JPH11307335A - 酸化物磁性材および積層チップインダクタとその製造方法 - Google Patents
酸化物磁性材および積層チップインダクタとその製造方法Info
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- JPH11307335A JPH11307335A JP10116394A JP11639498A JPH11307335A JP H11307335 A JPH11307335 A JP H11307335A JP 10116394 A JP10116394 A JP 10116394A JP 11639498 A JP11639498 A JP 11639498A JP H11307335 A JPH11307335 A JP H11307335A
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- H01F1/01—Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials
- H01F1/03—Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity
- H01F1/12—Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity of soft-magnetic materials
- H01F1/34—Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity of soft-magnetic materials non-metallic substances, e.g. ferrites
- H01F1/342—Oxides
- H01F1/344—Ferrites, e.g. having a cubic spinel structure (X2+O)(Y23+O3), e.g. magnetite Fe3O4
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Abstract
(57)【要約】
【課題】内部導体がAg単体で、低温焼結可能かつAg
の拡散による内部導体消失を抑止した酸化物磁性材料、
その材料を用いた積層チップインダクタ、およびそれら
の製造方法の提供。 【解決手段】焼結体として、Fe2O3:44.0〜49.5モル
%、CuO:12.0〜20.0モル%、NiO:10.0〜30.0モ
ル%、ZnO:上記3成分の残部からなる主成分を100
重量部とし、助剤としてBaO:0.03〜0.15重量部、B
2O3:0.10〜0.30重量部およびAg2O:0.03〜0.10重量
部を含有する酸化物磁性材、および800〜860℃にて0.5
〜5.0時間焼成をおこなうその製造方法。また、Agを
単一組成成分とする内部導体を用い、ソフトフェライト
を上記の酸化物磁性材とする積層チップインダクタ、お
よび上記の酸化物磁性材となるグリーンシート上に所定
の回路積層体を成形後、上記の方法にて一体化焼成する
インダクタの製造方法。
の拡散による内部導体消失を抑止した酸化物磁性材料、
その材料を用いた積層チップインダクタ、およびそれら
の製造方法の提供。 【解決手段】焼結体として、Fe2O3:44.0〜49.5モル
%、CuO:12.0〜20.0モル%、NiO:10.0〜30.0モ
ル%、ZnO:上記3成分の残部からなる主成分を100
重量部とし、助剤としてBaO:0.03〜0.15重量部、B
2O3:0.10〜0.30重量部およびAg2O:0.03〜0.10重量
部を含有する酸化物磁性材、および800〜860℃にて0.5
〜5.0時間焼成をおこなうその製造方法。また、Agを
単一組成成分とする内部導体を用い、ソフトフェライト
を上記の酸化物磁性材とする積層チップインダクタ、お
よび上記の酸化物磁性材となるグリーンシート上に所定
の回路積層体を成形後、上記の方法にて一体化焼成する
インダクタの製造方法。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、小型の電子機器な
どにおいて、電磁波干渉ノイズ対策のためなどに使用さ
れるチップインダクタ用のソフトフェライト、すなわち
高透磁率焼結酸化物磁性材、それを用いた積層チップイ
ンダクタ、およびそれらの製造方法に関する。
どにおいて、電磁波干渉ノイズ対策のためなどに使用さ
れるチップインダクタ用のソフトフェライト、すなわち
高透磁率焼結酸化物磁性材、それを用いた積層チップイ
ンダクタ、およびそれらの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年のパーソナルコンピュータや携帯電
話等に代表されるOA機器あるいは移動通信機器の発達
に伴い、それらの機器に用いられる電子部品も、小型
化、高性能化、低価格化などが強く要望されている。そ
れらの部品の一つに積層型チップインダクタがある。
話等に代表されるOA機器あるいは移動通信機器の発達
に伴い、それらの機器に用いられる電子部品も、小型
化、高性能化、低価格化などが強く要望されている。そ
れらの部品の一つに積層型チップインダクタがある。
【0003】インダクタとは、空芯または軟質磁性材を
芯材とするような巻線の要素に対応するもので、そのイ
ンダクタンスに基づく抵抗値すなわちインピーダンス
が、通過する電流の周波数が高くなるほど増加する特性
を有する。したがって、有効な信号は通過するが、その
信号より高い周波数の不要信号やノイズは阻止するとい
うローパスフィルターの効果があり、電子機器間の電磁
波干渉や、外部雑音の侵入による誤作動防止に活用され
る。
芯材とするような巻線の要素に対応するもので、そのイ
ンダクタンスに基づく抵抗値すなわちインピーダンス
が、通過する電流の周波数が高くなるほど増加する特性
を有する。したがって、有効な信号は通過するが、その
信号より高い周波数の不要信号やノイズは阻止するとい
うローパスフィルターの効果があり、電子機器間の電磁
波干渉や、外部雑音の侵入による誤作動防止に活用され
る。
【0004】インダクタを小型化しかつ高性能化して、
電子部品に適応させたものが積層型チップインダクタで
ある。チップインダクタは、例えば図1にその外観の概
念図を示すように、直方体のソフトフェライト焼結体1
の両対向面が内部導体の入出力用端部電極2になってい
る。その内部は、一例を図2の模式図に示すように、グ
リーンシート3上に導電材による内部導体パターン4を印
刷後、各層の導体が接続点6および7を介して直列接続で
きるようにし、これらを積層して焼結し一体化してい
る。この内部導体4は外部接続用導体5を介し外側の両端
部電極2に接続されている。この導体に密着したソフト
フェライト、すなわち焼結酸化物磁性体(以下単にフェ
ライトと略称)は、導体のインダクタンスを大幅に増大
させる。
電子部品に適応させたものが積層型チップインダクタで
