JP2003159768A - 絶縁フィルムおよびこれを用いた多層配線基板 - Google Patents

絶縁フィルムおよびこれを用いた多層配線基板

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JP2003159768A
JP2003159768A JP2001361547A JP2001361547A JP2003159768A JP 2003159768 A JP2003159768 A JP 2003159768A JP 2001361547 A JP2001361547 A JP 2001361547A JP 2001361547 A JP2001361547 A JP 2001361547A JP 2003159768 A JP2003159768 A JP 2003159768A
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liquid crystal
crystal polymer
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polymer layer
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Takuji Seri
拓司 世利
Katsura Hayashi
桂 林
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Kyocera Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 有機材料から成る絶縁フィルムおよびこれを
用いた多層配線基板において、配線の高密度化や絶縁性
・導通信頼性・高周波伝送特性をともに満足させること
ができない。 【解決手段】 トリアリルイソシアヌレートとの接触角
が3〜50°であって、かつ表面のベンゼン環の吸光度B
に対する表面のカルボニル基の吸光度Aの比A/Bが1.
8〜6.5である液晶ポリマー層1の上下面にポリフェニレ
ンエーテル系有機物から成る被覆層2を形成して成るこ
とを特徴とする絶縁フィルム3、および、上下面の少な
くとも一方の面に金属箔から成る配線導体4が配設され
た上記の絶縁フィルム3を複数積層して成るとともに、
この絶縁フィルム3を挟んで上下に位置する配線導体4
間を絶縁フィルム3に形成された貫通導体5を介して電
気的に接続したことを特徴とする多層配線基板6であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、各種AV機器や家
電機器・通信機器・コンピュータやその周辺機器等の電
子機器に使用される絶縁フィルムおよびこれを用いた多
層配線基板に関し、特に液晶ポリマーを一部に用いた絶
縁フィルムおよびこれを用いた多層配線基板に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、半導体素子等の能動部品や容量素
子・抵抗素子等の受動部品を多数搭載して所定の電子回
路を構成した混成集積回路を形成するための多層配線基
板は、通常、ガラスクロスにエポキシ樹脂を含浸させて
成る絶縁フィルムにドリルによって上下に貫通孔を形成
し、この貫通孔内部および絶縁層表面に複数の配線導体
を形成した配線基板を、多数積層することによって形成
されている。
【0003】一般に、現在の電子機器は、移動体通信機
器に代表されるように小型・薄型・軽量・高性能・高機
能・高品質・高信頼性が要求されており、このような電
子機器に搭載される混成集積回路等の電子部品も小型・
高密度化が要求されるようになってきており、このよう
な高密度化の要求に応えるために、電子部品を構成する
多層配線基板も、配線導体の微細化や絶縁層の薄層化・
貫通孔の微細化が必要となってきている。このため、近
年、貫通孔を微細化するために、ドリル加工より微細加
工が可能なレーザ加工が用いられるようになってきた。
【0004】しかしながら、ガラスクロスにエポキシ樹
脂を含浸させて成る絶縁フィルムは、ガラスクロスをレ
ーザにより穿設加工することが困難なために貫通孔の微
細化には限界があり、また、ガラスクロスの厚みが不均
一のために均一な孔径の貫通孔を形成することが困難で
あるという問題点を有していた。
【0005】このような問題点を解決するために、アラ
ミド樹脂繊維で製作した不織布にエポキシ樹脂を含浸さ
せて成る絶縁フィルムや、ポリイミドフィルムにエポキ
シ系接着剤を塗布して成る絶縁フィルムを絶縁層に用い
た多層配線基板が提案されている。
【0006】しかしながら、アラミド不織布やポリイミ
ドフィルムを用いた絶縁フィルムは吸湿性が高く、吸湿
した状態で半田リフローを行なうと半田リフローの熱に
より吸湿した水分が気化してガスが発生し、絶縁層間で
剥離してしまう等の問題点を有していた。
【0007】このような問題点を解決するために、多層
配線基板の絶縁層の材料として液晶ポリマーを用いるこ
とが検討されている。液晶ポリマーから成る層は、剛直
な分子で構成されているとともに分子同士がある程度規
則的に並んだ構成をしており分子間力が強いことから、
高耐熱性・高弾性率・高寸法安定性・低吸湿性を示し、
ガラスクロスのような強化材を用いる必要がなく、ま
た、微細加工性にも優れるという特徴を有している。さ
らに、高周波領域においても、低誘電率・低誘電正接で
あり高周波特性に優れるという特徴を有している。
【0008】このような液晶ポリマーの特徴を活かし、
特開平8−97565号公報には、回路層が第1の液晶ポリマ
ーを含み、この回路層間に第1の液晶ポリマーの融点よ
りも低い融点を有する第2の液晶ポリマーを含む接着剤
層を挿入して成る多層プリント回路基板が提案されてお
り、また、特開2000−269616号公報には熱可塑性液晶ポ
リマーフィルムと金属箔とをエポキシ系接着剤を用いて
接着させて成る高周波回路基板が提案されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開平
