JP2003294392A - 質量投射装置搭載車両の振動減衰装置 - Google Patents

質量投射装置搭載車両の振動減衰装置

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JP2003294392A
JP2003294392A JP2002100405A JP2002100405A JP2003294392A JP 2003294392 A JP2003294392 A JP 2003294392A JP 2002100405 A JP2002100405 A JP 2002100405A JP 2002100405 A JP2002100405 A JP 2002100405A JP 2003294392 A JP2003294392 A JP 2003294392A
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Tomoo Matsuda
智夫 松田
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】低コストで、場積をとることなく、しかも重量
増加を招くことなく、短時間で連続的な投射ができるよ
うにし、さらに応答性よく車体の傾斜と揺動を減衰させ
て、正確で安定した連続投射をなし得るようにする。 【解決手段】複数の懸架脚11、12、13、14毎
に、懸架脚の高さを調整する車高調整手段21、22、
23、24がそれぞれ設けられる。そして質量投射装置
60の質量投射条件に基づいて、質量投射時の懸架脚の
高さ予測値が、各懸架脚毎に演算される。そして全懸架
脚に共通の高さ目標値h〜(t)が設定され、この共通
高さ目標値h〜(t)から高さ予測値ω^i(t)(i
=1、2、3、4)を差し引いた高さ調整目標値LHi〜
(t)(i=1、2、3、4)が、各懸架脚11〜14
毎に演算される。そして質量投射時に、高さ調整目標値
LHi〜(t)が得られるように車高調整手段をフィード
フォワード制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、弾丸等の質量を投
射する質量投射装置を搭載した戦闘車両などの車両に関
し、特に質量投射装置から質量が投射された際に車両で
発生するロール方向およびピッチ方向の振動(揺動)を
減衰させることにより、連続的な投射を精度よく行うこ
とができる装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】従来
より図10(a)、(b)に示すように、弾丸等を連続
して投射する質量投射装置60を搭載した車両100
が、たとえば戦闘車両として実用化されている。
【0003】ここで本明細書において「質量投射装置」
とは、車載した重い物体(これを「質量」と定義する)
を火薬等の力で遠方に飛ばす装置のことであり、具体的
にはロケットや弾丸等を発射するいわゆる火器のみなら
ず、飛来する危険物に向けて鋼塊や鋼板を投射する防護
機材、鋼製ロープを遠方へ投射する装置を含む概念のこ
とである。たとえば近年、ミサイルに向けて鋼の塊を投
射して迎撃する「アクティブアマー」と呼ばれる車両が
研究、実用化されている。本明細書における「質量投射
装置投射車両」とは、戦闘車両に限定されるわけではな
く災害救援用の車両などを含む概念のことである。
【0004】ところで、上述したような重い物体を遠方
まで投射するためには投射の瞬間に十分な初速vを与え
る必要がある。このため投射物体が獲得した運動量mv
に相当する力積Ftに応じた大きな反力を車体が支える
ことになる。投射時間tが極めて小さいため、車体の自
重の数十%もの反力Fを生じる場合がある。この結果図
10(a)、(b)に示すように質量投射前と質量投射
後で車両100がロール、ピッチ方向に大きく揺動す
る。
【0005】車両100の停車中に投射した場合であっ
たとしても、大きな揺動が発生すれば、車両100に歪
みが生じて車両強度が損なわれることがある。また車両
強度が損なわれるのみならず乗員の安全に支障を来すお
それがある。
【0006】また複数の質量を連続して投射する場合、
最初の投射によって車体の姿勢が傾くが、後続の投射を
安定してかつ正確に行うためには、車体の傾きと揺動を
抑制することが重要になる。すなわち図10(a)、
(b)に示すように最初の投射によって車両100が傾
斜した状態で後続の投射を行うと、最初の投射方向L1
と後続の投射方向L2とでずれが生じてしまい、質量を
遠方に投射したとき到達地点にずれが生じてしまうから
である。そこで従来は以下の方法で車体の傾きと揺動を
抑制していた。
【0007】1)質量投射装置をサーボ機構で制御し後
続の投射の方向を正確に定める。
【0008】2)質量投射装置60に姿勢安定装置つま
りスタビライザを内蔵して後続の投射を方向を正確に定
める。
【0009】3)車体の揺動が自然に静まるのを待って
から後続の投射を行う。
【0010】しかし、上記1)の技術によれば、複雑か
つ大がかりなサーボ機構を質量投射装置60に合わせて
製造し、これを質量投射装置60に内蔵しなければなら
ないため、コストが上昇するとともに質量投射装置60
の寸法、重量等が大きくなり場積が嵩むとともに車両重
量が増加するという問題が発生する。
【0011】同様に上記2)の技術によれば、強力なス
タビライザを質量投射装置60に合わせて製造し、これ
を質量投射装置60に内蔵しなければならないため、コ
ストが上昇するとともに質量投射装置60の寸法、重量
等が大きくなり場積が嵩むとともに車両重量が増加する
という問題が発生する。
【0012】また上記3)の技術によれば、車両の揺動
が収まるのを待つ時間分だけ投射間隔を長くせざるを得
ないことから短時間に多数の質量を投射することができ
ないという問題が発生する。
【0013】また一般技術的水準を示す文献として特開
平4−362408号公報がある。4)この公報には、
乗用車の「能動型サスペンション」に関する発明が記載
されている。すなわちこの公報には、走行中の路面凹凸
に起因する車体の傾斜が操縦安定性に影響を与えないよ
うに、走行中にバネ下に加わる加振力に対して、車高が
上下方向に変化することを許容して、車体の姿勢を路面
に対して水平に維持する制御を行うという発明が記載さ
れている。この公報記載の技術は、実際の車高を検出
し、この検出した実際の車高をフィードバック量として
車高調整装置を制御するというものである。
【0014】しかし上記4)の技術は、一般乗用車に関
し、路面からバネ下(タイヤとアクスル )に加わる加
振力に起因して車体が傾斜し揺動することを問題とし、
これを抑制することを解決課題とするものである。これ
に対して図10(a)、(b)は、質量投射装置60を
車体101上に搭載した車両100に関し、バネ上(車
体)に加わる加振力に起因して車体100が傾斜し揺動
することを問題とするものである。したがって「バネ
下」に加わる加振力を問題とする上記4)の技術をその
まま、「バネ上」に加わる加振力を問題とする図10
(a)、(b)に示す質量投射装置搭載車両100に適
用したとしてもこの車両100で発生する傾斜、揺動を
なくすことはできない。
【0015】また上記4)の技術は実際の車高をフィー
ドバック量としてフィードバック制御することを前提し
ている。これは路面からバネ下(タイヤとアクスル )
に加わる加振力は一般に予測できないからである。一方
図10(a)、(b)に示す質量投射装置搭載車両10
0は、上述したように質量投射時の短時間tで反力Fが
車体101に加わり車体101に傾斜と揺動を引き起こ
す。したがってフィードバック制御を適用したとしても
時間遅れが生じて車体101の傾斜と揺動を応答性よく
減衰することができない。
【0016】本発明はこうした実状に鑑みてなされたも
のであり、上記1)、2)、3)、4)の従来技術の問
