JP2003302520A - 赤外レーザ用反射ミラーとその製造方法 - Google Patents

赤外レーザ用反射ミラーとその製造方法

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JP2003302520A
JP2003302520A JP2002107691A JP2002107691A JP2003302520A JP 2003302520 A JP2003302520 A JP 2003302520A JP 2002107691 A JP2002107691 A JP 2002107691A JP 2002107691 A JP2002107691 A JP 2002107691A JP 2003302520 A JP2003302520 A JP 2003302520A
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ion
vapor deposition
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JP2002107691A
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Hiromi Iwamoto
博実 岩本
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Sumitomo Electric Industries Ltd
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Sumitomo Electric Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 反射率が99.5%を越える赤外レーザ用反
射ミラーを提供すること。 【解決手段】 シリコンまたは無酸素同基材の上に、低
屈折率層としてZnSeまたはZnSを、高屈折率層と
してGeを組み合わせた交互多層膜を複数組、イオンア
シスト蒸着する。その際、低屈折率層膜厚fがf=λc
osecθ/4n (λは赤外波長、θは層中での反射
角、nは屈折率)となり、高屈折率層膜厚eがe=λ
cosecφ/4n(λは赤外波長、φは層中での反
射角、nは屈折率)となる。また、表面のGeがアモ
ルファスになり酸化されなくなる。HfO(酸化ハフ
ニウム)、Bi(酸化ビスマス)をバインダー層
として入れると密着性を高揚できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、高出力の炭酸ガ
スレーザ(CO)を初めとする赤外レーザ加工システ
ムのレーザ伝送光学系に用いられるベンドミラーやレー
ザ共振器内部の折り返しミラーなどの赤外レーザ用光学
部品に関する。これらの赤外レーザ用反射光学部品は高
い反射率と低い吸収率が要求される。ミラーに吸収があ
ると被処理物に照射されるレーザパワーが不足する。ま
たミラーが過熱されて劣化する。だから吸収は極力小さ
いのがよい。
【0002】ここで反射率と吸収率は相補的な関係にあ
る。反射率を直接に測ることは難しい。それで吸収率を
測ることが多い。レーザカロリメトリー(laser calori
metry)法はミラーの温度上昇を測定してレーザパワー
の吸収を求める方法である。1から吸収率を引いた値が
反射率だから吸収測定によって反射率を計算している。
【0003】折り返しミラーというのは共振器をなすミ
ラーのことである。これは180度反射であり2枚でよ
い。ベンドミラーというのはレーザビームをある角度で
何度も何度も反射して所望の経路を経て対象物に照射す
るためのミラーである。1枚のミラーの反射率が1に近
くても複数枚のミラーを組み合わせ多重反射させると全
体としての反射率はどんどん落ちてゆく。j番目のミラ
ーの反射率をRとした場合、全体の反射率は積ΠR
によって与えられる。だからミラーの枚数が増えると吸
収が増えてしまい対象物に照射されるレーザパワーが不
足してくる。
【0004】
【従来の技術】高出力の炭酸ガスレーザ(CO:発振
波長10.6μm)レーザ加工において、レーザ発振器
系、集光系にはZnSeを用いた出力鏡、終段鏡や集光
レンズなどが用いられる。ZnSeは赤外光に対して透
明な材料だからである。それはZnSe自体をミラーに
加工したもの、ZnSe自体をレンズに加工したもので
ある。
【0005】また伝送系のベンドミラーにはSi(シリ
コン)、Cu(無酸素銅)を基板材とするミラーが用い
られている。これらの材料は耐久性があり熱伝導率が良
いし金や銀が付き易いので選ばれる。赤外に対して不透
明である。SiやCuは炭酸ガスレーザの10.6μm
光の反射率が余り良くないので、金又は銀を表面に蒸着
してある。
【0006】図1は基材の上に金をコーティングした反
射ミラーを示す。図2は基材の上に銀をコーティングし
た反射ミラーを示す。そのようなもので99%の反射率
がある。実際には密着性を得るために金や銀と基材の間
に中間層を入れる事が多いが、ここでは簡単に示す。こ
