JP2003272914A - 酸化物磁性材料とその製造方法および積層チップインダクタ - Google Patents

酸化物磁性材料とその製造方法および積層チップインダクタ

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JP2003272914A
JP2003272914A JP2002067097A JP2002067097A JP2003272914A JP 2003272914 A JP2003272914 A JP 2003272914A JP 2002067097 A JP2002067097 A JP 2002067097A JP 2002067097 A JP2002067097 A JP 2002067097A JP 2003272914 A JP2003272914 A JP 2003272914A
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ferrite
mass
magnetic material
mol
oxide magnetic
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Osamu Kanda
修 神田
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Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高周波性能にすぐれ、絶縁抵抗が高く、低温で
の焼成にて焼結が可能なAgの拡散による内部導体消失
を抑止できる酸化物磁性材料と、その製造方法およびそ
の材料を用いた積層チップインダクタの提供。 【解決手段】Fe:43.0〜51.0モル%、CuO:
5.0〜12.0モル%、NiO:8.0〜39.0モル%およびZn
O:残部である主成分と、主成分100質量部に対し副成
分がBi:0.5〜2.0質量部、MgOおよびCoO
の一方または両方の合計量0.1〜1.0質量部、BeOおよ
びGeOの一方または両方の合計量0.05〜0.3質量部で
ある酸化物磁性材料と、830〜900℃にて焼成するその製
造方法、およびAgを内部導体としソフトフェライトを
上記の酸化物磁性材料とする積層チップインダクタ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、小型の電子機器な
どにおいて、電磁波干渉ノイズ対策のためなどに使用さ
れるチップインダクタ用のソフトフェライトすなわち軟
質酸化物磁性材料、その製造方法、およびそれら酸化物
磁性材料を用いた積層チップインダクタに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、携帯型パーソナルコンピュータや
携帯電話等に代表される小型のOA機器あるいは移動通
信機器の発達に伴い、これらの機器に搭載される電子部
品においても、小型化、高性能化および低価格化などが
強く要望されている。それらの部品の一つに、EMIノ
イズフィルタとして使用される積層チップインダクタが
ある。
【0003】インダクタとは、空芯または軟質磁性材料
を芯材とするような巻線の要素に対応するもので、その
インダクタンスに基づく交流抵抗すなわちインピーダン
スは、周波数が高くなるほど増加する。したがって、必
要な信号は通過させるが、その信号より高い周波数のノ
イズは阻止されるローパスフィルタの機能があり、電子
機器間の電磁波干渉や、外部ノイズ侵入による誤作動防
止に活用される。
【0004】近年、情報量の増大や信号処理速度の上昇
から、上述の電子機器で取り扱う信号の周波数が高くな
っており、またデジタル化も進み、より高い周波数域の
ノイズ抑止の必要性が増してきている。一方、これら高
い周波数の信号は、他の相対的に低い周波数域で作動す
る機器においてはノイズとなる可能性もあるため、外部
と接続する端子部などからのノイズの侵入を防止すると
ともに、外部に信号が漏れないようにしなければならな
い。このような状況から、より高い周波数域において有
効に作動するノイズフィルタが必要になっている。
【0005】インダクタを小型化かつ高性能化して、電
子回路部品に適応させたものが積層チップインダクタで
ある。図1にその内部構造例を模式的に示すが、直方体
形状のソフトフェライト1の内部に、導電体3の巻線状
の線路が形成されており、この線路は外部接続部4にて
外側の両対向面にある入出力端部電極2に接続してい
る。これはソフトフェライトのグリーンシート上に導電
