JP2003014002A - 温度感応型流体式ファン・カップリング装置 - Google Patents

温度感応型流体式ファン・カップリング装置

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 つれ回り性能を損なうことなく容易にリニア
特性を得ることができる温度感応型流体式ファン・カッ
プリング装置の提供。 【解決手段】 駆動ディスクを固着した回転軸体上に支
承された密封器匣の内部を、油の流出調整孔を有する仕
切板により油溜り室と前記駆動ディスクを内装するトル
ク伝達室とに区劃し、密封器匣側の内周壁面の一部に設
けたダムに連なるトルク伝達室側より油溜り室側に通ず
る循環路が形成され、外部周囲の温度が設定値を超える
と前記仕切板の流出調整孔を開放し、設定値以下では閉
鎖する弁部材を備え、駆動ディスクとトルク伝達間隙部
での油の有効接触面積を増減させて、回転軸体側から被
駆動側の密封器匣側への回転トルク伝達を制御するよう
にしてなるファン・カップリング装置において、前記駆
動ディスクの内部を中空となして設けたアイドル油溜り
室の側壁面に設けるトルク伝達間隙に通ずる流通孔をト
ルク伝達部の内径寄りの適正位置に配置することを特徴
とする。

Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、一般に自動車にお
ける機関冷却用のファン回転を制御して、絶えず走行状
態に応じた冷却送風量を機関に供給する温度感応型流体
式ファン・カップリング装置に関する。 【0002】 【従来の技術】従来のこの種ファン・カップリング装置
としては、トルク伝達室に供給された油によって駆動デ
ィスクの駆動トルクをケースに伝達する方式のものが一
般的であり、その構造は例えば、密封ケース内を仕切板
によってトルク伝達室と油溜り室とに区分し、トルク伝
達室内に駆動ディスクを駆動部の駆動によって回転自在
に設け、油溜り室の油を仕切板またはカバーに形成した
流出調整孔からトルク伝達室に供給し、トルク伝達室の
油を循環路により油溜り室に戻すようにした構造の温度
感応型流体式ファン・カップリング装置が知られている
(特公昭63−21048号公報等参照)。この種のフ
ァン・カップリング装置によると、油溜り室からトルク
伝達室に供給される油によって駆動ディスクの駆動トル
クがケースに伝達され、ケースに取付けられたファンが
回転し、例えば自動車用エンジンの冷却が行われる。ま
た、この種のファン・カップリング装置は、短冊タイプ
または渦巻タイプのバイメタルによって雰囲気温度を検
出し、この温度が上昇すると流出調整孔の開度を増加さ
せてトルク伝達室内の油量を増加させ、ケースの回転数
を上げ、ファンを高速度で回転し冷却効果を上げるよう
にしている。 【0003】しかしながら、この種のファン・カップリ
ング装置には以下に記載する問題点がある。すなわち、
トルク伝達室内に油が多量に存在している状態において
エンジン再始動をする時または走行中の急加速時に、駆
動側の駆動ディスクの加速に追随してトルク伝達室内に
多量に存在する油により被駆動側のケース(冷却ファ
ン)も短時間ではあるが回転の急上昇を引起こす。この
現象は一般には“つれ廻り”現象と言われ、ファン騒音
やそれに伴う不快感を生じ、かつエンジン出力を吸収
し、燃費も悪くなる。 【0004】このような“つれ廻り”現象を解決する手
段としては、例えば仕切板の供給孔から流出する油をい
ったん直径方向の反対側に導き、そこからトルク伝達室
内に供給するようにしたもの(特公昭63−21048
号公報参照)、駆動ディスクを中空構造にして副油溜り
室(アイドル油溜り室)を設けたもの、あるいは大風量
ファンを低速回転で運転する方式等が知られている。 【0005】しかしながら、従来の温度感応型流体式フ
ァン・カップリング装置には、以下に記載する欠点があ
