JP2003129183A - 高強度鋼鋳片及びその鋳造方法 - Google Patents
高強度鋼鋳片及びその鋳造方法Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 高強度鋼鋳片及びその鋳造方法を提供するこ
と。 【解決手段】 質量%で、C:0.01〜0.15%、
Si:0.005〜0.5%、Mn:0.1〜2%、
P:0.02%以下、S:0.01%以下、Ni:0.
5〜5.5%、N:0.001〜0.01%を含有し、
さらに、Nb:0.005〜0.5%、Ti:0.00
3〜0.05%、Mo:0.1〜2%、Cu:0.01
〜1.5%、Cr:0.05〜2.5%、V:0.01
〜0.5%、B:0.0005〜0.005%の1種ま
たは2種以上、および、Al:0.001〜0.1%、
Zr:0.001〜0.5%、Mg:0.0005〜
0.02%、Ca:0.0005〜0.02%、RE
M:0.001〜0.5%の2種以上を含有し、残部F
eおよび不可避的不純物からなり、等軸晶化率が70%
以上であることを特徴とする高強度鋼鋳片。
と。 【解決手段】 質量%で、C:0.01〜0.15%、
Si:0.005〜0.5%、Mn:0.1〜2%、
P:0.02%以下、S:0.01%以下、Ni:0.
5〜5.5%、N:0.001〜0.01%を含有し、
さらに、Nb:0.005〜0.5%、Ti:0.00
3〜0.05%、Mo:0.1〜2%、Cu:0.01
〜1.5%、Cr:0.05〜2.5%、V:0.01
〜0.5%、B:0.0005〜0.005%の1種ま
たは2種以上、および、Al:0.001〜0.1%、
Zr:0.001〜0.5%、Mg:0.0005〜
0.02%、Ca:0.0005〜0.02%、RE
M:0.001〜0.5%の2種以上を含有し、残部F
eおよび不可避的不純物からなり、等軸晶化率が70%
以上であることを特徴とする高強度鋼鋳片。
Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、引張強度が780
MPa 級以上で優れた低温靭性が要求される構造物全般に
供される高強度鋼鋳片及びその鋳造方法に関するもので
ある。
MPa 級以上で優れた低温靭性が要求される構造物全般に
供される高強度鋼鋳片及びその鋳造方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】引張強度が780MPa 級以上の高強度鋼
を直接焼入れ法(DQ)で製造する場合、靱性を確保す
るためには焼入れ組織の微細化が必須である。そのため
には制御圧延による焼入れ前のγ(オーステナイト)粒
の微細化ならびにγ粒内への加工の導入による変態組織
の微細化が有効であるが、厚手材の場合は厚減比が限ら
れ、圧延加工の効果に限界がある。これをカバーし、板
厚によらずDQ前のγの細粒化を促進するには圧延加工
前の再加熱γの微細化が最も有力である。再加熱γの微
細化は一般には加熱温度の低温化より達成されるが、種
々の合金元素を比較的多く含む高強度鋼においてその達
成は必ずしも容易でない。すなわち合金鋼では、加熱温
度が低くなると再加熱γが加熱前組織の旧γがそのまま
再現される現象(旧γメモリー)が起こり、この旧γが
再現された粗大粒と一部の新たに生成したγ粒とが混在
して著しい混粒となる。また、当然ながら、加熱温度を
上げれば加熱γは成長し、微細化は難しくなる。それゆ
え高強度鋼、合金鋼の場合、加熱温度の制御による圧延
前組織の制御、それによる最終鋼板の靭性の向上は難し
い。
を直接焼入れ法(DQ)で製造する場合、靱性を確保す
るためには焼入れ組織の微細化が必須である。そのため
には制御圧延による焼入れ前のγ(オーステナイト)粒
の微細化ならびにγ粒内への加工の導入による変態組織
の微細化が有効であるが、厚手材の場合は厚減比が限ら
れ、圧延加工の効果に限界がある。これをカバーし、板
厚によらずDQ前のγの細粒化を促進するには圧延加工
前の再加熱γの微細化が最も有力である。再加熱γの微
細化は一般には加熱温度の低温化より達成されるが、種
々の合金元素を比較的多く含む高強度鋼においてその達
成は必ずしも容易でない。すなわち合金鋼では、加熱温
度が低くなると再加熱γが加熱前組織の旧γがそのまま
再現される現象(旧γメモリー)が起こり、この旧γが
再現された粗大粒と一部の新たに生成したγ粒とが混在
して著しい混粒となる。また、当然ながら、加熱温度を
上げれば加熱γは成長し、微細化は難しくなる。それゆ
え高強度鋼、合金鋼の場合、加熱温度の制御による圧延
前組織の制御、それによる最終鋼板の靭性の向上は難し
い。
【0003】低温加熱によっても再加熱γが微細化され
ず、むしろ粗大化・混粒化する事実は、高強度鋼を再加
熱焼入れ・焼戻しで製造する場合でも認識されていた
が、近年主流となりつつある直接焼入れ法で製造する場
合は、スタートが鋳片であるため、その影響は更に顕著
である。すなわち、鋳片の旧γ粒径は通常の連続鋳造の
場合、1mmのオーダーの粗大なものになり、鋳片の再加
熱によってその粗大な旧γ粒が再現されてしまうと、再
加熱組織は非常に粗大なγを含む著しい混粒組織となる
からである。一般の普通鋼の再加熱γが、100〜30
0μm程度の整粒である事を考えると、そのデメリット
の大きさは容易に想像できる。これを制御圧延しても、
限られた厚減比の中ではγ粒の均質化は非常に難しく、
結局、ベイナイトもしくはマルテンサイト変態を経て形
成される最終鋼板組織にも混粒が遺伝して、靭性劣化を
もたらす。
ず、むしろ粗大化・混粒化する事実は、高強度鋼を再加
熱焼入れ・焼戻しで製造する場合でも認識されていた
が、近年主流となりつつある直接焼入れ法で製造する場
合は、スタートが鋳片であるため、その影響は更に顕著
である。すなわち、鋳片の旧γ粒径は通常の連続鋳造の
場合、1mmのオーダーの粗大なものになり、鋳片の再加
熱によってその粗大な旧γ粒が再現されてしまうと、再
加熱組織は非常に粗大なγを含む著しい混粒組織となる
からである。一般の普通鋼の再加熱γが、100〜30
0μm程度の整粒である事を考えると、そのデメリット
の大きさは容易に想像できる。これを制御圧延しても、