体ペーストの線路を印刷し、このシートを各シートの導
電体線路が接続されるよう、スルーホール5などを設け
中に導電体ペーストを充填して積み重ね、一体化焼成し
て製造される。
【0006】このようなインダクタの性能は、ソフトフ
ェライトすなわち軟質酸化物磁性材料(以下単にフェラ
イトと略称する)の特性に大きく支配される。このフェ
ライトに要求される特性としては、(1)使用する高周
波数帯域で十分高い透磁率を有することに加えて(2)
低い焼成温度で十分な焼結密度が得られること、および
(3)高い電気絶縁抵抗を有することが重要である。
【0007】フェライトは、一般的にXFeの形
で表される組成のXが、Mn、Fe、Co、Ni、C
u、Zn等の1種、あるいはこれらの元素の複数種の混
合物である酸化物の固溶体である。たとえば、XがMn
とZnで構成されたフェライトは、きわめて高い透磁率
を示す。しかし、このMnZnフェライトは電気絶縁抵
抗が低い上に、透磁率が低周波域ではすぐれていても高
周波域では低下するので、高周波域での使用を目的とす
るチップインダクタには利用できない。これに対し、高
周波帯域にて高い透磁率を示すフェライトとして、Ni
ZnフェライトやCuNiZnフェライトがある。
【0008】透磁率の高い緻密なフェライトを得るため
には、通常、原材料を十分に混合し700〜1000℃で仮焼
合成したものを粉砕して原料粉とし、バインダ(結合
材)を加えて混練し所定形状に圧縮成形後、1000℃以上
の高温で焼成する。積層チップインダクタの場合、焼成
前のグリーンシート上に内部導体となる金属導体素材を
印刷し、このシ−トを積層成形してからフェライトと導
体とを同時に焼成して一体化する。焼成は通常大気中で
おこなわれるので、高温で酸化せず、焼成温度より十分
融点の高い金属が用いられる。金属の融点が低ければ、
焼成中に流れ出たりフェライト内部へ拡散したりして、
内部導体の断面積減少や消失を来すことになる。
【0009】このような内部導体としてAg−Pd合金
が多く採用される。AgにPdを含有させると融点が上
昇するので、フェライトの焼結に必要な高温での溶融や
拡散を抑止でき、その上、焼結後のフェライトとの熱収
縮差を低減できる効果もある。しかしながら、AgはP
dなど他金属元素が添加されると導電率が低下し、これ
を導体に用いればインダクタの内部抵抗が高くなる。内
部抵抗の増加はインダクタの挿入損失の増大、すなわち
品質指標であるQ値を大きく低下させる。
【0010】さらにノイズ対策は、電源部など大電流部
位にも十分施さねばならなくなっており、たとえば、I
EEE1394やUSB2.0などの高速接続端子では信号と
ともに電源を共有している。大電流部位のノイズフィル
タに積層チップインダクタを用いると、導体抵抗増加に
よる使用時の発熱も問題となってくる。
【0011】このような点から、積層インダクタの内部
抵抗はできる限り小さいことが望ましく、導体としては
Pdなど他金属元素含有を低く抑えたAg合金とする
か、可能ならAg金属単体の採用が最良である。しかし
Agの融点は961℃と低く、Ag金属単体を内部導体に
用いるためには、積層インダクタまたはフェライトの焼
成温度を高くても920℃までに抑えなければならず、こ
のような低温で十分焼結可能なフェライト材が必要にな
ってくる。
【0012】たとえば、特公平7-87149号公報には、A
gを内部導体とし、CuNiZnフェライトを主成分に
して、これにBi、Vまたは珪酸鉛ガラス
の少なくとも1種を第二成分として加えた、積層チップ
インピーダンス素子の発明が開示されている。これに
は、Ag導電体を用い焼成温度を900℃とすることによ
り、許容電流が増加したことは示されているが、成分組
成は一例しかなくその範囲限界は不明であり、許容電流
以外のチップインダクタとしての諸性能もあきらかにさ
れていない。
【0013】積層チップインダクタに用いるフェライト
は、電気絶縁抵抗ができるだけ高くなければならない。
これは内部金属導体がフェライトに直接接触しているた
め、絶縁抵抗が低下すると内部導体間や入出力端子間の
漏洩電流が増加し、インダクタンスの実効値を低下させ
るからである。その上、絶縁抵抗の低下はフェライト内
部に渦電流が発生し、インダクタンスの低下ばかりでな
くQ値を低下させ、挿入損失の増加を招く。さらに、イ
ンダクタ自体がノイズの受信や発信源となり、回路の誤
作動の原因にもなりかねない。
【0014】フェライトの絶縁抵抗は、その組成に大き
く依存する。前述のように、MnZnフェライトはきわ