れを金/基材、銀/基材というように表現する。似たよ
うなものだから金と基材だけを書いて、金/基材と簡単
に表現しよう。
【0007】基材のSiや無酸素銅(Cu)は冷却水に
よって冷却し、レーザビーム加熱による劣化を防ぐよう
にしている。金(Au)、銀(Ag)の蒸着によって反
射率は99%程度になる。大層高い反射率で低い吸収率
(1%)であるようであるが、そのような金/基材より
なるミラーを何枚も組み合わせると、吸収が増え全体と
しての反射率は落ちてしまう。それでは対象物に当たる
レーザ加工のパワーが不足してしまう。0.1%でも
0.3%でも反射率を高めたい。
【0008】特に伝送用反射ミラー光学部品はレーザ発
振器から集光レンズに至る加工点までに複数枚(8枚〜
10枚)もの多くのミラーを配置する。それによってレ
ーザビームの光路変更を行い所定の位置にビームを導く
ようになっている。金(銀)/基材よりなる個々のミラ
ーの反射率は99.0%以上と高くても、伝送路中に多
くの(ベンド)ミラーとして用いると多数回反射により
レーザ光強度は10%近くもの著しい反射や吸収による
ロスがある。レーザ光の一部がミラーで吸収され熱にな
りエネルギーを失い実質的な伝送効率が低下する。そこ
で個々のミラーは、反射率が極めて高く吸収率の極めて
低いものが要求される。金/基材ミラーでは99.0%
を越えるようにはならない。
【0009】このため、従来から反射率を99.0%以
上に高める目的で、反射率のエンハンスト(反射増強)
化が試みられてきている。
【0010】[従来法;(ZnSe/ThF/A
u/基材;図3、図4]従来から試みられている反射率
をエンハンスト化する手法として誘電体多層膜を用いる
方法がある。低屈折率のフッ化物(ThF)と高屈折
率のZnSe(セレン化亜鉛)の2種の膜材よりなる交
互積層膜を金または銀コートした基板上に形成する手法
である。基材の上にλ/4分の厚みの低屈折率誘電体
膜、λ/4分の厚みの高屈折率誘電体膜を交互積層すれ
ば反射率が増加することはよく知られている。
【0011】基材側からいうと基材・低屈折率・高屈折
率・低屈折率・高屈折率というように最外層は高屈折率
材料が露呈する。交互多層膜組の数mは1以上いくらで
もよい。交互多層膜組の数をmとすると簡単に(高屈折
率物/低屈折率物)と表現することにする。組数がm
だから層数は2mである。
【0012】表面での反射と境界面での反射の位相が同
一になって反射が強め合うので反射率が上昇するのであ
る。金被覆の上にZnSe/ThF交互積層膜を(m
≧2)追加する事によって、反射率を99.5%まで
0.5%上昇させることができるという。たとえば次の
文献にそのような提案がなされている。
【0013】 A.M. Ledger, "Inhomogeneous Interfa
ce Laser Mirror Coatings", AppliedOptics, vol.18,
No.17, p2979-2989, 1 September 1979
【0014】これはモリブデン基材の上に金或いは銀を
蒸着し、その上に(ZnSe/ThF)または(Zn
S/ThF)交互多層膜を形成している。図3、図4
にm=2の場合のその断面図を示す。図の右にZnSe
屈折率2.4、ZnS屈折率2.2、ThF屈折率
1.4などの層毎の屈折率を示してある。
【0015】比較的単純な膜構成で極めて反射率が高く
なる。これに(m≧2)よって反射率を99.5%まで
上げることができる。つまり金/基材より0.5%反射
率を上げることができる。モリブデンとの密着性を高揚
するため金または銀の上に30nm厚のCrO膜をバ
インダー層とすると良いと言っている。99.5%の反
射率なので7枚〜8枚のベンドミラーを伝送系に使って
も吸収率は4%程度で全体としての反射率が96%にな
る。
【0016】フッ化物ThFを用いた反射ミラーには
しかし、いまだ難点がある。10.6μmの光に対しT
hFの屈折率は1.4である。反射膜を形成する誘電
体膜の厚みはλcosecθ/4nと(λは赤外光波
長、nは屈折率、θは反射角;この式は後に説明する)
ならなければならない。
【0017】それで屈折率の低いThFの膜厚はθが
90度の場合(最小)でも1.9μmとなってしまう。
かなり厚い被膜である。しかも1組でなくて最低でも2
組必要(m≧2)なのである。となると2μmもの厚い
ThF膜を2層以上形成しなければならない。成膜に
時間が掛かる。時間が掛かるので成膜の条件が変動しや
すく一様な膜質のものが作りにくいと欠点がある。また
フッ化物は吸水性があり経年変化によって膜質が劣化す
るという難点がある。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】従来技術として2種類
のものを述べた。 1.金/基材のものは反射率が約99%である。最高で
99.3%のこともある。 2.(ZnSe/ThF/金/モリブデンのもの
は反射率が99.5%である。レーザ加工技術の進展に
よってレーザパワーが大きくなり処理の対象物も広がり
つつある。伝送系も複雑になる傾向にある。必要なレー
