JP2003254352A - 電磁クラッチ装置 - Google Patents

電磁クラッチ装置

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JP2003254352A
JP2003254352A JP2002058964A JP2002058964A JP2003254352A JP 2003254352 A JP2003254352 A JP 2003254352A JP 2002058964 A JP2002058964 A JP 2002058964A JP 2002058964 A JP2002058964 A JP 2002058964A JP 2003254352 A JP2003254352 A JP 2003254352A
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cam
electromagnetic clutch
armature
clutch device
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JP2002058964A
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Masashi Aikawa
政士 相川
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GKN Driveline Japan Ltd
Original Assignee
Tochigi Fuji Sangyo KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電磁石とクラッチを大型にせず、充分なトル
ク伝達容量を得る。 【解決手段】 トルク伝達部材7,9の間に配置された
クラッチ11と、部材7と中間部材17との間に配置さ
れたクラッチ19と、部材9に連結されたプレート15
と、アーマチャ23を移動操作してクラッチ19を押圧
する電磁石25と、プレート15とリング17との間に
配置され、クラッチ19が連結されると部材7,9間の
トルクを受けて作動し、プレート15を移動させてクラ
ッチ11を連結させるカム機構13とを備え、アーマチ
ャ23とプレート15との間にクラッチ19の押圧力を
強化するアシストカム機構27を設けた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、動力伝達系に用
いられて動力を断続し、あるいは、デファレンシャル装
置に用いられて駆動力を断続し、また、差動を制限する
電磁クラッチ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】特開平10−329562号公報に図3
のような駆動力伝達装置501が記載されている。
【0003】この駆動力伝達装置501は、回転ケース
503、インナーシャフト505、メインクラッチ50
7、ボールカム509、プレッシャープレート511、
カムリング513、パイロットクラッチ515、アーマ
チャ517、電磁石519などから構成されている。
【0004】駆動力伝達装置501は、4輪駆動車にお
いて2輪駆動走行時に切り離される後輪側のプロペラシ
ャフトを分断して配置されており、回転ケース503は
前側のプロペラシャフトに連結され、インナーシャフト
505は後側のプロペラシャフトに連結されている。
【0005】電磁石519を励磁すると、磁力ループ5
21が形成され、アーマチャ517が吸引されてパイロ
ットクラッチ515を押圧し締結させる。パイロットク
ラッチ515が締結されると、パイロットトルクが生じ
てボールカム509にエンジンの駆動力が掛かり、発生
したカムスラスト力によってメインクラッチ507が押
圧され、駆動力伝達装置501が連結されて後輪側に駆
動力が伝達され、車両は4輪駆動状態になる。
【0006】また、電磁石519の励磁を停止すると、
パイロットクラッチ515が開放されてボールカム50
9のカムスラスト力が消失し、メインクラッチ507が
開放されて駆動力伝達装置501の連結が解除され、後
輪側が切り離されて車両は2輪駆動状態になる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記駆動力伝達装置5
01のように、メインクラッチ、パイロットクラッチ、
カム機構などから構成され、パイロットクラッチが連結
されるとカム機構が作動しメインクラッチの締結力を強
化する電磁クラッチ装置は、単独で動力断続装置として
用いられる他に、デファレンシャル装置上で断続機構に
用いられる。
【0008】このような断続機構を備えたデファレンシ