8−97565号公報に提案された多層プリント回路基板は、
回路層同士を間に液晶ポリマーを含む接着剤層を挿入し
て熱圧着により接着する際、液晶ポリマー分子が剛直で
あるとともにある程度分子が規則正しく配向して分子間
力が強くなっているために分子が動き難くなり、回路層
の液晶ポリマーと接着剤層の液晶ポリマー表面のごく一
部の分子だけしか絡み合うことができないために密着性
が悪く、高温バイアス試験において層間で剥離して絶縁
不良が発生してしまうという問題点を有していた。ま
た、回路層の導体箔と液晶ポリマーを熱融着により接着
する際、液晶ポリマー分子が動き難いために導体箔表面
の微細な凹部に入ることができず、その結果、十分なア
ンカー効果を発揮することができず、導体箔と液晶ポリ
マーとの密着性が悪くなって、高温高湿下において両者
間で剥離して導体箔が断線してしまうという問題点も有
していた。
【0010】また、特開2000−269616号公報に提案され
た高周波回路基板は、エポキシ系接着剤の誘電率が液晶
ポリマーの誘電率と大きく異なることから、積層時の加
圧によって生じるわずかな厚みばらつきにより、高周波
領域、特に100MHz以上の周波数領域においては伝送
特性が低下してしまうという問題点を有していた。
【0011】本発明はかかる従来技術の問題点に鑑み案
出されたものであり、その目的は、絶縁性・導通信頼性
・高周波伝送特性に優れた絶縁フィルムおよびこれを用
いた多層配線基板を提供することに有る。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の絶縁フィルム
は、トリアリルイソシアヌレートとの接触角が3〜50°
であって、かつ表面のベンゼン環の吸光度Bに対する表
面のカルボニル基の吸光度Aの比A/Bが1.8〜6.5であ
る液晶ポリマー層の上下面にポリフェニレンエーテル系
有機物から成る被覆層を形成して成ることを特徴とする
ものである。
【0013】また、本発明の絶縁フィルムは、上記構成
において、前記液晶ポリマー層の表面エネルギーが45〜
70mJ/m2であることを特徴とするものである。
【0014】さらに、本発明の絶縁フィルムは、上記構
成において、前記液晶ポリマー層の上下面の中心線表面
粗さRaが0.05〜5μmであることを特徴とするもので
ある。
【0015】また、本発明の絶縁フィルムは、上記構成
において、前記ポリフェニレンエーテル系有機物が熱硬
化性ポリフェニレンエーテルであることを特徴とするも
のである。
【0016】さらに、本発明の多層配線基板は、上下面
の少なくとも一方の面に金属箔から成る配線導体が配設
された上記の絶縁フィルムを複数積層して成るととも
に、該絶縁フィルムを挟んで上下に位置する前記配線導
体間を前記絶縁フィルムに形成された貫通導体を介して
電気的に接続したことを特徴とするものである。
【0017】本発明の絶縁フィルムによれば、トリアリ
ルイソシアヌレートとの接触角が3〜50°であって、か
つ表面のベンゼン環の吸光度Bに対する表面のカルボニ
ル基の吸光度Aの比A/Bが1.8〜6.5である液晶ポリマ
ー層の上下面にポリフェニレンエーテル系有機物から成
る被覆層を形成したことから、液晶ポリマー層の上下面
に被覆層が良好に濡れ広がるとともに、液晶ポリマー層
表面の酸素を含有する極性基が形成された分子層と被覆
層とが水素結合力により良好に結合し、その結果、高温
バイアス試験においても両者間で剥離することのない絶
縁フィルムとすることができる。また、ポリフェニレン
エーテル系有機物分子が液晶ポリマー分子ほど剛直でな
く、また、規則正しい配向性も示さないことから分子が
比較的動きやすく、その結果、絶縁フィルムを多層化し
た場合においても、絶縁フィルム同士の密着性が良好と
なり、高温バイアス試験において絶縁フィルム間で剥離
して絶縁不良が発生してしまうということもない。さら
に、絶縁フィルム表面に配線導体を配設した場合におい
ても、ポリフェニレンエーテル系有機物分子が配線導体
表面の微細な凹部に入り込み十分なアンカー効果を発揮
することができ、絶縁フィルムと配線導体との密着性が
良好となり、その結果、高温高湿下で両者間で剥離して
配線導体が断線してしまうということもない。また、ポ
リフェニレンエーテル系有機物から成る被覆層と液晶ポ
リマー層の誘電率の周波数挙動がほぼ等しいことから、
配線導体を接着する際の加圧によって被覆層にわずかな
厚みばらつきが生じたとしても、高周波領域における伝
送特性に低下を生じることのない高周波伝送特性に優れ
た絶縁フィルムとすることができる。
【0018】また、本発明の絶縁フィルムによれば、上
記構成において、液晶ポリマー層の表面エネルギーを45
〜70mJ/m2としたことから、液晶ポリマー層表面の
活性化された比較的熱運動しやすい分子層とポリフェニ
レンエーテル系有機物から成る被覆層とが良好に絡み合
って結合し、液晶ポリマー層と被覆層とがより強固に密
着した絶縁フィルムとすることができる。
【0019】また、本発明の絶縁フィルムによれば、上
記構成において、液晶ポリマー層の上下面の中心線表面
粗さRaを0.05〜5μmとしたことから、液晶ポリマー
層の上下面がポリフェニレンエーテル系有機物から成る
被覆層と良好なアンカー効果を有する密着性の良好なも
のとなり、液晶ポリマー層と被覆層とがより強固に密着
した絶縁フィルムとすることができる。
【0020】さらに、本発明の絶縁フィルムによれば、
上記構成において、ポリフェニレンエーテル系有機物を
熱硬化性ポリフェニレンエーテルとしたことから、熱硬
化性ポリフェニレンエーテルが耐熱性に優れるとともに
寸法安定性に優れ、その結果、温度サイクル信頼性に優
れるとともに、配線導体を接着する際の位置精度の良好
な絶縁フィルムとすることができる。
【0021】また、本発明の多層配線基板によれば、多
層配線基板を上記の絶縁フィルムを用いて形成したこと
から、耐湿性・導通信頼性・高周波伝送特性に優れた多
