JP2003010971A - 溶接電源装置の出力電圧制御方法 - Google Patents

溶接電源装置の出力電圧制御方法

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JP2003010971A JP2001195658A JP2001195658A JP2003010971A JP 2003010971 A JP2003010971 A JP 2003010971A JP 2001195658 A JP2001195658 A JP 2001195658A JP 2001195658 A JP2001195658 A JP 2001195658A JP 2003010971 A JP2003010971 A JP 2003010971A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 溶接ロボットを使用したアルミニウム又はそ
の合金の交流パルスアーク溶接にあって、溶接中の溶接
ワイヤと被溶接物との短絡回数の検出値Ndと予め定め
た短絡回数設定値Nsとが略等しくなるように制御周期
Tc毎に溶接電源装置の出力電圧を制御する出力電圧制
御方法において、被溶接物の材質、溶接速度、溶接姿
勢、溶接継手形状又は溶接個所の変化によって見かけの
アーク長が変動して溶接品質が悪くなる。 【解決手段】 本発明は、被溶接物の材質、溶接速度、
溶接姿勢、溶接継手形状又は溶接個所の少なくとも一つ
以上に対応して、上記制御周期Tcの時間長さをティー
チペンダントによって適正値に設定する溶接電源装置の
出力電圧制御方法である。

Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、溶接ロボットを使
用するアルミニウム又はその合金のパルスアーク溶接に
おいて、溶接中の溶接ワイヤと被溶接物との短絡回数の
検出値と予め定めた短絡回数設定値とが略等しくなるよ
うに制御周期毎に溶接電源装置の出力電圧を制御する出
力電圧制御方法に関する。 【0002】 【従来の技術】消耗電極ガスシールドアーク溶接では、
溶接電源装置の出力電圧を制御することによって、溶接
品質に重大な影響を及ぼすアーク長を適正値に維持す
る。出力電圧を制御する理由は、アーク長を直接検出す
ることは困難であるために、アーク長と略比例関係にあ
る出力電圧を制御することによって間接的にアーク長を
制御するためである。しかしながら、被溶接物がアルミ
ニウム又はその合金(以下、アルミニウム合金等とい
う)であるときは、後述するように、クリ−ニング作用
の影響によってアーク長と出力電圧とが比例関係にない
場合があるために、出力電圧の制御によってアーク長を
適正値に維持することができない場合がある。この問題
を解決するために、アルミニウム合金等の溶接において
アーク長と反比例の関係にある溶接ワイヤと被溶接物と
の短絡回数を利用して、短絡回数が目標値と等しくなる
ように出力電圧を制御することによってアーク長を適正
値に維持する出力電圧制御方法が提案されている。以
下、まず従来技術1として、上述した通常の出力電圧制
御方法について説明した後に、従来技術2として、上述
した短絡回数による出力電圧制御方法について説明す
る。 【0003】[従来技術1]図1は、溶接ロボットを使
用して消耗電極ガスシールドアーク溶接を行うための溶
接装置の構成図である。以下、同図を参照して説明す
る。溶接作業者は、ティーチペンダント9を使用して、
後述するロボット制御装置8に対してワイヤ送給速度、
出力電圧、溶接速度等の溶接条件Wsを設定する。ロボ
ット制御装置8は、後述するマニュピュレータ7の動作
制御を行う動作制御信号Msを出力すると共に、上記の
ティーチペンダント9によって設定されたワイヤ送給速
度設定信号、電圧設定信号及び出力開始信号等から形成
されるインターフェース信号Ifを後述する溶接電源装
置6へと送信する。マニュピュレータ7は、ワイヤ送給
モータWM及び溶接トーチ4を搭載して、上記の動作制
御信号Msに従って溶接トーチ4の先端位置(TCP)
を予め教示された動作軌跡に沿って移動させる。溶接ワ
イヤ1は、上記のワイヤ送給モータWMによって上記の
溶接トーチ4を通って送給される。 【0004】溶接電源装置6は、上記のインターフェー
ス信号Ifを受信して、それに含まれる電圧設定信号に
相当する出力電圧Voを出力する。その結果、溶接ワイ
ヤ1と被溶接物2との間にアーク3が発生して出力電流
Ioが通電する。また、溶接電源装置6は、送給制御信
号Fcを出力して、上記のワイヤ送給モータWMを制御
する。 【0005】以下の説明においては、消耗電極ガスシー
ルドアーク溶接法の一例として、アルミニウム合金等の
溶接に多く使用される交流パルスアーク溶接法について
説明する。図2は、交流パルスアーク溶接の電流・電圧
波形図である。同図(A)は出力電流Ioの時間変化を
示し、同図(B)は出力電圧Voの時間変化を示し、同
図(C1)〜(C4)は各時刻におけるアーク発生状態
を示す。同図において、ENとは電極マイナス極性を示
し、EPとは電極プラス極性を示す。以下、同図を参照
して説明する。 【0006】 時刻t1〜t2の期間(ピーク期間T
p) 同図(A)に示すように、電極プラス極性EPで、予め
定めたピーク期間Tpの間は予め定めたピーク電流Ip
