという問題があった。
【0005】解放側伝達トルク容量の減少速度を緩く
し、これに合わせて締結側の伝達トルク容量を漸増させ
るようにすれば、イナーシャフェーズ後期以降における
トルク変動を小さくできるが、係る構成とすると変速時
間が延びてしまい、逆に、変速時間を短くしようとする
と、タービン回転速度(入力軸回転速度)の変化速度を
急変させることになり、これによって、トルク変動が発
生してしまうという問題があったものである。
【0006】本発明は上記問題点に鑑みなされたもので
あり、変速時間の間延びを回避しつつ、イナーシャフェ
ーズ後期以降におけるトルク変動を充分に小さくするこ
とができる自動変速機の変速制御装置を提供することを
目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】そのため請求項1記載の
発明では、ダウンシフト時のイナーシャフェーズの後期
において、解放側摩擦係合要素の伝達トルク容量を増大
変化させる構成とした。かかる構成によると、解放側摩
擦係合要素の伝達トルク容量を減少させ続けるのではな
く、イナーシャフェーズの後期において増大変化させる
ことで、入力軸回転速度が変速後の値に到達する直前で
回転上昇を鈍らせる。
【0008】請求項2記載の発明では、イナーシャフェ
ーズ中に変速機構のギヤ比又は入力軸回転速度が閾値に
なったときに、解放側摩擦係合要素の伝達トルク容量を
増大変化させる構成とした。かかる構成によると、イナ
ーシャフェーズ中にギヤ比・入力軸回転速度(タービン
回転速度)が上昇して閾値に到達すると、それまで単調
減少させていた解放側摩擦係合要素の伝達トルク容量を
増大変化させる。
【0009】請求項3記載の発明では、イナーシャフェ
ーズ中に変速機構のギヤ比又は入力軸回転速度が閾値に
なったときに、締結側摩擦係合要素の伝達トルク容量を
立ち上げると共に、解放側摩擦係合要素の伝達トルク容
量を増大変化させる構成とした。かかる構成によると、
イナーシャフェーズ中にギヤ比・入力軸回転速度(ター
ビン回転速度)が上昇して閾値に到達すると、掛け替え
のタイミングであると判断して締結側摩擦係合要素の伝
達トルク容量を立ち上げる一方、それまで単調減少させ
ていた解放側摩擦係合要素の伝達トルク容量を増大変化
させる。
【0010】請求項4記載の発明では、前記ギヤ比・入
力軸回転速度の閾値を、イナーシャフェーズ中のギヤ比
又は入力軸回転速度の変化速度に応じて変更する構成と
した。かかる構成によると、イナーシャフェーズ中にギ
ヤ比・入力軸回転速度が急激に変化しているか又は比較
的緩やかに変化しているかによって、解放側の伝達トル
ク容量を増大補正するタイミング(及び締結側の伝達ト
ルク容量を立ち上げるタイミング)を早めたり遅らせた
りする。
【0011】請求項5記載の発明では、解放側摩擦係合
要素の伝達トルク容量の指示値を、ステップ的に増大変
化させる構成とした。かかる構成によると、イナーシャ
フェーズ後期に解放側摩擦係合要素の伝達トルク容量の
指示値をステップ的に増大させ、実際の伝達トルク容量
を増大変化させる。
【0012】請求項6記載の発明では、解放側摩擦係合
要素の伝達トルク容量の指示値を、所定の時定数で増大
変化させる構成とした。かかる構成によると、イナーシ
ャフェーズ後期に解放側摩擦係合要素の伝達トルク容量
の指示値をなだらかに増大変化させ、実際の伝達トルク
容量をよりなだらかに増大変化させる。
【0013】請求項7記載の発明では、前記時定数を、
エンジン回転速度に応じて変更する構成とした。かかる
構成によると、自動変速機に作動油を供給する油圧ポン
プがエンジン駆動される場合に、油圧ポンプの吐出量に
相関するエンジン回転速度に応じて解放側の指示値を立
ち上げるときの時定数が変更される。
【0014】請求項8記載の発明では、解放側摩擦係合
要素の伝達トルク容量を、イナーシャトルク相当分だけ
増大変化させる構成とした。かかる構成によると、イナ
ーシャフェーズ後期において、解放側摩擦係合要素の伝
達トルク容量を、イナーシャフェーズにおける回転変化
によるイナーシャトルク相当分だけ増大変化させる。
【0015】
【発明の効果】請求項1記載の発明によると、イナーシ
ャフェーズ後期において解放側の伝達トルク容量を増大
させることで、入力軸回転速度の上昇速度を抑制して滑
らかに変化させることが可能となり、以って、変速時間
