JP2003201543A - 加工性に優れた鋼管およびその製造方法 - Google Patents
加工性に優れた鋼管およびその製造方法Info
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Abstract
性に優れた自動車構造部材用高強度鋼管およびその製造
方法を提案する。 【解決手段】 C:0.05〜0.30%、Si:0.01〜1.0 %、
Mn:1.0 〜4.0 %、Al:0.005 〜0.10%、S:0.003 %
以下を含有する組成の素材鋼管に、加熱および均熱処理
を施したのち、圧延終了温度:400 ℃以上 800℃未満、
累積縮径率:20%以上の絞り圧延を施して製品管とす
る。これにより、圧延ままで引張強さが580Mpa超え、降
伏比:70%以下を有し、150 〜300 ℃で10〜20min の熱
処理を施した後に、降伏応力が大きく上昇し、降伏比が
80%以上となる。なお、さらに、Cu、Ni、Cr、Mo、Nb、
Ti、Bのうちから選ばれた1種または2種以上および/
またはREM 、Caのうちから選ばれた1種または2種を含
有してもよい。
Description
鋼管に係り、とくに、自動車構造部材用として高強度で
かつ加工性に優れ、さらには低温短時間熱処理硬化性
(塗装焼付け硬化性)を有する鋼管に関する。
自動車車体の軽量化が強く要望されている。このような
自動車車体の軽量化要求に伴い、自動車構造用部材とし
て使用される鋼管にも、薄肉化・高強度化が要望されて
いる。鋼管は、自動車構造部材のうちでも懸架機構関係
の用途に向けられることが多い。懸架機構用部材として
用いられる鋼管は、単純な直管として使用される場合も
あるが、曲げ、 縮径、拡管等の成形を経て使用される場
合が多い。このため、鋼管の特性として、高強度に加え
て、加工性にも優れていることが要求される。
スタビライザーがある。スタビライザーは、自動車の旋
回時の乗り心地および走行安定性を向上する部品であ
り、重要保安部品として指定されている。したがって、
スタビライザーには十分な強度と耐久性を有することが
要求されている。従来から、自動車の懸架機構部品とし
てのスタビライザーは、熱延棒鋼または熱延線材を素材
として、該素材に熱間鍛造および熱間曲げ成形等により
所定の形状の成形品にしたのち、該成形品に焼入れ、焼
戻し処理を施す方法で製造されていた。しかしながら、
この方法では、複雑な工程と大掛かりな設備を必要とし
製造コストの高騰を招くとともに、加熱および焼入れ処
理中に変形が生じる場合があり矯正工程が必須となると
いう問題があった。また、加熱中の酸化にともなう肌荒
れ、脱炭の生成などにより耐疲労性が劣化するという問
題もあった。
求や、車体部品の生産効率の向上要求から、スタビライ
ザー等部品素材の中空化が検討されている。従来から、
種々の断面形状を有する中空部材を製造するには、鋼板
をプレス成形した部品同士を溶接代であるフランジ部で
スポット溶接する方法が採用されてきた。しかし、最近
ではこのような中空部材にも、衝突時に、より高い衝撃
吸収能を有することが求められるようになり、素材とし
て一層高強度化した鋼板が使用されるようになってき
た。そのため、従来のプレス成形を用いる方法では、成
形欠陥のない、また成形品の形状、寸法精度に優れた、
中空部材を製造することが困難になりつつある。
ことが考えられるが、部材の製造方法として従来の方法
をそのまま踏襲したのでは、 上記したような、矯正工程
を必要とすること、耐疲労性が劣化することといった問
題は依然として未解決のままとなる。 このような問題を解決するための新しい成形方法とし
て、最近、ハイドロフォーミングが注目されている。ハ
イドロフォーミングは、鋼管の内部に高圧液体を注入し
て所要形状の部材に成形する方法であり、鋼管の断面寸
