JP2003144164A - 除去選択型プラスミドを用いて作製されるセルフクローニング型の遺伝子組換え実用酵母及びその作製法 - Google Patents
除去選択型プラスミドを用いて作製されるセルフクローニング型の遺伝子組換え実用酵母及びその作製法Info
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- JP2003144164A JP2003144164A JP2001344458A JP2001344458A JP2003144164A JP 2003144164 A JP2003144164 A JP 2003144164A JP 2001344458 A JP2001344458 A JP 2001344458A JP 2001344458 A JP2001344458 A JP 2001344458A JP 2003144164 A JP2003144164 A JP 2003144164A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 遺伝子組換え酵母の実用化を妨げている最大
の要因は、他種生物由来の遺伝子を組換えた酵母を食べ
ることによる安全性の問題や、消費者に受け入れられる
際の安心感のなさである。この問題を解決するために
は、導入する有用遺伝子を全て酵母由来にすれば良い。 【解決手段】 他種生物由来の遺伝子配列などの不要な
遺伝子配列を、有用遺伝子の導入後に全て除去してやれ
ば良い。酵母由来の有用遺伝子を開発して実用酵母へ導
入し、導入後に他の不要な遺伝子配列を全て除去するこ
とができるようになれば、安全で有用なセルフクローニ
ング型の遺伝子組換え酵母を作製することができる。
の要因は、他種生物由来の遺伝子を組換えた酵母を食べ
ることによる安全性の問題や、消費者に受け入れられる
際の安心感のなさである。この問題を解決するために
は、導入する有用遺伝子を全て酵母由来にすれば良い。 【解決手段】 他種生物由来の遺伝子配列などの不要な
遺伝子配列を、有用遺伝子の導入後に全て除去してやれ
ば良い。酵母由来の有用遺伝子を開発して実用酵母へ導
入し、導入後に他の不要な遺伝子配列を全て除去するこ
とができるようになれば、安全で有用なセルフクローニ
ング型の遺伝子組換え酵母を作製することができる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】産業用の実用酵母における、
除去選択型プラスミドを利用したセルフクローニング型
の遺伝子組換え酵母及びその作製法に関する。
除去選択型プラスミドを利用したセルフクローニング型
の遺伝子組換え酵母及びその作製法に関する。
【0002】
【従来の技術】酵母(Saccharomyces cerevisiae)は、
酒やパンなど身近な発酵、醸造食品の製造に利用されて
おり、味や香りなどに大きな影響を与えることが知られ
ている。それゆえに有用な酵母の改良品種を得ること
は、食品開発において非常に重要である。酵母の品種改
良は、種類の異なる酵母のかけ合わせ、薬剤や紫外線等
による突然変異の誘発など様々な方法で行われ、その結
果得られた有用酵母が数多く実用化されている。近年遺
伝子操作技術が発展し、種々の醸造特性に関わる遺伝子
機能の解析も進んだ。これらの遺伝子を導入したり破壊
したりすることによる酵母の品種改良に期待が持たれて
いる。しかしながら、一倍体の研究室酵母での実用例は
多いが、産業用に用いられる二倍体以上の実用酵母に関
しては実用化された遺伝子組換え酵母は未だ存在しな
い。
酒やパンなど身近な発酵、醸造食品の製造に利用されて
おり、味や香りなどに大きな影響を与えることが知られ
ている。それゆえに有用な酵母の改良品種を得ること
は、食品開発において非常に重要である。酵母の品種改
良は、種類の異なる酵母のかけ合わせ、薬剤や紫外線等
による突然変異の誘発など様々な方法で行われ、その結
果得られた有用酵母が数多く実用化されている。近年遺
伝子操作技術が発展し、種々の醸造特性に関わる遺伝子
機能の解析も進んだ。これらの遺伝子を導入したり破壊
したりすることによる酵母の品種改良に期待が持たれて
いる。しかしながら、一倍体の研究室酵母での実用例は
多いが、産業用に用いられる二倍体以上の実用酵母に関
しては実用化された遺伝子組換え酵母は未だ存在しな
い。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】実用化を妨げている最
大の要因は、他種生物由来の遺伝子を組換えた酵母を食
べることによる安全性の問題や、消費者に受け入れられ
る際の安心感のなさである。この問題解決のためには、
導入する有用遺伝子を全て酵母由来(セルフクローニン
グ型)にすればよい。しかし、もう一つ問題がある。産
業用の実用酵母株には栄養要求性変異がないので、遺伝
子導入用マーカーとして薬剤耐性遺伝子を使用せざるを
得ないこと、加えて遺伝子導入用のプラスミドには、バ
クテリアの遺伝子配列も含んでいることである。これら
の問題に関しては、遺伝子導入用マーカー及びバクテリ
ア等、他種生物由来の遺伝子配列などの不要な遺伝子配
列を、有用遺伝子の導入後に全て除去してやれば良い。
酵母由来の有用遺伝子を開発して実用酵母へ導入し、導
入後に他の不要な遺伝子配列を全て除去することができ
るようになれば、安全で有用なセルフクローニング型の
遺伝子組換え酵母を作製することができる。
大の要因は、他種生物由来の遺伝子を組換えた酵母を食
べることによる安全性の問題や、消費者に受け入れられ
る際の安心感のなさである。この問題解決のためには、
導入する有用遺伝子を全て酵母由来(セルフクローニン
グ型)にすればよい。しかし、もう一つ問題がある。産
業用の実用酵母株には栄養要求性変異がないので、遺伝
子導入用マーカーとして薬剤耐性遺伝子を使用せざるを
得ないこと、加えて遺伝子導入用のプラスミドには、バ
クテリアの遺伝子配列も含んでいることである。これら
の問題に関しては、遺伝子導入用マーカー及びバクテリ
ア等、他種生物由来の遺伝子配列などの不要な遺伝子配
列を、有用遺伝子の導入後に全て除去してやれば良い。
酵母由来の有用遺伝子を開発して実用酵母へ導入し、導
入後に他の不要な遺伝子配列を全て除去することができ
るようになれば、安全で有用なセルフクローニング型の
遺伝子組換え酵母を作製することができる。
【0004】
【課題を解決するための手段】遺伝子組換え酵母の実用
化における問題点は、産業用の実用酵母には栄養要求性
変異がないために、遺伝子導入用マーカーとして薬剤耐
性遺伝子を使わざるを得ないこと、遺伝子導入用のプラ
スミドにはバクテリア由来の他種遺伝子配列も含んでい
ることである。有用遺伝子の導入後に、それ以外の不要
な他種遺伝子配列を除去することができれば、この問題
が解決できる。本発明では、除去選択型マーカーを持つ
除去選択型プラスミドを用いて、不要な他種遺伝子配列
の除去を行っている。
化における問題点は、産業用の実用酵母には栄養要求性
変異がないために、遺伝子導入用マーカーとして薬剤耐
性遺伝子を使わざるを得ないこと、遺伝子導入用のプラ
スミドにはバクテリア由来の他種遺伝子配列も含んでい
ることである。有用遺伝子の導入後に、それ以外の不要
な他種遺伝子配列を除去することができれば、この問題
が解決できる。本発明では、除去選択型マーカーを持つ
除去選択型プラスミドを用いて、不要な他種遺伝子配列
の除去を行っている。
【0005】除去選択型マーカーを持つ除去選択型プラ
スミドの構造と酵母染色体への導入方法を工夫する事に
より、除去選択型マーカーが脱落する際に、目的とする
有用遺伝子のみを染色体上に残して、他の不要な遺伝子
配列を全て除去することが可能となる。表1に示したよ
うに、今までに除去選択型マーカーはいくつか存在して
いたが、特定の遺伝子変異を持つ酵母に対してしか用い
ることが出来なかった(Rothstein, R. et al., Meth.
