JP2003254341A - 転動部材及び転動装置 - Google Patents
転動部材及び転動装置Info
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Abstract
る摩耗やフレッチングが生じにくく、また、境界潤滑条
件下における耐焼付き性に優れた転動部材を提供する。 【解決手段】 潤滑性を有する潤滑層Lを表面に備えた
転動部材において、潤滑層Lはダイヤモンドライクカー
ボン層C及びフッ素化合物層Fを備え、フッ素化合物層
Fが最表面に配されており、ダイヤモンドライクカーボ
ン層Cは、Cr,W,Ti,Si,Ni,及びFeのう
ちの1種以上の金属からなる金属層と、前記金属及び炭
素からなる複合層と、炭素からなるカーボン層と、の3
層で構成されている。
Description
特に、工作機械主軸用転がり軸受等のような転動装置や
自動車用エンジン部品に好適に使用される転動部材に関
する。また、該転動部材で構成された転動装置に関す
る。
における潤滑や、冷媒中で用いられる転動部材及び摺動
部材の潤滑には、フッ素系グリースやフッ素樹脂化合物
等の固体潤滑剤が用いられている。例えば、情報機器関
連での潤滑技術として、官能基を有する含フッ素重合体
からなるフルオロポリエーテルやフルオロポリアルキル
重合体を、金属表面に熱によって乾燥付着させた転動部
材が知られている(例えば、特開平10−326468
号公報,特開平10−326469号公報に開示されて
いる)。
ーフルオロポリエーテル(PFPE)あるいはその誘導
体の希釈溶液に転動部材を浸漬し、その金属表面にPF
PEあるいはその誘導体を付着させた後、200℃以下
の温度で加熱して乾燥付着させている。また、官能基と
してイソシアネート基を備えた含フッ素誘導体を転動部
材,摺動部材の表面に付着させ、加熱処理をすることに
よって硬化反応させる方法も知られている。
様に冷媒中で用いられる転動部材及び摺動部材、あるい
はエンジン内で使用される摺動部材は、十分な潤滑剤を
供給することが困難であるため境界潤滑となって焼付き
に至る場合が多い。なお、このような微量の潤滑剤によ
る潤滑は、例えば工作機械のスピンドル軸受などにおい
て、潤滑剤の攪拌抵抗が小さく発熱の低減に大変有効な
潤滑技術であるが、潤滑剤の量の制御が難しく、特に、
高速で稼働する軸受においては回転によりエアーカーテ
ン(潤滑剤が転走面へ侵入することを妨げる作用があ
る)が発生し、境界潤滑となり焼付きに至る場合が多
い。
困難である場合には、転動部材及び摺動部材の表面に、
セラミックス,金属,合金などを組み合わせた材料から
なる被膜を形成することにより、軸受等の耐久性を向上
させる技術が知られていて、例えば、特開平9−133
138号公報に開示されている。また、転動部材及び摺
動部材の母材との密着性に優れたダイヤモンドライクカ
ーボン(DLC)層を表面に成膜して、転動部材及び摺
動部材の表面に潤滑性を付与する技術が、特開平9−1
33138号公報に開示されている。
摺動部材は、表面の接触部分の面圧が高く、且つすべり
が接触部分に発生する。通常は潤滑剤により油膜が形成
されるため流体潤滑となって、金属表面同士の接触は防
ぐことができる。しかしながら、流体潤滑となるため、
潤滑剤の攪拌抵抗により回転トルクや摺動抵抗が大きく
なるという問題点を有している。したがって、前述のよ
うな固体潤滑剤を用いる方法においても、同様の問題が
生じる。
が低く油膜形成能力が乏しいので、境界潤滑になりやす
く、フッ素系グリースを用いた転動部材及び摺動部材は
その耐久性に問題があった。特に、フッ素樹脂化合物な
どの固体潤滑剤の使用は、初期なじみの改善には有効で
あるが、長時間の潤滑には不向きであり、その用途が極
軽荷重の摺動部材のみに限られていた。
報,特開平10−326469号公報に開示の技術は、
転がり接触のような接触面圧の高い条件では流体潤滑膜
が形成しにくいため境界潤滑になりやすく、焼付き,摩
耗が発生しやすい。特に、金属表面が化学的に安定な金
属酸化物に覆われているため、含フッ素重合体の官能基
が金属と結合しにくくなっていて、含フッ素重合体の金
属表面への付着力が著しく低いという問題点がある。
ラミックス,金属,合金などを組み合わせた材料からな
る被膜を形成する前述の潤滑方法に関する問題点を説明
する。ここでは、合金鋼製の軌道輪とセラミックス製の
玉とを備えた軸受を例にして説明する。軌道輪の軌道面
に、例えばTiN,CrN等の化合物の被膜を設ける
と、軌道面の耐摩耗性が向上する。しかしながら、この
ような化合物は合金鋼との親和性は大きいが、軌道輪を
構成する合金鋼より硬いので、境界潤滑条件下では転動
体が摩耗して予圧抜けが発生する。また、上記の化合物
からなる表面は摺動抵抗が大きいので、焼付きを回避す
ることが困難である。
使用される例もある。硬質炭素はTiN等の化合物と同
等もしくはそれ以上の硬さを有し、表面の動摩擦係数が
小さいことが特徴である。しかしながら、金属表面との
密着性が弱いので、通常はタングステン,チタン,ケイ
素,クロム等からなる中間層を形成した上に硬質炭素層
を成膜して、母材である金属との密着性を高める必要が
ある。
有する問題点を解決し、境界潤滑となっても金属表面同
士の接触による摩耗やフレッチングが生じにくく、ま
た、境界潤滑条件下での耐焼付き性に優れた転動部材を
提供することを課題とする。また、このような転動部材
で構成され潤滑性に優れた転動装置を提供することを併
