JP2003160812A - 車輪操舵装置用ボールねじ - Google Patents

車輪操舵装置用ボールねじ

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JP2003160812A
JP2003160812A JP2001358243A JP2001358243A JP2003160812A JP 2003160812 A JP2003160812 A JP 2003160812A JP 2001358243 A JP2001358243 A JP 2001358243A JP 2001358243 A JP2001358243 A JP 2001358243A JP 2003160812 A JP2003160812 A JP 2003160812A
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nut
heat treatment
shaft
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Morihisa Yoshioka
守久 吉岡
Yoshinori Ikeda
良則 池田
Kiyotake Shibata
清武 柴田
Isamu Yoshida
勇 吉田
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NTN Corp
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NTN Corp
NTN Toyo Bearing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱処理時のサイクルタイム短縮と熱処理後の
精度向上が可能な車輪操舵装置用ボールねじを提供す
る。 【解決手段】 ボールねじ軸2のねじ溝を形成した軸方
向範囲17が、ナット14の移動範囲L1 およびこの移
動範囲以外の範囲L2 にわたる。ボールねじ軸2には表
面硬化の熱処理が施される。この熱処理は、ナット14
の移動範囲L1 とこの移動範囲以外のねじ溝形成範囲L
2 とで異ならせる。例えば、ナット14の移動範囲L1
の方が高程度となるように、熱処理の程度に差を持たせ
る。または熱処理を行う範囲を、ナットの移動範囲L1
のみとする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、自動車の車輪操
舵装置に用いられるボールねじに関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】自動車の
車輪操舵にボールねじを用いたものが知られている。例
えば、自動車のハンドル操舵力を電動モータで補う電動
パワーステアリング装置である。電動パワーステアリン
グ装置は、ハンドルの操舵力を電動モータで補うもので
あり、種々の形式のものがある。その一つとして、車輪
の操舵機構に連結された進退自在な操舵軸に対して、ハ
ンドルからラックピニオン機構等の変換機構を介して軸
方向移動力を与えると共に、電動モータの出力を、ボー
ルねじ機構を介して軸方向移動力として与えるようにし
たラックアシスト式のものがある。
【0003】上記操舵軸として用いられるボールねじ軸
には、ボールねじ機構を構成するねじ溝形成軸部と、ラ
ックピニオン機構を構成するラック部とが一体に形成さ
れている。従来、このようなボールねじ軸におけるねじ
溝形成軸部の溝加工は一般的に転造加工により行い、さ
らに必要な表面硬度を確保するために、例えば図9に示
す移動コイル38を用いた高周波焼入れにより、ねじ溝
形成軸部32aの全領域若しくは大部分の領域を焼入れ
している。この高周波焼入れでは、ボールねじ軸32と
移動コイル38の相対移動速度を一定にして行ってい
る。
【0004】しかし、上記従来例のように、ボールねじ
軸32におけるねじ溝形成軸部32aの全領域ないし大
部分の領域を均一に焼入れするのでは、焼入れのサイク
ルタイムが長くなるだけでなく、焼入れ後のボールねじ
軸32の精度(真直度や振れ等)が悪くなり、精度改善
のための後工程が必要となるという問題がある。
【0005】また、ボールねじ軸におけるラック部およ
びねじ溝形成軸部の外径は、各部に必要な強度に応じて
決定されるため、図6(A)のようにラック部32bに
比してねじ溝形成軸部32aの外径が大きくなるもの
や、図7(A)のようにねじ溝形成軸部32aに比して
ラック部32bの外径が大きくなるもの、また図8