った。図3は従来の一般的なファン・カップリング装置
を例示したもので、密封ケース111内を仕切板114
によってトルク伝達室112と油溜り室113とに区分
され、トルク伝達室112内には中実構造の駆動ディス
ク115が該トルク伝達室112の内周面との間にトル
ク伝達間隙部112−1が形成されるように、駆動部
(図面省略)の駆動によって回転する回転軸体116に
軸受117を介して回転自在に設けられ、外部周囲の温
度の変化に応じて作動する弁部材118により油溜り室
113内の油が仕切板114に設けられた流出調整孔1
14−1からトルク伝達室112に供給され、トルク伝
達室112内の油が循環路121により油溜り室113
に戻される構造となしたものである。119は回転時の
油の集溜する駆動ディスク115の外周壁部と対向する
密封ケース111側の内周壁面の一部に設けられたダ
ム、120は密封ケース111の外側に設けた感温体
(バイメタル)である。しかるに、かかる構造のファン
・カップリング装置の場合は、仕切板114の流出調整
孔114−1より出た油が、トルク伝達間隙部112−
1に入る手前の空間部112−2に溜まり、トルク伝達
間隙部112−1へ進入可能となる遠心力による圧力
(油の水頭圧)を得るのに十分な油量に達するまで、ま
たは油の温度が上昇して粘度低下するまで滞留(停滞)
する。そしてこの滞留した油が、加速時や起動時にダム
119によってトルク伝達間隙部112−1の外周側に
存在する油が油溜り室113側に排出されはじめてもト
ルク伝達間隙部112−1に流入し続け、トルクを伝達
してしまって前記“つれ廻り”現象や、作動遅れなどの
原因となっていた。また、この滞留油が存在することに
より全体の油量も多く必要であった。 【0006】また、図4、図5は駆動ディスクを中空構
造にして副油溜り室(アイドル油溜り室)を設けたファ
ン・カップリング装置を例示したもので、このうち図4
に示すファン・カップリング装置は、駆動ディスクを中
空とした以外は図3に示すものと同様、密封ケース11
1内を仕切板114によってトルク伝達室112と油溜
り室113とに区分され、トルク伝達室112内には、
内部を中空となしてアイドル油溜り室145−1とな
し、かつその側壁面に前記トルク伝達室112に通ずる
流通孔145−2と、該流通孔を開閉する遠心バルブ1
45−3を有する駆動ディスク145が該トルク伝達室
112の内周面との間にトルク伝達間隙部112−1が
形成されるように、駆動部(図面省略)の駆動によって
回転する回転軸体116に軸受117を介して回転自在
に設けられ、外部周囲の温度の変化に応じて作動する弁
部材118により油溜り室113内の油が仕切板114
に設けられた流出調整孔114−1からトルク伝達室1
12に供給され、トルク伝達室112内の油が循環路
(図面省略)により油溜り室113に戻される構造とな
し、かつ仕切板114に油溜り室113内の油を直接ア
イドル油溜り室145−1へ導入するためのガイド部1
14−2が設けられている(特公昭59−28778号
公報参照)。すなわち、このファン・カップリング装置
は、作動中、流出調整孔114−1を出た油をアイドル
油溜り室145−1に入れ、遠心バルブ145−3を介
して流通孔145−2よりトルク伝達間隙部112−1
へ油を供給する方式である。しかるに、この図4に示す
ファン・カップリング装置の場合は、遠心バルブ145
−3の効かない入力回転の低い時には、余剰の油がアイ
ドル油溜り室145−1内に溜まり、この状態で入力回
転が上昇して遠心バルブ145−3が開くと、この余剰
油がトルク伝達間隙部112−1に流入し続け、前記と
同様、“つれ廻り”現象や、作動遅れなどの原因となっ
ていた。また、この余剰油が存在することにより全体の
油量も多く必要であった。 【0007】また図5に示すファン・カップリング装置
は、図4に示すものと同様、密封ケース111内を仕切
