JP2003268453A - フェライト脱炭の少ない高Siばね鋼線材の製造方法 - Google Patents

フェライト脱炭の少ない高Siばね鋼線材の製造方法

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JP2003268453A JP2002071334A JP2002071334A JP2003268453A JP 2003268453 A JP2003268453 A JP 2003268453A JP 2002071334 A JP2002071334 A JP 2002071334A JP 2002071334 A JP2002071334 A JP 2002071334A JP 2003268453 A JP2003268453 A JP 2003268453A
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ferrite
rolling
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Takeshi Hanada
健 花田
Atsushi Sugimoto
淳 杉本
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 皮むき工程を省略しても疲労強度の優れた懸
架用コイルばねの製造が可能となるフェライト脱炭の少
ない高Siばね用鋼の製造方法の提供。 【構成】 Siを重量比で1.0%以上含有する高Si
ばね鋼の鋼片を加熱し熱間圧延して線材を製造する際に
おいて、仕上圧延を表面温度が800〜1000℃の温
度範囲で終了させた後、巻取り前に水冷することなくコ
イル状に巻取り、巻取り後の冷却過程において、冷却条
件を急変させることなく空冷以下の速度で変態完了まで
冷却することを特徴とするフェライト脱炭の少ない高S
iばね鋼線材の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、自動車等の懸架用コイ
ルばね用材料への適用に適し、コイルばねへの製造後に
おいて安定して高い疲労強度が確保できるフェライト脱
炭の少ない高Siばね鋼線材の製造方法に関する。 【0002】 【従来技術】自動車の懸架用ばね鋼は、従来ばね鋼の中
でもSi含有率の高いSUP6、SUP7あるいはSA
E9254等が使用されていた。これは、懸架用ばねと
して使用した場合、使用中に少しずつばね高さが低くな
る「へたり」と呼ばれる現象が無視できなくなり、この
現象が起きるとバンパー高さが低下して安全上問題とな
るため、その防止のためにSi含有率を高めた方が良い
ことが、1970年代において明らかにされたからであ
る。その後、Nb、V等の炭窒化物を形成する元素を添
加し、析出硬化により使用中の転位の動きを抑制して、
さらに耐へたり性を改善する鋼等多数の新鋼種が開発、
提案され、特許も出願されているが、20年以上経過し
た現在においても懸架用コイルばね用鋼には、高Siば
ね鋼が依然として使用されている。これは、Si以外の
元素添加量に関係なく、Siを多めに添加することが優
れた耐へたり性を維持する際に必要不可欠であるからで
ある。 【0003】しかしながら、高Siばね鋼には大きな欠
点がある。それは、圧延時の加熱、冷却時において他の
ばね鋼に比べ脱炭層が厚くなりやすいことである。特に
問題なのは、炭素含有率がほとんど0に近いフェライト
脱炭がSi含有率の低いSUP9、SUP10等のばね
鋼に比べ表面に厚く生成されやすいことである。このフ
ェライト脱炭が生成したままの状態の線材をそのまま焼
入焼もどしすると、表面硬さが大きく低下し、当然のこ
とながら疲労特性が大幅に低下するため、フェライト脱
炭を小さく抑えるための製造方法の確立が強く求められ
ていた。 【0004】このための対策として表面脱炭層を皮むき
して脱炭層を除去した後焼入焼もどし処理する方法も選
択できないわけではないが、素材の歩留の低下に加え、
