JP2003282925A - 受光素子の作製方法 - Google Patents

受光素子の作製方法

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JP2003282925A
JP2003282925A JP2002080703A JP2002080703A JP2003282925A JP 2003282925 A JP2003282925 A JP 2003282925A JP 2002080703 A JP2002080703 A JP 2002080703A JP 2002080703 A JP2002080703 A JP 2002080703A JP 2003282925 A JP2003282925 A JP 2003282925A
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JP2002080703A
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Hikari Hirano
光 平野
Yoshikazu Yamamoto
美和 山本
Satoshi Kamiyama
智 上山
Hiroshi Amano
浩 天野
Isamu Akasaki
勇 赤崎
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Osaka Gas Co Ltd
Original Assignee
Osaka Gas Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 大面積、且つ高感度の受光素子の作製方法を
提供する。 【解決手段】 受光素子の作製方法が、基板上に、単数
または複数の半導体層を備えてなる下地構造を形成する
工程と、前記下地構造上に、III族窒化物からなる受
光領域を含む単数または複数の半導体層を備えてなるデ
バイス構造を形成する工程とを含み、前記下地構造が有
機金属気相成長法により形成され、前記デバイス構造の
内の少なくとも前記受光領域の形成に係る前記III族
窒化物が、分子線エピタキシにより形成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、受光素子の作製方
法に関し、詳細には、多層構造の受光素子を形成する際
に使用される堆積技術に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、III族窒化物半導体を用い
た受光素子が作製されている。これらのIII族窒化物
半導体は直接遷移型の半導体であり、且つそのバンドギ
ャップエネルギは紫外域の光を吸収できる程度に広いた
め、紫外線受光素子の受光領域として採用することもで
きる。ただし、感度の良い受光素子が必要である場合に
は、受光領域の形成に係るIII族窒化物半導体の結晶
品質が良好であることが求められるのだが、上述のII
I族窒化物半導体と下地の基板(一般的にはサファイア
基板)との間には格子定数(格子間隔)の不整合という
問題が存在する。両者の間に格子定数の不整合が存在す
る場合、基板上に成長するIII族窒化物半導体に転位
が発生し、その転位による準位によって光キャリアがト
ラップされるなどして、受光感度が低下するという問題
が発生する。
【0003】以上の問題点を克服するため、即ち、受光
領域の形成に係るIII族窒化物半導体の結晶品質を良
好なものとするために、有機金属気相成長法(MOCV
D法)を用いて、まず、サファイア基板上に、低温(約
600℃)で堆積されたAlN層と、結晶改善層である
GaN層と、低温堆積されたAlN層とが順次形成され
た下地構造を設け、その下地構造上に、有機金属気相エ
ピタキシー(MOVPE法)を用いて、例えば、n型半
導体層、i型半導体層(受光領域)、およびp型半導体
層などが順次積層され、その内の単数または複数の半導
体層により受光領域が形成されるデバイス構造を設けて
いた。このような、基板と、下地構造と、デバイス構造
とを備えてなる素子構造を採用した場合、デバイス構造
の形成に係るIII族窒化物半導体と基板との間に存在
する格子不整合による影響が緩和され、デバイス構造に
含まれる受光領域の形成に係るIII族窒化物半導体の
結晶品質を比較的良好なものとすることができていた。
【0004】ここで、有機金属気相成長法(MOCVD
法およびMOVPE法)を用いてGaN、AlN、Al
GaN、InAlGaNなどのIII族窒化物半導体を
成長させる際に使用される原料については、Ga源とし
てトリメチルガリウム:TMGaが使用され、Al源と
してトリメチルアルミニウム:TMAlが使用され、I
n源としてトリメチルインジウム:TMInが使用され
ることが一般的であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ここで、受光素子を火
炎センサとしての用途に使用する場合、太陽光や各種照
明機器からの室内光とは区別して、火炎からの光のみを
受光するという高い波長選択性を有することが要求され
る。具体的には、火炎の光の内の検出対象とする光の波
長範囲における感度が、検出対象としない光の波長範囲
における感度の一万倍以上である程度の波長選択性を有
することが求められる。尚、本明細書での説明において
「感度(単位はA/W)」とは、受光素子に照射される
光強度(W)に対して、どれだけの光電流(A)が発生
したかを示すものであり、同じ強度の光を照射した場
合、発生する光電流が大きいほど感度が高いと言える。
【0006】上述のように、高性能な受光素子に対して
は、高い波長選択性を有することが求められるのだが、
その受光素子を作製する場合に採用される有機金属気相
成長法において原料に使用した各有機金属化合物に含ま
れる炭素原子が、堆積された各膜中に取り込まれること
によって不純物準位が形成される。そして、この不純物
準位による光吸収のために、検出対象としない波長範囲
に感度が現れるといった問題が発生するため、検出対象
とする光の波長範囲における感度を検出対象としない光
の波長範囲における感度の一万倍以上とすることが困難