が通電する。通常、このピーク期間Tp及びピーク電流
Ipの値は、溶接ワイヤをアーク熱によって1パルス1
溶滴移行させるように設定される。その値は、ピーク期
間Tpでは1〜3[ms]程度であり、ピーク電流Ipで
は300〜550[A]程度である。また、同図(B)
に示すように、上記のピーク電流Ipの通電に対応した
ピーク電圧Vpが、溶接ワイヤ(+)と被溶接物(−)
との間に印加する。 【0007】 時刻t2〜t3の期間(電極マイナス
期間Ten) 時刻t2において、電極プラス極性EPから電極マイナ
ス極性ENへと切り換わると、同図(A)に示すよう
に、予め定めた電極マイナス期間Tenの間は予め定めた
電極マイナス電流Ienが通電する。通常、この電極マイ
ナス期間Ten及び電極マイナス電流Ienの値は、被溶接
物の材質、板厚、形状等に応じて溶滴移行をさせない範
囲内で適正値に設定される。その値は、電極マイナス期
間Tenでは1〜10[ms]程度であり、電極マイナス電
流Ienでは30〜120[A]程度である。また、同図
(B)に示すように、上記の電極マイナス電流Ienの通
電に対応した電極マイナス電圧Venが、溶接ワイヤ
(−)と被溶接物(+)との間に印加する。 【0008】 時刻t3〜t4の期間(ベース期間T
b) 時刻t3において、再び電極マイナス極性ENから電極
プラス極性EPへと切り換わると、同図(A)に示すよ
うに、ベース期間Tbの間は溶滴移行をさせない範囲内
(20〜70[A]程度)で予め定めたベース電流Ib
が通電する。また、同図(B)に示すように、上記のベ
ース電流Ibの通電に対応したベース電圧Vbが、溶接
ワイヤ(+)と被溶接物(−)との間に印加する。上記
のベース期間Tbは、以下に示す変調制御によって自動
的に定まる。すなわち、同図(B)に示すように、ベー
ス期間Tbの終了時点(時刻t4)は、電極プラス極性
EP期間中の出力電圧Voと予め定めた電圧設定値Vs
との誤差の積分値Ivが0[V]になった時点となる。
同図の場合、電極プラス極性EP期間の出力電圧Voに
は、前述したピーク期間Tp中のピーク電圧Vpとベー
ス期間Tb中のベース電圧Vbとを含んでいる。したが
って、ピーク期間Tp中のピーク電圧値Vpと上記の電
圧設定値Vsとの誤差の積分値Iv1=∫(Vp−Vs)
dtと、ベース期間Tb中のベース電圧値Vbと上記の
電圧設定値Vsとの誤差の積分値Iv2=∫(Vb−V
s)dtとの加算値が0[V]となるように、次式によ
ってベース期間Tbの終了時点(時刻t4)が決まる。 Iv=∫(Vp−Vs)dt+∫(Vb−Vs)dt=0 (1)式 時刻t4以降は、上記の〜項の動作を1周期として
繰り返して溶接が行われる。 【0009】 上述した各期間におけるアーク発生状
態 同図(C1)に示すように、上記項のピーク期間Tp
中は、大電流値のピーク電流Ipの通電によって、溶接
ワイヤ1の先端部の溶融が促進して溶滴1aが大きく成
長する。このときのアーク3の陰極点は、クリーニング
作用によって酸化皮膜が除去されていない被溶接物2の
表面上に形成される。次に、同図(C2)に示すよう
に、上記項のピーク期間Tpの後半になると、ピーク
電流Ipの通電によるピンチ力によって溶滴1aの上部
にくびれが生じる。 【0010】さらに、同図(C3)に示すように、上記
項のピーク期間Tpが終了して電極プラス極性EPか
ら電極マイナス極性ENへと切り換わる時刻t2直後に
おいて、溶滴1aが溶接ワイヤ1から離脱して被溶接物
2へと移行する。この溶滴移行の直前に、溶滴1aと被
溶接物2とが接触して溶接ワイヤ1と被溶接物2との短
絡が発生することがある。この短絡が発生する頻度(単
位時間当たりの短絡回数)は、溶接ワイヤ1の先端と被
溶接物2との最短距離(アーク長)が短い程多くなり、
長い程少なくなり、両者は反比例の関係にある。さら
に、同図(C4)に示すように、上記項の電極マイナ
ス期間Ten中は、電極マイナス電流Ienの通電によって
溶滴が徐々に成長する。このときのアーク3の陰極点
は、溶滴全体及び溶接ワイヤ1の下部の非溶融部を高速
に移動しながら形成するために、アーク3は溶滴及び溶
接ワイヤ1の下部の全体から発生する。上述した同図
(C1)〜(C4)に示すように、溶滴の形成、成長及
び移行の各プロセスを繰り返して溶接が行われる。 【0011】図3は、上述した交流パルスアーク溶接を
実施するための溶接電源装置6のブロック図である。以
下、同図を参照して各回路ブロックについて説明する。
商用電源ACは、溶接電源装置の入力電源であり、通常
は3相200/220[V]が使用される。出力制御回
路INVは、内部回路の図示を省略しているが、上記の
商用電源ACを整流する1次側整流回路と、整流された
リップルのある電圧を平滑する平滑回路と、平滑された
直流電圧を高周波交流に変換するインバータ回路と、こ
のインバータ回路を形成する複数組のパワートランジス
タのドライブ回路と、後述する電流誤差増幅信号Eiに
従って上記のインバータ回路のPWM制御を行うPWM
制御回路とから形成される。 【0012】高周波変圧器INTは、上記の高周波交流
をアーク負荷に適した電圧値に降圧する。2次側整流器
D2a〜D2dは、降圧された高周波交流を直流に整流す
る。極性切換ドライブ回路DRは、後述する電極マイナ