層配線基板とすることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】次に本発明の絶縁フィルムおよび
多層配線基板を添付の図面に基づいて詳細に説明する。
【0023】図1は、本発明の絶縁フィルムの実施の形
態の一例を示す断面図であり、また、図2は、図1の絶
縁フィルムを用いて製作した本発明の多層配線基板に半
導体素子等の電子部品を搭載して成る混成集積回路の実
施の形態の一例を示す断面図である。さらに、図3は、
図2に示す多層配線基板の配線導体の幅方向の要部拡大
断面図である。これらの図において1は液晶ポリマー
層、2はポリフェニレンエーテル系有機物から成る被覆
層で、主にこれらで本発明の絶縁フィルム3が構成され
ている。また、4は配線導体、5は貫通導体、7は半導
体素子等の電子部品で、主に絶縁フィルム3と配線導体
4と貫通導体5とで本発明の多層配線基板6が構成され
ている。なお、本例の多層配線基板6では、絶縁フィル
ム3を4層積層して成るものを示している。
【0024】絶縁フィルム3は、液晶ポリマー層1と、
その上下面に被着形成されたポリフェニレンエーテル系
有機物から成る被覆層2とから構成されており、これを
用いて多層配線基板6を形成した場合、配線導体4や多
層配線基板6に搭載される電子部品7の支持体としての
機能を有する。
【0025】なお、ここで液晶ポリマーとは、溶融時に
液晶状態あるいは光学的に複屈折する性質を有する芳香
族環含有ポリエステルポリマーを指し、一般に溶融時に
液晶性を示すサーモトロピック液晶性芳香族ポリエステ
ル、あるいは、熱変形温度で分類される1型・2型・3
型すべての液晶性芳香族ポリエステルを含むものであ
り、本発明に用いる液晶ポリマーとしては、温度サイク
ル信頼性・半田耐熱性・加工性の観点からは200〜400℃
の温度、特に250〜350℃の温度に融点を有するものが好
ましい。また、ポリフェニレンエーテル系有機物とは、
ポリフェニレンエーテル樹脂やポリフェニレンエーテル
に種々の官能基が結合した樹脂、あるいはこれらの誘導
体・重合体を意味するものである。
【0026】液晶ポリマー層1は、層としての物性を損
なわない範囲内で、熱安定性を改善するための酸化防止
剤や耐光性を改善するための紫外線吸収剤等の光安定
剤、難燃性を付加するためのハロゲン系もしくはリン酸
系の難燃性剤、アンチモン系化合物やホウ酸亜鉛・メタ
ホウ酸バリウム・酸化ジルコニウム等の難燃助剤、潤滑
性を改善するための高級脂肪酸や高級脂肪酸エステル・
高級脂肪酸金属塩・フルオロカーボン系界面活性剤等の
滑剤、熱膨張係数を調整するため、および/または機械
的強度を向上するための酸化アルミニウム・酸化珪素・
酸化チタン・酸化バリウム・酸化ストロンチウム・酸化
ジルコニウム・酸化カルシウム・ゼオライト・窒化珪素
・窒化アルミニウム・炭化珪素・チタン酸カリウム・チ
タン酸バリウム・チタン酸ストロンチウム・チタン酸カ
ルシウム・ホウ酸アルミニウム・スズ酸バリウム・ジル
コン酸バリウム・ジルコン酸ストロンチウム等の充填材
を含有してもよい。
【0027】なお、上記の充填材等の粒子形状は、略球
状・針状・フレーク状等があり、充填性の観点からは略
球状が好ましい。また、粒子径は、通常0.1〜15μm程
度であり、液晶ポリマー層1の厚みよりも小さい。
【0028】また、液晶ポリマー層1は、被覆層2との
密着性を良好とするために、その表面をバフ研磨・ブラ
スト研磨・ブラシ研磨・プラズマ処理・コロナ処理・紫
外線処理・薬品処理等の方法を用いてトリアリルイソシ
アヌレートとの接触角が3〜50゜であって、かつ表面の
ベンゼン環の吸光度Bに対する表面のカルボニル基の吸
光度Aの比A/Bが1.8〜6.5となるように処理しておく
ことが重要である。
【0029】液晶ポリマー層1に対する液体のトリアリ
ルイソシアヌレートの濡れ性は、液晶ポリマー層1に対
するポリフェニレンエーテルの濡れ性に近似しており、
液晶ポリマー層1の上下面をトリアリルイソシアヌレー
トとの接触角が3〜50°とすることにより、被覆層2が
液晶ポリマー層1の上下面に良好に濡れ広がり、液晶ポ
リマー層1と被覆層2との密着性を良好となすことがで
き、その結果、高温バイアス試験においても両者間で剥
離することのない絶縁フィルム3とすることができる。
【0030】なお、トリアリルイソシアヌレートとの接
触角が3°より小さいと、被覆層2が液晶ポリマー層1
上に極端に広がってしまって位置精度が低下して、絶縁
フィルム3を複数枚重ねるとともに加熱・加圧して多層
化する際に、絶縁フィルム3の表面に形成される配線導
体4や内部に形成される貫通導体5の位置がずれて断線
し易くなる傾向があり、50°を超えると高温バイアス試
験において液晶ポリマー層1と被覆層2との密着性が低
下して両者間で剥離し易くなる傾向がある。したがっ
て、液晶ポリマー層1の上下面のトリアリルイソシアヌ
レートとの接触角を3〜50゜とすることが好ましい。
【0031】また、液晶ポリマー層1表面のベンゼン環
の吸光度Bに対する表面のカルボニル基の吸光度Aの比
A/Bを1.8〜6.5とすることにより、液晶ポリマー層1
表面の酸素を含有する極性基が形成された分子層と被覆
層2とが水素結合力により良好に結合し、両者の密着を
さらに強固なものとすることができる。なお、液晶ポリ
マー層1表面のベンゼン環の吸光度Bに対する表面のカ
ルボニル基の吸光度Aの比A/Bが1.8未満であると、
液晶ポリマー層1表面に酸素を含有する極性基が十分に
形成されず、被覆層2と水素結合力により良好に結合す
ることが困難となる傾向があり、6.5を超えると液晶ポ
リマー層1の表面の水素結合力が非常に高くなって空気
中の水と結合してその表面に水を吸着した分子層が形成
され、その結果、液晶ポリマー層1と被覆層2との密着
性が低下して両者間で剥離し易く成る傾向がある。した
がって、表面のベンゼン環の吸光度Bに対する表面のカ
ルボニル基の吸光度Aの比A/Bを1.8〜6.5とすること
が好ましい。
【0032】なお、ここで表面のベンゼン環の吸光度B
に対する表面のカルボニル基の吸光度Aの比A/Bを1.