板114によってトルク伝達室112と油溜り室113
とに区分され、トルク伝達室112内には、内部を中空
となしてアイドル油溜り室245−1となし、かつその
側壁面に前記トルク伝達室112に通ずる流通孔245
−2を有する駆動ディスク245が該トルク伝達室11
2の内周面との間にトルク伝達間隙部112−1が形成
されるように、駆動部(図面省略)の駆動によって回転
する回転軸体116に軸受117を介して回転自在に設
けられ、外部周囲の温度の変化に応じて作動する弁部材
118により油溜り室113内の油が仕切板114に設
けられた流出調整孔114−1からトルク伝達室112
に供給され、トルク伝達室112内の油が循環路(図面
省略)により油溜り室113に戻される構造となしたも
のである(特許第2775431号公報参照)。このフ
ァン・カップリング装置は、静止時に油をディスク内に
取込み、起動時に伝達面の残留油を最少にする機構を備
えたもので、起動つれ回りにのみ有効である。ところ
が、このファン・カップリング装置の場合は、仕切板1
14の流出調整孔114−1より出た油が、トルク伝達
間隙部112−1に入る手前の空間部112−3に溜ま
り、図3に示すファン・カップリング装置と同様、トル
ク伝達間隙部112−1へ進入可能となる遠心力による
圧力(油の水頭圧)を得るのに十分な油量に達するま
で、または油の温度が上昇して粘度低下するまで滞留
(停滞)する。そしてこの滞留した油が、加速時や起動
時にダム(図面省略)によってトルク伝達間隙部112
−1の外周側に存在する油が油溜り室113側に排出さ
れはじめてもトルク伝達間隙部112−1に流入し続
け、トルクを伝達してしまって前記“つれ廻り”現象
や、作動遅れなどの原因となっていた。また、この滞留
油が存在することにより全体の油量も多く必要であっ
た。 【0008】さらに、前記図5に示すファン・カップリ
ング装置と類似のもので、起動時と加速時にディスク内
に油を取込み、起動および加速つれ廻りを防止する機構
を備えたファン・カップリング装置が提案されている
(特開平6−17849号公報参照)。しかし、このフ
ァン・カップリング装置は、短い加速時に、完全にディ
スク内へ油を回収することが困難である。また、作動時
には、前記図5に示すファン・カップリング装置と同
様、油は仕切板の流出調整孔を出た後、トルク伝達間隙
部の手前で滞留するため、加速時のつれ廻り対策として
は十分とはいえず、作動遅れもあり、さらに余剰油が存
在するため全体の油量も多く必要であった。 【0009】前記したごとく、従来のファン・カップリ
ング装置では、仕切板の流出調整孔より出た油が、トル
ク伝達間隙部に入る手前の空間でトルク伝達間隙部への
遠心力による進入圧力を得るのに十分な油量、または粘
度低下するまで滞留(停滞)するため、この滞留(余
剰)油がトルク伝達間隙部手前の空間に十分にないとト
ルク伝達間隙部へ油が流入しないため必要なファン回転
制御特性が得られず、一方でこの滞留(余剰)油のため
につれ廻りや、作動遅れなどの原因となっていた。すな
わち、バイメタルなどの感温体の温度変形や外部からの
電磁制御により弁部材が作動しても、前記したごとくト
ルク伝達間隙部手前の空間に油が滞留するため、所定の
ファン回転が得られるまでに遅れが生じたり、自己発
熱、外部熱など、油粘度が変化することによってファン
挙動が不安定となる要因となっていた。 【0010】そこで、本発明者は、このような従来技術
の問題点を解決するために、トルク伝達間隙部手前の空
間での油の滞留を防止することによって起動時、加速時
のつれ廻り現象を防止でき、また油の滞留がなくても作
動遅れを防止でき、温度指示に対するファン回転の安定
制御(温度特性の安定化)が可能な温度感応型流体式フ
ァン・カップリング装置を先に提案した(特願2001
−42269号)。 【0011】この温度感応型流体式ファン・カップリン