ス期間信号Tenが入力されている(Highレベル)と
きは電極マイナス極性ドライブ信号Ndrを出力(Hig
hレベル)し、入力されていない(Lowレベル)とき
は電極プラス極性ドライブ信号Pdrを出力(Highレ
ベル)する。したがって、電極マイナス極性ドライブ信
号Ndrが出力されているときは電極プラス極性ドライブ
信号Pdrは出力されず、反対に電極マイナス極性ドライ
ブ信号Ndrが出力されていないときは電極プラス極性ド
ライブ信号Pdrは出力されるという、互いに論理的に反
転した関係にある。電極プラス極性トランジスタPTR
は、上記の電極プラス極性ドライブ信号Pdが出力され
ているときに導通状態になり、電極プラス極性期間とな
る。他方、電極マイナス極性トランジスタNTRは、上
記の電極マイナス極性ドライブ信号Ndrが出力されてい
るときに導通状態になり、電極マイナス極性期間とな
る。 【0013】上記の極性切換ドライブ回路DR、電極プ
ラス極性トランジスタPTR及び電極マイナス極性トラ
ンジスタNTRによって極性切換回路SWPが形成され
る。この極性切換回路SWPは、電極マイナス期間信号
Tenが入力されている(Highレベル)ときは電源装
置の直流出力(2次側整流器D2a〜D2dの出力)を電極
マイナス極性に切り換え、入力されていない(Lowレ
ベル)ときは電源装置の直流出力を電極プラス極性に切
り換える。 【0014】リアクトルWLは、上記の電極プラス極性
トランジスタPTR又は電極マイナス極性トランジスタ
NTRを通電するリップルのある出力を平滑してアーク
3に供給する。図2で前述した電極プラス極性期間中の
ピーク電流Ip及びベース電流Ibは、D2a又はD2b→
PTR→WL→溶接ワイヤ1→被溶接物2の経路で通電
する。他方、電極マイナス極性期間中の電極マイナス電
流Ienは、被溶接物2→溶接ワイヤ1→NTR→WL→
D2c又はD2dの経路で通電する。 【0015】溶接ワイヤ1は、ワイヤ送給装置の送給ロ
ール5aによって溶接トーチ4を通って送給されると共
に、溶接トーチ4の先端部のコンタクトチップから給電
されて、被溶接物2との間にアーク3が発生する。 【0016】ピーク期間タイマ回路TPは、後述するリ
セット信号Cpが入力(Highレベル)されると、予
め定めた一定期間Highレベルとなるピーク期間信号
Tpを出力する。電極マイナス期間タイマ回路TEN
は、上記のピーク期間信号TpがHighレベルからL
owレベルへと変化すると、予め定めた一定期間Hig
hレベルとなる電極マイナス期間信号Tenを出力する。 【0017】電圧検出回路VDは、出力電圧Voを検出
して、電圧検出信号Vdを出力する。図1の説明の項で
前述したように、ティーチペンダント9によって設定さ
れた後にロボット制御装置7からインターフェース信号
Ifの一部として送信された電圧設定信号Vsは、電極
プラス極性期間中の電圧(図2で前述したピーク電圧V
p及びベース電圧Vb)の平均値の目標値となる。電圧
誤差回路EVは、上記のVd−Vsの誤差演算を行い、
電圧誤差信号Evを出力する。積分回路IVは、前述し
た電極マイナス期間信号Tenが入力されていない(Lo
wレベル)ときには、上記の電圧誤差信号Evを積分し
て、積分値信号Ivを出力する。上記において、電極マ
イナス期間信号Tenが入力されていないときとは、電極
プラス極性期間のときである。したがって、上記の積分
回路IVは、前述した(1)式で示すIv=∫(Vd−
Vs)dt=∫(Vp−Vs)dt+∫(Vb−Vs)
dtの積分を行っている。比較回路CPは、上記の積分
値信号Ivが0[V]になったときに短時間Highレ
ベルとなるリセット信号Cpを出力する。このリセット
信号Cpは、前述したピーク期間タイマ回路TPに入力
されて、ピーク期間信号Tpの出力開始のトリガ信号と
なる。 【0018】上述した電圧誤差回路EV、積分回路IV
及び比較回路CPによって変調回路MCが形成され、前
述した(1)式に相当する以下の処理を行う。すなわ
ち、変調回路MCは、ピーク期間信号Tpの出力開始時
点からの電極プラス極性期間の電圧検出信号Vdと電圧
設定信号Vsとの誤差の積分値Ivが0[V]になった
ときに、ピーク期間タイマ回路TPが再び出力を開始す
るトリガ信号となるリセット信号Cpを出力する。 【0019】ピーク電流設定回路IPは、溶滴移行をさ
せる値に予め定めたピーク電流設定信号Ipを出力す
る。電極マイナス電流設定回路IENは、溶滴移行をさ
せない値に予め定めた電極マイナス電流設定信号Ienを
出力する。ベース電流設定回路IBは、溶滴移行をさせ
ない値に予め定めたベース電流設定信号Ibを出力す
る。ピーク期間切換回路SPは、前述したピーク期間信
号Tpが入力されている(Highレベル)ときはa側
に切り換って上記のピーク電流設定信号Ipを電流制御
設定信号Iscとして出力し、入力されていない(Low
レベル)ときはb側に切り換って後述する切換設定信号
Seを電流制御設定信号Iscとして出力する。電極マイ
ナス期間切換回路SEは、前述した電極マイナス期間信
号Tenが入力されている(Highレベル)ときはa側
に切り換って上記の電極マイナス電流設定信号Ienを切
換設定信号Seとして出力し、入力されていない(Lo
wレベル)ときはb側に切り換って上記のベース電流設
定信号Ibを切換設定信号Seとして出力する。上記の
