JP2003193321A - 極細繊維の溶融紡糸口金及び溶融紡糸方法 - Google Patents

極細繊維の溶融紡糸口金及び溶融紡糸方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 複合繊維を経由することなく、紡糸速度が2
000m/分以上において、単繊維繊度が0.2〜0.6
dtexであって、且つ、そのフィラメント数が100以上
である低配向の未延伸糸をフィラメント切れの発生もな
く、安定な紡糸調子を維持しながら得ることができる溶
融紡糸方法と、この溶融紡糸方法を可能とした溶融紡糸
口金を提供する。 【解決手段】 単繊維繊度が0.2〜0.6dtex、且つ、
そのフィラメント数が100以上の熱可塑性極細繊維を
2000m/分以上で溶融紡糸するための吐出孔(11)群
が穿設された溶融紡糸口金(1)であって、前記吐出孔(1
1)群が開口する前記口金(1)のポリマー吐出面(12)と、
開口した吐出孔(11)群の各側壁面とがなす交差部(13)に
対して、1.0〜5.0μmの面取り及び/又はR取りを
有するエッジ加工が施された極細繊維の溶融紡糸口金
(1)と、この溶融紡糸口金(1)を用いて、巻取後の糸条の
複屈折率(ΔN)が0.04〜0.08である極細ポリエ
ステル繊維を得る極細繊維の溶融紡糸方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリエステル、ポ
リアミドなどの熱可塑性合成樹脂を溶融紡糸するための
紡糸口金に関し、特に、単繊維繊度が0.2〜0.6dte
xであって、その単繊維数(以下、“フィラメント”と
も称する)が100以上の極細マルチフィラメントを紡
糸するための紡糸口金とこれを用いた溶融紡糸方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】近年、柔らかい独特の風合いを有するス
エード調の織編物を得るための原糸として、その単繊維
繊度が1.0dtex前後の極細繊維を用いることが盛んに
行われている。その際、単繊維繊度を更に小さくして、
0.3dtex以下の超極細繊維を用いると、極めて柔らか
くて、その上、好ましい独特の風合いを持った織編物が
得られることもよく知られている。
【0003】このような0.3dtex以下の超極細繊維を
得る方法として、従来、下記に述べる三つの方法が知ら
れている。
【0004】先ず、通称“溶解法(例えば、特開昭48
−25362号公報参照)”と呼ばれる方法は、いわゆ
る“海島型複合繊維”を紡糸して、これを延伸した後、
海成分ポリマーのみを溶剤で溶解除去して、島成分だけ
を残すことで、超極細繊維を得る技術である。
【0005】次に、通称“分割法(例えば、特公昭51
−130317号公報参照)”と呼ばれる方法として、
互いに相溶性が乏しい複数のポリマーからなる貼り合わ
せ型の複合繊維を紡糸・延伸して、その後、貼り合わせ
部を機械的又は化学的に分割することによって、超極細
繊維を得る技術である。
【0006】そして、直接紡糸法(例えば、特開昭55
−26201号公報、特開昭56−123409号公報
など参照)として、極細繊維を紡糸した後、一旦巻き取
った後延伸するか、あるいは、巻き取らずに紡糸に引き
続いてそのまま延伸することによって超極細繊維を得る
技術である。
【0007】しかしながら、複合繊維から超極細繊維を
得る前記溶解法や分割法では、複合繊維を得るための紡
糸工程が複雑で特殊な紡糸設備が必要とされるために、
設備コストも大きくなる。また、溶剤を使用したり、分
割工程が必要となったりするなど、この面での費用もか
さむ上、均一な超極細繊維を工業的に得る方法としても
好ましくない。
【0008】そこで、このような諸問題を解決するため
の技術として、複合繊維を経由せずに、極細繊維を溶融
紡糸して、これを更に適当な倍率で延伸して超極細繊維
を直接的に得る“直接紡糸法”が行われるようになって
きた。
【0009】しかしながら、この“直接紡糸法”では、
単繊維繊度が0.3dtex以下の超極細繊維を得るために
は、先ず、延伸工程へ供する前の紡糸工程で得られる未
延伸糸の段階で、単繊維繊度を0.6dtex以下とする必