になるという問題が存在する。
【0007】また、CVD装置を用いて半導体層の成長
を行う場合、通常、半導体層の成長が行われる反応室内
の圧力を約103Pa〜約105Paに設定するが、その
場合には、半導体層の横方向への成長が抑制されるた
め、受光領域の大面積化および結晶品質の均一化が達成
されないという問題がある。
【0008】本発明は上記の問題点に鑑みてなされたも
のであり、その目的は、大面積、且つ高感度の受光素子
の作製方法を提供する点にある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の本発明に係る受光素子の作製方法の第一の特徴構成
は、特許請求の範囲の欄の請求項1に記載の如く、基板
上に、単数または複数の半導体層を備えてなる下地構造
を形成する工程と、前記下地構造上に、III族窒化物
からなる受光領域を含む単数または複数の半導体層を備
えてなるデバイス構造を形成する工程とを含み、前記下
地構造が有機金属気相成長法により形成され、前記デバ
イス構造の内の少なくとも前記受光領域の形成に係る前
記III族窒化物が、分子線エピタキシにより形成され
る点にある。
【0010】上記課題を解決するための本発明に係る受
光素子の作製方法の第二の特徴構成は、特許請求の範囲
の欄の請求項2に記載の如く、IVA族元素のホウ化物
からなる基板上に、III族窒化物からなる受光領域を
含む単数または複数の半導体層を備えてなるデバイス構
造を形成する工程を含み、前記デバイス構造の内の少な
くとも前記受光領域の形成に係るIII族窒化物が、分
子線エピタキシにより形成される点にある。
【0011】上記課題を解決するための本発明に係る受
光素子の作製方法の第三の特徴構成は、特許請求の範囲
の欄の請求項3に記載の如く、上記第二の特徴構成に加
えて、前記ホウ化物がZrB2である点にある。
【0012】上記課題を解決するための本発明に係る受
光素子の作製方法の第四の特徴構成は、特許請求の範囲
の欄の請求項4に記載の如く、上記第二または第三の特
徴構成に加えて、前記デバイス構造を形成する工程に先
立って、前記基板上に、単数または複数の半導体層を備
えてなる下地構造を有機金属気相成長法により形成する
工程を含む点にある。
【0013】上記課題を解決するための本発明に係る受
光素子の作製方法の第五の特徴構成は、特許請求の範囲
の欄の請求項5に記載の如く、上記第一から第四の特徴
構成に加えて、前記デバイス構造の光入射面側に、前記
デバイス構造における入射光の反射率を低減させる反射
防止手段を形成する工程を含む点にある。
【0014】上記課題を解決するための本発明に係る受
光素子の作製方法の第六の特徴構成は、特許請求の範囲
の欄の請求項6に記載の如く、上記第一から第五の特徴
構成に加えて、前記受光領域の形成に係るIII族窒化
物のバンドギャップエネルギが3.6eV以上である点
にある。
【0015】上記課題を解決するための本発明に係る受
光素子の作製方法の第七の特徴構成は、特許請求の範囲
の欄の請求項7に記載の如く、上記第六の特徴構成に加
えて、前記受光領域の形成に係るIII族窒化物のバン
ドギャップエネルギが4.0eV以下である点にある。
【0016】上記課題を解決するための本発明に係る受
光素子の作製方法の第八の特徴構成は、特許請求の範囲
の欄の請求項8に記載の如く、上記第六の特徴構成に加
えて、前記受光領域の形成に係るIII族窒化物のバン
ドギャップエネルギが4.1eV以上である点にある。
【0017】上記課題を解決するための本発明に係る受
光素子の作製方法の第九の特徴構成は、特許請求の範囲
の欄の請求項9に記載の如く、上記第八の特徴構成に加
えて、前記受光領域の形成に係るIII族窒化物のバン
ドギャップエネルギが4.4eV以上である点にある。
【0018】上記課題を解決するための本発明に係る火
炎センサの特徴構成は、特許請求の範囲の欄の請求項1
0に記載の如く、請求項6から請求項9の何れか1項に
記載の受光素子の作製方法を用いて作製された点にあ
る。
【0019】以下に作用並びに効果を説明する。本発明
に係る受光素子の作製方法の第一の特徴構成によれば、
受光領域の形成に係るIII族窒化物を形成する工程が
分子線エピタキシにより行われるので、受光領域には炭
素がほとんど存在しない受光素子を形成することができ
る。従って、III族窒化物中に取り込まれた場合に、
光吸収に寄与する不純物準位を形成して、受光素子に対
して不必要な感度を持たせる働きをする炭素が膜中にほ
とんど存在しないことから、波長選択性が良好で、微弱
な光が照射された場合であっても感度良く検出すること
ができる受光素子を提供することができる。また、分子
線エピタキシにより受光領域が形成されるので、受光領
域の大面積化および受光領域の結晶品質の均一化を達成
することができる。更に、受光領域の大面積化および受
光領域の結晶品質の均一化を達成することができること
から、1枚のウェハから高い歩留まりで多数の受光素子
を得ることも可能であり、MBE装置による成膜速度が
低いとしても、受光素子を作製する際に必要なトータル
コストを低くすることができる。
【0020】本発明に係る受光素子の作製方法の第二の
特徴構成によれば、受光領域の形成に係るIII族窒化
物を形成する工程が分子線エピタキシにより行われるの
で、受光領域には炭素がほとんど存在しない受光素子を
形成することができる。従って、III族窒化物中に取
り込まれた場合に、光吸収に寄与する不純物準位を形成
して、受光素子に対して不必要な感度を持たせる働きを
する炭素が膜中にほとんど存在しないことから、波長選
択性が良好で、微弱な光が照射された場合であっても感
度良く検出することができる受光素子を提供することが
できる。また、分子線エピタキシにより受光領域が形成
されるので、受光領域の大面積化および受光領域の結晶
品質の均一化を達成することができる。更に、受光領域
の大面積化および受光領域の結晶品質の均一化を達成す
ることができることから、1枚のウェハから高い歩留ま
りで多数の受光素子を得ることも可能であり、MBE装
置による成膜速度が低いとしても、受光素子を作製する
際に必要なトータルコストを低くすることができる。