グ装置は、先端部に駆動ディスクを固着した回転軸体上
に軸受を介して支承され、かつ外周部に冷却ファンを取
付けた密封器匣の内部を、油の流出調整孔を有する仕切
板により油溜り室と前記駆動ディスクを内装するトルク
伝達室とに区劃し、回転時の油の集溜する駆動ディスク
の外周壁部と対向する密封器匣側の内周壁面の一部にダ
ムと、該ダムに連なってトルク伝達室側より油溜り室側
に通ずる循環流通路を形成すると共に、外部周囲の温度
が設定値を超えると前記仕切板の流出調整孔を開放し、
設定値以下では閉鎖する弁部材を前記カバーの外側表面
に設けた感温体の温度変化に伴う変形に連動するように
内部に備え、駆動ディスクと前記密封器匣との対向壁面
に設けたトルク伝達間隙部での油の有効接触面積を増減
させて、回転軸体側から被駆動側の密封器匣側への回転
トルク伝達を制御するようにしてなるファン・カップリ
ング装置であって、前記駆動ディスクの内部を中空とな
してアイドル油溜り室となし、かつその側壁面もしくは
外周壁面に前記トルク伝達室に通ずる少なくとも1個の
流通孔を設けてアイドル油溜り室とトルク伝達室を連通
する油の流通手段を備えた温度感応型流体式ファン・カ
ップリング装置において、作動中に仕切板の流出調整孔
から出た油を、高速回転している入力軸側のディスク内
を通すことによって、高い遠心力が与えられ、またディ
スクのアイドル油溜り室の内周壁構造を、放射状もしく
は螺旋状溝を有する小径内周壁構造にすることにより少
ない油量で大きな水頭圧が得られ、ディスク内の油を安
定して直接トルク伝達間隙部へ流入させることを可能と
なしたもので、その要旨は、前記油溜り室内の油が前記
仕切板の流出調整孔より直接中空の駆動ディスク内へ導
入される機構を駆動ディスクおよび/または仕切板に備
え、該駆動ディスクは導入された油の通流溝を当該ディ
スクの内周壁面上に少なくとも1つ有し、かつ油量が駆
動に必要最小限となるような小径内周壁ディスク構造と
なし、前記通流溝部にトルク伝達間隙に通ずる流通孔を
有した構成となしたことを特徴とするものである。 【0012】このファン・カップリング装置の場合は、
仕切板の流出調整孔から出た油が高速回転している入力
軸側の駆動ディスク内へ入ることにより高い遠心力が与
えられるので該油には高圧が安定的に得られ、余剰油が
なくても駆動ディスク内の油は高速回転に伴って当該デ
ィスク内に滞留することなくトルク伝達間隙部へ容易に
進入するので、駆動ディスク内には油がほとんど滞留す
ることがない。したがって、起動時、加速時のつれ廻り
現象や、作動遅れの防止がはかられ、またファン回転制
御が滞留油(余剰油)に依存しないため温度指示に対す
る応答性が向上しファン回転の安定制御(温度特性の安
定化)が可能となる。さらに、留油(余剰油)がほとん
ど存在しない上、駆動ディスクはアイドル油溜り室の油
量が駆動に必要最小限となるような小径内周壁となって
いるので、全体の油量も少なくて済むなどの優れた効果
を奏する。 【0013】 【発明が解決しようとする課題】しかるに、油がディス
ク内部を通りトルク伝達部へ流入する上記の温度感応型
流体式ファン・カップリング装置の場合、前記通流溝部
に設ける流通孔がトルク伝達部の外径寄りに位置する
と、ディスク内部を通り流通孔よりトルク伝達部へ流出
した油がトルク伝達部に適切なトルクを伝達しながら存
在することなくただちにダムにより循環路を経由して油
溜り室へ戻されてしまい、つれ回り性能とリニア特性
(無段階温度特性)の両立が容易でないという問題が生
じた。従来の一般的なON/OFFタイプの温度感応型
流体式ファン・カップリング装置の感温特性(ファン回
転速度と各温度での油供給量および回収量の関係)を図
6に示す。この図は入力一定の時の特性であり、油回収
量を示す直線より右上が不連続域、油回収量を示す直線
より左下がリニア域である。すなわち、ON/OFFタ