(A)のようにねじ溝形成軸部32aとラック部32b
の外径が同一となるものがある。
【0006】ラック部32bとねじ溝形成軸部32aの
外径が異なる場合の加工前のボールねじ軸32の素材3
1は、図6(B)や図7(B)のような段付き形状とな
り、円筒研削による研削仕上げとする必要があるため、
加工に時間がかかり、コストアップを招くという問題点
がある。
【0007】この発明の目的は、熱処理時のサイクルタ
イム短縮と熱処理後の精度向上が可能な車輪操舵装置用
ボールねじを提供することである。この発明の他の目的
は、ラック付きとする場合に、各部を必要な太さとしな
がら、丸棒素材を用いることができ、加工コストの低減
が図れるようにすることである。
【0008】
【課題を解決するための手段】この発明の車輪操舵装置
用ボールねじは、ボールねじ軸のねじ溝を形成した軸方
向範囲が、ナットの移動範囲およびこの移動範囲以外の
範囲にわたっていて、上記ボールねじ軸に表面硬化の熱
処理を施した車輪操舵装置用ボールねじであって、上記
ナットの移動範囲とこの移動範囲以外のねじ溝形成範囲
とで、上記ナットの移動範囲の方が高程度となるよう
に、上記熱処理の程度に差を持たせ、または熱処理を行
う範囲を、上記ナットの略移動範囲のみとしたことを特
徴とする。上記略移動範囲は、移動範囲だけの場合、お
よび移動範囲に余裕量を加えた範囲を含む意味である。
この構成によると、ボールねじ軸におけるナットの移動
範囲以外の熱処理を軽減または省略でき、熱処理のサイ
クルタイムを従来例に比べて短縮することができる。ボ
ールねじ軸におけるナットの移動範囲以外の部分は、ね
じ軸として機能させないため、熱処理の程度を低く、ま
たは省略しても、ボールねじ軸としての機能の低下は生
じない。また、表面硬化の熱処理は、一般に精度の悪化
を招くが、熱処理の程度を低くし、または熱処理範囲を
少なくするため、熱処理後のボールねじ軸の精度が向上
する。そのため、熱処理歪みの修正の軽減ないし省略が
図れる。
【0009】上記ナットの移動範囲は、ねじ溝の溝底ま
で上記熱処理を施し、上記ナットの移動範囲以外のねじ
溝形成範囲は、軸外径部のみの熱処理としても良い。ナ
ットの移動範囲は、鋼球等の転動体が移動する範囲であ
るため、耐摩耗性等の観点でねじ溝内面の全体の硬度が
高いことが必要であるが、その他の範囲は、例えばボー
ルねじ軸を軸方向移動自在に案内する部材に摺接するだ
けであり、軸外径部の硬度がある程度あれば足りる。し
たがって、このように熱処理深さを部分により異ならせ
ても、各部に必要な硬度が確保され、熱処理深さを浅く
したことによって、熱処理のサイクルタイムを短縮する
ことができる。
【0010】この発明において、上記ナットの移動範囲
とこの移動範囲以外のねじ溝形成範囲とで、熱処理後の
表面硬度を異ならせても良い。ナットの移動範囲以外の
部分は、上記のように案内用の部材に摺接するだけであ
り、表面硬度が低くても、必要な耐摩耗性が得られる。
表面硬度が低くて良い場合、熱処理時間が短縮できる。
【0011】この発明において、上記ナットの移動範囲
以外のねじ溝形成範囲が、上記ボールねじ軸を摺動自在
に案内するガイドによる被案内部分を含み、この被案内
部分を熱処理しても良い。上記被案内部分は、ねじ溝の
内面よりは硬度が低くて良いが、熱処理により硬化さ
せ、ガイドとの摺動に十分な表面硬度を持たせること
が、耐摩耗性等の面で好ましい。ボールねじ軸における
ナットの移動範囲以外で、かつ被案内部分の他の部分
は、後に述べるラック部等の他部品との接触動作を行わ
せる部位を除き、高い硬度は必要ない。
【0012】この発明において、上記ナットの移動範囲
以外のねじ溝形成範囲は、上記ナットの移動範囲からボ
ールねじ軸の一端までの範囲であり、上記ねじ溝が、転
造加工溝であっても良い。車輪操舵装置用のボールねじ
軸において、ねじ溝の形成は、転造加工が生産性や歩留
りの面で、切削による溝加工に比べて好ましい。転造加
工溝の場合、加工の都合上、ねじ溝は少なくともボール
ねじ軸の一端に達している必要があり、中間部分だけに
形成することができない。しかし上記のように熱処理の
程度に差を持たせ、または熱処理範囲を限定すること
で、熱処理時間を短縮し、各部分に応じて必要な硬度を
得ながら、転造加工の採用により、ボールねじ軸の全体
の生産性の向上が図れる。
【0013】この発明において、上記ボールねじ軸がラ
ック部を有し、転造加工されたものであって、ねじ溝形
成軸部とラック部との外径の比が、 (ねじ溝形成軸部の外径)/(ラック部の外径)=1.