【0021】更に、受光領域を含むデバイス構造が、I
II族窒化物と格子定数が同等であるIVB族元素(チ
タン、ジルコニウム、ハフニウム等)のホウ化物からな
る基板上に形成されるので、受光領域を含むデバイス構
造の結晶品質を良好なものとすることができる。
【0022】本発明に係る受光素子の作製方法の第三の
特徴構成によれば、IVA族元素のホウ化物の内のZr
B2が基板材料として使用されるので、III族窒化物
の格子定数とZrB2の結晶成長面の格子間隔とをほぼ
同等とすることができる。その結果、基板上に形成され
るデバイス構造(III族窒化物半導体)の結晶品質を
良好なものとすることができる。
【0023】本発明に係る受光素子の作製方法の第四の
特徴構成によれば、緩衝層となるべき半導体層が有機金
属気相成長法によって基板上に形成された後で、デバイ
ス構造が形成されるので、そのデバイス構造の結晶品質
を良好なものとすることができる。
【0024】本発明に係る受光素子の作製方法の第五の
特徴構成によれば、受光領域上の入射光側に反射防止手
段が設けられていることで、反射防止手段を設けていな
い場合に比べて受光領域に入射される光量(エネルギ
量)を増大させることができる。その結果、受光領域に
おける光電変換効率が増大されたことと等価であること
から、火炎からの光の強度が弱くても感度良く検出する
ことができる受光素子を提供することができる。
【0025】本発明に係る受光素子の作製方法の第六の
特徴構成によれば、上記受光領域のバンドギャップエネ
ルギが3.6eV以上であることで、波長約344nm
(3.6eV)以下の波長の光、即ち、波長約344n
m以下の波長域に現れる火炎の光を上記受光領域によっ
て選択的に検出することができる受光素子を得ることが
できる。
【0026】本発明に係る受光素子の作製方法の第七の
特徴構成によれば、上記受光領域において3.6eV以
上4.0eV以下のエネルギを有する光が吸収されるこ
とで、波長約310nm(4.0eV)〜344nm
(3.6eV)の範囲の波長の光、即ち、火炎の光の中
でも特に炭化水素を含む化合物を燃焼させた場合に観測
されるOHラジカルの発光に起因する発光ピークを良好
に検出することができる受光素子を得ることができる。
特に、受光素子の設置場所がエンジン内部などの閉鎖さ
れた空間である場合には、屋外に設置された場合には同
時に観測される各種照明機器からの室内光や太陽光とい
った光が存在することがないため、火炎の光のみを良好
に検出することができる。
【0027】本発明に係る受光素子の作製方法の第八の
特徴構成によれば、上記受光領域のバンドギャップエネ
ルギが4.1eV以上であることで、波長約300nm
(4.1eV)以下の波長の光、即ち、火炎の光を上記
受光領域によって検出することができる受光素子を得る
ことができる。更に、波長約300nmを超える波長の
光、即ち、各種照明機器などからの室内光に対しては上
記受光領域が感度を有さないので、火炎の光に対して選
択的に感度を有する受光素子を得ることができる。
【0028】本発明に係る受光素子の作製方法の第九の
特徴構成によれば、上記受光領域のバンドギャップエネ
ルギが4.4eV以上であることで、波長約280nm
(4.4eV)以下の波長の光、即ち、火炎の光を上記
受光領域によって検出することができる受光素子を得る
ことができる。更に、波長約280nmを超える波長の
光、即ち、各種照明機器などからの室内光および太陽光
(自然光)に対しては上記受光領域が感度を有さないの
で、火炎の光に対して選択的に感度を有する受光素子を
得ることができる。
【0029】本発明に係る火炎センサの特徴構成によれ
ば、受光領域の形成に係るIII族窒化物のバンドギャ
ップエネルギが火炎の光に対して選択的に感度を有する
ような値に調整され、同時に、受光素子に対して不必要
な感度を持たせる働きをする炭素の膜中含有量が低減さ
れた火炎センサが提供される。従って、検出対象とする
波長範囲(火炎の光が含まれる範囲)における感度と、
検出対象としない波長範囲(太陽光や室内光などの外乱
光が含まれる範囲)における感度との間の感度差が大き
い火炎センサが得られることから、照射される火炎の光
強度が小さい場合であっても、その存在を外乱光と区別
して感度良く検出することができる。
【0030】
【発明の実施の形態】以下に本発明に係る受光素子の作
製方法について図面を参照して説明する。図1に例示す
るのは、受光素子を構成する半導体層の成膜が行われる
成膜装置の構成図である。この成膜装置は、CVD(気
相成長法)装置1とMBE(分子線エピタキシ)装置2
とがトンネル3によって連結され、膜の堆積が行われる
基板がそのトンネル3を搬送されるような構成になって
いる。従って、CVD装置1を使用して得られた膜が大
気に触れること無しにMBE装置2に搬送され、MBE
装置2を使用して更に膜の堆積が行われるような成膜プ
ロセス、またはMBE装置2での成膜の後にCVD装置
1での成膜を行うようなプロセスを実施することができ
る。
【0031】本実施形態において使用されるCVD装置
1は、有機金属気相成長法によって成膜を行うことがで
きる一般的な装置が用いられる。詳細には、キャリアガ
スを流して、液体の有機金属原料を気化し、その原料を
キャリアガスで反応室内に供給する。そして、供給され
た原料が反応室内に設けられた基板に堆積して、所望の
膜を得ることができる。また、原料が気体の場合には、
キャリアガスを使用せずに、原料を直接反応室内に供給
すればよい。具体的には、GaN、AlN、AlGa
N、InGaN、InAlGaNなどのIII族窒化物
半導体の成膜を行いたい場合、ガリウム源としてトリメ
チルガリウム(TMGa)、TEGa(トリエチルガリ
ウム)が使用され、アルミニウム源としてトリメチルア
ルミニウム(TMAl)、TEAl(トリエチルアルミ
ニウム)が使用され、インジウム源としてトリメチルイ
ンジウム(TMIn)、TEIn(トリエチルインジウ
ム)が使用され、窒素源としてアンモニアが一般的に使
用される。
【0032】従って、液体のTMGaまたはTEGaを
貯蔵する原料タンク、液体のTMAlまたはTEAlを