ザパワーも増大しつつある。
【0019】レーザ加工では、伝送系に用いられる反射
ミラーは複数枚(8枚〜10枚)を使用する必要があ
る。そのため、全体としてのレーザエネルギーの伝送効
率は低くなる。99.5%の反射率をもつZnSe/T
hFの交互多層膜よりなる被覆を設けたミラーを使っ
てもなおレーザ加工に必要かつ充分なパワーが得られな
いということがある。そのようなパワー不足が新たな問
題となってきた。
【0020】これまでの増反射コートしたミラーは低屈
折率膜材としてフッ化物ThFを用いていた。そのた
め水分に対する耐湿性に難があった。長期使用によって
フッ化物が水を吸収しミラーとしての光吸収率が増加し
反射率が低下するという問題があった。
【0021】またフッ化物ThF(n=1.4)を構
成膜材として用いる場合、光学厚みは、λcosecθ
/4nでなければならないので、赤外レーザ波長例えば
CO レーザ波長(10.6μm)に対しては、約2μ
mもの極めて厚い膜が必要となる。先述のように厚い膜
を成膜するのには時間がかかり品質がばらつくという欠
点がある。
【0022】その構成層が2層以上(m≧2)でなけれ
ばならないし層数mが増加すると共に表面散乱の発生や
不純物、膜欠陥などの混入の頻度が高くなる。ために膜
品質が低下するという問題もあった。
【0023】また、使用膜材(ThF)は堅牢でな
い。機械的な耐久性の問題や、長期使用における膜剥離
の問題もあった。このようにフッ化物を低屈折率として
用いた増反射膜には、反射率の不足、成膜の困難、品質
ばらつき、耐水性、膜剥離、などの難点があった。
【0024】さらに反射率が高く、吸収率の極めて低く
て、取扱の点でもミラー表面の耐久性が高く、かつ経時
的変化のない反射ミラーがユーザーから強く望まれてい
た。
【0025】本発明は、99.5%を越えるような、望
ましくは99.8%以上の高反射率(吸収率が0.2%
以下)を得ることのできる赤外用反射ミラーを提供する
ことを第1の目的とする。
【0026】本発明の第2の目的はコーティング層と下
地との密着性を高揚させ膜剥離の起こらないようした赤
外用反射ミラーを提供することである。
【0027】本発明の第3の目的は誘電体膜の膜厚を減
らし成膜時間を短縮できるようにした赤外用反射ミラー
を提供することである。
【0028】本発明の第4の目的は耐水性・耐久性に優
れた赤外用反射ミラーを提供することである。
【0029】
【課題を解決するための手段】本発明の反射鏡は、シリ
コンまたは無酸素銅の基板上に金または銀を被覆し、バ
インダー層を介してあるいは介さずに、1/4波長に対
応する厚み(λcosecθ/4n)のZnSe層或
いはZnS層と、1/4波長に対応する厚み(λcos
ecφ/4n)のGe層よりなる交互多層膜をイオン
アシスト蒸着法によって2組以上(m≧2)形成したも
のである。1/4波長に対応する厚みというのは傾斜角
をθとすれば、λcosecθ/4nということであ
る。それについては後に述べる。
【0030】イオンアシスト法というのはイオンビーム
を試料に当てながら真空蒸着する手法である。イオン源
と蒸着源を同じ真空チャンバに備えたイオンアシスト装
置によって行う。イオンはアルゴン(Ar)やキセノン
(Xe)である。イオンビームの加速エネルギーとビー
ム電流がパラメータとなる。
【0031】ZnSe、ZnSの蒸着(低屈折率膜)の
場合、加速エネルギーは150eV〜250eV、イオ
ンビーム電流密度は10〜30μA/cmとする。本
発明者が用いた装置ではイオンビーム電流でいえば20
〜50mAであった。Ge蒸着(高屈折率膜)の場合、
加速エネルギーは150eV〜250eV、イオンビー
ム電流密度は20〜40μA/cmとする。本発明者
が用いた装置ではイオンビーム電流でいえば30〜60
mAであった。
【0032】ZnSe膜、ZnS膜、Ge膜の形成時の
成膜温度は200℃〜270℃とする。
【0033】先述のバインダー層はなくてもよくて金
(銀)層に直接にZnSe層を蒸着するようにしてもよ
い。しかしバインダー層を間に挟むと密着性が高揚す
る。
【0034】バインダー層を設ける場合は、金(銀)コ
ートされてなる基材(Si、Cu)の金被覆表面に、酸
化ハフニウム(HfO)または酸化ビスマス(Bi
)をバインダー層として被覆する。バインダー層の
好適な厚みは0.05μm〜0.15μmである。Hf
、Biは赤外域で吸収が少なく密着性を増強
することができる材料である。先述の従来例では酸化
クロム(CrO)をバインダー層として用いている。
それは基材がモリブデン(Mo)でThF薄膜を付け
るからである。本発明の場合は基材がSi、Cuで、Z
nSe(ZnS)薄膜を付ける。その場合はHfO
Biが好適であることを本発明者が初めて見出し
た。そのようなことは実験を重ねて初めて分かったこと
である。
【0035】低屈折率膜材Lは吸湿性のないZnSeま
たはZnSを選ぶ。においてこれらは高屈折率膜とし
て用いられていたが本発明では低屈折率膜として用い
る。炭酸ガスレーザの10.6μmの光に対しZnSe
の屈折率はn=2.4、ZnSの屈折率はn=2.
