JP2003227337A - 冷却系の温度推定装置 - Google Patents
冷却系の温度推定装置Info
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Abstract
た推定温度を用いて冷却系の異常を検出する。 【解決手段】機関を冷却する冷却媒体と、該冷却媒体が
機関を循環する流路と、を備えた冷却系の水温推定装置
において、機関の温度を推定あるいは検出し、機関と冷
却媒体の熱交換から冷却媒体の温度を推定する。また該
流路中に設置され該冷却媒体の温度を検出する温度検出
器を備え、前記温度検出器による温度検出値と冷却系の
推定装置による推定温度に基づいて冷却系の診断をす
る。
Description
媒体の温度推定装置およびこれを用いた冷却系の診断装
置に関し、特に冷却媒体流路に設置した温度検出器によ
る温度検出値と温度推定装置による温度推定値に基づい
て冷却系の異常を診断することを特徴とする冷却系の診
断技術に属する。
熱機関は効率および安定性を確保するため冷却系が必要
である。例えば自動車の冷却系においては、内燃機関等
の温度はサーモスタットによるクーラント(一般に水と
エチレングリコールが混合された冷却媒体)温度制御に
より一定温度に保たれる。より具体的には、クーラント
温度が所定値よりも高いとサーモスタットが開き放熱装
置であるラジエターからの放熱量を増やしてクーラント
温度を低下させ、逆にクーラント温度が所定値よりも低
くなると、サーモスタットが閉じてクーラント温度が下
がりすぎるのを防止する。ここで考えられる主な故障と
しては、オーバークールとオーバーヒートがある。すな
わちサーモスタットが開き放し(開故障)になると内燃
機関等の温度が適切な温度に達しないオーバークールと
なり、特にエンジン暖機中における燃費や排気が悪化す
る恐れがある。逆にサーモスタットが閉じ放し(閉故
障)になると内燃機関等の温度が上昇しすぎるオーバー
ヒートになり、エンジン焼き付きや異常燃焼(ノック)
発生などの恐れがある。このため、このような故障を検
出する技術として特開平10−184433号や特開平
11−159379号が開示されている。特開平10−
184433号では、エンジンの冷却水循環経路に設け
られたサーモスタットの故障を検出する内燃機関冷却系
のサーモスタット故障検出装置であって、前記サーモス
タットよりもエンジン側の冷却水循環経路の冷却水温を
検出する冷却水温検出手段と、前記サーモスタットが正
常であれば閉じている温度領域で、前記冷却水温検出手
段により検出したエンジン側冷却水温に基づいて、前記
サーモスタットが閉じずに開きっぱなしになる故障の有
無を診断する開故障診断手段を有することを特徴とする
エンジン冷却系のサーモスタット故障検出装置が開示さ
れている。この特開平10−18433号の発明は、正
常であればサーモスタットが閉じてある領域における温
度検出値が開故障時に通常よりも低くなることに着目し
て異常を判定するものである。また特開平11−159
379号では、冷却液温度を検出する冷却液温センサ
と、エンジンの負荷を検出する手段と、検出されるエン
ジンの負荷を積算してエンジンの発熱量を算出する手段
と、検出される冷却液温度と算出されるエンジンの発熱
量に応じて冷却系に異常が発生したかどうかを診断する
手段と、を備えたことを特徴とするエンジン冷却系の異
常診断装置が開示されている。この特開平11−159
379号の発明は、エンジン負荷を積算してエンジンの
発熱量を推定し、この推定値と実際に検出した冷却水温
度とにもとづいて異常を検出するものである。
温度は運転状態だけでなく、車速,外気温,吸気温,空
調装置などの環境や外乱の影響を受ける。このため特開
平10−184433号の技術においては放熱量を考慮
し外気温や車速あるいはヒータのオンオフから診断処理
に用いるデータを補正する方法が開示されており、特開
平11−159379号の技術においてもエンジン負荷を、車
速や吸気温度によって補正して、エンジンの発熱量を演
算する方法が開示されている。
る熱量の関係はたとえ車速,外気温,吸気温が同じであ
っても一定ではない。これはエンジンに投入した熱量
(供給熱量)が仕事(軸出力)ではなく熱損失として冷
却媒体に伝わる熱量(冷却損失熱)がエンジンの運転状