ャル装置は、例えば、原動機に燃料エンジン(燃料の爆
発を利用した通常のエンジン)と電動モータとを併用す
る4輪駆動ハイブリッド電気自動車で電動モータ側の動
力伝達系に用いられることがある。
【0009】しかし、このような用途では電磁クラッチ
装置のトルク伝達容量不足が指摘されることがある。
【0010】ところが、トルク伝達容量を大きくする
(トルクアップする)ためには、メインクラッチやパイ
ロットクラッチの摩擦面数(クラッチ板枚数)を増やす
必要があるが、摩擦面数を増やすと潤滑オイルの粘性に
起因するドラグトルクが過大になる上に、デファレンシ
ャル装置が大型化、重量化し、車載性が低下する恐れが
ある。
【0011】一方、クラッチの摩擦面数を増やさずにト
ルク伝達容量を大きくするには、パイロットトルクを大
きくすればよいが、そのためには電磁石を大型にし、吸
引力を強化する必要がある。
【0012】しかし、電磁石を大型にしても、電磁コイ
ルの電気抵抗や磁路の飽和(磁気抵抗)などの理由によ
って充分な吸引力が得られないことがあり、さらに、電
磁石が大型になると、バッテリーの負担が増加してエン
ジンの燃費が低下すると共に、配置スペースの問題も生
じる。
【0013】そこで、この発明は、電磁石とクラッチを
大型化せずに、充分なトルク伝達容量が得られる電磁ク
ラッチ装置の提供を目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】請求項1の電磁クラッチ
装置は、一対のトルク伝達部材と、両トルク伝達部材の
間に配置されたメインクラッチと、トルク伝達部材の一
方と中間部材との間に配置されたパイロットクラッチ
と、トルク伝達部材の他方に対して移動自在に連結され
たプレッシャープレートと、アーマチャを移動操作し、
パイロットクラッチを押圧して締結させる電磁石と、プ
レッシャープレートと中間部材との間に配置され、パイ
ロットクラッチが連結されると両トルク伝達部材間のト
ルクを受けて作動し、プレッシャープレートを移動させ
てメインクラッチを連結させるカム機構とを備えた電磁
クラッチ装置であって、アーマチャとプレッシャープレ
ートとの間に、電磁石によってアーマチャがパイロット
クラッチに押圧されると前記トルクを受けて作動し、ア
ーマチャによるパイロットクラッチの押圧力を強化する
アシストカム機構を設けたことを特徴とする。
【0015】このように、本発明の電磁クラッチ装置
は、アーマチャとプレッシャープレートとの間に、パイ
ロットクラッチを押圧するアシストカム機構を設けたこ
とによってパイロットトルクが強化されるから、これに
伴い、プレッシャープレートを移動させるカム機構のカ
ムスラスト力が大きくなってメインクラッチのトルク伝
達容量が強化される。
【0016】従って、この電磁クラッチ装置を断続機構
に用いたデファレンシャル装置は、上記のような4輪駆
動ハイブリッド電気自動車の電動モータ側動力伝達系に
用いた場合、充分なトルク伝達容量が得られる。
【0017】また、トルク伝達容量を大きくするため
に、メインクラッチやパイロットクラッチの摩擦面数
(クラッチ板枚数)を増やす必要がなくなるから、潤滑
オイルによるドラグトルクの増大が防止されると共に、
電磁クラッチ装置及びこれを用いたデファレンシャル装
置の大型化、重量化、車載性低下などが防止される。
【0018】また、パイロットトルクを大きくするため
に電磁石を大型にする必要もなくなり、電磁石の大型化
に伴う電磁コイルの電気抵抗及び磁路飽和などから解放
されると共に、バッテリーの負担増加、エンジン燃費の
低下、配置スペースの問題からも解放される。
【0019】請求項2の発明は、請求項1に記載された
電磁クラッチ装置であって、前記アシストカム機構が、
カム斜面に前記トルクを受けてスラスト力を発生するカ
ムであることを特徴としており、請求項1の構成と同等
の作用・効果を得ることができる。
【0020】また、カム斜面を持ったカムの場合、カム
角の変更によってカムスラスト力を変えることが可能で
あり、電磁クラッチ装置(メインクラッチ)のトルク伝
達容量を調整することができる。
【0021】また、下記の請求項3の構成のように、カ
ム角の調整によってアシストカム機構のセルフロックを
防止することができる。
【0022】また、カム斜面を持ったカムは、プレス加
工により低コストで容易に成型することが可能であり、
従って、上記のようなカム角の変更にも低コストで容易
に対応できる。
【0023】請求項3の発明は、請求項2に記載された
電磁クラッチ装置であって、前記カムのカム角を、慣性
力やオイルの粘性によってアーマチャが回転してもセル
フロックしない範囲に設定したことを特徴としており、
請求項2の構成と同等の作用・効果を得ることができ
る。
【0024】また、カム角を調整することにより、慣性