貯蔵する原料タンク、液体のTMInまたはTEInを
貯蔵する原料タンク、および気体のアンモニアを貯蔵す
る原料タンクをそれぞれ用意し、TMGaまたはTEG
a、TMAlまたはTEAl、およびTMInまたはT
EInに対してはキャリアガス(窒素、水素など)を用
いて気化させると共に、反応室に供給する流量を調整す
る。また、アンモニアはそのガス流量を調整して、反応
室に直接供給される。
【0033】CVD装置1の反応室内に供給された原料
ガスは、反応室に設けられた原料ガスの活性化手段によ
って、基板の結晶成長面に堆積する。原料ガスの活性化
手段としては、加熱手段、プラズマ発生手段などが代表
的なものであり、供給された原料ガスが複数種の元素を
含む場合には、活性化された各元素が化合物を形成して
基板の結晶成長面に堆積成長される。尚、原料ガスの種
類によってその活性化の度合は様々であり、基板の表面
付近で分解される有機金属材料や、基板の表面に到達す
る以前に分解される有機金属材料などがある。
【0034】また、ドーパントを用いて不純物半導体を
作製する場合、Siドープの場合のドーパントとしてジ
シランまたはシランを使用し、Mgドープの場合のドー
パントとしてMeCp2Mg(ビスメチルシクロペンタ
ンマグネシウム)またはEtCp2Mg(ビスエチルシ
クロペンタンマグネシウム)を使用し、Beドープの場
合のドーパントとしてCp2Be(シクロペンタンベリ
リウム)またはMeCp2Mg(ビスメチルシクロペン
タンベリリウム)を使用することができる。
【0035】本実施形態において使用されるMBE装置
2においては、成膜されるGa、Al、Inなどの金属
材料は、それぞれ金属ターゲットを用いたスパッタリン
グによって供給することができる。或いは、TMGa、
TEGa、TMAl、TEAl、TMIn、TEInの
ような有機金属をガスソースとして使用することもでき
る。窒素材料は、アンモニアガスまたは窒素イオンを用
いることができる。また、ドーパントを用いて不純物半
導体を作製する場合、ドーパントとなるSi、Mg、B
eなどの各金属単体や金属化合物を金属ターゲットとし
たスパッタリングによって、不純物を供給することがで
きる。
【0036】以上のようなCVD装置1およびMBE装
置2を使用して形成された受光素子の構造について図2
に例示する。
【0037】図2に示す受光素子30は、基板10上
に、下地構造と、デバイス構造とが順次堆積されて形成
される。下地構造は、基板10上に、低温堆積緩衝層1
1と、結晶改善層12と、低温堆積中間層13とを順次
堆積することで得られる。また、デバイス構造は、下地
構造上に、n型半導体層14と、受光領域として作用す
るi型半導体層15と、p型半導体層16と、p型コン
タクト層17とを順次堆積し、それらの堆積層を部分的
にエッチングすることで露出されたn型半導体層14の
表面に電極18(負極)を設け、p型コンタクト層17
の表面に電極19(正極)を設けることで得られる。
【0038】上述した基板、下地構造、およびデバイス
構造の各材料は、例えば、基板10はサファイアであ
り、低温堆積緩衝層11はAlN(厚さ20nm)であ
り、結晶改善層12はGaN(厚さ1μm)であり、低
温堆積中間層13はAlN(厚さ20nm)であり、n
型半導体層14(厚さ1μm)とi型半導体層15(厚
さ100〜200nm)とp型半導体層16(厚さ80
nm)とは単結晶InxAlyGa1-x-yN(0≦x≦
1、0≦y≦1)である。また、p型コンタクト層17
はp−GaNまたはアルミニウム組成比yの小さいAl
yGa1-yN(厚さ20nm)である。更に、電極18お
よび電極19はTi、Ni、Al、Auなどの金属を使
用して形成される。また、電極18とn型半導体層14
との間、および電極19とp型コンタクト層17との間
の電気的な特性はオーミックな状態である。また、光が
電極19側からi型半導体層15に入射するように構成
されているため、電極19は光を透過させることができ
る構成であることが必要である。従って、電極19は、
メッシュ状電極または透明導電性電極の形態で作製され
る。尚、上述した膜厚の値は用途に応じて他の値に変更
可能である。
【0039】尚、上記下地構造の役割は、デバイス構造
の結晶品質を良好なものとすることである。サファイア
基板10の結晶成長表面における格子間隔と、デバイス
構造を構成するInxAlyGa1-x-yN(0≦x≦1、
0≦y≦1)の格子定数との間には大きな差が存在する
が、下地構造によってその格子不整合を緩和し、AlG
aN層を成長させる際に加わる格子不整合による応力を
非常に小さくさせることができる。その結果、デバイス
構造中のAlGaN層の結晶品質を良好にすることがで
きる。
【0040】以上のような受光素子を構成することで、
電極19側から照射された光が、受光領域として作用す
るi型半導体層15に入射し、i型半導体層15のバン
ドギャップエネルギに相当するエネルギの光を吸収して
光キャリアを発生する。そして、電極18および電極1
9の間に印加された逆バイアス電圧によって上記光キャ
リアが光電流として取り出され、その電流の大きさから
受光した光の強度が導出される。
【0041】次に、図2に示した受光素子の各層を形成
する方法について説明する。図2に例示した構造の受光
素子を作製する場合、下地構造を構成する低温堆積干渉
層11、結晶改善層12、低温堆積中間層13の各層
は、CVD装置1を用いた有機金属気相成長法により形
成される。n型半導体層14、p型半導体層16、およ
びp型コンタクト層17は、CVD装置1を用いた有機
金属気相成長法またはMBE装置2を用いたエピタキシ
ャル成長によって形成することができるが、受光領域の
形成に係るi型半導体層15に隣接するn型半導体層1
4およびp型半導体層16については、MBE装置2を
用いたエピタキシャル成長によって形成し、膜中に炭素
が含まれないように構成することが好ましい。
【0042】従って、MBE装置2を用いて形成された
i型半導体層15中には不純物準位を形成し得る炭素が
ほとんど含まれないことから、この受光素子が、炭素に
よる不純物準位を起源とする感度を示さないようにする