皮むき工程追加に伴う加工コストが余分に必要となるた
め、最近の厳しいコスト要求に対応するためには、この
方法を選択することが難しくなってきている。特に、線
材をオイルテンパー処理(焼入焼もどし)した後冷間で
コイリングするという冷間成形コイルばねにおいては、
コスト低減への強い要求から皮むき工程を省略するケー
スが多い。この場合には圧延素材の表面状態がそのまま
製品に残ることになるため、圧延ままの状態でフェライ
ト脱炭を防止するための方法を見出すことが必要となっ
ていた。 【0005】この高Siばね鋼の脱炭低減対策として従
来提案されている方法として、化学成分を脱炭しにくい
成分に変更することによる対策と加熱温度等の圧延条件
の最適化による脱炭低減対策の大きく2つに分けること
ができ、それぞれについて特許出願がされている。 【0006】前者に該当する発明としては、例えば特開
昭62−274058号、特開平7−278747号
(特許第3031816号)、特開平8−176737
号等がある。このうち、特開昭62−274058号、
特開平7−278747号公報に記載の発明は、ばね鋼
に通常では積極添加されることのないSbやSeを添加
して脱炭を低減しようとするものである。また、特開平
8−176737号公報に記載の発明は、通常のばね鋼
でも不純物として少量含有しているS、Ni、Cu等の
添加が脱炭低減に効果的であることを見出し、これらを
適量積極添加して脱炭の低減を図ることを特徴とするも
のである。 【0007】一方、後者に該当する発明としては、例え
ば特開昭55−100931号、特開昭57−4783
5号、特開昭57−82428号等に開示された発明が
ある。この3件の発明はその内容が完全に一致している
わけではないが、共通している点は、最もフェライト脱
炭しやすいα(フェライト)とγ(オーステナイト)の
2相が存在する温度領域をできるだけ短時間に通過さ
せ、フェライト脱炭を防止しようとすることを特徴とす
るものである。 【0008】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来提
案されている発明には以下の問題がある。まず、前者の
発明についてであるが、実際に新鋼種を従来から使用し
ている鋼種から変更して適用する際には決められた使用
硬さとなる温度で焼入焼もどし処理した場合において、
耐へたり性、衝撃値、疲労特性等の数多くの特性が問題
ないことを確認し、全ての特性において問題なしと判断
される必要がある。特に、懸架用コイルばねとして使用
する際には、成分をどうしたら脱炭がどうなるかという
点は当業者でも明確に分からない場合が多い(Si以外
の元素の影響は明確になっていない。)ことから、脱炭
層が形成されやすいかどうかという点よりも優れた耐へ
たり性や疲労強度等コイルばねとしての要求特性の確保
を優先して成分設計がされるのがほとんどである。従っ
て、結果として採用された鋼がどの程度脱炭で問題とな
るかは、成分決定後試作テストを繰返してはじめて把握
されるというのが一般的である。また、合金添加による
脱炭防止策は、素材のコストアップを招くという問題が
あるとともに、成分設計時に耐へたり性等の他の特性を
劣化させないことが必須となり、成分設計が難しくなる
という問題がある。 【0009】そこで、製造条件への対策により脱炭低減
を図ることができれば、脱炭低減と同時に耐へたり性の
優れたばね鋼の成分設計を容易にするという大きなメリ
ットがあり、利用価値は極めて高い。 【0010】一方、後者に該当する発明についてである
が、本発明者等が詳細に実験を行って脱炭現象を調査し
た結果、確かにフェライト脱炭がしやすい温度域はαと
γの2相温度領域であることが確認できたが、前記公報
に記載の通り冷却速度を速くした場合、当然の結果とし
て線材の中心部と表面部との間の温度差が大きくなり、
その冷却途中において内部がまだγ領域の温度であるに
もかかわらず表面近傍のみ2相温度領域という状態が冷