ピーク期間切換回路SP及び電極マイナス期間切換回路
SEによって電流制御設定回路ISCが形成されて、そ
の処理は以下のとおりである。すなわち、電流制御設定
回路ISCは、ピーク期間信号Tpが入力されるとピー
ク電流設定信号Ipを、電極マイナス期間信号Tenが入
力されると電極マイナス電流設定信号Ienを、上記両期
間信号Tp及びTenがいずれも入力されていないときは
ベース電流設定信号Ibを、電流制御設定信号Iscとし
て出力する。 【0020】電流検出回路IDは、交流である出力電流
Ioを検出してその値を絶対値に変換して電流検出信号
Idを出力する。電流誤差増幅回路EIは、上記の電流
検出信号Idと電流制御設定信号Iscとの誤差を増幅し
て、電流誤差増幅信号Eiを出力する。この電流誤差増
幅信号Eiに従って、前述した出力制御回路INVは出
力電流Ioの通電値を制御する。したがって、Isc=I
pのときはピーク電流Ipが通電し、Isc=Ienのとき
は電極マイナス電流Ienが通電し、Isc=Ibのときは
ベース電流Ibが通電する。 【0021】図4は、上述した従来技術1の溶接電源装
置6における各信号のタイミングチャートである。同図
(A)は出力電流Ioの時間変化を示し、同図(B)は
出力電圧Voの時間変化を示し、同図(C)はピーク期
間信号Tpの時間変化を示し、同図(D)は電極マイナ
ス期間信号Tenの時間変化を示し、同図(E)は積分値
信号Ivの時間変化を示し、同図(F)はリセット信号
Cpの時間変化を示す。同図(A)及び(B)は前述し
た図2と同一である。以下、同図を参照して説明する。 【0022】 時刻t1〜t2の期間(ピーク期間T
p) 同図(D)に示すように、この期間中は電極マイナス期
間信号Tenが出力されていない(Lowレベル)ため
に、電極プラス極性EPとなる。また、同図(C)に示
すように、ピーク期間信号Tpが出力(Highレベ
ル)されているので、同図(A)に示すように、ピーク
電流Ipが通電する。さらに、同図(E)に示すよう
に、積分値信号Ivは、同図(B)に示すピーク電圧V
p及び電圧設定信号VsによってIv=∫(Vp−V
s)dtの積分値となる。このとき、Vp>Vsである
ので、その積分値は時間の経過と共に大きくなる。 【0023】 時刻t2〜t3の期間(電極マイナス
期間Ten) 同図(D)に示すように、この期間中は電極マイナス期
間信号Tenが出力されている(Highレベル)ため
に、電極マイナス極性ENとなり、同図(A)に示すよ
うに、電極マイナス電流Ienが通電する。また、同図
(E)に示すように、上記の電極マイナス期間信号Ten
が出力されているために積分処理は停止し、積分値信号
Ivはこの期間中は変化しない。 【0024】 時刻t3〜t4の期間(ベース期間T
b) 同図(D)に示すように、この期間中は電極マイナス期
間信号Tenが出力されていない(Lowレベル)ため
に、再び電極プラス極性EPとなる。また、同図(C)
に示すピーク期間信号Tp及び同図(D)に示す電極マ
イナス期間信号Tenが共に出力されていない(Lowレ
ベル)ために、同図(A)に示すように、ベース電流I
bが通電する。さらに、同図(E)に示すように、積分
値信号Ivは、同図(B)に示すベース電圧Vb及び電
圧設定信号VsによってIv=∫(Vb−Vs)dtの
積分値となる。このとき、Vb<Vsであるので、その
積分値は時間の経過と共に小さくなり、時刻t4におい
て0[V]になる。積分値信号Ivが0[V]になる
と、同図(F)に示すように、リセット信号Cpが短時
間Highレベルとなり、その結果、再び上記項に示
すピーク期間信号Tpの出力が開始する。 【0025】上述したように、従来秘術1では、電極プ
ラス極性期間のピーク電圧Vp及びベース電圧Vbの平
均値が電圧設定値Vsと等しくなるように出力電圧を制
御することによって、アーク長を適正値に維持すること
ができる。 【0026】[従来技術2]前述したように、出力電圧
とアーク長とが比例関係にある場合には、上述した従来
技術1の出力電圧制御方法によってアーク長を適正値に
維持することができる。しかし、アルミニウム合金等の
アーク溶接においては、以下の理由によって出力電圧と
アーク長とは比例関係にないために、従来技術1の出力
電圧制御方法ではアーク長を適正値に維持することがで
きない。以下、この理由について図5を参照して説明す
る。 【0027】図5は、アルミニウム合金等のアーク溶接
におけるアーク発生状態図である。同図(A)は、アー
クによる被溶接物表面の酸化皮膜の除去範囲を示すクリ
ーニング幅Wc1[mm]が狭い場合であり、同図(B)は
クリーニング幅Wc2[mm]が広い場合である。また、同
図は、溶接ワイヤ1が陽極となり、被溶接物2が陰極と
なる電極マイナス極性のときである。以下、同図を参照
して説明する。 【0028】通常、アーク3の陰極点は、電子の放出が
容易であるクリーニングされていない酸化皮膜の存在す
る領域に形成する。したがって、同図(A)に示すよう
に、溶接ワイヤ1の先端部A点に陽極が形成し、クリー
ニング領域の外周部B点周辺に陰極点が形成する。この
ために、A点とB点との距離Lt1[mm]が真のアーク長
となる。他方、溶接ワイヤの先端部A点と溶接ワイヤ直
下の被溶接物上のC点との距離La1[mm]が見かけのア