態によって異なるためであり、従来の診断方法ではこの
冷却損失熱を十分に考慮していないため、冷却損失熱と
供給熱量との比(冷却損失)が大きく異なる運転(たと
えばアイドルと高速走行)を含む運転中に冷却媒体の温
度推定を行った場合には誤診断を起こす恐れがあった。
また従来の技術では機関から冷却媒体への熱伝達を十分
に考慮しておらず、特にエンジンブロックと冷却媒体の
温度差によって生じる熱の伝達である熱交換量を考慮し
ていないため定量的な誤差が大きく、さらにエンジンの
再始動時など機関と冷却媒体の温度に差が生じている場
合、診断を禁止せざるを得なかった。
なされたもので、本発明の目的の一つはより精度の高い
温度推定装置により機関のオーバーヒートやオーバーク
ールを防止することである。また本発明の別の目的の一
つは本発明の温度推定装置を用いて冷却系の診断をおこ
ない、排気や燃費悪化あるいは機関の故障を防止するこ
とである。上記目的を達成するため、本発明では機関
(エンジン)を冷却する冷却媒体と、前記冷却媒体がエ
ンジンを循環する流路と、を備えた冷却系の温度推定装
置において、前記エンジンに投入される燃料量あるいは
エンジンに吸入される空気量に基づき求められるエンジ
ンへの供給熱をもとにエンジンブロックの温度変化に寄
与する熱量である冷却損失熱を求めることにより、前記
冷却媒体の温度を推定する。
少なくとも、燃料噴射タイミング,バルブタイミング,
点火リタード量,EGR量,外気圧,冷却水温,トラン
スミッションのオイル温度の一つにもとづいて補正す
る。本構成によるとエンジンへの供給熱からエンジンブ
ロックに伝わる熱量(冷却損失熱)を精度良く求めるこ
とができるので冷却媒体あるいはエンジンブロックの温
度変化を正確に推定できる。
度と冷却媒体の温度の差に基づいてエンジンブロックと
冷却媒体の間の熱流量である熱交換量を求め、さらに単
位時間内にエンジンに流入する冷却媒体の流量に基づい
て前記熱交換量を補正する。本構成によるとエンジンブ
ロックから冷却媒体に伝達される熱交換量を精度良く求
めることができるため、冷却媒体あるいはエンジンブロ
ックの温度変化をより正確に推定できる。
度とエンジンの周辺温度又は、外気温度の差のいずれか
に基づいてエンジンブロックから大気中に放出される熱
である放出熱を求め、前記放出熱を走行風により補正す
る。本構成によると冷却損失熱のうち冷却媒体やエンジ
ンブロックの温度上昇に寄与しない分をより精度良く求
めることで、冷却媒体あるいはエンジンブロックの温度
変化を正確により推定できる。
する冷却媒体と、前記冷却媒体がエンジンを循環する流
路と、を備えた冷却系の温度推定装置において、前記エ
ンジンに投入される燃料量あるいはエンジンに吸入され
る空気量に基づき求められるエンジンへの供給熱をもと
にエンジンブロックの温度変化に寄与する熱量である冷
却損失熱を求め、前記エンジンブロックの温度とエンジ
ンの周辺温度又は外気温度の差のいずれかに基づいてエ
ンジンブロックから大気中に放出される熱である放出熱
を求め、エンジンブロックと冷却媒体の間の熱流量であ
る熱交換量を求め、前記エンジンブロックの温度とエン
ジンの周辺温度又は外気温度の差のいずれかに基づいて
エンジンブロックから大気中に放出される熱である放出
熱を求め、前記冷却損失熱から前記放熱および前記熱交
換量を除いたものを積算してエンジンブロックの温度を
求め、前記熱交換量を積算して冷却媒体の温度を求める
ことを特徴とする。本構成によれば、水温あるいは推定
機関温度の初期温度をたとえば始動時の水温を用いて適
切に設定することで、冷却媒体およびエンジンブロック
の温度変化を正確に推定できる。
置と、前記エンジンを循環する流路に設置された温度検
出器と、前記冷却媒体の温度を制御するサーモスタット
を備え、前記温度推定装置による冷却媒体の温度推定値
と前記温度検出器の検出値に基づいて冷却系の故障診断
を行う。本構成によれば運転状態にかかわらず温度を正
確に推定できるので、冷却系の異常をより確実に検出で
きる。
める所定温度1に前記検出水温が達したときに、前記推
定水温が前記所定温度1よりも高い所定温度2以下であ
ればサーモスタットが正常であると判断する。本構成に
よれば、サーモスタットが正常に動作していることを正
確に診断できる。
く直前の所定温度1より低い所定温度3に前記推定水温