2である。反射のための誘電体多層膜なのであるから屈
折率×膜厚は波長/4に等しくなるようにしなければな
らない。膜厚fはf=λcosecθ/4nである。
θは傾斜角である。ベンドミラーの場合θは90度でな
い事が多いが角度を考慮すると話しが複雑になるのでθ
が90度で比較することにする。90度の場合に最も薄
いのだから傾斜するともっと大きくなる。一般の角度に
ついては後に述べる。
【0036】θ=90度の場合、ZnSe膜厚は1.1
μm、ZnS膜厚は1.2μmである。どちらもほぼ1
μmの薄いもので良いことになる。従来例で低屈折率膜
として用いられていたThFはn=1.4だからθ=
90度の場合で膜厚が約2μmも必要である。成膜に時
間が掛かり信頼性を下げる要因になっていた。本発明は
ZnSe、ZnSを採用することによって低屈折率膜の
膜厚を1μmに減らせる。成膜時間が半減し工程の信頼
性が上がる。ThFは吸湿性があったがZnSe、Z
nSは吸湿性がなく安定している。
【0037】高屈折率膜材はゲルマニウム(Ge)を採
用する。これは屈折率が10.6μm光に対しn=4
で極めて高い。屈折率が高いというのは極めて有用な性
質である。それだけでなく吸湿性がなく機械的強度が高
い。かつ膜耐久性が高いという利点がある。1/4波長
に当たるゲルマニウム(Ge)の膜厚eはe=λcos
ecφ/4n(φは傾斜角)であり、炭酸ガスレーザ
波長10.6μm、φ=90度の場合で0.66μmで
ある。薄い膜で良いということである。
【0038】本発明はλcosecθ/4nに対応す
る厚みのZnSeまたはZnS(低屈折率膜)とλco
secφ/4nに対応する厚みのGe(高屈折率膜)
をバインダー層(或いは金層)の上に偶数単位で交互に
4層以上積層する(mとしては2以上)。それによって
高い反射率(低い吸収率)を実現する。
【0039】増反射層となる低屈折率膜と高屈折率膜の
成膜には、比較的低イオンのイオンエネルギービームを
照射しつつ蒸着を行うイオンアシスト蒸着を適用する。
イオンアシスト蒸着は通常の蒸着にイオンビーム照射を
加えたものである。数百eV程度の低エネルギーの希ガ
スイオンビームを試料表面に当てて蒸着膜を強化する。
低エネルギーであるのは、特に構成分子の分解等、化学
的組成の変化を抑制するためである。
【0040】これにより高屈折率膜のGe層は全体ある
いは一部が非晶質の膜組織となり極めて緻密性の高い膜
品質に改善される。さらに通常の電子ビームによる真空
蒸着で見られるGe膜の酸化進行が抑制され、耐久性の
高い高反射率ミラーを実現することができる。
【0041】
【発明の実施の形態】本発明は、金又は銀コートされた
シリコンまたは無酸素銅基材上に、HfO、Bi
のバインダー層を介在させ、あるいは介在させず、イ
オンアシスト蒸着によりZnSeまたはZnS(低屈折
率膜)とイオンアシスト蒸着によりGe(高屈折率膜)
とを交互に形成してなる赤外光用反射ミラーを提供す
る。
【0042】基材は、シリコンまたは無酸素銅である。
バインダー層はHfO又はBiである。これに
よって交互多層膜と基材の密着性が向上する。バインダ
ー層の厚みは0.05μm〜0.15μmが望ましい。
【0043】バインダー層を形成する場合、300eV
〜600eVのイオンビームを5分〜10分間あてて表
面をクリーニングする。
【0044】低屈折率膜と高屈折率膜はイオンアシスト
蒸着する。イオンアシスト蒸着というのは蒸着と同時に
低エネルギーの希ガスのイオンビームを当てるものであ
る。イオンビームの衝突によって表面状態が活性化され
て緻密な成膜がなされる。イオンビームのエネルギーは
150eV〜250eVである。成膜の温度は200℃
〜270℃である。
【0045】真空蒸着は真空チャンバ内でるつぼに入れ
た材料を加熱して蒸発させて基板の上に堆積させる手法
である。ヒータ自体をボート状るつぼとして抵抗加熱す
る場合もある。材料の融点が高い場合は抵抗加熱できな
いので、るつぼに材料を入れておき、電子ビームを当て
て加熱する。ZnSe、ZnS、Geの場合は、抵抗加
熱もできるが、電子ビーム加熱でも蒸発させることがで
きる。だから真空チャンバには、イオンビームを発生す
るイオン源と蒸着源の両方が設けられる。
【0046】イオンビームで表面を活性化しながら蒸着
を行うと通常の蒸着よりも緻密で堅牢な膜を形成するこ
とができる。本発明でイオンアシスト蒸着を採用するの
はそのような理由による。ZnSeやZnSの膜質の向
上も著しいが、むしろイオンアシスト蒸着の効果はGe
膜の上に顕著に現れる。
【0047】Geがn=4の高屈折率を持つことはよく
知られていた。しかしGeを最上層とするミラーはこれ
まで作製されたことはない。それはいくつかの理由があ
ろうが、Geは最上層にすると酸化されて劣化するから
ではないかと思われる。Geはもともと酸化されやすい
半導体である。空気中に放置されたGeは薄い表面酸化
膜によって覆われている。もしも反射ミラーの最上層に
Geを使うと炭酸ガスレーザの強いビームによって空気
中で強く加熱されGe表面は酸化されGeOとなって
白く濁ってしまう。そうなると反射率は著しく減退し吸
収が増えてしまう。炭酸ガスレーザビームの熱を吸収し
短時間で破断破裂してしまうであろう。
【0048】そのような訳でGeは高屈折率だというこ
とはわかっていたが反射ミラーの最上層には使われなか
った。先述の従来例でZnSeを最上層(高屈折率
膜)としているのは一つにはそのような理由による。
【0049】ところが本発明のGeは最上層にあって強
烈な炭酸ガスレーザビームによって空気中で加熱されて
も劣化しないことがわかった。つまり、それは空気中で
加熱されても酸化されないということである。通常の蒸
着で作られたGeは酸化するのに本発明のGe層はどう
して酸化劣化しないのか?