せて課題とする。
め、本発明は次のような構成からなる。すなわち、本発
明に係る請求項1の転動部材は、潤滑性を有する潤滑層
を表面に備えた転動部材において、前記潤滑層はダイヤ
モンドライクカーボン層とフッ素化合物層とを備え、前
記フッ素化合物層が最表面に配されており、前記ダイヤ
モンドライクカーボン層は、Cr,W,Ti,Si,N
i,及びFeのうちの1種以上の金属からなる金属層
と、前記金属及び炭素からなる複合層と、炭素からなる
カーボン層と、の3層で構成されていることを特徴とす
る。
は、潤滑性を有する潤滑層を表面に備えた転動部材にお
いて、前記潤滑層はダイヤモンドライクカーボン層を備
え、前記ダイヤモンドライクカーボン層は、Cr,W,
Ti,Si,Ni,及びFeのうちの2種以上の金属か
らなる金属層と、前記金属及び炭素からなる複合層と、
炭素からなるカーボン層と、の3層で構成され、表面側
から前記カーボン層,前記複合層,前記金属層の順に配
されていることを特徴とする。
は、請求項1又は請求項2に記載の転動部材において、
前記複合層中の炭素の割合が、前記金属層側から前記カ
ーボン層側に向かって徐々に増加していることを特徴と
する。さらに、本発明に係る請求項4の転動部材は、請
求項1〜3のいずれかに記載の転動部材において、前記
ダイヤモンドライクカーボン層の等価弾性定数を80〜
240GPaとしたことを特徴とする。
は、請求項1〜4のいずれかに記載の転動部材におい
て、前記ダイヤモンドライクカーボン層は、非平衡型マ
グネトロンを用いたスパッタリングにより形成されたも
のであることを特徴とする。前記ダイヤモンドライクカ
ーボン層は摺動性に優れ、ダイヤモンドに準ずる優れた
硬さを有している。また、前記フッ素化合物層は潤滑性
を付与する効果が優れている。よって、前記ダイヤモン
ドライクカーボン層及び前記フッ素化合物層の相乗効果
により、回転トルクや摺動抵抗が低く、転動部材の表面
が境界潤滑となったとしても金属表面同士の接触がない
ため、摩耗やフレッチングが生じることを防止すること
が可能である。
が主成分であり、その他に金属元素や非金属元素を含有
してもよい。その硬さは微小硬度計(フィッシャー社
製)で15GPa以上であり、厚さは0.8〜8μmが
好ましく、1〜5μmがより好ましい。ダイヤモンドラ
イクカーボン層の硬さが15GPa以上であれば、前記
潤滑層が消失しダイヤモンドライクカーボン層と金属製
の相手材とが接触したとしても、ダイヤモンドライクカ
ーボン層が摩耗しにくい。ダイヤモンドライクカーボン
層の硬さが15GPa未満であると、相手材の引っかき
(アブレッシブ)によりダイヤモンドライクカーボン層
がかき取られやすくなる。
さが前記範囲から外れると、焼付きが生じる、ダイヤモ
ンドライクカーボン層が自己破壊を起こす等の問題が生
じやすくなる。そして、前記ダイヤモンドライクカーボ
ン層は、スパッタリング法,プラズマCVD法,イオン
プレーティング法等の成膜方法により、炭化水素系ガ
ス,炭素焼結体,グラファイト等を炭素のプラズマ源又
は蒸発源として用いて、金属の表面に形成することがで
きる。
ン層は、Cr,W,Ti,Si,Ni,及びFeのうち
の1種以上の金属からなる金属層と、前記金属及び炭素
からなる複合層と、炭素からなるカーボン層と、の3層
で構成されていて、該3層は心部側から金属層,複合
層,カーボン層の順に配されている。また、前記フッ素
化合物層を構成する物質としては、パーフルオロアルキ
ル基を有する化合物があげられる。
部材の表面に優れた摺動性を付与するとともに、転動面
においても破壊しにくいので、境界潤滑条件下において
も金属表面同士の接触が防止され、焼付きや摩耗の発生
を防止することができる。また、Cr,W,Ti,S
i,Ni,及びFeのうちの1種以上の金属からなる金
属層は、母材である金属との親和性が高いので、ダイヤ
モンドライクカーボン層と母材との密着性を高めること
ができる。
する際に、金属(チタンが最も好ましい)と炭素との化
学量論比を成膜方法によって制御すれば、DLCとの組
合せによって等価弾性係数が80〜240GPaという
表面物性が得られる。このような組成を制御された複合
層は、ダイヤモンドライクカーボン層を構成する複合層
として最も好ましい。
は、その成膜時に窒素等のガス成分を導入し前記金属と
反応させて、前記金属と前記ガス成分との化合物を複合
させてもよい。なお、上記の等価弾性係数は、被膜の膜
厚が薄いため直接測定することは困難である。よって、
微小硬度計の圧子を押し込んだ際の押し込み深さと、除
荷後の弾性変形量とから計算により求めたヤング率によ
り表した。また、チタン等の金属及び炭素からなる複合
層の等価弾性係数等の性質は、成膜の条件によって変化
させることができる。例えば、スパッタリング法により
複合層を形成する場合には、被処理物の温度,窒素等の
ガスの流量,処理時間等を変化させることにより、複合
層の性質を変化させることができる。
スパッタリング法等により形成することができて、その
中でも表面物性を金属層と炭素層とで独立に制御できる
スパッタリング法が好ましい。また、前記ダイヤモンド
ライクカーボン層は、潤滑剤が存在しない状態で表面の
動摩擦係数が0.2以下であれば潤滑効果が得られ、前
記複合層と同等以上の硬さを有していることが好まし
い。
パッタリング法,イオンプレーティング法,CVD法等
により形成することができて、表面の摺動抵抗をより小
さくできる方法を採用することが好ましい。前記複合層