力やオイルの粘性によってアーマチャが回転しても、ア
シストカム機構のセルフロックが防止されるから、電磁
クラッチ装置及びこれを用いたデファレンシャル装置の
機能が正常に保たれる。
【0025】請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれ
かに記載された電磁クラッチ装置であって、前記プレッ
シャープレートに段差部が設けられており、アーマチャ
の少なくとも一部が、前記段差部に配置されていること
を特徴とし、請求項1〜3の構成と同等の作用・効果を
得ることができる。
【0026】また、アーマチャの少なくとも一部をプレ
ッシャープレートの段差部に配置し、スペースを有効に
利用したことによって、電磁クラッチ装置及びこれを用
いたデファレンシャル装置がそれだけコンパクトに構成
され、車載性が向上する。
【0027】請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれ
かに記載された電磁クラッチ装置であって、前記アーマ
チャを電磁石の移動操作力と反対の方向に付勢するリタ
ーンスプリングを設けたことを特徴としており、請求項
1〜4の構成と同等の作用・効果を得ることができる。
【0028】また、リターンスプリングによってアーマ
チャが電磁石の移動操作力と反対方向(パイロットクラ
ッチの連結解除方向)に付勢されているから、電磁石の
励磁を解除すると、アーマチャが瞬時に移動(後退)し
てパイロットクラッチの連結が解除される。
【0029】従って、電磁クラッチ装置及びこれを用い
たデファレンシャル装置の連結解除レスポンスが向上す
ると共に、アーマチャの移動不良によるドラグトルクが
防止される。
【0030】請求項6の発明は、請求項1〜5のいずれ
かに記載された電磁クラッチ装置であって、前記カム機
構とアシストカム機構とが、軸方向にオーバーラップ配
置されていることを特徴としており、請求項1〜5の構
成と同等の作用・効果を得ることができる。
【0031】また、カム機構とアシストカム機構とを軸
方向にオーバーラップ配置した(それぞれの径方向投影
が互いに重なるように配置した)この構成では、電磁ク
ラッチ装置及びこれを用いたデファレンシャル装置が軸
方向にコンパクトになり、車載性が向上する。
【0032】請求項7の発明は、請求項1〜6のいずれ
かに記載された電磁クラッチ装置であって、原動機の駆
動力によって回転するアウターデフケースと、差動機構
が連結されたインナーケースとを備えたデファレンシャ
ル装置において、前記アウターデフケースとインナーデ
フケースとを前記トルク伝達部材にしたことを特徴とし
ており、請求項1〜6の構成と同等の作用・効果を得る
ことができる。
【0033】この構成は、差動機構の入力側(アウター
デフケースとインナーデフケースとの間)に配置された
断続機構によって駆動力を断続するデファレンシャル装
置のこの断続機構に、請求項1〜6の電磁クラッチ装置
を用いたものであり、このデファレンシャル装置は、原
動機に燃料エンジンと電動モータを併用した4輪駆動ハ
イブリッド電気自動車の電動モータ側動力伝達系に用い
ても、アシストカム機構によって、上記のように、充分
なトルク伝達容量が得られる。
【0034】また、電磁クラッチ装置を用いたこのデフ
ァレンシャル装置は、上記のような電気自動車に用いら
れた場合、2輪駆動状態で、潤滑オイルの粘性やアーマ
チャの移動不良などによるドラグトルク増大が防止さ
れ、車両の旋回性、操縦性、エンジン燃費などが向上す
ると共に、メインクラッチとパイロットクラッチの摩擦
面数増加防止効果及び電磁石の大型化防止効果によっ
て、大型化、重量化、配置スペース増大による車載性の
低下、バッテリーの負担増加、燃費低下などが防止され
る。
【0035】また、このデファレンシャル装置は、燃料
エンジンと電動モータを駆動力源に併用した4輪駆動の
ハイブリッド電気自動車に用いることも、燃料エンジン
を駆動力源にした通常の4輪駆動車に用いることもで
き、いずれも充分なトルク伝達容量が得られる。
【0036】請求項8の発明は、請求項1〜6のいずれ
かに記載された電磁クラッチ装置であって、入力側の差
動回転部材から入力する原動機の駆動力を一対の出力側
差動回転部材から車輪側に配分する差動機構を備えたデ
ファレンシャル装置において、前記入力側差動回転部材
及び出力側差動回転部材のいずれか2者を前記トルク伝
達部材にしたことを特徴としており、請求項1〜6の構
成と同等の作用・効果を得ることができる。
【0037】この構成は、請求項1〜6の電磁クラッチ
装置をデファレンシャル装置の差動制限機構に用いたも
のであり、電磁クラッチ装置を連結すれば差動機構の差
動が制限され、電磁クラッチ装置の連結を解除すれば差
動が自由になる。
