JP2003290814A - 金属繊維用複合素材の製造方法及び製造装置 - Google Patents

金属繊維用複合素材の製造方法及び製造装置

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JP2003290814A
JP2003290814A JP2002104339A JP2002104339A JP2003290814A JP 2003290814 A JP2003290814 A JP 2003290814A JP 2002104339 A JP2002104339 A JP 2002104339A JP 2002104339 A JP2002104339 A JP 2002104339A JP 2003290814 A JP2003290814 A JP 2003290814A
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steel pipe
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wire
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Akinobu Yoshizawa
明展 吉澤
Wataru Murata
亘 村田
Yukio Hanatani
幸男 花谷
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 金属繊維原料としての線材2を帯鋼3で被覆
した被覆線材4とし、被覆線材4の多数本を鋼管5に挿
入し、熱間圧延を行って金属繊維用複合素材7とし、こ
れを冷間伸線加工によって伸線し、次いで帯鋼及び鋼管
を除去することによって金属繊維1を製造する方法にお
いて、高価な極低炭素鋼を用いることが必要なく、炭素
鋼のステンレス鋼化をも防止することのできる方法を提
供する。 【解決手段】 被覆線材4の多数本を挿入した鋼管5を
冷間で縮管し、次いで熱間圧延を行うことを特徴とする
金属繊維用複合素材の製造方法及び製造装置。冷間での
縮管はプレス縮管装置15により行う。熱間圧延は、誘
導加熱炉単独又は燃焼式加熱炉と誘導加熱炉で加熱し、
その後圧延を行う。帯鋼3及び鋼管5は、その炭素含有
量が0.04質量%以下である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えばステンレス
鋼等の金属繊維を製造するための金属繊維用複合素材と
その製造方法及び製造装置、並びに金属繊維の製造方法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ステンレス鋼に代表される酸液に対して
難溶解性である金属を繊維の束として製造する場合、金
属繊維原料としての線材の表面を炭素鋼で被覆した被覆
線材とし、この被覆線材の多数本を鋼管に挿入し、熱間
圧延によって金属繊維用複合素材としての線材とし、こ
の線材を冷間伸線して細線化し、化学的に被覆炭素鋼と
鋼管とを溶解除去する方法が知られている。これによ
り、酸液に対して難溶解性である金属のみが繊維として
残存し、直径10μm前後の金属繊維の束を容易に製造
することが可能である。
【0003】金属繊維原料としての線材の表面を炭素鋼
で被覆した被覆線材とする方法としては、内部が金属繊
維原料としての金属で外部が炭素鋼のビレットを熱間で
押出しや圧延を行って製造する方法と、金属繊維原料と
しての線材を帯鋼で被覆して製造する方法とがある。後
者の方法が安価にかつ能率的に金属繊維を製造すること
ができ好ましい。
【0004】ステンレス鋼繊維を上記方法で製造するに
際し、ステンレス鋼線材の表面を被覆する炭素鋼、及び
被覆線材の多数本を挿入する鋼管については、それらの
鋼が含有する炭素含有量が高いと、金属繊維製造過程に
おける熱間加工時にこれらの鋼からステンレス鋼への炭
素の拡散によってステンレス鋼が大きく浸炭を受ける。
その結果、製造した繊維の脆化や耐食性の低下による断
線や強度低下が生じたり、同一断面で特性の均一な繊維
束が得られず、歩留りが低下するという問題が発生す
る。特開昭61−137623号公報においては、ステ
ンレス鋼線材を炭素量0.008wt%以下の極低炭素
鋼帯で被覆して複合線状材を得しめ、この複合線状材の
多数本をステンレス鋼線材よりも炭素含有量の少ない炭
素鋼管に挿入して熱間圧延し、冷間伸線と焼鈍処理を繰
り返して細線化し、化学的に上記両炭素鋼を除去する方
法が開示されている。炭素鋼として極低炭素鋼を用いて
いるので、熱間加工時におけるステンレス鋼への浸炭を
防止することができるとしている。
【0005】上記方法による金属繊維の製造に関して
は、細線化した後に化学的に炭素鋼を除去する方法にお
いては、金属繊維を構成する金属として酸液に対して難
溶解性である金属を用いることができる。具体的にはス