が達したとき、前記検出水温が前記所定温度3よりも若
干低い所定温度4以下であればサーモスタットが異常
(開故障)であると判断する。本構成によれば、サーモ
スタットの故障によるオーバークールによる排気および
燃費悪化を防止することができる。
状態にて前記所定温度1よりも高い所定温度5に前記推
定水温が達したとき、前記検出水温が前記所定温度5よ
りも若干高い所定温度6以上であるときにサーモスタッ
トの異常(閉故障)もしくは冷却系から熱を放出する放熱
装置の異常と判断する。本構成によれば、サーモスタッ
トの故障によるオーバーヒートを検出し、機関の焼きつ
き等の故障を防止できる。
状態にて前記所定温度1よりも低い所定温度7に前記検
出温度が達したとき、前記推定水温が前記所定温度7よ
りも低い所定温度8以下であるときに冷却媒体の液量不
足あるいは冷却媒体のもれと判断する。本構成によれば
冷却媒体の液量不足による焼きつき等の故障を防止でき
る。
精度を求め、前記推定精度が所定値以下の場合は診断を
禁止する。あるいは、前記水温推定装置により前記サー
モスタットが開いたままの開故障のときの冷却媒体温度
である故障時冷却媒体温度と前記サーモスタットが正常
なときの冷却媒体の温度である正常時冷却媒体温度を推
定し、前記異常時冷却媒体温度と前記正常時冷却媒体温
度の差が所定値以下である場合にサーモスタットの診断
を禁止する。あるいは、前記温度検出器による検出温度
と前記温度推定装置による冷却媒体の推定温度との相関
に基づいて前記温度検出器の故障を判定する。あるい
は、前記温度検出器の故障判定時には前記検出水温を用
いた診断を禁止する。本構成によれば、誤診断を適切に
防止することでより確実に冷却系の診断ができる。
基づいて説明する。ここでは本発明を主に自動車のサー
モスタットの故障診断に適用した場合について説明す
る。図1に自動車に搭載された内燃機関(エンジン)の
冷却系の模式図を示す。図1の冷却系はウォータポンプ
1により冷却媒体であるクーラントを循環させることで
内燃機関2の機関温度を制御する。具体的にはサーモス
タット3を開きクーラントを循環流路Aでラジエター4
を循環させることで放熱量を増加させ、逆にサーモスタ
ット3を閉じ循環流路Bでラジエター4をバイパスする
ことで放熱量を低下させる。なおクーラントの熱は運転
室内を暖めるヒータ5の熱源として用いられたり、電子
スロットル(図示せず)や自動変速機(図示せず)など
を暖めるために用いられる事もあるが、後述するように
本発明の診断装置ではこれらの要素を温度推定装置に加
味することによりさらに診断精度を向上することができ
る。またクーラントの温度を測定する温度検出器6の位
置は大抵図1に示したようにクーラントがエンジンから
吐出される出口近傍に設置されるのが望ましいが、図1
の順路2でサーモスタット上流であれば何処の温度を検
出しても良い。図1のサーモスタットの位置はクーラン
トがエンジン2に流入する入口側に設置されているが、
これに関してもクーラントがエンジンから流出する出口
側に設置しても良い。なお本発明の冷却系の温度推定装
置あるいは冷却系の診断装置は図1に示すECU7の内
のプログラムとして実装されていいし、あるいは水温検
出器の検出値やエンジン運転状態を外部に通信する通信
装置(図示せず)を備え、これらの情報を受信して処理
するECU以外の演算装置に実装されても良い。
温度検出値の一例であり、サーモスタットが正常時と開
故障時における測定結果を示す。この図から開故障には
水温上昇が遅れること、正常品でも運転負荷が軽いと水
温上昇が遅くなること、また温度上昇速度は運転状態に
よってかわることが確認できる。このため従来の発明で
は、エンジンに供給した燃料量の発熱量と外気温度と車
速風により決まる放熱量を積算することで水温を推定し
ていた。しかしエンジンに投入した熱量は、全て冷却系
に伝わる訳ではない。すなわち図3に示したようにイン
ジェクタから噴射された燃料が持つ熱(Q1a:供給
熱)が燃焼して燃焼熱Q1bとなり、その一部が正味仕
事(Wp:軸出力)、また一部は排気熱Qexとして大
気中に放出され、残りの一部がエンジンブロックを加熱
し水温の変化に寄与する冷却損失熱Qaddとなるので
あり、供給熱Q1aと冷却損失熱Qaddの関係は一意