Enzymol., 194, 281-301, 1991 ; Sikorski, R.S., Met
h. Enzymol., 194, 302-318, 1991 ; Alani, E. et a
l., Genetics, 116, 541-545, 1987)。それに対し、本
発明の除去技術は特定の遺伝子変異を必要とせず、実用
酵母にも用いることができる、より汎用性の高い技術と
なっている。
スミドの構造と酵母染色体への導入方法を工夫する事に
より、除去選択型マーカーが脱落する際に、目的とする
有用遺伝子のみを染色体上に残して、他の不要な遺伝子
配列を全て除去することが可能となる。表1に示したよ
うに、今までに除去選択型マーカーはいくつか存在して
いたが、特定の遺伝子変異を持つ酵母に対してしか用い
ることが出来なかった(Rothstein, R. et al., Meth.
Enzymol., 194, 281-301, 1991 ; Sikorski, R.S., Met
h. Enzymol., 194, 302-318, 1991 ; Alani, E. et a
l., Genetics, 116, 541-545, 1987)。それに対し、本
発明の除去技術は特定の遺伝子変異を必要とせず、実用
酵母にも用いることができる、より汎用性の高い技術と
なっている。
【0006】
【表1】
【0007】本発明者は、セルフクローニング型の遺伝
子組換え酵母作製のための不要な遺伝子配列の選択的な
除去技術を開発してきた(Akada, R. et al., Mol. Ge
n. Genet., 254, 267-274, 1997 ; J. Biosci. Bioen
g., 87, 43-48, 1999)。例えば、酵母の増殖を阻害す
る増殖阻害遺伝子を、ガラクトース誘導性プロモーター
(GAL1p, GAL7p, GAL10pなど)のような、条件誘導的に
下流域の遺伝子を過剰発現する、つまり遺伝子発現のON
/OFFを人為的に制御できるプロモーターと組み合わせ、
これを酵母遺伝子導入用のプラスミドに組込む。形質転
換操作を行って、このプラスミドを酵母に導入し、その
酵母を条件誘導性プロモーターが活性化する特定の条件
下においてやると増殖阻害遺伝子が過剰発現して、それ
までは正常に増殖していた細胞が増殖停止を引き起こ
す。もしも、増殖阻害遺伝子が酵母細胞中から脱落すれ
ば増殖停止は起こらずに、その酵母細胞は正常に生育で
きるため、増殖阻害遺伝子が細胞中から除去された酵母
を選択することができる。
子組換え酵母作製のための不要な遺伝子配列の選択的な
除去技術を開発してきた(Akada, R. et al., Mol. Ge
n. Genet., 254, 267-274, 1997 ; J. Biosci. Bioen
g., 87, 43-48, 1999)。例えば、酵母の増殖を阻害す
る増殖阻害遺伝子を、ガラクトース誘導性プロモーター
(GAL1p, GAL7p, GAL10pなど)のような、条件誘導的に
下流域の遺伝子を過剰発現する、つまり遺伝子発現のON
/OFFを人為的に制御できるプロモーターと組み合わせ、
これを酵母遺伝子導入用のプラスミドに組込む。形質転
換操作を行って、このプラスミドを酵母に導入し、その
酵母を条件誘導性プロモーターが活性化する特定の条件
下においてやると増殖阻害遺伝子が過剰発現して、それ
までは正常に増殖していた細胞が増殖停止を引き起こ
す。もしも、増殖阻害遺伝子が酵母細胞中から脱落すれ
ば増殖停止は起こらずに、その酵母細胞は正常に生育で
きるため、増殖阻害遺伝子が細胞中から除去された酵母
を選択することができる。
【0008】遺伝子操作系を完成した次には、その応用
が目的となる。そこでこの遺伝子操作系を、実用酵母と
くに醸造用酵母に応用する事を考えた。そのためには、
まず醸造特性を変える有用遺伝子が必要である。そこ
で、遺伝子の発現量の増減により、芳香成分を高生産す
る遺伝子に注目した。清酒を例としてあげれば、芳香成
分の内、カプロン酸エチル(林檎様の香り) と酢酸イソ
アミル(洋梨様の香り)は清酒の「吟醸香」の二大成分
であり、このような成分を高生産する醸造酵母の価値は
特に高い。カプロン酸エチルの生合成経路に関わる遺伝
子FAS2(Inokoshi, J., et al., Mol. Gen. Genet., 24
4, 90-96, 1994)、酢酸イソアミルの生合成経路に関わ
る遺伝子ATF1(Yoshimoto, H.,et al., J. Ferm. Bioen
g., Vol. 86, No. 1, 15-20. 1998)の存在は既に知ら
れている(表2)。
が目的となる。そこでこの遺伝子操作系を、実用酵母と
くに醸造用酵母に応用する事を考えた。そのためには、
まず醸造特性を変える有用遺伝子が必要である。そこ
で、遺伝子の発現量の増減により、芳香成分を高生産す
る遺伝子に注目した。清酒を例としてあげれば、芳香成
分の内、カプロン酸エチル(林檎様の香り) と酢酸イソ
アミル(洋梨様の香り)は清酒の「吟醸香」の二大成分
であり、このような成分を高生産する醸造酵母の価値は
特に高い。カプロン酸エチルの生合成経路に関わる遺伝
子FAS2(Inokoshi, J., et al., Mol. Gen. Genet., 24
4, 90-96, 1994)、酢酸イソアミルの生合成経路に関わ
る遺伝子ATF1(Yoshimoto, H.,et al., J. Ferm. Bioen
g., Vol. 86, No. 1, 15-20. 1998)の存在は既に知ら
れている(表2)。
【0009】
【表2】
【0010】遺伝子の中には、破壊することにより、そ
の風味や香り等が改善される遺伝子の存在も知られてい
る(表2)。これらの遺伝子は、本発明の方法によって
遺伝子発現量を抑制することにより、風味や香り等を、
より微妙に調節できると考えられる。
の風味や香り等が改善される遺伝子の存在も知られてい
る(表2)。これらの遺伝子は、本発明の方法によって
遺伝子発現量を抑制することにより、風味や香り等を、
より微妙に調節できると考えられる。