法を拡管加工などにより変化させて、複雑な形状の部材
を一体成形でき、強度・剛性を高める機能を持つ優れた
成形法である。
に供される鋼管としては、ハイドロフォーミングに耐え
うる加工性を有することが必要なことから、C:0.02〜
0.1 質量%の低炭素鋼板を素材とした引張強さ:580MPa
以下の電縫鋼管が多用されていた。しかしながら、この
ような低強度の鋼管では、最近の自動車用部材の薄肉化
・高強度化の流れに対応できないため、ハイドロフォー
ミングに耐えうる加工性を有する高強度鋼管の開発が熱
望されていた。
し、引張強さ:580MPa超えの高強度を有し、加工性に優
れた自動車構造部材用高強度鋼管およびその製造方法を
提案することを目的とする。
課題を達成するため、歪発生の原因となる焼入れやオフ
ラインの熱処理を行うことなく、高強度と優れた加工性
を兼ね備えた鋼管を製造する方法について、鋭意研究し
た。その結果、特定範囲の組成を有する素材鋼管に、圧
延終了温度を400 ℃以上 800℃未満とする絞り圧延を行
い、圧延終了後空冷することにより、組織がマルテンサ
イトおよびフェライトあるいはさらに残留オーステナイ
トおよび/またはベイナイトの混合組織となり、オフラ
イン熱処理を行うことなく、高強度でかつ加工性に優れ
た製品管が得られることを見いだした。
に検討を加えて完成されたものである。すなわち、第1
の本発明は、質量%で、C:0.05〜0.30%、Si:0.01〜
2.0 %、Mn:1.0 〜4.0 %、Al:0.005 〜0.10%、S:
0.003 %以下を含有し、あるいはさらにCu:1%以下、
Ni:1%以下、Cr:0.05〜 1.0%、Mo:1%以下、Nb:
0.01〜 0.1%、Ti:0.01〜 0.1%、B:0.005 %以下の
うちから選ばれた1種または2種以上および/またはRE
M :0.02%以下、Ca:0.01%以下のうちから選ばれた1
種または2種を含有し、残部Feおよび不可避的不純物か
らなる組成を有し、引張強さが580Mpa超えで降伏比:70
%以下を有し、低温短時間熱処理を施したのちの降伏比
が80%以上となることを特徴とする加工性に優れる自動
車構造部材用高強度鋼管であり、また、 本発明では、組
織が、 マルテンサイト、 フェライトあるいはさらに残留
オーステナイトおよび/またはベイナイトを含む混合組
織であることが好ましい。
05〜0.30%、Si:0.01〜1.0 %、Mn:1.0 〜4.0 %、A
l:0.005 〜0.10%、S:0.003 %以下を含有し、ある
いはさらにCu:1%以下、Ni:1%以下、Cr:0.05〜
1.0%、Mo:1%以下、Nb:0.01〜 0.1%、Ti:0.01〜
0.1%、B:0.005 %以下のうちから選ばれた1種また
は2種以上および/またはREM :0.02%以下、Ca:0.01
%以下のうちから選ばれた1種または2種を含有し、好
ましくは残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有
する素材鋼管に、加熱および均熱処理を施したのち、圧
延終了温度:400 ℃以上 800℃未満、累積縮径率:20%
以上の絞り圧延を施して製品管とすることを特徴とする
加工性に優れた自動車構造部材用高強度鋼管の製造方法
である。なお、このようにして製造された製品管は、圧
延ままで引張強さが580Mpa超え、降伏比:70%以下を有
し、150 〜300 ℃で10〜20min の低温短時間熱処理を施
した後に、降伏応力が大きく上昇し、降伏比が80%以上
となる優れた低温短時間熱処理硬化性(塗装焼付け硬化
性)を有する。
鋼管は、引張強さTSが580 MPa 超えで、かつ降伏比Y
R(降伏強さYS/引張強さTS)が70%以下であり、
好ましくは限界拡管率が15%以上である、加工性に優れ