めて高い透磁率を示すが、絶縁抵抗が高くないため、高
周波用にはNiZnフェライトやより低温で焼結が可能
なCuNiZnフェライトが適用される。
【0015】このCuNiZnフェライトを用い、とく
に絶縁抵抗を高くすることを配慮した例として、特開平
6-295811号公報に提示の発明がある。この発明はMoO
を少量添加して透磁率を向上させたものであるが、と
くにFeの量を48〜50モル%の範囲に限定し、絶
縁抵抗の向上を図っている。また、特開平11-219812号
公報に開示された発明は、CuNiZnフェライトにM
nOを含有させており、この場合もFeの量を48
〜49.5モル%のせまい範囲に管理し、高い絶縁抵抗を実
現させている。
【0016】これら二つの発明では、焼結密度が十分高
く抵抗率も1×10MΩcm以上のものも提示されており、
すぐれたフェライトが得られている。しかしながら、い
ずれの場合も950〜1300℃の温度で焼成がおこなわれて
おり、このような温度にて焼成しなければ十分な特性が
発現できないとすれば、金属Ag単体を内部導体とする
積層チップインダクタには適用できない。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、内部抵抗が
低く大電流仕様に適応できる高周波性能にすぐれた積層
チップインダクタを得ることを目的とする。すなわち、
内部導体にAgを用い、そのために低温で焼結でき、し
かも高周波域における高い透磁率と高い絶縁抵抗の得ら
れる酸化物磁性材料とその製造方法、およびその酸化物
磁性材料を用いた積層チップインダクタを提供するもの
である。
【0018】
【課題を解決するための手段】積層チップインダクタの
内部導体は、ペースト状の素材の形でフェライトのグリ
ーンシート上に印刷され、乾燥後シートを積層圧着成形
して一体化焼成される際にフェライトとともにその焼結
がおこなわれる。
【0019】この内部導体を金属Agの単一体にするた
め、まずAgペーストの所要焼成温度を調査した。その
結果、グリーンシート上のAgペーストの焼結が十分進
行し、導体の導電率が最大となる焼成温度は830〜900℃
であることが確認された。この温度範囲より高くなる
と、Agは拡散や反応を起こしやすくなって、断面積の
減少や他元素の侵入などが発生し、これより低くなると
焼結不十分になって、いずれの場合もインダクタ内部導
体としての電気抵抗値が増加する。
【0020】フェライトには、このAgペーストの焼成
温度範囲で十分緻密に焼結できて高透磁率となり、しか
もできるだけ高い絶縁抵抗を示すものが必要である。そ
こで、このような特性を有するフェライトが得られるか
どうか、その組成に関して検討をおこなうこととし、そ
の場合の焼成後フェライトの性能目標値を、焼結密度は
5.0g/cm以上、1MHzにおける透磁率は300以上、そして
抵抗率は1000MΩcm以上とした。
【0021】まず、高周波域での透磁率など磁気特性に
すぐれ、焼結温度を低下できると考えられるCuNiZ
nフェライトをベースとし、Fe、NiO、Zn
OおよびCuOの配合比率を種々変え、磁気的特性が十
分確保できる範囲での、焼結温度の低下と絶縁抵抗確保
の可能性を検討した。しかしながら、これらの成分だけ
による組成比の変更では、焼結密度を十分高くするため
の焼成温度を、Ag導体が使用できる温度範囲にまで下
げることができなかった。そこで次に、助剤として添加
する副成分について検討した。
【0022】副成分は、焼結温度を低下させるばかりで
なく、得られたフェライトの絶縁抵抗を向上させること
ができ、さらに導体のAgとの相互作用がないことが重
要である。
【0023】このような観点から種々の副成分を添加し
てその効果を調査した結果、Biの含有が焼結温
度の低下にきわめて好ましいことが見出された。Bi
はその融点がAgペーストの焼結温度近傍にあり、
わずかに液相を生ずることにより低温での焼結を促進す
ると推定される。
【0024】このBiに加えて、さらにMgO、
CoO、BeOおよびGeOを含有させると、絶縁抵抗
が大きく向上することが見出された。これらの酸化物と
なる金属元素はいずれも2価の陽イオンとなり、そのイ
オン半径がFe3+のイオン半径に近い。
【0025】フェライトは、スピネル型結晶構造(AB
)のAの位置に三価イオン、Bの位置に二価と三
価のイオンが入った逆スピネル型結晶構造を有する。電
気伝導性は、その逆スピネル型結晶構造において、Bの
位置でFe原子が二価と三価のイオンの形を取り得るこ
とから、Fe2+=Fe3++eの電子交換反応が生