題を解決して、低コストで、場積をとることなく、しか
も重量増加を招くことなく、短時間で連続的な投射がで
きるようにし、さらに応答性よく車体の傾斜と揺動を減
衰させて、正確で安定した連続投射をなし得ることを解
決課題とするものである。
【0017】
【課題を解決するための手段および作用、効果】第1発
明は、質量投射装置を搭載し、複数の懸架脚を有した車
両に適用され、質量投射装置から質量が連続投射された
際に車両で発生する振動を減衰するようにした質量投射
装置搭載車両の振動減衰装置において、複数の懸架脚毎
に設けられ、懸架脚の高さを調整する車高調整手段と、
前記質量投射装置の質量投射条件に基づいて、質量連続
投射時の懸架脚の高さ予測値を、各懸架脚毎に演算する
予測値演算手段と、全懸架脚に共通の高さ目標値を設定
し、この共通高さ目標値から前記高さ予測値を差し引い
た高さ調整目標値を、各懸架脚毎に演算する高さ調整目
標値演算手段と、質量連続投射時に、前記高さ調整目標
値が得られるように前記車高調整手段をフィードフォワ
ード制御する制御手段とを具えたことを特徴とする。
【0018】第1発明によれば、図1に示すように、複
数の懸架脚11、12、13、14毎に、懸架脚の高さ
を調整する車高調整手段21、22、23、24がそれ
ぞれ設けられる。そして質量投射装置60の質量投射条
件に基づいて、図7に示すように、質量連続投射時の懸
架脚11、12、13、14の高さ予測値ω^1
(t)、ω^2(t)、ω^3(t)、ω^4(t)が、
各懸架脚11、12、13、14毎に演算される。そし
て全懸架脚11〜14に共通の高さ目標値h〜(t)が
設定され、この共通高さ目標値h〜(t)から高さ予測
値ω^i(t)(i=1、2、3、4)を差し引いた高
さ調整目標値LHi〜(t)(i=1、2、3、4)が、
各懸架脚11〜14毎に演算される(LHi〜(t)=h
〜(t)−ω^i(t))。そして質量連続投射時に、
高さ調整目標値LHi〜(t)が得られるように車高調整
手段21、22、23、24をフィードフォワード制御
する。
【0019】本発明によれば、質量投射装置60から質
量が投射された直後には、外乱によって各懸架脚11、
12、13、14のそれぞれの高さは、ω1(t)、ω2
(t)、ω3(t)、ω4(t)だけ変化するが、これは
高さ予測値ω^1(t)、ω^2(t)、ω^3(t)、
ω^4(t)によって相殺されるために、質量連続投射
中、各懸架脚11、12、13、14の高さは共通高さ
目標値h〜(t)に一致する。このように質量連続投射
時に各懸架脚11〜14の高さはほぼ均一に変化するの
で、図8(b)に示すように質量連続投射時に、車両1
00は上下方向(Z軸方向)に車体101の高さが変化
するもののロール方向(X軸方向)、ピッチ方向(Y軸
方向)の傾きや揺動は発生しない。このため連続した質
量投射を正確に安定して行うことができる。
【0020】また本発明によれば、従来技術1)、2)
のように質量投射装置60に複雑かつ大がかりな装置を
設ける必要はなく、図5に示すような演算処理を行うだ
けでよいので、既存の車両100に小型コンピュータを
付加的に搭載するだけで済む。このため装置コストが上
昇することがなく、また場積が嵩むことがなく、また大
幅な車両重量増加を伴うことがない。また従来技術3)
のように車両の揺動が収まるのを待つ必要がないので、
投射間隔を短くでき短時間に多数の質量を投射すること
ができる。
【0021】また本発明によれば、投射の反動によって
生じる外乱ω^i(t)を予測し、この外乱ω^i(t)
に応じた高さ調整目標値LHi〜(t)が得られるよう車
高調整要素15を、フィードフォワード制御しているの
で、高い応答性でロール方向、ピッチ方向の振動を減衰
させることができる。つまりフィードバック制御で車体
の高さを制御するという従来技術4)と比較して高い応
答性で車高調整を行うことができる。
【0022】第2発明、第1発明において、前記共通高
さ目標値は、各懸架脚の高さ予測値のうちで最大に変位
する懸架脚の高さを基準にして求められるものであるこ
とを特徴とする。
【0023】第2発明によれば、共通高さ目標値h〜
(t)は、各懸架脚11、12、13、14の高さ予測
値ω^1(t)、ω^2(t)、ω^3(t)、ω^4
(t)のうちで最大に変位する懸架脚の高さ予測値、た
とえば図7に示すように懸架脚13の高さ予測値ω^3
(t)を基準にして求められる。具体的には、下記
(1)式のようにして求められる。
【0024】(数式1) 連続投射時に最も大きく高さが変化する懸架脚13は、
連続投射時に極めて大きな反力Fを集中して受けてい
る。このような懸架脚13を、仮に車高調整手段23に
よって過剰に調整した場合には、機構的に無理な力が加
わり耐久性が低下する等の悪影響を与える。そこで連続
投射時に最も高さ大きく変化する懸架脚13の高さ予測
値ω^3(t)を共通高さ目標値h〜(t)に設定すれ
ば、上記(1)式に示すように高さ調整目標値LH3〜
(t)は0になり、懸架脚13の高さを調整する必要が
なくなる。連続投射時に最も高さが変化する懸架脚13
で高さ調整の動作が行われないので、懸架脚13に機構
的に無理な力が加わることが防止され、耐久性等を飛躍
的に向上させることができる。
【0025】第3発明は、第1発明において、質量連続
投射時の懸架脚の実際の高さを計測する手段をさらに備
え、高さ予測値と実際の高さとの差が所定のしきい値以
上になった場合に警報信号を出力するようにしたことを
特徴とする。
【0026】第3発明によれば、たとえば懸架脚13の
質量投射時の実際の高さω3(t)が計測され、高さ予
測値ω^3(t)と実際の高さω3(t)との差が求めら
れる。そしてこれらの差が所定のしきい値以上になった
場合には、警報信号が出力される。これによりオペレー
タ等は、高さ予測値ω^3(t)に一定レベル以上の誤
差が含まれているか、制御誤差ε3が無視できないほど
大きくなっていることを知り得るので、予測計算のパラ
メータを訂正するなどのメンテナンスを行う措置を迅速
にとることができる。これにより予測計算のメンテナン
スのタイミングを逸することが防止され、常に誤差がな
い最適な状態で質量連続投射を行うことができる。
【0027】第4発明は、質量投射装置を搭載し、複数
の懸架脚を有した車両に適用され、質量投射装置から質
量が連続投射された際に車両で発生する振動を減衰する
ようにした質量投射装置搭載車両の振動減衰装置におい
て、複数の懸架脚毎に設けられ、懸架脚の高さを調整す
る車高調整手段と、前記質量投射装置の質量投射条件に
基づいて、質量連続投射時の懸架脚の高さ予測値を、各
懸架脚毎に演算する予測値演算手段と、質量連続投射時
に前記質量投射装置から投射される質量の方向が同一方
向になるように各懸架脚毎に高さ目標値を設定し、この
高さ目標値から前記高さ予測値を差し引いた高さ調整目
標値を、各懸架脚毎に演算する高さ調整目標値演算手段
と、質量連続投射時に、前記高さ調整目標値が得られる
ように前記車高調整手段をフィードフォワード制御する
制御手段とを具えたことを特徴とする。
【0028】第1発明では、図11(a)、(c)に示
すように全懸架脚11〜14に共通の高さ目標値h〜
(t)を設定し、この共通の高さ目標値h〜(t)が得
られるように車高調整手段21〜24を制御して、質量
連続投射時に、質量投射装置60から投射される質量の
方向を常に同一方向L2にしている。しかし本発明の解
決課題を達成するためには、必ずしも全懸架脚11〜1
4を同じ高さにする必要はなく、質量連続投射時に、質
量投射装置60から投射される質量の方向が常に同一方
向L2になりさえすれば、各懸架脚11〜14の高さは
互いに異なっていてもよい。
【0029】そこで第4発明では、質量連続投射時に質
量投射装置60から投射される質量の方向が同一方向L
2になるように各懸架脚11、12、13、14毎に高