03〜1.07 の範囲であるものとしても良い。ラック部を有するボー
ルねじ軸において、ねじ溝形成軸部とラック部とに要求
される外径は、電動パワーステアリングの構成によって
異なるが、ねじ溝形成軸部の方がラック部よりも大径と
することが要求されることがある。このような場合に、
通常は段付き素材を用いるが、転造加工として上記の外
径比とすると、全長に渡って同径の丸棒素材を用いるこ
とができる。すなわち、ボールねじ軸を転造加工する場
合、ねじ溝の転造加工の前後で、一般にねじ溝形成軸部
の軸径が3〜7%程度大きくなる。そのため、加工前の
素材として丸棒を用いることで、ねじ溝形成軸部とラッ
ク部の外径比が上記の比となる。これにより、段付き素
材の場合のような円筒研削が必要でなくなり、研削を行
う場合も例えばセンタレス研削で済み、加工時間が短縮
され、安価に加工できる。
【0014】
【発明の実施の形態】この発明の第1の実施形態を図1
ないし図3と共に説明する。図1は、このボールねじ軸
が用いられる車輪操舵装置の一種である電動パワーステ
アリング装置の破断側面図である。同図において、ハウ
ジング1は、図示しないブラケットを有していて、車体
に固定される。ハウジング1内には操舵軸であるボール
ねじ軸2が貫通し、ボールねじ軸2の両端にはタイロッ
ド3,4が連結されている。タイロッド3,4は、車輪
を操舵する操舵機構(図示せず)に連結される。ハウジ
ング1の一端の近傍から斜め上方に延びるようにハンド
ル軸5が設けられ、ハンドル軸5の上端にはハンドルが
連結される。ハンドル軸5は、回転自在に支持されてい
て、ハンドル軸5の回転は、その下端から変換機構であ
るラックピニオン機構6を介してボールねじ軸2に、軸
方向の移動力として伝達される。ラックピニオン機構6
は、ボールねじ軸2の長手方向の一部で形成されるラッ
ク部7と、ハンドル軸5の下端に設けられたピニオン
(図示せず)とからなり、上記ピニオンは、ハウジング
1内でラック部7のラックに噛み合う。ハンドル軸5に
対して、その操舵トルクを検出する操舵トルク検出器
(図示せず)が設けられている。
【0015】ハウジング1は、円筒状に形成されたもの
であり、中央の筒体1aの両端に端部材1b,1cを結
合して構成される。ハウジング1内の軸方向の中央部に
は、電動モータ8のステータ9が設けられている。ステ
ータ9は、コアおよびステータコイルで構成される。ス
テータ9の内周側には、電動モータ8のロータ10がギ
ャップを介して設けられている。ロータ10は、磁石ま
たは磁性体により円筒状に形成されていて、スリーブ1
1の外周に、このスリーブ11と一体に回転するように
取付けられる。このスリーブ11内に、ボールねじ軸2
が軸方向移動自在に挿通されている。電動モータ8は、
図示しないモータ制御回路により、上記操舵トルク検出
器の検出値に従って制御される。
【0016】ボールねじ軸2は、その一端部、この例で
はハンドル軸5側の端部が、ハウジング1内でラック部
7の背面のブッシュ(図示せず)に支持され、他端部
が、ハウジング1に設けられた厚肉筒状の軸サポート部
1d内でガイドスリーブ15に支持されている。軸サポ
ート部1dは、ハウジング1の端部材1bに設けられた
ものである。