【0011】実施例においてはATF1遺伝子を用いた例を
記載してあるが、本発明においては、実用酵母とくに醸
造用酵母の遺伝子であって、産業上の有用性を有する遺
伝子であれば特に制限はない。ATF1遺伝子に注目した最
大の理由は、ATF1遺伝子が酢酸イソアミルの合成酵素で
あるアセチルトランスフェラーゼをコードしており、影
響がより直接的であるからである。ATF1遺伝子の過剰発
現、発現抑制や破壊により、酢酸イソアミル生産能が変
化することは既に研究されており(Yoshimoto,H.,et a
l., J. Ferm. Bioeng., Vol. 86, No. 1, 15-20. 199
8)、本発明者もプロモーターを最も発現量の高い恒常
的発現プロモーターの一つとして知られるグリセルアル
デヒド-3-リン酸 デヒドロゲナーゼ3(TDH3)のプロモ
ーターに置換して発現レベルを変え、TDH3p-ATF1配列の
W303-1A株への導入により22.5倍の酢酸イソアミルの超
高生産(Wild-Type: 0.03 ppm, p305TDH3pATF1-5導入
株: 0.68±0.22 ppm)を確認している。しかし実用化に
は、不要な他種遺伝子配列の残留という問題が残ってい
た。
記載してあるが、本発明においては、実用酵母とくに醸
造用酵母の遺伝子であって、産業上の有用性を有する遺
伝子であれば特に制限はない。ATF1遺伝子に注目した最
大の理由は、ATF1遺伝子が酢酸イソアミルの合成酵素で
あるアセチルトランスフェラーゼをコードしており、影
響がより直接的であるからである。ATF1遺伝子の過剰発
現、発現抑制や破壊により、酢酸イソアミル生産能が変
化することは既に研究されており(Yoshimoto,H.,et a
l., J. Ferm. Bioeng., Vol. 86, No. 1, 15-20. 199
8)、本発明者もプロモーターを最も発現量の高い恒常
的発現プロモーターの一つとして知られるグリセルアル
デヒド-3-リン酸 デヒドロゲナーゼ3(TDH3)のプロモ
ーターに置換して発現レベルを変え、TDH3p-ATF1配列の
W303-1A株への導入により22.5倍の酢酸イソアミルの超
高生産(Wild-Type: 0.03 ppm, p305TDH3pATF1-5導入
株: 0.68±0.22 ppm)を確認している。しかし実用化に
は、不要な他種遺伝子配列の残留という問題が残ってい
た。
【0012】そこで酵母由来の配列のみで、染色体上に
TDH3p-ATF1配列を構築する方法を考えた。除去選択型プ
ラスミドを用いる遺伝子組換えにおいては、導入時の相
同組換えと除去選択時の相同組換えが、目的とする配列
を挟んだ別の位置で起こらないと正常な染色体に戻って
しまう。よってTDH3p-ATF1遺伝子配列を染色体上に構築
するには、TDH3p-ATF1遺伝子配列をそのまま除去選択型
プラスミドと組み合わせただけでは不十分である。TDH3
p-ATF1配列の上流に除去選択時の相同組換えを起こすこ
とのできる配列として、本来ATF1遺伝子が持っているプ
ロモーターよりも上流の配列を導入したup-ATF1p-TDH3p
-ATF1配列を作成し、これを除去選択型プラスミドと組
み合わせることにした。重大な相違点は、従来の技術
(図1)がせいぜい数塩基対からなる変異配列であるの
に対して、数百塩基対からなるプロモーター配列をまた
いで二度目の相同組換えを起こさせる点にある(図
2)。このようなアイデアは、これまでに知られていな
い。
TDH3p-ATF1配列を構築する方法を考えた。除去選択型プ
ラスミドを用いる遺伝子組換えにおいては、導入時の相
同組換えと除去選択時の相同組換えが、目的とする配列
を挟んだ別の位置で起こらないと正常な染色体に戻って
しまう。よってTDH3p-ATF1遺伝子配列を染色体上に構築
するには、TDH3p-ATF1遺伝子配列をそのまま除去選択型
プラスミドと組み合わせただけでは不十分である。TDH3
p-ATF1配列の上流に除去選択時の相同組換えを起こすこ
とのできる配列として、本来ATF1遺伝子が持っているプ
ロモーターよりも上流の配列を導入したup-ATF1p-TDH3p
-ATF1配列を作成し、これを除去選択型プラスミドと組
み合わせることにした。重大な相違点は、従来の技術
(図1)がせいぜい数塩基対からなる変異配列であるの
に対して、数百塩基対からなるプロモーター配列をまた
いで二度目の相同組換えを起こさせる点にある(図
2)。このようなアイデアは、これまでに知られていな
い。
【0013】本発明により、種々の除去選択型プラスミ
ドを用いて、染色体挿入後の不要他種遺伝子の除去が達
成できるようになった。また、あらゆる遺伝子導入用マ
ーカーで、あらゆる酵母に対応できるようになった。従
って、これまでは通常の遺伝子導入用マーカーは同じ株
に一度しか使用できないために、遺伝子操作回数が制限
されていたものが、その制限をなくして同じ遺伝子導入
用マーカーを用いて何度でも遺伝子操作を行うことがで
きるようになった。有用遺伝子として栄養要求性変異の
導入、あるいは遺伝子の破壊によって新たに扱い易い遺
伝子導入用マーカーを使用可能とすることもできるた
め、これまでは使いやすい遺伝子操作系がないために実
用化が難しかった、あるいは全く実用化がされていなか
った酵母においても、今後は、実用化がはるかに容易に
なると言える。そして、醸造特性に関わる有用遺伝子の
利用と遺伝子組換えによる醸造酵母育種によって、除去
選択型プラスミドを用いる遺伝子操作が研究用途だけで
なく、産業用の実用酵母の品種改良に用いることができ
るということを確かに示すことができた。
ドを用いて、染色体挿入後の不要他種遺伝子の除去が達
成できるようになった。また、あらゆる遺伝子導入用マ
ーカーで、あらゆる酵母に対応できるようになった。従
って、これまでは通常の遺伝子導入用マーカーは同じ株
に一度しか使用できないために、遺伝子操作回数が制限
されていたものが、その制限をなくして同じ遺伝子導入
用マーカーを用いて何度でも遺伝子操作を行うことがで
きるようになった。有用遺伝子として栄養要求性変異の
導入、あるいは遺伝子の破壊によって新たに扱い易い遺