却速度が遅い場合に比べ発生しやすくなる。そのような
状態となった場合、初析フェライトの成長が表面部にお
いて集中的に起こることとなり、かえってフェライト脱
炭層の生成が促進されるため、速く冷却しても、フェラ
イト脱炭を十分に低減することができないことがわかっ
た。 【0011】また、線材圧延工場では、一般的にコイル
状に巻取る直前において巻取り温度の調整のために水冷
帯を装備しており、前記した公報の発明を実施するため
にこの水冷帯を活用することが可能である。さらに巻き
取り後コンベアーで運ばれていく際に強制空冷したり、
巻取り後の搬送中の線材リングの重なりの割合を小さく
したりして冷却速度を速くすることもできる。 【0012】しかしながら、懸架用コイルばねの素材で
あるφ10〜14程度の線径の線材の実際の圧延速度
は、秒速20〜80m程度と極めて速く、水冷帯の長さ
には限界があることから実際に水冷できる時間は数秒以
内の極めて短時間に限られる。また、一方で表面温度を
低下させすぎると、水冷帯通過後の巻取りが正常にでき
なくなる可能性があるため、極端な急冷はできないとい
う制約がある。このような制約条件のもとで水冷された
場合、水冷帯通過直後の線材温度は、表面ないし表面に
近い位置においては、αとγの2相域温度まで低下する
が、内部は依然としてγ相の温度領域のままとなる可能
性が高く、その後に表面温度がより温度の高い内部から
の熱伝導によって温度上昇し、結果的に却って表面にお
ける2相の温度領域での停滞時間が長くなり、フェライ
ト脱炭が増加してしまうことが判明した。 【0013】また、水冷帯における強制冷却だけでな
く、巻取り後の冷却を速くして、表面部の2相域温度で
の停滞時間の短縮を図った場合、今度は圧延後の素材に
焼きが入って硬さが異常に高くなる可能性が高くなり、
オイルテンパー処理前の引抜加工等、後工程での製造に
支障がでるという問題がある。 【0014】本発明は、以上説明した問題点を解決する
ために成されたものであり、その目的とするところは、
表面にフェライト脱炭の少ない懸架用コイルばね用線材
の新規な製造方法を提供することを目的とするものであ
る。 【0015】 【課題を解決するための手段】本発明は、 Siを重量
比で1.0%以上含有する高Siばね鋼の鋼片を加熱し
熱間圧延して線材を製造する際において、仕上圧延を表
面温度が800〜1000℃の温度範囲で終了させた
後、巻取り前に水冷することなくコイル状に巻取り、巻
取り後の冷却過程において、冷却条件を急変させること
なく空冷以下の速度で変態完了まで冷却することを特徴
とするフェライト脱炭の少ない高Siばね鋼線材の製造
方法にある。 【0016】本発明において最も注目すべきことは、S
iを1%以上含有する高Siばね鋼の圧延を2相域温度
よりわずかに高いγ領域の温度で終了させ、巻取り前の
水冷帯で水冷せず、巻取り後においても空冷以下の速度
で、かつ途中に冷却条件を急変することなく冷却させる
ことによって、表面温度が内部からの熱伝導によって一
時的に温度上昇することがないように冷却することであ
る。 【0017】フェライト脱炭層が圧延後の2相域温度領
域での冷却途中に形成されることは、特開昭57−47
835号公報に記載されている通りで、既に公知となっ
ている。しかしながら、従来の発明では、この温度領域
を速く冷却することしか考えておらず、その場合に生じ
る鋼材内の温度分布、及びその後変態終了までの冷却方
法についての検討が不十分であることが十分な脱炭低減
効果が得られない原因となっていた。 【0018】すなわち、2相域の温度領域を強制的に速
く冷却すると、必ず鋼材内に温度分布が生じる。従っ
て、鋼材中心部まで完全に2相域の温度領域を通過した
低い温度領域まで冷却しようとすると表面がかなり低い
温度になるまで継続して速く冷却しなければならず、結
果として焼きの入った硬い圧延組織となってしまい、そ
の後の製造工程で支障をきたす結果となる。一方、強制
冷却を中途半端な状態すなわち、表面部のみ2相域温度