【0017】スリーブ11の一端部、この例ではハンド
ル軸5側の端部は、軸受12によりハウジング1内に回
転自在に支持されている。軸受12は、単独の軸受であ
っても、複数個を組み合わせて配置したものであっても
良く、全体としてラジアル荷重およびスラスト荷重の支
持が可能なものとされる。
【0018】電動モータ8の回転は、ボールねじ13を
介して、ボールねじ軸2に軸方向に移動させる力として
伝えられる。ボールねじ13は、ボールねじ軸2と、回
転式のナット14とで構成され、ボールねじ軸2の軸方
向の一部に、ねじ溝を形成したねじ溝形成軸部17が設
けられている。ボールねじ軸2のねじ溝とナット14と
の間には多数のボール(図示せず)が介在し、これらの
ボールは、ナット14に設けられた循環部材(図示せ
ず)により無端の循環経路内を循環させられる。図示の
例のボールねじ13は、いわゆるエンドキャップ形式の
ものであり、循環部材がエンドキャップで形成されたも
のであるが、これに限らず、駒式やリターンチューブ式
のものとしても良い。ボールねじ13のナット14は、
その外径部が軸受16でハウジング1内に回転自在に支
持され、かつ電動モータ8のロータ10の一端が外径面
に嵌合している。ロータ10のナット14側の端部は、
スリーブ11よりも突出していて、この突出部分がナッ
ト14に嵌合する。
【0019】ボールねじ軸2は、上記のようにラック部
7とねじ溝形成軸部17とを一体に形成したものであ
る。ねじ溝形成軸部17は、図1ではその一部のみにね
じ溝を図示し、他の部分は図示を省略してあるが、図2
に示すように、ナット14の移動範囲L1 、およびこの
範囲L1 からラック部7と反対側の端部までの範囲L2
にねじ溝が形成してある。このねじ溝形成範囲の全体L
がねじ溝形成軸部17となる。ナット移動範囲L1 は、
例えば、ねじ溝形成軸部17における全体Lの1/2程
度である。ねじ溝形成軸部17のねじ溝17aは、転造
加工により形成される。ねじ溝形成軸部17には、所定
の表面硬度を持たせるための熱処理が施される。図3に
は、その熱処理として、移動コイル18を用いて高周波
焼入れを行う場合を示す。この高周波焼入れでは、ねじ
溝形成軸部17に対して移動コイル18を一定速度で相
対移動させて行っている。この実施形態では、熱処理を
行う範囲を、ねじ溝形成軸部17におけるナット14の
移動範囲L1 に余裕量を加えた範囲のみと限定してい
る。ナット14の移動範囲L1 は、詳しくはナット14
の移動による、ナット14とボールねじ軸2間のボール
の移動領域となる軸方向範囲である。上記余裕量は、例
えば組立誤差等の各種誤差を見込んだ量や、ねじ溝17
aの表面へのボール接触の影響が生じる範囲を見込んだ
量である。余裕量は零であっても良い。ねじ溝形成軸部
17の全範囲Lにおけるナット移動範囲L1 以外の範囲
2 に、ガイドスリーブ15で支持される被案内部L3
が含まれる。
【0020】この実施形態の電動パワーステアリグ用ボ
ールねじ軸2は、このようにねじ溝形成軸部17のう
ち、ナット14の移動範囲L1 だけ、またはこの範囲L
1 に余裕量を加えた範囲に限って、所定の表面硬度を持
たせるための熱処理を施すものとしているので、熱処理
範囲が少なくて済み、熱処理のサイクルタイムを従来の