伝子導入用マーカーを使用可能とすることもできるた
め、これまでは使いやすい遺伝子操作系がないために実
用化が難しかった、あるいは全く実用化がされていなか
った酵母においても、今後は、実用化がはるかに容易に
なると言える。そして、醸造特性に関わる有用遺伝子の
利用と遺伝子組換えによる醸造酵母育種によって、除去
選択型プラスミドを用いる遺伝子操作が研究用途だけで
なく、産業用の実用酵母の品種改良に用いることができ
るということを確かに示すことができた。
【0014】
【発明の実施の形態】発明の実施の形態を、実施例にも
とづき図面を参照して説明するが、本発明はこれらの実
施例のみに限定されるものではない。
とづき図面を参照して説明するが、本発明はこれらの実
施例のみに限定されるものではない。
【0015】
【実施例1】ATF1プロモーター上流配列の複製と制限酵
素サイトの導入のためのPCR反応について述べる。協会
7号酵母(K7)から抽出した染色体をテンプレートと
し、プライマーにATF1-UPXBAとATF1-UCSALを用い(表
3)、KOD DASH DNA Polymerase(TOYOBO)を用いたPCR反
応を行った。反応混合液の組成を表4に示す。PCR反応
サイクルは、[ 95℃, 1 min → 30 cycle×( 95℃, 3
0 sec → 56℃, 2 sec →74℃, 2 min )→ 4℃ ]であ
った。PCR反応後の反応液を電気泳動し、目的の2.0kbの
バンドを分離、精製した。これにより、ATF1プロモータ
ー上流配列を約2.0kbにわたって複製すると共に、同時
にプライマーATF1-UPXBAによって制限酵素XbaIのサイ
トを、プライマーATF1-UCSALによって制限酵素SalIの
サイトを導入した。
素サイトの導入のためのPCR反応について述べる。協会
7号酵母(K7)から抽出した染色体をテンプレートと
し、プライマーにATF1-UPXBAとATF1-UCSALを用い(表
3)、KOD DASH DNA Polymerase(TOYOBO)を用いたPCR反
応を行った。反応混合液の組成を表4に示す。PCR反応
サイクルは、[ 95℃, 1 min → 30 cycle×( 95℃, 3
0 sec → 56℃, 2 sec →74℃, 2 min )→ 4℃ ]であ
った。PCR反応後の反応液を電気泳動し、目的の2.0kbの
バンドを分離、精製した。これにより、ATF1プロモータ
ー上流配列を約2.0kbにわたって複製すると共に、同時
にプライマーATF1-UPXBAによって制限酵素XbaIのサイ
トを、プライマーATF1-UCSALによって制限酵素SalIの
サイトを導入した。
【0016】
【表3】
【0017】
【表4】
【0018】p305ATTDH3pATF1プラスミドの作製法は、
以下の通りである。PCR法により合成したATF1プロモー
ター上流の配列を制限酵素XbaIとSalIで切断したフラ
グメント(2kb)と、p305TDH3pATF1-5を制限酵素XbaIとS
alIで切断後Alkali Phosphatase処理を行ったベクター
(7.4kb) とのLigationを行い、大腸菌にLigation溶液を
形質転換してプラスミドp305ATTDH3pATF1を作製した。p
GG119TDH3pATF1プラスミドは、pGG119を制限酵素XbaI
とSalIで切断後Alkali Phosphatase処理を行ったベク
ター(7.4kb) とp305ATTDH3pATF1を制限酵素XbaIとXho
Iで切断したフラグメント(3.8kb)とのLigationを行
い、大腸菌にLigation溶液を形質転換してプラスミドpG
G119TDH3pATF1を作製した(図3)。
以下の通りである。PCR法により合成したATF1プロモー
ター上流の配列を制限酵素XbaIとSalIで切断したフラ
グメント(2kb)と、p305TDH3pATF1-5を制限酵素XbaIとS
alIで切断後Alkali Phosphatase処理を行ったベクター
(7.4kb) とのLigationを行い、大腸菌にLigation溶液を
形質転換してプラスミドp305ATTDH3pATF1を作製した。p
GG119TDH3pATF1プラスミドは、pGG119を制限酵素XbaI
とSalIで切断後Alkali Phosphatase処理を行ったベク
ター(7.4kb) とp305ATTDH3pATF1を制限酵素XbaIとXho
Iで切断したフラグメント(3.8kb)とのLigationを行
い、大腸菌にLigation溶液を形質転換してプラスミドpG
G119TDH3pATF1を作製した(図3)。
【0019】
【実施例2】酵母への形質転換法は、Chenらによる方法
(Chen, D.C., Curr. Genet. 21, 83-84, 1992)を元に
したOne-Step形質転換法を用いた。
(Chen, D.C., Curr. Genet. 21, 83-84, 1992)を元に
したOne-Step形質転換法を用いた。
【0020】pGG119TDH3pATF1プラスミドを、制限酵素S
phIによりATF1のORF(Open Reading Frame)内で1 cut
し、セルレニン含有培地(MM + cer 1.0 μg/ml培地)
でK7株に形質転換した。薬剤耐性セレクションにより、
MM + cer 1.0μg/ml培地およびシクロヘキシミド含有培
地(MM + cyc 0.5μg/ml培地)の両方に耐性を示した形
質転換体を、染色体組込み株の候補として選択した。そ
れらの候補株の中から、後に染色体組込み体であること
が確認された株の一つRAK1809を、薬剤培地にストリー
クして28℃で3日間静置培養した結果を示した(図
4)。
phIによりATF1のORF(Open Reading Frame)内で1 cut
し、セルレニン含有培地(MM + cer 1.0 μg/ml培地)
でK7株に形質転換した。薬剤耐性セレクションにより、
MM + cer 1.0μg/ml培地およびシクロヘキシミド含有培
地(MM + cyc 0.5μg/ml培地)の両方に耐性を示した形