を通過させ、中心部はまだγ領域の温度にある状態で強
制冷却をやめた場合には、その後表面部の温度が中心部
からの熱伝導によって温度上昇し、結果的に表面部にお
ける2相域温度領域での滞留時間が長くなってフェライ
ト脱炭層の生成が促進されるため、脱炭低減効果が得ら
れないという結果になるのである。 【0019】実際には、前記したように水冷帯通過後の
巻取りを正常に行うために表面温度をあまり低く下げら
れないという制約と、水冷帯の通過時間の関係から、巻
取りが正常に行える表面温度となることを考慮した条件
で水冷帯での水冷を実施した場合、必ず前記した後者に
該当する状態となる。そして、巻取り後においても圧延
硬さの上昇を避ける必要から極端な急冷をすることは困
難なことから、この場合には表面部において一時的な温
度上昇が起き、結果として表面のフェライト脱炭が厚く
なってしまう。従って、本発明者等は過去に提案された
発明がこの点で発明の完成が不十分であることを確認し
たものである。 【0020】そこで、本発明者等は、従来提案されてい
る圧延方法が圧延材内部に必ず発生する温度分布を十分
に考慮していなかったことが十分な脱炭低減効果が得ら
れない原因となっていたことに注目し、従来の提案内容
とは逆に水冷帯等を利用した水冷によって2相域の温度
領域を速く通過させるという作業を実施せず、かつ圧延
後の水冷帯通過時、コイル巻取り中及び巻取り後変態完
了に到る全ての間において、冷却条件を急変させること
なく空冷以下の速度で継続して冷却することによって、
冷却途中に表面部が中心部からの熱伝導によって一時的
に温度上昇することを可能な限り防止し、かつ表面と内
部の温度差が大きくならないような条件で冷却するとい
うテストを実施し、その結果を整理した。その結果フェ
ライト脱炭が大幅に低減できることを確認し、本発明の
完成に到ったものである。 【0021】本発明により圧延材表面におけるフェライ
ト脱炭低減効果の得られた理由は明確ではないが次の理
由によるものと推定される。すなわち、水冷帯での冷却
を含め、圧延後から変態完了に到るまでの途中の段階に
おいて、一時的に水冷等の急速冷却を行った場合には、
鋼材内部は表面と中心部の温度差が大きくなり、表面部
が2相温度領域である状態の時に中心部はまだγ相の温
度領域となる状態が当然のごとく発生する。従って、A
r3変態による初析フェライトの析出反応は表面部に集
中して起きることになり結果として表面に厚いフェライ
ト層が生成されると予想される。それに対し、水冷等の
急速冷却を施さず、空冷以下の速度で冷却を実施する場
合には、表面部と中心部において若干の温度差は生じる
がその差は前者の場合に比べ極端に小さくなる。従っ
て、初析フェライトの析出は表面だけに集中して起きる
ことはなく、表面よりも少し中心部に近い内部において
も同時に初析フェライトの析出反応が進行する。従っ
て、フェライトが鋼材内でより均一に析出した状態の圧
延組織が得られ、結果として表面部のフェライトの集中
的析出が少なく抑えられるものと考えられる。 【0022】また、本発明は1%以上のSiを含有する
ばね鋼に効果的に適応できる。具体的には、SUP6、
SUP7、SUP12、SAE9254等の規格鋼に適
用できる。また、これらの鋼にNb、V、Mo等の炭窒
化物形成元素を添加したり、Niを適量添加して耐へた
り性を改善した鋼にも適用できる。 【0023】次に、本発明の圧延条件限定理由について
説明する。仕上圧延終了時の表面温度を800℃〜10
00℃としたのは、γ相の温度領域の範囲内であってで
きるだけ低い温度領域で圧延を行うことにより、微細な
圧延組織を得るとともに、全脱炭層の厚さをできるだけ
低減するためである。今までフェライト脱炭の低減につ
いてのみ記載してきたが、温度が高いほど加熱中に表面
の炭素が大気中の酸素と反応することによる脱炭反応が
促進され、炭素濃度が中心部の炭素含有率と一致する位
置における深さ(すなわち全脱炭層深さ)が深くなる。
フェライト脱炭を少なく抑えることができても、全脱炭