の間延びを回避しつつ、イナーシャフェーズ後期以降に
おけるトルク変動の発生を抑制することができるという
効果がある。
【0016】請求項2記載の発明によると、解放側の伝
達トルク容量を最適なタイミングで増大変化させ、イナ
ーシャフェーズ後期以降におけるトルク変動の発生を確
実に抑制することができるという効果がある。請求項3
記載の発明によると、掛け替えを最適なタイミングで開
始させつつ、解放側の伝達トルク容量を最適なタイミン
グで増大変化させることができるという効果がある。
【0017】請求項4記載の発明によると、イナーシャ
フェーズ中の回転変化速度にばらつきがあっても、常に
最適なタイミングで、解放側の伝達トルク容量を増大補
正でき、また、掛け替えを開始させることができるとい
う効果がある。請求項5記載の発明によると、解放側の
伝達トルク容量を簡便な構成で増大変化させることがで
きるという効果がある。
【0018】請求項6記載の発明によると、たとえ伝達
トルク容量の応答が速い場合であっても、解放側の伝達
トルク容量を滑らかに増大変化させて、トルク変動を抑
制できるという効果がある。請求項7記載の発明による
と、伝達トルク容量の応答特性に応じた時定数で伝達ト
ルク容量の指示値を変化させることができるという効果
がある。
【0019】請求項8記載の発明によると、伝達トルク
容量が過剰に増大されることを回避しつつ、確実にトル
ク変動の発生を防止することができるという効果があ
る。
【0020】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を説明
する。図1は、実施の形態における自動変速機の変速機
構を示すものであり、エンジンの出力がトルクコンバー
タ1を介して変速機構2に伝達される構成となってい
る。
【0021】前記変速機構2は、2組の遊星歯車G1,
G2、3組の多板クラッチH/C,R/C,L/C、1
組のブレーキバンド2&4/B、1組の多板式ブレーキ
L&R/B、1組のワンウェイクラッチL/OWCで構
成される。前記2組の遊星歯車G1,G2は、それぞ
れ、サンギヤS1,S2、リングギヤr1,r2及びキ
ャリアc1,c2よりなる単純遊星歯車である。
【0022】前記遊星歯車組G1のサンギヤS1は、リ
バースクラッチR/Cにより入力軸INに結合可能に構
成される一方、ブレーキバンド2&4/Bによって固定
可能に構成される。前記遊星歯車組G2のサンギヤS2
は、入力軸INに直結される。前記遊星歯車組G1のキ
ャリアc1は、ハイクラッチH/Cにより入力軸Iに結
合可能に構成される一方、前記遊星歯車組G2のリング
ギヤr2が、ロークラッチL/Cにより遊星歯車組G1
のキャリアc1に結合可能に構成され、更に、ロー&リ
バースブレーキL&R/Bにより遊星歯車組G1のキャ
リアc1を固定できるようになっている。
【0023】そして、出力軸OUTには、前記遊星歯車
組G1のリングギヤr1と、前記遊星歯車組G2のキャ
リアc2とが一体的に直結されている。上記構成の変速
機構2において、1速〜4速及び後退は、図2に示すよ
うに、各クラッチ・ブレーキの締結状態の組み合わせに
よって実現される。尚、図2において、丸印が締結状態
を示し、記号が付されていない部分は開放状態とするこ
とを示すが、特に、1速におけるロー&リバースブレー
キL&R/Bの黒丸で示される締結状態は、1レンジで
のみの締結を示すものとする。
【0024】前記図2に示す各クラッチ・ブレーキの締
結状態の組み合わせによると、例えば、4速から3速へ
のダウンシフト時には、ブレーキバンド2&4/Bの解
放を行う共にロークラッチL/Cの締結を行い、3速か
ら2速へのダウンシフト時には、ハイクラッチH/Cの
解放を行うと共にブレーキバンド2&4/Bの締結を行
うことになり、2速から3速へのアップシフト時には、
ブレーキバンド2&4/Bの解放を行うと共にハイクラ
ッチH/Cの締結を行い、3速から4速へのアップシフ
ト時には、ロークラッチL/Cの解放を行うと共にブレ
ーキバンド2&4/Bの締結を行うことになる。
【0025】上記のように、クラッチ・ブレーキ(摩擦
係合要素)の締結と解放とを同時に制御して摩擦係合要
素の掛け替えを行う変速を掛け替え変速と称するものと
する。前記各クラッチ・ブレーキ(摩擦係合要素)は、