さ目標値を設定している。たとえば図11(b)、
(d)に示すように前側の懸架脚11、12の高さ目標
値h〜f(t)が後側の懸架脚13、14の高さ目標値
h〜r(t)よりも高くなるように、各懸架脚11、1
2、13、14毎に高さ目標値h〜(t)が設定され
る。図11(b)は車両100が水平な路面上に存在し
ている場合を示し、図11(a)に示すように全懸架脚
11〜14を同じ高さにした場合と比較して質量は上向
きに投射される。図11(d)は車両100の後輪が岩
石等に乗り上げ車両100が前傾している場合を示し、
図11(c)に示すように全懸架脚11〜14を同じ高
さにした場合と比較して質量は上向きに投射される。
【0030】本発明によれば質量連続投射時に質量投射
装置60を駆動制御することなく、つまり俯仰角βを制
御することなく、車高調整手段21〜24を制御するだ
けで質量連続投射時の質量投射方向を任意の方向に定め
ることができる。特に図11(c)の場合のように車両
100が前傾している状態で全懸架脚11〜14を同じ
高さにすると質量が水平方向に対して下向きに投射され
てしまうが、図11(d)のように前側の懸架脚11、
12の高さが後側の懸架脚13、14の高さよりも高く
なるように車高を調整することにより、質量が水平方向
ないしは水平方向よりも上向きの正しい方向に投射され
るように補正することができる。
【0031】
【発明の実施の形態】以下図面を参照して本発明に係る
質量投射装置搭載車両の振動減衰装置の実施の形態につ
いて説明する。なお以下の説明で符号「ω、L、h」に
「〜」を付したものは「目標値」を意味し、符号に
「^」を付したものは「推定値」を意味し、符号そのも
のは「実際の値」を意味するものとして使用する。
【0032】図1は実施形態の車両100の全体構成を
示している。また図2(b)は車両100を上面からみ
た図である。
【0033】実施形態では車両100として、4輪独立
懸架方式の車両100を想定しており、車体101の下
部には、各懸架脚11、12、13、14が懸架されて
いる。なお本発明としては4輪の車両に限定されるわけ
ではなく3輪、2輪の車両、あるいは5輪以上の車両に
適用することができる。独立懸架方式の車両の場合、N
個の車輪それぞれに対してN個の懸架脚11〜1Nが設
けられることなり、以下に述べる4輪車両の実施形態を
そのまま適用することができる。
【0034】また実施形態では以下に述べるように懸架
装置としてのサスペンションは、油量を調整することで
車高調整を行うハイドロニューマチックサスペンション
を想定している。しかし本発明としては油等の液体に限
るわけではなく空気等のガスを媒介して車高調整を行う
エア(ガス)サスペンションに適用することも可能であ
る。
【0035】懸架脚11〜14は、バネ要素17とダン
パ要素18と高さ調整要素15とタイヤ16とからな
る。
【0036】高さ調整要素15は、油圧シリンダであ
り、この油圧シリンダ15(以下車高調整用油圧シリン
ダ15)のロッド15bはアクスルを介してタイヤ16
に接続している。油圧シリンダ15の油室に圧油を供給
しあるいは油室から圧油を排出することによってロッド
15bを伸縮させて懸架脚11〜14の高さを変化させ
車体101の高さが調整される。車高調整用油圧シリン
ダ15の油室は、油圧配管18aを介してアキュムレー
タ17の油室に連通している。アキュムレータ17は空
気バネとして機能しバネ要素17を構成している。油圧
配管18a上には絞り18が設けられており、絞り18
は、ダンパ要素18を構成している。
【0037】図2(a)は図1の懸架脚11〜14の構
成を概念的に示している。同図2(a)に示すように車
体101の「バネ下」に、バネ要素17とダンパ要素1
8とが並列に接続されており、この下に車高調整用油圧
シリンダ15が直列に接続され、さらに車高調整用油圧
シリンダ15の下にタイヤ16が直列に接続されてい
る。
【0038】なお実施形態では、バネ要素17とダンパ
要素18とを並列に接続しているが、バネ要素17とダ
ンパ要素18とを直列に接続してもよい。またバネ要素
17とダンパ要素18に対して、車高調整用油圧シリン
ダ15を直列に接続しているが、バネ要素17とダンパ
要素18に対して、車高調整用油圧シリンダ15を並列
に接続してもよい。
【0039】質量投射器60から質量が投射されると、
その投射の反動によって上記バネ要素17、ダンパ要素
18、タイヤ16が変形して、懸架脚11〜14の高さ
を変位させる。
【0040】実施形態では、4つの懸架脚11、12、
13、14それぞれに対して高さ調整装置21、22、
23、24が独立して設けられている。高さ調整装置2
1〜24は車高調整用油圧シリンダ15に圧油を供給
し、あるいは車高調整用油圧シリンダ15から圧油を排
出させることによって懸架脚11〜14の高さを変位さ
せ車体101の高さ調整を行う。高さ調整装置21〜2
4の詳細な構成については後述する。
【0041】車体101の上部には質量投射装置60が
設けられている。質量投射装置60は、質量投射台61
と、弾丸等の質量を投射する質量投射器62とからな
る。質量投射台61は車体101に対してZ軸(上下方
向)回りに旋回可能に設けられている。旋回角をαとす
る。質量投射器62は質量投射台61に対して俯仰方向
に俯仰可能に設けられている。俯仰角をβとする。質量
投射装置60には実際の旋回角α、実際の俯仰角βを検
出する角度センサが設けられている。質量投射装置60
から投射される質量の投射方向Lは、車両100の位
置、姿勢と、上記旋回角αと、上記俯仰角βとによって
一義的に定められる。
【0042】図4は本実施形態の制御系の全体構成を示
している。
【0043】車両100の運転席には操作パネル70が
設けられている。この操作パネル70では、質量投射装
置60を動作させる条件としての各種質量投射条件が設
定されるとともに、車両100の現在の状態および質量
投射装置60の現在の状態がモニタ表示される。また操
作パネル70には投射指令ボタンが設けられており、こ
の投射指令ボタンが押されることによって投射動作指令
信号が出力される。なお投射指令ボタンとしては、1回
押す毎に1回の投射を行うもの、押されている間中だけ
質量投射を連続して行うもの、1回押すことによって所
定回数の連続した質量投射が行われるもののいずれの機
能のボタンを採用してもよい。
【0044】ここで「質量投射条件」とは、質量の投射
方向L(旋回角α、俯仰角β)、投射質量、投射の初
速、質量の連続投射に伴う反力Fの時系列パターン、投
射のタイミング信号などである。
【0045】ここで上記反力Fの時系列パターンとは、
図9に例示するように、ある所定のτ時間連続投射する
場合に車体101が受ける反力Fが、時間tの経過に応
じて変化するパターンのことである。反力Fの時系列パ
ターンは、質量投射装置60が例えば弾丸を投射する砲
台であれば、弾丸が砲台外に飛び出すまでの弾丸の加速
パターンや、緩衝装置の構成によって異なる。ここでい
う「緩衝装置」とは、弾丸投射に伴う反力を車体101
が直接受けないように、質量投射装置60と車体101
との間に介在された緩衝装置のことである。このため反
力Fの時系列パターンは、質量投射装置60の種類や車
両100の種類によって異なり、質量投射装置60毎
に、あるいは車両100毎に予め設定されておかれる。
【0046】また投射のタイミング信号は、連続した投
射をいかなるインターバルで行うかを定めるパラメータ
であり、これについても質量投射装置60の種類や車両
100の種類によって異なるので、質量投射装置60毎
に、あるいは車両100毎に予め設定されておかれる。
【0047】操作パネル70で設定された各種質量投射
条件および投射動作指令信号は、質量投射制御装置80
に出力される。質量投射制御措置80は操作パネル70
から入力された各種質量投射条件の設定内容に基づい
