JP2003305497A - アルカリ性泥土の処理方法及びアルカリ性泥土の改質剤 - Google Patents

アルカリ性泥土の処理方法及びアルカリ性泥土の改質剤

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alkaline mud
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 添加する酸性物質を少量にしてアルカリ性泥
土のpHを低減させ、そのpHを安定して維持し、作業
性の向上とリサイクル用途の拡大を図る。 【解決手段】 セメントもしくはセメント系固化剤を含
有したアルカリ性泥土を中性化するアルカリ性泥土の処
理方法である。このアルカリ性泥土の処理方法は、アル
カリ性泥土に、リン酸などの酸性物質とショ糖などの凝
結遅延剤とを添加して混合する。これにより、セメント
の水和反応に基づく泥土のpHの上昇を凝結遅延剤によ
り抑制し、中性化するのに必要な酸性物質の量を低減す
る。また、泥土を中性化した後に、セメントの水和反応
によりpHが再び上昇して泥土がアルカリ性となるのを
防止する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば土木建築現
場にて発生するアルカリ性泥土を中性化するための処理
方法及びアルカリ性泥土の改質剤に関する。
【0002】
【従来の技術】セメントを注入しながら土壌を掘削する
工法(例えば、地下連壁工法、SMW工法、RJG工法
など)では、アルカリ性の泥土が発生する。また、浚
渫、シールド掘削などの工事現場においても、含水率の
高い浚渫土や掘削土を改良するために、例えば、セメン
トやセメント系固化剤を添加・混合することで、浚渫土
や掘削土を固化させる場合があり、この場合にもアルカ
リ性の泥土が発生する。従来、このアルカリ性泥土は、
産業廃棄物として埋立処分されていた。しかし、近年、
埋立処分場の残余年数は逼迫しており、廃棄場所の確保
も困難になっているとともに、埋立処分費も高騰し、泥
土の埋立ては困難な状況になっている。一方、国土交通
省より建設資材リサイクル法が施行され、建設発生土は
埋立処分するのではなく、リサイクルすることが推奨さ
れている。
【0003】このようなことから、アルカリ性泥土も他
の建設泥土と同様にリサイクルが進められているが、コ
ーン指数で表される強度が200kN/m2以上でない
と、リサイクルのために十分な強度を有しないと判断さ
れ、アルカリ性泥土は廃棄物として取り扱われる。した
がって、リサイクルする場合には、アルカリ性泥土に種
々の固化剤を添加することにより適切な強度まで固化す
ることとしている。
【0004】しかし、アルカリ性泥土をそのまま固化す
ると、pHが高いために、植物の生育には適さず、リサ
イクルの用途が限定されてしまう。また、雨水の浸透に
よりアルカリ成分が地下に溶出する懸念もある。そこ
で、このような問題を解消すべく、硫酸バンド、PA
C、希硫酸などの酸性物質を添加して、アルカリ性泥土
を中性化することが行われている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】この場合、添加する酸
性物質の量が少ないとアルカリ成分を十分に中和するこ
とができないことは勿論であるが、アルカリ性泥土の固
形分中に、水に溶解したり水と反応することで泥土をア
ルカリ性にする物質が含まれていると、アルカリ性泥土
を一時的に中性化しても、そのような物質が水に溶解し
たり、水と反応することで、再びpHが上昇して泥土が
アルカリ性になってしまい、リサイクル用途の拡大の障
害となっていた。一方、経時後のpH上昇を抑制するた
めには、更に酸性物質を添加することも考えられるが、
これでは多量の酸性物質を取り扱わなければならず、作
業性が悪かった。
【0006】本発明の課題は、添加する酸性物質が少量
であってもアルカリ性泥土のpHを低下させることがで
きるとともに、そのpHを安定して維持することがで
き、作業性の向上とリサイクル用途の拡大を図ることが
できるアルカリ性泥土の処理方法及びアルカリ性泥土の
改質剤を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
アルカリ性泥土を中性化する処理方法において、アルカ
リ性泥土に、酸性物質と凝結遅延剤とを添加して混合す
ることを特徴としている。
【0008】セメントは、水と接触すると、カルシウム
を溶出するため、液相中のカルシウム濃度が増加して、
アルカリ性を示すようになり、その後、カルシウム成分
の水和が進行し、硬化する。ここで、凝結遅延剤を添加
すると、セメントから溶出されたカルシウムイオン等の
金属イオンを封鎖(錯塩化)したり、セメント粒子に水
和防止膜を形成してカルシウムを不活性化させる。カル
シウムが不活性化されると、水和の進行が止まるととも
に、pHの上昇も抑制される。カルシウムが不活性化さ
れた状態では、添加する酸性物質は、存在するアルカリ