【0038】また、このデファレンシャル装置は、請求
項1〜6の電磁クラッチ装置を用いて構成したことによ
り、請求項7でのデファレンシャル装置と同様な効果が
得られる。
【0039】また、このデファレンシャル装置は、エン
ジンと電動モータを駆動力源に併用した4輪駆動のハイ
ブリッド電気自動車に用いることも、電動モータだけを
駆動力源にした電気自動車に用いることもでき、いずれ
も充分なトルク容量(差動制限力)が得られる。
【0040】
【発明の実施の形態】図1と図2によってリヤデフ1及
びこれに用いられた電磁クラッチ装置3(本発明の一実
施形態)の説明をする。なお、以下の説明の中で左右の
方向は各図での左右の方向である。
【0041】リヤデフ1(原動機の駆動力を左右の後輪
に配分するデファレンシャル装置)はハイブリッドの4
輪駆動車に用いられている。
【0042】この4輪駆動車は前輪をレシプロ燃料エン
ジンで駆動し、後輪を電動モータで駆動するハイブリッ
ドの電気自動車であり、リヤデフ1は後輪側の動力伝達
系に用いられている。
【0043】前輪側の動力系は、横置きのエンジンとト
ランスミッション、フロントデフ(エンジンの駆動力を
左右の前輪に配分するデファレンシャル装置)、前車
軸、左右の前輪などから構成されている。
【0044】また、後輪側の動力系は、電動モータ、減
速機構、リヤデフ1、バッテリー、センサー、コントロ
ーラ、後車軸、左右の後輪などから構成されている。
【0045】電動モータと減速機構とリヤデフ1はケー
シングに収容されている。電動モータはケーシングに固
定されており、コントローラを介してバッテリーに接続
されている。また、このケーシングにはオイル溜りが設
けられている。
【0046】減速機構は、2段の減速ギヤ組から構成さ
れており、電動モータは前段のギア組に連結され、リヤ
デフ1は後段のギア組に連結されている。
【0047】コントローラはセンサーからの情報に基づ
いて電動モータの駆動、回転数調整、駆動停止などを行
う。
【0048】また、下記のように、コントローラは、通
常の走行中、電動モータの駆動を停止すると共に、下記
のようにリヤデフ1で駆動力を遮断して後輪側動力系の
作動を停止させると共に、前輪をエンジンで駆動し、車
両を前輪側動力系による2輪駆動状態にする。
【0049】また、大きな駆動力が必要になると、コン
トローラは電動モータを駆動すると共に、リヤデフ1を
連結して後輪側動力系を作動させ、後輪を補助的に駆動
し、車両を4輪駆動走行させる。
【0050】電動モータの駆動力は各減速ギヤ組によっ
て後輪の走行回転数域まで減速され、トルクが増幅され
てリヤデフ1に伝達される。
【0051】リヤデフ1は、電磁クラッチ装置3とベベ
ルギア式の差動機構5から構成されている。
【0052】また、電磁クラッチ装置3は、アウターデ
フケース7(一方のトルク伝達部材)、インナーデフケ
ース9(他方のトルク伝達部材)、多板式のメインクラ
ッチ11、ボールカム13(カム機構)、プレッシャー
プレート15、カムリング17(中間部材)、多板式の
パイロットクラッチ19、第1のリターンスプリング2
1、アーマチャ23、電磁石25、アシストカム27
(アシストカム機構:カム斜面を持ったカム)、第2の
リターンスプリング29などから構成されている。
【0053】アウターデフケース7には、後段の減速ギ
ヤ組の一側ギアである大径ギア31が形成されており、
アウターデフケース7の大径ギア31部分はボールベア
リング33,33によってインナーデフケース9上に支
承されている。なお、アウターデフケース7はギア31
によるトルク伝達だけを行い、部材の支持機能から解放
されたフローティング構造になっている。
【0054】インナーデフケース9は、左のボス部35
をボールベアリング37によってケーシングに支承さ
れ、右のボス部39をボールベアリング41と、ケーシ
ングに固定されている電磁石25のコア43とを介して
ケーシングに支承されている。
【0055】また、右ボス部39(インナーデフケース
9)の外周には、磁性材料で作られたロータ45がスナ
ップリング47によって固定され、軸方向に位置決めさ
れている。このロータ45はアウターデフケース7の右
側壁を兼ねている。
【0056】メインクラッチ11は、アウターデフケー
ス7とインナーデフケース9との間に配置されている。
アウタープレート49はアウターデフケース7の内周に
スプライン連結されており、インナープレート51はイ
ンナーデフケース9の外周にスプライン連結されてい
る。
【0057】また、インナーデフケース9には、メイン
クラッチ11の受圧リング53がスナップリング55に
よって固定されている。
【0058】パイロットクラッチ19はアウターデフケ
ース7とカムリング17との間に配置されている。アウ