ある。チップインダクタは、例えば図1にその外観の概
念図を示すように、直方体のソフトフェライト焼結体1
の両対向面が内部導体の入出力用端部電極2になってい
る。その内部は、一例を図2の模式図に示すように、グ
リーンシート3上に導電材による内部導体パターン4を印
刷後、各層の導体が接続点6および7を介して直列接続で
きるようにし、これらを積層して焼結し一体化してい
る。この内部導体4は外部接続用導体5を介し外側の両端
部電極2に接続されている。この導体に密着したソフト
フェライト、すなわち焼結酸化物磁性体(以下単にフェ
ライトと略称)は、導体のインダクタンスを大幅に増大
させる。
【0005】このような、両端面を入出力電極とした小
直方体の積層型チップインダクタは、電子回路基板への
実装が容易である。また回路パターンを印刷したグリー
ンシートを積層後、所定チップ形状に切断して焼成をお
こなえば、量産によるコスト低減が可能となる。このよ
うなインダクタの性能、ことにそのインダクタンスは、
用いるフェライトの特性に大きく支配される。
直方体の積層型チップインダクタは、電子回路基板への
実装が容易である。また回路パターンを印刷したグリー
ンシートを積層後、所定チップ形状に切断して焼成をお
こなえば、量産によるコスト低減が可能となる。このよ
うなインダクタの性能、ことにそのインダクタンスは、
用いるフェライトの特性に大きく支配される。
【0006】フェライトは、一般的にX−Fe2O4の形
で表される組成の、XにはMn、Fe、Co、Ni、C
u、Zn等の単体、あるいはこれらの元素の混合体が入
った酸化物の固溶体である。積層チップ内部の導体の形
状、ないしは長さが同じであれば、フェライトの透磁率
が高いほど大きなインダクタンスが得られる。しかし、
例えばXがMnとZnで構成されたフェライトは、きわ
めて高い透磁率を示すが、このMnZnフェライトは電
気抵抗が大きくないため、低周波数帯域ではすぐれてい
ても高周波数帯域では透磁率が低下するので、チップイ
ンダクタには適用できない。これに対し、電気抵抗が大
きく高周波帯域に使用可能なフェライトとして、NiZ
nフェライトがあり、また、より低温で焼結が可能なフ
ェライトとして、CuZnフェライトが知られている。
で表される組成の、XにはMn、Fe、Co、Ni、C
u、Zn等の単体、あるいはこれらの元素の混合体が入
った酸化物の固溶体である。積層チップ内部の導体の形
状、ないしは長さが同じであれば、フェライトの透磁率
が高いほど大きなインダクタンスが得られる。しかし、
例えばXがMnとZnで構成されたフェライトは、きわ
めて高い透磁率を示すが、このMnZnフェライトは電
気抵抗が大きくないため、低周波数帯域ではすぐれてい
ても高周波数帯域では透磁率が低下するので、チップイ
ンダクタには適用できない。これに対し、電気抵抗が大
きく高周波帯域に使用可能なフェライトとして、NiZ
nフェライトがあり、また、より低温で焼結が可能なフ
ェライトとして、CuZnフェライトが知られている。
【0007】通常、透磁率が高いすぐれた性能を持つ緻
密なフェライトを得るためには、素材を十分に混合し圧
縮成型して、700〜1100℃で仮焼反応させたものを粉砕
して原料粉とし、結合剤を混ぜ混練して最終形状に圧縮
成型後、1000℃を超える高温で焼成する。しかしなが
ら、積層型チップインダクタでは、塗布可能な状態の導
体の素材をグリーンシート上に印刷後、積層して導体と
フェライトとを同時焼成し一体化するため、焼成温度が
高すぎると、この内部導体が溶けて流れ出したり、フェ
ライト中への拡散が原因と思われる断面積の減少や消失
が生じる。
密なフェライトを得るためには、素材を十分に混合し圧
縮成型して、700〜1100℃で仮焼反応させたものを粉砕
して原料粉とし、結合剤を混ぜ混練して最終形状に圧縮
成型後、1000℃を超える高温で焼成する。しかしなが
ら、積層型チップインダクタでは、塗布可能な状態の導
体の素材をグリーンシート上に印刷後、積層して導体と
フェライトとを同時焼成し一体化するため、焼成温度が
高すぎると、この内部導体が溶けて流れ出したり、フェ
ライト中への拡散が原因と思われる断面積の減少や消失
が生じる。
【0008】内部導体には、Ag−Pd合金が多く用い
られる。AgにPdを含有させることにより、融点を上
昇させて溶融や拡散を抑止し、フェライトとの熱収縮差
を低減させる。しかし、AgはPdなど他の合金元素を
含むと、電気抵抗が増大するという問題がある。まず、
インダクタとしての品質の指標であるいわゆるQ値は、
内部導体の電気抵抗増加とともに低下する。さらに、積
層型チップインダクタは大電流部位への使用が増してお
り、その場合の内部導体の電気抵抗は、使用中の発熱や
効率低下をもたらす。また近年ノイズ対策が電源回路や
インターフェイス部にも拡大し、小型の携帯型電子機器
などでは、安定したグランドの確保が困難となり、コン
デンサ型の並列実装よりもインダクタ型の直列実装ノイ
ズフィルターが多用される傾向にある。
られる。AgにPdを含有させることにより、融点を上
昇させて溶融や拡散を抑止し、フェライトとの熱収縮差
を低減させる。しかし、AgはPdなど他の合金元素を
含むと、電気抵抗が増大するという問題がある。まず、
インダクタとしての品質の指標であるいわゆるQ値は、
内部導体の電気抵抗増加とともに低下する。さらに、積
層型チップインダクタは大電流部位への使用が増してお
り、その場合の内部導体の電気抵抗は、使用中の発熱や
効率低下をもたらす。また近年ノイズ対策が電源回路や
インターフェイス部にも拡大し、小型の携帯型電子機器
などでは、安定したグランドの確保が困難となり、コン
デンサ型の並列実装よりもインダクタ型の直列実装ノイ
ズフィルターが多用される傾向にある。
【0009】これらの点から、チップ内部の導体の電気
抵抗はできるだけ小さくすることが望ましく、電気抵抗
の小さい内部導体として、実用的にはPdを減らしたA
g、できればAg単体がよい。しかし、Agの融点は96
2℃と低く、Ag単体を用いる場合、焼結時の溶融や拡
散による内部導体の消失防止のためには、900℃を十分
下回る温度で焼成する必要がある。
抵抗はできるだけ小さくすることが望ましく、電気抵抗
の小さい内部導体として、実用的にはPdを減らしたA
g、できればAg単体がよい。しかし、Agの融点は96
2℃と低く、Ag単体を用いる場合、焼結時の溶融や拡
散による内部導体の消失防止のためには、900℃を十分
下回る温度で焼成する必要がある。
【0010】このように、積層型チップインダクタ用の
フェライトに要求される性能は、高周波数帯域で十分な
透磁率を有し、かつ電気抵抗が大きいこと、およびその
特性を得るための焼結温度が低いことである。
フェライトに要求される性能は、高周波数帯域で十分な
透磁率を有し、かつ電気抵抗が大きいこと、およびその
特性を得るための焼結温度が低いことである。
【0011】前述の、低温で焼結可能なCuZnフェラ
イトを高周波帯域にすぐれたNiZnフェライトに組み
合わせた、NiCuZnフェライトも積層チップインダ