限られた厚減比の中ではγ粒の均質化は非常に難しく、
結局、ベイナイトもしくはマルテンサイト変態を経て形
成される最終鋼板組織にも混粒が遺伝して、靭性劣化を
もたらす。
【0004】この再加熱によって前組織の旧γ粒が再現
されることによる混粒形成のメカニズムは依然明確でな
いが、たとえば、渡辺らは日本鉄鋼協会「鉄と鋼」第6
1年第1号(1975)pp.96−106の論文にお
いて、初期組織がマルテンサイトやベイナイトのラス組
織の場合、再加熱時にラス間から生成するγがバリアン
ト規制を受けることによって一定方位のものしか生成し
ないために旧γが再現されるとしており、また、松田ら
は日本鉄鋼協会「鉄と鋼」第60年第2号(1974)
pp.226−238において、初期ラス組織に生成す
る針状γはマルテンサイト型変態によって生成し、これ
が合体して旧γに相当する粗大粒を形成するとしてい
る。更に、S.T.Kimminsらは英金属学会「M
etalScience」第17巻11号(1983)
pp.519−532において、初期ラス組織から生成
するγは残留γを起点に成長するものであるとしてい
る。
されることによる混粒形成のメカニズムは依然明確でな
いが、たとえば、渡辺らは日本鉄鋼協会「鉄と鋼」第6
1年第1号(1975)pp.96−106の論文にお
いて、初期組織がマルテンサイトやベイナイトのラス組
織の場合、再加熱時にラス間から生成するγがバリアン
ト規制を受けることによって一定方位のものしか生成し
ないために旧γが再現されるとしており、また、松田ら
は日本鉄鋼協会「鉄と鋼」第60年第2号(1974)
pp.226−238において、初期ラス組織に生成す
る針状γはマルテンサイト型変態によって生成し、これ
が合体して旧γに相当する粗大粒を形成するとしてい
る。更に、S.T.Kimminsらは英金属学会「M
etalScience」第17巻11号(1983)
pp.519−532において、初期ラス組織から生成
するγは残留γを起点に成長するものであるとしてい
る。
【0005】このように、合金鋼、高強度鋼の再加熱γ
の粗大化・混粒化は発現機構が依然として判然としない
上、合金鋼、高強度鋼に固有な前組織が絡むため、その
解決策もあまり見出せないでいた。唯一の解決策として
考えられるのは、旧γの再現が徐加熱によってより顕在
化することから、再加熱の昇温速度を上げることである
が、連続鋳造鋳片のような厚みで単重の大きいものを現
状の加熱速度の数倍から数十倍の速度でAc3 以上の高
温まで均一に加熱するのは現状の技術では難しい。ま
た、過去の特許の開示においても有効な対策は見出され
ていない。
の粗大化・混粒化は発現機構が依然として判然としない
上、合金鋼、高強度鋼に固有な前組織が絡むため、その
解決策もあまり見出せないでいた。唯一の解決策として
考えられるのは、旧γの再現が徐加熱によってより顕在
化することから、再加熱の昇温速度を上げることである
が、連続鋳造鋳片のような厚みで単重の大きいものを現
状の加熱速度の数倍から数十倍の速度でAc3 以上の高
温まで均一に加熱するのは現状の技術では難しい。ま
た、過去の特許の開示においても有効な対策は見出され
ていない。
【0006】しかしながら近年、低温貯槽タンク、低温
圧力容器、海洋構造物、ラインパイプ等の分野におい
て、構造物の大型化などの背景から高強度鋼のニーズは
高まっており、加えて安全性や貯蔵・輸送の効率化、適
用環境の苛酷化の観点から一層の低温靭性も要求されて
いる。これに対応するためには、合金鋼における上記課
題の改善あるいは上記課題の克服による低温靭性の向上
が必須となってきている。
圧力容器、海洋構造物、ラインパイプ等の分野におい
て、構造物の大型化などの背景から高強度鋼のニーズは
高まっており、加えて安全性や貯蔵・輸送の効率化、適
用環境の苛酷化の観点から一層の低温靭性も要求されて
いる。これに対応するためには、合金鋼における上記課
題の改善あるいは上記課題の克服による低温靭性の向上
が必須となってきている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、引張強度が
780MPa 級以上で再加熱時及び熱間圧延時に混粒を起
こし難く、低温靭性に優れた鋼板製造を可能にする高強
度鋼鋳片及びその鋳造方法を提供するものである。
780MPa 級以上で再加熱時及び熱間圧延時に混粒を起
こし難く、低温靭性に優れた鋼板製造を可能にする高強
度鋼鋳片及びその鋳造方法を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
解決のための手段を鋳片の造りこみまで遡って種々実験
的に検討した。その結果、高強度鋼鋳片の再加熱時に起
こるγ粒組織の旧γの再現及びこれによる混粒化は広い
高強度鋼全般の合金組成にわたって根本的には抑えられ
ないが、初期の鋳片凝固組織によって再加熱後に圧延を
経て製造された鋼板の組織の均一性ならびに靭性が大き
く影響されることを見出し、特に初期凝固組織の等軸晶
化率の影響が大きいという知見に至った。そして、これ
を詳細に検討すべく、鋳造組織を再加熱する過程での組
織変化を種々の熱処理実験ならびに加工実験により詳細
に検討した結果、再加熱時に混粒を起こさない鋳片の凝
固組織の最適化とその鋳造方法に関する知見を得た。
解決のための手段を鋳片の造りこみまで遡って種々実験
的に検討した。その結果、高強度鋼鋳片の再加熱時に起
こるγ粒組織の旧γの再現及びこれによる混粒化は広い
高強度鋼全般の合金組成にわたって根本的には抑えられ
ないが、初期の鋳片凝固組織によって再加熱後に圧延を
経て製造された鋼板の組織の均一性ならびに靭性が大き
く影響されることを見出し、特に初期凝固組織の等軸晶
化率の影響が大きいという知見に至った。そして、これ
を詳細に検討すべく、鋳造組織を再加熱する過程での組
織変化を種々の熱処理実験ならびに加工実験により詳細
に検討した結果、再加熱時に混粒を起こさない鋳片の凝
固組織の最適化とその鋳造方法に関する知見を得た。
【0009】本発明は、かかる知見に基づいて完成され
たもので、その要旨とするところは以下の通りである。 (1)質量%で、C:0.01〜0.15%、Si:
0.005〜0.5%、Mn:0.1〜2%、P:0.