イプのファン・カップリング装置の場合は、温度変化が
なくてもファン回転が急激に上昇あるいは下降するた
め、不連続な変化によるファン騒音、ファン消費馬
力の不連続な変化によるファン駆動系への急激な負荷変
動、過剰風量の発生による燃費の低下等を招いてい
た。一方、本発明者が先に提案した前記の温度感応型流
体式ファン・カップリング装置において、リニア特性を
得るために弁部材の先端部にカウンターウェイトを取付
け、このカウンターウェイトの遠心力を利用すると、フ
ァン(出力/従動)側が高速回転となった時、遠心力の
作用で弁部材を閉じ油量を制限してファンの回転を適正
にすることができるので、全域でリニア特性を得ること
が可能となる(図7)。ただし、ファンの回転速度が低
く、油回収能力より油供給量が低い場合は、油のトルク
伝達部を通過する距離に発生トルクは依存する。しかる
に、前記通流溝部に設ける流通孔がトルク伝達部の外径
寄りに位置すると、カウンターウェイトの遠心力により
適切な油量が流入しているにもかかわらず、ほとんどの
量の油が循環路より油溜り室へ戻されてしまい、つれ回
り性能とリニア特性(無段階温度特性)が両立し難く不
連続となる。その結果、ファンの騒音が問題となると共
に、駆動馬力が浪費されて問題である。 【0014】本発明は、このような問題を解決するため
になされたもので、ディスクのアイドル油溜り室壁面に
設ける流通孔を適正な位置に設けることにより、つれ回
り性能を損なうことなく容易にリニア特性を得ることが
できる温度感応型流体式ファン・カップリング装置を提
供しようとするものである。 【0015】 【課題を解決するための手段】本発明に係る温度感応型
流体式ファン・カップリング装置は、先端部に駆動ディ
スクを固着した回転軸体上に軸受を介して支承された密
封器匣の内部を、油の流出調整孔を有する仕切板により
油溜り室と前記駆動ディスクを内装するトルク伝達室と
に区劃し、密封器匣側の内周壁面の一部に設けたダムに
連なるトルク伝達室側より油溜り室側に通ずる循環流通
路が形成され、外部周囲の温度が設定値を超えると前記
仕切板の流出調整孔を開放し、設定値以下では閉鎖する
弁部材を備え、駆動ディスクとトルク伝達間隙部での油
の有効接触面積を増減させて、回転軸体側から被駆動側
の密封器匣側への回転トルク伝達を制御するようにして
なるファン・カップリング装置において、前記駆動ディ
スクの内部を中空となして設けたアイドル油溜り室の側
壁面にトルク伝達間隙に通ずる少なくとも一つの流通孔
を有した構成となし、かつ前記油溜り室内の油が前記仕
切板の流出調整孔より直接前記アイドル油溜り室内に導
入される機構を備え、前記流通孔を、下記条件を満足す
る位置に設けることを特徴とするものである。 記 0.05L<d<0.4L L=RoutーRin d:トルク伝達間隙の内径位置から流通孔の孔軸線まで
の間隔 Rout:駆動ディスクの外周の半径 Rin:トルク伝達間隙の内径位置の半径 【0016】すなわち、本発明は駆動ディスクのアイド
ル油溜り室の側壁面に設ける流通孔をトルク伝達部の内
径寄りに配置することを特徴とするものである。その理
由は、流通孔をトルク伝達部の内径寄りに配置すること
で、流通孔から流出した油が油溜り室側に通ずる循環路
に達する間の距離が長くなり、油溜り室から供給された
適切な油量に見合ったトルクを発生させることができる
ためである。 【0017】また、その流通孔を前記条件を満足する位
置に設けることとしたのは、以下に示す理由による。す
なわち、トルク伝達間隙の内径位置から流通孔の孔軸線
までの間隔dを0.05L〜0.4Lの範囲としたの
は、0.05L未満ではトルク伝達間隙に流出した油が
該間隙より内方の空間に流れてしまい、そこに溜まった
油がつれ回り特性を悪化させる可能性があり、他方、
0.4Lを超えると高入力回転域でON/OFF状態と
なってリニア特性が悪化するためである。なお、これら