クタに使用されている。しかし、通常のNiCuZnフ
ェライトの焼成温度は1000〜1100℃であり、900℃を下
回る温度では、緻密なフェライトは得られない。
イトを高周波帯域にすぐれたNiZnフェライトに組み
合わせた、NiCuZnフェライトも積層チップインダ
クタに使用されている。しかし、通常のNiCuZnフ
ェライトの焼成温度は1000〜1100℃であり、900℃を下
回る温度では、緻密なフェライトは得られない。
【0012】フェライトの焼結温度の低温化の方法に
は、組成の変更、添加物の選定、粉体粒子の微細化など
がある。通常、前記のX中のCu、すなわち原料中のC
uOの量を増せば、焼結温度は低下できるが、組成の変
更は磁気特性を大きく変えるので、焼結温度低下だけの
目的での組成変更には限界がある。また、Bi2O3やP
bOなど低融点のガラス原料の少量添加は、焼結温度の
低温化に効果があるが、Agと反応して内部導体を収縮
させ、積層チップインダクタの電気抵抗を大きくする危
険性がある。粉体粒子の微細化は仮焼後の原料の粉砕に
よっておこない、粒子が細かいほど低温で焼結が進行す
る。ただし細かくなりすぎると粉体の比表面積が増大
し、バインダーの分散が悪くなって多量添加が必要にな
るなど、良好なグリーンシートが得られなくなるため、
これにも限度がある。
は、組成の変更、添加物の選定、粉体粒子の微細化など
がある。通常、前記のX中のCu、すなわち原料中のC
uOの量を増せば、焼結温度は低下できるが、組成の変
更は磁気特性を大きく変えるので、焼結温度低下だけの
目的での組成変更には限界がある。また、Bi2O3やP
bOなど低融点のガラス原料の少量添加は、焼結温度の
低温化に効果があるが、Agと反応して内部導体を収縮
させ、積層チップインダクタの電気抵抗を大きくする危
険性がある。粉体粒子の微細化は仮焼後の原料の粉砕に
よっておこない、粒子が細かいほど低温で焼結が進行す
る。ただし細かくなりすぎると粉体の比表面積が増大
し、バインダーの分散が悪くなって多量添加が必要にな
るなど、良好なグリーンシートが得られなくなるため、
これにも限度がある。
【0013】フェライトの焼結温度をその特性を損なう
ことなく低下させ、同時に内部導体も焼結させる一体化
焼成の際の、導体素材とフェライト素材との相互作用を
抑制した発明として、特開平9-40455号公報が開示され
ている。この発明はCuZnフェライトを主成分とし、
添加物にBi2O3を用いてその焼結温度を低下させ、さ
らに焼成前にフェライト素材中の不純物であるSを1000
ppm以下、Clを600ppm以下に規制している。これらの
不純物は焼成中に導体材料と反応し、導体消失の原因に
なるという。また焼成時に燃焼し含有量が低下するの
で、焼結後のフェライトではSは200ppm以下、Clは10
0ppm以下としている。この発明では、930℃以下の温度
で焼成が可能としているが、実施例では880℃にて焼成
がおこなわれている。しかしAg単体に対し、融点に近
いこの温度はやや高すぎて、拡散消失のおそれがあり、
Pdを含有させたAg合金を使用せざるを得ないと考え
られる。
ことなく低下させ、同時に内部導体も焼結させる一体化
焼成の際の、導体素材とフェライト素材との相互作用を
抑制した発明として、特開平9-40455号公報が開示され
ている。この発明はCuZnフェライトを主成分とし、
添加物にBi2O3を用いてその焼結温度を低下させ、さ
らに焼成前にフェライト素材中の不純物であるSを1000
ppm以下、Clを600ppm以下に規制している。これらの
不純物は焼成中に導体材料と反応し、導体消失の原因に
なるという。また焼成時に燃焼し含有量が低下するの
で、焼結後のフェライトではSは200ppm以下、Clは10
0ppm以下としている。この発明では、930℃以下の温度
で焼成が可能としているが、実施例では880℃にて焼成
がおこなわれている。しかしAg単体に対し、融点に近
いこの温度はやや高すぎて、拡散消失のおそれがあり、
Pdを含有させたAg合金を使用せざるを得ないと考え
られる。
【0014】以上のように、大電流に適用する積層チッ
プインダクタにおいては、電気抵抗をできるだけ低くす
るために、内部導体にはAg単体を用いることが望まし
い。しかし、拡散や反応などによりAg導体が細くなっ
たり消失したりしない範囲の温度で焼成して、十分高い
透磁率の得られるフェライト、そして、そのようなフェ
ライトを用いた積層チップインダクタに関して、現状で
はまだ十分すぐれた性能のものが得られていない。
プインダクタにおいては、電気抵抗をできるだけ低くす
るために、内部導体にはAg単体を用いることが望まし
い。しかし、拡散や反応などによりAg導体が細くなっ
たり消失したりしない範囲の温度で焼成して、十分高い
透磁率の得られるフェライト、そして、そのようなフェ
ライトを用いた積層チップインダクタに関して、現状で
はまだ十分すぐれた性能のものが得られていない。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、チップイン
ダクタを構成するフェライトとして、低温での焼結にて
十分高い透磁率が得られる酸化物磁性材、およびその製
造方法を提供し、電気抵抗の小さいAg単体を内部導体
に用い、この磁性材料と組み合わせてAgの拡散が抑制
される低温で焼成することにより、大電流仕様に適応で
きる高性能のチップインダクタを得ることを目的とす
る。
ダクタを構成するフェライトとして、低温での焼結にて
十分高い透磁率が得られる酸化物磁性材、およびその製
造方法を提供し、電気抵抗の小さいAg単体を内部導体
に用い、この磁性材料と組み合わせてAgの拡散が抑制
される低温で焼成することにより、大電流仕様に適応で
きる高性能のチップインダクタを得ることを目的とす
る。
【0016】
【課題を解決するための手段】積層チップインダクタの
大電流仕様の要望に対し、高性能のものを得るには、内
部導体として合金ではなくAg単体が必要であり、そし
てフェライトは高透磁率でなければならない。通常内部
導体は、ペースト状の素材の形でフェライトのグリーン
シート上に印刷され、乾燥後シートが積層圧着され成形
されて一体化焼成される際に、フェライトとともにその
焼結がおこなわれる。そこで本発明者は、まず内部導体
にするAg単体の素材について調査した結果、乾燥後の
Ag素材の焼結が十分進行し、導体の抵抗値が最小とな
る焼成温度は800〜860℃であった。この温度範囲より高
くなると、Ag導体の断面積減少のおそれがあり、低く
なると焼結不十分になる。
大電流仕様の要望に対し、高性能のものを得るには、内
部導体として合金ではなくAg単体が必要であり、そし
てフェライトは高透磁率でなければならない。通常内部
導体は、ペースト状の素材の形でフェライトのグリーン
シート上に印刷され、乾燥後シートが積層圧着され成形
されて一体化焼成される際に、フェライトとともにその
焼結がおこなわれる。そこで本発明者は、まず内部導体
にするAg単体の素材について調査した結果、乾燥後の