02%以下、S:0.01%以下、Ni:0.5〜5.
5%、N:0.001〜0.01%を含有し、さらに、
Nb:0.005〜0.5%、Ti:0.003〜0.
05%、Mo:0.1〜2%、Cu:0.01〜1.5
%、Cr:0.05〜2.5%、V:0.01〜0.5
%、B:0.0005〜0.005%の1種または2種
以上、および、Al:0.001〜0.1%、Zr:
0.001〜0.5%、Mg:0.0005〜0.02
%、Ca:0.0005〜0.02%、REM:0.0
01〜0.5%の2種以上を含有し、残部Feおよび不
可避的不純物からなり、等軸晶化率が70%以上である
ことを特徴とする高強度鋼鋳片。 (2)質量%で、C:0.01〜0.15%、Si:
0.005〜0.5%、Mn:0.1〜2%、P:0.
02%以下、S:0.01%以下、Ni:0.5〜5.
5%、N:0.001〜0.01%を含有し、さらに、
Nb:0.005〜0.5%、Ti:0.003〜0.
05%、Mo:0.1〜2%、Cu:0.01〜1.5
%、Cr:0.05〜2.5%、V:0.01〜0.5
%、B:0.0005〜0.005%の1種または2種
以上を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる
溶鋼の精錬時に、Al:0.001〜0.1%、Zr:
0.001〜0.5%、Mg:0.0005〜0.02
%、Ca:0.0005〜0.02%、REM:0.0
01〜0.5%の2種以上を同時または逐次に添加した
直後の溶存酸素が10ppm 以下である溶鋼を溶鋼過熱度
50℃以下で連続鋳造することを特徴とする高強度鋼鋳
片の鋳造方法。
たもので、その要旨とするところは以下の通りである。 (1)質量%で、C:0.01〜0.15%、Si:
0.005〜0.5%、Mn:0.1〜2%、P:0.
02%以下、S:0.01%以下、Ni:0.5〜5.
5%、N:0.001〜0.01%を含有し、さらに、
Nb:0.005〜0.5%、Ti:0.003〜0.
05%、Mo:0.1〜2%、Cu:0.01〜1.5
%、Cr:0.05〜2.5%、V:0.01〜0.5
%、B:0.0005〜0.005%の1種または2種
以上、および、Al:0.001〜0.1%、Zr:
0.001〜0.5%、Mg:0.0005〜0.02
%、Ca:0.0005〜0.02%、REM:0.0
01〜0.5%の2種以上を含有し、残部Feおよび不
可避的不純物からなり、等軸晶化率が70%以上である
ことを特徴とする高強度鋼鋳片。 (2)質量%で、C:0.01〜0.15%、Si:
0.005〜0.5%、Mn:0.1〜2%、P:0.
02%以下、S:0.01%以下、Ni:0.5〜5.
5%、N:0.001〜0.01%を含有し、さらに、
Nb:0.005〜0.5%、Ti:0.003〜0.
05%、Mo:0.1〜2%、Cu:0.01〜1.5
%、Cr:0.05〜2.5%、V:0.01〜0.5
%、B:0.0005〜0.005%の1種または2種
以上を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる
溶鋼の精錬時に、Al:0.001〜0.1%、Zr:
0.001〜0.5%、Mg:0.0005〜0.02
%、Ca:0.0005〜0.02%、REM:0.0
01〜0.5%の2種以上を同時または逐次に添加した
直後の溶存酸素が10ppm 以下である溶鋼を溶鋼過熱度
50℃以下で連続鋳造することを特徴とする高強度鋼鋳
片の鋳造方法。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明者らが、凝固組織の各部位ごとに再加熱時
の組織変化、その後の圧延中の組織変化を詳細に調査し
た結果、凝固時に柱状晶で凝固した部分は、再加熱時に
粗大な柱状γが再現され著しい混粒になるのに対して、
等軸晶で凝固した部分はその混粒程度が軽減されること
が判明した。
する。本発明者らが、凝固組織の各部位ごとに再加熱時
の組織変化、その後の圧延中の組織変化を詳細に調査し
た結果、凝固時に柱状晶で凝固した部分は、再加熱時に
粗大な柱状γが再現され著しい混粒になるのに対して、
等軸晶で凝固した部分はその混粒程度が軽減されること
が判明した。
【0011】さらに、再加熱後の熱間圧延では、凝固が
柱状晶の部分は混粒γ組織から再結晶の進行が緩慢であ
るのに対して、等軸晶凝固の部分は混粒γ組織から再結
晶が比較的早く、整粒化が比較的少ない加工率から促進
されることを見出した。したがって鋳片の等軸晶化を向
上させることで、高強度鋼および合金鋼に特異な再加熱
時の混粒γ組織の生成、およびそれに伴う圧延組織の不
均質、材質劣化の問題が改善できることが判明した。こ
こに等軸晶とは、成長する柱状デンドライトの分断・遊
離、あるいは溶鋼中での新たな核生成によって生成・成
長する凝固晶であり、柱状晶が鋳壁から温度勾配方向に
伸長するのに対して比較的等方的に成長する結晶であ
る。
柱状晶の部分は混粒γ組織から再結晶の進行が緩慢であ
るのに対して、等軸晶凝固の部分は混粒γ組織から再結
晶が比較的早く、整粒化が比較的少ない加工率から促進
されることを見出した。したがって鋳片の等軸晶化を向
上させることで、高強度鋼および合金鋼に特異な再加熱
時の混粒γ組織の生成、およびそれに伴う圧延組織の不
均質、材質劣化の問題が改善できることが判明した。こ
こに等軸晶とは、成長する柱状デンドライトの分断・遊