ではない。ここで冷却損失熱Qaddと供給熱量Q1a
の比を冷却損失ITAHとし、図4にこの冷却損失を実
験により求めた一例を示す。図4に示すように冷却損失
熱Qaddは負荷が高くなる程大きくなっているもの
の、冷却損失ITAHは逆に小さくなっていることがわ
かる。これは水温の上昇に寄与する燃料パルス幅や吸入
空気量を単純に積算するだけではブロックの加熱熱量を
正確に推定できないことを示している。そこで本発明で
は診断精度を向上するため冷却損失を加味する。このた
めには図5に示すような運転負荷と回転数に関する冷却
損失ITAHのマップを例えば用意し、投入燃料量と冷却損
失ITAHを積算することで冷却損失熱を求めればよ
い。なお冷却損失は回転数と負荷の他にも、例えば機関
運転中の出力や排気温度に影響を受ける。そこで一層の
精度向上のためには燃料噴射時期,点火時期,EGR
量,空燃比,燃料成分,バルブタイミングなどの燃焼に
影響を与えるパラメータをもとに冷却損失ITAHを補
正するとよい。この一例として図6に点火時期と冷却損
失ITAHの関係を示す。図6では回転数にかかわら
ず、リタード(遅角)量が通常点火時期から20度を超
えたあたりで急激に冷却損失が増加する事が確認でき
る。従って通常点火時期に対する冷却損失ITAHを点火時
期のリタード量によって補正することにより、冷却損失
熱をより正確に求めることができる。以上の結果より冷
却系の温度推定装置では、回転数と負荷および点火時期
のリタード量より冷却損失をもとめることが出来るが、
同様にしてEGR量,空燃比,燃料成分などによってさ
らに冷却損失を補正することでさらなる精度向上が可能
である。
交換について説明する。熱は瞬時に物体から物体に伝達
する訳ではない。図7にクーラントとエンジンブロック
の間の熱流を模式的に示した。図3で説明した冷却損失
熱Qaddは主にエンジンブロックから外気への放出熱
Q3とクーラントへの熱交換QTWNADDとエンジン
ブロックを暖める熱量QENGとなる。この放出熱Q3
はエンジンブロック温度と外気温度の差に比例して増加
し、外気の流れ(走行風)の影響を受ける。また熱交換
量QTWNADDはエンジンブロック温度とクーラント
温度の差に比例して増加し、クーラントの流速の影響を
受ける。従って、エンジンブロック温度とクーラント温
度の差に応じて放出熱Q3を計算し、さらに走行風によ
る補正をすることでより精度よく放出熱Q3を求めるこ
とができる。また熱交換量QTWNADDはエンジンブ
ロック温度とクーラント温度の差に応じて求め、さらに
クーラントの流速による補正により精度良く熱交換量Q
TWNADDを求めることができる。一方、放出熱Q4
は燃焼室側への放出熱を示し、これは燃料カット中に新
気がシリンダ内を通過するときに奪う熱量を表してい
る。これに関しても、同様にエンジンブロック温度とク
ーラントの温度の差から求めることができ、さらに新気
の吸入量による補正により推定精度が向上できる。また
推定/診断精度をさらに向上するためにはエンジンブロ
ック以外の放熱を考慮すれば良い。図8に冷却系の主な
放熱源について示す。Q3およびQ4は前述のエンジン
ブロックから外気への放出熱およびエンジンブロックか
ら燃焼室内への放熱を示しているが、診断精度向上のた
めにはこの他にもラジエターでの放出熱Q5やヒータで
の放出熱Q6、これらの要素を考慮してクーラント温度
を推定しても良い。以上の結果を踏まえて図9(a),
図9(b)及び図10にサーモスタットが正常であると
きのクーラント温度の推定を行った結果の一例を示す。
ここで図9の横軸は検出したクーラント温度(検出水
温)、縦軸は推定により得られるクーラント温度(推定
水温)である。図9(a)は冷却損失を一定としてクー
ラント温度を演算した結果である。これは従来のエンジ
ンの発熱量を単純に積算した場合と同等の結果であり、
走行負荷が違うと水温が正確に推定できないことが確認
できる。次に図9(b)に冷却損失ITAHを加味して
クーラント温度を推定した結果をしめす。図9(a)と
比較して推定精度が向上しているが、走行負荷によって
は正常品と開故障品の温度差がなくなり、まだ推定精度
としては不十分である。そこでさらに冷却損失ITAH
に加え熱交換量QTWNADDと放出熱Q3を考慮した
結果を図10に示す。この結果は、推定値と実測値(検