及び前記ダイヤモンドライクカーボン層の厚さは特に限
定されないが、転動部材における疲労破壊の進展を遅延
させるためには、前記複合層の厚さは0.1〜5μm、
前記ダイヤモンドライクカーボン層の厚さは0.8〜8
μmが好ましい(より好ましくは1〜5μmである)。
は、外面に軌道面を有する内方部材と、該内方部材の軌
道面に対向する軌道面を内面に有し前記内方部材の外側
に配置された外方部材と、前記両軌道面間に転動自在に
配置された複数の転動体と、を備える転動装置におい
て、前記内方部材,前記外方部材,及び前記転動体のう
ち少なくとも1つを、請求項1〜5のいずれかに記載の
転動部材としたことを特徴とする。
な転動装置を構成する部材、すなわち、前記外方部材,
前記内方部材,及び前記転動体を意味する。なお、転動
装置としては、例えば、転がり軸受,ボールネジ,直動
案内軸受(リニアガイド装置)等があげられる。また、
前記外方部材とは、転動装置が転がり軸受の場合には外
輪、同じくリニアガイド装置の場合にはスライダ、同じ
くボールねじの場合にはボールねじナットをそれぞれ意
味する。また、前記内方部材とは、転動装置が転がり軸
受の場合には内輪、同じくリニアガイド装置の場合には
案内レール、同じくボールねじの場合にはねじ軸をそれ
ぞれ意味する。
材として使用することも可能である。ここで摺動部材と
は、摺動抵抗がある表面で運動する部材を意味する。こ
の摺動部材とは円筒面,球面,平面等において接触運動
を行う機械部品であって、自動車のエンジンを構成する
カム及びカムフォロアー,燃料噴射装置,フリクション
プレート,クラッチ部品,軸受のリテーナ等があげられ
る。
態を、図面を参照しながら説明する。 (実施例1)図1は、本発明に係る転動部材の実施例で
ある単列深みぞ玉軸受1の構成を示す縦断面図である。
深みぞ玉軸受1は、外輪2と、内輪3と、外輪2と内輪
3との間に転動自在に配設された複数の玉4と、図示し
ないスチール製の非接触シール(Z形)と、から構成さ
れている。なお、その寸法は、内径8mm、外径22m
m、幅7mmである。
ト系ステンレス鋼製(0.45C−13Cr−0.13
N)で、1050℃で30minの焼入れ、−80℃で
1hrのサブゼロ処理、460℃で2hrの焼戻しを施
したものを用いた。そして、玉4の表面には潤滑性を有
する潤滑層Lが設けられていて、該潤滑層Lはフッ素化
合物層F及びダイヤモンドライクカーボン層Cを備えて
いる。そして、該2層F,Cは、表面側からフッ素化合
物層F,ダイヤモンドライクカーボン層Cの順に形成さ
れている。
ロアルキル基とアルキル基とを有するフッ素化合物等か
ら構成され、ダイヤモンドライクカーボン層Cは、C
r,W,Ti,Si,Ni,及びFeのうちの1種以上
の金属からなる金属層と、前記金属及び炭素からなる複
合層と、炭素からなるカーボン層と、の3層で構成さ
れ、心部から金属層,複合層,カーボン層の順で配され
ている。
ダイヤモンドライクカーボン層Cを形成する方法を説明
する。油分を洗浄した玉4を株式会社神戸製鋼所社製の
アンバランスドマグネトロンスパッタリング装置(以降
はUBMS装置と記す)に設置し、アルゴンプラズマに
よるスパッタリング法を用いてボンバード処理を15分
間施した後、チタンをターゲットとして玉4の表面にチ
タンからなる金属層(中間層)を成膜した。
ながら、カーボンターゲットのスパッタ効率を増加させ
て複合層及びカーボン層を形成して、ダイヤモンドライ
クカーボン層Cを成膜した。そして、遊星ボールミル等
を用いて、玉4の表面を表面粗さRa0.004μmに
仕上げ、洗浄,乾燥した。この成膜法としては、非平衡
型マグネトロンを用いたスパッタリング,パルスレーザ
ーアーク蒸着法,プラズマCVD法等が好ましく、その
中でも、等価弾性定数及び塑性変形硬さ等を独立に制御
することが容易な非平衡型マグネトロンを用いたスパッ
タリング法が、転動部材には最も好適である。
合には、ダイヤモンドライクカーボン層Cを内部の組成
が徐々に変化している傾斜層とすることによって、前記
中間層と前記カーボン層との界面を無くすことができ
る。そうすると、ダイヤモンドライクカーボン層Cの母
材に対する密着性が極めて高くなる。しかも、ダイヤモ
ンドライクカーボン層Cを構成する炭素原子は相互の結
合力が強いので、ダイヤモンドライクカーボン層Cその
ものの摩耗や損傷が発生しにくくなる。また、ダイヤモ
ンドライクカーボン層Cを前述のように硬質にし且つ表
面を平滑にしているから、玉4の転がり抵抗が軽減され
て転動が極めて円滑になるとともに、ダイヤモンドライ
クカーボン層Cが摩耗しにくくなる。なお、ダイヤモン
ドライクカーボン層Cの表面粗さ及び硬度は、成膜時の
雰囲気の圧力,温度,ガスの種類,印加電圧等によって
調整することができる。
性定数は、80〜240GPaであることが好ましい。
240GPa超過であると、鋼の等価弾性定数よりも大
きくなり鋼がダイヤモンドライクカーボン層Cよりも先
に変形するため、繰り返し応力によってダイヤモンドラ
イクカーボン層Cが破壊されやすくなる。一方、80G
Pa未満であると、ダイヤモンドライクカーボン層Cの
表面硬さが低下して接触応力によって摩耗が生じやす
く、ダイヤモンドライクカーボン層Cの機能が損なわれ
やすい。
測定は、(マイクロ)ビッカース硬度計は使用せず、静
電容量で制御できる微小硬度計又はナノインデンテータ
を用いることが望ましい。なおかつ、押し込み深さはダ
イヤモンドライクカーボン層Cの厚さ内とする必要があ