Ag素材の焼結が十分進行し、導体の抵抗値が最小とな
る焼成温度は800〜860℃であった。この温度範囲より高
くなると、Ag導体の断面積減少のおそれがあり、低く
なると焼結不十分になる。
【0017】フェライトの透磁率は、主成分の酸化物原
料とその配合率に大きく依存する。そして原料組成を選
定した上で、焼成温度を高くして十分焼結させ、密度を
高くしなければならない。しかし、内部導体を最も良好
な状態にするには焼成温度が限定されるので、フェライ
トの素材としては、その温度範囲にて十分に焼結がおこ
なわれ、高透磁率が得られるものが必要である。そこ
で、焼成後のフェライトの特性の目標値を、焼結密度ρ
が5.0g/cm3以上であること、および1.0 MHzおける透磁
率μが320以上であることに設定し、焼結温度を低下で
きる主成分と助剤との組み合わせの組成範囲を調査し
た。
料とその配合率に大きく依存する。そして原料組成を選
定した上で、焼成温度を高くして十分焼結させ、密度を
高くしなければならない。しかし、内部導体を最も良好
な状態にするには焼成温度が限定されるので、フェライ
トの素材としては、その温度範囲にて十分に焼結がおこ
なわれ、高透磁率が得られるものが必要である。そこ
で、焼成後のフェライトの特性の目標値を、焼結密度ρ
が5.0g/cm3以上であること、および1.0 MHzおける透磁
率μが320以上であることに設定し、焼結温度を低下で
きる主成分と助剤との組み合わせの組成範囲を調査し
た。
【0018】フェライトの主成分の原料としては、Fe
2O3の他に焼結温度を低くできるCuO、高周波帯域の
特性からNiO、そして高透磁率を得るためのZnOを
選び、それぞれの配合比率を検討した。それとともにこ
れに適した助剤を種々検討した結果、BaOとB2O3と
を用いれば、上記の目標値を超えるフェライトが、Ag
導体の焼結温度にて得られることが明らかになった。こ
れは、B2O3がこの温度範囲では液相となり、BaOと
ともに主成分の粒子間に存在して焼結を促進すること、
あるいはB2O3−BaO−Fe2O3系の強磁性ガラスを
形成することなどの効果により、低温で十分な焼結が可
能になったためと思われた。
2O3の他に焼結温度を低くできるCuO、高周波帯域の
特性からNiO、そして高透磁率を得るためのZnOを
選び、それぞれの配合比率を検討した。それとともにこ
れに適した助剤を種々検討した結果、BaOとB2O3と
を用いれば、上記の目標値を超えるフェライトが、Ag
導体の焼結温度にて得られることが明らかになった。こ
れは、B2O3がこの温度範囲では液相となり、BaOと
ともに主成分の粒子間に存在して焼結を促進すること、
あるいはB2O3−BaO−Fe2O3系の強磁性ガラスを
形成することなどの効果により、低温で十分な焼結が可
能になったためと思われた。
【0019】このようなフェライト素材を用いて、Ag
を内部導体とする積層チップインダクタを製造したとこ
ろ、Ag導体の断面積減少の傾向が認められること、お
よび導体とフェライトとの界面に空隙の生じる場合があ
ることがわかってきた。界面に空隙が生じると特性のば
らつきや長期使用の間に特性の劣化する耐候性低下の原
因となる。Ag導体の断面積減少は、フェライト地中へ
のAgの拡散によると考えられる。拡散はその濃度差が
小さければ遅くなることから、フェライト素材にあらか
じめAgOを少量添加してみた結果、この焼成温度の範
囲において十分抑止できることが確認された。界面の空
隙については、焼結時の熱収縮率がAg素材とフェライ
ト素材とで異なるためと推定された。
を内部導体とする積層チップインダクタを製造したとこ
ろ、Ag導体の断面積減少の傾向が認められること、お
よび導体とフェライトとの界面に空隙の生じる場合があ
ることがわかってきた。界面に空隙が生じると特性のば
らつきや長期使用の間に特性の劣化する耐候性低下の原
因となる。Ag導体の断面積減少は、フェライト地中へ
のAgの拡散によると考えられる。拡散はその濃度差が
小さければ遅くなることから、フェライト素材にあらか
じめAgOを少量添加してみた結果、この焼成温度の範
囲において十分抑止できることが確認された。界面の空
隙については、焼結時の熱収縮率がAg素材とフェライ
ト素材とで異なるためと推定された。
【0020】ここで熱収縮率とは、素材の圧縮された粉
体が加熱および均熱の焼成工程において、構成粒子が相
互に固着し一体化していく焼結の過程での体積収縮の比
率をいう。この過程においては、昇温とともにまず素材
中のバインダーが離脱して大気中に放散し、それに次い
で粒子の凝集や相互拡散によって粒子間の空隙が埋まっ
ていく。この際に、素材グリーンシート状態に対して、
大きな体積収縮が生じる。現実には固体の体積収縮率は
測定困難なので、押し棒式熱膨張計を用い、加熱開始か
ら均熱終了までのシートの厚さ方向(Z方向)の線収縮
率を測定することとした。
体が加熱および均熱の焼成工程において、構成粒子が相
互に固着し一体化していく焼結の過程での体積収縮の比
率をいう。この過程においては、昇温とともにまず素材
中のバインダーが離脱して大気中に放散し、それに次い
で粒子の凝集や相互拡散によって粒子間の空隙が埋まっ
ていく。この際に、素材グリーンシート状態に対して、
大きな体積収縮が生じる。現実には固体の体積収縮率は
測定困難なので、押し棒式熱膨張計を用い、加熱開始か
ら均熱終了までのシートの厚さ方向(Z方向)の線収縮
率を測定することとした。
【0021】まずAg素材についてその線熱収縮率を確
認し、次にフェライト素材について上記の低温焼結可能
な主成分と助剤との組み合わせの範囲内で、組成による
線熱収縮率の変化を調査した。その結果、焼成時の熱収
縮率が、Ag素材のそれとほぼ一致するフェライトの組
成範囲があることを見出したのである。そして熱収縮率
をほぼ同程度の範囲にすると、導体とフェライトとの界
面における空隙は生じなくなることが確認できた。
認し、次にフェライト素材について上記の低温焼結可能
な主成分と助剤との組み合わせの範囲内で、組成による
線熱収縮率の変化を調査した。その結果、焼成時の熱収
縮率が、Ag素材のそれとほぼ一致するフェライトの組
成範囲があることを見出したのである。そして熱収縮率
をほぼ同程度の範囲にすると、導体とフェライトとの界
面における空隙は生じなくなることが確認できた。
【0022】以上のように、内部導体に合金成分を添加
しないAg単体を用いることを前提とした積層チップイ
ンダクタを得るために、フェライトの主成分、添加すべ
き助剤、焼成条件等を検討した。その結果、低い焼成温
度にて当初の目標、すなわち1.0 MHzにおける透磁率μ
が320以上で、焼結密度ρが5.0g/cm3以上であるフェラ
イトを得ることができ、さらに組成範囲をより狭く限定
して、焼結による収縮率を内部導体にするAg素材と同
程度のものにすることができた。そして、このフェライ
トのグリーンシートを用いることにより、大電流用途に
適した高性能の積層チップインダクタの製造が可能にな
ったのである。本発明の要旨とするところは、以下のと