て、質量投射装置60を旋回させるととも俯仰させるよ
う制御するとともに、操作パネル70より入力された投
射動作指令信号をトリガとして、所望の回数だけ連続的
な質量投射を行うよう質量投射装置60を制御する。質
量投射装置60に設けられた角度センサで検出された実
際の旋回角α、実際の俯仰角βは、質量投射制御装置8
0を介して操作パネル70にモニタ表示される。また角
度センサで検出された実際の旋回角α、実際の俯仰角β
をフィードバック量として質量投射装置60の旋回角、
俯仰角が目標値に一致するようフィードバック制御され
る。
【0048】操作パネル70で設定された各種質量投射
条件(質量投射装置60の動作条件)のデータは、質量
投射制御装置80を介して懸架コントローラ50に出力
される。
【0049】各懸架脚11、12、13、14それぞれ
に対応する車体101の各箇所には、加速度センサ4
1、42、43、44がそれぞれ設けられている。加速
度センサ41〜44で質量連続投射時における懸架脚1
1〜14の高さ方向の加速度が検出される。また車体1
01の所定箇所には車体101のロール角、ピッチ角を
検出することにより車体101の姿勢を検出する姿勢セ
ンサ45が設けられている。
【0050】加速度センサ41〜44、姿勢センサ45
の検出結果は車両100の運動状態を示すデータとして
懸架コントローラ50に入力される。
【0051】懸架コントローラ50は、加速度センサ4
1〜44、姿勢センサ45の検出結果と操作パネル70
で設定される各種質量投射条件(質量投射装置動作条
件)とに基づいて、後述するように車高調整装置21〜
24毎に、フィードフォワード量として高さ調整目標値
L〜Hi(t)(i=1〜4)を生成し、これを車高調整
装置21〜24にそれぞれ出力することにより、各懸架
脚11〜14の高さ調整要素15をフィードフォワード
制御する。なお前述したように車輪(タイヤ16)が複
数N個あり、複数N個の懸架脚11〜1Nが設けられて
いる場合には、懸架コントローラ50からN個の懸架脚
11〜1Nそれぞれに対して高さ調整目標値L〜Hi
(t)(i=1〜N)が出力されることになる。
【0052】図2(a)、(b)は、質量投射装置60
による質量投射と各懸架脚11〜14の高さ変位との関
係を説明する図である。図2(a)は車両100を斜視
的にみた図であり、図2(b)は図2(a)は車両10
0を上面からみた図である。
【0053】図2(a)において破線で示す面101a
は、質量投射前のいわゆる「1G」状態の車体101の
上面を示しており、実線で示す面101bは、質量投射
後に投射に伴う反力Fを受けた車体101の上面を示し
ている。
【0054】質量投射装置60は前述したように実際に
は車体101の上部に設けられ、各懸架脚11〜14は
車体101の下部に設けられているが、質量投射と懸架
脚11〜14の高さ変位との関係を説明する上で、図2
(a)に示すように、4つの懸架脚11〜14の上部が
作る面101a、101bの上に質量投射装置60が設
けられているモデルで説明して差し支えない。
【0055】質量投射装置60からL方向に質量が投射
されると、この投射方向Lとは反対方向の直線(これを
図2(b)に一点鎖線で示す)に最も近い懸架脚13が
最も大きく変位することになる。つまり質量投射前の車
体上面101a(これを図2(a)に破線で示す)は、
質量投射後には、懸架脚13相当部分が最も変位した車
体上面101b(これを図2(a)に太実線で示す)に
変形する。
【0056】つぎに図3を併せ参照して車高調整装置2
1〜24の構成について説明する。
【0057】図3は懸架脚11に対応して設けられた車
高調整装置21の構成を示しているが、他の車高調整装
置22〜24についても車高調整装置21の構成と同じ
である。
【0058】同図3に示すように、車高調整装置21
は、大きくは、駆動源35と、油圧ポンプ34と、タン
ク33と、比例制御弁27と、上駆動シリンダ26と、
下駆動シリンダ25と、コントローラ37とから構成さ
れている。下駆動シリンダ25は上駆動シリンダ26に
対して下側に配置されているものとする。
【0059】車高調整用油圧シリンダ15には油室15
aが設けられており、この油室15aは油圧配管30を
介して下駆動シリンダ25の油室25aに連通してい
る。
【0060】上駆動シリンダ26はピストン26cによ
って2つの油室26a、26bに画成されている。上駆
動シリンダ26のピストン26cは、ロッド26dに接
続しており、このロッド26dは下駆動シリンダ25の
ロッドを兼ねている。
【0061】ロッド26dには位置センサ31が付設さ
れており、この位置センサ31でピストン26cの上下
方向の移動位置xp(t)が検出される。
【0062】駆動源35はたとえば車両100に搭載さ
れた電動機あるいはエンジンであり、この駆動源35に
よって油圧ポンプ34が駆動される。
【0063】油圧ポンプ34の圧油吐出口は、油路36
を介して比例制御弁27のポンプポートPに連通してい
る。また比例制御弁27のタンクポートTは油路32を
介してタンク33に連通している。
【0064】比例制御弁27のAポートは上駆動シリン
ダ26の一方の油室26aに連通している。また比例制
御弁27のBポートは上駆動シリンダ26の他方の油室
26bに連通している。
【0065】比例制御弁27はたとえば電磁比例制御弁
であり、コントローラ37から出力される電気信号jが
比例制御弁27の電磁ソレノイドに加えられることによ
り、スプールが移動され、圧油の供給方向、圧油の供給
流量が制御される。つまりAポート、Bポートのいずれ
かが上駆動シリンダ26に圧油を供給する供給ポートと
して選択されるとともに、この供給ポートから上駆動シ
リンダ26に対して供給される圧油の流量が変化され
る。
【0066】比例制御弁27のAポートから圧油が供給
されるように制御された場合の動作について説明する。
この場合、油圧ポンプ34から吐出された圧油は、油路
36、比例制御弁27のAポート、油路28を介して上
駆動シリンダ26の一方の油室26aに供給される。上
駆動シリンダ26の油室26aに圧油が供給されると、
ピストン26cは図中下方向に移動する。これに伴いロ
ッド26dは図中下方向に移動して下駆動シリンダ25
の油室25aを圧縮させる。これにより下駆動シリンダ
25の油室25a内の圧油が押し出され油圧配管30を
介して高さ調整用油圧シリンダ15の油室15aに押し
込まれる。こうして高さ調整用油圧シリンダ15の油室
15aに圧油が供給されると、高さ調整用油圧シリンダ
15のロッド15bが伸張して車体101を上側に変位
させる。なお上駆動シリンダ26の油室26aに圧油が
供給されロッド26dが図中下側に移動するに伴い上駆
動シリンダ26の他方の油室26bは圧縮するので同油
室26b内の圧油は、油路29を介して比例制御弁27
の戻りポートBに排出される。ポートBに排出された圧
油は、比例制御弁27、油路32を介してタンク33に
排出される。
【0067】比例制御弁27のBポートから圧油が供給
されるように制御された場合の動作について説明する。
この場合、油圧ポンプ34から吐出された圧油は、油路
36、比例制御弁27のBポート、油路29を介して上
駆動シリンダ26の他方の油室26bに供給される。上
駆動シリンダ26の油室26bに圧油が供給されると、
ピストン26cは図中上方向に移動する。これに伴いロ
ッド26dは図中上方向に移動して下駆動シリンダ25
の油室25aを膨脹させる。これにより高さ調整用油圧
シリンダ15の油室15a内の圧油が油圧配管30を介
して下駆動シリンダ25の油室25aに排出される。高
さ調整用油圧シリンダ15の油室15aから圧油が排出
されると、高さ調整用油圧シリンダ15のロッド15b
が縮退して車体101を下側に変位させる。なお上駆動
シリンダ26の油室26bに圧油が供給され油室ロッド