【0050】本発明者はその理由について検討した。X
線回折によって調べてみるとGe結晶で出現すべき回折
角にピークが出てこないということがわかった。また酸
化Ge(GeO)のピークも現れない。ということは
Ge固有の周期的な結晶構造がもはや存在しないという
ことである。つまり本発明の反射ミラーのGe層は多結
晶ではなくてアモルファスになっているということであ
る。アモルファスになって結晶構造がないのであるが屈
折率は4を維持している。Geの屈折率は結晶構造によ
らず原子内の電子構造によるものらしいと推測される。
Ge層は全部あるいは一部がアモルファスになってお
り、そのために空気中における強烈なレーザビームによ
る加熱によっても酸化しないのであろう。
【0051】アモルファスGeが何故酸化しないのか?
という理由については本発明者にもなお分からない。ア
モルファスになることによってダングリングボンドが消
滅してしまうのかもしれない。理由は明確でないが、と
にかく酸化しないのである。Geが酸化しないので、い
つまでたっても澄明な表面を維持する事ができる。ため
に長寿命の反射ミラーとなるのである。それがGeを最
上層とする反射ミラーを初めて可能にした主因であろ
う。
【0052】本発明の反射ミラーは耐湿性や機械的な耐
久性が高く、かつ極めて高い反射率(極めて低い吸収
率)を持つので、レーザ伝送系のベンドミラーとして用
いると、レーザパワーの伝送損失を大幅に軽減すること
ができる。
【0053】またミラーによるレーザ吸収も極めて小さ
いのでミラーに起因するレーザ加工上の品質低下もなく
長期にわたり安定した性能を発揮することができる。
【0054】さらにミラー表面に汚れが生じた場合で
も、堅牢な膜であるため、比較的強い再生処理(溶剤な
どを用いた拭き取りや洗浄処置)を行っても、表面損傷
による劣化もなく、初期性能を維持できるので長寿命で
ある。
【0055】ここでは誘電体多層膜の反射を引き起こす
原理を述べる。よく知られたことで当たり前のことであ
るが、λcosecθ/4nのような膜厚の限定がどう
して課されるのかということを明らかにする。
【0056】図5は基材Sの上にm=3の高屈折率層/
低屈折率層からなる反射ミラーに直角に入射した光が反
射される場合を示す。基材側から低屈折率層L、高屈
折率層H、低屈折率層L、高屈折率層H、低屈折
率層L、高屈折率層Hが積層されている。高屈折率
層H(j=1,2,3)の厚みは全て同じであり、そ
れをeとする。低屈折率層Lの厚みも全て同一であ
り、それをfとする。高屈折率層Hの屈折率をn、低
屈折率層Lの屈折率をnとする。
【0057】「直角に」というのは反射角Θが90度と
いうことである。面に光線が入射するとき法線となす角
度を入射角といい、面となす角度を反射角という。互い
に余角の関係にある。Bは基材Sと第1低屈折率層L
の境界で反射されるビームを意味する。BはL
第1高屈折率層Hの境界で反射されるビームである。
以下同様にビームをBまで定義する。
【0058】Bは基材で位相が180度進む。B
り光路長が2nfだけ長い。2が付くのは往復するか
らである。BとBの位相が合致すればB、B
反射光は強め合う。位相差が360度であればよいか
ら、光路長差が半波長(180度分)であれば良い。つ
まり2nf=λ/2であれば、BとBの反射光は
位相が合致し強め合う。Bは低屈折率層Lと高屈折
率層Hの境界で反射され位相が180度変わる。同じ
ことで2nf=λ/2であれば、BとBの反射光
が強め合う。BとBの関係も同じである。
【0059】Bは高屈折率から低屈折率の境界で反射
され位相は変わらない。Bは位相が180度変わる。
だから高屈折率層での光路長差2ne=λ/2であれ
ば、BとBが強め合う。つまり高屈折率層厚みe、
低屈折率層厚みfが
【0060】 f=λ/4n (1) e=λ/4n (2)
【0061】であれば反射光B〜Bの位相が合致し
て互いに強め合うことになる。これは直角反射であり共
振器ミラーなどではそのようになっている。
【0062】ベンドミラーの場合は反射角が90度でな
い。45度程度のものが多い。図6は一般の傾斜を持っ
たビームCの反射を図示したものである。反射角をΘ
とする。低屈折率層でのビーム傾斜角をθ、高屈折率層
でのビーム傾斜角をφとする。その間にはスネルの法則
から、
【0063】 ncosΘ=ncosθ=ncosφ (3)
【0064】の関係がある。nは大気中の屈折率で1
である。
【0065】SとLの境界で反射されたものをC
とHの境界で反射されたものをCというように
7本のビームを定義する。CとCの光路長の差を考
える。CはL中で2nfcosecθの余分の光
路を通る。Cは外部で2n fcotθcosΘの余