る。そして、等価弾性定数の測定は前記微小硬度計又は
ナノインデンテータを使用し、図2に示す荷重−除荷曲
線の弾性変形量から等価弾性定数を求めることが望まし
い。
である鋼の合金成分や、該鋼の構成元素と原子半径が同
程度の元素であれば特に限定されるものではないが、例
えばCr,W,Ti,Si,Ni,Fe,Co等があげ
られる。この中でも、母材がステンレス鋼や軸受鋼であ
ればTi,Cr,Ni等が好ましく、前記鋼の合金成分
によってはSi,W,Co等も適宜選択することができ
る。
上にフッ素化合物層Fを形成する。フッ素化合物として
は、パーフルオロアルキル基とアルキル基とを有するフ
ッ素化合物である商品名サーフロンSC−101(旭ガ
ラス社製)を用い、これを酢酸エチル等の溶媒で希釈し
た溶液(希釈率10%)を玉4の表面に塗布し熱処理す
ることにより、フッ素化合物層Fを形成した。具体的に
は、前記溶液に玉4を浸漬し、乾燥後、250℃で熱処
理した。このような処理により、玉4の最表面にフッ素
化合物層Fが形成される。
性が通常は極めて低いので、金属表面に付着する力が弱
い。例えば、特開昭62−246621には、パーフル
オロアルキル基を有する化合物の被膜を金属表面に形成
する方法が開示されているが、潤滑性を有する化合物と
金属とは相互作用が非常に弱いので密着性が低く、十分
な潤滑性を金属表面に付与することは困難である。
表面とフッ素化合物層Fとの間にはダイヤモンドライク
カーボン層Cが介在している。フッ素化合物が有するア
ルキル基はDLCのような炭素と親和性を有しているの
で、アルキル基はダイヤモンドライクカーボン層C側に
配向していて、その一部はダイヤモンドライクカーボン
層C内に取り込まれている。このようなことから、フッ
素化合物層Fとダイヤモンドライクカーボン層Cとの密
着性が大きく向上している。
ロアルキル基は玉4の最表面に配向しているので、玉4
の表面に潤滑性が十分に付与される。よって、玉4は優
れた潤滑性を有しているので、境界潤滑になったとして
も、耐摩耗性と耐フレッチング性に優れている。次に、
上記のような深みぞ玉軸受1について、揺動耐久性試験
を行った結果を説明する。揺動耐久性は、下記の条件で
繰り返し揺動運動を行った後の軸受の回転トルクによっ
て評価した。回転トルクは、49Nのアキシャル荷重を
付与した状態で内輪を2rpmで回転し、その回転初期
に要するトルクを測定した。
Fの厚さを種々変化させた深みぞ玉軸受(他の構成は全
く同様である)についても揺動耐久性試験を行った。そ
の結果を図3のグラフに示す。フッ素化合物層Fの厚さ
は、フッ素化合物の酢酸エチルによる希釈率で制御し
た。なお、希釈率とは、フッ素化合物と酢酸エチルとの
総量に対するフッ素化合物の量の比である。例えば、希
釈率10%とは、フッ素化合物10部を酢酸エチル90
部で希釈したことを意味する。
下であると、揺動試験によりフレッチングが発生しやす
いため、揺動試験後の回転トルクが大きくなるという問
題がある。これは、フッ素化合物層Fの膜厚が薄すぎる
ためで、揺動時の潤滑不足が原因である。したがって、
希釈率は1%より大きいことが好ましい。また、希釈率
が30%を超えると回転トルクは良好となるものの、コ
ストの上昇,作業性の悪化,膜厚のムラが生じやすくな
る。
率は15%以下がより好ましく、また、安定した潤滑効
果を得るためには、希釈率は2%以上がより好ましい。
また、比較例として、下記のような2種の深みぞ玉軸受
についても、同様に揺動耐久性試験を行った。比較例1
の深みぞ玉軸受は、玉の表面には中間層を有していない
ダイヤモンドライクカーボン層が形成されており、フッ
素化合物層は備えていない点と、外輪,内輪,玉を構成
する材質が異なる点とを除いては、実施例1の深みぞ玉
軸受1と全く同様の構成である。
パーフルオロポリエーテル(フッ素系潤滑剤)が塗布さ
れていて、ダイヤモンドライクカーボン層及びフッ素化
合物層は備えていない点と、外輪,内輪,玉を構成する
材質が異なる点とを除いては、実施例1の深みぞ玉軸受
1と全く同様の構成である。比較例1,2における外
輪,内輪,玉を構成する材質は、焼入れ,焼戻しを施し
た軸受鋼(SUJ2)であり、ヤング率は220GP
a、表面硬さは7.5GPaである。
玉軸受の回転トルクは、約30mN・cmで、比較例2
の深みぞ玉軸受の回転トルクは、約27mN・cmであ
った。また、比較例1,2の深みぞ玉軸受は、繰り返し
揺動運動によって、玉の表面に損傷が生じていることが
確認された。この表面の面荒れ及び摩耗により、繰り返
し揺動運動の前後で回転トルクの上昇が見られた。
リング法により玉4の表面にダイヤモンドライクカーボ
ン層Cを形成した。このように、球体の表面に均一に被
膜を形成する方法について、図4を参照しながら以下に
説明する。この方法は、軸受の玉(転動体)等のような
球体の表面に、均一に被膜を形成する方法に関する。
成させるCVD成膜法、蒸発させた物質をイオン化して
金属表面に薄膜を形成させるPVD成膜法、スパッタリ
ング法においては、成膜時の密着性と成膜精度を良好な
ものとするために、被処理物を自転させながら処理する
方法(特開昭63−62875号公報)や、被処理物を
自転させ且つ被処理物を取り付けた治具をチャンバー内
で公転させながら処理する方法(特公平7−94711
号公報)が知られている。このような成膜方法は、均一
な膜厚の薄膜を形成することができ、工業用ツール等に
有効である。
理物は、通常は、工具に代表されるような棒状あるいは