ーク長となる。これまでの説明におけるアーク長とは見
かけのアーク長のことである。この真のアーク長Lt1と
出力電圧とは比例関係にあり、見かけのアーク長La1と
出力電圧とは比例関係にはない。したがって、上述した
従来技術1の出力電圧制御方法では、真のアーク長を一
定値に維持していることになる。しかしながら、溶込み
深さ、ビード外観等の溶接品質は、見かけのアーク長L
a1によって大きく影響され、真のアーク長による影響は
小さい。すなわち、良好な溶接品質を得るためには、見
かけのアーク長を適正値に維持する必要がある。ところ
で、鉄鋼のアーク溶接では、その表面に酸化皮膜がない
ために、陰極点はアークの経路が最短となるC点周辺に
形成する。したがって、真のアーク長Lt1と見かけのア
ーク長La1とは略等しくなる。このため、従来技術1の
出力電圧制御方法によって真のアーク長を制御すること
は、同時に見かけのアーク長を制御することになる。 【0029】溶接中の被溶接物の表面状態(汚れ等)、
シールドガスの遮蔽状態、溶接進行に伴う被溶接物の温
度等の変動によって、被溶接物のクリーニング幅Wcは
大きく変化する。溶接中にクリーニング幅が、同図
(A)に示すクリーニング幅Wc1[mm]から同図(B)
に示すクリーニング幅Wc2[mm]へと広くなると、以下
のようにアーク発生状態が変化する。すなわち、同図
(B)に示すように、陰極点はクリーニング領域の外周
部E点周辺に形成する。このとき、上述したように、従
来技術1の出力電圧制御によって真のアーク長(D点−
E点)は、同図(A)と同一値のLt1[mm]となる。こ
の結果、幾何学的な位置関係から明らかように、見かけ
のアーク長はLa2[mm]へと短くなる。上記とは逆に、
溶接中にクリーニング幅が狭くなると、見かけのアーク
長は長くなる。 【0030】上述したように、アルミニウム合金等のア
ーク溶接において、従来技術1の出力電圧制御方法で
は、溶接中のクリーニング幅の変動に伴って見かけのア
ーク長が変化して、溶接品質が悪くなるという問題があ
った。こn問題を解決するために、以下に説明する従来
技術2の短絡回数による出力電圧制御方法が提案されて
いる。すなわち、従来技術2の出力電圧制御方法では、
図2の説明の項で前述したように、溶滴移行の直前に発
生する短絡の頻度(単位時間当たりの短絡回数)と見か
けのアーク長とが反比例の関係にあることを利用して、
短絡回数が目標値と等しくなるように出力電圧を制御す
ることによって、見かけのアーク長を適正値に維持する
方法である。以下、図面を参照して従来技術2について
説明する。 【0031】図6は、従来技術2の出力電圧制御方法を
実施するための短絡回数制御溶接電源装置61のブロッ
ク図である。同図において、前述した図3と同一の回路
ブロックには同一符号を付し、それらの説明は省略す
る。以下、図3とは異なる回路ブロックである点線で示
す短絡回数検出回路ND、短絡回数設定回路NS及び短
絡回数誤差積分回路ENIについて説明する。 【0032】短絡回数検出回路NDは、電圧検出信号V
dの電圧値によって短絡を判別し、単位時間当たりの短
絡回数を計数して、短絡回数検出信号Ndを出力する。
単位時間としては1[s]が使用される。短絡回数設定
回路NSは、図1で前述したティーチペンダント9によ
って設定された短絡回数設定値を含むインターフェース
信号Ifを入力として、短絡回数設定信号Nsを出力す
る。したがって、この短絡回数設定信号Nsは、ティー
チペンダントによって設定する。短絡回数誤差積分回路
ENIは、上記の短絡回数検出信号Ndと短絡回数設定
信号Nsとを入力として、下式の演算を行い、電圧制御
設定信号Vsc(n)を出力する。 Vsc(n)=Vsc(n-1)+G×(Nd−Ns) (2)式 但し、Gは予め定めた増幅率である。上記(2)式の演
算では、予め定めた制御周期Tc[s]毎にG×(Nd
−Ns)を演算し、前回の電圧制御設定信号Vsc(n-1に
加算して今回の電圧制御設定信号Vsc(n)を演算する。
この制御周期Tcは、上述した単位時間に相当するの
で、定常状態では1[s]程度に設定される。ただし、
上記(2)式のNd−Nsの誤差が大きいときには、制
御系の過渡応答性を改善するために、制御周期Tcが上
記誤差に応じて過渡的に短くなるように変化する方法も
提案されている。これ以降の動作は、前述した図3のと
きと同様であるので、説明は省略する。上述したよう
に、従来技術2では、見かけのアーク長の適正値に対応
した短絡回数設定信号Nsを設定し、溶接中の短絡回数
検出信号Ndがこの短絡回数設定信号Nsと略等しくな
るように、溶接電源装置の出力電圧を制御する。 【0033】 【発明が解決しようとする課題】 被溶接物がアルミ
ニウム−マグネシウム(Al−Mg)合金であるときの
パルスアーク溶接では、被溶接物の表面性状が安定して
おりクリーニング幅に代表されるアークの形状が急変す
ることが少ないため、溶滴移行に伴う短絡回数のバラツ
キは小さく、前述した従来技術2の出力電圧制御方法に
よって見かけのアーク長を適正値に維持することができ
る。しかし、被溶接物が鋳物に代表されるアルミニウム
−シリコン(Al−Si)合金であるときのパルスアー
ク溶接では、被溶接物の表面性状のバラツキが比較的大
きく、クリーニング幅に代表されるアークの形状が急変