要がある。更にその上、延伸を良好に行うためには、こ
のとき得られる未延伸糸が低複屈折率を有することが必
要となる。
【0010】ところが、このような物性を有する超極細
繊維を安定して得るためには、紡糸工程で一旦糸を巻き
取る、通称“別延法”と呼ばれる技術を使用すると、フ
ィラメント切れなどによる紡糸調子の悪化が生じて、安
定した未延伸糸を得ることができないという問題があ
る。しかも、生産効率を上げるために、極細繊維の紡糸
引取速度を上昇させると、この傾向は特に顕著となる。
【0011】そこで、前記“別延法”に代わって、前記
問題を解消して安定に超極細繊維を製造する技術とし
て、紡出された糸条を一旦巻き取ることなく、紡糸工程
に引き続き、そのまま延伸を行う“直接紡糸延伸法”を
採用することが考えられる。
【0012】しかしながら、この“直接紡糸延伸法”に
おいては、例えば、特開昭56−123409号公報に
記載されているように、紡糸時の引取速度を2000〜
4000m/分にすると、細化工程で紡出された糸条が
空気抵抗を受けて、配向が進んでしまうと言う問題を有
する。
【0013】特に、超極細繊維を得る必要上から、紡出
後に延伸工程へ直接に供する糸条の単繊維繊度が、0.
6dtex以下としなければならないような極細糸を溶融紡
糸する場合には、この傾向が著しくなって、0.08〜
0.12という高複屈折率を有する配向が進んだ未延伸
糸しか得られなくなる。したがって、紡糸工程に引き続
く延伸工程において、十分な延伸をこの未延伸糸に施す
ことができず、目的とする0.3dtex以下の超極細繊維
を得ることができなくなる。
【0014】また、未延伸糸の単繊維繊度を0.6dtex
以下としなければならず、紡糸口金に穿設された吐出孔
群からそれぞれ吐出させるポリマー吐出量もこれに対応
させ低吐出量とする必要がある。
【0015】しかしながら、このような低吐出量での溶
融紡糸は、フィラメント切れなどの原因となって紡糸調
子が極めて悪化すると言う深刻な問題も有している。し
かも、紡出糸条のフィラメント数も100以上と多くな
ってくると、フィラメント切れを誘発する確率もそれだ
け上昇し、これに伴って、紡糸調子も更に悪化する。
【0016】このような問題は、前述のように、紡出す
る糸条の単繊維繊度が小さくフィラメント数が多いこ
と、紡出後の糸条に作用する不可避的な空気抵抗、紡糸
口金から吐出するポリマー量が少ないことなどが主要因
である。このため、“直接紡糸法”に使用するための、
極細繊維を紡出する紡糸口金に関する改良に対しては、
これら従来技術が有する諸問題を解決するための有力な
手段であるとは余り考えられず、その関心もほとんど払
われてこなかった。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、以上
に述べた従来技術が有する諸問題を解決することにあ
る。すなわち、本発明の目的は、“直接紡糸法”によっ
て複合繊維を経由することなく、紡糸速度が2000m
/分以上において、単繊維繊度が0.2〜0.6dtexであ
って、且つ、そのフィラメント数が100以上である低
配向の未延伸糸をフィラメント切れの発生もなく、安定
な紡糸調子を維持しながら得ることができる溶融紡糸方
法と、この溶融紡糸方法を可能とした溶融紡糸口金を提
供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明は、前述のよう
に、従来技術において複合繊維を紡糸するための口金に
対しては重大な関心が払われていたが、“直接紡糸法”
における複合繊維用紡糸口金とは異なる“直接紡糸法”
用紡糸口金の改良によって達成されたものである。
【0019】ここで、“直接紡糸法”によって、極細繊
維を紡出するための本願発明の紡糸口金として、「単繊
維繊度が0.2〜0.6dtex、且つ、そのフィラメント数
が100以上の熱可塑性極細繊維を2000m/分以上
で溶融紡糸するための吐出孔群が穿設された溶融紡糸口
金であって、前記吐出孔群が開口する前記口金のポリマ
ー吐出面と、開口した吐出孔群の各側壁面とがなす交差
部(以下、この“交差部”を“エッジ部”とも称する)
に対して、1.0〜5.0μmの面取り及び/又はR取り