リング状の部品であって、被処理物の外周面に被膜を形
成する場合が主であった。このような部品は、前述の自
公転の方法によって、その被処理面を常にプラズマある
いはイオンが照射されてくる方向に向けることが可能で
あるため、均一な膜厚の薄膜を形成することができる。
る玉等のような球体である場合は、被処理物を支持する
ことが困難であるので、上記の工具などの様に均一な膜
厚の薄膜を形成することは非常に難しい。例えば、バレ
ルなどの金属製のかごの中に複数の玉を入れ、バレル全
体を回転させながら、プラズマ源あるいはイオン源より
被膜成分を供給して成膜を行う方法があるが、玉の大き
さなどに制限があり、また、膜厚にムラが生じやすいと
いう問題点があった。
の有する問題点を解決し、軸受の玉のような球体に、均
一な膜厚の被膜を形成することが可能な成膜方法を提供
することを課題とする。上記課題を解決するため、本方
法は次のような構成からなる。すなわち、本方法は、被
膜を構成する物質(例えば、プラズマ化した金属又はイ
オン化した金属とガスとから生成される化合物)を、球
形の被処理物に照射して、前記被処理物の表面に被膜を
形成する方法において、非磁性材料で構成され可動する
プレート上に前記被処理物を載置し、前記プレートを可
動することにより前記被処理物を前記プレート上で回転
させながら、前記物質を前記被処理物に照射することを
特徴とする成膜方法である。
理物に均一な回転運動を与えることができるので、被膜
を構成する物質が照射されてくる方向に対して、前記被
処理物の球面(被処理面)全体を均一に向けることが可
能である。よって、前記被処理物に均一な膜厚の被膜を
形成することが可能となる。また、処理後の前記被処理
物は真球度が優れている。
体に限らず、軸受の外輪,内輪等のような他の形状の部
材にも適用可能である。上記のような成膜方法により軸
受の玉に被膜を形成した例(2例)を、図面を参照しな
がら説明する。まず、株式会社神戸製鋼所社製のUBM
S装置30を使用し、アルゴンプラズマによるスパッタ
リング法を用いて玉40(供試体)の表面に被膜を形成
した第1製造例について、図4を参照しながら説明す
る。なお、図4の(a)はUBMS装置30の平面図で
あり、(b)は側面図である。
られている。このプレート41は直径300mmのSU
S304製の円板で、その外周部に高さ12mmの外壁
を備えている(すなわち、カップ状である)。そして、
プレート41上には直径2mmのSUS440C製の玉
40が8000個載置されている。なお、SUS304
は非磁性材料である。
ンバード処理(ドライクリーニング)を15分間施した
後、チタンをターゲットとして玉40の表面にチタンの
金属層を中間層として成膜した。次に、表面(中間層)
にアルゴンガスでボンバード処理を施して、玉40の構
成元素とチタンとを原子オーダーで混合した混合層を形
成させた。
しながら、カーボンターゲットのスパッタ効率を増加さ
せて複合層及びカーボン層を形成し、ダイヤモンドライ
クカーボン層を成膜した。このように、UBMS装置3
0は、スパッタリングに用いるターゲット32を複数装
着できるので、チタンターゲットとカーボンターゲット
のスパッタ電源を独立に制御することによって、チタン
のスパッタ効率を連続的に減少させながら、カーボンタ
ーゲットのスパッタ効率を増加させて、チタンとカーボ
ンの複合層を形成することができる。ターゲットのスパ
ッタ電源にDC電源を用いることにより、アルゴンイオ
ンのスパッタ効率を連続的に変化させることができる。
徐々に変化している傾斜層であって、連続的に組成比が
変化しているダイヤモンドライクカーボン層を形成する
ことができる。さらに、中間層を形成した後に、中間層
ターゲットのスパッタ電源の電力を低減しながら、同時
にカーボンターゲットのスパッタ電源の電力を増加させ
る。これらの電力と、供試体に印加するバイアス電圧と
をコンピュータ制御して、チタンとカーボンの傾斜層で
ある複合層を形成することができる。
は、プレート41を、板面を水平方向に対して所定の角
度(以降は傾斜角と記す)だけ傾斜させて設置し、傾斜
しているプレート41を例えば10rpmの回転速度で
モータによって回転(プレート41の中央を通る鉛直線
を回転軸とする回転)させながら成膜を行っている。プ
レート41を回転させることにより玉40がプレート4
1上で一定の回転速度で回転するので、玉40の全表面
を均一にプラズマに向けることができる。よって、玉4
0の全表面に均一な膜厚の被膜を形成することが可能と
なる。また、処理後の玉40の真球度が優れている。
って、回転時の玉40の動きが激しくなるので、玉40
のプレート41上における位置を大きく入れ替えること
ができる。よって、多数の玉40に対して均一の膜厚の
被膜を形成させることができる。プレート41の傾斜角
は、水平方向に対して1〜45°が望ましい。プレート
41の傾斜角と成膜後の玉40の真球度との相関を示す
グラフを、図5に示す。図5のグラフから分かるよう
に、傾斜角が2°未満であると、プレート41の回転の
遠心力が不十分となって玉40が均一に回転せず、被膜
の膜厚にムラが生じやすくなる。その結果、被膜の膜厚
のばらつきが大きくなって、真球度が悪化する。
0が重なり合ったり、プレート41上から落下するおそ
れが生じるため、真球度が悪化する。プレート41の傾
斜角は、プレート41の回転数,玉40の大きさ及び数
にもよるが、良好な真球度を得るためには前記範囲が望
ましい。次に、上記の第1製造例とは別の手段により、