おりである。
しないAg単体を用いることを前提とした積層チップイ
ンダクタを得るために、フェライトの主成分、添加すべ
き助剤、焼成条件等を検討した。その結果、低い焼成温
度にて当初の目標、すなわち1.0 MHzにおける透磁率μ
が320以上で、焼結密度ρが5.0g/cm3以上であるフェラ
イトを得ることができ、さらに組成範囲をより狭く限定
して、焼結による収縮率を内部導体にするAg素材と同
程度のものにすることができた。そして、このフェライ
トのグリーンシートを用いることにより、大電流用途に
適した高性能の積層チップインダクタの製造が可能にな
ったのである。本発明の要旨とするところは、以下のと
おりである。
【0023】(1) Fe2O3:44.0〜49.5モル%、Cu
O:12.0〜20.0モル%、NiO:10.0〜30.0モル%、お
よびZnO:上記3成分の残部である主成分と、主成分
100重量部に対してBaO:0.03〜0.15重量部、B2O3:
0.10〜0.30重量部、およびAg2O:0.03〜0.10重量部
の助剤とからなることを特徴とする焼結酸化物磁性材。
O:12.0〜20.0モル%、NiO:10.0〜30.0モル%、お
よびZnO:上記3成分の残部である主成分と、主成分
100重量部に対してBaO:0.03〜0.15重量部、B2O3:
0.10〜0.30重量部、およびAg2O:0.03〜0.10重量部
の助剤とからなることを特徴とする焼結酸化物磁性材。
【0024】(2) 酸化物原料を仮焼合成し粉砕整粒した
粉体を用いて所定形状に成形後、800〜860℃にて0.5〜
5.0時間焼成をおこなうことを特徴とする、上記(1)の焼
結酸化物磁性材の製造方法 (3) Agを単一組成成分とする内部導体と、上記(1)に
記載の焼結酸化物磁性材のソフトフェライトとからなる
ことを特徴とする積層チップインダクタ。
粉体を用いて所定形状に成形後、800〜860℃にて0.5〜
5.0時間焼成をおこなうことを特徴とする、上記(1)の焼
結酸化物磁性材の製造方法 (3) Agを単一組成成分とする内部導体と、上記(1)に
記載の焼結酸化物磁性材のソフトフェライトとからなる
ことを特徴とする積層チップインダクタ。
【0025】(4) Agが単一組成成分となる内部導体素
材と、焼成によって上記(1)に記載の焼結酸化物磁性材
となるソフトフェライトのグリーンシートとにより、所
定の回路積層体を成形後、800〜860℃にて0.5〜5.0時間
の一体化焼成をおこなうことを特徴とする、上記(3)の
積層チップインダクタの製造方法。
材と、焼成によって上記(1)に記載の焼結酸化物磁性材
となるソフトフェライトのグリーンシートとにより、所
定の回路積層体を成形後、800〜860℃にて0.5〜5.0時間
の一体化焼成をおこなうことを特徴とする、上記(3)の
積層チップインダクタの製造方法。
【0026】
【発明の実施の形態】本発明において、フェライトの組
成を限定するのは、以下の理由による。Fe2O3はフェ
ライトの基幹成分であり、そのフェライトの主成分をX
−Fe2O4(XはCu、Ni、Zn等)として示される
逆スピネル構造の固溶体とすれば、そのうちの44.0〜4
9.5モル%を構成していなければならない。44.0モル%
未満の場合、十分な透磁率が得られず、チップインダク
タとしたときのインピーダンスが不足する。他方、49.5
モル%を超えて存在すると、焼結密度の低下により積層
チップの機械的強度が不足し、その上長期使用による性
能の劣化の抵抗性、すなわち耐候性が低下してくる。
成を限定するのは、以下の理由による。Fe2O3はフェ
ライトの基幹成分であり、そのフェライトの主成分をX
−Fe2O4(XはCu、Ni、Zn等)として示される
逆スピネル構造の固溶体とすれば、そのうちの44.0〜4
9.5モル%を構成していなければならない。44.0モル%
未満の場合、十分な透磁率が得られず、チップインダク
タとしたときのインピーダンスが不足する。他方、49.5
モル%を超えて存在すると、焼結密度の低下により積層
チップの機械的強度が不足し、その上長期使用による性
能の劣化の抵抗性、すなわち耐候性が低下してくる。
【0027】CuOはフェライトの主成分のうちの12.0
〜20.0モル%であることとする。これは、CuOは焼結
温度の低温化に大きく寄与しており、12.0モル%を下回
ると、本発明の目的とする低温度域で焼成をおこなう場
合に焼結密度が不十分になり、耐候性が劣って、機械的
強度も不足するからである。また、20.0モル%を超える
と透磁率が不十分になる。
〜20.0モル%であることとする。これは、CuOは焼結
温度の低温化に大きく寄与しており、12.0モル%を下回
ると、本発明の目的とする低温度域で焼成をおこなう場
合に焼結密度が不十分になり、耐候性が劣って、機械的
強度も不足するからである。また、20.0モル%を超える
と透磁率が不十分になる。
【0028】NiOはフェライトの高周波域における透
磁率を確保するために含有させる。その量は10.0モル%
未満でも、また逆に多くなって30.0モル%を超える場合
でも、100MHzないしはそれ以上の高周波域でのインピー
ダンスが低下するので、フェライトの主成分中の含有量
は10.0〜30.0モル%に限定する。
磁率を確保するために含有させる。その量は10.0モル%
未満でも、また逆に多くなって30.0モル%を超える場合
でも、100MHzないしはそれ以上の高周波域でのインピー
ダンスが低下するので、フェライトの主成分中の含有量
は10.0〜30.0モル%に限定する。
【0029】ZnOはフェライトの透磁率向上のために
重要な元素であり、フェライトの主要成分の、上記Fe
2O3、CuOおよびNiOを除いた、残りの部分を構成
するものとする。ただし、その含有比率が6.0モル%を
下回ると、得られたフェライトの磁気特性不十分、焼結
密度不足等の問題を生じ、逆に29.0モル%を超えても磁
気特性が悪くなるので、望ましいのは、6.0〜29.0モル
%の範囲になるようにすることである。
重要な元素であり、フェライトの主要成分の、上記Fe
2O3、CuOおよびNiOを除いた、残りの部分を構成
するものとする。ただし、その含有比率が6.0モル%を
下回ると、得られたフェライトの磁気特性不十分、焼結
密度不足等の問題を生じ、逆に29.0モル%を超えても磁
気特性が悪くなるので、望ましいのは、6.0〜29.0モル
%の範囲になるようにすることである。
【0030】上記のフェライトの主成分に下記の助剤を
含有させる。助剤の所要量とその作用は以下のとおりで
ある。この場合、フェライトの主要成分を100重量部と
したときの、それぞれの助剤の量を重量部で示す。
含有させる。助剤の所要量とその作用は以下のとおりで
ある。この場合、フェライトの主要成分を100重量部と
したときの、それぞれの助剤の量を重量部で示す。
【0031】BaOおよびB2O3は助剤として同時に含
有させる。BaOはB2O3とともに含有させることによ
り、低温での焼結を促進させる効果がある。その量が0.