テンレス鋼繊維やチタン繊維を製造する方法として用い
ることができる。また、細線化した後に電気分解法によ
って炭素鋼を除去する方法を採用することも可能であ
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記特開昭61−13
7623号公報に記載のものは、金属繊維原料としての
ステンレス鋼線材を被覆する帯鋼として炭素量0.00
8質量%以下の炭素鋼を使用する必要があり、また被覆
線材を挿入する鋼管についてもステンレス鋼線材よりも
炭素含有量の少ない鋼管を用いる必要がある。これら極
低炭素鋼は高価であり、製造する金属繊維の製造コスト
を増大させる因子となっていた。
【0007】従来の製造方法においては、被覆線材の多
数本を挿入した鋼管の熱間圧延に際し、炭素鋼からステ
ンレス鋼への浸炭のみならず、ステンレス鋼から炭素鋼
へのNiやCrの拡散が生じ、炭素鋼がステンレス鋼化
する現象が見られた。炭素鋼がステンレス鋼化すると、
最終工程の炭素鋼溶解処理時において炭素鋼が溶けにく
くなり、円滑に金属繊維を製造することができなくな
る。
【0008】本発明は、高価な極低炭素鋼を用いること
なく金属繊維を製造することのできる方法を提供するこ
と、及び炭素鋼のステンレス鋼化を防止することのでき
る方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】従来、線材の表面を炭素
鋼で被覆した被覆線材の多数本を鋼管に挿入し、熱間圧
延によって金属繊維用複合素材としての線材を製造する
方法においては、多数本の被覆線材を鋼管に挿入するに
際し、挿入後の鋼管内における被覆線材の充填率はせい
ぜい50〜75%であり(図5(a))、これよりも充
填率を上げようとすると被覆線材の円滑な挿入が困難と
なる。また、熱間圧延には通常の線材圧延と同様のロー
ル圧延を用いている。内部の充填率が75%以下の鋼管
(図5(a))を熱間ロール圧延すると、圧延初期にお
いて鋼管が不均一変形し、左右への噛み出しが生じてそ
の後の圧延が困難となるか、圧延できたとしても繊維の
断面形状および断面直径が不揃いとなり、製品がとれな
くなる。そのため、従来は図6(c)に示すように、熱
間圧延の途中で被圧延材を取り出して冷却した後、左右
の噛み出し部を研削除去、又、形状の悪い端末部を切断
除去した後、再び線材圧延に供する。このため、製品コ
ストが極めて高くなり、形状の悪い端末部を除去するた
め歩留低下にもなる。さらに、品質的には、繊維の形状
が安定しないことと、2回熱間圧延のために加熱炉に2
回装入されており、そのため炭素鋼とステンレス鋼との
間の元素の拡散が激しく進行するため、ステンレス繊維
の耐食性不良、溶解作業性低下等の問題をかかえてい
た。この拡散の問題を解決する手段として、上記特開昭
61−137623号公報に記載のものにおいては、金
属繊維原料としてのステンレス鋼線材を被覆する帯鋼の
炭素量を0.008質量%以下と規定している。また炭
素鋼がステンレス鋼化する現象が発生していたのも2回
に及ぶ熱間圧延が原因であった。また、1回目の熱間圧
延の後に表面研削や端末加工を行う必要があるため、作
業負荷が増大してコスト増大の要因となるという問題が
あった。
【0010】これに対し、図3に示すように、多数本の
被覆線材を挿入した鋼管9をプレス縮管装置14によっ
て冷間でプレス縮管すると、鋼管のみが縮管され被覆線
材は稠密に配列されるので、熱間圧延において有害とな
る不均一変形を起こすことがない程度まで充填率を増大
することができる(図5(b))。充填率の高い鋼管を
熱間圧延した場合には、圧延の途中における不均一変形
は発生せず、1回の熱間圧延で良好な形状の金属繊維用
複合素材を製造することが可能である。熱間圧延が1回
なので炭素鋼とステンレス鋼との間の元素の拡散は僅か
であり、炭素鋼として炭素含有量0.008%以下とい
う高価な極低炭素鋼を使用する必要がなくなり、また炭
素鋼のステンレス鋼化も防止することができる。
【0011】本発明は以上の知見に基づいてなされたも
のであり、その要旨とするところは以下のとおりであ
る。 (1)金属繊維原料としての線材2を帯鋼3で被覆した
被覆線材4とし、被覆線材4の多数本を鋼管5に挿入
し、鋼管5を冷間で縮管し、次いで熱間圧延を行うこと
を特徴とする金属繊維用複合素材の製造方法。 (2)金属繊維原料としての線材2を帯鋼3で被覆した
被覆線材4の多数本を挿入した鋼管5を準備し、該鋼管
を冷間で縮管することを特徴とする金属繊維用複合素材
の製造方法。 (3)前記冷間での縮管はプレス縮管を行うことを特徴
とする上記(1)又は(2)に記載の金属繊維用複合素
材の製造方法。 (4)前記熱間圧延は、誘導加熱炉単独又は燃焼式加熱
炉と誘導加熱炉で加熱し、その後圧延を行うことを特徴
とする上記(1)又は(3)に記載の金属繊維用複合素
材の製造方法。 (5)前記帯鋼3及び鋼管5は、その炭素含有量が0.