玉を回転させながら均一な膜厚の被膜を形成した例(第
2製造例)を、図4及び図6を参照しながら説明する。
図6は、成膜時に玉40を回転させる回転装置の構成を
示す概念図である。
機構が異なる点以外は第1製造例とほぼ同様であるの
で、異なる点のみ説明し同様の点の説明は省略する。ま
た、図6においては、図4と同一又は相当する部分に
は、図4と同一の符号を付してある。第1製造例におけ
るプレート41及びモータの代わりに、図6の回転装置
をUBMS装置30内に設けた。この回転装置は、玉4
0を載置するプレート41と、プレート41を回転させ
る軸50と、モータ52と、から構成されている。軸5
0はコ字状部分50aを有する屈曲した形状(クランク
状)で、コ字状部分50aにプレート41の中央部が連
結されている。なお、プレート41及び軸50は、全て
非磁性材料であるSUS304により構成されている。
50を回転させると、コ字状部分50aの突出幅、すな
わち軸の偏心幅51を半径として、プレート41が円運
動を行うので、玉40がプレート41上で回転する。プ
レート41の上方約45°の位置に設置された図示しな
いチタンターゲットがスパッタによりプラズマ化されて
生成したチタン粒子と、窒素ガスとを反応させて窒化チ
タンを生成させた。そして、その窒化チタンを回転して
いる玉40に照射して、玉40の表面に窒化チタンの被
膜を形成した。
しているので、玉40の全表面を均一に窒化チタンの照
射に向けることができる。よって、玉40の全表面に均
一な膜厚の被膜を形成することが可能となる。また、処
理後の玉40の真球度が優れている。軸50の偏心幅5
1と成膜後の玉40の真球度との相関を評価し、その結
果を図7に示した。なお、図7のグラフにおける横軸の
偏心率とは、円板状のプレート41の半径に対する偏心
幅51の比率である。例えば、偏心率10%とは、プレ
ート41の半径が100mmで、偏心幅51が10mm
であることを意味する。
膜を得るには、偏心率は2〜50%とすることが好まし
い。偏心率が2%より小さいと、玉40の回転が停止し
やすく被膜の膜厚にムラが生じやすい。また、50%よ
り大きいと、プレート41の円運動による遠心力が大き
くなりすぎて、玉40がプレート41の外壁側に集まり
やすくなり、被膜の膜厚にムラが生じやすい。
ト41,軸50の材質は磁化されにくい材質が望まし
く、非磁性材料が好適である。具体的には、オーステナ
イト系ステンレス鋼で、例えば、SUS304,SUS
316等があげられる。次に、第1製造例及び第2製造
例に対する比較製造例として、金属製の籠(バレル)の
中に複数の軸受用の玉を入れ、バレル全体を回転させな
がら、プラズマ源又はイオン源より被膜成分を供給し、
成膜を行った例について説明する。
構が異なる点以外は前述の第1製造例とほぼ同様である
ので、詳細な説明は省略する。なお、バレルのメッシュ
は1.8mmで、玉の数は3000個である。このよう
な方法により成膜を行った玉について、真球度の測定を
行った。その結果、真球度は0.8μmであり、ダイヤ
モンドライクカーボン層の膜厚にばらつきがあるため、
玉の真球度が悪かった。
(第1製造例及び第2製造例)によれば、球形の被処理
物を回転させながら成膜を行うので、被膜成分の照射に
対して陰になる部分が生じることがなく、均一な膜厚の
被膜を成膜することができる。よって、成膜後の球体の
真球度が優れている。 (実施例2)図8は、本発明に係る転動部材の実施例で
ある単列深みぞ玉軸受11の構成を示す縦断面図であ
る。深みぞ玉軸受11は、外輪12と、内輪13と、外
輪12と内輪13との間に転動自在に配設された複数の
玉14と、から構成されている。なお、その寸法は、内
径30mm、外径62mm、幅16mmであり、外輪1
2,内輪13は高炭素クロム鋼製(SUJ2)で、83
0℃で1hrの焼入れ、260℃で1hrの焼戻しを施
したものを用いた。
は、潤滑性を有する潤滑層が設けられていて、該潤滑層
の表面側にはダイヤモンドライクカーボン層Cが配され
ている。ダイヤモンドライクカーボン層Cは、Cr,
W,Ti,Si,Ni,及びFeのうちの1種以上の金
属からなる金属層と、前記金属及び炭素からなる複合層
と、炭素からなるカーボン層Eと、の3層で構成され、
心部から金属層,複合層,カーボン層Eの順で配されて
いる。このような潤滑層を備えた軌道面の母材のヤング
率は220GPaで、表面硬さは7.5GPaである。
なお、これ以降は、金属層と複合層とを合わせた部分
を、金属化合物層Tと記す。
N4 )である。ただし、玉14は、外輪12,内輪13
と同様に軸受鋼やステンレス鋼で構成してもよく、その
場合は表面に上記と同様のダイヤモンドライクカーボン
層を形成してもよい。次に、外輪12,内輪13の軌道
面にダイヤモンドライクカーボン層Cを形成する方法を
説明する。
圧チャンバー内に設置した。そして、供試体にバイアス
電圧を印加しながら、金属ターゲット(例えば、チタン
が好ましい)と窒素ガスとを用いて供試体の軌道面に金
属窒化物(TiN)からなる中間層(金属層)を形成し
た(スパッタリング法)。処理時間により中間層の厚さ
を制御することが可能であり、また、窒素の分圧により
金属窒化物の化学量論比及び等価弾性定数を制御するこ
とが可能である。なお、中間層を形成する金属化合物は
金属窒化物に限定されるものではなく、他の金属化合物
でもよい。
バード処理を施して、供試体の構成元素と中間層とを原
子オーダーで混合した混合層を形成させた。続いて、供