8〜6.5とするには、プラズマ処理やコロナ処理・紫外線
処理時間を長くすることにより液晶ポリマー層1表面の
カルボニル基の吸光度Aが大きくなるのに対してベンゼ
ン環の吸光度Bはほとんど変化しないことから、プラズ
マ処理やコロナ処理・紫外線処理時間を適宜設定すれば
よい。
【0033】また、ここで吸光度とは、フーリエ変換赤
外分光装置(FT−IR)によって測定可能なものであ
り、特に表面分子層における吸光度を測定するために、
公知の全反射法を適用することによって測定されるもの
である。また、本発明におけるカルボニル基の吸光度A
とは、1750〜1715cm-1に現れるC=O結合の伸縮振動
に起因するピークの吸光度を指し、また、ベンゼン環の
吸光度Bとは、1600〜1585cm-1および1520〜1400cm
-1に現れるベンゼン環内の炭素と炭素の伸縮による骨格
振動に起因するピークのうち1520〜1400cm-1に現れる
ピークの吸光度を指す。
【0034】また、液晶ポリマー層1は、その表面をバ
フ研磨・ブラスト研磨・ブラシ研磨・プラズマ処理・コ
ロナ処理・紫外線処理・薬品処理等の方法を用いて表面
エネルギーを45〜70mJ/m2としておくことが好まし
い。本発明の絶縁フィルム3によれば、液晶ポリマー層
1の表面エネルギーを45〜70mJ/m2としたことか
ら、液晶ポリマー層1表面の活性化された比較的熱運動
しやすい分子層と被覆層2とが良好に絡み合って結合
し、両者の密着をさらに強固なものとすることができ
る。
【0035】なお、表面エネルギーが45mJ/m2未満
であると、液晶ポリマー層1表面の分子層が十分に活性
化されず、被覆層2と良好に絡み合って結合することが
困難となる傾向があり、70mJ/m2を超えると液晶ポ
リマー層1の表面の反応性が非常に高くなって空気中の
酸素と反応してその表面に強度の弱い酸化物が形成さ
れ、その結果、液晶ポリマー層1と被覆層2との密着性
が低下して両者間で剥離し易く成る傾向がある。したが
って、液晶ポリマー層1の表面エネルギーを45〜70mJ
/m2とすることが好ましい。
【0036】また、液晶ポリマー層1は、その表面の中
心線表面粗さRaを0.05〜5μmとしておくことが好ま
しい。本発明の絶縁フィルムによれば、液晶ポリマー層
1の上下面の中心線表面粗さRaを0.05〜5μmとした
ことから、液晶ポリマー層1の上下面が被覆層2と良好
なアンカー効果を有する密着性の良好なものとなり、液
晶ポリマー層1と被覆層2との密着をより強固なものと
することができる。
【0037】なお、中心線表面粗さRaは、半田リフロ
ーの際に液晶ポリマー層1と被覆層2との剥離を防止す
るという観点からは0.05μm以上であることが好まし
く、表面に被覆層2を形成する際に空気のかみ込みを防
止するという観点からは5μm以下であることが好まし
い。したがって、液晶ポリマー層1は、その表面の中心
線表面粗さRaを0.05〜5μmとすることが好ましい。
【0038】次に、被覆層2は、後述する配線導体4を
被着形成する際の接着剤の機能を有するとともに、絶縁
フィルム3を用いて多層配線基板6を構成する際に、絶
縁フィルム3同士を積層する際の接着剤の役目を果た
す。
【0039】被覆層2は、ポリフェニレンエーテル樹脂
やその誘導体、または、これらのポリマーアロイ等のポ
リフェニレンエーテル系有機物を30〜90体積%含有して
おり、とりわけ熱サイクル信頼性や配線導体4を接着す
る際の位置精度の観点からは、アリル変性ポリフェニレ
ンエーテル等の熱硬化性ポリフェニレンエーテルを含有
することが好ましい。
【0040】なお、ポリフェニレンエーテル系有機物の
含有量が30体積%未満であると、後述する充填材との混
練性が低下する傾向があり、また、90体積%を超える
と、液晶ポリマー層1表面に被覆層2を形成する際に、
被覆層2の厚みバラツキが大きくなる傾向がある。した
がって、ポリフェニレンエーテル系有機物の含有量は、
30〜90体積%の範囲が好ましい。
【0041】また、被覆層2は、液晶ポリマー層1との
接着性や配線導体4・後述する貫通導体5との密着性を
良好にするという観点からは、重合反応可能な官能基を
2個以上有する多官能性モノマーあるいは多官能性重合
体等の添加剤を含有することが好ましく、例えば、トリ
アリルイソシアヌレートやトリアリルシアヌレートおよ
びこれらの重合体等を含有することが好ましい。
【0042】さらに、被覆層2は、弾性率を調整するた
めのゴム成分や熱安定性を改善するための酸化防止剤、
耐光性を改善するための紫外線吸収剤等の光安定剤、難
燃性を付加するためのハロゲン系もしくはリン酸系の難
燃性剤、アンチモン系化合物やホウ酸亜鉛・メタホウ酸
バリウム・酸化ジルコニウム等の難燃助剤、潤滑性を改
善するための高級脂肪酸や高級脂肪酸エステルや高級脂
肪酸金属塩・フルオロカーボン系界面活性剤等の滑剤、
熱膨張係数を調整したり機械的強度を向上するための酸
化アルミニウムや酸化珪素・酸化チタン・酸化バリウム
・酸化ストロンチウム・酸化ジルコニウム・酸化カルシ
ウム・ゼオライト・窒化珪素・窒化アルミニウム・炭化
珪素・チタン酸カリウム・チタン酸バリウム・チタン酸
ストロンチウム・チタン酸カルシウム・ホウ酸アルミニ
ウム・スズ酸バリウム・ジルコン酸バリウム・ジルコン
酸ストロンチウム等の充填材、あるいは、充填材との親
和性を高めこれらの接合性向上と機械的強度を高めるた
めのシラン系カップリング剤やチタネート系カップリン
グ剤等のカップリング剤を含有してもよい。
【0043】特に絶縁フィルム3を積層・加圧して多層
配線基板6を形成する際に、被覆層2の流動性を抑制
し、貫通導体5の位置ずれや被覆層2の厚みばらつきを
防止するという観点からは、被覆層2は充填材として10