供給油圧によって動作するようになっており、各クラッ
チ・ブレーキに対する供給油圧は、図3に示すソレノイ
ドバルブユニット11に含まれる各種ソレノイドバルブ
によって調整される。
【0026】前記ソレノイドバルブユニット11の各種
ソレノイドバルブを制御するA/Tコントローラ12に
は、A/T油温センサ13,アクセル開度センサ14,
車速センサ15,タービン回転センサ16,エンジン回
転センサ17,エアフローメータ18等からの検出信号
が入力され、これらの検出結果に基づいて、各摩擦係合
要素における係合油圧を制御する。
【0027】尚、図3において、符号20は、前記自動
変速機と組み合わされるエンジンを示す。ここで、アク
セルの踏み込みに伴うダウンシフト(以下、パワーオン
ダウンという)時における掛け替え変速制御の様子を、
図4のタイムチャートを参照しつつ、図5〜図9のフロ
ーチャートに従って説明する。
【0028】図5のフローチャートは、解放側摩擦係合
要素の制御を示すものであり、ステップS1では、ダウ
ンシフト要求が発生したか否かを判別する。ダウンシフ
ト要求が発生すると、ステップS2へ進み、解放側の指
示油圧(解放側の締結圧の指示値)を、所定時間t1で
締結時の油圧から解放初期圧Po1にまで低下させる。
【0029】上記解放初期圧Po1は、下式により演算
される。 Po1=K1×(Tt×Tr-o×余裕代(1))+Prtn-o ここで、K1は、解放側の摩擦係合要素の伝達トルク容
量を油圧に変換するための係数である。また、Ttは、
変速機構の入力軸トルクの推定値であり、例えば吸入空
気量・エンジン回転速度から推定されるエンジンの出力
トルクと、トルクコンバータのトルク比とから推定され
る。
【0030】Tr-oは、前記入力軸トルクTtに対し
て、摩擦係合要素が滑りを生じる臨界伝達トルク容量を
求めるための臨界トルク比である。Prtn-oは、解放側の
スタンバイ圧(解放側リターンスプリング圧)であり、
摩擦係合要素毎に予め記憶される。余裕代は、臨界伝達
トルク容量に対する余裕のトルク容量を設定するための
係数であって、余裕代が1.0よりも大きいときには、
解放側の伝達トルク容量が臨界伝達トルク容量よりも大
きく設定され、余裕代が1.0よりも小さいときには、
解放側の伝達トルク容量が臨界伝達トルク容量よりも小
さく設定されることになり、前記解放初期圧Po1を演
算するための余裕代(1)は、例えば1.2程度の値が
予め設定される。
【0031】前記ステップS2で、解放側の指示油圧を
所定時間t1で解放初期圧Po1にまで低下させると、
ステップS3へ進み、解放側の指示油圧Poの演算に用
いる余裕代を一定のランプで前記余裕代(1)から徐々
に減少させ、該漸減される余裕代を用いて解放側指示油
圧Poを、下式に従って演算する。 Po=K1×(Tt×Tr-o×余裕代)+Prtn-o ステップS4では、上記解放制御に伴ってイナーシャフ
ェーズに移行したか否かを判別する。
【0032】そして、イナーシャフェーズに移行する
と、ステップS5へ進み、余裕代を継続的に減少させつ
つ、回転の増大変化により発生するマイナスのイナーシ
ャトルクに応じた補正を施して解放側の指示油圧Poを
演算させる。 Po=K1×(Tt−Tinr×HOSEIvsp)×Tr-o×余裕
代+Prtn-o 上記Tinrは、ダウンシフトによる回転の増大変化に伴
うイナーシャトルクであり、予め目標変速時間に応じて
記憶されている。また、HOSEIvspは、車速に応じて予め
記憶されるイナーシャトルクの補正係数である。
【0033】前記ステップS4におけるイナーシャフェ
ーズの判断は、変速機構の入力軸回転速度(タービン回
転速度)と出力軸回転速度(車速)とに基づいてギヤ比
(=入力軸回転速度/出力軸回転速度)を演算し、該ギ
ヤ比が変速前のギヤ比よりも所定値以上に大きくなった
ときに、イナーシャフェーズに移行したと判断させる。
【0034】また、変速前のギヤ比と出力軸回転速度と
から変速前の基準タービン回転速度を設定し、実際のタ
ービン回転速度が前記基準タービン回転速度よりも所定
値以上に大きくなったときに、イナーシャフェーズに移
行したと判断させるようにしても良い。ステップS6で
は、後述するように、前記締結側の指示油圧Pcをスタ
ンバイ圧Prtn-cから立ち上げるタイミングである締結開
始タイミング(掛け替えタイミング)になったか否かを