た高強度鋼管である。本発明の鋼管は、電縫鋼管、鍛接
鋼管等の溶接鋼管、あるいは継目無鋼管のいずれでもよ
く、その素材鋼管の製造方法には限定されない。
面自由バルジ変形させてバーストさせる自由バルジ試験
においてバーストしたときの試験体の最大外径dmax を
測定し、次式 LBR (%)={(dmax −d0 )/d0 }×100 (ここに、d0 :製品管(試験体)の外径)から算出さ
れた値である。
鋼管は、低温短時間熱処理を施すことにより、降伏応力
が大きく上昇し、降伏比YRが80%以上となる特性を有
する。なお、本発明の自動車構造部材用高強度鋼管は、
歪量5%以下の予変形を施したのち、同様の低温短時間
熱処理を行っても同様の高降伏比が得られる。本発明で
いう「低温短時間熱処理」とは、150 〜300 ℃の温度で
10〜20min 保持する処理をいう。低温短時間熱処理の温
度が、150 ℃未満では大きな降伏応力の増加効果が得ら
れず、一方、300 ℃を超える温度では、引張強さが低下
するうえ、コスト高となる。また、低温短時間熱処理の
時間は、できるだけ短時間とすることが生産性、コスト
の面から好ましいが、10min 未満では十分な効果が得ら
れず、一方で20min を超えると、引張強さが低下する。
形加工を施した後に、塗装、焼付け工程を経ることが多
い。塗装焼付け条件として、一般的には170 〜180 ℃で
20min 程度で行われる。本発明鋼管の場合は、従来のよ
うにQT(Quench-Temper )処理を施して強度や加工性
を確保する必要はなく、塗装焼付け時の熱を利用するこ
とにより所望の強度を確保することができる。また、上
記した低温短時間熱処理条件内であれば、加工性の低下
も少なく、加工性を保持したままで所望の強度を確保す
ることが可能となる。
管の組成限定理由を説明する。以下、質量%は単に%と
記す。 C:0.05〜0.30% Cは、基地中に固溶しあるいは他の元素と結合し炭化物
として析出し、鋼の強度増加に寄与する元素である。こ
のような効果を得るためには、0.05%以上の含有が必要
となる。一方、0.30%を超えて含有すると、溶接性が劣
化する。このため、本発明では、Cは0.05〜 0.30 %の
範囲に限定した。
鋼の強度を増加させる元素である。これらの効果は、0.
01%以上、好ましくは 0.10 %以上の含有で認められる
が、 2.0%を超える含有は延性を劣化させる。このた
め、Siは0.01〜 2.0%の範囲に限定した。なお、好まし
くは、0.01〜 1.0%である。
圧延後の冷却時にマルテンサイト、残留オーステナイト
の形成を促進する作用を有する元素である。このような
効果は 1.0%以上の含有で認められるが、 4.0%を超え
る含有は延性を劣化させる。このため、Mnは 1.0〜 4.0
%の範囲に限定した。なお、好ましくは2.0 〜4.0 %で
ある。また、オフライン熱処理をせずに980MPa以上の高
強度を確保するためには、Mnは 2.5〜 4.0%の範囲とす
るのが好ましい。なお、より好ましくは、2.5 〜 3.0%
である。
細化する作用を有する元素である。この結晶粒微細化の
効果により、素材鋼管の組織を微細化し、本発明の効果
をより大きくする。このような効果は、0.005 %以上の
含有で認められるが、 0.10 %を超える含有は、酸化物
系介在物量を増加させ、清浄度を低下させる。このた
め、Alは 0.001〜0.10%の範囲に限定した。
在物を起点としてハイドロフォームなどの加工を行った
際に、鋼管が破断する場合がある。このため、Sはでき
るだけ低減することが耐破断性(ハイドロフォーミング
性)を改善するという観点から好ましい。しかし、0.00
3 %以下に低減すれば、耐破断性(ハイドロフォーミン
グ性)改善効果が現れる。このため、Sは0.003 %以下