じ、電子の移動が起きることによると推測される。Fe
3+のイオン半径に近い二価のイオンが存在すると、F
3+に置換してB位置に入り込み、上記の電子交換反
応を抑止し、絶縁抵抗が増加するものと思われる。
【0026】これら4種の成分についてその含有量と効
果をさらに調査した結果、MgOとCoO、およびBe
OとGeOの二つのグループに分け、各グループでそれ
ぞれ1種または2種の成分を選び、これら二グループの
成分を同時に含ませることが、絶縁抵抗をより大きく
し、かつBiの焼結温度低下効果を妨げないこと
があきらかになった。一成分だけでこの絶縁抵抗を大き
くするよりも、複数成分を少しずつ含有させる方が、合
計の含有量が同じでもより大きな効果が得られる。
【0027】以上のような検討結果から、ほぼ目標とす
る焼結密度、透磁率および抵抗率を得ることのできる組
成があきらかになったので、さらにそれらの組成範囲限
界、および製造条件等を明確にし、積層チップインダク
タを作製して性能を確認し本発明を完成させた。本発明
の要旨は次のとおりである。
【0028】(1) Fe:43.0〜51.0モル%、Cu
O:5.0〜12.0モル%、NiO:8.0〜39.0モル%および
ZnO:残部である主成分と、この主成分100質量部に
対し、副成分としてBi:0.5〜2.0質量部、Co
OとMgOとの一方または両方を合わせて0.1〜1.0質量
部およびBeOとGeOとの一方または両方を合わせて
0.05〜0.30質量部を含むことを特徴とする酸化物磁性材
料。
【0029】(2) 原料を混合して仮焼合成し、粉砕整粒
した粉末にバインダを加え混練して所要形状に成形した
後、830〜900℃にて1〜5時間焼成することを特徴とする
上記(1)の酸化物磁性材料の製造方法。
【0030】(3) Agの内部導体と、請求項1に記載の
酸化物磁性材料とからなることを特徴とする積層チップ
インダクタ。
【0031】
【発明の実施の形態】本発明において、フェライトの組
成を上述のように限定するのは、以下の理由による。こ
こで各成分は、いずれも酸化物の形で二価または三価の
状態であるとして組成比率を限定するが、これらは酸化
物磁性材料中におけるその元素の形態を示すものではな
い。
【0032】Feは、フェライトの基幹成分であ
り、フェライトの主成分のうちの43.0〜51.0モル%を構
成していなければならない。43.0モル%未満の場合、十
分な透磁率が得られず、積層チップインダクタとしたと
きのインピーダンスが不足する。他方、51.0モル%を超
えて存在すると、十分な焼結密度が得られず、絶縁抵抗
も低くなる。その上、積層チップインダクタ素子の機械
的強度が不足し、長期使用による性能劣化の耐性、すな
わち耐候性の劣化をもたらすおそれがある。
【0033】CuOはフェライトの主成分のうちの、5.
0〜12.0モル%を構成していることとする。CuOは、
焼結温度の低温化に大きく寄与し、5.0モル%を下回る
と本発明の目的とする低温度域での焼成をおこなう場合
に焼結密度が不十分になり、機械的強度の不足に加えて
耐候性が劣る原因となる。また、12.0モル%を超える
と、焼成時に表面にガラス状混合相が形成されて保持台
に溶着しやすくなり、生産性が低下することの他、絶縁
抵抗も低下する。
【0034】NiOはフェライトの高周波域における透
磁率を確保するために含有させる。その量は8.0モル%
未満でも、また逆に多すぎて39.0モル%を超える場合で
も、高周波域での透磁率は低下してくるので、フェライ
トの主成分中の含有量を8.0〜39.0モル%に限定する。
【0035】ZnOはフェライトの透磁率向上のために
重要な元素であり、フェライト主成分の上記Fe
、CuOおよびNiOを除いた、残りの部分を構
成するものとする。ただし、その含有比率が6.0モル%
を下回ると、得られたフェライトの磁気特性不十分や焼
結密度不足等の問題を生じ、逆に36.0モル%を超えても
磁気特性が悪くなるので、望ましいのは6.0〜36.0モル
%の範囲とすることである。
【0036】上記のフェライトを構成する主成分に対
し、助剤として下記組成の副成分を含有させる。各副成
分それぞれの含有量は、上記フェライトの主成分の合計
量を100質量部としたときの質量部で示す。
【0037】Biは、フェライトの低温での焼結
を促進する効果があり、0.5〜2.0質量部含有させる。B
の量が0.5質量部未満の場合、830〜900℃の焼
成温度では焼結が不十分となり、焼結密度および透磁率
が得られない。一方、2.0質量部を超える場合は、焼成