ことができる。その結果、波長選択性が良好で、微弱な
光が照射された場合であっても感度良く検出することが
できる受光素子を提供することができる。特に、検出対
象とする波長域の光強度が微弱である状況で使用される
火炎センサとしてこの受光素子を使用する場合には、検
出対象とする光の波長範囲における感度と、検出対象と
しない光の波長範囲における感度との間の差が大きいこ
とが要求されるため、本実施形態の持つ意味が大きくな
る。また、MBE装置2により受光領域が形成されるの
で、受光領域の大面積化および受光領域の結晶品質の均
一化を達成することができる。
【0043】ここで、受光領域として作用するi型半導
体層15、並びにn型半導体層14およびp型半導体層
16を構成するInxAlyGa1-x-yN(0≦x≦1、
0≦y≦1)のバンドギャップエネルギはインジウム組
成比xおよびアルミニウム組成比yを変えることで調整
され、インジウム組成比xおよびアルミニウム組成比y
とInAlGaNのバンドギャップエネルギとは図3に
示すような関係で表される。図3から読み取れるよう
に、インジウム組成比xおよびアルミニウム組成比yを
変えることで、InxAlyGa1-x-yNのバンドギャッ
プエネルギを1.9eVから6.2eVにまで調整する
ことができる。或いは、受光領域で吸収可能な光の波長
範囲は約200nm〜約650nmの間で調整可能であ
る。また、受光素子において火炎の光を検出する場合に
は、図4の発光スペクトルに示すような火炎の発光を吸
収出来るだけのバンドギャップエネルギを有する受光領
域を形成すればよい。尚、図4に示す火炎の発光スペク
トルは、ガス(炭化水素)を燃焼させた際に発生する火
炎のスペクトルである。また、太陽光のスペクトルと、
各種照明機器からの光による室内光のスペクトルも同時
に示す。
【0044】以下には、紫外線受光素子として使用する
場合の好ましい受光領域のバンドギャップエネルギにつ
いて説明する。従って、バンドギャップエネルギを大き
くするために、インジウムを含まないものとして(イン
ジウム組成比x=0として)説明する。
【0045】受光素子に波長選択性を持たせるために
は、受光領域(AlyGa1-yN)におけるAlの組成比
を調整して、そのバンドギャップエネルギを所望の値に
設定することが行われる。例えば、波長約344nm以
下の波長域に比較的大きい強度で現れる火炎の光を選択
的に受光することのできる火炎センサを作製したい場合
には、受光領域のバンドギャップエネルギが3.6eV
以上となるようにアルミニウム組成比y=0.05、或
いはそれ以上とすればよい。或いは、約300nm以上
の波長域に含まれる、各種照明機器からの光(室内光)
を受光せずに、検出対象波長範囲にある火炎の光を受光
するような火炎センサを作製したい場合には、受光領域
のバンドギャップエネルギが4.1eV以上となるよう
にアルミニウム組成比y=0.25、或いはそれ以上と
すればよい。また或いは、約280nm以上の波長域に
含まれる、太陽光からの光を受光せずに、検出対象波長
範囲にある火炎の光のみを受光するような火炎センサを
作製したい場合には、受光領域のバンドギャップエネル
ギが4.4eV以上となるようにアルミニウム組成比y
=0.35、或いはそれ以上とすればよい。
【0046】或いは、弱い光強度であれば太陽光などの
外乱光が受光領域において吸収されても構わない場合に
は、受光領域のバンドギャップエネルギが4.3eV以
上(波長約290nm以下)となるようにアルミニウム
組成比y=0.31、或いはそれ以上とすればよい。波
長約290nm以下では図4に示すようにそれらの外乱
光の光強度が非常に小さくなり、他方で火炎の光は大き
いので、結果として火炎の光が存在することを検知する
ことができる。
【0047】更に、受光素子がエンジン内部などの閉鎖
空間に設置され、そこで燃焼される燃料の発光を検出し
たい場合には、上述した室内光や太陽光が存在しないた
め、それらを排除するような大きいバンドギャップエネ
ルギを設定する必要はない。そのため、検出対象波長範
囲にある火炎の光の中でも特に炭化水素を含む化合物
(エンジンで燃焼される燃料)を燃焼させた場合に観測
されるOHラジカルの発光に起因する発光ピーク(波長
約310nm(310nm±10nm):4.0eV)
の光(波長310nm以上344nm以下の火炎の光)
を選択的に受光することのできる受光素子を作製した場
合には、受光領域のバンドギャップエネルギが3.6e
V以上4.0eV以下となるように、アルミニウム組成
比yを0.05以上0.23以下とすればよい。
【0048】尚、上述したインジウム組成比xおよびア
ルミニウム組成比yとInAlGaNのバンドギャップ
エネルギとの関係は理論値に基づいて説明したものであ
り、インジウム組成比xおよびアルミニウム組成比yを
理論値通りにして成膜を行ったとしても実際に得られる
InAlGaN層のバンドギャップエネルギが異なる可
能性もある。例えば、三元混晶化合物であるAlGaN
の場合には、二元化合物であるGaNが生成され易く、
その結果、バンドギャップエネルギが低エネルギ側(長
波長側)にシフトする傾向にある。従って、理論値通り
のバンドギャップエネルギを得たい場合には、アルミニ
ウム組成比を予め大きく設定した上で成膜することが行
われることもある。
【0049】以上のように、デバイス構造中の受光領域
のバンドギャップを調整し、所望の波長の光を受光する
ことについて説明を行ったが、受光領域以外の部分(例
えば、図2のp型半導体層とn型半導体層)のバンドギ
ャップエネルギを受光領域のバンドギャップエネルギ以
上に設計した場合には別の効果を得ることができる。つ
まり、受光領域以外の部分を光透過特性の良好な、受光
領域にとっての窓にすることができるので、受光領域に
入射される光の強度を大きく確保することができる。従
って、外部から受光素子に照射される光が微弱であって
も、その光強度を減衰させることなく受光領域にまで到
達させることができる。
【0050】また、以上の実施形態では、少なくとも、
受光領域の形成に係るi型半導体層15がMBE装置2
を用いて成膜されることで、受光領域中に炭素がほとん