出値)がほぼ一致し、正確なクーラント(冷却媒体)温
度の推定ができることを示す。
11は本発明の診断装置のブロック図を示す。エンジン
ブロック温度推定部B1001では吸入空気量,回転
数,外気温度,スタータや燃料カットなどの各種SW信
号などの情報を元にエンジンブロックの推定温度を演算
し、クーラント温度推定部B1002に推定ブロック温
度を渡す。クーラント温度推定部B1002は推定した
クーラント温度と推定ブロック温度の差からクーラント
への熱交換量を演算してクーラント温度を演算し、熱交
換量をエンジンブロック温度推定部に渡す。クーラント
温度推定部B1002で推定されたクーラント温度と実際に
検出したクーラント温度検出値を元にサーモスタット異
常診断部B1003ではサーモスタットの開故障や閉故
障を診断し、サーモスタット判定信号を出力する。同様
に冷却水異常判定部B1004では推定したクーラント
温度(推定水温)が検出したクーラント温度(検出水
温)よりも極端に大きい場合などはクーラントが不足し
ていると判定し、冷却水不足判定信号を出力する。また
水温センサ異常判定部B1005では推定水温と検出水
温の相関を演算し、相関が小さい場合には水温センサが
故障していると判定し、水温センサ判定信号を出力す
る。
サーモスタットの開故障を診断する方法について説明す
る。図12はエンジンブロックへ伝わる冷却損失熱Qa
ddを演算するブロックである。吸入空気量QARから
空燃比AFとガソリンの発熱量Mfuelにより供給熱
量Q1aを演算し、回転数と負荷によって決まる冷却損
失ITAQ1とリタード量によって決まる冷却損失補正
値ITAQHから冷却損失熱Qaddを演算する。ただ
し燃料カット実行中FCUT=1の場合はQaddを0にす
る。本構成によれば、運転状態によらず冷却媒体の温度
を正確に演算することができる。なお本ブロックでは供
給熱量Q1aを吸入空気量から演算したが、燃料パルス
幅から演算しても良い。また場合によってはQaddを
0にするのではなくフリクションによって生じる熱量分
を加えても良い。図13はエンジンブロック表面から外
気への放出熱Q3を演算するブロックである。推定ブロ
ック温度(TENGES)と外気温度(THA)の差と
車速によって決まる放熱係数EHの積から外気へ放熱さ
れる熱量Q3を演算される。ここで放熱係数EHは図1
4にしめすように、車速が高いほど放熱係数EHが大き
くなるので、車速が高いほど放出熱Q3は大きくなる。
なお同様な考え方でラジエターやヒータでの放熱量も演
算できる。次に図15に燃料カット時の放出熱Q4を示
す。エンジンブロック推定温度(TENGES)と外気
温度(THA)の差と燃料カット時の空気流量QARに
よって決まる放熱係数ECの積から燃焼室内へ放熱され
る放出熱Q4を演算する。ここで放熱係数ECは図16
に示すように、吸入空気量QARが多いほど放熱係数E
Cは大きくなることから、吸入空気量がおおきいほど放
出熱量Q4は大きくなる。なお図13,図15では推定
ブロック温度(TENGES)と外気温度の差から放熱係数を
演算したが、推定ブロック温度の代わりに実測水温(T
WN)を用いても良い。次に、ここまで説明した冷却損
失熱Qaddと、放出熱Q3とQ4の和である放熱QD
ECからブロック温度(TENGES)とクーラント温度
(TWNES)を演算する方法について説明する。図1
7にクーラント温度TWNESおよびブロック温度TE
NGESを推定するブロック図を示した。図12〜図1
6で説明した冷却損失熱QADDおよび放熱QDECを
サンプリング時間ΔT(1000〜50ms程度)毎に
積算し、エンジンブロックの熱量QENGとエンジンブ
ロックの熱容量DEからブロック温度推定値(推定水
温)TENGESを演算する。演算したブロック温度推
定値TENGESと同じく演算したクーラント温度推定
値TWENSの差と放熱係数KCからクーラントとエン
ジンブロックの熱交換量QTWNADDを演算する。そ
してこの熱交換量をサンプリング時間ΔT毎に積算し、
クーラントの熱量QTWNとクーラントの熱容量DCか
らクーラント温度推定値TWNESを演算する。ここで
図18に熱交換係数KCとエンジン回転数NDATAの
関係を示す。熱交換係数KCはクーラントの流速に応じ
て大きくなるが、流速の代わりに、ここではクーラント