に限定した。なお、好ましくは0.0010%以下である。
金元素を必要に応じ含有することが好ましい。 Cu:1%以下、Ni:1%以下、Cr:0.05〜 1.0%、Mo:
1%以下、Nb:0.01〜0.1%、Ti:0.01〜 0.1%、B:
0.005%以下のうちから選ばれた1種あるいは2種以
上、 Cu、Ni、Cr、Mo、Nb、Ti、Bは、いずれも強度を増加さ
せる元素であり、必要に応じ1種または2種以上含有で
きる。
えてさらに、変態点を低下させ、組織を微細化する効果
を有している。このような効果は、Cu:0.1 %以上、N
i:0.1 %以上、Mo:0.1 %以上をそれぞれ含有するこ
とにより顕著となる。一方、Cuを1%を超えて多量に含
有すると熱間加工性が劣化する。また、Niは強度増加と
ともに靱性をも改善するが、1%を超えて多量に含有し
ても、効果が飽和し、含有量に見合う効果が期待できな
くなる。また、Moを1%を超えて多量に含有すると、溶
接性、延性が劣化するうえコスト高となる。このような
ことから、Cu:1%以下、Ni:1%以下、Mo:1%以下
とするのが好ましい。
イトを生成させやすくして、強度を増加させるととも
に、 耐食性を向上させる元素である。このような効果は
0.05%以上の含有で認められる。一方、1.0 %を超えて
含有すると、溶接性、延性が劣化する。このため、Crは
0.05〜 1.0%の範囲に限定することが好ましい。Nbは、
炭化物、窒化物、あるいは炭窒化物として析出し、鋼の
高強度化に寄与する元素である。とくに、高温に加熱さ
れる接合部を有する溶接鋼管では、接合時の加熱過程で
の粒の微細化や、冷却過程でのフェライトの析出核とし
て作用し、接合部の硬化を防止する効果を有する。この
ような効果は、0.01%以上の含有で認められる。一方、
0.1 %を超えて多量に添加すると、溶接性、靱性ともに
劣化する。このため、Nbは0.01〜0.1 %に限定すること
が好ましい。
いは炭窒化物として析出し、高強度化に寄与する元素で
ある。本発明では、0.01%以上の含有を必要とするが、
0.1%を超えて多量に添加すると、溶接性、靱性とも劣
化する。このため、Tiは0.01〜0.1 %に限定することが
好ましい。Bは、焼入れ性の向上を介して強度を向上さ
せる元素である。このような効果は、0.0005%以上の含
有で顕著となる。一方、0.005 %を超えて多量に含有す
ると溶接性、靱性とも劣化する。このため、Bは0.005
%以下に限定するのが好ましい。
から選ばれた1種あるいは2種 REM ,Caは、いずれも硫化物、酸化物、または酸硫化物
として鋼中に存在して、介在物の形状を球状化して、鋼
の加工性を向上させる作用を有し、必要に応じ選択して
含有できる。また、REM ,Caはともに、接合部を有する
溶接鋼管の接合部の硬化を防止する作用を有する。この
ような効果は、REM :0.003 %以上、Ca:0.003 %以上
で顕著となる。
を超えると介在物が多くなりすぎ清浄度が低下し延性が
劣化する。このため、REM :0.02%以下、Ca:0.01%以
下とすることが好ましい。上記した成分以外の残部はFe
および不可避的不純物である。不可避的不純物として
は、N:0.01%以下、O:0.01%以下、P:0.10%以下
が許容できる。
て説明する。本発明鋼管は、マルテンサイトおよびフェ
ライトの混合組織、もしくはマルテンサイト、フェライ
トおよび残留オーステナイトの混合組織、あるいはマル
テンサイト、フェライトおよびベイナイトの混合組織、
あるいはマルテンサイト、フェライト、残留オーステナ
イトおよびベイナイトの混合組織を有することが好まし
い。混合組織におけるフェライトは、面積率で70%以下
とすることが好ましい。フェライトの存在量が面積率で
70%を超えて多くなると所望の高強度が確保できなくな