26が図中上側に移動するに伴い上駆動シリンダ26の
他方の油室26aは圧縮するので同油室26a内の圧油
は、油路28を介して比例制御弁27の戻りポートAに
排出される。ポートAに排出された圧油は、比例制御弁
27、油路32を介してタンク33に排出される。
【0068】位置センサ31では、ピストン26cの変
位xp(t)が、高さ調整用油圧シリンダ15の高さと
して検出される。
【0069】なお図3において破線で示す部分つまり作
動油の油圧源に関する構成部分は、各車高調整装置2
1、22、23、24で各別に設けることも可能であ
り、また各車高調整装置21〜24で共有することも可
能である。
【0070】ここで制御対象である懸架脚11〜14の
応答周波数について検討を加える。
【0071】a)質量投射時の反力によって懸架脚11
〜14の高さωi(t)が変位するとき、その変位ωi
(t)のうち主要な部分を占めるのはバネ要素17とダ
ンパ要素18の変形である。バネ要素17とダンパ要素
18の変動は応答周波数1Hz程度の緩やかな変動であ
る。
【0072】b)タイヤ16が歪むことに起因する懸架
脚11〜14の高さωi(t)の変位は、バネ下(タイ
ヤとアクスル)側から加振される場合であれば、応答周
波数が10〜20Hz程度の高速な現象も含む。しかし
本実施形態の場合にはバネ上(車体)側から加振される
場合であるので、10〜20Hz程度の高い周波数の変
動は上部のバネ要素17とダンパ要素18とによって吸
収されてしまいタイヤ16には伝達されない。したがっ
てタイヤ16の応答周波数も1Hz前後となり緩やかな
応答となる。
【0073】上記a)、b)で説明したように制御対象
である懸架脚11〜14の応答周波数は、1Hz前後で
あると考えることができる。このため応答周波数として
これよりも高い周波数つまり数10Hzで動作するアク
チュエータを用いて懸架脚11〜14を制御すれば応答
性の高い制御系を構成することができる。
【0074】一般的に制御弁のスプールの応答は数十H
zといわれている。本実施形態では図3で説明したよう
に、車高調整装置21〜24を、油圧シリンダ25、2
6、比例制御弁27で構成しているので、数十Hzの応
答周波数で動作すると考えられ、バネ上側からの加振
(1Hz程度)に対して応答性の高い制御を実現するこ
とができる。
【0075】図6は図3に示す車高調整装置21〜24
の制御系の構成を示している。
【0076】図6に示すように、懸架コントローラ50
より、フィードフォワード量として高さ調整目標値L〜
Hi(t)(i=1〜4)が車高調整装置21〜24に与
えられる。一方で位置センサ31で懸架脚11〜14の
高さ調整用油圧シリンダ(高さ調整要素)15の変位x
p(t)が検出される。そしてこの高さ調整用油圧シリ
ンダ15の変位xp(t)をフィードバックして補償要
素38に加える。補償要素38では、高さ調整用油圧シ
リンダ15の変位の推定値L^Hi(t)が演算される。
この高さ推定値L^Hi(t)は、駆動シリンダ25、2
6の受圧面積と高さ調整用油圧シリンダ15の受圧面積
との比率、油圧配管30等の配管系の遅れなどを加味し
て求められる。
【0077】減算部39では、高さ調整目標値L〜Hi
(t)と高さ推定値L^Hi(t)との偏差が求められコ
ントローラ37に制御指令として加えられる。この結果
コントローラ37は、高さ調整目標値L〜Hi(t)と高
さ推定値L^Hi(t)との偏差が零になるように電気信
号jを比例制御弁27に出力する。図3で説明したよう
に比例制御弁27の動作に応じて駆動シリンダ25、2
6が駆動し、駆動シリンダ25、26の駆動に応じて高
さ調整用油圧シリンダ15が作動する。この結果高さ調
整用油圧シリンダ15のロッド15bが変位し、これに
より懸架脚11〜14の高さが、高さ調整目標値L〜Hi
(t)だけ調整され、車体101の高さが調整される。
【0078】つぎに上述した実施形態の動作について説
明する。
【0079】(第1実施例)図5は懸架コントローラ5
0内で行われる演算処理の内容を説明するブロック図で
ある。
【0080】懸架コントローラ50は、つぎのi)、i
i)、iii)の手順で高さ調整目標値L〜Hi(t)を
生成し、出力する。
【0081】i)外乱の予測演算処理 図5に示す外乱予測部55では、入力したデータつまり
加速度センサ41〜44、姿勢センサ45の検出値、質
量投射条件(質量投射装置60の動作条件)に基づい
て、質量投射の反力によって各懸架脚11〜14のバネ
要素17、ダンパ要素18、タイヤ16が歪みこれによ
って懸架脚11〜14の高さが変化する量を、高さ予測
値ω^i(t)(i=1、2、3、4)として、各懸架
脚11、12、13、14毎に予測演算する。
【0082】高さ予測値ω^i(t)(i=1、2、
3、4)は図7に例示するように時間tを関数とする時
系列的なデータである。図9に示すように所定回数の投
射がτ時間連続して行われるのであれば、このτ時間の
間の高さ予測値ω^i(t)(i=1、2、3、4)が
時間tを変数として演算される。
【0083】また加速度センサ41〜44、姿勢センサ
45の検出値、質量投射条件(質量投射装置60の動作
条件)以外のデータを考慮して、高さ予測値ω^i
(t)(i=1、2、3、4)を予測演算してもよい。
【0084】加速度センサ41〜44、姿勢センサ45
の検出値、質量投射条件(質量投射装置60の動作条
件)以外のデータとは、たとえば「車体101と懸架脚
11〜14の質量分布」、「車体101と懸架脚11〜
14の剛性」、「懸架脚11〜14の初期状態」、「懸
架脚11〜14のバネ要素17の種類(線形であるか非
線形であるか)」などのデータである。
【0085】「車体101と懸架脚11〜14の質量分
布」というデータを考慮する理由は、質量分布が異なっ
ていれば、反力Fに対する慣性モーメントが異なり、こ
れによって同じ反力Fを受けたとしても懸架脚11〜1
4の高さ予測値ω^i(t)(i=1、2、3、4)は
異なるものになるからである。
【0086】また「車体101と懸架脚11〜14の剛
性」というデータを考慮する理由は、剛性が異なってい
れば、反力Fを受けたときの各部の歪みが異なり、これ
によって同じ反力Fを受けたとしても懸架脚11〜14
の高さ予測値ω^i(t)(i=1、2、3、4)は異
なるものになるからである。
【0087】また「懸架脚11〜14の初期状態」とい
うデータを考慮する理由は、各懸架脚11〜14毎に、
バネ要素17の初期状態(初期の縮み量、初期の圧
力)、ダンパ要素18(初期の絞り量、初期の縮み量、
初期の圧力)、車高調整用油圧シリンダ15の初期状態
(初期油圧)が異なっていれば、車高調整用油圧シリン
ダ15に同じ油量を供給したとしても各懸架脚11〜1
4毎に高さ変化量が異なるものになるからである。
【0088】また「懸架脚11〜14のバネ要素17の
種類(線形であるか非線形であるか)」というデータを
考慮する理由は、バネ要素17が線形である場合と非線
形である場合とでは、車高調整用油圧シリンダ15に同
じ油量を供給したとしても懸架脚11〜14の高さ変化
量は異なるものになるからである。
【0089】したがってこれら質量分布、剛性等のデー
タを考慮すれば、より正確に高さ予測値ω^i(t)
(i=1、2、3、4)を求めることができる。
【0090】この外乱予測部55で行われるシミュレー
ションは、公知の市販ソフトウエアたとえば「ADAMS」
(商品あるいは商標名)、「EASY5」(商品あるいは商
標名)などを用いて行うことができる。たとえば、これ
ら市販ソフトウエアを簡易に書き換えたソフトウエアを
車載型の小型計算機にインストールし、高さ予測値ω^
i(t)(i=1、2、3、4)を演算する。
【0091】またバネ上(車体)側から加振した場合の
懸架脚11〜14の応答周波数は前述したとおり1Hz
程度であるために、図9に示すように投射後の数秒間