03重量部未満の場合、焼結が不十分で十分な透磁率が得
られない。しかし0.15重量部を超える場合は焼成後の密
度が大きくならず、強度が不十分となる。そこでBaO
の含有量を0.03〜0.15重量部とする。
有させる。BaOはB2O3とともに含有させることによ
り、低温での焼結を促進させる効果がある。その量が0.
03重量部未満の場合、焼結が不十分で十分な透磁率が得
られない。しかし0.15重量部を超える場合は焼成後の密
度が大きくならず、強度が不十分となる。そこでBaO
の含有量を0.03〜0.15重量部とする。
【0032】B2O3は融点が低く、焼成時に主成分の結
晶粒間に液相となって存在し、焼結を促進する効果があ
る。その量が0.10重量部未満の場合は、効果が不十分で
焼結が進まず、焼成後の密度が大きくならない。一方、
0.30重量部を超える量含有すると、焼成中に液相成分が
流出し、冷却後固化して焼結体が保持台に溶着するた
め、製品製造が困難となる。
晶粒間に液相となって存在し、焼結を促進する効果があ
る。その量が0.10重量部未満の場合は、効果が不十分で
焼結が進まず、焼成後の密度が大きくならない。一方、
0.30重量部を超える量含有すると、焼成中に液相成分が
流出し、冷却後固化して焼結体が保持台に溶着するた
め、製品製造が困難となる。
【0033】導体とフェライトとの焼成時の熱収縮率の
差が大きい場合、積層界面に空隙を生ずることがあるの
で、両者の熱収縮率はできるだけ近いことが望ましい。
B2O3は本発明のフェライトを構成する成分の中で、焼
成による熱収縮率に最も大きく影響する。そこで熱収縮
に対するB2O3の影響を知るため、主成分としてFe2
O3を47.0モル%、CuOを13.0モル%、NiOを15.0
モル%、ZnOを25.0モル%とし、この主成分100重量
部に対してBaOを0.10重量部、AgOを0.07重量部と
して、B2O3を0.05〜0.35重量部の範囲で種々変えて十
分混合し、仮焼後、粉砕して整粒し、バインダーを添加
して混練後、1.0mm厚のグリーンシートを作製した。こ
のグリーンシートから直径5.0mmの試料を打ち抜き、押
し棒式縦型熱膨張計(真空理工社製DL7000RH)を用い
て、焼成にともなう厚さ方向の線収縮率を調査した。そ
の場合加熱速度は200℃/sec、所定温度に到達してから
の保持時間を120分とした。
差が大きい場合、積層界面に空隙を生ずることがあるの
で、両者の熱収縮率はできるだけ近いことが望ましい。
B2O3は本発明のフェライトを構成する成分の中で、焼
成による熱収縮率に最も大きく影響する。そこで熱収縮
に対するB2O3の影響を知るため、主成分としてFe2
O3を47.0モル%、CuOを13.0モル%、NiOを15.0
モル%、ZnOを25.0モル%とし、この主成分100重量
部に対してBaOを0.10重量部、AgOを0.07重量部と
して、B2O3を0.05〜0.35重量部の範囲で種々変えて十
分混合し、仮焼後、粉砕して整粒し、バインダーを添加
して混練後、1.0mm厚のグリーンシートを作製した。こ
のグリーンシートから直径5.0mmの試料を打ち抜き、押
し棒式縦型熱膨張計(真空理工社製DL7000RH)を用い
て、焼成にともなう厚さ方向の線収縮率を調査した。そ
の場合加熱速度は200℃/sec、所定温度に到達してから
の保持時間を120分とした。
【0034】図3に、B2O3の含有量と、焼成温度によ
る線熱収縮率の測定結果を示す。Ag単体が導体となる
ペーストについて同様に線熱収縮率を測定すると、−15
〜−5%であった。この図から明らかなように、B2O3
が0.05〜0.30重量部であれば、焼成温度800〜860℃の場
合、線熱収縮率は内部導体と同程度になることがわか
る。この範囲より多くても少なくても、フェライトの熱
収縮率がAg導体の熱収縮率と大きく異なってしまう。
このように、焼成温度が低くても十分な磁気特性と強度
を有するフェライトと、健全な内部導体とを得るための
量として、B2O3を0.10〜0.30重量部に限定する。
る線熱収縮率の測定結果を示す。Ag単体が導体となる
ペーストについて同様に線熱収縮率を測定すると、−15
〜−5%であった。この図から明らかなように、B2O3
が0.05〜0.30重量部であれば、焼成温度800〜860℃の場
合、線熱収縮率は内部導体と同程度になることがわか
る。この範囲より多くても少なくても、フェライトの熱
収縮率がAg導体の熱収縮率と大きく異なってしまう。
このように、焼成温度が低くても十分な磁気特性と強度
を有するフェライトと、健全な内部導体とを得るための
量として、B2O3を0.10〜0.30重量部に限定する。
【0035】Ag2Oは、Ag導体の焼成時の断面積減
少を防止するために添加する。その含有量は0.03〜0.10
重量部とする。これは、0.03重量部未満の場合にはその
効果は十分でなく、0.10重量部を超えると焼成の際に割
れを生じることがあるからである。
少を防止するために添加する。その含有量は0.03〜0.10
重量部とする。これは、0.03重量部未満の場合にはその
効果は十分でなく、0.10重量部を超えると焼成の際に割
れを生じることがあるからである。
【0036】これらの組成の他、フェライトの特性に大
きく影響しない限りにおいて、多少の不可避的不純物の
混在は許容できる。
きく影響しない限りにおいて、多少の不可避的不純物の
混在は許容できる。
【0037】チップインダクタの製造は、通常の方法で
おこなえばよい。すなわちまず一般のフェライトの製造
方法と同様、主成分および助剤を混合して仮焼し、仮焼
粉を粉砕して整粒した後、バインダー液を加えて十分混
練し、プレス成形後ドクターブレード法などにより、グ
リーンシートに成形する。このグリーンシート上に導電
体ペーストを印刷後、シートを積層し、所定形状に切断
後、800〜860℃にて0.5〜5.0時間焼成する。これは焼成
温度は800℃を下回ると焼結不十分となり、磁気特性、
機械的強度、とも不十分なものになり、860℃を超える
と、内部導体が細くなったり、消失したりして健全なチ
ップインダクタが得られなくなるからである。また焼成
は、0.5時間未満では焼結が不十分となり、一方5.0時間
を超えて加熱を続けても、性能の向上はほとんど認めら
れないので、0.05〜5.0時間とする。焼成後、内部導体
と接続する導体部分に入出力用端部電極を取り付け、チ
ップインダクタとする。
おこなえばよい。すなわちまず一般のフェライトの製造
方法と同様、主成分および助剤を混合して仮焼し、仮焼
粉を粉砕して整粒した後、バインダー液を加えて十分混
練し、プレス成形後ドクターブレード法などにより、グ