後のAg導体の断面積減少が顕著になり、内部抵抗を大
きくさせたり、さらには導体消失により素子機能を失う
おそれがある。
【0038】副成分としてMgOおよびCoOの一方ま
たは両方を合計量で0.1〜1.0質量部含有させる。MgO
およびCoOは低温焼成されたフェライトの絶縁抵抗を
増加させるが、その効果はいずれの成分でも変わらな
い。この合計量が0.1質量部未満のときは絶縁抵抗向上
の効果は得られず、1.0質量部を超えると透磁率が低下
しするとともに焼結ができなくなる。
【0039】副成分には、さらにBeOおよびGeOの
一方または両方を合計量で0.05〜0.30質量部含有させ
る。これらの成分はいずれも絶縁抵抗を増加させる効果
があり、とくにMgOおよびCoOの存在下で含有させ
ることによりその効果を発揮する。その合計量は0.05質
量部未満では絶縁抵抗増加の効果は現れない。しかし含
有量が多すぎて0.30質量部を超えると低温での焼結がで
きなくなる。
【0040】上記の成分の他、副成分にさらにAg
またはRhのいずれか、あるいは両方を含有させ
ると、焼成の際にAgの拡散が抑止され、Ag内部導体
の断面積減少を低減することができる。したがって、必
要に応じこれらの酸化物を含有させることが好ましい。
その場合、少なければ効果がなく多すぎると焼結性を悪
くするので、AgOでは0.01〜0.07質量部、Rh
では0.2〜1.5質量部の範囲とする。これらの成分は、
他の成分を混合仮焼した後の仮焼合成粉に添加してグリ
−ンシートを作製し、一体化の焼成をおこなうのがよ
い。
【0041】以上の組成の他、フェライトの特性に大き
く影響しない限りにおいて、多少の不純物の混在は許容
できる。
【0042】上述のフェライトの製造は、酸化物磁性材
料の一般的な製造方法に準じておこなえばよいが、積層
チップインダクタの製造を例にとって説明すれば次のと
おりである。まず、主成分と副成分とを混合して大気中
800℃前後の温度にて仮焼し、仮焼粉を粉砕して整粒す
る。この整粒粉にバインダを加えて十分混練し、ドクタ
ーブレード法などにより、グリーンシートに成形する。
【0043】グリーンシート上に導電体ペーストを印刷
し、シートを積層して所定形状に切断後、830〜900℃に
て1〜5時間焼成する。焼成温度は830℃を下回ると、焼
結不十分で磁気特性および機械的強度とも劣ったものに
なり、900℃を超えると、内部導体が細くなったり消失
したりして、良好なチップインダクタが得られなくな
る。焼成時間は、1時間未満では焼結が不十分となる。
一方、必要以上に加熱を続けても性能の向上はほとんど
認められず、加熱の時間およびエネルギーの無駄になる
ので、長くても5時間までとする。焼成後、内部導体と
接続する導体部分に入出力用端部電極を取り付け、チッ
プインダクタとする。
【0044】
【実施例】〔実施例1〕表1に示す調合組成比とした原
料を、各々合計量にて250gとなるように秤量し、1リッ
トルの純水とともにジルコニア製の粉砕用ボールを使用
したボールミルにて24時間混合後乾燥し、ジルコニア製
るつぼに移して大気中800℃にて仮焼合成をおこなっ
た。仮焼後X線回折によりスピネル型立方晶の化合物が
得られていることを確認した。
【0045】得られた仮焼合成粉はボールミルにて湿式
粉砕後、乾燥して粒径が0.8〜1.0μmになるようメッシ
ュふるいにて整粒した。これにバインダとして10質量%
のPVA(ポリビニルアルコール)溶液を添加し、ライ
カイ機にて造粒して、造粒粉を金型にてプレスし成形し
た後、大気中にて850℃、2.0時間の焼成をおこない、外
径16mm、内径8mm、厚さ3mmのトロイダル形状試験片およ
び外径10mm、厚さ3mmの円柱状試験片を作製した。
【0046】トロイダル形状試験片にて、インピーダン
ス測定装置(日本ヒューレットパッカード社製HP4291
A)および透磁率測定装置(日本ヒューレットパッカー
ド社製HP16454A)を用い、1MHzにおける透磁率を求め
た。また、円柱状試験片にて、液浸秤量法にて密度を測
定すると共に、上下面にIn−Ga合金を付着させて電
極とし、直流定電圧電源(日本ヒューレットパッカード
社製HP4140B)を利用して、直流50V、1分値の絶縁抵抗
を測定し、電極面積と電極間距離とから抵抗率を計算し
て求めた。結果を表1に示す。
【0047】
【表1】
【0048】Agの拡散発生については、積層チップイ
ンダクタと同形状の積層体を作製して調査した。上記の
仮焼合成粉にて10質量%のPVB(ポリビニルブチラー
ト)をバインダとして用い、ドクターブレード法により