の流量がエンジン回転数と比例しているとして回転数と
熱交換係数の関係を示した。
障を判定する方法について説明する。図19は正常品と
開故障品の温度推定値の違いを表した模式図である。こ
こで正常品における推定水温と検出水温との関係はサー
モスタットが開くまでは検出水温=推定水温である傾き
Aの直線上近傍にある。一方の開故障品における推定水
温と検出水温の関係は検出水温の方がラジエターの放熱
分だけ温度上昇が遅れるため図に示したように傾きAよ
りも大きくなる。従って推定水温TWNESが所定値kt
hngact以上になったときの検出水温TWNが所定値より
低ければ開故障と判断できる。またさらに、サーモスタ
ットが開きはじめる温度kthokactに検出水温TWNが達
したときの、推定水温TWNESが所定値よりも小さけ
れば正常品と判定できる。図20に開故障診断を実施す
るフローチャートを示す。ステップS2001では診断
許可条件をチェックし診断許可条件が成立していない場
合は以下の処理をスキップする。ここで診断許可条件と
しては、水温センサや空気量センサに異常が生じていな
いこと、始動時水温が所定値以下であることあるいは外
気温が所定値以下であること、診断時間が所定時間内に
収まっていること、診断中に噴射された燃料が所定の範
囲内に収まっていること、あるいは推定水温精度(後
述)および診断精度(後述)が所定値以上であること、
等をチェックする。ステップS2001において診断許
可条件が成立した場合はステップS2002に進み推定水温
が始動時水温によって決まるNG診断起動温度thngact
よりも大きくかつ一度もNG診断を起動していないかど
うかをチェックし、条件が成立していればステップS2
003にすすみNG診断を実施し、条件が成立しなけれ
ばステップS2005に進む。ステップS2003では
推定水温TWNESが所定値に達したときの検出水温T
WNとエンジン始動時の水温によって決まるNG判定基
準値thngtpと比較し、検出水温TWNがNG判定基準値
thngtpよりも小さい場合はサーモスタット開故障として
ステップS2004にすすむ。ステップS2004では
開故障であることをメモリに記憶しMILを点灯する。
次にステップS2005では検出水温TWNと始動時水
温によって決まるOK診断起動温度thokgactに達してい
れば、ステップS2006に進む。ステップS2006
ではOK診断起動時の推定水温TWNESと始動時の水
温によって決まるOK判定基準値thoktpと比較し、推定
水温TWNESがOK判定基準値よりも小さい場合はサ
ーモスタットが正常であるとしてステップS2007に
進む。ステップS2007ではサーモスタットが正常で
ある事をメモリに記憶しMILが点灯していれば消灯す
る。
診断許可条件の一つとして採用することが望ましい。こ
れは本発明の水温推定装置は全ての放熱量を加味してい
る訳ではなく、ヒータやラジエター漏れなどによる放熱
を水温推定における誤差要因として持っているためであ
る。そしてこの誤差の大きさは放熱量の積算すなわち時
間が長ければ長いほど拡大する。従って図21に示すよ
うに水温推定精度をエンジン始動からの経過時間が長け
れば長いほど小さくなるとして、水温推定精度が所定値
以下となる場合は診断を禁止することで誤診断を防止で
きる。
が拡大する運転状態の頻度が増加するほど推定精度を低
下させるようにしても良い。
を示す。開故障を診断するためにはラジエター(放熱装
置)での放熱量が水温推定誤差分よりも大きくなければ
ならない。そこで診断精度として、例えば開故障時(冷
却媒体が放熱装置を循環する場合)と正常時(冷却媒体
が放熱装置をバイパスする場合)のそれぞれの水温推定
値の差を採用し、診断精度が所定値以上でなければ正常
時と開故障時の温度差が少ないとして診断を禁止するこ
とができる。また、より単純にはこれらは始動後経過時
間の関数であり、始動後経過時間が所定値よりも短けれ
ば診断精度不足として、逆に始動時経過時間が所定値よ
りも長ければ水温推定精度不足として診断を禁止しても
良い。
障あるいは放熱器の異常(放熱量低下)を診断する方法
を説明する。図23にはOK品とNG品(閉故障)の温
度挙動を示している。図23に示したように、サーモス
タットが閉じっぱなしとなるとラジエータ(放熱装置)