体積%以上の無機絶縁粉末を含有することが好ましい。
また、液晶ポリマー層1との接着界面および配線導体4
との接着界面での半田リフロー時の剥離を防止するとい
う観点からは、充填材の含有量を70体積%以下とするこ
とが好ましい。したがって、ポリフェニレンエーテル系
有機物から成る被覆層2に、10〜70体積%の充填材を含
有させておくことが好ましい。
【0044】なお、上記の充填材等の形状は、略球状・
針状・フレーク状等があり、充填性の観点からは、略球
状が好ましい。また、粒子径は、0.1〜15μm程度であ
り、被覆層2の厚みよりも小さい。
【0045】このような絶縁フィルム3は、例えば粒径
が0.1〜15μm程度の酸化珪素等の無機絶縁粉末に、熱
硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂と溶剤・可塑剤・分
散剤等を添加して得たペーストを、プラズマ処理により
トリアリルイソシアヌレートとの接触角が3〜50°であ
って、かつ表面のベンゼン環の吸光度Bに対する表面の
カルボニル基の吸光度Aの比A/Bが1.8〜6.5となるよ
うに表面処理した液晶ポリマー層1の上下表面に従来周
知のドクタブレード法等のシート成型法を採用して被覆
層2を形成した後、あるいは上記のペースト中に液晶ポ
リマー層1を浸漬し垂直に引き上げることによって液晶
ポリマー層1の表面に被覆層2を形成した後、これを60
〜100℃の温度で5分〜3時間加熱・乾燥することによ
り製作される。
【0046】また、絶縁フィルム3の厚みは絶縁信頼性
を確保するという観点からは10〜200μmであることが
好ましく、また、高耐熱性・低吸湿性・高寸法安定性を
確保するという観点からは液晶ポリマー層1の厚みを絶
縁フィルム3の厚みの40〜90%の範囲としておくことが
好ましい。
【0047】次に、本発明の多層配線基板6は、上下面
の少なくとも一方の面に金属箔から成る配線導体4が配
設された絶縁フィルム3を複数積層して成るとともに、
この絶縁フィルム3を挟んで上下に位置する配線導体4
間を絶縁フィルム3に形成された貫通導体5を介して電
気的に接続することにより形成されている。
【0048】配線導体4は、その厚みが2〜30μmで銅
・金等の良導電性の金属箔から成り、多層配線基板6に
搭載される電子部品7を外部電気回路(図示せず)に電
気的に接続する機能を有する。
【0049】このような配線導体4は、絶縁フィルム3
を複数積層する際、配線導体4の周囲にボイドが発生す
るのを防止するという観点から、図3の要部拡大断面図
に示すように、被覆層2に少なくとも配線導体4の表面
と被覆層2の表面とが平坦となるように埋設されている
ことが好ましい。また、配線導体4を被覆層2に埋設す
る際に、被覆層2の乾燥状態での気孔率を3〜40体積%
としておくと、配線導体4周囲の被覆層2の樹脂盛り上
がりを生じさせず平坦化することができるとともに配線
導体4と被覆層2との間に挟まれる空気の排出を容易に
して気泡の巻き込みを防止することができる。なお、乾
燥状態での気孔率が40体積%を超えると、複数積層した
絶縁フィルム3を加圧・加熱硬化した後に被覆層2内に
気孔が残存し、この気孔が空気中の水分を吸着して絶縁
性が低下してしまうおそれがあるので、被覆層2の乾燥
状態での気孔率を3〜40体積%の範囲としておくことが
好ましい。
【0050】このような被覆層2の乾燥状態での気孔率
は、被覆層2を液晶ポリマー層1の表面上に塗布し乾燥
する際に、乾燥温度や昇温速度等の乾燥条件を適宜調整
することにより所望の値とすることができる。
【0051】さらに、絶縁フィルム3に配設された配線
導体4の幅方向の断面形状を、絶縁フィルム3側の底辺
の長さが対向する底辺の長さよりも短い台形状とすると
ともに、絶縁フィルム3側の底辺と側辺との成す角度を
95〜150°とすることが好ましい。絶縁フィルム3に配
設された配線導体4の幅方向の断面形状を、絶縁フィル
ム3側の底辺の長さが対向する底辺の長さよりも短い台
形状とするとともに、絶縁フィルム3側の底辺と側辺と
の成す角度を95〜150°とすることにより、配線導体4
を被覆層2に埋設する際に、配線導体4を被覆層2に容
易に埋設して配線導体4を埋設した後の被覆層2表面を
ほぼ平坦にすることができ、積層の際に空気をかみ込ん
で絶縁性を低下させることのない多層配線基板6とする
ことができる。なお、気泡をかみ込むことなく埋設する
という観点からは、絶縁フィルム3側の底辺と側辺との
成す角度を95°以上とすることが好ましく、配線導体2
を微細化するという観点からは150°以下とすることが
好ましい。
【0052】また、絶縁フィルム3の層間において、配
線導体4の長さの短い底辺と液晶ポリマー層1との間に
位置する被覆層2の厚みx(μm)が、上下の液晶ポリ
マー層1間の距離をT(μm)、配線導体4の厚みをt
(μm)としたときに、3μm≦0.5T−t≦x≦0.5T
≦35μm(ただし、8μm≦T≦70μm、1μm≦t≦
32μm)であることが好ましい。
【0053】液晶ポリマー層1間の距離をT(μm)、
配線導体4の厚みをt(μm)としたときに、配線導体
4の長さの短い底辺と液晶ポリマー層1間のポリフェニ
レンエーテル系有機物から成る被覆層2の厚みx(μ
m)を3μm≦0.5T−t≦x≦0.5T≦35μmとするこ
とにより、配線導体4の長さの短い底辺と液晶ポリマー
層1間の距離および配線導体4の長さの長い底辺と隣接
する液晶ポリマー層1間の距離の差をt(μm)未満と
小さくすることができ、被覆層2の厚みが大きく異なる
ことから生じる多層配線基板6の反りを防止することが
できる。したがって、配線導体4の台形状の上底側表面
と液晶ポリマー層1の間に位置する、被覆層2の厚みx
(μm)を、液晶ポリマー層1間の距離をT(μm)、