厚さ70μmのグリーンシートを作製して、シート表面に
内部導体とするAg単一組成のペーストを線幅150μm、
厚さ20μmで内部導体相当のパターンにて印刷し、その
上に印刷のないグリーンシートを乗せ、これを4層重ね
て圧着後チップ形状に切断して、大気中にて900℃、2.0
時間の焼成をおこなった。この試験片は焼成後断面を研
磨し、走査型電子顕微鏡にて導体形状を観察した。この
結果も表1に併記する。
【0049】表1の結果からあきらかなように、主成分
の組成比と、副成分の量が本発明に定める範囲内にある
ものは、いずれも密度および透磁率が高く、抵抗率の高
いフェライトが得られている。すなわち、内部導体とな
るAgペーストを焼結する温度範囲にて、当初の目標と
した焼結密度が5.0g/cm以上、1MHzにおける透磁率は3
00以上、そして抵抗率が1000MΩcm以上のフェライトと
なっている。また、これらの本発明範囲の組成のフェラ
イトでは、Ag単体を内部導体として用いる場合の上限
温度と考えられる900℃での焼成においても、Agの拡
散は認められなかった。
【0050】〔実施例2〕表1に示した試料番号5の組
成のフェライト仮焼粉末を用い、PVBをバインダとし
ドクターブレード法にて厚さ70μmのグリーンシートを
作製した。シート表面に、内部導体となるAg単一組成
のペーストを印刷線幅は150μm、厚さは20μmとして所
定パターンでスクリーン印刷し、積層して図1に模式的
に示したような内部構造となるチップインダクタを形成
させた。この場合のチップは2125サイズ(長さ2.0mm、
幅1.25mm、厚さ0.5mm)で、内部の導体ターン数は8と
し、積層シート間の導体接続はスルーホールとした。
【0051】シートを積層圧着後上記チップサイズに切
断し、大気中にて900℃、2.0時間の焼成をおこなった。
この場合のフェライトの透磁率は330(1MHz)であっ
た。
【0052】焼成後のチップの両端に入出力電極を取り
付け、実施例1で用いたインピーダンス測定装置によ
り、インピーダンスを測定した。また許容電流値は、両
端電極間に通じる電流を徐々に増していき、表面温度の
上昇幅が+3℃以内である最大電流値とした。これらの
結果は次のとおりである。
【0053】 インピーダンス|Z|:1000 Ω(100MHz) 最大許容電流 Ip :3.0 A 以上のように、本発明による積層チップインダクタは高
いインピ−ダンスを示し、許容電流値も十分大きい。
【0054】
【発明の効果】本発明の酸化物磁性材料すなわちソフト
フェライトは、従来のものよりも低温での焼成により焼
結が可能であり、高周波領域にても十分に高い透磁率を
有し、絶縁抵抗が高く、かつAgの拡散による内部導体
消失を抑止できる。このフェライトによる積層チップイ
ンダクタは、内部導体に電気抵抗の小さいAgを用いる
ことができるので、とくに大電流仕様に最適であり、高
周波特性にすぐれ、内部抵抗が低いことから、電子機器
の高性能化に効果的に活用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】積層チップインダクタの内部導体の構造を模式
的に例示した図である。
【符号の説明】 1.フェライトの積層焼結体部分 2.入出力用端部電極 3.内部導体 4.入出力電極と接続する導電部分 5.内部導体間の接続用スルーホール

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Fe:43.0〜51.0モル%、CuO:
    5.0〜12.0モル%、NiO:8.0〜39.0モル%およびZn
    O:残部である主成分と、この主成分100質量部に対
    し、副成分としてBi:0.5〜2.0質量部、CoO
    とMgOとの一方または両方を合わせて0.1〜1.0質量部
    およびBeOとGeOとの一方または両方を合わせて0.
    05〜0.30質量部を含むことを特徴とする酸化物磁性材
    料。
  2. 【請求項2】原料を混合して仮焼合成し、粉砕整粒した
    粉末にバインダを加え混練して所要形状に成形した後、
    830〜900℃にて1〜5時間焼成することを特徴とする請求
    項1に記載の酸化物磁性材料の製造方法。
  3. 【請求項3】Agの内部導体と、請求項1に記載の酸化
    物磁性材料とからなることを特徴とする積層チップイン
    ダクタ。
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