04質量%以下であることを特徴とする上記(1)乃至
(4)のいずれかに記載の金属繊維用複合素材の製造方
法。 (6)前記金属繊維原料としての線材2はステンレス鋼
線材であることを特徴とする上記(1)乃至(5)のい
ずれかに記載の金属繊維用複合素材の製造方法。 (7)前記多数本の被覆線材4と共に、鋼管の中心部に
鋼棒6を挿入することを特徴とする上記(1)乃至
(6)のいずれかに記載の金属繊維用複合素材の製造方
法。 (8)上記(1)、(3)乃至(5)のいずれかに記載
の金属繊維用複合素材の製造方法で製造された金属繊維
用複合素材を伸線加工によって伸線し、次いで前記帯鋼
及び鋼管を除去することを特徴とする金属繊維の製造方
法。
【0012】(9)金属繊維原料としての線材2を帯鋼
3で被覆して被覆線材4とする帯鋼被覆装置11と、被
覆線材4の多数本を鋼管5に挿入する挿入装置14と、
該鋼管を冷間で縮管する装置と、縮管した鋼管を圧延す
る熱間圧延装置20とを有することを特徴とする金属繊
維用複合素材の製造装置。 (10)前記冷間で縮管する装置はプレス縮管装置15
であることを特徴とする上記(9)に記載の金属繊維用
複合素材の製造装置。 (11)前記熱間圧延装置20は、誘導加熱炉単独又は
燃焼式加熱炉と誘導加熱炉とを有し、これら加熱炉で加
熱した後に圧延を行うことを特徴とする上記(9)又は
(10)に記載の金属繊維用複合素材の製造装置。
【0013】(12)帯鋼で被覆された多数本の金属繊
維用細線を有し、外周を鋼管で覆われ、熱間圧延されて
なる金属繊維用複合素材であって、前記帯鋼及び鋼管
は、その炭素含有量が0.04質量%以下であることを
特徴とする金属繊維用複合素材。 (13)さらに中心部に鋼線を有し、該鋼線は炭素含有
量が0.04質量%以下であることを特徴とする上記
(12)に記載の金属繊維用複合素材。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明を図1〜図5及び図6
(a)に基づいて説明する。本発明においては、金属繊
維原料としての線材2を帯鋼3で被覆した被覆線材4と
し(図1)、該被覆線材4の多数本を鋼管5に挿入し
(図2)、鋼管5を冷間で縮管し(図3)、次いで熱間
圧延を行って金属繊維用複合素材7とし(図4)、この
金属繊維用複合素材7を冷間伸線加工によって伸線し、
次いで前記帯鋼及び鋼管を除去することによって直径1
0μm前後の金属繊維を製造する。製造工程フローを図
6(a)に示す。帯鋼3及び鋼管5等の炭素鋼の除去方
法としては、酸によって溶解する化学的方法や電気分解
法を採用することができる。酸によって溶解除去する方
法を採用する場合には、金属繊維としての金属には酸液
に難溶性を有するステンレス鋼やチタンを採用すること
ができる。
【0015】以下、金属繊維としてステンレス鋼繊維を
製造する場合を例にとって説明するが、上記のようにス
テンレス鋼以外の金属繊維の製造に適用できることはい
うまでもない。
【0016】金属繊維原料としてのステンレス鋼は、予
め線材圧延等の定法によって線材2に加工しておく。通
常は直径5.5mm程度の線材とすると好ましい。ステ
ンレス鋼としては、すべての鋼種に適用でき、超合金に
も適用できる。
【0017】このステンレス鋼線材2に帯鋼3を被覆す
る。帯鋼3は、熱間での減面加工中におけるステンレス
鋼同士の融着を防止する目的で被覆する。熱間加工及び
伸線加工後に、この帯鋼3は除去される。化学的に除去
する方法を採用する場合には、帯鋼3の素材として炭素
鋼を用いる。伸線加工後の材料を酸液に浸漬することに
より、帯鋼3が溶解除去され、ステンレス鋼繊維は酸液
に溶解せずに回収される。
【0018】帯鋼3はその幅がステンレス鋼線材の円周
よりやや大きめの寸法の連続鋼帯を用いる。図1(b)
に示すにように、帯鋼3が連続的に湾曲され、それと並
行して湾曲中心部にステンレス鋼線材2が送り込まれ