質転換体を、染色体組込み株の候補として選択した。そ
れらの候補株の中から、後に染色体組込み体であること
が確認された株の一つRAK1809を、薬剤培地にストリー
クして28℃で3日間静置培養した結果を示した(図
4)。
【0021】PCRプライマーにTDH3-1とATF1-UCSALの組
み合わせを用いると、テンプレートがプラスミドの場合
ではATF1のORFのC末端が削れていてATF1-UCSAL がアニ
ーリングできないために、またテンプレートがWild-Typ
eの染色体の場合ではATF1の近くにTDH3プロモーターの
配列が無いために、それぞれTDH3p-ATF1配列をPCRによ
り合成することが出来ない(図5A)。染色体組込み体
ならば、ATF1のORFのC末端が補われているため、TDH3p
-ATF1配列(2.3kb)を合成することが出来る。抽出した
染色体をテンプレートとし、プライマーにTDH3-1とATF1
-APAを用いてPCR反応を行った場合に、2.3kbのバンドが
合成されるか否かでTDH3p-ATF1配列の導入を確認した
(図5B)。
み合わせを用いると、テンプレートがプラスミドの場合
ではATF1のORFのC末端が削れていてATF1-UCSAL がアニ
ーリングできないために、またテンプレートがWild-Typ
eの染色体の場合ではATF1の近くにTDH3プロモーターの
配列が無いために、それぞれTDH3p-ATF1配列をPCRによ
り合成することが出来ない(図5A)。染色体組込み体
ならば、ATF1のORFのC末端が補われているため、TDH3p
-ATF1配列(2.3kb)を合成することが出来る。抽出した
染色体をテンプレートとし、プライマーにTDH3-1とATF1
-APAを用いてPCR反応を行った場合に、2.3kbのバンドが
合成されるか否かでTDH3p-ATF1配列の導入を確認した
(図5B)。
【0022】TDH3p-ATF1配列導入の確認のためのPCR反
応は、抽出した染色体をテンプレートとし、プライマー
にTDH3-1とATF1-APA(表5)を用いてKOD DASH DNA Pol
ymerase (TOYOBO)を用いたPCR反応を行った。反応混合
液の組成を表6に示す。PCR反応サイクルは、[ 94℃,
1 min → 25 cycle×( 94℃, 20 sec → 54℃, 2 sec
→ 74℃, 2 min )→ 4℃ ]である。
応は、抽出した染色体をテンプレートとし、プライマー
にTDH3-1とATF1-APA(表5)を用いてKOD DASH DNA Pol
ymerase (TOYOBO)を用いたPCR反応を行った。反応混合
液の組成を表6に示す。PCR反応サイクルは、[ 94℃,
1 min → 25 cycle×( 94℃, 20 sec → 54℃, 2 sec
→ 74℃, 2 min )→ 4℃ ]である。
【0023】
【表5】
【0024】
【表6】
【0025】染色体組込み体の候補から染色体を抽出し
てテンプレートとし、プライマーにTDH3-1とATF1-APAを
用いたPCR法による確認を行ったところ、目的のバンド
が検出された株 RAK1807、RAK1808及びRAK1809があった
(図5B)。得られた染色体組み込み体 RAK1807、RAK1
808及びRAK1809について、YPgal培地で除去選択を行っ
た。除去選択によって得られた株の薬剤耐性を調べた。
それぞれの株を薬剤培地にストリークして、28℃で3日
間静置培養した結果を示した(図4)。除去選択後の株
では薬剤耐性はなくなり、Wild-Typeと同様、MM + cer
1.0μg/ml培地やMM + cyc 0.5μg/ml培地で生育できな
くなった。これは除去選択マーカーと共に薬剤耐性マー
カーが脱落した事を意味する。
てテンプレートとし、プライマーにTDH3-1とATF1-APAを
用いたPCR法による確認を行ったところ、目的のバンド
が検出された株 RAK1807、RAK1808及びRAK1809があった
(図5B)。得られた染色体組み込み体 RAK1807、RAK1
808及びRAK1809について、YPgal培地で除去選択を行っ
た。除去選択によって得られた株の薬剤耐性を調べた。
それぞれの株を薬剤培地にストリークして、28℃で3日
間静置培養した結果を示した(図4)。除去選択後の株
では薬剤耐性はなくなり、Wild-Typeと同様、MM + cer
1.0μg/ml培地やMM + cyc 0.5μg/ml培地で生育できな
くなった。これは除去選択マーカーと共に薬剤耐性マー
カーが脱落した事を意味する。
【0026】薬剤耐性がなくなっていた除去選択後の株
について、染色体組込み体の場合と同様に、プライマー
にTDH3-1とATF1-APAを用いたPCR法による確認を行った
ところ、9株中2株において目的サイズのバンドが検出
された。バンドが検出されなかったものは不要配列が脱
落する際の相同組換えがATF1のORF内で起こって再び野
生型に戻ってしまったものであり、検出されたものは不
要配列が脱落する際の相同組換えが目的通りup-ATF1pの
配列内で起こりTDH3p-ATF1配列が染色体上で構築された
ものであると考えられる。延べ11株に対しPCR法による
確認を行い、最終的にRAK1857、 RAK1858及びRAK1861の
3株において目的サイズのバンドが検出された(図5
B)。
について、染色体組込み体の場合と同様に、プライマー
にTDH3-1とATF1-APAを用いたPCR法による確認を行った
ところ、9株中2株において目的サイズのバンドが検出
された。バンドが検出されなかったものは不要配列が脱
落する際の相同組換えがATF1のORF内で起こって再び野
生型に戻ってしまったものであり、検出されたものは不
要配列が脱落する際の相同組換えが目的通りup-ATF1pの
配列内で起こりTDH3p-ATF1配列が染色体上で構築された
ものであると考えられる。延べ11株に対しPCR法による
確認を行い、最終的にRAK1857、 RAK1858及びRAK1861の
3株において目的サイズのバンドが検出された(図5
B)。