全範囲Lに同じ熱処理を行う例に比べて、例えば1/2
程度と短縮することができる。また、熱処理の部分が、
ねじ溝形成軸部17における一部の範囲に限られるた
め、曲がり等の熱処理歪みの生じる範囲が少なくなり、
熱処理後のボールねじ軸2の精度が向上する。これによ
り、熱処理後に、曲がり修正等を行う精度改善のための
後工程を行うサイクルタイムが短縮され、場合によって
はこの修正工程を省くことが可能になる。
【0021】なお、ねじ溝形成軸部17は、ナット14
の移動範囲L1 だけでなく、ボールねじ軸2の一端まで
の範囲とされているので、ねじ溝17aを転造加工で形
成することができ、生産性良くねじ溝17aの加工が行
える。
【0022】図4は、この発明の第2の実施形態を示
す。この実施形態の場合、ボールねじ軸2におけるねじ
溝形成軸部17の軸方向範囲の全体Lにわたって表面硬
化の熱処理を施す。この熱処理は、焼き入れ等とする。
ただし、この例ではナット14の移動範囲L1 と、この
移動範囲L1 以外の範囲L2 とで、ナット移動範囲L1
の方が高程度となるように、熱処理の程度に差を持たせ
ている。具体的には、ナット14の移動範囲L1 では、
図4(B)に熱処理範囲aを細かなハッチングで示すよ
うに、熱処理深さをねじ溝17aの底部に達するまで深
くすると共に、表面硬度もHRC55〜62程度と高く
している。これに対して、ナット移動範囲L1 以外の範
囲L2 では、図3(C)のように熱処理深さを軸外径部
に限った浅いものとすると共に、表面硬度もHRC50
程度、またはそれ以下と低くしている。ねじ溝形成軸部
17のうち、ガイドスリーブ15で支持される被案内部
3は、上記範囲L2 に含まれており、軸外径部に限っ
た表面硬化の熱処理が施されることになる。
【0023】なお、この実施形態では、熱処理の程度の
差として深さ範囲と硬度の両方が異なるようにしたが、
上記熱処理の程度の差としては、熱処理深さの差だけで
あっても、表面硬度の差だけであっても良い。すなわ
ち、ねじ溝形成軸部17の軸方向範囲のうち、ナット1
4の移動範囲L1 の熱処理深さを深くし、それ以外の範
囲L2 の熱処理深さを浅くするだけでも良いし、ナット
移動範囲L1 の表面硬度が高くなり、それ以外の範囲L
2 の表面硬度が低くなるだけの熱処理としても良い。
【0024】この実施形態では、このようにねじ溝形成
軸部17のうち、ナット14の移動範囲L1 と、この移
動範囲L1 以外の範囲L2 とで、ナット移動範囲L1
方が熱処理の程度が高程度となるように熱処理の程度に
差を持たせているので、その熱処理のサイクルタイムを
従来例に比べて短縮することができる。例えば、熱処理
が高周波焼入れの場合には、ねじ溝形成軸部17に対す
る移動コイルの相対移動の速度を、ナット移動範囲L1
以外の範囲L2 ではナット移動範囲L1 よりも高速にで
きるので、それだけ熱処理のサイクルタイムを短縮する
ことができる。例えば、熱処理のサイクルタイムを従来
の3/4程度とできる。また、ナット移動範囲L1 以外
の範囲L2 での熱処理の程度を低くすることから、熱処
理した後のボールねじ軸2の精度も向上することにな
り、精度改善のための後工程を省略することができる。
【0025】また、ねじ溝形成軸部17のうち、ナット