(=τ)に発生する外乱の予測値ω^i(t)(i=
1、2、3、4)を演算すれば十分である。また質量投
射を開始してから車体101が傾き始めるまでは数十ミ
リ秒(=Δt)あるので、このΔtの間に懸架コントロ
ーラ50で、投射後数秒τ分の外乱予測値の時系列デー
タω^i(t)(i=1、2、3、4)を計算すること
は十分可能である。また投射後数秒τ分の外乱予測値の
時系列データω^i(t)(i=1、2、3、4)を、
数十ミリΔt間にまとめて演算する代わりに、投射1回
分の外乱予測値の時系列データω^i(t)(i=1、
2、3、4)を、投射が毎回開始される毎に予測演算し
てもよい。
【0092】ii)共通高さ目標値の演算処理 つぎに目標値算出部56では、全ての懸架脚11〜14
に共通する高さ目標値h〜(t)が算出される。この共
通高さ目標値h〜(t)は、上記高さ予測値ω^i
(t)と同様に時間tを関数とする時系列的なデータで
ある。
【0093】一般的に共通高さ目標値h〜(t)は、下
記(3)式に示すように高さ予測値ω^i(t)を変数
とする関数として算出される。
【0094】 h〜(t)=f{ω^1(t)、ω^2(t)、ω^3(t)、ω^4(t)} …(3) 関数fの例としては、高さ予測値ω^i(t)の平均値
を演算する、高さ予測値ω^i(t)のうちで最大値を
とる、高さ予測値ω^i(t)のうちで最小値をとる、
などが挙げられる。また共通高さ目標値h〜(t)を
0、つまり投射による反力Fを受けておらず各懸架脚1
1〜14がいわゆる「1G」状態のときの高さを、目標
値に設定してもよい。
【0095】iii)高さ調整目標値の演算処理 つぎに減算部51、52、53、54(5N)では、下
記(4)式に示すように、共通高さ目標値h〜(t)か
ら高さ予測値ω^1(t)、ω^2(t)、ω^3
(t)、ω^4(t)をそれぞれ減算する処理が実行さ
れて、高さ調整目標値LH1〜(t)、LH2〜(t)、L
H3〜(t)、LH4〜(t)が、各懸架脚11、12、1
3、14毎に算出される。
【0096】 LHi〜(t)=h〜(t)−ω^i(t) (i=1、2、3、4) …(4) 以上のようにして懸架コントローラ50で、高さ調整目
標値LHi〜(t)が演算されると、図4に示すように、
懸架コントローラ50から各車高調整装置21、22、
23、24に対して、高さ調整目標値LH1〜(t)、L
H2〜(t)、LH3〜(t)、LH4〜(t)がそれぞれ出
力される。
【0097】この結果図3、図6で説明したように各懸
架脚11〜14の高さ調整用油圧シリンダ15のロッド
15bはそれぞれ、上記高さ調整目標値LH1〜(t)、
LH2〜(t)、LH3〜(t)、LH4〜(t)だけ上下方
向に変位する。
【0098】質量連続投射時には、図6に「外乱ωi
(t)」として示すように、各懸架脚11〜14の車高
調整用油圧シリンダ15には、外乱ω1(t)、ω2
(t)、ω3(t)、ω4(t)がそれぞれ加わり、これ
ら外乱ω1(t)、ω2(t)、ω3(t)、ω4(t)分
だけ各懸架脚11、12、13、14の高さがそれぞれ
変位する。これは上記(4)式の右辺に、「ωi
(t)」が加算されることに相当する。
【0099】このため高さ予測値(外乱予測値)ω^i
(t)が実際の外乱ωi(t)と誤差なく一致していれ
ば、上記(4)式の右辺で、「ω^i(t)」と「ωi
(t)」とが相殺されて、「h〜(t)」の項のみとな
り、質量が連続して投射されている期間τ中、各懸架脚
11〜14は同じ高さh〜(t)を維持する。
【0100】つぎに図10を用いて本実施形態の効果に
ついて説明する。
【0101】本実施形態によれば、質量が連続して投射
されている期間τ中、各懸架脚11〜14は同じ高さh
〜(t)を維持するので、反力Fを受けていない質量投
射前(図10(a))に対して質量連続投射時(図10
(c))には、車体101は上下方向(Z軸)に変位す
るが、ロール方向(X軸)、ピッチ方向(Y軸)には傾
斜したり揺動しない。このように車体101は上下方向
に平行移動するだけでロール方向やピッチ方向の傾斜や
振動が大幅に減衰される。
【0102】このため質量投射前の投射方向L1に対し
て、質量連続投射時の投射方向L2は、上下方向にずれ
ではいるものの方向においては概ね一致し、質量連続投
射時の質量到達地点はほぼ一定となる。このため連続し
た質量投射を正確に安定して行うことができる。つまり
質量投射前の投射方向L1と質量投射後の投射方向L2と
が一致していなかったため(図10(a)、(b))、
連続した質量投射を正確に安定して行うことのできなか
った従来技術の問題点が解決される。
【0103】また本実施形態によれば、従来技術1)、
2)のように質量投射装置60にスタビライザなどの大
がかりで複雑な機構を設ける必要はなく、図5に示す簡
単な演算処理を行う機能を付加するだけでよい。たとえ
ば既存の車両100に小型コンピュータを付加するだけ
で済む。このため装置コストが上昇することがなく、ま
た場積が嵩むことがなく、また大幅な車両重量増加を伴
うことがない。
【0104】また従来技術3)のように車両の揺動が収
まるのを待つ必要がないので、投射間隔を短くでき短時
間に多数の質量を投射することができる。
【0105】また本実施形態によれば、外乱ω^i
(t)を予測し、この外乱予測値ω^i(t)に応じた
高さ調整目標値LHi〜(t)が得られるよう車高調整要
素15を、フィードフォワード制御しているので、高い
応答性でロール方向、ピッチ方向の振動を減衰させるこ
とができる。つまりフィードバック制御で車体の高さを
調整するという従来技術3)と比較して高い応答性で車
高調整を行うことができる。仮に本実施形態において、
車体101のロール角、ピッチ角の実際の値を検出し、
これをフィードバック量として車高をフィードバック制
御したものとすると、応答遅れが生じて車体101の実
際のロール変化、ピッチ変化に対して車高調整要素15
の制御が間に合わなくなる。
【0106】また本実施形態において、上記i)、i
i)、iii)で説明した演算処理は、操作パネル70
で投射指令ボタンが押される前に行ってもよく、質量投
射ボタンが押されてから行ってもよい。図9に示すよう
に、たとえ投射指令ボタンが押されて投射動作が開始さ
れた後であっても、投射の反力Fによって車体101が
揺れ始めるまでに数十ミリ秒の時間Δtがあるので、現
在一般的に使用されるスペックのCPU(演算素子)を
使用すれば、この間Δtの間にすべての演算処理を終え
ることが可能である。
【0107】また上記時間Δtの間に、質量投射条件の
うち、反力Fの時系列パターン、投射のタイミング信号
などを計算することもできる。
【0108】(第2実施例)つぎに上記第1実施例を変
形した第2実施例について説明する。
【0109】この第2実施例では第1実施例のii)の
共通高さ目標値の演算処理の内容が異なっている。以下
異なる部分について説明する。
【0110】ii)共通高さ目標値の演算処理 図5に示す目標値算出部56では、全ての懸架脚11〜
14に共通する高さ目標値h〜(t)が算出される。
【0111】この場合、共通高さ目標値h〜(t)は、
各懸架脚11、12、13、14の高さ予測値ω^1
(t)、ω^2(t)、ω^3(t)、ω^4(t)のう
ちで最大に変位する懸架脚の高さ予測値とされる。
【0112】たとえば図7に示すように各懸架脚11、
12、13、14の高さ予測値ω^1(t)、ω^2
(t)、ω^3(t)、ω^4(t)が取得されたものと
する。図7は、図2(b)に示す投射方向Lに質量が投
射された場合の高さ予測値の時系列データω^i(t)
を示している。この場合、質量投射時の反力Fによって
懸架脚13が最も大きな外乱を受けて最も大きく変位す
る。
【0113】そこで、下記(5)式に示すように、この
最も大きく変位する懸架脚13の高さ予測値ω^3
(t)が、共通高さ目標値h〜(t)とされる。