する場合があるため、溶滴移行がやや不安定となり、溶
滴移行に伴う短絡回数のバラツキが大きくなる。このた
めに、従来技術2の出力電圧制御方法では、溶接中の見
かけのアーク長の変動が大きくなり、溶込み深さ、ビー
ド外観等が変化して溶接品質が悪くなる。また、アルミ
ニウム合金等の交流パルスアーク溶接では、直流パルス
アーク溶接に比べて溶滴移行がやや不安定であるため
に、上記と同様の問題が生じる。 【0034】図7は、上述した問題の具体例を示す短絡
回数・見かけのアーク長変動図である。同図(A)は短
絡回数検出信号Ndの時間変化を示し、同図(B)は見
かけのアーク長Laの時間変化を示す。同図は、被溶接
物にアルミニウム−シリコン合金を使用した交流パルス
アーク溶接の場合である。以下、同図を参照して説明す
る。 【0035】前述したように、被溶接物がアルミニウム
−シリコン合金であり、かつ、溶接法が交流パルスアー
ク溶接法であるために、溶滴移行はやや不安定になる。
このために、同図(A)に示すように、溶滴移行に伴う
短絡回数の検出信号Ndは大きく変動する。この短絡回
数検出信号Ndをフィードバック信号として出力電圧制
御が行われるために、図示していない出力電圧が大きく
変動して、その結果、同図(B)に示すように、見かけ
のアーク長Laも大きく変動する。このために、溶込み
深さ、ビード外観等が変化して溶接品質は悪くなる。 【0036】 溶接速度、溶接姿勢、溶接継手形状、
溶接個所等が変化すると、見かけのアーク長が変化す
る。すなわち、溶接速度が遅いときには溶融池がワイヤ
直下にあるために、ワイヤ先端とワイヤ直下の溶融池と
の距離が見かけのアーク長となる。しかし、溶接速度が
速くなると溶融池がワイヤ直下よりも後方にあるため
に、ワイヤ先端と溶融池との距離(見かけのアーク長)
が長くなる。したがって、溶接中に溶接速度が速くなる
と、見かけのアーク長は長くなる。また、溶接姿勢につ
いては、溶接トーチの前進角によって、ワイヤ先端とワ
イヤ送給方向の溶融池との距離(見かけのアーク長)が
変化する。したがって、溶接中に溶接姿勢の前進角が変
化すると、見かけのアーク長が変化する。また、溶接継
手形状が例えば重ねすみ肉継手から突き合わせ継手へと
変化すると、クリーニング状態が変化するために見かけ
のアーク長が変化する。また、溶接個所の形状、板厚等
が変化すると、アーク熱による溶接部の温度が変化する
ためにクリーニング状態が変化して見かけのアーク長が
変化する。 【0037】上述したように、見かけのアーク長が変化
すると短絡回数が変化するので、従来技術2の出力電圧
制御方法によって見かけのアーク長は元の適正値に復帰
する。前述したように、出力電圧の制御周期Tcは定常
状態では1[s]と長いために一旦見かけのアーク長が
大きく変化して短絡回数が大きく変化した後に、検出値
と目標値との誤差が大きくなるために制御周期Tcが過
渡的に短くなり、見かけのアーク長は元の適正値に復帰
する。したがって、定常状態での長い制御周期Tcの間
は一旦見かけのアーク長が大きく変化するために、見か
けのアーク長が適正値に戻るまでの復帰時間Td1[s]
は長くなる。その結果、見かけのアーク長が長くなった
溶接個所の溶込み深さ、ビード外観が変化して溶接品質
が悪くなる。なお、定常状態の制御周期Tcが1[s]
に設定されているのは、種々の溶接条件の下でも定常状
態での制御安定性(見かけのアーク長の変動)を確保す
るためである。 【0038】図8は、上述した問題の具体例を示す短絡
回数・見かけのアーク長変動図である。同図(A)は短
絡回数検出信号Ndの時間変化を示し、同図(B)は見
かけのアーク長Laの時間変化を示す。同図は、溶接途
中の時刻t1において溶接速度を速くした場合である。 【0039】同図(A)に示すように、時刻t1におい
て溶接速度が速くなると、前述したように見かけのアー
ク長は長くなるために、短絡回数検出信号Ndは短絡回
数設定信号Nsよりも小さくなる。このために、前述し
た(2)式によって出力電圧(Vsc)は小さくなるよう
に制御される。その結果、見かけのアーク長は元の適正
値に復帰する。しかしながら、前述したように、定常状
態では(2)式の演算は制御周期Tc=1[s]毎に行
われるために、同図(B)に示すように、見かけのアー
ク長Laは時刻t1後に一旦大きく変化して時刻t2ま
での長い復帰時間Td1[s]経過後に適正値に戻る。こ
のために、時刻t1〜t2の期間中は見かけのアーク長
Laが適正値よりも長くなるために、溶込み深さ、ビー
ド外観等が変化して溶接品質は悪くなる。 【0040】項及び項で上述したように、アルミニ
ウム合金等の交流パルスアーク溶接における従来技術1
及び従来技術2では、被溶接物の材質、溶接速度、溶接
姿勢、溶接継手形状又は溶接個所の変化に起因して、見
かけのアーク長が変化するために、溶込み深さ、ビード
外観等が変化して溶接品質が悪化するという解決すべき
課題があった。そこで、本発明では、被溶接物の材質、
溶接速度、溶接姿勢、溶接継手形状又は溶接個所が変化
しても常に見かけのアーク長を適正値に維持することが
できる溶接電源装置の出力電圧制御方法を提供する。 【0041】 【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、図9