る。その後、図1(a)に示すように、帯鋼被覆装置1
1によって帯鋼3をステンレス鋼線材2の周囲に被覆
し、帯鋼両端の重なり部をロールで縮径することによっ
て図1(c)に断面を示すような被覆線材4が形成され
る。
【0019】帯鋼を被覆した被覆線材4を切断装置12
によって所定の寸法に定尺切断して多数本を束ねる。結
束装置13を用いることができる。その後、図2に示す
ように、束ねた被覆線材8を送り機構18付きクランプ
19からなる挿入装置14によって鋼管5中に挿入す
る。鋼管5を化学的に除去する方法を採用する場合に
は、上記帯鋼と同様、鋼管の素材として炭素鋼を用い
る。鋼管内における被覆線材4の充填率はなるべく高い
方が好ましいが、被覆線材4を円滑に鋼管内に挿入する
ためには、通常は充填率75%程度とする(図5
(a))。ステンレス鋼線材2として直径5.5mmの
ものを直径3.1mmまで冷間伸線して用い、鋼管5と
して内径128mmのものを用いた場合、充填率を75
%として、鋼管中には900本程度の被覆鋼管4を挿入
することができる。
【0020】被覆線材を挿入した鋼管9は、次いで冷間
で縮管し、それによって鋼管中における被覆線材4の充
填率を増大する。冷間での縮管方法としては、図3
(a)に示すように、縮管後の直径を有する円筒半割形
状のプレス型(上プレス型15、下プレス型16)を用
いてプレスするプレス縮管装置14を用いると好まし
い。プレス縮管においては、図3に示すようにプレス型
の長さは被覆線材を挿入した鋼管の長さより短くすると
プレス圧力が小さくても良く、その場合は鋼管を徐々に
送りながらプレスを行う。例えば縮径前の内径128.
4mmの鋼管を縮径率3.5%で縮径して内径123.
4mmとすれば、縮径前の鋼管内充填率75%のものを
縮径後に充填率82%とすることができる。
【0021】冷間での縮管方法としては、図3に示すプ
レス縮管以外に、冷間引抜き方法、孔型付きロールによ
る冷間圧延方法を採用することもできる。縮管後の鋼管
形状については、プレス縮管の方が良好な均一形状を実
現することができるので好ましい。
【0022】熱間圧延前に冷間での縮管によって鋼管内
における被覆線材の充填率を上げることにより、熱間圧
延については通常の線材圧延と同等の方法を用いても内
部の被覆線材が不均一に変形することがない。このた
め、1回の熱間圧延で所定の寸法まで減面して金属繊維
用複合素材とすることができ、炭素鋼からステンレス鋼
への浸炭及び炭素鋼のステンレス化を防止することがで
きる。また、1回目の熱間圧延後に表面研削や端末加工
を行う必要がないので、作業負荷を軽減することができ
る。
【0023】冷間での縮管後における鋼管内における被
覆線材の充填率は、82%以上とすると好ましい。
【0024】従来のように冷間での縮管を行わずに熱間
圧延を行う方法においては、熱間圧円中の不均一変形を
極力低減するため、圧延前の鋼管中への被覆線材の充填
率を極力高く維持することが必要であった。具体的に
は、充填率を75%以上としないと、2回熱間圧延を採
用したとしても1回目の熱間圧延後の変形が激しく、安
定した生産が困難であった。一方、充填率を82%以上
に維持しようとすると、円滑な充填を行うことが困難で
あった。それに対し、冷間での縮管を行う本発明におい
ては、冷間での縮管前における充填率が73%程度以上
で有れば不均一変形を起こすことなく冷間縮管及びその
後の熱間圧延を行うことができる。そのため、鋼管への
被覆線材の挿入を非常に円滑に短時間で行うことが可能
になり、作業効率を向上することができる。
【0025】従来方法においては、熱間圧延を2回にわ
たって行う必要があったため、特に2回の加熱炉在炉中
における金属成分の拡散に基づくステンレス鋼中への浸
炭が問題となり、この浸炭を防止するためにステンレス
鋼を被覆する帯鋼の炭素含有量を0.008%以下に低
減する必要があった。また、帯鋼にステンレス鋼成分が