判別する。
【0035】尚、前記締結開始タイミング(掛け替えタ
イミング)は、ギヤ比又はタービン回転速度(入力軸回
転速度)が閾値を横切ったか否かに基づいて判断される
が、詳細については後述する。ステップS6で締結開始
タイミングになったことが判別されると、ステップS7
へ進み、解放側の指示油圧Poを、イナーシャトルク相
当分だけステップ的に増大補正する。
【0036】具体的には、入力軸トルクTtをイナーシ
ャトルクTinrで補正して演算される解放側指示油圧P
oにイナーシャトルクTinr相当分の補正油圧を加算し
て、該加算補正後の油圧を最終的な指示値とするか、又
は、入力軸トルクTtのイナーシャトルクTinrによる
補正をキャンセルする。上記のように、ギヤ比又はター
ビン回転速度が閾値を横切った後のイナーシャフェーズ
後期において、解放側の指示油圧Poをステップ的に増
大補正して解放側摩擦係合要素の伝達トルク容量を増大
補正すれば、解放側の伝達トルク容量を単調減少させる
場合に比べて、イナーシャフェーズ後期における回転変
化が滑らかになり、以って、トルク変動の発生を抑制で
きる。
【0037】また、イナーシャフェーズ後期においての
み回転変化を鈍らすので、変速時間が間延びすることも
回避できる。更に、解放側の指示油圧Poの増大補正量
を、イナーシャトルク相当分とすることで、回転上昇を
鈍らすのに必要充分な補正がなされる。尚、上記では解
放側の指示油圧Poをステップ的に増大変化させるよう
にしたが、指示油圧Poの変化に対する実際の伝達トル
ク容量の応答が比較的速い場合には、指示油圧Poが所
定の時定数で徐々に増大変化するようにして、実際の伝
達トルク容量を徐々に増大変化させるようにしても良
い。
【0038】例えば、入力軸トルクTtをイナーシャト
ルクTinrで補正して演算される解放側指示油圧Poに
補正油圧を加算して、該加算補正後の油圧を最終的な指
示値とする構成の場合には、前記補正油圧が0から所定
の時定数でイナーシャトルクTinr相当分まで到達する
ようにすれば良い。また、前記指示油圧Poの増大変化
に対する伝達トルク容量の応答は、作動油を供給する油
圧ポンプの吐出量に応じて変化し、吐出量が少ないとき
ほど応答が遅くなるから、油圧ポンプの吐出量が少ない
ときほど前記時定数をより小さく変更する構成としても
良い。
【0039】前記油圧ポンプがエンジンで駆動される場
合には、エンジン回転速度が低いときほど油圧ポンプの
吐出量が少なくなるから、エンジン回転速度が低いとき
ほど時定数をより小さくすれば良い。ステップS8で
は、イナーシャフェーズからトルクフェーズに切り換わ
ったか否かを判別する。
【0040】前記ステップS8におけるトルクフェーズ
の判断は、変速機構のタービン回転速度と車速とに基づ
いて演算されるギヤ比が変速後のギヤ比付近にまで変化
したときに、トルクフェーズに移行したと判断させる。
トルクフェーズに切り換わると、ステップS9へ進み、
解放側の指示油圧Poを、トルクフェーズに移行したと
判断された時点の値から所定時間t2で0にまで低下さ
せる。
【0041】一方、締結側の油圧制御は、図6のフロー
チャートに従って行われる。ステップS11では、ダウ
ンシフト要求の発生を判別し、ダウンシフト要求が発生
すると、ステップS12へ進む。ステップS12では、
油温やエンジン回転速度に応じてプリチャージ圧を演算
し、該プリチャージ圧を締結側の指示油圧Pcとして、
所定時間t3出力する。
【0042】前記所定時間t3のプリチャージ圧の出力
が終了すると、ステップS13へ進み、予め摩擦係合要
素毎に記憶されているスタンバイ圧Prtn-cを締結側の指
示油圧Pcとして出力する。ステップS14では、前記
締結側の指示油圧Pcを前記スタンバイ圧Prtn-cから立
ち上げる締結開始タイミング(掛け替えタイミング)に
なったか否かを判別する。
【0043】尚、上記締結開始タイミングは、前述のよ
うに、解放側の指示油圧Poを増大変化させるタイミン
グでもある。ステップS14で締結開始タイミングにな
ったと判別されると、ステップS15へ進み、締結側の
指示油圧Pcを、前記スタンバイ圧Prtn-cから下式で演
算される締結初期値Pc1にまでステップ的に立ち上げ
る。
【0044】Pc1=K2×(Tt×Tr-c×余裕代
(1))+Prtn-c 上式において、K2は締結側の伝達トルク容量を油圧に