試体に負のバイアス電圧を印加しながら、カーボンター
ゲットのスパッタ効率を増加させて複合層及びカーボン
層Eを形成し、ダイヤモンドライクカーボン層Cを成膜
した。
属のスパッタ効率を連続的に減少させながら、カーボン
ターゲットのスパッタ効率を増加させて、金属とダイヤ
モンドライクカーボンの複合層を形成することができ
る。この複合層は、金属とカーボンの組成が徐々に変化
している傾斜層であって、連続的に組成比が変化してい
るダイヤモンドライクカーボン層Cを形成することがで
きる。さらに、中間層を形成した後に、中間層のターゲ
ットのスパッタ電源の電力を低減しながら、同時にカー
ボンターゲットのスパッタ電源の電力を増加させる。こ
れらの電力と、供試体に印加するバイアス電圧とをコン
ピュータ制御して、金属とカーボンの傾斜層である複合
層を形成することができる。
C電源を制御することにより、アルゴンイオンのスパッ
タ効率を連続的に変化させることができる。さらに、金
属のスパッタリングを中止し、カーボンのスパッタリン
グのみを行うことにより、カーボン層Eが形成される。
このように形成されるダイヤモンドライクカーボン層C
の膜厚は、処理時間により制御することができる。
は、上記のようなスパッタリング法を用いてもよいが、
グラファイト,炭素焼結材等をターゲットとしたイオン
プレーティング法やプラズマCVD法等の他の方法を用
いてもよい。また、ダイヤモンドライクカーボン層C中
にシリコン,チタン,クロム等の他の金属元素が添加さ
れていてもよい。
体の母材である金属との密着性が良好な金属化合物層T
が、潤滑性には優れるものの供試体の母材である金属と
の密着性が乏しいカーボン層Eと金属(供試体の母材)
との間に介在することにより、強固な多層構造が形成さ
れ、供試体(外輪12,内輪13)の軌道面に優れた潤
滑性が付与される。
5μmが好ましい。0.2μm未満であると、ダイヤモ
ンドライクカーボン層Cの弾性率と金属の弾性率との差
が大きすぎて、ダイヤモンドライクカーボン層Cが破壊
しやすくなる。また、5μm超過であると、金属化合物
層Tの内部応力が大きくなって自己破壊を起こし、金属
表面からの剥離が顕著になる。
厚さは、0.8〜8μmが好ましい。0.8μm未満で
あると、金属化合物層Tと相手材との接触が起こるおそ
れが生じ、焼付きが生じやすくなる。また、5μm超過
であると、ダイヤモンドライクカーボン層Cの内部応力
が大きくなって自己破壊を起こし、金属化合物層Tから
の剥離が顕著になる。このような問題点がより生じにく
くするためには、ダイヤモンドライクカーボン層Cの厚
さは1〜5μmがより好ましい。
の等価弾性定数は、80〜240GPaであることが好
ましい。そうすれば、供試体(外輪12,内輪13)
は、耐焼付き性と耐破壊性において、転動部材として十
分な性能を有することとなる。80GPa未満である
と、硬さも低下するため摩耗しやすくなる。240GP
a超過であると、金属(供試体の母材)と比べて高弾性
となるため、金属の弾性変形に追従することが困難とな
って、自己破壊を起こしやすくなる。なお、このような
効果をより確実なものとするためには、等価弾性定数は
130〜200GPaであることがより好ましい。
いて、耐久性試験を行った結果について説明する。耐久
性試験は、境界潤滑条件下において下記の条件で軸受を
回転させ、焼付きを生じるまでの時間によって評価し
た。 (耐久試験の条件) ・回転数 :12000rpm ・アキシャル荷重:2000N ・潤滑条件 :日本石油社製のスピンドルオイルで
あるスピノックス(商品名)をヘキサンで5%に希釈し
たものを、マイクロシリンジで0.3ml軸受内に注入
した。
厚さ、ダイヤモンドライクカーボン層Cの厚さ、ダイヤ
モンドライクカーボン層Cの等価弾性定数を、それぞれ
種々変化させて、上記の耐久性試験を行った。その結果
を図9〜11のグラフに示す。
との相関性を示すグラフである。また、図10は、ダイ
ヤモンドライクカーボン層Cの厚さと耐久時間との相関
性を示すグラフである。さらに、図11は、ダイヤモン
ドライクカーボン層Cの等価弾性定数と耐久時間との相
関性を示すグラフであり、金属化合物層Tの厚さは2μ
mに、ダイヤモンドライクカーボン層Cの厚さは2.5
μmにそれぞれ統一してある。
物層Tの厚さが0.2〜5μmであると、耐久性が優れ
ている。0.2μm未満であると、金属化合物層Tの緩
衝力が不十分となり、ダイヤモンドライクカーボン層C
が破壊して耐久時間が悪化した。また、5μm超過であ
ると、金属化合物層Tが自己破壊を起こし、金属表面か
ら剥離して耐久時間が悪化した。
ダイヤモンドライクカーボン層Cの厚さが0.8〜8μ
mであると耐久性が優れていた。0.8μm未満である
と、金属化合物層Tと相手材とが接触して焼付きが生
じ、耐久時間が悪化した。また、8μm超過であると、
ダイヤモンドライクカーボン層Cが自己破壊を起こし、
金属化合物層Tから剥離して耐久時間が悪化した。そし
て、ダイヤモンドライクカーボン層Cの厚さが1〜5μ
mであると、耐久性がより優れていた。
に、ダイヤモンドライクカーボン層Cの等価弾性定数
は、80〜240GPaであることが好ましく、130
〜200GPaであることがさらに好ましい。80GP
a未満であると、表面硬さも低下するため、ダイヤモン
ドライクカーボン層Cが破壊しやすくなる。240GP
a超過であると、金属(供試体の母材)と比べて高弾性
となるため、金属の弾性変形に追従することが困難とな