拡散するために、酸による帯鋼の溶解性が劣るという問
題があった。本発明においては、熱間圧延の回数を1回
にできるので、拡散が主に進行する工程である加熱工程
も1回にすることができ、熱間圧延における金属成分の
拡散を大幅に抑えることが可能になる。そのため、熱間
圧延において燃焼式加熱炉21を用いて加熱する場合に
ついては、金属繊維原料としての線材を被覆する帯鋼、
被覆線材を挿入する鋼管のいずれについても通常容易に
入手することのできる範囲の低炭素鋼を用いることが可
能である。これにより、従来に比較して安価な材料を使
用することができ、金属繊維の製造コストを低減するこ
とが可能になる。さらに、ステンレス鋼線材から帯鋼へ
のステンレス鋼成分の拡散が抑制されるので、帯鋼のス
テンレス鋼化を防止することができ、伸線終了後におけ
る帯鋼及び鋼管の酸による溶解を円滑に進めることがで
きる。
【0026】通常の線材圧延において、圧延前の加熱方
法としては、プッシャー式加熱炉やウォーキングビーム
式加熱炉などの燃焼式加熱炉21が用いられる。これら
の燃焼式加熱炉21においては、十分な在炉時間を確保
して圧延素材の均熱化を図る必要があり、熱間圧延1回
といえどもステンレス鋼線材への浸炭や炭素鋼のステン
レス化を皆無にすることはできない。
【0027】本発明においては、加熱方法として誘導加
熱炉22単独、あるいは燃焼式加熱炉21での加熱と誘
導加熱炉22での加熱を組合わせることにより、より好
ましい結果を得ることができる。誘導加熱炉22による
加熱では、燃焼式加熱炉21に比較して短時間で材料を
所定の温度に加熱することができるので、加熱中におけ
る金属成分の拡散を抑制することができるからである。
最初に燃焼式加熱炉21で初期加熱を行い、次いで誘導
加熱炉22で最終加熱を行う方法が好ましい。図4は、
燃焼式加熱炉21としてウォーキングビーム式加熱炉を
備え、その後に誘導加熱炉22を備え、粗圧延機23、
中間圧延機24、仕上げ圧延機25を経て巻取ライン2
6で圧延後の材料を巻き取る線材圧延装置の例である。
また図6(b)は燃焼式加熱炉と誘導加熱炉を用いて熱
間圧延を行う場合の製造フローを示す図である。
【0028】誘導加熱炉22は複数のコイルと複数の制
御装置からなり、各々製造品種に応じて最適なヒートパ
ターンを選択することが可能である。また表層効果によ
る表層部過加熱対応として、コイル間に適当な空間を与
えることによって、表層部の放熱を促し、断面内の温度
ばらつきを最小限に抑えることができる。圧延素材は誘
導加熱炉22内を一定の速度で移動することによって、
順次コイルに投入された電力に応じて加熱され、最終コ
イルにて所定の温度に仕上げられる。
【0029】従来の燃焼式加熱炉単独による加熱では、
長時間の加熱を必要とし、特に1000℃以上の温度で
の均熱時間が1時間程度必要であり、このような高温長
時間均熱中において成分の拡散が進行し、ステンレス鋼
への浸炭や炭素鋼のステンレス化が進行していた。燃焼
式加熱炉と誘導加熱炉を併用する加熱においては、燃焼
式加熱炉での1000℃以上の温度での均熱時間を数分
程度に短縮することができる。鋼管が炭素鋼であること
から、従来のように燃焼式加熱炉で高温長時間加熱する
と、耐酸化性を有しない炭素鋼の酸化ロスが多くなり、
鋼管の肉厚を厚くする必要があったが、誘導加熱炉の採
用によりこの問題も解決できる。
【0030】誘導加熱炉22単独あるいは燃焼式加熱炉
21と誘導加熱炉22の加熱を組合わせる本発明におい
ては、加熱時間の短縮によって加熱中の金属成分拡散を
より一層低減することができる。そのため、金属繊維原
料としての線材を被覆する帯鋼3、被覆線材を挿入する
鋼管5のいずれについても炭素含有量が0.04%以下
程度の炭素鋼を使用することが可能になり、より一層の
コスト低減を図ることができる。伸線終了後における帯
鋼及び鋼管の酸による溶解もより一層円滑に進めること