14の移動範囲L1 以外の範囲L2も、軸表面だけに熱
処理を施すなど、低程度ではあるが熱処理されるため、
ガイドスリーブ15により摺動自在に支持される被案内
部分L3 にもガイドスリーブ15との摺動に十分な表面
硬度を持たせることができる。
【0026】図5は、この発明の第3の実施形態を示
す。この実施形態のボールねじ軸2では、ラック部7に
必要な強度と、ねじ溝形成軸部17に必要な強度のバラ
ンスを考慮して、ねじ溝形成軸部17と、ラック部7と
の外径の比が、 (ねじ溝形成軸部17の外径)/(ラック部7の外径)
=1.03〜1.07 の範囲となるように形成されている。ねじ溝形成軸部1
7のねじ溝は転造加工により形成される。また、ねじ溝
形成軸部17の焼入れによる熱処理では、図5(C)に
拡大して示すように、ナットの移動範囲で熱処理深さが
深く、それ以外の範囲で熱処理深さが浅くなるように施
されている。
【0027】このボールねじ軸2において、ねじ溝形成
軸部17のねじ溝17aを転造加工により形成すると、
転造後のねじ溝形成軸部17の外径は転造前に比べて3
〜7%程度大きくなる。すなわち、例えば、ねじ溝形成
軸部17の軸径が28mmφ、ねじ溝のリードが6m
m、ボール径が5/32の場合には、転造前後比の軸径
増加率は5%程度となる。このように、ねじ溝17aの
転造前後で、ねじ溝形成軸部17の軸径が3〜7%程度
大きくなることから、このボールねじ軸2では、加工前
の素材20として図5(A)のような丸棒を用いること
で、上記したねじ溝形成軸17とラック部7の外径比と
することができる。そのため、素材に研削を施す場合
も、センタレス研削が可能となる。これにより、段付き
素材の場合のような円筒研削が必要でなくなり、加工時
間を短縮できて素材コストが低減し、熱処理時間の短縮
と相まって安価に加工することができる。
【0028】なお、この発明は、図6や図7の例のよう
に、ねじ溝形成軸部17とラック部7との軸径を大きく
異ならせ、段付きの素材31を用いる場合にも適用する
ことができる。
【0029】なお、上記実施形態は、この発明を電動パ
ワーステアリング装置に適用した例を説明したが、この
発明は、自動車のARSシステム(Active Rear Stear
)、すなわち前輪で操舵する自動車において、車体が
常に目標角度になるように、後輪の角度の操舵を電子制
御するシステム等の車輪操舵装置におけるボールねじに
も適用することができる。
【0030】
【発明の効果】この発明の車輪操舵装置用ボールねじ
は、ボールねじ軸のねじ溝を形成した軸方向範囲が、ナ
ットの移動範囲およびこの移動範囲以外の範囲にわたっ
ていて、上記ボールねじ軸に表面硬化の熱処理を施した
車輪操舵装置用ボールねじであって、上記ナットの移動
範囲とこの移動範囲以外のねじ溝形成範囲とで、上記ナ
ットの移動範囲の方が高程度となるように、上記熱処理
の程度に差を持たせ、または熱処理を行う範囲を、上記
ナットの略移動範囲のみとしたため、熱処理時のサイク
ルタイム短縮と熱処理後の精度向上が可能となる。上記
ボールねじ軸がラック部を有し、転造加工されたもので
あって、このボールねじ溝形成軸部と、ラック部との外
径の比が、 (ねじ溝形成軸部の外径)/(ラック部の外径)=1.