【0027】抽出した染色体をAflIIとNaeIの2種類の
制限酵素で処理すると、NaeIがATF1遺伝子の上流、AflI
IがATF1遺伝子の下流を切断することができ、染色体組
み込み体ではWild-Typeの4.9kbのバンドとプラスミド配
列全長の挿入を示す16.1kbのバンド、除去選択後ではWi
ld-Typeの4.9kbのバンドとTDH3p-ATF1配列が導入された
状態を示す5.6kbのバンドが検出できるはずである。抽
出した染色体を制限酵素AflII及び NaeIで処理したも
の(染色体DNA溶液10μl分に相当)に対しATF1プローブ
を用いたSouthern blot hybridizationによる確認を行
ったところ、全ての株において10kbより少し大きいサイ
ズのバンドが見られ(図6)、染色体組込み体RAK180
7、RAK1808及びRAK1809ではそれよりもさらに大きいバ
ンドが検出された。RAK1809を除去選択した株RAK1857、
RAK1858及びRAK1861ではそのバンドは消失していた。こ
の結果について、10kbより少し大きいサイズのバンド
は、制限酵素NaeIによる切断がされずに制限酵素AflII
によってNaeIよりも約6.7kb上流にあるサイトが切断さ
れた場合のサイズ11.6kbと一致する。よってNaeIによ
る切断がうまくいかなかったと考えられた。よって染色
体組込み体のみで検出されたバンドは11.6kbにプラスミ
ドの全長11.2kbが挿入された約23kbのバンドであると説
明がつき、そのバンドは除去選択後には完全に消滅して
いることから、染色体組込み体の取得とその株の除去選
択に成功したとわかった。
制限酵素で処理すると、NaeIがATF1遺伝子の上流、AflI
IがATF1遺伝子の下流を切断することができ、染色体組
み込み体ではWild-Typeの4.9kbのバンドとプラスミド配
列全長の挿入を示す16.1kbのバンド、除去選択後ではWi
ld-Typeの4.9kbのバンドとTDH3p-ATF1配列が導入された
状態を示す5.6kbのバンドが検出できるはずである。抽
出した染色体を制限酵素AflII及び NaeIで処理したも
の(染色体DNA溶液10μl分に相当)に対しATF1プローブ
を用いたSouthern blot hybridizationによる確認を行
ったところ、全ての株において10kbより少し大きいサイ
ズのバンドが見られ(図6)、染色体組込み体RAK180
7、RAK1808及びRAK1809ではそれよりもさらに大きいバ
ンドが検出された。RAK1809を除去選択した株RAK1857、
RAK1858及びRAK1861ではそのバンドは消失していた。こ
の結果について、10kbより少し大きいサイズのバンド
は、制限酵素NaeIによる切断がされずに制限酵素AflII
によってNaeIよりも約6.7kb上流にあるサイトが切断さ
れた場合のサイズ11.6kbと一致する。よってNaeIによ
る切断がうまくいかなかったと考えられた。よって染色
体組込み体のみで検出されたバンドは11.6kbにプラスミ
ドの全長11.2kbが挿入された約23kbのバンドであると説
明がつき、そのバンドは除去選択後には完全に消滅して
いることから、染色体組込み体の取得とその株の除去選
択に成功したとわかった。
【0028】TDH3p-ATF1配列が導入されている場合に
は、新たにSalIの制限酵素サイトがTDH3プロモーター
のすぐ上流に生じる。抽出した染色体をAflIIとNaeI及
びSalIの3種類の制限酵素で処理すると、完全に切断で
きた場合にはWild-Typeは4.9kbのみ、染色体組み込み体
では13.5kb, 4.9kb, 2.6kb、除去選択後にTDH3p-ATF1配
列が導入されている状態では4.9kb, 2.6kbのバンドが検
出できるはずである。図6に用いたものと同じ抽出した
染色体を制限酵素AflII及びNaeIで処理したもの(染色
体DNA溶液5μl分に相当)をさらに制限酵素SalIで処理
し、ATF1プローブを用いたSouthern blot hybridizatio
nによる検出を行ったところ、Wild-Typeは6kb付近の
み、染色体組込み体RAK1807、RAK1808及びRAK1809では6
kb付近と目的の2.6kb付近、それに10kb以上のバンド二
本、除去選択後の株RAK1857、RAK1858及びRAK1861では6
kb付近と目的の2.6kb付近のバンドが検出された(図
7)。染色体上のNaeIサイトの1.2kb上流にもSalIサ
イトがあることから、この結果もまた、NaeIによる切
断がうまくいかなかったと考えると説明がつく。目的の
2.6kb付近のバンドが、Wild-Typeでは検出されず染色体
組込み体と除去選択後の株で検出されたことから、これ
らの染色体上にTDH3p-ATF1配列が導入されているとわか
った。ただしRAK1807では、目的の2.6kb付近のバンドが
非常に薄い。RAK1807は、先のPCR法による確認でもバン
ドが薄かった。RAK1807はSalIサイトの部分、つまりプ
ライマーTDH3-1がアニーリングするサイトに、何らかの
変異が生じているのかもしれない。
は、新たにSalIの制限酵素サイトがTDH3プロモーター
のすぐ上流に生じる。抽出した染色体をAflIIとNaeI及
びSalIの3種類の制限酵素で処理すると、完全に切断で
きた場合にはWild-Typeは4.9kbのみ、染色体組み込み体
では13.5kb, 4.9kb, 2.6kb、除去選択後にTDH3p-ATF1配
列が導入されている状態では4.9kb, 2.6kbのバンドが検
出できるはずである。図6に用いたものと同じ抽出した
染色体を制限酵素AflII及びNaeIで処理したもの(染色
体DNA溶液5μl分に相当)をさらに制限酵素SalIで処理
し、ATF1プローブを用いたSouthern blot hybridizatio
nによる検出を行ったところ、Wild-Typeは6kb付近の
み、染色体組込み体RAK1807、RAK1808及びRAK1809では6
kb付近と目的の2.6kb付近、それに10kb以上のバンド二