ができる。
【0031】金属繊維原料としての線材2を被覆する帯
鋼3、被覆線材4を挿入する鋼管5の炭素含有量は、
0.03%以上とすると好ましい。これにより、これら
帯鋼3や鋼管5を安価に準備することが可能になる。
【0032】本発明においては、図5(c)(d)に示
すように、前記多数本の被覆線材4と共に、鋼管5の中
心部に鋼棒6を挿入することもできる。
【0033】以上述べたように、本発明においては、金
属繊維原料としての線材2を帯鋼3で被覆した被覆線材
4とし、該被覆線材4の多数本を鋼管5に挿入し、該鋼
管を冷間で縮管し、次いで熱間圧延を行うことによって
金属繊維用複合素材7が製造される。この金属繊維用複
合素材7は、帯鋼で被覆された多数本の金属繊維用細線
を有し、外周を鋼管で覆われ、熱間圧延されてなる金属
繊維用複合素材である。ここにおいて、帯鋼及び鋼管は
炭素含有量が0.04質量%以下であると好ましい。さ
らに中心部に鋼線を有し、該鋼線は炭素含有量が0.0
4質量%以下であると好ましい。
【0034】続いてこの金属繊維用複合素材7を伸線加
工によって伸線することにより目的径まで細線化し、次
いで帯鋼及び鋼管を除去することにより、最終的に金属
繊維が製造される。鋼管中心に鋼棒を挿入している場合
には、この鋼棒も除去される。伸線加工については、通
常行われる冷間伸線加工方法を採用することができ、必
要に応じて伸線の途中あるいは伸線終了後に焼鈍処理を
行う。
【0035】帯鋼3及び鋼管5や鋼棒6の除去について
は、化学薬剤による溶解除去方法、あるいは電気分解に
よる除去方法を採用することができる。金属繊維がステ
ンレス鋼やチタン繊維である場合には、伸線加工後の材
料を酸液に浸漬することにより、帯鋼及び鋼管や鋼棒の
みを酸液で溶解し、金属繊維のみを取り出すことができ
る。
【0036】本発明においては、熱間圧延後の素材を金
属繊維用複合素材と呼ぶと同時に、熱間圧延前の素材も
同様に金属繊維用複合素材と呼ぶ。上記冷間での縮管を
行った金属繊維用複合素材は、さらにその後に熱間圧延
を行い、伸線加工によって伸線し、次いで前記帯鋼及び
鋼管を除去することにより金属繊維を製造することがで
きる。
【0037】
【実施例】ステンレス鋼繊維の製造において本発明を適
用した。SUS316Lのステンレス鋼を線材圧延によ
って直径5.5mmの線材2とした。炭素含有量0.0
37質量%、幅12mm、厚さ0.25mmの帯鋼3を
準備し、図1に示す装置により、この帯鋼3を上記ステ
ンレス鋼線材2に被覆した。まず帯鋼3が連続的に湾曲
し、それと並行して湾曲中心部にステンレス鋼線材2を
送り込む。その後帯鋼被覆装置11によって帯鋼3をス
テンレス鋼線材2の全周に被覆し、帯鋼両端の重なり部
をロールで縮径することによって図1(c)に示すよう
な被覆線材4とする。被覆線材4は切断装置12によっ
て3.0mの長さで定尺切断し、合計900本の被覆線
材4を円柱状に束ね、その円柱の中心には直径19m
m、長さ3.0mの鋼棒6を配置する。円柱状に束ねた
被覆線材は、鋼管に挿入しやすいように結束装置13に
よって結束する。鋼管5は、炭素含有量0.031質量
%、外径140mm、肉厚5.7mm、長さ3.0mで
あり、図2に示すように挿入装置14によって被覆線材
を鋼管5に挿入すると充填率が75%となる(図5
(c))。ステンレス線材2、帯鋼3、鋼棒6、鋼管5
の詳細な成分は表1に示すとおりである。
【0038】
【表1】
【0039】次いで、図3(a)に示すように、被覆線
材を挿入した鋼管9を冷間にてプレス縮管する。プレス
縮管には、直径135mmの円筒を半割した形状の上プ
レス型16及び下プレス型17を用いる。被覆線材を挿
入した鋼管9をこれらプレス型を用いてプレスすること
により、鋼管は直径135mmに縮管される(図5
(d))。縮管後の形状は非常に良好であり、表面を研