リーンシートに成形する。このグリーンシート上に導電
体ペーストを印刷後、シートを積層し、所定形状に切断
後、800〜860℃にて0.5〜5.0時間焼成する。これは焼成
温度は800℃を下回ると焼結不十分となり、磁気特性、
機械的強度、とも不十分なものになり、860℃を超える
と、内部導体が細くなったり、消失したりして健全なチ
ップインダクタが得られなくなるからである。また焼成
は、0.5時間未満では焼結が不十分となり、一方5.0時間
を超えて加熱を続けても、性能の向上はほとんど認めら
れないので、0.05〜5.0時間とする。焼成後、内部導体
と接続する導体部分に入出力用端部電極を取り付け、チ
ップインダクタとする。
【0038】
【実施例】〔実施例1〕表1に示す調合組成比とした原
料を各々250g秤量し、1Lの純水とともにジルコニア粉
砕用ボールを使用した2Lのボールミルにて24時間混合
後、乾燥し、ジルコニアるつぼにて730℃の仮焼合成を
おこなった。仮焼材は、X線回折により所要の化合物が
得られていることを確認してから、ボールミルにて粉砕
し、乾燥後メッシュふるいにて分別して、仮焼粉の粒子
径が0.6〜0.8μmとなるように整粒した。これに10重量
%PVA溶液を添加して、ライカイ機にて造粒し、造粒
粉を金型にてプレスし成形した後、大気中にて850℃、
3.0時間の焼成をおこない、外径16mm、内径8mm、厚さ3m
mのリング状の焼結試験片を作製した。試験片の密度
は、液中秤量法により測定し、透磁率は日本ヒューレッ
トパッカード社製のインピーダンス測定装置(HP4291
A)および透磁率測定装置(HP16454A)を用いて、1.0MH
zにおける値を求めた。
料を各々250g秤量し、1Lの純水とともにジルコニア粉
砕用ボールを使用した2Lのボールミルにて24時間混合
後、乾燥し、ジルコニアるつぼにて730℃の仮焼合成を
おこなった。仮焼材は、X線回折により所要の化合物が
得られていることを確認してから、ボールミルにて粉砕
し、乾燥後メッシュふるいにて分別して、仮焼粉の粒子
径が0.6〜0.8μmとなるように整粒した。これに10重量
%PVA溶液を添加して、ライカイ機にて造粒し、造粒
粉を金型にてプレスし成形した後、大気中にて850℃、
3.0時間の焼成をおこない、外径16mm、内径8mm、厚さ3m
mのリング状の焼結試験片を作製した。試験片の密度
は、液中秤量法により測定し、透磁率は日本ヒューレッ
トパッカード社製のインピーダンス測定装置(HP4291
A)および透磁率測定装置(HP16454A)を用いて、1.0MH
zにおける値を求めた。
【0039】
【表1】
【0040】表1に、焼結密度および透磁率の測定結果
をあわせて示す。主成分の組成および助剤の含有量が本
発明にて定める範囲内にあるものは、いずれも焼結密度
および透磁率がすぐれ、目標としたフェライトの特性
(焼結密度:5.0g/cm3以上、および1.0 MHzおけるに透
磁率:320以上)を具備したものとなることが明らかで
ある。ここで試料番号13は焼成後試験片が保持台に溶着
し、試料番号17は焼成後割れが発生して、いずれも物性
評価のための健全な試料を得ることができなかった。な
お試料番号は14は、焼結密度、透磁率とも良好である
が、内部導体の拡散消失を生ずるおそれがある。
をあわせて示す。主成分の組成および助剤の含有量が本
発明にて定める範囲内にあるものは、いずれも焼結密度
および透磁率がすぐれ、目標としたフェライトの特性
(焼結密度:5.0g/cm3以上、および1.0 MHzおけるに透
磁率:320以上)を具備したものとなることが明らかで
ある。ここで試料番号13は焼成後試験片が保持台に溶着
し、試料番号17は焼成後割れが発生して、いずれも物性
評価のための健全な試料を得ることができなかった。な
お試料番号は14は、焼結密度、透磁率とも良好である
が、内部導体の拡散消失を生ずるおそれがある。
【0041】〔実施例2〕表1の試料番号3の組成のフ
ェライト素材を用い、実施例1と同様にしてプレスによ
り柱状成型品を作り、ドクターブレード法により厚さ70
μmのグリーンシートを作製した。シート表面に内部導
体となるAg単一組成ペーストを所要パターンにスクリ
ーン印刷し、シート間の内部導体の間の接続はスルーホ
ールを用い、そこへ導電ペーストを充填してシートを積
層圧着後、所定のチップサイズに切断し、大気中で850
℃、3.0時間の焼成をおこなった。なお、内部導体とし
ては、幅150μm、厚さ20μmの線路を印刷した。チップ
インダクタは、図1にその模式的外観図を示す 2125サ
イズ(長さ2.0mm、幅1.25mm、厚さ0.6m)のもので、図
2にその内部導体の形と積層方法を模式的に示す。
ェライト素材を用い、実施例1と同様にしてプレスによ
り柱状成型品を作り、ドクターブレード法により厚さ70
μmのグリーンシートを作製した。シート表面に内部導
体となるAg単一組成ペーストを所要パターンにスクリ
ーン印刷し、シート間の内部導体の間の接続はスルーホ
ールを用い、そこへ導電ペーストを充填してシートを積
層圧着後、所定のチップサイズに切断し、大気中で850
℃、3.0時間の焼成をおこなった。なお、内部導体とし
ては、幅150μm、厚さ20μmの線路を印刷した。チップ
インダクタは、図1にその模式的外観図を示す 2125サ
イズ(長さ2.0mm、幅1.25mm、厚さ0.6m)のもので、図
2にその内部導体の形と積層方法を模式的に示す。
【0042】用いたフェライトの透磁率は 350(1MHz)
で、この積層チップインダクタの素子特性は下記の通り
であった。
で、この積層チップインダクタの素子特性は下記の通り
であった。
【0043】 素子インピーダンス |Z|(100MHz): 250 Ω 素子インダクタンス L (100MHz) : 300 nH 直流ライン抵抗 : 35 mΩ これからわかるように、本発明による積層チップインダ
クタは、直流ライン抵抗が小さく、インダクタンスがき
わめて大きい。
クタは、直流ライン抵抗が小さく、インダクタンスがき
わめて大きい。
【0044】
【発明の効果】本発明により、従来のものより低温で焼
結可能であり、かつAgの拡散による内部導体消失を抑
止しできる酸化物磁性体、すなわちソフトフェライトが
得られる。このフェライトは、とくに大電流使用を対象
として内部導体に電気抵抗の小さいAg単体を用いる積
層チップインダクタに最適であり、インダクタの性能を
向上させ、その使用範囲を大きく拡大させることができ
る。
結可能であり、かつAgの拡散による内部導体消失を抑
止しできる酸化物磁性体、すなわちソフトフェライトが