離、あるいは溶鋼中での新たな核生成によって生成・成
長する凝固晶であり、柱状晶が鋳壁から温度勾配方向に
伸長するのに対して比較的等方的に成長する結晶であ
る。
【0012】さらに、一般に、等軸晶は凝固時に鋳片の
中央部で形成されるが、その等軸晶凝固領域のスラブ厚
に対する幅(これを等軸晶化率と定義)が70%以上に
なると、表層から伸びる柱状晶も相対的に微細化し、圧
延後のγ粒も全厚でほぼ均一になることも見出した。他
方、これより等軸晶化率が少ないと、表層から発達する
柱状γが相対的に長くなり、その部分で再加熱γの不均
一、圧延時の再結晶不均一が生じてしまう。したがっ
て、圧延時のγ粒を整粒微細化し最終鋼板の高靭性化を
促進するためには、等軸晶化率70%以上が必要であ
る。なお、等軸晶化率は100%を上限として高いほど
好ましい。
中央部で形成されるが、その等軸晶凝固領域のスラブ厚
に対する幅(これを等軸晶化率と定義)が70%以上に
なると、表層から伸びる柱状晶も相対的に微細化し、圧
延後のγ粒も全厚でほぼ均一になることも見出した。他
方、これより等軸晶化率が少ないと、表層から発達する
柱状γが相対的に長くなり、その部分で再加熱γの不均
一、圧延時の再結晶不均一が生じてしまう。したがっ
て、圧延時のγ粒を整粒微細化し最終鋼板の高靭性化を
促進するためには、等軸晶化率70%以上が必要であ
る。なお、等軸晶化率は100%を上限として高いほど
好ましい。
【0013】発明者らは、このような鋳片をいかに造る
かについても鋭意取り組み、新たな知見を得るに至っ
た。従来、等軸晶化率を向上させるために、例えば特開
昭53−45627号公報や特開平5−115948号
公報に示されているように、鋳造中に鋳片内部の溶鋼に
電磁攪拌を付与するなどが提案されてきたが、これには
連続鋳造設備に付加的な設備が必要になるとともに、電
磁攪拌付与の最適位置が鋼成分によって凝固温度が変わ
るために変化し、効果が鋼成分によって大きくばらつく
という問題がある。
かについても鋭意取り組み、新たな知見を得るに至っ
た。従来、等軸晶化率を向上させるために、例えば特開
昭53−45627号公報や特開平5−115948号
公報に示されているように、鋳造中に鋳片内部の溶鋼に
電磁攪拌を付与するなどが提案されてきたが、これには
連続鋳造設備に付加的な設備が必要になるとともに、電
磁攪拌付与の最適位置が鋼成分によって凝固温度が変わ
るために変化し、効果が鋼成分によって大きくばらつく
という問題がある。
【0014】特に、比較的多くの合金元素を含む高強度
鋼、合金鋼ではそれが顕著である。その課題を解決する
ために、さらに制御性のよい等軸晶促進技術を探索した
結果、溶鋼がAl、Zr、Mg、REM、Caの脱酸元
素を2種以上含み、かつ脱酸元素添加直後の溶存酸素が
10ppm 以下である場合に等軸晶の生成促進が顕著であ
ることを見出した。これは、詳細解析の結果、脱酸元素
を複合して添加することによって形成される複合酸化物
が等軸晶化を大きく進めるためであった。
鋼、合金鋼ではそれが顕著である。その課題を解決する
ために、さらに制御性のよい等軸晶促進技術を探索した
結果、溶鋼がAl、Zr、Mg、REM、Caの脱酸元
素を2種以上含み、かつ脱酸元素添加直後の溶存酸素が
10ppm 以下である場合に等軸晶の生成促進が顕著であ
ることを見出した。これは、詳細解析の結果、脱酸元素
を複合して添加することによって形成される複合酸化物
が等軸晶化を大きく進めるためであった。
【0015】種々の検討の結果、2種以上の脱酸元素の
添加は同時でもあるいは逐次でも効果は変わらないが、
脱酸元素添加後の溶鋼中の溶存酸素が10ppm を超える
場合は複合酸化物の粗大化が激しく、等軸晶に有効な個
数が減少する、あるいは連続鋳造中に浮上してやはり減
少するなどで、本発明の効果が減じられることがわかっ
た。さらに、溶鋼過熱度が大きい場合も複合酸化物の形
成が安定せず、効果が減じられ等軸晶の割合を70%以
上とすることが困難となることがわかった。したがっ
て、複合脱酸による等軸晶生成の有効性を確保するため
には、脱酸元素添加直後の溶鋼中の溶存酸素が10ppm
以下、かつ鋳造時の溶鋼過熱度を50℃以下にする必要
がある。溶存酸素も溶鋼過熱度も低いほど好ましいが、
溶鋼過熱度は、0℃未満とすると溶鋼流動性などの問題
が生じるため好ましくない。
添加は同時でもあるいは逐次でも効果は変わらないが、
脱酸元素添加後の溶鋼中の溶存酸素が10ppm を超える
場合は複合酸化物の粗大化が激しく、等軸晶に有効な個
数が減少する、あるいは連続鋳造中に浮上してやはり減
少するなどで、本発明の効果が減じられることがわかっ
た。さらに、溶鋼過熱度が大きい場合も複合酸化物の形
成が安定せず、効果が減じられ等軸晶の割合を70%以
上とすることが困難となることがわかった。したがっ
て、複合脱酸による等軸晶生成の有効性を確保するため
には、脱酸元素添加直後の溶鋼中の溶存酸素が10ppm
以下、かつ鋳造時の溶鋼過熱度を50℃以下にする必要
がある。溶存酸素も溶鋼過熱度も低いほど好ましいが、
溶鋼過熱度は、0℃未満とすると溶鋼流動性などの問題
が生じるため好ましくない。
【0016】なお、ここで、脱酸元素添加直後とは、脱
酸元素の効果が行き渡った後の時間を指し、添加時期、
添加プロセスにも依るが、添加後5〜15分後が目安と
なる。これより長くなると溶鋼の再酸化などの可能性も