03〜1.07 の範囲であるものとした場合は、ねじ溝形成軸部の外径
がラック部の外径よりも太くなる構成としながら、丸棒
素材を用いることができて、段付き素材の場合のような
円筒研削が必要でなくなり、加工時間を短縮でき、安価
に加工できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施形態にかかるボールねじ
軸が用いられる電動パワーステアリング装置の破断正面
図である。
【図2】(A)は同ボールねじ軸の平面図、(B),
(C)はそのねじ溝形成軸部における各部の熱処理状況
を示す拡大断面図である。
【図3】同ボールねじ軸の熱処理方法を示す説明図であ
る。
【図4】(A)はこの発明の第2の実施形態にかかるボ
ールねじ軸の平面図、(B),(C)はそのねじ溝形成
軸部における熱処理高程度および熱処理低程度の各部分
を示す拡大断面図である。
【図5】(A)はこの発明の第3の実施形態にかかるボ
ールねじ軸の加工前の素材を示す正面図、(B)は同ボ
ールねじ軸の破断正面図、(C)は同ボールねじ軸の部
分拡大断面図である。
【図6】(A)はボールねじ軸のねじ溝成形軸部とラッ
ク部の太さ関係の一例を示す正面図、(B)は同ボール
ねじ軸の加工前の素材の正面図である。
【図7】(A)はボールねじ軸のねじ溝成形軸部とラッ
ク部の太さ関係の他の例を示す正面図、(B)は同ボー
ルねじ軸の加工前の素材の正面図である。
【図8】(A)はボールねじ軸のねじ溝成形軸部とラッ
ク部の太さ関係のさらに他の例を示す正面図、(B)は
同ボールねじ軸の加工前の素材の正面図である。
【図9】従来例の熱処理を示す説明図である。
【符号の説明】
2…ボールねじ軸 7…ラック部 14…ナット 15…ガイドスリーブ 17…ねじ溝形成軸部 L…ナットの移動範囲
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F16H 25/24 F16H 25/24 A (72)発明者 柴田 清武 静岡県磐田市東貝塚1578番地 エヌティエ ヌ株式会社内 (72)発明者 吉田 勇 静岡県磐田市東貝塚1578番地 エヌティエ ヌ株式会社内 Fターム(参考) 3D033 CA02 CA05 3J062 AA07 AB05 AB22 AC07 BA01 BA06 BA14 CA15 CA31 CD12 4K042 AA25 BA10 BA13 DA01 DB01

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ボールねじ軸のねじ溝を形成した軸方向
    範囲が、ナットの移動範囲およびこの移動範囲以外の範
    囲にわたっていて、上記ボールねじ軸に表面硬化の熱処
    理を施した車輪操舵装置用ボールねじにおいて、 上記ナットの移動範囲とこの移動範囲以外のねじ溝形成
    範囲とで、上記ナットの移動範囲の方が高程度となるよ
    うに、上記熱処理の程度に差を持たせ、または熱処理を
    行う範囲を、上記ナットの略移動範囲のみとしたことを
    特徴とする車輪操舵装置用ボールねじ。
  2. 【請求項2】 上記ナットの移動範囲は、ねじ溝の溝底
    まで上記熱処理を施し、上記ナットの移動範囲以外のね
    じ溝形成範囲は、軸外径部のみの熱処理とした請求項1
    に記載の車輪操舵装置用ボールねじ。
  3. 【請求項3】 上記ナットの移動範囲とこの移動範囲以
    外のねじ溝形成範囲とで、熱処理後の表面硬度を異なら
    せた請求項1または請求項2に記載の車輪操舵装置用ボ
    ールねじ。
  4. 【請求項4】 上記ナットの移動範囲以外のねじ溝形成
    範囲は、上記ボールねじ軸を摺動自在に案内するガイド
    による被案内部分を含み、この被案内部分を熱処理した
    請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の車輪操舵装
    置用ボールねじ。
  5. 【請求項5】 上記ナットの移動範囲以外のねじ溝形成
    範囲は、上記ナットの移動範囲からボールねじ軸の一端
    までの範囲であり、上記ねじ溝が、転造加工溝である請
    求項1ないし請求項4のいずれかに記載の車輪操舵装置
    用ボールねじ。
  6. 【請求項6】 上記ボールねじ軸がラック部を有し、転
    造加工されたものであって、ねじ溝形成軸部とラック部
    との外径の比が、 (ねじ溝形成軸部の外径)/(ラック部の外径)=1.
    03〜1.07 の範囲である請求項1ないし請求項5のいずれかに記載
    の車輪操舵装置用ボールねじ。
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