変換するための変換係数、Ttは推定入力軸トルク、T
r-cは締結側の摩擦係合要素毎に設定される臨界トルク
比であり、K2×Tt×Tr-cにより、そのときの入力
トルクを伝達できる締結側の最小油圧(臨界伝達トルク
容量)が求められる。
【0045】また、余裕代(1)としては0.8程度の
値を用いる。ステップS16では、締結開始タイミング
になった時点から所定時間t4だけ締結側指示油圧Pc
を前記初期値Pc1にクランプする。前記所定時間t4
が経過すると、ステップS17へ進み、前記締結側指示
油圧Pcの演算に用いる余裕代を、前記余裕代(1)か
ら一定のランプで増大させて締結側指示油圧Pcを演算
させ、余裕代の増大制御を開始してから所定時間t5経
過すると、締結側の指示油圧Pcを最大圧にまでステッ
プ変化させる。
【0046】ここで、前記ステップ6及びステップS1
4における締結開始タイミング(掛け替えタイミング)
の判別を、図7のフローチャートに従って詳細に説明す
る。図7のフローチャートにおいて、ステップS21で
は、イナーシャフェーズの開始をギヤ比又はタービン回
転速度から判別する。そして、イナーシャフェーズが開
始されると、ステップS22へ進み、イナーシャフェー
ズ開始からの経過時間を計測するタイマーをスタートさ
せる。
【0047】ステップS23では、前記解放制御に伴う
ギヤ比(タービン回転速度)の上昇によって、ギヤ比
(タービン回転速度)が、締結開始タイミングを最終決
定する期限である基準ギヤ比(基準タービン回転速度)
になったか否かを判別する。尚、前記基準ギヤ比は、予
め変速の種類毎に記憶されており、タービン回転速度を
判別させる場合には、前記基準ギヤ比に相当する基準タ
ービン回転速度を、そのときの車速に基づいて決定す
る。
【0048】ギヤ比(タービン回転速度)が基準ギヤ比
(基準タービン回転速度)に到達したことがステップS
23で判別されると、ステップS24へ進み、締結開始
タイミングを規定する締結開始ギヤ比(又は締結開始タ
ービン回転速度)を、前記タイマーで計測されるイナー
シャフェーズ開始から基準ギヤ比(基準タービン回転速
度)に到達するまでの時間に基づいて決定する。
【0049】前記締結開始ギヤ比(又は締結開始タービ
ン回転速度)は、前記タイマーによる計測時間が短いほ
どより低い値に設定されるようになっている。イナーシ
ャフェーズ開始から基準ギヤ比(基準タービン回転速
度)に到達するまでの時間が短い場合、即ち、イナーシ
ャフェーズ中のギヤ比(タービン回転速度)の変化速度
が速い場合には、短時間で変速後のギヤ比(タービン回
転速度)にまで到達することを示す一方、摩擦係合要素
の伝達トルク容量は、指示油圧の増大に対して遅れて変
化するから、ギヤ比を変速後の値に滑らかに収束させる
には、前記時間が短いときほど、即ち、ギヤ比(タービ
ン回転速度)の変化速度が速いほど早いタイミングで指
示油圧を立ち上げる必要がある。
【0050】そこで、イナーシャフェーズ開始から基準
ギヤ比(基準タービン回転速度)に到達するまでの時間
が短いほど、締結開始ギヤ比(又は締結開始タービン回
転速度)をより低い値に設定し、より早いタイミングで
指示油圧を立ち上げるようにする。尚、前記基準ギヤ比
(基準タービン回転速度)は、イナーシャフェーズ中の
ギヤ比(タービン回転速度)の変化速度が最も速い場合
に、締結開始ギヤ比(又は締結開始タービン回転速度)
とすべき値を設定してあり、ギヤ比(タービン回転速
度)の変化速度が最も速い場合には、前記基準ギヤ比
(基準タービン回転速度)に到達した時点を締結開始タ
イミングとして掛け替えが行われることになる。
【0051】これにより、締結開始ギヤ比(又は締結開
始タービン回転速度)の最終決定時期を最大限に先送り
して、より変速後のギヤ比に近づいてから締結開始タイ
ミングを決定させることができ、前記基準ギヤ比(基準
タービン回転速度)に到達した後の変化速度をより精度
良く推定できる。上記では、イナーシャフェーズ開始か
ら基準ギヤ比(基準タービン回転速度)に到達するまで
の時間を計測させることで、イナーシャフェーズ中のギ
ヤ比(タービン回転速度)の変化速度を判断したが、ギ
ヤ比又はタービン回転速度の微分値や、イナーシャフェ
ーズ開始からのギヤ比又はタービン回転速度の変化代の
積分値に基づいて、変化速度を判断させるようにしても