る。なお、より好ましくは、50%以下である。
テンサイトである。なお、残留オーステナイトは、面積
率で15%以下、ベイナイトは25%以下とすることが好ま
しい。残留オーステナイトが15%を超え、あるいはベイ
ナイトが25%を超えると所望の高強度が確保できなくな
る。つぎに、本発明の高強度鋼管の製造方法について説
明する。
成を有する鋼管を素材鋼管(素管)として、 該素材鋼管
に、加熱および均熱処理を施したのち、絞り圧延を施し
て製品管とする。本発明では、素材鋼管の製造方法は、
通常公知の造管法がいずれも好適であり、特に限定する
必要はない。造管方法としては、例えば、帯鋼を冷間ま
たは熱間でロール成形あるいは曲げ加工してオープン管
とし、 該オープン管の両エッジ部を高周波電流を利用し
て融点以上に加熱しスクイズロールで衝合接合する電気
抵抗溶接法(素管名称:電縫管、熱管の場合は熱間電縫
管)、オープン管両エッジ部を固相圧接温度域に加熱し
圧接接合する固相圧接法(素管名称:固相圧接管)、鍛
接法(素管名称:鍛接管)およびマンネスマン式穿孔圧
延法(素管名称:継目無鋼管)のいずれも好適に使用で
きる。
造管法のいずれかで製造された素材鋼管に、まず、加熱
あるいは均熱処理を施す。素材鋼管に施す加熱処理ある
いは均熱処理の条件は、後述する絞り圧延条件を満足す
ることができればとくに限定されないが、Ac3 変態点〜
Ac1 変態点間に加熱するか、あるいはAc3 変態点以上に
加熱し、 冷却することにより絞り圧延条件を満足するよ
うに調整することが好ましい。なお、素材鋼管の製造が
温間または熱間で行われ、絞り圧延に際し、充分な温度
を保有している場合には、室温まで冷却することなく、
管温度分布の均熱化のために均熱処理を施すのみで充分
である。素材鋼管の保有する温度が低い場合には、加熱
処理を施すことが好ましい。なお、加熱処理に際し、必
ずしも室温まで冷却する必要はない。なお、本発明で
は、加熱または均熱処理後の冷却を適宜調整して、所望
の絞り圧延条件を満足させることが好ましい。
管は、ついで絞り圧延を施される。絞り圧延は、累積縮
径率:20%以上、より好ましくは30%以上とすることが
好ましい。累積縮径率が20%未満では、圧延集合組織の
発達が不十分で高いr値が得られないため、優れた加工
性を確保できない。r値を高くする観点からは、累積縮
径率は高い方が好ましいが、生産性の観点からは上限を
95%とすることが望ましい。なお、 好ましくは40〜80%
である。
℃未満、より好ましくは400 ℃以上700 ℃未満とするこ
とが好ましい。なお、より好ましくはα+γ二相域、あ
るいは二相域直上で、加工することが好ましい。α+γ
二相域、あるいは二相域直上で、加工することにより、
オ−ステナイトが不安定となり、フェライトへの変態が
促進され、オ−ステナイト(γ)分率が低下するため、
γへのC,Mnの濃縮が進行しやすくなり、焼入れ性が向
上する。
は、圧延時の負荷が過大となるとともに、圧延時の加工
硬化量が大きくなり、そのため加工性が低下し、所望の
優れた加工性を確保することができなくなる。一方、絞
り圧延の圧延終了温度が 800℃以上では、低温短時間熱
処理硬化性が低下し、所望の低温短時間熱処理後の特性
が確保できなくなる。なお、圧延終了温度は高強度化の
観点から、マルテンサイトまたはベイナイト変態終了温
度以上とするのが好ましい。
却すればよい。冷却は空冷または水冷いずれでもよい。
また、絞り圧延には、レデューサーと称される複数の孔
型圧延機をタンデムに配列した圧延機列を使用すること
が好ましい。なお、本発明では、絞り圧延は、潤滑下で
の圧延(潤滑圧延)とすることが好適である。絞り圧延
を潤滑圧延とすることにより、厚み方向の歪み分布が均
一となり、組織の微細化や集合組織の形成を厚み方向で