ど含まれないような受光素子の作製方法について説明し
た。しかし、受光領域の形成に係るIII族窒化物半導
体(i型半導体層15)を挟んで配置された半導体層
(受光領域から光キャリアの拡散距離内にある半導体
層)を形成する際にもMBE装置2を用いた成膜方法を
実施し、それらの半導体層中に炭素がほとんど含まれな
いように構成することが好ましい。その場合には、受光
領域に隣接する半導体層において、炭素による不純物準
位を起源とする光キャリアがほとんど発生しないので、
得られる受光素子が検出対象とする光の波長範囲におけ
る感度と検出対象としない光の波長範囲における感度と
の差を大きくすることができる。
【0051】図5に例示する受光素子は、IVA族元素
のホウ化物(Ti、Zr、Hfなど)からなる基板20
上に、デバイス構造を直接堆積させて形成されている。
このデバイス構造は、図2を参照して説明した場合と同
様の構成であり、n型半導体層14と、受光領域として
作用するi型半導体層15と、p型半導体層16と、p
型コンタクト層17とを順次堆積し、それらの堆積層を
部分的にエッチングすることで露出されたn型半導体層
14の表面に電極18(負極)を設け、p型コンタクト
層17の表面に電極19(正極)を設けることで得られ
る。
【0052】具体的な構造としては、基板材料としてZ
rB2を用いている。基板材料としてIVA族元素のホ
ウ化物を用いた場合に得られる効果として、結晶成長面
の格子間隔とIII族窒化物(例えば、AlGaN)の
格子定数との間の差が非常に小さいため、基板上に形成
されるIII族窒化物の結晶品質を良好なものとするこ
とができる点が挙げられる。
【0053】図6に示すのは、受光領域の材料であるA
lyGa1-yN(0≦y≦1)においてアルミニウム組成
比を変化させた場合の格子定数の変化と、AlGaNに
とっての結晶成長面となるZrB2表面の格子間隔を表
すグラフである。また、基板またはAlGaNの下地層
として使用される幾つかの材料(SiCおよびサファイ
ア:Al2O3)についても同様に結晶成長面の格子間隔
を図示する。図6から分かるように、SiC、サファイ
ア:Al2O3などの材料とAlGaNとの間には格子定
数(格子間隔)に差が見られることから、それらの基板
上にAlGaNを成長させる際にはAlGaNに対して
応力が加わり、良好な結晶品質のAlGaNが得られな
いという問題が生じる。尚、従来はこの格子不整合を緩
和させるために、基板とデバイス構造(特に、受光領域
の形成に係る層)との間に結晶改善構造(下地構造)を
挿入することを行っていた。この下地構造の例として
は、図2を参照して説明したものと同様であり、基板上
に、低温堆積されたAlN層(バッファ層)と、GaN
層とが形成されてなるシングルバッファ(SB)の構造
と、基板上に、低温堆積されたAlN層(低温堆積緩衝
層)と、GaN層(結晶改善層)と、低温堆積されたA
lN層(低温堆積中間層)とが形成されてなるダブルバ
ッファ(DB)の構造などがある。
【0054】一方で、基板の材料にZrB2を使用した
場合には、AlyGa1-yN(0≦y≦1)のアルミニウ
ム組成比yが、y=0.29の付近で両者の格子定数
(または格子間隔)が同等になり、その結果、ZrB2
基板上に堆積されたAlGaNの結晶品質を良好なもの
とすることができる。
【0055】図7に示すのは、幾つかの基板または下地
層上にアルミニウム組成比yの異なるAlyGa1-yN
(0≦y≦1)を堆積させた場合の、そのAlGaN層
における欠陥密度を示すグラフである。基板にZrB2
を用いた場合、上述したようにアルミニウム組成比y
が、y=0.29の付近で両者の格子定数(格子間隔)
が同等になることから、アルミニウム組成比yがその付
近にある場合には欠陥密度が約1×106cm-2と非常
に低くなり、更にアルミニウム組成比yが0.2〜0.
4の間での欠陥密度も約1×106cm-2である。
【0056】他方で、上述した下地構造上にAlGaN
層を堆積させた場合のグラフを示す。例として、上述し
たシングルバッファ(SB)の下地構造上にAlGaN
層を堆積させた場合と、ダブルバッファ(DB)の下地
構造上にAlGaN層を堆積させた場合とを示すが、図
中からは、シングルバッファ層構造およびダブルバッフ
ァ層構造上に成長させたとしても、例えば、アルミニウ
ム組成比yが0.2以上の場合にはAlGaN層の欠陥
密度は約6×109cm-2以上であり、ZrB2基板を用
いた場合に比べて非常に大きいことが分かる。
【0057】図6に示した受光素子のデバイス構造の材
料および膜厚などは、図2を参照して説明した場合と同
様である。更に同様に、少なくとも、受光領域の形成に
係るi型半導体層15がMBE装置2を用いて成膜され
ることで、受光領域中に炭素がほとんど含まれないよう
な受光素子を提供することができる。従って、III族
窒化物中に取り込まれた場合に、光吸収に寄与する不純
物準位を形成して、受光素子に対して不必要な感度を持
たせる働きをする炭素が膜中にほとんど存在しないこと
から、波長選択性が良好で、微弱な光が照射された場合
であっても感度良く検出することができる受光素子を提
供することができる。
【0058】以上のように構成された図5(a)に示す
受光素子に対しては、電極19側から光を照射し、i型
半導体層15に光が入射するような形態を採ることがで
きる。その場合には、電極19をメッシュ状電極または
透明導電性電極の形態で作製して、大きな強度の光がi
型半導体層15に到達するようにすればよい。
【0059】また、図5(a)に例示した受光素子の基
板20を除去し、n型半導体層14側から光が入射され
るように構成することもでき、その場合の受光素子を図
5(b)に例示する。図5(b)に例示した受光素子に
おいては、バンドギャップエネルギを大きくした場合
(例えば、AlyGa1-yNにおいてアルミニウム組成比
yを大きくする)であっても、比較的高品質の膜、つま
り光損失の少ない膜を得ることができるn−AlGaN
14を通ってi型半導体層15に光が入射するので、大
きな強度の光がi型半導体層15に到達することを確実
にすることができる。従って、受光素子に照射される光