配線導体4の厚みをt(μm)としたときに、3μm≦
0.5T−t≦x≦0.5T≦35μmの範囲とすることが好ま
しい。
【0054】このような配線導体4は、絶縁フィルム3
となる前駆体シートに、公知のフォトレジストを用いた
サブトラクティブ法によりパターン形成した、例えば銅
から成る金属箔を転写法等により被着形成することによ
り形成される。先ず、支持体と成るフィルム上に銅から
成る金属箔を接着剤を介して接着した金属箔転写用フィ
ルムを用意し、次に、フィルム上の金属箔を公知のフォ
トレジストを用いたサブトラクティブ法を使用してパタ
ーン状にエッチングする。この時、パターンの表面側の
側面は、フィルム側の側面に較べてエッチング液に接す
る時間が長いためにエッチングされやすく、パターンの
幅方向の断面形状を台形状とすることができる。なお、
台形の形状は、エッチング液の濃度やエッチング時間を
調整することにより短い底辺と側辺とのなす角度を95〜
150°の台形状とすることができる。そして、この金属
箔転写用フィルムを絶縁フィルム3と成る前駆体シート
に積層し、温度が100〜200℃で圧力が0.5〜10MPaの
条件で10分〜1時間ホットプレスした後、支持体と成る
フィルムを剥離除去して金属箔を絶縁フィルム3と成る
前駆体シート表面に転写させることにより、台形状の上
底側が被覆層2に埋設された配線導体4を形成すること
ができる。
【0055】なお、配線導体4の長さの短い底辺と対向
する液晶ポリマー層1間の被覆層2の厚みx(μm)
は、金属箔転写時のホットプレスの圧力を調整すること
により所望の範囲とすることができる。また、配線導体
4は被覆層2との密着性を高めるためにその表面にバフ
研磨・ブラスト研磨・ブラシ研磨・薬品処理等の処理で
表面を粗化しておくことが好ましい。
【0056】また、絶縁フィルム3には、直径が20〜15
0μm程度の貫通導体5が形成されている。貫通導体5
は、絶縁フィルム3を挟んで上下に位置する配線導体4
を電気的に接続する機能を有し、絶縁フィルム3にレー
ザにより穿設加工を施すことにより貫通孔を形成した
後、この貫通孔に銅・銀・金・半田等から成る導電性ペ
ーストを従来周知のスクリーン印刷法により埋め込むこ
とにより形成される。
【0057】本発明の多層配線基板6によれば、絶縁フ
ィルム3を液晶ポリマー層1の上下面にポリフェニレン
エーテル系有機物から成る被覆層2を有したものとした
ことから、液晶ポリマー層1が高耐熱性・高弾性率・高
寸法安定性・低吸湿性であり、ガラスクロスのような強
化材を用いなくとも絶縁フィルム3を構成することが可
能となり、その結果、レーザによる穿設加工が容易とな
り微細で均一な貫通孔を形成できる。
【0058】このような多層配線基板6は、上述したよ
うな方法で製作した絶縁フィルム3と成る前駆体シート
の所望の位置に貫通導体5を形成した後、パターン形成
した例えば銅の金属箔を、温度が100〜200℃で圧力が0.
5〜10MPaの条件で10分〜1時間ホットプレスして転
写し、これらを積層して最終的に温度が150〜300℃で圧
力が0.5〜10MPaの条件で30分〜24時間ホットプレス
して完全硬化させることにより製作される。
【0059】本発明の多層配線基板6によれば、液晶ポ
リマー層1上下面にポリフェニレンエーテル系有機物か
ら成る被覆層2を形成して成る絶縁フィルム3を複数積
層して成るものとしたことから、ポリフェニレンエーテ
ル系有機物分子は液晶ポリマー系有機物分子ほど剛直で
なく、また、規則正しい配向性も示さないことから比較
的分子が動きやすいために配線導体4表面の微細な凹部
に入り込み十分なアンカー効果を発揮することができ、
その結果、絶縁フィルム3と配線導体4の密着性が良好
となり高温高湿下において両者間で剥離を生じてしまう
ということがない。また、ポリフェニレンエーテル系有
機物から成る被覆層2と液晶ポリマー層1の誘電率の周
波数挙動がほぼ等しいことから、配線導体4を接着する
際の加圧によって被覆層2にわずかな厚みばらつきが生
じたとしても高周波領域における伝送特性の低下を生じ
ることのない高周波伝送特性に優れた多層配線基板6と
することができる。さらに、絶縁フィルム3を多層化す
る際、ポリフェニレンエーテル系有機物分子は動きやす
いためにポリフェニレンエーテル系有機物分子同士が絡
み合いやすくなって被覆層2同士の密着性が強くなり、
その結果、高温バイアス試験下においても絶縁フィルム
3間で剥離して絶縁不良が発生してしまうこともない。
【0060】かくして本発明の多層配線基板6によれ
ば、上記構成の多層配線基板6の上面に形成した配線導
体4の一部から成る接続パッド8に半田等の導体バンプ
9を介して半導体素子等の電子部品7を電気的に接続す
るとともに、多層配線基板6の下面に形成した配線導体
4の一部から成る接続パッド8に半田等の導体バンプ9
を形成することにより配線密度が高く絶縁性に優れた混
成集積回路とすることができる。
【0061】なお、本発明の多層配線基板6は上述の実
施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱し
ない範囲であれば種々の変更は可能であり、例えば、上
述の実施例では4層の絶縁フィルム3を積層することに
よって多層配線基板6を製作したが、2層や3層、ある
いは5層以上の絶縁フィルム3を積層して多層配線基板
6を製作してもよい。また、本発明の多層配線基板6の
上下表面に、1層や2層、あるいは3層以上の有機樹脂
を主成分とする絶縁層から成るビルドアップ層やソルダ
ーレジスト層10、あるいは電子部品7を搭載後、多層配
線基板6と電子部品7との間にアンダーフィル材11を形
成してもよい。
【0062】
【実施例】次に本発明の絶縁フィルムおよび多層配線基