均一にすることができる。無潤滑圧延では、剪断効果に
より材料表層部にのみ圧延歪が集中し、厚み方向に不均
一な組織が形成される傾向となる。
管状にロール成形した後、 両端を誘導加熱して衝合接合
し、溶接鋼管(電縫鋼管:外径 146mmφ)とした。これ
ら溶接鋼管を素材鋼管とし、素材鋼管に表2に示す加熱
処理を施し、さらに、表2に示す条件で絞り圧延を施
し、製品管とした。絞り圧延はダンデム配置のレデュー
サーを使用して行った。
性、低温短時間熱処理硬化特性、引張曲げ特性、拡管率
を調査した。また、一部の鋼管については、自由バルジ
試験によりハイドロフォーム加工を行い、バーストした
時の拡管率を調査した。試験方法は下記のとおりであ
る。 (1)組織 各製品管から、試験片を採取し、管長手方向と直交する
断面について、光学顕微鏡、走査型電子顕微鏡を用いて
組織を撮像した。得られた組織写真について画像解析装
置を用い、組織の種類、組織分率を求めた。 (2)引張特性 各製品管から長手方向にJIS 12 A号試験片(標点間距離
50mm)を採取して、JIS Z 2241の規定に準拠して引張り
試験を実施し、降伏応力YS、引張強さTS、伸びE
l、加工硬化指数n値、およびランクフォード値r値を
求めた。
る真歪の変化の値、 すなわち、n=(lnσ10% ーln
σ5%)/(lne10% −lne5%)により求めた。なお、σ
は真応力、eは真歪である。また、r値は、引張試験に
おける板厚真歪に対する板幅真歪の比で定義される。
最初の板厚、Tf :最終の板厚。 ただし、板厚測定は、かなりの誤差を伴うためr、通常
は試験片の体積は一定であるとして、次式によりr値を
求める。
/Li Wi ) ここで、Wi :最初の板幅、Wf :最終の板幅、Li :
最初の長さ、Lf :最終の長さ。 本発明では、r値は、引張試験片にゲージ長さが2mmの
歪ゲージを貼り付け、公称歪で6〜7%の引張を行った
時の長手方向の真歪、幅方向の真歪を測定し、前記式に
より算出した。 (3)低温短時間熱処理硬化特性 得られた各製品管から長手方向にJIS 12 A号試験片(標
点間距離50mm)を採取して、まず引張塑性歪5%を付与
する予変形を実施した。ついで、試験片に、 180℃×20
min の低温短時間熱処理を施した。 そして、引張試験片
に再引張りを行い、予変形時の最大応力と再引張り時の
0.2 %耐力との差を求め、低温短時間熱処理硬化量(B
H量)として低温短時間熱処理硬化特性を評価した。な
お、低温短時間熱処理後の降伏比についても測定した。 (4)拡管率 外径38.1mm以上の製品管を500 mmの長さに切断しハイド
ロフォーム用試験体とした。このハイドロフォーム用試
験体を、図1に示すように、 ハイドロフォーム加工装置
にセットし、試験体の両端から水を供給して、円形断面
自由バルジ変形させ、 バースト(破断)させた。バース
トしたときの試験体の最大外径dmax を測定し、 次式 LBR (%)={(dmax −d0 )/d0 }×100 (ここに、d0 :製品管(試験体)の外径)で限界拡管
率LBR を算出した。なお、使用した金型の断面図を図2
に示す。
長さ方向両端側に、鋼管の外径dOに略等しい径の半筒
状面で構成される鋼管保持部3を有し、長さ方向中央部
には、径dc の半筒状変形部4および傾斜角θ=45°の
テーパー状変形部5よりなる変形部6を有する。なお、
変形部6の長さ1cはdO の2倍としている。また、半
円筒状変形部4の径dc は、鋼管の外径dO の2倍程度
あればよい。
図1に示すように、この上部金型2aと下部金型2bと
で、金型それぞれの鋼管保持部3に鋼管1が嵌まるよう
に鋼管1を挟み込む。この状態で、鋼管1の両端から該
鋼管1の内面側に、軸押シリンダ7aを介して水等の液
体を供給して、液圧Pを付与し、円形断面自由バルジ変