出てくる。また、脱酸元素の添加時期は二次精錬段階か
ら二次精錬後の鍋、鋳造時のタンディッシュあるいはモ
ールドまで可能であり、添加法も純金属あるいは合金の
紛体や塊のインジェクションやワイヤによる添加など適
用できる。
酸元素の効果が行き渡った後の時間を指し、添加時期、
添加プロセスにも依るが、添加後5〜15分後が目安と
なる。これより長くなると溶鋼の再酸化などの可能性も
出てくる。また、脱酸元素の添加時期は二次精錬段階か
ら二次精錬後の鍋、鋳造時のタンディッシュあるいはモ
ールドまで可能であり、添加法も純金属あるいは合金の
紛体や塊のインジェクションやワイヤによる添加など適
用できる。
【0017】次に本発明において、化学組成の限定理由
を述べる。Cは、鋼の強度を向上させる有効な成分とし
て含有するもので、0.01%未満では構造用鋼に必要
な強度の確保が困難であるが、0.15%を超える過剰
の含有は母材及び溶接部の靭性や耐溶接割れ性を低下さ
せるので、0.01〜0.15%の範囲とした。
を述べる。Cは、鋼の強度を向上させる有効な成分とし
て含有するもので、0.01%未満では構造用鋼に必要
な強度の確保が困難であるが、0.15%を超える過剰
の含有は母材及び溶接部の靭性や耐溶接割れ性を低下さ
せるので、0.01〜0.15%の範囲とした。
【0018】次に、Siは、脱酸元素として、また、母
材の強度確保に有効な元素であるが、0.005%未満
の含有では脱酸が不十分となり、また強度確保に不利で
ある。逆に0.5%を超える過剰の含有は粗大な酸化物
を形成して延性や靭性の劣化を招く。そこで、Siの範
囲は0.005〜0.5%とした。
材の強度確保に有効な元素であるが、0.005%未満
の含有では脱酸が不十分となり、また強度確保に不利で
ある。逆に0.5%を超える過剰の含有は粗大な酸化物
を形成して延性や靭性の劣化を招く。そこで、Siの範
囲は0.005〜0.5%とした。
【0019】また、Mnは、母材の強度、靭性の確保に
必要な元素であり、最低限0.1%以上含有する必要が
あるが、過剰に含有すると、焼入性過剰となり溶接割れ
性など劣化させるため、材質上許容できる範囲で上限を
2%とした。
必要な元素であり、最低限0.1%以上含有する必要が
あるが、過剰に含有すると、焼入性過剰となり溶接割れ
性など劣化させるため、材質上許容できる範囲で上限を
2%とした。
【0020】P、Sは、不純物元素で、延性、靭性を劣
化させる元素であり、極力低減することが好ましいが、
材質劣化が大きくなく、許容できる量として、Pの上限
を0.02%、Sの上限を0.01%に限定する。
化させる元素であり、極力低減することが好ましいが、
材質劣化が大きくなく、許容できる量として、Pの上限
を0.02%、Sの上限を0.01%に限定する。
【0021】Niは、靱性確保のために最も有効な元素
であり、引張強度780MPa 以上の高強度鋼において靭
性の保証温度が−40℃及び更に低温になるようなケー
スも含めると少なくとも0.5%、好ましくは1%以上
含有させる必要がある。一方、Niは高価な合金元素で
あり、さらに含有量が多くなると加工熱処理によって鋼
材を製造する場合の焼入れ性が過剰となるため、上限を
5.5%とする。
であり、引張強度780MPa 以上の高強度鋼において靭
性の保証温度が−40℃及び更に低温になるようなケー
スも含めると少なくとも0.5%、好ましくは1%以上
含有させる必要がある。一方、Niは高価な合金元素で
あり、さらに含有量が多くなると加工熱処理によって鋼
材を製造する場合の焼入れ性が過剰となるため、上限を
5.5%とする。
【0022】Nは鋼中に単独固溶状態では鋼板靭性に有
害であるが、工業的に鋼中のNを完全に除去することは
不可能であり、必要以上に低減することは製造工程に過
大な負荷をかけるため好ましくない。そのため、工業的
に制御が可能で、製造工程への負荷が許容できる範囲と
して下限を0.001%とする。しかしながら過剰に含
有すると、固溶Nが増加し延性や靭性に悪影響を及ぼす
ため、許容できる範囲として上限を0.01%とする。
害であるが、工業的に鋼中のNを完全に除去することは
不可能であり、必要以上に低減することは製造工程に過
大な負荷をかけるため好ましくない。そのため、工業的
に制御が可能で、製造工程への負荷が許容できる範囲と
して下限を0.001%とする。しかしながら過剰に含
有すると、固溶Nが増加し延性や靭性に悪影響を及ぼす
ため、許容できる範囲として上限を0.01%とする。
【0023】さらに、本発明の成分系では、強度確保お
よび靭性確保のための組織制御に、加工熱処理における
オーステナイトの再結晶抑制に有効なNb、Ti、およ
び、焼入れ性の制御に有効なMo、Cu、Cr、V、B
の1種または2種以上を含有させる。各々の元素の添加
範囲は以下のように限定する。
よび靭性確保のための組織制御に、加工熱処理における
オーステナイトの再結晶抑制に有効なNb、Ti、およ
び、焼入れ性の制御に有効なMo、Cu、Cr、V、B
の1種または2種以上を含有させる。各々の元素の添加
範囲は以下のように限定する。
【0024】Nbは、オーステナイト相中に固溶及び析
出状態で、オーステナイトの再結晶を抑制するために、
また、変態時あるいは焼戻し時にNb(C、N)を形成
することで、強度の向上に有効な元素であるが、過剰の
含有では析出脆化により靭性が劣化する。従って、靭性
の劣化を招かずに、効果を発揮できる範囲として、0.