における放熱が行われずに実測水温は上昇し続ける。本
発明の推定装置によって、放熱流路にクーラントが流れ
ない場合の温度を推定し、サーモスタットが開いている
温度に水温推定値が達したときに、実測温度が所定値以
上であればサーモスタットが閉故障あるいは放熱装置の
放熱量が低下したと診断する。またこのときの診断結果
に基づいて水温を下げるため高負荷運転を禁止するなど
してオーバーヒートを防止することが望ましい。
量の不足を診断する方法を説明する。図24に示すよう
にクーラント量が低下するとクーラントの熱容量が小さ
くなるためクーラントの温度(検出水温)は推定水温よ
りも早く上昇する。従ってサーモスタットが正常であれ
ば閉じている温度領域において、温度検出装置によって
検出された温度(検出水温)が所定値に達したときの推
定水温が所定値よりも小さかったら冷却水不足と診断す
る。この場合はMILを点灯し、クーラントの異常をユ
ーザ(運転者)に提示することが望ましい。
する方法を説明する。図25は機関始動後からの推定水
温と検出水温の温度プロフィールを示した。ここに示し
たように推定値と検出値は温度検出器が正常であれば、
多少の誤差はあるものの推定値と検出値の相関は大き
い。しかし温度検出器が故障すると図25に示すように
温度推定値と実測値の挙動が一致しなくなるため相関が
小さくなる。そこで、正常であればサーモスタットが閉
じている領域で水温の推定値と検出値の相関を演算し、
この値が所定値よりも小さければ温度検出器の異常と診
断できる。
冷却媒体に伝わる熱量を精度良く求めることができるた
め、冷却媒体あるいはエンジンブロックの温度変化を運
転条件に関わらず正確に推定できる。また本発明の冷却
系の温度推定装置による推定水温と温度検出器による検
出水温とに基づいた診断により、サーモスタットや温度
検出器などの冷却系の異常を低コストで正確に検出でき
る。
模式図。
度を推定した結果の例。
のブロック図。
図。
図。
るブロック図。
ップ。
明図。
図。
明図。
ト、4…ラジエター、5…ヒータ、6…温度検出器、7
…ECU。
Claims (18)
- 【請求項1】エンジンを冷却する冷却媒体と、前記冷却
媒体がエンジンを循環する流路と、を備えた冷却系の温
度推定装置において、前記エンジンに投入される燃料量
あるいはエンジンに吸入される空気量に基づき求められ
るエンジンへの供給熱をもとにエンジンブロックの温度
変化に寄与する熱量である冷却損失熱を求めることによ
り、前記冷却媒体の温度を推定することを特徴とする冷
却系の温度推定装置。 - 【請求項2】請求項1に記載の冷却系の温度推定装置に
おいて、前記冷却損失熱は前記供給熱からエンジンの発
生する動力(軸出力)および排気に逃げる熱量である排
気熱分を除いた熱量であることを特徴とする冷却系の温
度推定装置。 - 【請求項3】請求項1又は2のいずれかに記載の冷却系
の温度推定装置において、前記冷却損失熱を少なくと
も、燃料噴射タイミング,バルブタイミング,点火リタ
ード量,EGR量,外気圧,冷却媒体温度,トランスミ
ッションのオイル温度の一つにもとづいて補正すること
を特徴とする冷却系の温度推定装置。 - 【請求項4】請求項1から3のいずれかに記載の冷却系
の温度推定装置において、前記エンジンのブロック温度
と冷却媒体の温度の差に基づいてエンジンブロックと冷
却媒体の間の熱流量である熱交換量を求めることを特徴
とする冷却系の温度推定装置。 - 【請求項5】請求項4において、単位時間内にエンジン
に流入する冷却媒体の流量に基づいて前記熱交換量を補
正することを特徴とする冷却系の温度推定装置。 - 【請求項6】請求項1から5のいずれかに記載の冷却系
の温度推定装置において、前記エンジンブロックの温度
及びエンジンの周辺温度(外気温度)の差に基づいてエ
ンジンブロックから大気中に放出される熱である放出熱
を求め、前記放出熱を走行風により補正することを特徴
とする冷却系の温度推定装置。 - 【請求項7】エンジンを冷却する冷却媒体と、前記冷却
媒体がエンジンを循環する流路と、を備えた冷却系の温
度推定装置において、前記エンジンに投入される燃料量
あるいはエンジンに吸入される空気量に基づき求められ
るエンジンへの供給熱をもとにエンジンブロックの温度
変化に寄与する熱量である冷却損失熱を求め、前記エン