層の厚さが厚い状態では熱処理後に優れた疲労特性が得
られなくなるので、上限温度を1000℃に限定した。
なお、温度が低い方が好ましいことは勿論であり、95
0℃以下、より望ましくは900℃以下とすることによ
り、より脱炭量を低減することができる。 【0024】また、下限温度を800℃としたのは、こ
の温度より低くなると、圧延中に鋼材表面において一時
的にAr3変態温度以下になることを防止できなくな
り、フェライト脱炭の低減効果を十分に得られなくなる
ためである。すなわち、圧延中においては加工熱の影響
があるため、温度が単調に低下せず、一時的に上昇する
場合もあるため、圧延終了温度を低くしすぎると、表面
部における2相温度域の滞留時間が結果的に長くなって
フェライト脱炭が増加する可能性があるからである。 【0025】次に、圧延終了後コイル状に巻き取るまで
の間において水冷しないのは、前述したように巻き取り
前の水冷帯の箇所を通過する時間は圧延速度から考えて
極めて短時間にならざるをえず、ここで水冷による強制
冷却をすると表面及び表面に近い部分が中心部に比べ大
幅に温度が低下することになり、水冷帯を通過した後に
中心部からの熱伝導によって表面部において一時的に温
度上昇が起き、結果的に表面部における2相温度域滞留
時間が長くなって、フェライト脱炭が増加するためであ
る。従って、本発明では圧延終了後巻取り開始までの間
は通常の空冷ないし、ブロアで冷却風を当てる等の空冷
によって通過させることとなる。 【0026】次に、コイル状に巻取り開始後変態完了ま
での間についても、巻き取り開始前と同様により温度の
高い中心部からの熱伝導によって表面部の温度が一時的
に上昇することを可能な限り防止するため、空冷以下の
速度で冷却する。表面の一時的温度上昇を可能な限り防
止するには、冷却条件を途中で急変させなければ容易に
達成することができる。例えば巻取り後においてコンベ
アーの速度を遅くしてコイルの重なりの多くなる状態
で、かつコンベアーカバーを閉じ、ブロアも使用しない
条件を実施すると、コンベアー内に入る前と冷却条件が
変化し、線材表面から大気中に伝わる熱量より温度の高
い内部からの熱伝導による熱量が上回って一時的な復熱
が生じる可能性が高くなるので、注意が必要である。こ
ういった方法は圧延硬さを下げるために良く行われる方
法であるが、フェライト脱炭が増加する可能性があるの
で、硬さに問題がない限り、行わない方が良い。そし
て、空冷以下の速度での冷却条件を変態完了まで継続す
ることによって、鋼材温度は表面と中心部の温度差が小
さい状態を維持し、変態完了までの間に一時的に温度上
昇を伴うことなく冷却することができる。 【0027】なお、水冷帯で水冷しない場合でも、圧延
時の加工熱の生成によって、仕上圧延直後に一時的に表
面温度が上昇することがある。しかし、これは2相域温
度より完全に高い温度領域での復熱であり、何ら問題は
ない。復熱が起きても、しばらくすると温度が低下し始
め、その後において復熱が起きないように冷却すれば、
本発明の効果を十分に得ることができる。請求の範囲の
「巻取り後の冷却過程」とは、この一時的な復熱を除く
意味で記載したものである。 【0028】また、ここで言う空冷以下の条件とは、焼
きが入る等の理由で、後工程に支障がない条件であれば
良い。従って、単純に何もせず大気中で冷却させる場合
だけでなく、前記した復熱が起きない程度にブロアなど
で冷却風を当てる等の方法も含まれる。復熱が起きない
よう冷却すればフェライト脱炭防止の目的は達成される
からである。このように変態完了まで、一時的な復熱の
起きない条件で冷却することにより、初析フェライトの
析出が表面部で集中して起きることが抑制され、フェラ
イト脱炭層の厚さを最小限に抑えることが可能となる。 【0029】但し、線径が細くなると、同じ条件でも線
材自身の冷却速度は速くなるため、当然焼きが入りやす
くなる。従って、線径が細い場合には、前記したような
復熱が起きない範囲でコンベアーを遅くしてコイルの重