の強度が微弱であっても、確実に光の存在を検知できる
受光素子を提供することができる。好ましい応用例とし
ては、この受光素子を火炎センサとして用いる場合を挙
げることができる。
【0060】また、図5(b)に例示した受光素子の改
変例として、図8に例示する受光素子を挙げることがで
きる。この受光素子は、電極の配置が上述した受光素子
とは異なる。具体的は、基板20上にn型半導体層14
を堆積させている点は図5の受光素子と同様であるが、
基板20を除去することで露出されたn型半導体14の
表面にオーミックな特性を示す電極21を設けている点
で大きく異なる。また、基板20のすべてを除去する必
要は無く、照射される光が良好にn型半導体層14に入
射することが確保されていれば、部分的に基板材料が残
されていてもよい。その場合、電極21はn型半導体層
14表面に形成してもよいが、IVA族元素の窒化物か
らなる導電性のある基板21の残存部分上に形成するこ
ともできる(つまり、電極21が基板20を備えて構成
される)。
【0061】次に図9に示す受光素子は、図5(a)に
示した受光素子の改変例である。この受光素子において
は、IVA族元素のホウ化物からなる基板20上に、C
VD装置1による有機金属気相成長法を用いて緩衝層2
2を堆積させ、その緩衝層22上にデバイス構造を形成
している。基板20の結晶成長面の格子間隔とデバイス
構造の最下層に設けられるn型半導体層14の格子定数
とは同等であることは上述したが、n型半導体層14の
組成によってはそれらの値が異なることもある。しか
し、図9に示すように基板20上にまず緩衝層を堆積さ
せることで、基板20とn型半導体層14との間に存在
する格子不整合の影響が緩和され、結果として得られる
n型半導体層14の結晶品質を良好なものとすることが
できる。
【0062】緩衝層22の材料は、n型半導体層14と
同じ化合物(同じ格子定数を有する化合物)であること
が好ましい。例えば、n型半導体層14がAlGaNで
ある場合には、緩衝層22もAlGaNであることが好
ましい。また、緩衝層22を複数の層で構成してもよ
い。
【0063】<別実施形態> <1>以上のように受光素子の構成について説明した
が、素子表面で光が反射され、受光領域に入射する光の
強度が小さくなるという問題があり、それを防止するよ
うな反射防止機能を受光素子に備えさせることについて
図10を参照して説明する。
【0064】図10(a)は、反射防止機能を備えた受
光素子の構成図であり、図10(b)は図10(a)に
示した反射防止機能部分の説明図であり、図10(c)
は反射防止機能を備えていない場合の比較例の説明図で
ある。
【0065】まず、図10(a)に示す受光素子は、図
2に例示した素子構造と同様である。異なる点は、電極
19の構成と、電極19が設けられていないp型コンタ
クト層17上の部分に、反射防止手段として作用する光
透過層23が設けられている点である。ここで使用した
光透過層23はAlyGa1-yN(0≦y≦1)であり、
原子の組成を異ならせることで屈折率を調整することが
できる。他にも、弗化マグネシウム(MgF2)、弗化
カルシウム(CaF2)、二酸化珪素(SiO2)等を用
いることができる。尚、AlyGa1-yNを用いた場合に
は、各半導体層と同じ成膜プロセスにおいて作製できる
という利点がある。
【0066】図10(b)は、図10(a)に示した受
光素子中の半導体構造上に備えられた反射防止機能部分
を説明する図である。図中では、空気中の屈折率を
n0、光透過層の屈折率をn1(n1>n0)、p型コンタ
クト層17の屈折率をn2(n2>n1)としている。更
に、比較例として図10(c)には、反射防止機能が備
わっていない場合の反射について説明する。
【0067】まず、図10(a)および図10(b)に
示すように、p型コンタクト層17と光透過層23が設
けられ、上記光透過層23が空気中に露出している場合
と、光透過層23が設けられておらず、p型コンタクト
層17が空気中に露出している場合の2例について、p
型コンタクト層17に垂直に入射する入射光に対する反
射率R1およびR2を以下の数1および数2に示す。ここ
で、光透過層23の膜厚d23は、入射光の四分の一波長
を自身の屈折率で割った値:d23=λ(入射光)/4n
1に設定される。尚、入射光の波長とは、透過させたい
光の波長であり、例えば、火炎の光に対応する260n
m〜280nmの波長である。
【0068】
【数1】 R1=(n0・n2−n1)2/(n0・n2+n1)2
【0069】
【数2】R2=(n0−n2)2/(n0+n2)2
【0070】ここで、p型コンタクト層17の屈折率n
2は、光透過層23の屈折率n1よりも大きいことから、
n0=1とすると、数1と数2とを比較することで、R2
>R 1であることが分かる。従って、光透過層23を設
けた場合にp型コンタクト層17に入射する光の強度
は、設けなかった場合にp型コンタクト層17に入射す
る光よりも大きくなり、実効的に受光素子の光電変換効
率を増大させることができたことになる。その結果、照
射される光を効率よく受光領域に導入することができる
受光素子が提供される。
【0071】<2>上述の実施形態においては、電極1
8および電極19の材料としてTi、Ni、Al、Au
などの金属を使用できることを説明したが、他の材料を
用いても構わない。例えば、ZrB2を電極として使用
することができる。その電極の材料となるZrB2は、
イオンビームスパッタ、レーザアブレーション、CVD
などの蒸着方法により作製することができるが、Zr源
としてZr[N(C2H5)2]4、またはZr(BH4)4
などを使用し、B源としてトリメチルボロンを使用した
MOCVD法を利用してZrB2を作製する場合、図1
を参照して説明した成膜装置を使用して、III族窒化
物と同様のプロセスで作製できるという利点がある。
尚、作製されたZrB2電極上にAl、Au、Ni、T
iなどの金属を更に形成してZrB2電極を保護するよ
うな多層電極を形成してもよい。
【0072】更に、電極材料にZrB2を使用した場合
には、下地の半導体層との間の電気的な特性をオーミッ
クなものとすることができるという利点がある。例え