ジンブロックの温度とエンジンの周辺温度の差又はエン
ジンブロック温度と外気温度の差のいずれかに基づいて
エンジンブロックから大気中に放出される熱である放出
熱を求め、エンジンブロックと冷却媒体の間の熱流量で
ある熱交換量を求め、エンジン始動時の冷却媒体温度あ
るいは外気温度と、エンジンブロックの熱容量と、前記
冷却損失熱から前記放出熱および前記熱交換量を除いた
ものを積算したエンジンブロック熱量積算値と、を用い
てエンジンブロックの温度を求め、エンジン始動時の冷
却媒体温度あるいは外気温度と、冷却媒体の熱容量と、
前記熱交換量を積算した冷却媒体熱量積算値と、を用い
て冷却媒体の温度を求めることを特徴とする冷却系の温
度推定装置。 - 【請求項8】請求項1から7のいずれかに記載の冷却系
の温度推定装置において、前記エンジンを循環する流路
に設置された温度検出器と、前記冷却媒体の温度を制御
するサーモスタットを備え、前記温度推定装置による冷
却媒体の温度推定値である推定水温と前記温度検出器に
より検出される冷却媒体の検出値である検出水温に基づ
いて冷却系の故障診断を行うことを特徴とする冷却系の
温度推定装置。 - 【請求項9】請求項8に記載の冷却系の温度推定装置に
おいて、サーモスタットが開き始める所定温度1に前記
検出水温が達したときに、前記推定水温が前記所定温度
1よりも高い所定温度2以下であればサーモスタットが
正常であると判断することを特徴とする冷却系の温度推
定装置。 - 【請求項10】請求項8に記載の冷却系の温度推定装置
において、サーモスタットが開く直前の所定温度1より
低い所定温度3に前記推定水温が達したとき、前記検出
水温が前記所定温度3よりも低い所定温度4以下であれ
ばサーモスタットが異常(開故障)であると判断するこ
とを特徴とする冷却系の温度推定装置。 - 【請求項11】請求項8に記載の冷却系の温度推定装置
において、サーモスタットが開いた状態にて前記所定温
度1よりも高い所定温度5に前記推定水温が達したと
き、前記検出水温が前記所定温度5よりも若干高い所定
温度6以上であるときにサーモスタットの異常(閉故
障)もしくは冷却系から熱を放出する放熱装置の異常と
判断することを特徴とする冷却系の温度推定装置。 - 【請求項12】請求項8に記載の冷却系の温度推定装置
において、サーモスタットが閉じた状態にて前記所定温
度1よりも低い所定温度7に前記検出温度が達したと
き、前記推定水温が前記所定温度7よりも低い所定温度
8以下であるときに冷却媒体の液量不足あるいは冷却媒
体のもれと判断することを特徴とする冷却系の温度推定
装置。 - 【請求項13】請求項8に記載の冷却系の温度推定装置
において、前記温度推定装置の推定精度を求め、前記推
定精度に基づいてサーモスタットの診断を禁止すること
を特徴とする冷却系の温度推定装置。 - 【請求項14】請求項13に記載の冷却系の温度推定装
置において、前記推定精度はエンジン始動時からの経過
時間および運転状態の少なくともいずれかに基づいて求
める事を特徴とする冷却系の温度推定装置。 - 【請求項15】請求項8に記載の冷却系の温度推定装置
において、前記サーモスタットの診断は、エンジン始動
から所定時間経過後は、前記診断を禁止することを特徴
とする冷却系の温度推定装置。 - 【請求項16】請求項8に記載の冷却系の温度推定装置
において、前記温度装置により前記サーモスタットが開
いたままの開故障のときの冷却媒体温度である故障時冷
却媒体温度と、前記サーモスタットが正常なとき冷却媒
体の温度である正常時冷却媒体温度を推定し、前記異常
時冷却媒体温度と前記正常時冷却媒体温度の差が所定値
以下である場合にサーモスタットの診断を禁止すること
を特徴とする冷却系の温度推定装置。 - 【請求項17】請求項8に記載の冷却系の温度推定装置
において、前記検出水温と前記推定水温と始動後の経過
時間に対する温度変化の相関に基づいて前記温度検出器
の故障を判定する事を特徴とする冷却系の温度推定装
置。 - 【請求項18】請求項17に記載の冷却系の温度推定装
置において、前記温度検出器の前記温度変化の相関が少
ない故障判定時には前記検出水温を用いた診断を禁止す
る事を特徴とする冷却系の温度推定装置。
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