に示すように、ティーチペンダント9によって溶接条件
を設定し、溶接電源装置6及び溶接ロボット7を使用し
て行うアルミニウム又はその合金の交流パルスアーク溶
接にあって、溶接中の溶接ワイヤ1と被溶接物2との短
絡回数の検出値Ndと予め定めた短絡回数設定値Nsと
が略等しくなるように制御周期Tc毎に上記溶接電源装
置6の出力電圧Voを制御する出力電圧制御方法におい
て、被溶接物の材質、溶接速度、溶接姿勢、溶接継手形
状又は溶接個所の少なくとも一つ以上に対応して、上記
制御周期Tcの時間長さを上記ティーチペンダント9に
よって適正値に設定する溶接電源装置の出力電圧制御方
法である。 【0042】 【発明の実施の形態】以下に説明する実施の形態は、請
求項1の発明に対応する。本実施の形態は、溶接ロボッ
トを使用したアルミニウム合金等の交流パルスアーク溶
接において、被溶接物の材質、溶接速度、溶接姿勢、溶
接継手形状又は溶接個所の少なくとも一つ以上に対応し
て、ティーチペンダントによって制御周期Tcの時間長
さを適正値に設定し、溶接中の短絡回数検出値Ndと予
め定めた短絡回数設定値Nrとが略等しくなるように上
記の制御周期Tc毎に溶接電源装置の出力電圧を制御す
る出力電圧制御方法である。以下、図9を参照して説明
する。 【0043】図9は、本発明の出力電圧制御方法を実施
するための制御周期可変溶接電源装置62のブロック図
である。同図において、前述した図6と同一の回路ブロ
ックには同一符号を付し、それらの説明は省略する。以
下、図6とは異なる点線で示す制御周期可変短絡検出回
路CND、制御周期設定回路TC及び制御周期可変短絡
回数誤差積分回路CENについて説明する。 【0044】制御周期可変短絡回数検出回路CNDは、
電圧検出信号Vdの電圧値によって短絡を判別し、後述
する制御周期Tc毎の短絡回数を計数し、その計数値を
単位時間当たりの短絡回数に変換して、短絡回数検出信
号Ndを出力する。制御周期設定回路TCは、図1で前
述したティーチペンダント9によって設定された制御周
期Tcを含むインターフェース信号Ifを入力として、
制御周期設定信号Tcを出力する。この制御周期設定信
号Tcの値は、被溶接物の材質、溶接速度、溶接姿勢、
溶接継手形状又は溶接個所に対応して適正値にティーチ
ペンダントによって設定する。 【0045】制御周期可変短絡回数誤差積分回路CEN
は、上記の短絡回数検出信号Ndと短絡回数設定信号N
sとを入力として、上記の制御周期Tc毎に前述した
(2)式の演算を行い、電圧制御設定信号Vsc(n)を出
力する。上述したように、本実施の形態では、被溶接物
の材質、溶接速度、溶接姿勢、溶接継手形状又は溶接個
所の少なくとも一つ以上に対応して、上記の制御周期T
cの時間長さをティーチペンダントによって適正値に設
定するので、常に見かけのアーク長を適正値に維持する
ことができる。 【0046】[効果]図10は、本発明の効果を示すた
めの前述した図7に対応する短絡回数・見かけのアーク
長変動図である。同図(A)は短絡回数検出信号Ndの
時間変化を示し、同図(B)は見かけのアーク長Laの
時間変化を示す。同図は、前述した図7と同様に、被溶
接物にアルミニウム−シリコン合金を使用した交流パル
スアーク溶接の場合である。また、同図では、制御周期
Tcをティーチペンダントによって上記の溶接条件に最
適な2[s]に設定した場合である。以下、同図を参照
して説明する。 【0047】前述したように、被溶接物がアルミニウム
−シリコン合金であり、かつ、溶接法が交流パルスアー
ク溶接法であるために、溶滴移行はやや不安定になる。
このために、短い周期で検出した場合の短絡回数には大
きなバラツキが生じるが、制御周期Tcを2[s]に長
くして平均化を行っているので、同図(A)に示すよう
に、短絡回数検出信号Ndの変動幅は小さくなる。この
短絡回数検出信号Ndをフィードバック信号として出力
電圧制御が行われるので、図示していない出力電圧の変
動幅は小さくなる。その結果、同図(B)に示すよう
に、見かけのアーク長Laの変動幅は小さくなり、適正
値に安定して維持される。 【0048】図11は、本発明の上記とは別の効果を示
すための前述した図8に対応する短絡回数・見かけのア
ーク長変動図である。同図(A)は短絡回数検出信号N
dの時間変化を示し、同図(B)は見かけのアーク長L
aの時間変化を示す。同図は、前述した図8と同様に、
溶接途中の時刻t1において溶接速度を速くした場合で
ある。また、同図は、ティーチペンダントによって、時
刻t1直前以降又は時刻t1以降の制御周期Tcを時刻
t1以前よりも短くなるように予め設定した場合であ
る。 【0049】同図(A)に示すように、時刻t1におい
て、溶接速度が速くなると、見かけのアーク長は長くな
るために、短絡回数検出信号Ndは短絡回数設定信号N
sよりも小さくなる。このために、前述した(2)式に
よって出力電圧(Vsc)は小さくなるように制御され
る。その結果、見かけのアーク長は元の適正値に復帰す
る。この制御において、時刻t1直前又は時刻t1と同
時に制御周期Tcが、それ以前の定常状態での長い時間
長さから短い時間長さに変化するので、フィードバック
正誤系の過渡応答性が向上する。このために、同図
(A)に示すように、復帰時間は図8のときのTd1
[s]からTd2[s]へと大幅に短縮する。したがっ