分の光路を通る。Cは反射によって位相が180度進
む。だから光路差δがλ/2であれば位相が合致しC
とCが強め合うわけである。
【0066】 δ=2nfcosecθ−2nfcotθcosΘ =2nfsinθ=λ/2 (4)
【0067】それを満足するには低屈折率層の厚みfが
【0068】 f=λ/4nsinθ (5)
【0069】であればよい。同時にCとC、C
が強め合う。同じ考察によって高屈折率層の厚みe
【0070】 e=λ/4nsinφ (6)
【0071】となる。あるいはcosecの表現にして
【0072】 f=λcosecθ/4n (7) e=λcosecφ/4n (8)
【0073】と書く事もできる。あるいは空気中での反
射角Θを使って、
【0074】 f=λ/4(n −cosΘ)1/2 (9) e=λ/4(n −cosΘ)1/2 (10)
【0075】と書く事もできる。この明細書では書き易
いので式(7)、(8)の表現を用いるが式(5)〜
(10)のどれでも同じことである。この明細書で低屈
折率層の厚みf、高屈折率層の厚みeは全てそのように
明確な意味と値を持っている。高屈折率と低屈折率を組
み合わせて反射を増強することは当業者によく知られた
事である。
【0076】
【実施例】[反射ミラー層構造]図7に本発明の実施例
にかかる赤外反射ミラーの構造を示す。4mm〜6mm
厚みのSi単結晶を基材としている。Si基材の上に
0.1μmのCr層、0.3μmの金層が形成される。
金層は基礎となる反射面を形成する。Crは金のSiに
対する密着性を高める。金層の上に0.1μm厚みのH
fO又はBi のバインダー層が形成される。バ
インダー層の上に、1.17μm厚みのZnSeが形成
される。ZnSでもよいが、その場合少し厚みが違って
くる。ZnSeの上に0.67μmのGe層が形成され
る。Geの上に1.17μmのZnSeが形成される。
ZnSeの上に0.67μmのGe層が形成される。
【0077】これはm=2の実施例である。1.17μ
mのZnSeと0.67μmのGeとを交互に積んでゆ
く事によりmがいくらのものでも製造できる。最上層は
常にGeである。Geがアモルファス化している。それ
が重要である。そのために空気中で加熱されても酸化し
ない。
【0078】[反射ミラー製造方法]赤外10.6μm
光用の高反射ミラーを製作するために、φ1.5インチ
(38.1mm)−4mmtとφ3.0インチ(76.
3mm)−6mmtの光学研磨した単結晶シリコン基板
(Si)を準備した。まず、シリコン表面に直流または
RFスパッタリング法によってクロム層(Cr)と金層
(Au)のコーティングを行った。クロム層は特にシリ
コン基板への金コート膜の密着性を確保するためのもの
であり、膜厚は約0.1μm程度である。金層はレーザ
光を反射するための膜であり膜厚は約0.3μmであ
る。
【0079】金層と増反射層との密着性を充分確保する
ため、基板温度220℃にてEB(電子ビーム)蒸着に
よって酸化ハフニウム(HfO)のバインダー層を形
成した。膜厚は約0.1μmとした。バインダー層はA
uとZnSeの密着性を増大させるものである。しかし
HfOバインダー層を省くこともできる。
【0080】次にバインダー層であるHfO膜表面に
対して、Xe(キセノン)イオンビーム照射によるクリ
ーニング処理を実施した。クリーニング処理のイオン照
射条件は、イオンビームエネルギー500eV、ビーム
電流40mAである。処理時間は5分間である。
【0081】バインダー層の蒸着、クリーニング処理に
引き続いて、ZnSe層とGe層の交互4層膜のイオン
支援蒸着(イオンアシスト蒸着)を行った。
【0082】真空チャンバの中央部下方にイオン源を、
下方左右に電子ビーム加熱の蒸着用るつぼ(Ge用、Z
nSe用)を設け、中央部上方の支持装置に試料を下向
きに設置する。Ar、Xeなどの希ガスをイオン化し加
速して試料に当てて表面を活性化させて蒸着膜を強固に
するのがイオンアシスト蒸着である。イオンのエネルギ
ーは試料表面での蒸着材料の運動エネルギーと同等程度
に設定する。
【0083】低屈折率層のZnSe膜に対するイオンア
シスト条件はイオンビームエネルギー200eV、ビー
ム電流20mAとした。
【0084】また、高屈折率のGe膜に対するイオンア
シスト条件はイオンビームエネルギー200eV、ビー
ム電流40mAとした。
【0085】蒸着中の真空度は、希ガス1.1sccm
導入下において6×10−5Torrであり、ベース真
空度(希ガスを導入する前)は3×10−6Torrで
あった。製作された反射ミラーの吸収率をレーザカロリ
メトリー法にて測定した。吸収率は0.19%であり、
反射率は99.8%であった。これは目的である99.