を有するエッジ加工が施された極細繊維の溶融紡糸口
金」が提供される。
【0020】その際、本願発明の紡糸口金として、記エ
ッジ加工が1.0〜3.0μmの面取り及び/又はR取り
であることが特に好ましい。
【0021】更に、本願発明の紡糸口金として、前記ポ
リマー吐出面の表面粗さ(Ra)が0.01S〜0.5
Sであることが、前記エッジ加工の効果を減殺すること
がないため好ましい。
【0022】また、本発明の極細繊維の溶融紡糸方法と
して、「前記溶融紡糸口金を用いて、巻取後の糸条の複
屈折率(ΔN)が0.04〜0.08である極細ポリエス
テル繊維を得る極細繊維の溶融紡糸方法」が提供され
る。
【0023】
【発明の実施の形態】本発明で言う熱可塑性ポリマーと
は、ポリエチレンテレフタレート(以後、「ポリエステ
ル」と称することにする)、ポリアミド、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン等を指すが、本発明の極細繊維の溶
融紡糸口金と、これを用いた溶融紡糸方法では、ポリエ
ステルを対象とすることが好ましい。
【0024】また、本発明において前記ポリエステルと
は、芳香族ジカルボン酸を主たる酸成分とする繊維形成
能を有するポリエステルを指す。例えば、ポリエチレン
テレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポ
リテトラメチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサン
ジメチレンテレフタレート、ポリエチレン―2,6―ナ
フタレンジカルボキシレート等を挙げることができる。
【0025】また、これらポリエステルは第3成分とし
て、ブタジオールのようなアルコール成分又はイソフタ
ル酸等のジカルボン酸を共重合させた共重合体でも良
く、更にこれら各種ポリエステルの混合体でも良い。な
お、これらのうちポリエチレンテレフタレート系重合体
が最適である。また、これらポリエステルには、必要に
応じて艶消し剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止
剤、末端停止剤、蛍光増白剤等が含まれていても良い。
【0026】以上に述べた熱可塑性ポリマーを用いて通
常の溶融紡糸を実施すると、紡糸口金に穿設された吐出
孔から吐出された直後のポリマーが膨らむ、と言ういわ
ゆる“ベーラス効果”といわれる現象を起こすことはよ
く知られている。
【0027】本発明者等は、複合繊維を経由する“溶解
法”や“分割法”に代えて、既に述べた“直接紡糸法”
によって極細繊維を得た後、これを更に延伸する際に問
題となる前述の従来技術に係わる諸問題を究明するため
に鋭意検討した。そして、その結果、この“ベーラス効
果”が重要な役割を果たしていることを知見して、本発
明に到達したものである。
【0028】以下、図面を参照しながら、本発明をなす
に至った経過を説明しつつ、本発明の実施形態について
詳細に説明することにする。
【0029】図1は、本発明の溶融紡糸口金の説明図で
あって、その主要部を部分的に拡大した模式正断面図で
ある。この図1において、参照符号1は紡糸口金を示し
ており、この紡糸口金1には、上流側にポリマー導入孔
10を有する吐出孔11が穿設されている。なお、図1
には、ポリマー導入孔10を有する吐出孔11が一つだ
け穿設された部分拡大図を示したが、公知の紡糸口金と
同様に、このような吐出孔11が一つの紡糸口金1には
多数個穿設されていることは言うまでもない。
【0030】本発明の紡糸口金の一大特徴とするところ
は、前記吐出孔11が開口する紡糸口金1のポリマー吐
出面12と、開口した吐出孔11の側壁面とがなすエッ
ジ部(交差部)13に対して、1.0〜5.0μm、特に
好ましくは1.0〜3.0μmの面取り及び/又はR取り
を有するエッジ加工が施されていることである。
【0031】なお、図1では、前記エッジ部13を分り
やすく明示するために、一点鎖線をその近傍に付記して
強調してある。また、図1の例は、前記エッジ部13に
曲率半径がRであるR取りが施されたものがエッジ加工
の例として示されているが、このR取り加工に代えて、