板を、以下の試料を製作して評価した。 (実施例)先ず、熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂
に平均粒径が0.6μmの球状溶融シリカをその含有量が4
0体積%となるように加え、これに溶剤としてトルエ
ン、さらに有機樹脂の硬化を促進させるための触媒を添
加し、1時間混合してワニスを調整した。次に、融点が
320℃で厚みが35μmの液晶ポリマー層の表面を、真空
プラズマ装置を用いて、電圧を27kV、雰囲気をO2
よびCF4(ガス流量がそれぞれ80cm3/分)とし、片
面15分×2回の条件でプラズマ処理して、トリアリルイ
ソシアヌレートとの接触角が40°で、かつ表面のベンゼ
ン環の吸光度Bに対する表面のカルボニル基の吸光度A
の比A/Bが3.5で、かつ表面エネルギーが63mJ/
2、中心線表面粗さRaが0.12μmとなるようにし、
この液晶ポリマー層の上面に上記ワニスをドクターブレ
ード法により塗布し、厚さ約20μmの熱硬化性ポリフェ
ニレンエーテル被覆層を成形した。また、この液晶ポリ
マー層の下面にも同様にポリフェニレンエーテル被覆層
を成形し、絶縁フィルムを製作した。
【0063】さらに、この絶縁フィルムに、UV−YA
Gレーザにより直径50μmの貫通孔を形成し、この貫通
孔に銅粉末と有機バインダを含有する導体ペーストをス
クリーン印刷により埋め込むことにより貫通導体を形成
した。
【0064】次に、厚みが12μmで、回路状に形成した
銅箔が付いた転写用支持フィルムと、貫通導体が形成さ
れた絶縁フィルムとを位置合わせして真空積層機により
3MPaの圧力で30秒加圧した後、転写用支持フィルム
を剥離して配線導体を絶縁フィルム上に埋設した。最後
に、この配線導体が形成された絶縁フィルムを4枚重ね
合わせ、3MPaの圧力下で200℃の温度で5時間加熱
処理して完全硬化させて多層配線基板を得た。
【0065】なお、絶縁性の評価を行うためのテスト基
板は、配線幅50μm、配線間隔50μmの櫛歯状パターン
の配線導体を多層配線基板内に形成し、また、導通性の
評価を行うためのテスト基板は、その内部に多層配線基
板の絶縁層を介して位置する上下の2層の配線導体と両
者を電気的に接続する貫通導体とでビアチェーンを形成
したものとした。さらに、高周波伝送特性の評価を行う
ためのテスト基板は、ストリップライン構造の配線導体
を多層配線基板内部に形成した。
【0066】(比較例1)比較例1用として用いた多層
配線基板は、まず、表面に銅箔を熱溶融により接着した
融点が320℃の液晶ポリマー層にフォトレジストを用い
て回路状の配線導体を形成し、次に、UV−YAGレー
ザにより直径50μmの貫通孔を形成し、さらにこの貫通
孔に銅粉末と有機バインダを含有する導体ペーストをス
クリーン印刷により埋め込むことにより貫通導体を形成
して回路基板を作成した後、これらの回路基板を融点が
280℃の液晶ポリマー層を間に挟んで1MPaの圧力下
で285℃の温度で5分間加熱プレスすることにより製作
した。
【0067】(比較例2)比較例2用として用いた多層
配線基板は、表面に銅箔をエポキシ樹脂製接着剤を介し
て接着した、融点が320℃の液晶ポリマー層を用いるこ
と以外は、比較例1用の多層配線基板と同様の方法で製
作した。
【0068】絶縁性の評価は、試料を温度が130℃、相
対湿度が85%の条件で、印加電圧5.5Vの高温バイアス
試験を行い、168時間後の配線導体間の絶縁抵抗を測定
し、試験前後の変化量を比較することにより評価した。
また、導通性の評価は、試料を温度が−55℃の条件で30
分、125℃の条件で30分を1サイクルとする温度サイク
ル試験を行い、1000サイクル後のビアチェーンの導通抵
抗を測定し、試験前後の導通抵抗の変化量を比較するこ
とにより評価した。さらに、高周波伝送特性の評価は、
ストリップ構造を有する試料を用いて、周波数が100M
Hz〜40GHzの範囲で高周波伝送特性を測定すること
により評価した。
【0069】表1に絶縁抵抗の評価結果を、表2に導通
抵抗の評価結果を、表3に伝送特性の評価結果を示す。
【0070】
【表1】
【0071】
【表2】
【0072】
【表3】
【0073】表1からは、比較例1の多層配線基板が高
温バイアス試験後の絶縁抵抗が3.5×106Ωと小さくな
り、耐熱性に劣ることがわかった。また、表2からは、
比較例1の多層配線基板は温度サイクル試験で断線が発
生し、絶縁性および温度サイクル性に劣ることがわかっ
た。さらに、表3からは、比較例2の多層配線基板が20
GHz以上の高周波領域で伝送特性が−1.0dB以下と
劣化し、高周波伝送特性に劣ることがわかった。
【0074】それらに対して本発明の多層配線基板は、
高温バイアス試験後でも絶縁抵抗は5.3×1011Ωと大き
く、また、温度サイクル試験後でも導通抵抗は変化率が
2%と小さく、さらに、伝送特性も40GHzの高周波領
域においても−0.51dBと小さいという優れたものであ
った。
【0075】
【発明の効果】本発明の絶縁フィルムによれば、トリア
リルイソシアヌレートとの接触角が3〜50°であって、
かつ表面のベンゼン環の吸光度Bに対する表面のカルボ
ニル基の吸光度Aの比A/Bが1.8〜6.5である液晶ポリ
マー層の上下面にポリフェニレンエーテル系有機物から
成る被覆層を形成したことから、液晶ポリマー層の上下
面に被覆層が良好に濡れ広がるとともに、液晶ポリマー
層表面の酸素を含有する極性基が形成された分子層と被
覆層とが水素結合力により良好に結合し、その結果、高
温バイアス試験においても両者間で剥離することのない
絶縁フィルムとすることができる。また、ポリフェニレ
ンエーテル系有機物分子が液晶ポリマー分子ほど剛直で
なく、また、規則正しい配向性も示さないことから分子