5%を越えるものである。従来の(ZnSe/Th
/金/基材の99.5%より0.3%も高い反
射率であり、優れたものである。
【0086】層構造を見るために交互多層膜の部分の断
面を高分解能走査電子顕微鏡(SEM)によって観察し
た。図8にSEM写真を示す。上から順にGe/ZnS
e/Ge/ZnSe/HfO/Au/Cr/Si(基
材)となっている。下の白く見える部分がAuで、その
上の極薄いのがHfOである。その上のボコボコの凹
凸ある部分がZnSeである。中間に見えるスッキリと
平坦な部分がGeである。そのすぐ上のボコボコした部
分がZnSeである。最上のボコボコの少ない部分がG
eである。ザラザラ断面のZnSeは多結晶であるがス
ッキリしたGeはアモルファスのように見える。アモル
ファスだということは先述のX線回折でGe結晶構造固
有の線が出ないことからわかる。また蒸着Geでは必ず
GeOの線も出るが、それが出ない。つまり表面酸化
膜ができていないということである。
【0087】反射ミラーの耐湿性能を評価するため、市
販装置を用いて、高温多湿試験(設定条件;雰囲気温度
50℃、相対湿度95%、試験時間24時間)を実施し
た。曇り発生や膜剥離などの表面劣化は全く観察されな
かった。
【0088】耐湿試験を行った反射ミラーの吸収率を再
測定したが、やはり0.19%で変化が見られなかっ
た。
【0089】また反射ミラーの耐酸化性能を評価するた
め、光学研磨されたGe単結晶基板を比較サンプルとし
て、大気中100℃〜120℃の高温雰囲気下に約2時
間放置して、表面劣化の有無を調査した。
【0090】光学研磨したGe単結晶基板では酸化進行
による局所白濁の進行が見られた。本発明の反射ミラー
の最表面Ge膜では何等の変化もなく充分な耐酸化性能
を有していた。
【0091】さらにミラー表面に汚れが生じた場合、堅
牢な膜であるため、比較的強い再生処理(溶剤などを用
いた拭き取りや洗浄処置)を行うことができる。溶剤拭
き取りや洗浄をしても、表面損傷による劣化もなく、初
期性能を維持できる。繰り返し再生処理でき長寿命であ
る。
【0092】
【発明の効果】本発明によれば、反射率が高く、吸収率
が低く、耐湿性が高く、かつ機械的強度の高い、耐久性
をもつ反射ミラーを提供することができる。(Ge/Z
nSe)或いは(Ge/ZnS)の誘電体多層膜を使う
ので反射率が高くなる。ThF を使わないから耐湿性
が向上する。イオンアシスト蒸着によってZnSe層と
Ge層を形成するので緻密な膜になる。機械的強度も高
い。最上層に露呈するGeはアモルファス化しており酸
化しにくいので耐久性が高い。また長い間反射率が劣化
しない。金層とZnSe層の間にバインダー層としてH
fOまたはBi を介装させると、さらに密着性
に秀でたものになる。
【0093】これまでの反射率の最高値である99.5
%よりも0.3%も高い反射率を与えることができる。
優れて高い反射率を持つので複数枚のミラーを必要とす
る伝送系で使用しても、レーザエネルギー損失を極めて
低く抑える事ができる。例えば8枚のベンドミラーを使
ったとしても吸収は1.6%以下である。レーザ発振時
のパワーの98.4%までが対象物まで到達する。だか
ら充分なパワーを有したレーザ加工を実現する事ができ
る。
【0094】また反射ミラーはイオンアシスト法で作製
された堅牢な膜で構成されているため、表面の再生処理
を行っても、表面損傷することがない。長時間にわたり
安定した初期性能(高い反射率、低い吸収率)を維持で
き長寿命である。結果的にレーザ加工のランニングコス
ト低減にも効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】炭酸ガスレーザビームに対し99%の反射率を
持つ基材の上に金層(Au)を形成した従来例にかかる
赤外反射ミラーの構造を示す縦断面図。
【図2】炭酸ガスレーザビームに対し99%の反射率を
持つ基材の上に銀層(Ag)を形成した従来例にかかる
赤外反射ミラーの構造を示す縦断面図。
【図3】 A.M. Ledger, "Inhomogeneous Interface L
aser Mirror Coatings", Applied Optics, vol.18, No.
17, p2979-2989, 1 September 1979において提案された
(ZnSe/ThF)の交互多層膜を持ち炭酸ガスレ
ーザに対し99.5%の反射率を持つ従来例にかかる赤
外反射ミラーの構造を示す縦断面図。
【図4】 A.M. Ledger, "Inhomogeneous Interface L
aser Mirror Coatings", Applied Optics, vol.18, No.
17, p2979-2989, 1 September 1979において提案された
(ZnS/ThF)の交互多層膜を持ち炭酸ガスレー
ザに対し99.5%の反射率を持つ従来例にかかる赤外
反射ミラーの構造を示す縦断面図。
【図5】低屈折率膜Lと高屈折率膜Hを基材側から
交互に積層した誘電体多層膜が90度入射ビーム(直角
入射;反射角Θ=90度)に対して反射率を高揚させる
効果があることを説明する説明図。
【図6】低屈折率膜Lと高屈折率膜Hを基材側から
交互に積層した誘電体多層膜が斜め入射ビーム(斜め入
射;反射角Θ=0゜〜90゜)に対して反射率を高揚さ
せる効果があることを説明する説明図。
【図7】Si又は無酸素銅基材の上に、クロム層、金ま
たは銀層、HfOまたはBi バインダー層、Z
nSeまたはZnS低屈折率層、Ge高屈折率層、Zn
SeまたはZnS低屈折率層、Ge高屈折率層を積層し
た本発明の赤外レーザ用反射ミラーの構造を示す縦断面
図。
【図8】本発明の実施例にかかるGe/ZnSe/Ge
/ZnSe/HfO/Au/Cr/Siよりなる反射
ミラーの高分解能走査電子顕微鏡写真。