タープレート57はアウターデフケース7の内周にスプ
ライン連結されており、インナープレート59はカムリ
ング17の外周にスプライン連結されている。
【0059】ボールカム13はプレッシャープレート1
5とカムリング17との間に設けられている。プレッシ
ャープレート15はインナーデフケース9の外周に軸方
向移動自在にスプライン連結されており、下記のよう
に、ボールカム13のカムスラスト力を受けてメインク
ラッチ11を押圧する。
【0060】また、カムリング17とロータ45との間
には、ボールカム13のカム反力を受けると共に、カム
リング17とロータ45間の相対回転を吸収するスラス
トベアリング61が配置されている。
【0061】リターンスプリング21は、プレッシャー
プレート15とインナーデフケース9との間に配置され
ており、プレッシャープレート15をメインクラッチ1
1の連結解除方向に付勢している。
【0062】アーマチャ23は、プレッシャープレート
15とパイロットクラッチ19(インナープレート5
9)との間に、軸方向移動及び回転自在に配置されてい
る。また、アーマチャ23はプレッシャープレート15
に形成された段差部63に収容されており、アーマチャ
23は段差部63の外周で相対回転可能に支持され、セ
ンターリングされている。
【0063】電磁石25のリード線はグロメットを介し
てケーシングの外部に引き出され、コネクターによって
バッテリー側に接続されている。
【0064】電磁石25のコア43とロータ45との間
には適度なエアギャップが形成されており、コア43、
エアギャップ、ロータ45、パイロットクラッチ19、
アーマチャ23によって電磁石25の磁路が構成されて
おり、電磁石25が励磁されるとこの磁路上に磁束ルー
プ65が形成される。
【0065】差動機構5は、複数本のピニオンシャフト
67、ピニオンギア69、出力側のサイドギア71,7
3などから構成されている。
【0066】各ピニオンシャフト67はインナーデフケ
ース9の回転中心から放射状に配置されており、それぞ
れの先端はインナーデフケース9の係合孔75に係合す
ると共に、段差部77で受圧リング53に回り止めされ
ている。
【0067】各ピニオンギア69はそれぞれのピニオン
シャフト67上で回転自在に支承されており、サイドギ
ア71,73は左右からピニオンギア69と噛み合って
いる。また、各サイドギア71,73とインナーデフケ
ース9との間には、サイドギア71,73の噛み合い反
力を受けるスラストワッシャ79がそれぞれ配置されて
いる。
【0068】サイドギア71,73は左右の後車軸にそ
れぞれスプライン連結されており、各後車軸はインナー
デフケース9の左右のボス部35,39とケーシングを
それぞれ貫通し、左右の後輪に連結されている。
【0069】インナーデフケース9の回転はピニオンシ
ャフト67からピニオンギア69を介して各サイドギア
71,73に配分され、さらに後車軸から左右の後輪に
伝達される。
【0070】アシストカム27は、図2のように、プレ
ッシャープレート15に形成されたカム斜面83とアー
マチャ23に形成されたカム斜面85とによって構成さ
れている。これらのカム斜面83,85のカム角は、慣
性力やオイルの粘性によってアーマチャ23が回転して
も、この程度のトルクではセルフロックしない範囲で設
定されている。
【0071】また、図1のように、アシストカム27と
ボールカム13は軸方向にオーバーラップするように
(それぞれの径方向投影が互いに重なるように)配置さ
れている。
【0072】リターンスプリング29は、アウターデフ
ケース7に取り付けられたスナップリング87とアーマ
チャ23との間に配置されており、アーマチャ23を電
磁石25の吸引力と反対方向(パイロットクラッチ19
の連結解除方向)に付勢している。
【0073】コントローラは、センサーによって検知し
た路面状態、車両の発進、加速、旋回のような走行条件
及び操舵条件などに応じて、電磁石25の励磁、励磁電
流の制御、励磁停止を行う。
【0074】また、コントローラは、電動モータを回転
させるとき同時に電磁石25を励磁し、電動モータの回
転を停止させるとき同時に電磁石25の励磁を停止す
る。
【0075】電磁石25が励磁されると、上記のように
磁路上に磁束ループ65が形成されてアーマチャ23が
吸引され、ロータ45との間でパイロットクラッチ19
を押圧して締結し、パイロットトルクを発生させる。
【0076】パイロットトルクが発生すると、パイロッ
トクラッチ19によってアウターデフケース7に連結さ
れたカムリング17と、インナーデフケース9側のプレ
ッシャープレート15とを介してボールカム13に電動
モータの駆動力が掛かり、ボールカム13は発生したカ
ムスラスト力によってプレッシャープレート15を左方