本、除去選択後の株RAK1857、RAK1858及びRAK1861では6
kb付近と目的の2.6kb付近のバンドが検出された(図
7)。染色体上のNaeIサイトの1.2kb上流にもSalIサ
イトがあることから、この結果もまた、NaeIによる切
断がうまくいかなかったと考えると説明がつく。目的の
2.6kb付近のバンドが、Wild-Typeでは検出されず染色体
組込み体と除去選択後の株で検出されたことから、これ
らの染色体上にTDH3p-ATF1配列が導入されているとわか
った。ただしRAK1807では、目的の2.6kb付近のバンドが
非常に薄い。RAK1807は、先のPCR法による確認でもバン
ドが薄かった。RAK1807はSalIサイトの部分、つまりプ
ライマーTDH3-1がアニーリングするサイトに、何らかの
変異が生じているのかもしれない。
【0029】pGG119TDH3pATF1は、市販のpBLUESCRIPT K
S+に由来するプラスミドである。除去選択後にpBLUESCR
IPT KS+と相補的な配列が一切残っていなければ、不要
配列脱落は完全であると言える。図6に用いたものと同
じ、抽出した染色体を制限酵素AflII及び NaeIで処理
したもの(染色体DNA溶液5μl分に相当)に対し KS+ vect
orプローブを用いたSouthern blot hybridizationによ
る検出を行ったところ、染色体組み込み体RAK1807、RAK
1808及びRAK1809でのみ染色体にプラスミドの全長が挿
入されたと考えられる約23kbの大きなバンドが検出さ
れ、除去選択後の株RAK1857、RAK1858及びRAK1861ではW
ild-Typeと同様にいかなるバンドも検出されなかった
(図8)。よって除去選択によって得られた株に、不要
なDNA配列は一切残っていないことが証明された。
S+に由来するプラスミドである。除去選択後にpBLUESCR
IPT KS+と相補的な配列が一切残っていなければ、不要
配列脱落は完全であると言える。図6に用いたものと同
じ、抽出した染色体を制限酵素AflII及び NaeIで処理
したもの(染色体DNA溶液5μl分に相当)に対し KS+ vect
orプローブを用いたSouthern blot hybridizationによ
る検出を行ったところ、染色体組み込み体RAK1807、RAK
1808及びRAK1809でのみ染色体にプラスミドの全長が挿
入されたと考えられる約23kbの大きなバンドが検出さ
れ、除去選択後の株RAK1857、RAK1858及びRAK1861ではW
ild-Typeと同様にいかなるバンドも検出されなかった
(図8)。よって除去選択によって得られた株に、不要
なDNA配列は一切残っていないことが証明された。
【0030】以上の薬剤耐性の消滅、PCR法による確
認、2種類のプローブを用いたSouthernblot hybridizat
ionによる確認等の結果より、実用酵母染色体上に不要
な他種遺伝子配列を一切残さずに、染色体上にTDH3p-AT
F1配列のみを構築したことが確認された。これにより不
要な他種遺伝子配列を一切残さずに、酵母由来の遺伝子
のみを用いて、実用酵母の染色体上のあらゆる遺伝子を
発現調節することのできる技術が完成した。
認、2種類のプローブを用いたSouthernblot hybridizat
ionによる確認等の結果より、実用酵母染色体上に不要
な他種遺伝子配列を一切残さずに、染色体上にTDH3p-AT
F1配列のみを構築したことが確認された。これにより不
要な他種遺伝子配列を一切残さずに、酵母由来の遺伝子
のみを用いて、実用酵母の染色体上のあらゆる遺伝子を
発現調節することのできる技術が完成した。
【0031】
【発明の効果】本発明によれば、除去選択型プラスミド
を用いて作製されるセルフクローニング型の遺伝子組換
え実用酵母により、不要な他種遺伝子配列を一切残さず
に、酵母由来の遺伝子のみを用いて、実用酵母の染色体
上のあらゆる遺伝子を発現調節することのできる技術が
完成した。
を用いて作製されるセルフクローニング型の遺伝子組換
え実用酵母により、不要な他種遺伝子配列を一切残さず
に、酵母由来の遺伝子のみを用いて、実用酵母の染色体
上のあらゆる遺伝子を発現調節することのできる技術が
完成した。
【図1】従来の技術による除去選択型プラスミドの使用
法を示す図である。
法を示す図である。
【図2】酵母由来の配列のみで染色体上にTDH3-ATF1配
列を構築する方法を示す図である。
列を構築する方法を示す図である。
【図3】pGG119TDH3pATF1プラスミドの作製法を示す図
である。
である。
【図4】pGG119TDH3pATF1染色体組込み体と除去選択後
の株の薬剤耐性を示す図である。
の株の薬剤耐性を示す図である。
【図5】染色体上のTDH3p-ATF1配列のPCR法による確認
を示す図である。
を示す図である。
【図6】pGG119TDH3pATF1染色体組込み体及び除去選択
後の株のSouthern blot hybridizationによる確認を示
す図である。
後の株のSouthern blot hybridizationによる確認を示
す図である。
【図7】染色体上のTDH3p-ATF1配列のSouthern blot hy
bridizationによる確認を示す図である。
bridizationによる確認を示す図である。
【図8】pGG119TDH3pATF1染色体組込み体及び不要配列
完全脱落のSouthern blot hybridizationによる確認を
示す図である。
完全脱落のSouthern blot hybridizationによる確認を
示す図である。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
Fターム(参考) 4B024 AA05 AA20 CA01 DA12 EA04
FA01 FA02 FA10 GA19 GA27
HA20
4B065 AA80X AA80Y AB01 BA02
BA25 CA42
Claims (9)
- 【請求項1】 プロモーターの上流領域を含む酵母遺