【符号の説明】 H〜H 高屈折率層 L〜L 低屈折率層 n 高屈折率層の屈折率 n 低屈折率層の屈折率 e 高屈折率層の膜厚 f 低屈折率層の膜厚 Θ 空気中での反射角 θ 低屈折率層での反射角 φ 高屈折率層での反射角 m 交互積層膜の組の数
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H042 DA04 DA05 DA08 DA12 2H048 FA05 FA07 FA09 FA12 FA24 GA04 GA07 GA09 GA19 GA33 GA60 GA62 4K029 AA02 AA06 BA05 BA07 BA41 BA43 CA05 CA09 DC35 FA04

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シリコンまたは無酸素銅基材と、その
    上に被覆された金層または銀層と、金層又は銀層の上に
    形成された0.05μm〜0.15μmのHfO(酸
    化ハフニウム)またはBi(酸化ビスマス)より
    なるバインダー層と、イオンアシスト蒸着によって形成
    された膜厚fがf=λcosecθ/4n(λは赤外
    波長、θは層中での反射角、nは屈折率)であるZn
    Se(セレン化亜鉛)またはZnS(硫化亜鉛)の低屈
    折率層と、イオンアシスト蒸着によって形成された膜厚
    eがe=λcosecφ/4n(λは赤外波長、φは
    層中での反射角、nは屈折率)であるGeよりなる高
    屈折率層がm組(m≧2)組み合わされバインダー層の
    上に設けられた交互積層膜とよりなり、高屈折率層のG
    eがアモルファス化していることを特徴とする赤外レー
    ザ用反射ミラー。
  2. 【請求項2】 シリコンまたは無酸素銅基材と、その
    上に被覆された金層または銀層と、イオンアシスト蒸着
    によって形成された膜厚fがf=λcosecθ/4n
    (λは赤外波長、θは層中での反射角、nは屈折
    率)であるZnSe(セレン化亜鉛)またはZnS(硫
    化亜鉛)の低屈折率層と、イオンアシスト蒸着によって
    形成された膜厚eがe=λcosecφ/4n(λは
    赤外波長、φは層中での反射角、nは屈折率)である
    Geよりなる高屈折率層がm組(m≧2)組み合わされ
    金層または銀層の上に設けられた交互積層膜とよりな
    り、高屈折率層のGeがアモルファス化していることを
    特徴とする赤外レーザ用反射ミラー。
  3. 【請求項3】 シリコンまたは無酸素銅基材の上に、
    金層または銀層をスパッタリング或いは蒸着によって形
    成し、金層又は銀層の上に0.05μm〜0.15μm
    のHfO(酸化ハフニウム)またはBi(酸化
    ビスマス)よりなるバインダー層を蒸着またはスパッタ
    リングによって形成し、300eV〜600eVのエネ
    ルギーのイオンビームを5分〜10分間当ててバインダ
    ー層を表面処理し、膜厚fがf=λcosecθ/4n
    (λは赤外波長、θは層中での反射角、nは屈折
    率)であるZnSe(セレン化亜鉛)層またはZnS
    (硫化亜鉛)層をイオンアシスト蒸着によってバインダ
    ー層の上に形成し、膜厚eがe=λcosecφ/4n
    (λは赤外波長、φは層中での反射角、nは屈折
    率)であるGe層をイオンアシスト蒸着によって前記Z
    nSe(セレン化亜鉛)層またはZnS(硫化亜鉛)層
    の上に形成し、以下繰り返し、イオンアシスト蒸着で形
    成した膜厚fのZnSe(セレン化亜鉛)層またはZn
    S(硫化亜鉛)層と膜厚eのGe層からなる交互多層膜
    のm組(m≧2)をバインダー層の上に設けることを特
    徴とする赤外レーザ用反射ミラーの製造方法。
  4. 【請求項4】 シリコンまたは無酸素銅基材の上に、
    金層または銀層をスパッタリング或いは蒸着によって形
    成し、膜厚fがf=λcosecθ/4n(λは赤外
    波長、θは層中での反射角、nは屈折率)であるZn
    Se(セレン化亜鉛)層またはZnS(硫化亜鉛)層を
    イオンアシスト蒸着によって金層または銀層の上に形成
    し、膜厚eがe=λcosecφ/4n(λは赤外波
    長、φは層中での反射角、nは屈折率)であるGe層
    をイオンアシスト蒸着によって前記ZnSe(セレン化
    亜鉛)層またはZnS(硫化亜鉛)層の上に形成し、以
    下繰り返し、イオンアシスト蒸着で形成した膜厚fのZ
    nSe(セレン化亜鉛)層またはZnS(硫化亜鉛)層
    と膜厚eのGe層からなる交互多層膜のm組(m≧2)
    を金層または銀層の上に設けることを特徴とする赤外レ
    ーザ用反射ミラーの製造方法。
  5. 【請求項5】 ZnSeまたはZnS膜、及びGe膜の
    イオンアシスト蒸着による成膜プロセスでは、成膜温度
    を200℃から270℃の温度範囲で行うようにしたこ
    とを特徴とする請求項3または4の何れかに記載の赤外
    レーザ用反射ミラーの製造方法。
  6. 【請求項6】 ZnSe膜、ZnS膜、Ge膜をイオン
    アシスト蒸着によって成膜するとき、イオンビーム加速
    エネルギーは共に150eV〜250eVであり、イオ
    ンビーム電流密度はZnSeまたはZnS膜に対しては
    10〜30μA/cmで、Ge膜に対しては20〜4
    0μA/cmである事を特徴とする請求項3〜5の何
    れかに記載の赤外レーザ用反射ミラーの製造方法。
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