良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態における自動変速機の変速機構を示
す図。
【図2】前記変速機構における摩擦係合要素の締結状態
の組み合わせと変速段との相関を示す図。
【図3】前記自動変速機の制御系を示すシステム図。
【図4】実施の形態における摩擦係合要素の掛け替えに
よるダウンシフトの様子を示すタイムチャート。
【図5】実施の形態における摩擦係合要素の解放制御の
様子を示すフローチャート。
【図6】実施の形態における摩擦係合要素の締結制御の
様子を示すフローチャート。
【図7】実施の形態における掛け替えタイミングの判別
処理を示すフローチャート。
【符号の説明】
1…トルクコンバータ 2…変速機構 11…ソレノイドバルブユニット 12…A/Tコントローラ 13…A/T油温センサ 14…アクセル開度センサ 15…車速センサ 16…タービン回転センサ 17…エンジン回転センサ 18…エアフローメータ 20…エンジン G1,G2…遊星歯車 H/C…ハイクラッチ R/C…リバースクラッチ L/C…ロークラッチ 2&4/B…2速/4速バンドブレーキ L&R/B…ロー&リバースブレーキ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3J552 MA02 MA12 NA01 NB01 PA02 PA20 RA06 RA18 SA10 SA15 TB02 TB03 VA32W VA33W VA74W VC01W

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】異なる2つの摩擦係合要素の締結制御と解
    放制御とを同時に行う摩擦係合要素の掛け替えによって
    変速を行うよう構成された自動変速機の変速制御装置に
    おいて、 ダウンシフト時のイナーシャフェーズの後期において、
    解放側摩擦係合要素の伝達トルク容量を増大変化させる
    こと特徴とする自動変速機の変速制御装置。
  2. 【請求項2】イナーシャフェーズ中に変速機構のギヤ比
    又は入力軸回転速度が閾値になったときに、解放側摩擦
    係合要素の伝達トルク容量を増大変化させること特徴と
    する請求項1記載の自動変速機の変速制御装置。
  3. 【請求項3】前記イナーシャフェーズ中に変速機構のギ
    ヤ比又は入力軸回転速度が閾値になったときに、締結側
    摩擦係合要素の伝達トルク容量を立ち上げると共に、解
    放側摩擦係合要素の伝達トルク容量を増大変化させるこ
    と特徴とする請求項1記載の自動変速機の変速制御装
    置。
  4. 【請求項4】前記閾値を、イナーシャフェーズ中のギヤ
    比又は入力軸回転速度の変化速度に応じて変更すること
    を特徴とする請求項2又は3記載の自動変速機の変速制
    御装置。
  5. 【請求項5】前記解放側摩擦係合要素の伝達トルク容量
    の指示値を、ステップ的に増大変化させることを特徴と
    する請求項1〜4のいずれか1つに記載の自動変速機の
    変速制御装置。
  6. 【請求項6】前記解放側摩擦係合要素の伝達トルク容量
    の指示値を、所定の時定数で増大変化させることを特徴
    とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の自動変速機
    の変速制御装置。
  7. 【請求項7】前記時定数を、エンジン回転速度に応じて
    変更することを特徴とする請求項6記載の自動変速機の
    変速制御装置。
  8. 【請求項8】前記解放側摩擦係合要素の伝達トルク容量
    を、イナーシャトルク相当分だけ増大変化させることを
    特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の自動変
    速機の変速制御装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2012111262A (ja) * 2010-11-19 2012-06-14 Honda Motor Co Ltd 車両の駆動力制御装置

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