ば、電極の材料にAl、Au、Ni、Tiなどを使用し
た場合、これらの材料ではIn xAlyGa1-x-yN層
(0≦x≦1、0≦y≦1)との間の電気的な特性をオ
ーミックなものとするためには、アルミニウム組成比y
の値を小さくすることが要求された。しかし、電極の材
料としてZrB2を使用した場合には、アルミニウム組
成比に制限されず、アルミニウム組成比yの値が大きい
場合にも、電極とInAlGaN層との界面の電気的な
特性をオーミックなものとすることができる。
【0073】<3>上述の実施形態では、デバイス構造
がPINダイオード型である受光素子を例に説明をおこ
なったが、PN型、ショットキー型、フォトコンダクタ
などの他の受光素子を構成する場合、それぞれの受光領
域の形成に係る半導体層の形成工程についても本発明を
適用することで上述と同様の効果を得ることができる。
例えば、PNダイオード型であれば、p型半導体層とn
型半導体層との界面に形成される空乏領域が受光領域と
して作用するため、p型半導体層とn型半導体層の両方
が受光領域の形成に係る半導体層であるが、その両方の
半導体層を本発明に係る受光素子の作製方法に従って形
成すればよい。また、本実施形態では、半導体と電極と
の間にコンタクト層を設けた場合を説明したが、必ずし
もコンタクト層を設ける必要はない。
【0074】<4>図1には、CVD装置1とMBE装
置2とがトンネル3によって連結された成膜装置の例を
示したが、本発明に係る受光素子の作製方法を実施する
ことができるのは図1に例示した成膜装置に限定されな
い。例えば、CVD装置1とMBE装置2とが独立した
装置(トンネルによって連結されていない)であり、互
いの装置に基板(および基板上に既に堆積された半導体
層)を移す際に、それが大気に触れるような構成であっ
ても構わない。
【図面の簡単な説明】
【図1】半導体成長装置の概略図である。
【図2】受光素子の断面図である。
【図3】InAlGaNのバンドギャップエネルギを示
すグラフである。
【図4】火炎の光、太陽光、および室内光のスペクトル
を示すグラフである。
【図5】別の受光素子の断面図である。
【図6】AlGaNとZrB2の格子定数を示すグラフ
である。
【図7】AlGaN層における欠陥密度を示すグラフで
ある。
【図8】別の受光素子の断面図である。
【図9】別の受光素子の断面図である。
【図10】(a)は別の受光素子の断面図であり、
(b)および(c)は反射防止手段の機能を説明する図
である。
【符号の説明】
1 CVD装置 2 MBE装置 3 トンネル 10 基板 11 低温堆積緩衝層 12 結晶改善層 13 低温堆積中間層 14 n型半導体層 15 i型半導体層 16 p型半導体層 17 p型コンタクト層 18 電極 19 電極 20 基板 21 電極 22 緩衝層 23 光透過層(反射防止手段)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 上山 智 愛知県名古屋市天白区塩釜口1―501 名 城大学理工学部内 (72)発明者 天野 浩 愛知県名古屋市天白区塩釜口1―501 名 城大学理工学部内 (72)発明者 赤崎 勇 愛知県名古屋市天白区塩釜口1―501 名 城大学理工学部内 Fターム(参考) 5F049 MA04 MB07 NA01 NA10 NB10 PA03 PA04 PA18 SE02 SE09 SS01 SZ03

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に、単数または複数の半導体層を
    備えてなる下地構造を形成する工程と、 前記下地構造上に、III族窒化物からなる受光領域を
    含む単数または複数の半導体層を備えてなるデバイス構
    造を形成する工程とを含み、 前記下地構造が有機金属気相成長法により形成され、 前記デバイス構造の内の少なくとも前記受光領域の形成
    に係る前記III族窒化物が、分子線エピタキシにより
    形成される受光素子の作製方法。
  2. 【請求項2】 IVA族元素のホウ化物からなる基板上
    に、III族窒化物からなる受光領域を含む単数または
    複数の半導体層を備えてなるデバイス構造を形成する工
    程を含み、 前記デバイス構造の内の少なくとも前記受光領域の形成
    に係るIII族窒化物が、分子線エピタキシにより形成
    される受光素子の作製方法。
  3. 【請求項3】 前記ホウ化物がZrB2である請求項2
    に記載の受光素子の作製方法。
  4. 【請求項4】 前記デバイス構造を形成する工程に先立
    って、前記基板上に、単数または複数の半導体層を備え
    てなる下地構造を有機金属気相成長法により形成する工
    程を含む請求項2または請求項3に記載の受光素子の作
    製方法。
  5. 【請求項5】 前記デバイス構造の光入射面側に、前記
    デバイス構造における入射光の反射率を低減させる反射
    防止手段を形成する工程を含む請求項1から請求項4の
    何れか1項に記載の受光素子の作製方法。
  6. 【請求項6】 前記受光領域の形成に係るIII族窒化
    物のバンドギャップエネルギが3.6eV以上である請
    求項1から請求項5の何れか1項に記載の受光素子の作
    製方法。
  7. 【請求項7】 前記受光領域の形成に係るIII族窒化
    物のバンドギャップエネルギが4.0eV以下である請
    求項6に記載の受光素子の作製方法。
  8. 【請求項8】 前記受光領域の形成に係るIII族窒化
    物のバンドギャップエネルギが4.1eV以上である請
    求項6に記載の受光素子の作製方法。
  9. 【請求項9】 前記受光領域の形成に係るIII族窒化
    物のバンドギャップエネルギが4.4eV以上である請
    求項8に記載の受光素子の作製方法。
  10. 【請求項10】 請求項6から請求項9の何れか1項に
    記載の受光素子の作製方法を用いて作製された火炎セン
    サ。
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