て、同図(B)に示すように、見かけのアーク長Laは
短時間で適正値に戻る。 【0050】ところで、溶接作業者は、被溶接物の材
質、溶接速度、溶接姿勢、溶接継手形状、溶接個所の形
状等について溶接前に知っている。したがって、溶接作
業者は上記の溶接条件が変化する溶接個所に応じて、溶
接前にティーチペンダントによって制御周期Tcを適正
値に設定することができる。このために、本発明では、
被溶接物の材質、溶接速度、溶接姿勢、溶接継手形状又
は溶接個所の少なくとも一つ以上の変化に対応して、そ
の変化の直前又は変化と同時に制御周期Tcを適正値に
修正するので、常に見かけのアーク長を適正値に維持す
ることができる。 【0051】 【発明の効果】本発明では、アルミニウム合金等のパル
スアーク溶接において、被溶接物の材質、溶接速度、溶
接姿勢、溶接継手形状又は溶接個所の少なくとも一つ以
上に対応して、ティーチペンダントによって短絡回数に
よる出力電圧の制御周期Tcを適正値に設定するので、
常に見かけのアーク長を適正値に維持することができ、
良好な溶接品質を得ることができる。
【図面の簡単な説明】 【図1】溶接ロボットを使用した消耗電極ガスシールド
アーク溶接装置の構成図 【図2】交流パルスアーク溶接の電流・電圧波形図 【図3】従来技術1の交流パルスアーク溶接電源装置の
ブロック図 【図4】従来技術1の溶接電源装置のタイミングチャー
ト 【図5】アルミニウム合金等のアーク発生状態図 【図6】従来技術2の溶接電源装置のブロック図 【図7】解決課題を示す短絡回数・見かけのアーク長変
動図 【図8】別の解決課題を示す短絡回数・見かけのアーク
長変動図 【図9】本発明の溶接電源装置のタブロック図 【図10】本発明の効果を示す短絡回数・見かけのアー
ク長変動図 【図11】本発明の別の効果を示す短絡回数・見かけの
アーク長変動図 【符号の説明】 1 溶接ワイヤ 1a 溶滴 2 被溶接物 3 アーク 4 溶接トーチ 5a ワイヤ送給装置の送給ロール 6 溶接電源装置 61 短絡回数制御溶接電源装置 62 制御周期可変溶接電源装置 7 溶接ロボット(マニュピュレータ) 8 ロボット制御装置 9 ティーチペンダント AC 商用電源 CEN 制御周期可変短絡回数誤差積分回路 CND 制御周期可変短絡回数検出回路 CP 比較回路 Cp リセット信号 D2a〜D2d 2次側整流器 DR 極性切換ドライブ回路 EI 電流誤差増幅回路 Ei 電流誤差増幅信号 EN 電極マイナス極性 ENI 短絡回数誤差積分回路 EP 電極プラス極性 EV 電圧誤差回路 Ev 電圧誤差信号 Fc 送給制御信号 G 増幅率 IB ベース電流設定回路 Ib ベース電流(設定信号) ID 電流検出回路 Id 電流検出信号 IEN 電極マイナス電流設定回路 Ien 電極マイナス電流(設定信号) If インターフェース信号 INT 高周波変圧器 INV 出力制御回路 Io 出力電流 IP ピーク電流設定回路 Ip ピーク電流(設定信号) ISC 電流制御設定回路 Isc 電流制御設定信号 IV 積分回路 Iv 積分値(信号) La 見かけのアーク長 Lt 真のアーク長 MC 変調回路 Ms 動作制御信号 ND 短絡回数検出回路 Nd 短絡回数検出信号 Ndr 電極マイナス極性ドライブ信号 NS 短絡回数設定回路 Ns 短絡回数設定信号 NTR 電極マイナス極性トランジスタ Pdr 電極プラス極性ドライブ信号 PTR 電極プラス極性トランジスタ SE 電極マイナス期間切換回路 Se 切換設定信号 SP ピーク期間切換回路 SWP 極性切換回路 Tb ベース期間 TC 制御周期設定回路 Tc 制御周期(設定信号) Td 復帰時間 TEN 電極マイナス期間タイマ回路 Ten 電極マイナス期間(信号) TP ピーク期間タイマ回路 Tp ピーク期間(信号) Vb ベース電圧 VD 電圧検出回路 Vd 電圧検出信号 Ven 電極マイナス電圧 Vo 出力電圧 Vp ピーク電圧 VS 電圧設定回路 Vs 電圧設定(値/信号) Vsc 電圧制御設定信号 Wc クリーニング幅 WL リアクトル WM ワイヤ送給モータ
フロントページの続き (72)発明者 仝 紅軍 大阪府大阪市淀川区田川2丁目1番11号 株式会社ダイヘン内 Fターム(参考) 4E082 AA01 EC17 ED01 5H790 BA03 BB08 CC02 DD06 EA02 EA03 EA07 EA15 EB03 EB04

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 ティーチペンダントによって溶接条件を
    設定し、溶接電源装置及び溶接ロボットを使用して行う
    アルミニウム又はその合金のパルスアーク溶接にあっ
    て、溶接中の溶接ワイヤと被溶接物との短絡回数の検出
    値と予め定めた短絡回数設定値とが略等しくなるように
    制御周期毎に前記溶接電源装置の出力電圧を制御する出
    力電圧制御方法において、 被溶接物の材質、溶接速度、溶接姿勢、溶接継手形状又
    は溶接個所の少なくとも一つ以上に対応して、前記制御
    周期の時間長さを前記ティーチペンダントによって適正
    値に設定する溶接電源装置の出力電圧制御方法。
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