エッジ部13の角を直線状に削ぎ落とした面取り加工を
施しても良い。
【0032】一般に、高い吐出圧力を加えられて吐出孔
11から押出されたポリマーPは、図示したように前記
ベーラス効果によって、一旦、吐出直後に膨らみ部Pa
を形成し、その後、空気抵抗や伸長張力によって細流部
Pbが形成させられて、細化が進行し、最終的に繊維状
に成形される。
【0033】その際、本発明者等は、ベーラス効果によ
る膨らみ部Paが大きくなると、フィラメント切れを誘
発するなどして、紡糸調子が不安定になることを究明し
た。何故、このような現象が生じるのか、その原因はよ
く分らない。
【0034】しかしながら、ポリマーPが吐出孔11か
ら出た直後に膨らみ部Paを形成し、細流部Pbに移行
する際に膨らみ部Paが大きくなりすぎると、多分、そ
の内部応力が不均一になり、これに伴ってポリマーPの
流れが不安定になって、ベンディングなどを起こして、
紡糸調子を悪化させるものと推定される。
【0035】なお、紡糸調子を安定させるための吐出孔
11の形状としては、孔径Dを小さくすると共に、孔長
Lを長くすることによって、吐出するポリマー流を安定
化できることは公知である。
【0036】しかしながら、通常の繊維径より細い極細
繊維を紡糸するためには、孔径Dは必然的に小さくなら
ざるを得ない。それに加えて、孔長Lも長くするとなる
と、吐出孔11からポリマーPを押出すための圧力と吐
出速度が高くなり過ぎるため、吐出孔11のエッジ部1
3が急激に磨耗したり、極端な場合には紡糸口金1が変
形したりするという問題がある。このような問題は、紡
糸口金1に穿設する吐出孔11の数が増えれば増えるほ
ど、より顕在化することはいうまでもない。
【0037】したがって、このような従来の方法では、
単繊維繊度が0.2〜0.6dtex、且つ、そのフィラメン
ト数が100以上の熱可塑性極細繊維を2000m/分
以上で溶融紡糸するような紡糸口金では限界がある。本
発明は、このような従来の紡糸口金が有する問題を一挙
に解決するものであって、孔径Dを必要以上に小さくす
ることもなく、また、孔長Lを必要以上に長くすること
も要求しない。
【0038】すなわち、既に述べたように本発明の溶融
紡糸口金1においては、前記エッジ部13に対して、
1.0〜5.0μm、特に好ましくは1.0〜3.0μmの
面取り及び/又はR取りを有するエッジ加工を施すこと
が極めて重要となる。そして、このようにすることによ
って、前記ベーラス効果によるポリマーPの膨らみを小
さくでき、その結果として、ポリマーPの流れを安定化
することができる。
【0039】何故ならば、ベーラス効果によるポリマー
Pの膨らみは、吐出孔11のエッジ部13がシャープで
あるほど小さくなるからである。この意味からも、前記
のエッジ加工は、5.0μm以下が好ましい。
【0040】もし、吐出孔11のエッジ部13が5.0
μmより大きいシャープでないエッジ加工がなされてい
ると、ポリマーPの流れは、このエッジ部を容易にトレ
ースできる。そして、その結果として、ベーラス効果に
よるポリマーPの膨らみが大きくなる。
【0041】これについて、図1の例に則して説明する
と、エッジ部13がシャープなR取り加工(図では参照
符号R1で明示)がされている場合は、吐出直後のポリ
マーPの膨らみ部Paは実線で示したように大きく膨ら
むことはない。これに対して、シャープでないR取り加
工(図では参照符号R2で明示)がされていない場合に
は、破線で示したように、ポリマーPの膨らみ部Pa'
は、大きくなる。
【0042】このように膨らみ部Pa' が大きくなる
と、一旦大きく膨らんだポリマーが今度は、伸長張力に
よって急激に細化が行われることとなって、この時にポ
リマーに作用する内部応力が不均一となって、ポリマー
の流れを不安定化させるものと考えられる。
【0043】しかも、このような現象は、高速で紡糸さ
れ、且つ繊維径が細くなるほど急激に起こると考えられ
る。これに対して、本発明は、まさに、2000m/分
という高速の“直接紡糸法”によって極細繊維を紡糸し
て未延伸糸を得るという工程を経る。このため、紡糸後
に、これを一旦巻き取るか、あるいは巻き取らないかは
別として、延伸して超極細繊維を得るという場合には、