得られる。このフェライトは、とくに大電流使用を対象
として内部導体に電気抵抗の小さいAg単体を用いる積
層チップインダクタに最適であり、インダクタの性能を
向上させ、その使用範囲を大きく拡大させることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】積層チップインダクタの外観を模式的に示した
図である。
図である。
【図2】積層チップインダクタの内部導体のパターン
と、それを積層する状態を模式的に示した図である。
と、それを積層する状態を模式的に示した図である。
【図3】B2O3の含有量の異なる酸化物磁性体の焼成温
度とその際の線熱収縮率を調査した例を示した図であ
る。
度とその際の線熱収縮率を調査した例を示した図であ
る。
【符号の説明】 1 フェライトの積層焼結体部分 2 入出力用端部電極 3 フェライトシート 4 内部導体 5 入出力電極と接続する導電部分 6 下層内部導体との接続用スルーホール 7 上層内部導体との接続点
Claims (4)
- 【請求項1】Fe2O3:44.0〜49.5モル%、CuO:1
2.0〜20.0モル%、NiO:10.0〜30.0モル%、および
ZnO:上記3成分の残部、である主成分と、主成分10
0重量部に対し、BaO:0.03〜0.15重量部、B2O3:
0.10〜0.30重量部およびAg2O:0.03〜0.10重量部の
助剤からなることを特徴とする焼結酸化物磁性材。 - 【請求項2】酸化物原料を仮焼合成し粉砕整粒した粉体
を用いて所定形状に成形後、800〜860℃にて0.5〜5.0時
間焼成をおこなうことを特徴とする、請求項1に記載の
焼結酸化物磁性材の製造方法 - 【請求項3】Agを単一組成成分とする内部導体と、請
求項1に記載の焼結酸化物磁性材のソフトフェライトと
からなることを特徴とする積層チップインダクタ。 - 【請求項4】焼成後Agが単一組成成分となる内部導体
素材と、焼成によって請求項1に記載の焼結酸化物磁性
材となるソフトフェライトのグリーンシートとにより、
所定の回路積層体を成形後、800〜860℃にて0.5〜5.0時
間の一体化焼成をおこなうことを特徴とする、請求項3
に記載の積層チップインダクタの製造方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP10116394A JPH11307335A (ja) | 1998-04-27 | 1998-04-27 | 酸化物磁性材および積層チップインダクタとその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP10116394A JPH11307335A (ja) | 1998-04-27 | 1998-04-27 | 酸化物磁性材および積層チップインダクタとその製造方法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH11307335A true JPH11307335A (ja) | 1999-11-05 |
Family
ID=14685960
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP10116394A Pending JPH11307335A (ja) | 1998-04-27 | 1998-04-27 | 酸化物磁性材および積層チップインダクタとその製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH11307335A (ja) |
Cited By (4)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2003532285A (ja) * | 1998-07-06 | 2003-10-28 | ミッドコム インコーポレーテッド | 磁心の内部に電気接続を有する多層変成器 |
| JP2010165964A (ja) * | 2009-01-19 | 2010-07-29 | Murata Mfg Co Ltd | 積層コイル部品およびその製造方法 |
| US8004383B2 (en) | 2007-09-14 | 2011-08-23 | Murata Manufacturing Co., Ltd. | Multilayer coil component and method for manufacturing the same |
| WO2026069815A1 (ja) * | 2024-09-24 | 2026-04-02 | 株式会社村田製作所 | インダクタ |
-
1998
- 1998-04-27 JP JP10116394A patent/JPH11307335A/ja active Pending
Cited By (6)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2003532285A (ja) * | 1998-07-06 | 2003-10-28 | ミッドコム インコーポレーテッド | 磁心の内部に電気接続を有する多層変成器 |
| US8004383B2 (en) | 2007-09-14 | 2011-08-23 | Murata Manufacturing Co., Ltd. | Multilayer coil component and method for manufacturing the same |
| USRE45645E1 (en) | 2007-09-14 | 2015-08-04 | Murata Manufacturing Co., Ltd. | Multilayer coil component and method for manufacturing the same |
| USRE46353E1 (en) | 2007-09-14 | 2017-03-28 | Murata Manufacturing Co., Ltd. | Multilayer coil component and method for manufacturing the same |
| JP2010165964A (ja) * | 2009-01-19 | 2010-07-29 | Murata Mfg Co Ltd | 積層コイル部品およびその製造方法 |
| WO2026069815A1 (ja) * | 2024-09-24 | 2026-04-02 | 株式会社村田製作所 | インダクタ |
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