が比較的動きやすく、その結果、絶縁フィルムを多層化
した場合においても、絶縁フィルム同士の密着性が良好
となり、高温バイアス試験においてフィルム間で剥離し
て絶縁不良が発生してしまうということもない。さら
に、絶縁フィルム表面に配線導体を配設した場合におい
ても、ポリフェニレンエーテル系有機物分子が配線導体
表面の微細な凹部に入り込み十分なアンカー効果を発揮
することができ、絶縁フィルムと配線導体との密着性が
良好となり、その結果、高温高湿下で両者間で剥離して
配線導体が断線してしまうということもない。また、ポ
リフェニレンエーテル系有機物から成る被覆層と液晶ポ
リマー層の誘電率の周波数挙動がほぼ等しいことから、
配線導体を接着する際の加圧によって被覆層にわずかな
厚みばらつきが生じたとしても、高周波領域における伝
送特性に低下を生じることのない高周波伝送特性に優れ
た絶縁フィルムとすることができる。
【0076】また、本発明の絶縁フィルムによれば、上
記構成において、液晶ポリマー層の表面エネルギーを45
〜70mJ/m2としたことから、液晶ポリマー層表面の
活性化された比較的熱運動しやすい分子層とポリフェニ
レンエーテル系有機物から成る被覆層とが良好に絡み合
って結合し、液晶ポリマー層と被覆層とがより強固に密
着した絶縁フィルムとすることができる。
【0077】また、本発明の絶縁フィルムによれば、上
記構成において、液晶ポリマー層の上下面の中心線表面
粗さRaを0.05〜5μmとしたことから、液晶ポリマー
層の上下面がポリフェニレンエーテル系有機物から成る
被覆層と良好なアンカー効果を有する密着性の良好なも
のとなり、液晶ポリマー層と被覆層とがより強固に密着
した絶縁フィルムとすることができる。
【0078】さらに、本発明の絶縁フィルムによれば、
上記構成において、ポリフェニレンエーテル系有機物を
熱硬化性ポリフェニレンエーテルとしたことから、熱硬
化性ポリフェニレンエーテルが耐熱性に優れるとともに
寸法安定性に優れ、その結果、温度サイクル信頼性に優
れるとともに、配線導体を接着する際の位置精度の良好
な絶縁フィルムとすることができる。
【0079】また、本発明の多層配線基板によれば、多
層配線基板を上記の絶縁フィルムを用いて形成したこと
から、耐湿性・導通信頼性・高周波伝送特性に優れた多
層配線基板とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の絶縁フィルムの実施の形態の一例を示
す断面図である。
【図2】本発明の多層配線基板に半導体素子を搭載して
成る混成集積回路の実施の形態の一例を示す断面図であ
る。
【図3】図2に示す多層配線基板の配線導体の幅方向の
要部拡大断面図である。
【符号の説明】
1・・・・・・・・液晶ポリマー層 2・・・・・・・・被覆層 3・・・・・・・・絶縁フィルム 4・・・・・・・・配線導体 5・・・・・・・・貫通導体 6・・・・・・・・多層配線基板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F006 AA35 AB32 AB54 AB67 BA08 CA08 DA04 EA03 4F100 AK01A AK41 AK54B AK54C BA03 BA06 BA10B BA10C EH46 EJ61 GB43 JA11A JB13B JB13C JK14A JL11 YY00A 5E346 AA02 AA12 AA15 AA38 AA43 BB01 CC02 CC12 DD02 DD33 EE02 EE06 EE08 EE18 EE19 FF18 GG02 GG28 HH01 HH11

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 トリアリルイソシアヌレートとの接触角
    が3〜50°であって、かつ表面のベンゼン環の吸光度
    Bに対する表面のカルボニル基の吸光度Aの比A/Bが
    1.8〜6.5である液晶ポリマー層の上下面にポリフ
    ェニレンエーテル系有機物から成る被覆層を形成して成
    ることを特徴とする絶縁フィルム。
  2. 【請求項2】 前記液晶ポリマー層の表面エネルギーが
    45〜70mJ/m2であることを特徴とする請求項1
    記載の絶縁フィルム。
  3. 【請求項3】 前記液晶ポリマー層の上下面は中心線表
    面粗さRaが0.05〜5μmであることを特徴とする
    請求項1または請求項2記載の絶縁フィルム。
  4. 【請求項4】 前記ポリフェニレンエーテル系有機物が
    熱硬化性ポリフェニレンエーテルであることを特徴とす
    る請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の絶縁フィル
    ム。
  5. 【請求項5】 上下面の少なくとも一方の面に金属箔か
    ら成る配線導体が配設された請求項1乃至請求項4のい
    ずれかに記載の絶縁フィルムを複数積層して成るととも
    に、該絶縁フィルムを挟んで上下に位置する前記配線導
    体間を前記絶縁フィルムに形成された貫通導体を介して
    電気的に接続したことを特徴とする多層配線基板。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007115840A (ja) * 2005-10-19 2007-05-10 Kyocera Corp 配線基板および配線基板の製造方法
WO2025173562A1 (ja) * 2024-02-14 2025-08-21 株式会社村田製作所 伸縮性デバイス

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