成分を中性化するに十分な量を添加すればよい。すなわ
ち、請求項1記載の発明によれば、酸性物質によりアル
カリ性泥土の中性化を行う際に、凝結遅延剤が泥土の固
形分からアルカリ性の物質が溶出するような状態となる
のを抑制し、中性化するのに必要な酸性物質の量を減ら
すことができるとともに、再び、泥土のpHが上昇する
のを抑制することができる。
【0009】このように、アルカリ性泥土を長期的に中
性化することができるので、処理物は、一般残土として
利用できるようになり、例えば盛り土、埋戻し材料等の
建築資材としてのリサイクルが可能となる。
【0010】請求項2記載の発明は、請求項1記載のア
ルカリ性泥土の処理方法において、アルカリ性泥土に、
酸性物質と凝結遅延剤とを添加して混合した後、アルカ
リ性泥土を固化させることを特徴としている。
【0011】請求項2記載の発明によれば、アルカリ性
泥土に、酸性物質と凝結遅延剤とを添加して混合した
後、アルカリ性泥土を固化させるので、リサイクルに必
要な強度とすることができる。なお、アルカリ性泥土が
もともとセメント粒子を含むことにより固化するもので
あれば、このセメント粒子によりリサイクルに必要な強
度で固化させても良いし、一方、アルカリ性泥土がセメ
ント粒子を含まず、またセメント系以外の固化剤も含ま
ない場合には、セメント系もしくはセメント系以外の固
化剤を添加することにより固化させても良い。
【0012】また、セメント系の固化剤等のように添加
によって泥土のpHを上昇させる固化剤を添加する場合
には、酸性物質による中性化を行う前に固化剤を添加す
ることが好ましい。セメントの凝結に基づく固化は、凝
結遅延剤により遅延させられることになるが、最終的に
凝結遅延剤を入れなかった場合よりも時間がかかるもの
の泥土は固化される。
【0013】請求項3記載の発明は、アルカリ性泥土を
中性化するアルカリ性泥土の処理方法において、アルカ
リ性泥土に、酸性物質と凝結遅延剤と高分子凝集剤とを
添加して混合することを特徴としている。
【0014】請求項3記載の発明によれば、アルカリ性
泥土に、酸性物質と凝結遅延剤とを添加して混合する点
では、請求項1記載の発明と同様の作用、効果を得るこ
とができ、さらに高分子凝集剤をアルカリ性泥土に加え
ることで、泥土中の土砂粒子等を団粒化することができ
る。この団粒化により、アルカリ性泥土に細かい間隙が
生じ、アルカリ性泥土と空気との接触面積が増大する。
これにより、微量ではあるものの、空気中に存在する二
酸化炭素が泥土の水分に溶け込みやすい状態となる。二
酸化炭素を泥土中により多く溶かすことにより、二酸化
炭素(水に解けた炭酸)とアルカリ性泥土中のアルカリ
性物質との反応が促進され、さらにpHの上昇を抑制す
ることができる。
【0015】請求項4記載の発明は、請求項3記載のア
ルカリ性泥土の処理方法において、アルカリ性泥土に、
酸性物質と凝結遅延剤と高分子凝集剤とを添加して混合
した後、アルカリ性泥土を固化させることを特徴として
いる。
【0016】請求項4記載の発明によれば、アルカリ性
泥土に、酸性物質と凝結遅延剤と高分子凝集剤とを添加
して混合した後、アルカリ性泥土を固化させるので、請
求項2及び3記載の発明と同等の効果を得ることができ
る。
【0017】請求項5記載の発明は、請求項1〜4のい
ずれか一項に記載のアルカリ性泥土の処理方法におい
て、酸性物質はリン酸であることを特徴としている。
【0018】請求項5記載の発明によれば、酸性物質と
して酸強度が高いリン酸を用いているので、リン酸の添
加量が少なくともアルカリ性泥土の中性化を確実に行う
ことができる。また、リン酸は、泥土中に重金属が含ま
れる場合に、これを不溶化することができる。
【0019】請求項6記載の発明は、請求項1〜5のい
ずれか一項に記載のアルカリ性泥土の処理方法におい
て、凝結遅延剤はショ糖であることを特徴としている。
【0020】請求項6記載の発明によれば、凝結遅延剤
として水和反応の遅延効果が高いショ糖を用いているの
で、アルカリ性泥土のpHの上昇速度をより効率的に遅
らせることができる。
【0021】請求項7記載の発明は、アルカリ性泥土を
中性化する改質剤であって、酸性物質と凝結遅延剤とを
含有することを特徴としている。
【0022】請求項7記載の発明によれば、この改質剤
をアルカリ性泥土に添加して混合することにより、請求
項1記載の発明と同様の作用、効果を得ることができ
る。
【0023】請求項8記載の発明は、アルカリ性泥土を
中性化する改質剤であって、酸性物質と凝結遅延剤と高
分子凝集剤とを含有することを特徴としている。
【0024】請求項8記載の発明によれば、この改質剤
をアルカリ性泥土に添加して混合することにより、請求
項3記載の発明と同様の作用、効果を得ることができ
る。
【0025】請求項9記載の発明は、請求項7または8
記載のアルカリ性泥土の改質剤であって、酸性物質はリ
ン酸であることを特徴としている。