紡糸工程における工程調子の安定化は極めて重要とな
る。
【0044】なお、本発明の紡糸口金では、1.0μm
未満の面取り及び/又はR取りを有するエッジ加工で
は、次に述べるような理由から好ましくない。つまり、
1.0μm未満のエッジ加工しか施されていないシャー
プなエッジ部を有する吐出孔では、このエッジ部の近傍
にポリマーから昇華して出てきた異物、ポリマーの熱分
解物、ポリマー中に含まれる低分子量物などが付着堆積
し、これによって紡糸調子がかえって悪くなると言う結
果を招来するからである。
【0045】したがって、通常、従来の紡糸口金におい
て、吐出孔11のエッジ部13に対してシャープでない
面取りを行うことが一般に行われていが、本発明の紡糸
口金のようなシャープなエッジ部を形成することは、一
般に行われない。
【0046】なお、本発明においては、ベーラス効果に
よる吐出直後のポリマーの膨らみを極力抑制することが
肝要であることは、既に繰り返し述べたところである。
また、このための吐出孔のエッジ部に対してエッジ加工
が極めて重要であることも既に述べたところである。
【0047】したがって、本発明で言う“面取り及び/
又はR取りを有するエッジ加工”とは、単に、直線状に
面取り加工されていたり、あるいは曲率半径がRである
ような曲線でR取り加工が施されたりしたもののみを指
すのではないことは、その主旨より明らかである。
【0048】つまり、ベーラス効果による吐出直後のポ
リマーの膨らみを極力抑えることが肝要であって、この
ため直線と曲線とを多段に組み合わせたエッジ加工を施
すようにしても良い。しかしながら、このような複雑で
かつ精巧な孔開け加工は、コストと時間がかかるため、
必要以上に複雑な加工を施す理由はあまりない。
【0049】また、本発明の溶融紡糸口金1において
は、前述のように、吐出孔11が開口するポリマー吐出
面12の表面粗さ(Ra)が重要であって、この吐出面
12の表面粗さ(Ra)を0.01S〜0.5S(0.0
1〜0.5μm)とすることが必要である。
【0050】何故ならば、シャープなエッジ加工を施し
ても、表面粗さ(Ra)が0.5S(0.5μm)より
大きくなって吐出面12が荒れていては、その効果が減
殺されるからである。また、表面粗さ(Ra)が0.0
1S(0.01μm)未満のように必要以上に吐出面1
2を鏡面加工することは、加工コスト上及び機能上から
もあまり意味がない。
【0051】以上に述べた本発明の紡糸口金を使用する
ことによって、単繊維繊度が0.2〜0.6dtex、且つ、
そのフィラメント数が100以上の熱可塑性極細繊維を
2000m/分以上でフィラメント切れなく、安定に溶
融紡糸することができる。
【0052】そして、巻取後の糸条の複屈折率(ΔN)
が0.04≦ΔN≦0.08である低複屈折率を有する極
細ポリエステル繊維を得ることができる。そして、この
未延伸糸を延伸することによって、0.3dtex以下の超
極細繊維を得ることができる。
【0053】
【実施例】以下、本発明の溶融紡糸方法について、実施
例により具体的に説明する。なお、本実施例に用いる評
価は下記の方法によって評価した。
【0054】(1) 製糸限界単繊維繊度 紡糸速度を3000m/分と一定に維持して、紡糸口金
に穿設された吐出孔から吐出するポリマー量を徐々に低
下させて巻取、溶融紡糸を安定に実施できなくなるフィ
ラメント切れが頻発する時点での単繊維繊度を製糸限界
単繊維繊度とした。
【0055】(2) 紡糸調子 紡糸速度を3000m/分と一定に維持して、吐出孔一
孔当り0.14g/分でポリエステルを紡出して連続紡
糸を行って巻取機に巻き取った。その際、巻取長105
mに対して糸条が断糸しなかった回数(N1)と、巻取
長105mに対して断糸した回数(N2)とをそれぞれ
カウントして、{N2/(N1+N2)}×100を算
出し、紡糸調子を百分率で評価した。つまり、この値が
大きくなるほど紡糸調子が悪いこととなる。
【0056】(3) 複屈折率(ΔN) オリンパス光学(株)社製BH-2型偏光顕微鏡を使用
して、コンペンセータ法によって、フィラメントのレタ
ーデーションとフィラメント径を測定して求めた値から
定法によって算出した。