005〜0.5%の範囲に限定する。
出状態で、オーステナイトの再結晶を抑制するために、
また、変態時あるいは焼戻し時にNb(C、N)を形成
することで、強度の向上に有効な元素であるが、過剰の
含有では析出脆化により靭性が劣化する。従って、靭性
の劣化を招かずに、効果を発揮できる範囲として、0.
005〜0.5%の範囲に限定する。
【0025】Tiは、析出強化により母材強度向上に寄
与するとともに、高温でも安定なTiNの形成により加
熱オーステナイト粒径微細化にも有効な元素であり、加
工熱処理を基本とする本発明においては必須の元素であ
る。効果を発揮するためには0.003%以上の含有が
必要である。一方、0.05%を超えると、粗大な析出
物、介在物を形成して靭性や延性を劣化させるため、上
限を0.05%とする。
与するとともに、高温でも安定なTiNの形成により加
熱オーステナイト粒径微細化にも有効な元素であり、加
工熱処理を基本とする本発明においては必須の元素であ
る。効果を発揮するためには0.003%以上の含有が
必要である。一方、0.05%を超えると、粗大な析出
物、介在物を形成して靭性や延性を劣化させるため、上
限を0.05%とする。
【0026】Moは焼入れ性向上、強度向上、耐焼戻し
脆化、耐SR脆化に有効な元素でもあり、その効果を発
揮するためには、0.1%以上の添加が必要であり、一
方、2%を超える添加では逆に靱性、溶接性が劣化する
ため、0.1〜2%に限定する。
脆化、耐SR脆化に有効な元素でもあり、その効果を発
揮するためには、0.1%以上の添加が必要であり、一
方、2%を超える添加では逆に靱性、溶接性が劣化する
ため、0.1〜2%に限定する。
【0027】Cuは、0.01%以上の添加で、焼入れ
性向上、固溶強化、析出強化の効果を有するが、1.5
%超では熱間加工性に問題を生じるので、効果を発揮
し、かつ熱間加工性等の問題を生じない範囲として、本
発明においては、0.01〜1.5%の範囲に限定す
る。
性向上、固溶強化、析出強化の効果を有するが、1.5
%超では熱間加工性に問題を生じるので、効果を発揮
し、かつ熱間加工性等の問題を生じない範囲として、本
発明においては、0.01〜1.5%の範囲に限定す
る。
【0028】Crは、焼入れ性向上、析出強化により母
材の強度向上に有効な元素であるが、明瞭な効果を生じ
るためには0.05%以上必要であり、一方、2.5%
を超えて添加すると、靭性及び溶接性が劣化する傾向を
有するため、0.05〜2.5%の範囲とする。
材の強度向上に有効な元素であるが、明瞭な効果を生じ
るためには0.05%以上必要であり、一方、2.5%
を超えて添加すると、靭性及び溶接性が劣化する傾向を
有するため、0.05〜2.5%の範囲とする。
【0029】Vは、焼入れ性向上とともにVNを形成し
て強度向上に有効な元素であるが、過剰の含有では析出
脆化により靭性が劣化する。従って、靭性の大きな劣化
を招かずに、効果を発揮できる範囲として、0.01〜
0.5%の範囲に限定する。
て強度向上に有効な元素であるが、過剰の含有では析出
脆化により靭性が劣化する。従って、靭性の大きな劣化
を招かずに、効果を発揮できる範囲として、0.01〜
0.5%の範囲に限定する。
【0030】Bは、固溶状態でオーステナイト粒界に偏
析することで、微量で焼入れ性を高めることが可能な元
素であるが、粒界に偏析した状態では、オーステナイト
の再結晶抑制にも有効である。焼入性、再結晶抑制に効
果を発揮するためには0.0005%以上の添加が必要
であるが、一方、0.005%を超える過剰の添加で
は、BN、Fe23(C、B)6 等の粗大な析出物を生じ
て、靱性が劣化するため、0.0005〜0.005%
に限定する。
析することで、微量で焼入れ性を高めることが可能な元
素であるが、粒界に偏析した状態では、オーステナイト
の再結晶抑制にも有効である。焼入性、再結晶抑制に効
果を発揮するためには0.0005%以上の添加が必要
であるが、一方、0.005%を超える過剰の添加で
は、BN、Fe23(C、B)6 等の粗大な析出物を生じ
て、靱性が劣化するため、0.0005〜0.005%
に限定する。
【0031】さらに、本発明の特徴である等軸晶生成を
促進する脱酸元素として、Al、Zr、Mg、Ca、R
EMのうち2種以上を含有させる。各々の元素の添加範
囲は以下のように限定する。
促進する脱酸元素として、Al、Zr、Mg、Ca、R
EMのうち2種以上を含有させる。各々の元素の添加範
囲は以下のように限定する。
【0032】Alは、脱酸力が強く酸化物形成に有効な
元素である。溶鋼中で酸化物を形成するには0.001
%以上含有させる必要がある。一方、0.1%を超えて
過剰に含有すると、酸化物が粗大化し延性を極端に劣化
させるため、0.001%〜0.1%の範囲に限定する
必要がある。
元素である。溶鋼中で酸化物を形成するには0.001
%以上含有させる必要がある。一方、0.1%を超えて
過剰に含有すると、酸化物が粗大化し延性を極端に劣化
させるため、0.001%〜0.1%の範囲に限定する
必要がある。
【0033】ZrはAl同様の強い脱酸力を有し、比較
的比重の重い複合酸化物を形成することから、等軸晶化
促進には有効な元素である。溶鋼中で酸化物を形成する
には0.001%以上含有させる必要があるが、0.5
%を超えて過剰に含有すると、酸化物が粗大化し延性を
極端に劣化させるため、0.001%〜0.5%の範囲
に限定する。
的比重の重い複合酸化物を形成することから、等軸晶化
促進には有効な元素である。溶鋼中で酸化物を形成する
には0.001%以上含有させる必要があるが、0.5
%を超えて過剰に含有すると、酸化物が粗大化し延性を
極端に劣化させるため、0.001%〜0.5%の範囲
に限定する。
【0034】Mgは強力な脱酸元素であり、多様な元素
と複合酸化物を作るため、有効である。溶鋼中で酸化物
を形成するには0.0005%以上含有させる必要があ
るが、0.02%を超えて安定に含有させると蒸発蒸気
圧が高いことから製鋼工程では危険である。したがって
0.0005%〜0.02%とする。
と複合酸化物を作るため、有効である。溶鋼中で酸化物
を形成するには0.0005%以上含有させる必要があ