形させてバーストした時の最大外径dma x を測定する。
なお、図1中の8,9はぞれぞれ金型2a,2bが鋼管
が鋼管を挟み込んだ状態に保持しておくための、金型ホ
ルダ、アウターリングである。なお、ハイドロフォーム
では、管の両端を固定した場合と、管の両端から圧縮力
を加える場合(軸方向圧縮という)があるが、一般に、
管端圧縮の方が高い拡管率を得ることが可能である。こ
こでは、高い拡管率が得られるよう、管の両端から圧縮
力を適宜負荷した。この圧縮力の負荷は、図1におい
て、軸押シリンダ7a,7bに対して軸方向に圧縮力F
を負荷することにより実施できる。なお、ここで使用し
た金型寸法(図2)は、lC が127.0 mm、dc が127.0
mm、rd が5mm、lO が550 mm、θが45°であった。
かつ、70%以下の低降伏比と高延性を有し、さらに、拡
管率LBR が高く、ハイドロフォーム性にも優れている。
さらに、低温短時間熱処理により、大きなBH量が得ら
れ、また降伏比も80%以上の高YRが得られている。し
たがって、本発明例はいずれも、加工後に高強度を確保
することが可能となる。一方、本発明の範囲を外れる比
較例では、引張強さが低いか、降伏比が高いか、LBR が
低いかして加工性が低下している。
イン熱処理を行うことなく、高強度でかつ加工性に優れ
た高強度鋼管を安価に製造することができ、産業上格段
の効果を奏する。また、本発明の高強度鋼管は、高強度
に加え、高延性で高い限界拡管率を有してハイドロフォ
ーム性に優れ、自動車構造部材用として自動車車体の軽
量化に寄与できるという効果もある。
加工装置の構成の例を示す断面図である。
図である。
Claims (5)
- 【請求項1】 質量%で、 C:0.05〜0.30%、 Si:0.01〜2.0
%、 Mn:1.0 〜4.0 %、 Al:0.005 〜0.10
%、 S:0.003 %以下 を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を
有し、引張強さが580Mpa超えで降伏比:70%以下を有
し、低温短時間熱処理を施した後の降伏比が80%以上と
なることを特徴とする加工性に優れる自動車構造部材用
高強度鋼管。 - 【請求項2】 組織が、 マルテンサイト、 フェライトあ
るいはさらに残留オーステナイトおよび/またはベイナ
イトを含む混合組織であることを特徴とする請求項1に
記載の自動車構造部材用高強度鋼管。 - 【請求項3】 前記組成に加えてさらに、 質量%で、C
u:1%以下、Ni:1%以下、Cr:0.05〜 1.0%、Mo:
1%以下、Nb:0.01〜 0.1%、Ti:0.01〜 0.1%、B:
0.005 %以下のうちから選ばれた1種または2種以上を
含有することを特徴とする請求項1または2に記載の自
動車構造部材用高強度鋼管。 - 【請求項4】 前記組成に加えてさらに、 質量%で、RE
M :0.02%以下、Ca:0.01%以下のうちから選ばれた1
種または2種を含有することを特徴とする請求項1ない
し3のいずれかに記載の自動車構造部材用高強度鋼管。 - 【請求項5】 質量%で、 C:0.05〜0.30%、 Si:0.01〜 2.0
%、 Mn:1.0 〜4.0 %、 Al:0.005 〜0.10
%、 S:0.003 %以下 を含む組成を有する素材鋼管に、加熱および均熱処理を
施したのち、圧延終了温度:400 ℃以上 800℃未満、累
積縮径率:20%以上の絞り圧延を施して、引張強さが58
0Mpa超えで降伏比:70%以下を有し、低温短時間熱処理
を施した後の降伏比が80%以上となる製品管とすること
を特徴とする加工性に優れた自動車構造部材用高強度鋼
管の製造方法。
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