削したり端末加工を施す必要はなかった。縮管後におい
て、鋼管内の被覆線材充填率を82%とすることができ
た。
【0040】縮管後の鋼管を、ウォーキングビーム式加
熱炉と誘導加熱炉によって加熱した。その後、図4に示
すような通常用いられる線材圧延装置20により熱間圧
延を行い、直径5.5mmの金属繊維用複合素材を製造
した。熱間圧延途中段階での表面研削や端末加工は全く
必要なく、良好な形状の金属繊維用複合素材7を製造す
ることができた。金属繊維用複合素材中におけるステン
レス鋼細線の直径は約0.1mmであり、これらステン
レス鋼細線はそれぞれ薄く延ばされた帯鋼で被覆されて
いる。
【0041】この金属繊維用複合素材7を通常の方法に
よって冷間伸線し、直径0.8mmの細線とした。その
後、酸液中に浸漬することによって外周の鋼管、金属繊
維周囲の帯鋼、中心部の鋼線を溶解し、直径8μmのス
テンレス鋼繊維の束を得ることができた。
【0042】炭素含有量が0.03%以上の鋼管、帯
鋼、鋼棒を使用したにもかかわらず、ステンレス鋼繊維
への浸炭現象は見られず、良好な品質のステンレス鋼繊
維を製造することができた。また、帯鋼へのステンレス
鋼成分の拡散もなかったので、帯鋼の溶解も円滑に行う
ことができた。
【0043】
【発明の効果】本発明は、金属繊維原料としての線材を
帯鋼で被覆した被覆線材とし、該被覆線材の多数本を鋼
管に挿入し、熱間圧延を行って金属繊維用複合素材を製
造するに際し、熱間圧延前に冷間での縮管を行って鋼管
内の被覆線材充填率を高めることにより、熱間圧延中に
おける不均一変形を防止し、熱間圧延を1回のみとする
ことを可能とした。これにより、2回熱間圧延とその途
中の表面研削や端末処理を不要として金属繊維の製造コ
ストを低減した。また、鋼管への被覆線材挿入に際して
は低い充填率での挿入が可能になり、挿入作業の効率を
向上することができる。
【0044】また、熱間圧延を2回から1回に低減する
ことにより、熱間圧延中における金属成分の拡散を抑制
し、帯鋼、鋼管として用いる炭素鋼の炭素含有量上限を
緩和することができた。特に、ウォーキングビーム式加
熱炉と誘導加熱炉とを併用することによって短時間加熱
が可能になり、帯鋼、鋼管として用いる炭素鋼の炭素含
有量上限を0.04%とすることができ、製造コストを
削減することができた。また、これら炭素鋼へのステン
レス鋼成分の拡散も抑制され、炭素鋼溶解工程において
円滑に溶解を行うことが可能になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】線材を帯鋼で被覆する状況を示す図であり、
(a)は全体概略図、(b)は被覆状況を示す部分図、
(c)は被覆線材の断面図である。
【図2】多数本の被覆線材を鋼管に挿入する状況を示す
概略図である。
【図3】本発明の冷間プレス縮管装置を示す概略図であ
り、(a)はプレス前の状況、(b)はプレス後の状況
を示す図である。
【図4】本発明の熱間圧延装置を示す概略図である。
【図5】被覆線材を挿入した鋼管の断面状況を示す図で
あり、(a)(c)は縮管前、(b)(d)は縮管後の
状況を示す図である。
【図6】本発明及び従来の製造フローを示す図である。
【符号の説明】
1 金属繊維 2 金属繊維原料としての線材(ステンレス鋼線材) 3 帯鋼 4 被覆線材 5 鋼管 6 鋼棒 7 金属繊維用複合素材 8 結束した被覆線材 9 被覆線材を挿入した鋼管 11 帯鋼被覆装置 12 切断装置 13 結束装置 14 挿入装置 15 プレス縮管装置 16 上プレス型 17 下プレス型 18 送り機構 19 クランプ 20 熱間圧延装置 21 ウォーキングビーム式加熱炉 22 誘導加熱炉 23 粗圧延機 24 中間圧延機 25 仕上げ圧延機 26 巻取ライン 31 伸線装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 花谷 幸男 光市大字島田3434番地 新日本製鐵株式会 社光製鐵所内 Fターム(参考) 4E002 AA07 AC14 BD20 CA20 4E096 EA03 EA13