って、自己破壊を起こしやすくなる。そのため、いずれ
も耐久時間が悪化している。
深みぞ玉軸受についても、同様に耐久性試験を行った。
比較例3及び比較例4の深みぞ玉軸受は、外輪,内輪の
軌道面には金属化合物層のみが形成されていて(その厚
みは0.05μm及び0.1μm)、カーボン層は備え
ていない点を除いては、実施例2の深みぞ玉軸受11と
全く同様の構成である。
0.05μmである比較例3の深みぞ玉軸受の耐久時間
は55min、金属化合物層の厚みが0.1μmである
比較例4の深みぞ玉軸受の耐久時間は70minで、不
十分であった。また、比較例3,4の深みぞ玉軸受は、
耐久性試験の後に、軌道面に剥離が生じていることが確
認された。
ものであって、本発明は本実施形態に限定されるもので
はない。例えば、外輪,内輪,及び玉の材質、フッ素化
合物層F,ダイヤモンドライクカーボン層Cを構成する
化合物の種類、これら各層の形成方法等である。また、
本実施形態では、転動部材として深みぞ玉軸受の軌道輪
及び転動体を例示して説明したが、本発明は、ころ軸受
等の他の種類の転がり軸受を構成する転動部材、ボール
ねじあるいはリニアガイド等の他の種類の転動装置を構
成する転動部材に適用することが可能である。また、摺
動部材として使用することも可能である。
及び転動装置は、ダイヤモンドライクカーボン層とフッ
素化合物層とを有する潤滑層を表面に備え、ダイヤモン
ドライクカーボン層が、Cr,W,Ti,Si,Ni,
及びFeのうちの1種以上の金属からなる金属層と、前
記金属及び炭素からなる複合層と、炭素からなるカーボ
ン層と、の3層で構成されているので、ダイヤモンドラ
イクカーボン層と母材との密着性が強固である。さら
に、前記フッ素化合物層が最表面に配されているので、
境界潤滑となっても金属表面同士の接触による摩耗やフ
レッチングが生じにくく、また、境界潤滑条件下におけ
る耐焼付き性に優れている。
である。
重−除荷曲線である。
を示すグラフである。
装置の構成を説明する概念図である。
関を示すグラフである。
する概念図である。
ラフである。
である。
すグラフである。
時間との相関性を示すグラフである。
数と耐久時間との相関性を示すグラフである。
Claims (6)
- 【請求項1】 潤滑性を有する潤滑層を表面に備えた転
動部材において、 前記潤滑層はダイヤモンドライクカーボン層とフッ素化
合物層とを備え、前記フッ素化合物層が最表面に配され
ており、 前記ダイヤモンドライクカーボン層は、Cr,W,T
i,Si,Ni,及びFeのうちの1種以上の金属から
なる金属層と、前記金属及び炭素からなる複合層と、炭
素からなるカーボン層と、の3層で構成されていること
を特徴とする転動部材。 - 【請求項2】 潤滑性を有する潤滑層を表面に備えた転
動部材において、 前記潤滑層はダイヤモンドライクカーボン層を備え、前
記ダイヤモンドライクカーボン層は、Cr,W,Ti,
Si,Ni,及びFeのうちの2種以上の金属からなる
金属層と、前記金属及び炭素からなる複合層と、炭素か
らなるカーボン層と、の3層で構成され、 表面側から前記カーボン層,前記複合層,前記金属層の
順に配されていることを特徴とする転動部材。 - 【請求項3】 前記複合層中の炭素の割合が、前記金属
層側から前記カーボン層側に向かって徐々に増加してい
ることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の転動
部材。 - 【請求項4】 前記ダイヤモンドライクカーボン層の等
価弾性定数を80〜240GPaとしたことを特徴とす
る請求項1〜3のいずれかに記載の転動部材。 - 【請求項5】 前記ダイヤモンドライクカーボン層は、
非平衡型マグネトロンを用いたスパッタリングにより形
成されたものであることを特徴とする請求項1〜4のい
ずれかに記載の転動部材。 - 【請求項6】 外面に軌道面を有する内方部材と、該内
方部材の軌道面に対向する軌道面を内面に有し前記内方
部材の外側に配置された外方部材と、前記両軌道面間に
転動自在に配置された複数の転動体と、を備える転動装
置において、前記内方部材,前記外方部材,及び前記転
動体のうち少なくとも1つを、請求項1〜5のいずれか
に記載の転動部材としたことを特徴とする転動装置。
Priority Applications (11)
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|---|---|---|---|
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|---|---|---|---|---|
| JP2007327037A (ja) * | 2006-04-28 | 2007-12-20 | Nsk Ltd | 転がり摺動部材およびこれを用いた転動装置 |
-
2002
- 2002-03-01 JP JP2002056202A patent/JP4000870B2/ja not_active Expired - Fee Related
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| JP2007327037A (ja) * | 2006-04-28 | 2007-12-20 | Nsk Ltd | 転がり摺動部材およびこれを用いた転動装置 |
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