【0057】[実施例1及び2、比較例1及び2]図1
に例示した孔径Dが0.15mm、吐出孔長Lが0.6
mmの吐出孔11を144個穿設した溶融紡糸口金1に
対して、ポリマー吐出面12と吐出孔11の側壁面とが
交差するエッジ部(交差部)13に下記の表1に示した
R取り加工(円弧状のエッジ加工)を行った。なお、こ
の時のポリマー吐出面12における表面粗さ(Ra)は
表1に示す通りであった。
【0058】35℃のオルソ−クロロフェノール溶液を
溶媒として使用して公知の方法によって算出した固有粘
度が0.63のポリエチレンテレフタレートからなる溶
融ポリマーを前記紡糸口金から紡出し、常法にしたがっ
て、ガラス転移温度以下に冷却した後、油剤を付与し、
フィラメント間に交絡を付与し、引取ローラーで紡糸速
度3000m/分で引き取り、最終的に複屈折率(Δ
N)が0.05の144フィラメントからなる極細繊維
の未延伸糸条パッケージとして巻き取った。このとき得
られた結果を表1に示す。
【0059】
【表1】
【0060】表1より明らかな如く、本発明の溶融紡糸
口金を使用して極細繊維を溶融紡糸した場合(実施例1
及び2)は、0.3dtex以下の単繊維繊度を有する極細
繊維の未延伸糸を紡糸調子の悪化もなく得られた。これ
に対して、本発明の溶融紡糸口金を使用しなかった場合
(比較例1及び2)では、製糸限界単繊維繊度を0.3
dtex以下にすることは困難であって、紡糸調子も悪かっ
た。
【0061】
【発明の効果】以上に述べた本発明の溶融紡糸口金と、
この口金を使用した溶融紡糸方法を用いることによっ
て、複合繊維を経由することなく、紡糸速度が2000
m/分以上において、単繊維繊度が0.2〜0.6dtexで
あって、且つ、そのフィラメント数が100以上である
低配向の未延伸糸をフィラメント切れの発生もなく、安
定な紡糸調子を維持しながら得ることができるという極
めて顕著な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の溶融紡糸口金の説明図であって、その
主要部を部分的に拡大した模式正断面図である。
【符号の説明】
1 溶融紡糸口金 11 吐出孔 12 ポリマー吐出面 13 交差部(エッジ部) P ポリマー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 逢坂 浩幸 愛媛県松山市北吉田町77番地 帝人株式会 社松山事業所内 Fターム(参考) 4L045 AA05 BA03 BA34 CB13 CB16

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 単繊維繊度が0.2〜0.6dtex、且つ、
    そのフィラメント数が100以上の熱可塑性極細繊維を
    2000m/分以上で溶融紡糸するための吐出孔群が穿
    設された溶融紡糸口金であって、 前記吐出孔群が開口する前記口金のポリマー吐出面と、
    開口した吐出孔群の各側壁面とがなす交差部に対して、
    1.0〜5.0μmの面取り及び/又はR取りを有するエ
    ッジ加工が施された極細繊維の溶融紡糸口金。
  2. 【請求項2】 前記エッジ加工が1.0〜3.0μmの面
    取り及び/又はR取りである請求項1の極細繊維の溶融
    紡糸口金。
  3. 【請求項3】 前記ポリマー吐出面の表面粗さ(Ra)
    が0.01S〜0.5Sである請求項1又は2記載の極
    細繊維の溶融紡糸口金。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3の何れか一項に記載の溶融
    紡糸口金を用いて、巻取後の糸条の複屈折率(ΔN)が
    0.04〜0.08である極細ポリエステル繊維を得る極
    細繊維の溶融紡糸方法。
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CN111676527A (zh) * 2020-06-04 2020-09-18 太仓振辉化纤有限公司 一板双束超细旦涤纶预取向丝的制造方法

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