るが、0.02%を超えて安定に含有させると蒸発蒸気
圧が高いことから製鋼工程では危険である。したがって
0.0005%〜0.02%とする。
【0035】REMもまた強力な脱酸力を有し複合酸化
物の生成を促進する。溶鋼中で酸化物を形成するには
0.001%以上含有させる必要があるが、高価である
ため0.5%を超える添加は鋼板のコストを大幅に引き
上げるとともに、脱酸元素としての効果は飽和するの
で、範囲を0.001%〜0.5%とする。
物の生成を促進する。溶鋼中で酸化物を形成するには
0.001%以上含有させる必要があるが、高価である
ため0.5%を超える添加は鋼板のコストを大幅に引き
上げるとともに、脱酸元素としての効果は飽和するの
で、範囲を0.001%〜0.5%とする。
【0036】Caは鋼中最大の脱酸力を有する元素であ
り、上記のいずれの元素とも複合脱酸しうる。溶鋼中で
酸化物を形成するには0.0005%以上含有させる必
要があるが、0.02%を超えて過剰に添加すると酸化
物の液状化を促進し、合体により粗大化させるので、範
囲を0.0005%〜0.02%とする。
り、上記のいずれの元素とも複合脱酸しうる。溶鋼中で
酸化物を形成するには0.0005%以上含有させる必
要があるが、0.02%を超えて過剰に添加すると酸化
物の液状化を促進し、合体により粗大化させるので、範
囲を0.0005%〜0.02%とする。
【0037】
【実施例】以上が、本発明の要件についての説明である
が、さらに、実施例に基づいて本発明の効果を示す。表
1に示すA〜F、6種の化学組成を検討した。このう
ち、A〜Dは本発明範囲の組成であり、E、Fの2種は
発明外の組成である。脱酸元素としてAはAl−Zr−
Mg、BはAl−Ca、CはMg−Ca、DはZr−R
EMを含んでいる。また、比較鋼のE、FはAl脱酸で
ある。いずれも実機転炉で溶製し、二次精錬のRHにお
いて脱酸元素を添加し、添加後5分置いて溶鋼中の溶存
酸素を測定した。その結果を表2に示す。なお、酸素測
定時の溶鋼温度はいずれの場合もほぼ1600℃で一定
であった。この溶鋼を実機の連続鋳造機で240mm厚に
鋳造した。鋳造時の溶鋼過熱度を併せて表2に示す。合
金BおよびCについては溶鋼過熱度を変化させたものも
比較例として鋳造した。鋳造後、鋳造幅の1/2を長手
方向に切断し、その断面のエッチプリントおよびオーバ
ーホッファー氏液(日本鉄鋼協会編、鉄鋼便覧第1巻、
p.206)で腐食したマクロ組織から等軸晶化率を判
定した。その結果も表2に示す。
が、さらに、実施例に基づいて本発明の効果を示す。表
1に示すA〜F、6種の化学組成を検討した。このう
ち、A〜Dは本発明範囲の組成であり、E、Fの2種は
発明外の組成である。脱酸元素としてAはAl−Zr−
Mg、BはAl−Ca、CはMg−Ca、DはZr−R
EMを含んでいる。また、比較鋼のE、FはAl脱酸で
ある。いずれも実機転炉で溶製し、二次精錬のRHにお
いて脱酸元素を添加し、添加後5分置いて溶鋼中の溶存
酸素を測定した。その結果を表2に示す。なお、酸素測
定時の溶鋼温度はいずれの場合もほぼ1600℃で一定
であった。この溶鋼を実機の連続鋳造機で240mm厚に
鋳造した。鋳造時の溶鋼過熱度を併せて表2に示す。合
金BおよびCについては溶鋼過熱度を変化させたものも
比較例として鋳造した。鋳造後、鋳造幅の1/2を長手
方向に切断し、その断面のエッチプリントおよびオーバ
ーホッファー氏液(日本鉄鋼協会編、鉄鋼便覧第1巻、
p.206)で腐食したマクロ組織から等軸晶化率を判
定した。その結果も表2に示す。
【0038】表2から明らかなように本発明であるN
o.1〜4は70%以上の高い等軸晶化率を示したのに
対し、比較の脱酸元素を1種類しか含まないNo.5、
6の等軸晶化率は低かった。また脱酸元素を2種以上含
有しても鋳造時溶鋼過熱度の高かったNo.7、8も、
同成分のNo.2、3と比較して等軸晶化率が大幅に低
減した。
o.1〜4は70%以上の高い等軸晶化率を示したのに
対し、比較の脱酸元素を1種類しか含まないNo.5、
6の等軸晶化率は低かった。また脱酸元素を2種以上含
有しても鋳造時溶鋼過熱度の高かったNo.7、8も、
同成分のNo.2、3と比較して等軸晶化率が大幅に低
減した。
【0039】これらから本発明の効果は明瞭であるが、
さらに、この鋳造鋳片から全厚の試験片を抽出し、熱処
理炉を用いて鋳片再加熱を再現し、それを急冷して再加
熱γ粒を観察した。昇温速度は実機加熱炉並の毎分6
℃、加熱温度は1000℃である。その結果、本発明の
No.1〜4の鋳片は全厚にわたってほぼ粒度が整って
いたのに対し、比較鋼はいずれも粗大粒を含む混粒組織
になっていた。さらにそれぞれの鋳片を用いて、100
0℃加熱の通常のDQTプロセスにより板厚25mmの鋼
板を作製した。その鋼板の靭性を評価したところ、本発
明鋳片を用いた場合は比較鋳片を用いた場合より高い靭
性が得られ、再加熱及び圧延時の整粒効果に依るものと
判断される。再加熱実験におけるγ粒度測定結果、およ
び25mm鋼板の靭性評価結果(シャルピーvTrs)と引張
強度を表2に併せて示した。
さらに、この鋳造鋳片から全厚の試験片を抽出し、熱処
理炉を用いて鋳片再加熱を再現し、それを急冷して再加
熱γ粒を観察した。昇温速度は実機加熱炉並の毎分6
℃、加熱温度は1000℃である。その結果、本発明の
No.1〜4の鋳片は全厚にわたってほぼ粒度が整って
いたのに対し、比較鋼はいずれも粗大粒を含む混粒組織
になっていた。さらにそれぞれの鋳片を用いて、100
0℃加熱の通常のDQTプロセスにより板厚25mmの鋼
板を作製した。その鋼板の靭性を評価したところ、本発
明鋳片を用いた場合は比較鋳片を用いた場合より高い靭
性が得られ、再加熱及び圧延時の整粒効果に依るものと
判断される。再加熱実験におけるγ粒度測定結果、およ
び25mm鋼板の靭性評価結果(シャルピーvTrs)と引張
強度を表2に併せて示した。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】
【発明の効果】本発明により、引張強度が780MPa 級
以上で再加熱時及び熱間圧延時に混粒を起こし難く、低
温靭性に優れた鋼板製造を可能にする高強度鋼の鋳片の
提供が可能となる。その結果、靭性に優れた高強度鋼板