なり具合を密にする等の方法で冷却速度が遅くなるよう
調整する必要が生じる。 【0030】 【実施例】次に、本発明の効果を実施例によって明らか
にする。表1は実施例として用いた鋼の化学成分を示す
ものである。 【0031】 【表1】 【0032】表1に示す鋼のうち、1鋼は、SAE92
54にVを0.2%添加した鋼であり、2鋼はSUP7
にNb、Vを添加して耐へたり性を改善した鋼であり、
3鋼はSUP7である。この3種類の鋼は、電気炉にて
溶解し、2.6ton鋼塊を製造した後、分塊圧延、粗
圧延を実施し、160mm角の鋼片を製造した。これ
を、さらに粗圧延し、線材圧延機でφ13mmの線材を
製造した。その線材圧延機による仕上圧延の際に表2に
示すように、圧延仕上温度、水冷帯での水冷実施の有
無、コンベアーの速度、コンベアーカバーの開閉等の条
件を変化させ、巻取り開始温度、巻取り後の温度変化、
脱炭層の厚さ(DM−F、DM−T)を測定した。な
お、粗圧延中の圧延条件は全く同一とし、圧延仕上温度
の調整は加熱炉からの抽出温度の調整により行った。脱
炭層はJISG0558に準拠した顕微鏡による測定方
法により実施した。結果を表2に示す。 【0033】 【表2】【0034】表2の結果から明らかなように、試験No.
1、2、5、6、9、11のように、水冷帯での冷却を
実施した場合には、全て0.02mmを超えるフェライ
ト脱炭を生じていた。また、水冷帯での冷却を実施した
中でも特にコンベア冷却条件を徐冷(詳細は表2参照)
とした場合には、風冷(詳細は表2参照)とした場合に
比べて、さらにフェライト脱炭が増加した。これは、徐
冷とした方が直前の水冷との冷却条件の差が大きくな
り、水冷帯通過後の表面部の復熱が顕著となって、結果
的に2相温度領域における停滞時間が長くなったことが
原因と推定される。 【0035】さらに、試験No.1〜4のように、圧延仕
上温度が高い場合には、Dm−Tが増加した。 【0036】これらの比較例に対し、本発明のように水
冷帯での冷却を実施しない場合には、コンベアーの冷却
条件に大きく左右されることなく、フェライト脱炭層の
厚みを0.005mm以下に抑えることができることを
確認できた。また、異なる3鋼種について実験したが、
全て同様な効果の得られることが確認できた。 【0037】 【発明の効果】 【0038】以上説明したように、本発明の高Siばね
鋼線材の製造方法では、圧延後に水冷という一時的に速
く冷却する手段をとらず、空冷以下の速度でかつ冷却条
件を急変することなく変態完了まで冷却し、表面温度が
内部からの熱伝導により復熱しないよう冷却することに
よって、フェライト脱炭を極めて少ない厚さに抑えるこ
とが可能となった。 【0039】また、コンベアーの冷却条件に関係なくフ
ェライト脱炭を少なく抑えられるので、圧延する材料の
焼入性、線径に応じて最適なコンベアー冷却条件を選択
することができ、焼きの入らない条件に調整しやすいと
いう、製造する側にとって大きな効果を得ることができ
る。 【0040】従って、本発明の方法を高Siばね鋼に適
用することによって、安定してフェライト脱炭の少ない
線材の製造が可能となり、皮むき工程を省略しても疲労
強度の優れたコイルばねの製造が可能になる。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 Siを重量比で1.0%以上含有する高
    Siばね鋼の鋼片を加熱し熱間圧延して線材を製造する
    際において、仕上圧延を表面温度が800〜1000℃
    の温度範囲で終了させた後、巻取り前に水冷することな
    くコイル状に巻取り、巻取り後の冷却過程において、冷
    却条件を急変させることなく空冷以下の速度で変態完了
    まで冷却することを特徴とするフェライト脱炭の少ない
    高Siばね鋼線材の製造方法。
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