に移動させてメインクラッチ11を押圧し締結させる。
【0077】また、このとき、パイロットクラッチ19
側に吸引されてアウターデフケース7と一体になったア
ーマチャ23とインナーデフケース9側のプレッシャー
プレート15との間には、同様に電動モータの駆動力が
掛かるから、このトルクを受けてアシストカム27が作
動し、発生したカムスラスト力によりパイロットクラッ
チ19が増し締めされてパイロットトルクが強化され、
メインクラッチ11のトルク伝達容量がそれだけ増加す
る。
【0078】なお、アシストカム27は、ボールカム1
3のカムスラスト力によってプレッシャープレート15
が左に移動した後、作動する。
【0079】こうして電磁クラッチ装置3が連結される
と、大径ギア31(アウターデフケース7)を回転させ
る電動モータの駆動力は、インナーデフケース9に伝達
され、その回転は差動機構5によって左右の後輪に配分
され、車両が4輪駆動状態になる。
【0080】また、悪路などで後輪の間に駆動抵抗差が
生じると、電動モータの駆動力はピニオンギア69の自
転によって左右の後輪に差動配分される。
【0081】また、電磁石25の励磁電流を制御する
と、パイロットクラッチ19の滑り率が変化してボール
カム13及びアシストカム27のカムスラスト力が変わ
り、後輪側に伝達される駆動力が制御される。
【0082】このような駆動力の制御を、例えば、旋回
時に行うと旋回性と車体の安定性とを大きく向上させる
ことができる。
【0083】また、電磁石25の励磁を停止すると、パ
イロットクラッチ19が開放されてボールカム13のカ
ムスラスト力と、アシストカム27のカムスラスト力
(アシスト作用)が消失し、リターンスプリング21の
付勢力によってプレッシャープレート15が右方へ戻
り、メインクラッチ11が開放されて電磁クラッチ装置
3の連結が解除され、車両は前輪駆動の2輪駆動状態に
なる。
【0084】さらに、リターンスプリング29がアーマ
チャ23をパイロットクラッチ19の連結解除方向に付
勢しているから、電磁石25の励磁が解除されると、ア
ーマチャ23が瞬時に左方移動してパイロットクラッチ
19の連結が解除され、電磁クラッチ装置3(リヤデフ
1)の連結解除レスポンスを向上させる。
【0085】また、電磁クラッチ装置3の連結解除操作
は、上記のように電動モータの停止操作と同時に行われ
るから、2輪駆動状態では、アウターデフケース7と減
速機構と電動モータが後輪の連れ回りから切り離され、
機械的に回されることが防止される。
【0086】従って、減速機構、電動モータ及びそのベ
アリング、バッテリー、レギュレータなどの集積回路の
回路素子が後輪の連れ回りによる悪影響から保護され、
耐久性が向上する。
【0087】また、ケーシングに設けられたオイル溜り
のオイルはアウターデフケース7(大径ギア31)の回
転によって撥ね上げられ、撥ね上げられたオイルはアウ
ターデフケース7とインナーデフケース9の左右両側の
隙間からこれらの間に浸入し、パイロットクラッチ1
9、アーマチャ23とプレッシャープレート15との摺
動部(段差部63)、ボールカム13、アシストカム2
7、スラストベアリング61、メインクラッチ11など
を潤滑・冷却する。
【0088】また、オイル溜りのオイルはインナーデフ
ケース9の回転に伴って、インナーデフケース9の開口
89と、ボス部35,39の内側に形成されている螺旋
状のオイル溝から内部に流入し、差動機構5の各ギア6
9,71,73の噛み合い部などを潤滑・冷却し、さら
に遠心力を受けてメインクラッチ11側に移動し、メイ
ンクラッチ11、ボールカム13、パイロットクラッチ
19、アシストカム27などを潤滑・冷却した後、オイ
ル溜りに戻る。
【0089】こうして、リヤデフ1と電磁クラッチ装置
3が構成されている。
【0090】リヤデフ1と電磁クラッチ装置3は、アー
マチャ23とプレッシャープレート15の間に設けたア
シストカム27によってメインクラッチ11のトルク伝
達容量が強化されているから、上記のような電気自動車
に用いられても充分なトルク伝達容量が得られる。
【0091】また、トルク伝達容量を大きくするために
メインクラッチ11やパイロットクラッチ19のプレー
ト枚数を増やす必要がなくなるから、潤滑オイルによる
ドラグトルクの増大が防止されると共に、リヤデフ1の
大型化、重量化、車載性の低下などが防止される。
【0092】また、パイロットトルクを大きくするため
に電磁石25を大型にする必要もなくなり、これに伴う
バッテリーの負担増加と燃費の低下などが防止される。
【0093】また、アシストカム27のカム角を、セル
フロックが生じない角度に設定したから、電磁クラッチ
装置3とリヤデフ1の機能が正常に保たれる。