伝子のプロモーター領域が、発現調節可能な酵母由来の
別のプロモーターによって置換されているかまたはそこ
に挿入されていることを特徴とする、除去選択型プラス
ミドを用いて作製されるセルフクローニング型の遺伝子
組換え実用酵母。 - 【請求項2】 発現調節可能な酵母由来の別のプロモー
ターが発現過剰型または発現抑制型であることを特徴と
する、請求項1に記載の除去選択型プラスミドを用いて
作製されるセルフクローニング型の遺伝子組換え実用酵
母。 - 【請求項3】 発現調節可能なプロモーターが発現過剰
型であることを特徴とする、請求項1または2に記載の
除去選択型プラスミドを用いて作製されるセルフクロー
ニング型の遺伝子組換え実用酵母。 - 【請求項4】 プロモーターの上流領域を含む酵母のAT
F1遺伝子のプロモーター領域が酵母由来のTDH3プロモー
ターによって置換されている、請求項1から3のいずれ
かに記載の除去選択型プラスミドを用いて作製されるセ
ルフクローニング型の遺伝子組換え実用酵母。 - 【請求項5】 除去選択用の遺伝子配列がガラクトース
誘導性プロモーター(GALp)の下流にGIN11M86配列を有
する、請求項1から4のいずれかに記載の除去選択型プ
ラスミドを用いて作製されるセルフクローニング型の遺
伝子組換え実用酵母。 - 【請求項6】 プロモーターの上流領域を含む酵母遺伝
子のプロモーター領域が、発現調節可能な酵母由来の別
のプロモーターによって置換されているかまたはそこに
挿入されていることを特徴とする除去選択型プラスミド
により実用酵母を形質転換した後、除去選択によりセル
フクローニング型の遺伝子組換え実用酵母を作製するこ
とを特徴とする作製法。 - 【請求項7】 発現調節可能なプロモーターが発現過剰
型または発現抑制型であることを特徴とする、請求項6
に記載のセルフクローニング型の遺伝子組換え実用酵母
の作製法。 - 【請求項8】 発現調節可能なプロモーターが発現過剰
型であることを特徴とする、請求項6または7に記載の
セルフクローニング型の遺伝子組換え実用酵母の作製
法。 - 【請求項9】 除去選択型プラスミドによる形質転換時
の相同的組換えで酵母染色体上にプラスミド遺伝子を組
み込んだ後、 除去選択処理時の相同的組換えにより他
種遺伝子を選択的に除去することを特徴とする、請求項
6から8のいずれかに記載のセルフクローニング型の遺
伝子組換え実用酵母の作製法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2001344458A JP2003144164A (ja) | 2001-11-09 | 2001-11-09 | 除去選択型プラスミドを用いて作製されるセルフクローニング型の遺伝子組換え実用酵母及びその作製法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2001344458A JP2003144164A (ja) | 2001-11-09 | 2001-11-09 | 除去選択型プラスミドを用いて作製されるセルフクローニング型の遺伝子組換え実用酵母及びその作製法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2003144164A true JP2003144164A (ja) | 2003-05-20 |
Family
ID=19157981
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP2001344458A Pending JP2003144164A (ja) | 2001-11-09 | 2001-11-09 | 除去選択型プラスミドを用いて作製されるセルフクローニング型の遺伝子組換え実用酵母及びその作製法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2003144164A (ja) |
Cited By (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| WO2007063919A1 (ja) * | 2005-11-29 | 2007-06-07 | Asahi Glass Company, Limited | 染色体改変方法 |
| JP2018011553A (ja) * | 2016-07-21 | 2018-01-25 | 独立行政法人酒類総合研究所 | 1,2−ジヒドロキシ−5−(メチルスルフィニル)ペンタン−3−オンの生成能が低い酵母の作出方法 |
-
2001
- 2001-11-09 JP JP2001344458A patent/JP2003144164A/ja active Pending
Cited By (5)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| WO2007063919A1 (ja) * | 2005-11-29 | 2007-06-07 | Asahi Glass Company, Limited | 染色体改変方法 |
| US7935533B2 (en) | 2005-11-29 | 2011-05-03 | Asahi Glass Company, Limited | Chromosome manipulation method |
| JP5200542B2 (ja) * | 2005-11-29 | 2013-06-05 | 旭硝子株式会社 | 染色体改変方法 |
| JP2018011553A (ja) * | 2016-07-21 | 2018-01-25 | 独立行政法人酒類総合研究所 | 1,2−ジヒドロキシ−5−(メチルスルフィニル)ペンタン−3−オンの生成能が低い酵母の作出方法 |
| JP7101362B2 (ja) | 2016-07-21 | 2022-07-15 | 独立行政法人酒類総合研究所 | 1,2-ジヒドロキシ-5-(メチルスルフィニル)ペンタン-3-オンの生成能が低い酵母の作出方法 |
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