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属繊維原料としての線材を帯鋼で被覆
    した被覆線材とし、該被覆線材の多数本を鋼管に挿入
    し、該鋼管を冷間で縮管し、次いで熱間圧延を行うこと
    を特徴とする金属繊維用複合素材の製造方法。
  2. 【請求項2】 金属繊維原料としての線材を帯鋼で被覆
    した被覆線材の多数本を挿入した鋼管を準備し、該鋼管
    を冷間で縮管することを特徴とする金属繊維用複合素材
    の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記冷間での縮管はプレス縮管を行うこ
    とを特徴とする請求項1又は2に記載の金属繊維用複合
    素材の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記熱間圧延は、誘導加熱炉単独又は燃
    焼式加熱炉と誘導加熱炉で加熱し、その後圧延を行うこ
    とを特徴とする請求項1又は3に記載の金属繊維用複合
    素材の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記帯鋼及び鋼管は、その炭素含有量が
    0.04質量%以下であることを特徴とする請求項1乃
    至4のいずれかに記載の金属繊維用複合素材の製造方
    法。
  6. 【請求項6】 前記金属繊維原料としての線材はステン
    レス鋼線材であることを特徴とする請求項1乃至5のい
    ずれかに記載の金属繊維用複合素材の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記多数本の被覆線材と共に、鋼管の中
    心部に鋼棒を挿入することを特徴とする請求項1乃至6
    のいずれかに記載の金属繊維用複合素材の製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項1、3乃至5のいずれかに記載の
    金属繊維用複合素材の製造方法で製造された金属繊維用
    複合素材を伸線加工によって伸線し、次いで前記帯鋼及
    び鋼管を除去することを特徴とする金属繊維の製造方
    法。
  9. 【請求項9】 金属繊維原料としての線材を帯鋼で被覆
    して被覆線材とする帯鋼被覆装置と、該被覆線材の多数
    本を鋼管に挿入する挿入装置と、該鋼管を冷間で縮管す
    る装置と、縮管した鋼管を圧延する熱間圧延装置とを有
    することを特徴とする金属繊維用複合素材の製造装置。
  10. 【請求項10】 前記冷間で縮管する装置はプレス縮管
    装置であることを特徴とする請求項9に記載の金属繊維
    用複合素材の製造装置。
  11. 【請求項11】 前記熱間圧延装置は、誘導加熱炉単独
    又は燃焼式加熱炉と誘導加熱炉とを有し、これら加熱炉
    で加熱した後に圧延を行うことを特徴とする請求項9又
    は10に記載の金属繊維用複合素材の製造装置。
  12. 【請求項12】 帯鋼で被覆された多数本の金属繊維用
    細線を有し、外周を鋼管で覆われ、熱間圧延されてなる
    金属繊維用複合素材であって、前記帯鋼及び鋼管は、そ
    の炭素含有量が0.04質量%以下であることを特徴と
    する金属繊維用複合素材。
  13. 【請求項13】 さらに中心部に鋼線を有し、該鋼線は
    炭素含有量が0.04質量%以下であることを特徴とす
    る請求項12に記載の金属繊維用複合素材。
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