【0094】また、カム斜面を持ったアシストカム27
は、プレッシャープレート15とアーマチャ23をプレ
ス加工することによって低コストで容易に成型すること
ができるから、上記のようなカム角の変更にも低コスト
で容易に対応できる。
【0095】また、アーマチャ23をプレッシャープレ
ート15の段差部63に配置し、スペースを有効に利用
したことによって、電磁クラッチ装置3とリヤデフ1が
それだけコンパクトに構成され、車載性が向上する。
【0096】また、アシストカム27とボールカム13
を軸方向にオーバーラップ配置したから、電磁クラッチ
装置3とリヤデフ1が軸方向にコンパクトになり、車載
性がさらに向上する。
【0097】また、電磁石25の励磁を解除すると、リ
ターンスプリング29によってパイロットクラッチ19
の連結が瞬時に解除されるから、電磁クラッチ装置3と
リヤデフ1の連結解除レスポンスが向上すると共に、ア
ーマチャ23の移動不良によるドラグトルクが防止され
る。
【0098】また、上記のオイル粘性によるドラグトル
クの防止効果と、アーマチャ23の移動不良によるドラ
グトルクの防止効果とによって、2輪駆動走行時に後輪
の連れ回りがほぼ完全に遮断されるから、電動モータ、
そのベアリング、バッテリー、レギュレータなどの回路
素子は後輪の連れ回りに伴うドラグトルクの影響から解
放される。
【0099】また、本発明の電磁クラッチ装置が用いら
れるデファレンシャル装置の差動機構は、実施形態のよ
うなベベルギヤ式の差動機構に限らず、プラネタリーギ
ヤ式の差動機構、デフケースの収容孔に摺動自在に収容
されたピニオンギヤによって出力側のサイドギヤを連結
した差動機構、ウォームギヤを用いた差動機構など、ど
のような形式の差動機構でもよい。
【0100】
【発明の効果】本発明の電磁クラッチ装置は、アシスト
カム機構によってトルク伝達容量が強化されるから、例
えば、この電磁クラッチ装置を断続機構に用いたデファ
レンシャル装置は電気自動車に用いても充分なトルク伝
達容量が得られる。
【0101】また、メインクラッチやパイロットクラッ
チの摩擦面数を増やす必要がなくなり、オイルの粘性に
よるドラグトルクの増大が防止されると共に、電磁クラ
ッチ装置及びこれを用いたデファレンシャル装置の大型
化、重量化、車載性の低下などが防止される。
【0102】また、電磁石を大型にする必要もなくな
り、電磁石の大型化に伴うバッテリーの負担増加、エン
ジン燃費の低下、配置スペースの問題からも解放され
る。
【0103】請求項2の電磁クラッチ装置は、請求項1
の構成と同等の効果を得ることができる。
【0104】また、カム斜面を持ったカムは、カム角の
変更によって電磁クラッチ装置のトルク伝達容量を調整
することができる。
【0105】また、カム斜面を持ったカムは、プレス加
工により低コストで成型可能であり、上記のようなカム
角の変更にも容易に対応できる。
【0106】請求項3の電磁クラッチ装置は、請求項2
の構成と同等の効果を得ることができる。
【0107】また、慣性力やオイルの粘性によってアー
マチャが回転してもセルフロックが防止されるから、電
磁クラッチ装置及びこれを用いたデファレンシャル装置
の機能が正常に保たれる。
【0108】請求項4の電磁クラッチ装置は、請求項1
〜3の構成と同等の効果を得ることができる。
【0109】また、アーマチャをプレッシャープレート
の段差部に配置し、スペースを有効に利用したことによ
って、電磁クラッチ装置及びこれを用いたデファレンシ
ャル装置がそれだけコンパクトに構成され、車載性が向
上する。
【0110】請求項5の電磁クラッチ装置は、請求項1
〜4の構成と同等の効果を得ることができる。
【0111】また、リターンスプリングによって、電磁
クラッチ装置及びこれを用いたデファレンシャル装置の
連結解除レスポンスが向上し、アーマチャの移動不良に
よるドラグトルクが防止される。
【0112】請求項6の電磁クラッチ装置は、請求項1
〜5の構成と同等の効果を得ることができる。
【0113】また、カム機構とアシストカム機構とを軸
方向にオーバーラップ配置したことにより、電磁クラッ
チ装置及びこれを用いたデファレンシャル装置が軸方向
にコンパクトになり、車載性が向上する。
【0114】請求項7の電磁クラッチ装置は、請求項1
〜6の構成と同等の効果を得ることができる。
【0115】また、本発明の電磁クラッチ装置を断続機
構に用いたデファレンシャル装置は、上記のような4輪
駆動のハイブリッド電気自動車に用いても充分なトルク
伝達容量が得られると共に、2輪駆動状態で、オイルの
粘性やアーマチャの移動不良によるドラグトルク増大が
防止され、車両の旋回性、操縦性、燃費などが向上する
と共に、メインクラッチとパイロットクラッチの摩擦面
数増加防止効果及び電磁石の大型化防止効果によって、