のことを考慮すると、0.1L〜0.3Lの範囲が特に
好ましい。すなわち、この範囲であると、トルク伝達間
隙に安定して油が流れるとともに、全入力回転域でリニ
ア特性が得られる。 【0018】 【発明の実施の形態】図1は本発明に係る温度感応型フ
ァン・カップリング装置の基本構成を示す要部縦断側面
図、図2は本発明に係る温度感応型ファン・カップリン
グ装置の他の実施例を示す要部縦断側面図である。 【0019】すなわち、本発明はその基本構成を図1に
示すごとく、密封器匣1内を仕切板4によってトルク伝
達室2と油溜り室3とに区分され、トルク伝達室2内に
は、内部を中空となしてアイドル油溜り室5−1とな
し、かつその側壁面に前記トルク伝達室2に通ずる流通
孔5−2を有する駆動ディスク5が該トルク伝達室2の
内周面との間にトルク伝達間隙部2−1が形成されるよ
うに、駆動部(図面省略)の駆動によって回転する回転
軸体6に軸受7を介して回転自在に設けられている。そ
して、本発明では、上記流通孔5−2の位置を前記した
条件、すなわち0.05L<d<0.4Lを満足する位
置(トルク伝達間隙部2−1の内径寄り)に配置する。
なお、本実施例においても、外部周囲の温度の変化に応
じてバイメタルや外部の電磁コイルなどにより作動する
弁部材8により油溜り室3内の油が仕切板4に設けられ
た流出調整孔4−1から駆動ディスク5のアイドル油溜
り室5−1へ直接導入される機構を備え、アイドル油溜
り室5−1内の油が流通孔5−2よりトルク伝達室2に
供給され、トルク伝達室2内の油が循環路9により油溜
り室3に戻される構造となしている。10はカウンター
ウェイト、11はダムである。 【0020】上記構成のファン・カップリング装置にお
いて、作動中は仕切板4の流出調整孔4−1から出た油
が、直接中空の駆動ディスク5のアイドル油溜り室5−
1へ導入される。このアイドル油溜り室5−1内の油
は、回転軸体6の速い回転速度による大きな遠心力によ
って流通孔5−2よりトルク伝達間隙部2−1へスムー
スに導入されると共に、その流通孔5−2はトルク伝達
間隙部2−1の内径寄りに配置されているので、この流
通孔5−2と油溜り室3側に通ずる循環路9との距離が
長いことにより、流通孔5−2より導入された油は油溜
り室から供給された適切な油量に見合ったトルクが発生
する。すなわち、本発明のファン・カップリング装置の
場合は、カウンターウェイト10によって適切な油量が
仕切板4の流出調整孔4−1より流出し、高速回転して
いる入力軸側の駆動ディスク5内へ入ることにより高い
遠心力が与えられるので該油に高圧が安定して得られ、
余剰油がなくてもアイドル油溜り室5−1内の油は当該
室内に滞留することなく流通孔5−2よりトルク伝達間
隙部2−1へ容易に進入する。したがって、入力軸側の
駆動ディスクが高速回転している時には、アイドル油溜
り室5−1内には油がほとんど滞留することがないた
め、つれ廻り現象が発生することがなく、またファン回
転制御が滞留油(余剰油)に依存しないため応答性も向
上する。さらに、アイドル油溜り室5−1の側壁面に設
けられた流通孔5−2がトルク伝達間隙部2−1の内径
寄りに配置されているので、アイドル油溜り室5−1内
の油が安定してトルク伝達間隙部2−1に流れるので、
つれ回り性能を損なうことなくリニア特性が得られる。
したがって、ファンの騒音も大幅に低減される。 【0021】なお、上記アイドル油溜り室5−1の側壁
面に設ける流通孔5−2の形態としては、駆動ディスク
5の片側のトルク伝達面に流通孔5−2を設ける方式、
駆動ディスク5の両側のトルク伝達面に流通孔5−2を
設ける方式、流通孔の面積を大きくするために長孔、楕
円孔にする方式等がある。 【0022】また、図2に示す温度感応型ファン・カッ
プリング装置は、平板式のディスクに替えて、駆動ディ
スク5と、従動側の密封器匣1対向壁面とのトルク伝達