【0114】h〜(t)=ω^3(t) …(5) iii)高さ調整目標値の演算処理 つぎに図5に示す減算部51、52、53、54(5
N)では、下記(1)式に示すように、共通高さ目標値
h〜(t)から高さ予測値ω^1(t)、ω^2(t)、
ω^3(t)、ω^4(t)をそれぞれ減算する処理が実
行して高さ調整目標値LH1〜(t)、LH2〜(t)、L
H3〜(t)、LH4〜(t)が、各懸架脚11、12、1
3、14毎に算出される。ただし上記(5)式で共通高
さ目標値h〜(t)を懸架脚13の高さ予測値ω^3
(t)に設定したので、下記(1)式の右辺で「共通高
さ目標値h〜(t)」の項は、「懸架脚13の高さ予測
値ω^3(t)」に置換されている。
【0115】(数式1) 以上のようにして懸架コントローラ50で、高さ調整目
標値LHi〜(t)が演算されると、図4に示すように、
懸架コントローラ50から各車高調整装置21、22、
23、24に対して、高さ調整目標値LH1〜(t)、L
H2〜(t)、LH3〜(t)、LH4〜(t)がそれぞれ出
力される。
【0116】この結果図3、図6で説明したように各懸
架脚11〜14の高さ調整用油圧シリンダ15のロッド
15bはそれぞれ、上記高さ調整目標値LH1〜(t)、
LH2〜(t)、LH3〜(t)、LH4〜(t)だけ上下方
向に変位する。
【0117】質量連続投射時には、図6に「外乱ωi
(t)」として示すように、各懸架脚11〜14の車高
調整用油圧シリンダ15には、外乱ω1(t)、ω2
(t)、ω3(t)、ω4(t)がそれぞれ加わり、これ
ら外乱ω1(t)、ω2(t)、ω3(t)、ω4(t)分
だけ各懸架脚11、12、13、14の高さがそれぞれ
変位する。これは上記(1)式の右辺に、「ω1
(t)」、「ω2(t)」、「ω3(t)」、「ω4
(t)」がそれぞれ加算されることに相当する。
【0118】このため高さ予測値(外乱予測値)ω^i
(t)が実際の外乱ωi(t)と誤差なく一致していれ
ば、上記(1)式の右辺で、「ω^i(t)」と「ωi
(t)」とが相殺されて、「ω^3(t)」の項のみと
なり、質量が連続して投射されている期間τ中、各懸架
脚11〜14は同じ高さh〜(t)つまり高さ予測値ω
^3(t)を維持する。
【0119】図8(a)は、各懸架脚11、12、1
3、14それぞれの高さ予測値ω^1(t)、ω^2
(t)、ω^3(t)、ω^4(t)を示し、図8(b)
は質量連続投射時の各懸架脚11〜14の実際の高さを
示している。同図に示すように質量連続投射時には各懸
架脚11〜14の高さは、懸架脚13が受けた外乱ω3
(t)とほぼ一致する。
【0120】つぎにこの第2実施例の利点について説明
する。
【0121】質量投射時に最も大きく高さが変化する懸
架脚13は、質量投射時に極めて大きな反力Fを集中し
て受けている。このような懸架脚13を、仮に車高調整
装置23によって過剰に調整した場合には、機構的に無
理な力が加わり耐久性の悪化等の悪影響を与える。そこ
で質量連続投射時に最も高さが大きく変化する懸架脚1
3の高さ予測値ω^3(t)を共通高さ目標値h〜
(t)に設定すれば(上記(5)式参照)、上記(1)
式に示すように、この懸架脚13の高さ調整目標値LH3
〜(t)は0になり、懸架脚13の高さを調整する必要
はなくなる。質量連続投射時に反力Fを集中して受けて
高さが最も変化している懸架脚13で、高さ調整の動作
が行わなくなるので、懸架脚13に機構的に無理な力が
加わることが防止され、耐久性等を飛躍的に向上させる
ことができる。
【0122】(第3実施例)つぎに高さ予測値(外乱予
測値)ω^i(t)と実際の外乱ωi(t)との間で生じ
る制御誤差εiについて検討を加える。
【0123】各懸架脚11〜14毎に設けられた車高調
整装置21〜24で発生する制御誤差をそれぞれεi
(i=1〜4)とする。制御誤差εi(i=1〜4)は
図6に示す制御系で発生する。
【0124】質量連続投射時には、上記(1)の右辺に
「制御誤差εi」と「外乱ωi(t)」が加わるので、各
懸架脚11、12、13、14の実際の高さLH1
(t)、LH2(t)、LH3(t)、LH4(t)は下記
(2)式で表される。
【0125】(数式2) 上記(2)式で高さ予測値(外乱予測値)ω^i(t)
が実際の外乱ωi(t)に極めて近く、制御誤差εiが無
視できるほど小さければ、図8で説明したように全ての
懸架脚11〜14は懸架脚13の高さに極めて近い高さ
を保って上下することになり、この結果車体101のロ
ール、ピッチ方向の揺動が著しく低減する。
【0126】しかし懸架脚11〜14、車高調整装置2
1〜24の構成要素の経時変化等によって、外乱予測値
ω^i(t)の予測精度が低下したり、制御誤差εiが大
きくなったりすると、車体101のロール、ピッチ方向
の揺動を低減する効果が下がっていく。
【0127】そこで、この第3実施例では、車体101
のロール角ωx(t)、ピッチ角ωY(t)およびこれら
の角速度ω・x(t)、ω・Y(t)について、上限値、
下限値をしきい値として設定する。そして質量連続投射
時には、これらロール角ωx(t)、ピッチ角ωY
(t)、ロール角速度ω・x(t)、ピッチ角速度角ω
・Y(t)をそれぞれしきい値と比較して上限値を超え
ている場合あるいは下限値を下回っている場合には、懸
架脚11〜14、車高調整装置21〜24の構成要素に
不具合があるものと判断してメンテナンス警報信号を出
力する。この処理は懸架コントローラ50で実行され
る。図1に示すように懸架コントローラ50からメンテ
ナンス警報信号が出力されると、このメンテナンス警報
信号は操作パネル70に入力される。操作パネル70に
メンテナンス警報信号が入力されると、車内に設けられ
た警報装置が作動してオペレータ等に「メンテナンスす
べきである旨」が促される。これによってオペレータ等
は、懸架脚11〜14、車高調整装置21〜24等のメ
ンテナンスを迅速に行うことができる。この結果、車両
100のロール、ピッチ方向の傾斜、揺動の減衰効果が
常に一定レベル以上に維持される。なおメンテナンス警
報信号を車外に出力して車両100の外部の人間に知ら
しめるようにしてもよい。
【0128】(第4実施例)上記第3実施例では、ロー
ル角ωx(t)、ピッチ角ωY(t)、ロール角速度ω・
x(t)、ピッチ角速度角ω・Y(t)をそれぞれしきい
値と比較しているが、高さ予測値(外乱予測値)ω^i
(t)と実際の外乱ωi(t)とを直接比較してもよ
い。ここで図1で説明したように車両100には懸架脚
11〜14毎に加速度センサ41〜44が設けられてい
る。そこで加速度センサ41〜44の検出加速度を2回
積分することにより各懸架脚11〜14の実際の高さ変
位つまり実際の外乱ωi(t)を求めることができる。
【0129】懸架コントローラ50では以下の処理が行
われる。
【0130】すなわち懸架脚11〜14の質量連続投射
時における実際の高さω1(t)、ω2(t)、ω3
(t)、ω4(t)が計測され、高さ予測値ω^i(t)
と計測した実際の高さωi(t)との差である制御誤差
εi(i=1、2、3、4)が求められる。そしてこれ
らの制御誤差εiを所定のしきい値と比較し、制御誤差
εiがしきい値以上になった場合には、メンテナンス警
報信号が出力される。これによりオペレータ等は、高さ
予測値ω^i(t)に一定レベル以上の誤差が含まれて
いるか制御誤差εiが無視できないほど大きくなってい
ることを知り得るので、予測計算のパラメータを訂正す
るなどのメンテナンスを行う措置を迅速にとることがで
きる。これにより予測計算のメンテナンスのタイミング
を逸することが防止され、常に誤差がない最適な状態で
質量連続投射を行うことができる。なお特定の懸架脚た
とえば最も大きく変位する懸架脚13を選択し、この懸
架脚13に関してのみ、実際の高さω3(t)を計測
し、高さ予測値ω^3(t)と計測した実際の高さω3