大型化、重量化、配置スペース増大による車載性の低
下、バッテリーの負担増加、燃費低下などが防止され
る。
【0116】請求項8の電磁クラッチ装置は、請求項1
〜6の構成と同等の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す断面図である。
【図2】図1の実施形態に用いられたアシストカム27
のカム斜面を示す断面図である。
【図3】従来例の断面図である。
【符号の説明】
1 リヤデフ(電磁クラッチ装置を断続機構に用いたデ
ファレンシャル装置) 3 電磁クラッチ装置 5 ベベルギア式の差動機構 7 アウターデフケース(一方のトルク伝達部材) 9 インナーデフケース(他方のトルク伝達部材) 11 メインクラッチ 13 ボールカム(カム機構) 15 プレッシャープレート 17 カムリング(中間部材) 19 パイロットクラッチ 23 アーマチャ 25 電磁石 27 アシストカム(アシストカム機構:カム斜面を持
ったカム) 29 リターンスプリング

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一対のトルク伝達部材と、 両トルク伝達部材の間に配置されたメインクラッチと、 トルク伝達部材の一方と中間部材との間に配置されたパ
    イロットクラッチと、 トルク伝達部材の他方に対して移動自在に連結されたプ
    レッシャープレートと、 アーマチャを移動操作し、パイロットクラッチを押圧し
    て締結させる電磁石と、 プレッシャープレートと中間部材との間に配置され、パ
    イロットクラッチが連結されると両トルク伝達部材間の
    トルクを受けて作動し、プレッシャープレートを移動さ
    せてメインクラッチを連結させるカム機構とを備えた電
    磁クラッチ装置であって、 アーマチャとプレッシャープレートとの間に、電磁石に
    よってアーマチャがパイロットクラッチに押圧されると
    前記トルクを受けて作動し、アーマチャによるパイロッ
    トクラッチの押圧力を強化するアシストカム機構を設け
    たことを特徴とする電磁クラッチ装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載された発明であって、 前記アシストカム機構が、カム斜面に前記トルクを受け
    てスラスト力を発生するカムであることを特徴とする電
    磁クラッチ装置。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載された発明であって、 前記カムのカム角を、慣性力やオイルの粘性によってア
    ーマチャが回転してもセルフロックしない範囲に設定し
    たことを特徴とする電磁クラッチ装置。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載された発
    明であって、 前記プレッシャープレートに段差部が設けられており、 アーマチャの少なくとも一部が、前記段差部に配置され
    ていることを特徴とする電磁クラッチ装置。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載された発
    明であって、 前記アーマチャを電磁石の移動操作力と反対の方向に付
    勢するリターンスプリングを設けたことを特徴とする電
    磁クラッチ装置。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかに記載された発
    明であって、 前記カム機構とアシストカム機構とが、軸方向にオーバ
    ーラップ配置されていることを特徴とする電磁クラッチ
    装置。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれかに記載された発
    明であって、 原動機の駆動力によって回転するアウターデフケース
    と、 差動機構が連結されたインナーケースとを備えたデファ
    レンシャル装置において、 前記アウターデフケースとインナーデフケースとを前記
    トルク伝達部材にしたことを特徴とする電磁クラッチ装
    置。
  8. 【請求項8】 請求項1〜6のいずれかに記載された発
    明であって、 入力側の差動回転部材から入力する原動機の駆動力を一
    対の出力側差動回転部材から車輪側に配分する差動機構
    を備えたデファレンシャル装置において、 前記入力側差動回転部材及び出力側差動回転部材のいず
    れか2者を前記トルク伝達部材にしたことを特徴とする
    電磁クラッチ装置。
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