間隙部間をラビリンス構造としたもので、作用効果は前
記図1に示すものと同様である。 【0023】 【発明の効果】以上説明したごとく、本発明の温度感応
型ファン・カップリング装置は、仕切板の流出調整孔か
ら出た油が高速回転している入力軸側の駆動ディスクの
アイドル油溜り室内へ入ることにより高い遠心力が与え
られるので該油に安定かつ高圧が得られ、余剰油がなく
ても駆動ディスク内の油は高速回転に伴って当該ディス
ク内に滞留することなくトルク伝達間隙部へ容易に進入
するので、駆動ディスク内には油がほとんど滞留するこ
とがなく、起動時、加速時のつれ廻り現象や、作動遅れ
の防止がはかられこと、ファン回転制御が滞留油(余剰
油)に依存しないため温度指示に対する応答性が向上し
ファン回転の安定制御(温度特性の安定化)が可能とな
ること、余剰油がほとんど存在しない上、駆動ディスク
内からトルク伝達間隙部へ油を流入させる流通孔をトル
ク伝達部の内径寄りの適正位置に配置したことにより、
つれ回り性能を損なうことなく広い回転速度域で容易に
リニア特性を得ることができるという優れた効果を奏す
る。
【図面の簡単な説明】 【図1】本発明に係る温度感応型ファン・カップリング
装置の基本構成を示す要部縦断側面図である。 【図2】本発明に係る温度感応型ファン・カップリング
装置の他の実施例を示す要部縦断側面図である。 【図3】従来の一般的なファン・カップリング装置の一
例を示す要部縦断側面図である。 【図4】駆動ディスクを中空構造にした従来のファン・
カップリング装置の一例を示す要部縦断側面図である。 【図5】駆動ディスクを中空構造にした従来のファン・
カップリング装置の他の例を示す要部縦断側面図であ
る。 【図6】ON/OFFタイプのファン・カップリング装
置の感温特性を示す図である。 【図7】リニア型のファン・カップリング装置の感温特
性を示す図である。 【符号の説明】 1 密封器匣 2 トルク伝達室 2−1 トルク伝達間隙部 3 油溜り室 4 仕切板 4−1 流出調整孔 5 駆動ディスク 5−1 アイドル油溜り室 5−2 流通孔 6 回転軸体 7 軸受 8 弁部材 9 循環路 10 カウンターウェイト 11 ダム

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 先端部に駆動ディスクを固着した回転軸
    体上に軸受を介して支承された密封器匣の内部を、油の
    流出調整孔を有する仕切板により油溜り室と前記駆動デ
    ィスクを内装するトルク伝達室とに区劃し、密封器匣側
    の内周壁面の一部に設けたダムに連なるトルク伝達室側
    より油溜り室側に通ずる循環流通路が形成され、外部周
    囲の温度が設定値を超えると前記仕切板の流出調整孔を
    開放し、設定値以下では閉鎖する弁部材を備え、駆動デ
    ィスクとトルク伝達間隙部での油の有効接触面積を増減
    させて、回転軸体側から被駆動側の密封器匣側への回転
    トルク伝達を制御するようにしてなるファン・カップリ
    ング装置において、前記駆動ディスクの内部を中空とな
    して設けたアイドル油溜り室の側壁面にトルク伝達間隙
    に通ずる少なくとも一つの流通孔を有した構成となし、
    かつ前記油溜り室内の油が前記仕切板の流出調整孔より
    直接前記アイドル油溜り室内に導入される機構を備え、
    前記流通孔を、下記条件を満足する位置に設けることを
    特徴とする温度感応型流体式ファン・カップリング装
    置。 記 0.05L<d<0.4L L=RoutーRin d:トルク伝達間隙の内径位置から流通孔の孔軸線まで
    の間隔 Rout:駆動ディスクの外周の半径 Rin:トルク伝達間隙の内径位置の半径
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