(t)との差である制御誤差ε3を求め、この制御誤差
ε3を所定のしきい値と比較し、制御誤差ε3がしきい値
以上になった場合に、メンテナンス警報信号を出力する
ような実施も可能である。
【0131】(第5実施例)ところで、前述した第1実
施例、第2実施例では、図11(a)、(c)に示すよ
うに全懸架脚11〜14に共通の高さ目標値h〜(t)
を設定し、この共通の高さ目標値h〜(t)が得られる
ように車高調整装置21〜24を制御して、質量連続投
射時に、質量投射装置60から投射される質量の方向を
常に同一方向L2にしている。しかし本発明としては、
必ずしも全懸架脚11〜14を同じ高さにする必要はな
く、質量連続投射時に、質量投射装置60から投射され
る質量の方向が常に同一方向L2になりさえすれば、各
懸架脚11〜14の高さは互いに異なっていてもよい。
【0132】そこでこの第5の実施例では、全懸架脚1
1〜14に共通の高さ目標値h〜(t)を設定する代わ
りに、質量連続投射時に質量投射装置60から投射され
る質量の方向が同一方向L2になるように各懸架脚1
1、12、13、14毎に高さ目標値h〜1(t)、h
〜2(t)、h〜3(t)、h〜4(t)を設定する。こ
れ以外の演算処理は上記第1実施例、第2実施例と同じ
である。たとえば図11(b)、(d)に示すように前
側の懸架脚11、12の高さ目標値h〜f(t)(h〜1
(t)、h〜2(t))が後側の懸架脚13、14の高
さ目標値h〜r(t)(h〜3(t)、h〜4(t))よ
りも高くなるように、各懸架脚11、12、13、14
毎に高さ目標値h〜1(t)、h〜2(t)、h〜3
(t)、h〜4(t)が設定される。
【0133】図11(b)は車両100が水平な路面上
に存在している場合において、質量連続投射時にこの第
5実施例の車高調整を行ったときの車両100の姿勢を
示している。
【0134】懸架脚11〜14が同じ高さになるように
車高調整した図10(a)の場合と比較して質量は上向
きに投射されているのがわかる。
【0135】図11(d)は車両100の後輪が岩石等
に乗り上げ車両100が前傾している場合において、質
量連続投射時にこの第5実施例の車高調整を行ったとき
の車両100の姿勢を示している。
【0136】懸架脚11〜14が同じ高さになるように
車高調整した図10(c)の場合と比較して質量は上向
きに投射されているのがわかる。
【0137】本第5実施例によれば質量連続投射時に質
量投射装置60を駆動制御することなく、つまり俯仰角
βを制御することなく、車高調整装置21〜24を制御
するだけで質量連続投射時の質量投射方向を任意の方向
に定めることができる。特に図11(c)の場合のよう
に車両100が前傾している状態で全懸架脚11〜14
を同じ高さにすると質量が水平方向に対して下向きに投
射されてしまうが、図11(d)のように前側の懸架脚
11、12の高さが後側の懸架脚13、14の高さより
も高くなるように車高を調整することにより、質量が水
平方向ないしは水平方向よりも上向きの正しい方向に投
射されるように補正することができる。
【0138】なお実施形態では、図3の油圧回路図にお
いて、下駆動シリンダ25を伸縮させるために上駆動シ
リンダ26を用いているが、必ずしもこの構成のものに
限定されるわけではない。
【0139】下駆動シリンダ25を伸縮させるための上
駆動シリンダ26を、直線状に動く任意のアクチュエー
タ、たとえば「回転するモータとボールネジ」、「回転
するモータとラック・ピニオン機構」、「リニアモー
タ」、「回転するモータとリンク機構」などに置き換え
ることができる。なおここで「モータ」とは、電気モー
タ、油圧モータ、空気圧モータその他の回転式のアクチ
ュエータを含む概念である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は実施形態の車両の全体構成を示す図であ
る。
【図2】図2(a)は各懸架脚が変位する様子を示す斜
視図で、図2(b)は車両を上面からみた図である。
【図3】図3は図1に示す車高調整装置の構成を示す油
圧回路図である。
【図4】図4は図1の車両の制御系の全体構成を示すブ
ロック図である。
【図5】図5は図1、図4に示す懸架コントローラで行
われる演算処理を説明するブロック図である。
【図6】図6は図1に示す車高調整装置の制御系を示す
ブロック図である。
【図7】図7は各懸架脚に加わる外乱の時系列的な予測
値(高さ予測値)を示すグラフである。
【図8】図8(a)、(b)は各懸架脚の高さを、最も
大きく変位する懸架脚の高さに一致させる制御を説明す
る図である。
【図9】図9は質量が連続して投射されるときに車体が
受ける反力の時系列的な変化を示すグラフである。
【図10】図10(a)、(b)、(c)は従来技術と
本発明の車両の揺動を説明する図である。
【図11】図11(a)、(b)、(c)、(d)は質
量連続投射時の投射方向を示す図である。
【符号の説明】
11〜14 懸架脚 15 高さ調整要素(高さ調整用油圧シリンダ) 21〜24 車高調整装置 50 懸架コントローラ 60 質量投射装置 100 車両

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 質量投射装置を搭載し、複数の懸架
    脚を有した車両に適用され、質量投射装置から質量が連
    続投射された際に車両で発生する振動を減衰するように
    した質量投射装置搭載車両の振動減衰装置において、 複数の懸架脚毎に設けられ、懸架脚の高さを調整する車
    高調整手段と、 前記質量投射装置の質量投射条件に基づいて、質量連続
    投射時の懸架脚の高さ予測値を、各懸架脚毎に演算する
    予測値演算手段と、 全懸架脚に共通の高さ目標値を設定し、この共通高さ目
    標値から前記高さ予測値を差し引いた高さ調整目標値
    を、各懸架脚毎に演算する高さ調整目標値演算手段と、 質量連続投射時に、前記高さ調整目標値が得られるよう
    に前記車高調整手段をフィードフォワード制御する制御
    手段とを具えたことを特徴とする質量投射装置搭載車両
    の振動減衰装置。
  2. 【請求項2】 前記共通高さ目標値は、各懸架脚の
    高さ予測値のうちで最大に変位する懸架脚の高さを基準
    にして求められるものであることを特徴とする請求項1
    記載の質量投射装置搭載車両の振動減衰装置。
  3. 【請求項3】 質量連続投射時の懸架脚の実際の高
    さを計測する手段をさらに備え、高さ予測値と実際の高
    さとの差が所定のしきい値以上になった場合に警報信号
    を出力するようにしたことを特徴とする請求項1記載の
    質量投射装置搭載車両の振動減衰装置。
  4. 【請求項4】 質量投射装置を搭載し、複数の懸架
    脚を有した車両に適用され、質量投射装置から質量が連
    続投射された際に車両で発生する振動を減衰するように
    した質量投射装置搭載車両の振動減衰装置において、 複数の懸架脚毎に設けられ、懸架脚の高さを調整する車
    高調整手段と、 前記質量投射装置の質量投射条件に基づいて、質量連続
    投射時の懸架脚の高さ予測値を、各懸架脚毎に演算する
    予測値演算手段と、 質量連続投射時に前記質量投射装置から投射される質量
    の方向が同一方向になるように各懸架脚毎に高さ目標値
    を設定し、この高さ目標値から前記高さ予測値を差し引
    いた高さ調整目標値を、各懸架脚毎に演算する高さ調整
    目標値演算手段と、 質量連続投射時に、前記高さ調整目標値が得られるよう
    に前記車高調整手段をフィードフォワード制御する制御
    手段とを具えたことを特徴とする質量投射装置搭載車両
    の振動減衰装置。
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