の製造が可能となり、低温貯槽タンク、低温圧力容器、
海洋構造物、船舶、橋梁、ラインパイプ等へ、安全性に
極めて優れた構造材料を提供することが可能となり、産
業上の効果は極めて大きい。
以上で再加熱時及び熱間圧延時に混粒を起こし難く、低
温靭性に優れた鋼板製造を可能にする高強度鋼の鋳片の
提供が可能となる。その結果、靭性に優れた高強度鋼板
の製造が可能となり、低温貯槽タンク、低温圧力容器、
海洋構造物、船舶、橋梁、ラインパイプ等へ、安全性に
極めて優れた構造材料を提供することが可能となり、産
業上の効果は極めて大きい。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(72)発明者 田中 洋一
愛知県東海市東海町5−3 新日本製鐵株
式会社名古屋製鐵所内
(72)発明者 木下 浩幸
東京都千代田区大手町2−6−3 新日本
製鐵株式会社内
(72)発明者 原 卓也
千葉県富津市新富20−1 新日本製鐵株式
会社技術開発本部内
Fターム(参考) 4E004 MB20 NB01 NC01
Claims (2)
- 【請求項1】 質量%で、 C :0.01〜0.15%、 Si:0.005〜0.5%、 Mn:0.1〜2%、 P :0.02%以下、 S :0.01%以下、 Ni:0.5〜5.5%、 N :0.001〜0.01%を含有し、さらに、 Nb:0.005〜0.5%、 Ti:0.003〜0.05%、 Mo:0.1〜2%、 Cu:0.01〜1.5%、 Cr:0.05〜2.5%、 V :0.01〜0.5%、 B :0.0005〜0.005%の1種または2種以
上、および、 Al:0.001〜0.1%、 Zr:0.001〜0.5%、 Mg:0.0005〜0.02%、 Ca:0.0005〜0.02%、 REM:0.001〜0.5%の2種以上を含有し、残
部Feおよび不可避的不純物からなり、等軸晶化率が7
0%以上であることを特徴とする高強度鋼鋳片。 - 【請求項2】 質量%で、 C :0.01〜0.15%、 Si:0.005〜0.5%、 Mn:0.1〜2%、 P :0.02%以下、 S :0.01%以下、 Ni:0.5〜5.5%、 N :0.001〜0.01%を含有し、さらに、 Nb:0.005〜0.5%、 Ti:0.003〜0.05%、 Mo:0.1〜2%、 Cu:0.01〜1.5%、 Cr:0.05〜2.5%、 V :0.01〜0.5%、 B :0.0005〜0.005%の1種または2種以
上を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる溶
鋼の精錬時に、 Al:0.001〜0.1%、 Zr:0.001〜0.5%、 Mg:0.0005〜0.02%、 Ca:0.0005〜0.02%、 REM:0.001〜0.5%の2種以上を同時または
逐次に添加した直後の溶存酸素が10ppm 以下である溶
鋼を溶鋼過熱度50℃以下で連続鋳造することを特徴と
する高強度鋼鋳片の鋳造方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2001320388A JP2003129183A (ja) | 2001-10-18 | 2001-10-18 | 高強度鋼鋳片及びその鋳造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2001320388A JP2003129183A (ja) | 2001-10-18 | 2001-10-18 | 高強度鋼鋳片及びその鋳造方法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2003129183A true JP2003129183A (ja) | 2003-05-08 |
Family
ID=19137788
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP2001320388A Withdrawn JP2003129183A (ja) | 2001-10-18 | 2001-10-18 | 高強度鋼鋳片及びその鋳造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2003129183A (ja) |
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| JP2009220163A (ja) * | 2008-03-18 | 2009-10-01 | Sumitomo Metal Ind Ltd | 凝固組織が等軸デンドライトを有する鋼の連続鋳造鋳片およびその連続鋳造方法 |
| CN107058910A (zh) * | 2016-12-15 | 2017-08-18 | 河北工业大学 | 一种低合金铸钢用非晶态变质剂及其制备方法和应用 |
| JP2017196626A (ja) * | 2016-04-25 | 2017-11-02 | 新日鐵住金株式会社 | 溶鋼の連続鋳造方法 |
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| JP2020537716A (ja) * | 2017-10-27 | 2020-12-24 | バオシャン アイアン アンド スティール カンパニー リミテッド | 低降伏比・超高強度コイルドチュービング用鋼及びその製造方法 |
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| JP2025511469A (ja) * | 2022-05-06 | 2025-04-16 | 鞍鋼股▲ふん▼有限公司 | 先進的原子力発電ユニットの炉心ケーシングの筒体用鋼板及びその製造方法 |
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-
2001
- 2001-10-18 JP JP2001320388A patent/JP2003129183A/ja not_active Withdrawn
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