【0026】請求項9記載の発明によれば、この改質剤
をアルカリ性泥土に添加して混合することにより、請求
項5記載の発明と同様の作用、効果を得ることができ
る。
【0027】請求項10記載の発明は、請求項7〜9の
いずれか一項に記載のアルカリ性泥土の改質剤であっ
て、凝結遅延剤はショ糖であることを特徴としている。
【0028】請求項10記載の発明によれば、この改質
剤をアルカリ性泥土に添加して混合することにより、請
求項6記載の発明と同様の作用、効果を得ることができ
る。
【0029】
【発明の実施の形態】以下に、本発明のアルカリ性泥土
の処理方法及びアルカリ性泥土の改質剤の実施の形態を
詳細に説明する。この実施の形態におけるアルカリ性泥
土の処理方法は、セメント粒子を含み、主にセメント粒
子の水和反応に伴ってアルカリ性となる泥土の中性化処
理と固化処理であるが、本発明は、かかる処理に限定さ
れるものではなく、他のアルカリ性泥土の処理にも応用
可能である。また、泥土とは、主に土砂からなり、乾燥
しておらず、水分を含むものである。
【0030】ここで、セメントとは、例えばポルトラン
ドセメントである。ポルトランドセメントは、石灰石、
粘土、ケイ石、鉄原料などから製造され、酸化カルシウ
ム、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化第二鉄など
をクリンカー成分として含んでおり、これらに、石膏の
添加による三酸化硫黄を加えたものがポルトランドセメ
ントの主な化学成分となっている。なお、アルカリ性泥
土に含まれるセメントは、周知の各種ポルトランドセメ
ント以外に、周知の各種混合セメント、周知の各種特殊
セメント等であっても良い。
【0031】本実施形態のアルカリ性泥土の改質剤は、
セメント粒子を含むアルカリ性泥土に添加・混合されて
アルカリ性泥土を中性化するものであり、少なくとも酸
性物質と凝結遅延剤とを含有している。
【0032】酸性物質は、セメント粒子を含むアルカリ
性泥土に添加した場合に中性化する作用を発揮するもの
であればよく、例えば、硫酸アルミニウム、硫酸第一
鉄、PAC(ポリ塩化アルミニウム)、酸性硫酸ナトリ
ウム、スルファミン酸、ポリアクリル酸、硫酸アンモニ
ウム、ミョウバン、仮焼ミョウバン塩酸、硫酸、硝酸、
リン酸、炭酸ガスなどが挙げられる。これらの酸性物質
は、それぞれ単独で用いても良いし、2種以上を組み合
わせて用いても良い。
【0033】凝結遅延剤は、アルカリ性泥土に添加した
場合に、アルカリ性泥土中のセメントもしくはセメント
系固化剤の凝結を遅延させるものであり、アルカリ性泥
土中のカルシウムイオンなどの金属イオンを封鎖した
り、セメント粒子に水和防止膜を形成して、水との反応
を抑えるものであれば如何なるものでもよく、例えば、
グルコン酸、クエン酸、酒石酸、糖類、糖アルコール
類、2ケトカルボン酸及びその塩、グルタミン酸及びそ
の塩、リグニンスルホン酸及びその塩、フミン酸及びそ
の塩、タンニン酸及びその塩、ポリアクリル酸及びその
塩などが挙げられる。これらの凝結遅延剤は、それぞれ
単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いて
も良い。
【0034】また、この実施の形態の改質剤としては、
上述の酸性物質及び凝結遅延剤に加えて、高分子凝集剤
を含有しても良い。高分子凝集剤としては、泥土を団粒
化できるもの、すなわち、泥土に含まれる土砂粒子等の
固形粒子を凝集させて粒状にできるものならば良く、周
知の高分子凝集剤を用いることができる。
【0035】アルカリ性泥土の処理にあたり、上述の改
質剤として、予め、酸性物質及び凝結遅延剤を混合した
もの、または酸性物質、凝結遅延剤及び高分子凝集剤を
混合したものを用いても良いが、酸性物質と凝結遅延剤
とをそれぞれ別々にアルカリ性泥土に添加して良いし、
さらに、これらとは別に高分子凝集剤をアルカリ性泥土
に添加するものとしても良い。また、酸性物質及び凝結
遅延剤、または酸性物質、凝結遅延剤及び高分子凝集剤
を別々にアルカリ性泥土に添加する場合には、同時に添
加しても良いし、それぞれ時間をずらして添加しても良
い。さらに、時間をずらして添加するとき、添加の順番
は特に限定されない。
【0036】混合に際しては、各種のミキサ、混合槽等
の攪拌装置を用いることができる。攪拌装置としては、
泥土を自重や攪拌装置の攪拌力により搬送しながら攪拌
し、添加される酸性物質及び凝結遅延剤を泥土に混合し
て連続的に泥土を搬出する構造となっている連続式の攪
拌装置を用いても良いし、バッチ式の攪拌装置を用いて
も良い。また、攪拌装置に泥土を搬入する際、もしくは
その前の段階で、メッシュ状のフィルタとなる部材で、
アルカリ性泥土に含まれる石、礫等を取り除き、石、礫
等を泥土とは別に有効利用しても良い。
【0037】また、アルカリ性泥土を貯めるための槽や
集積場のような場所で、ショベル系の重機や、アーム先
端に攪拌装置が取り付けられた重機等により攪拌して、
酸性物質及び凝結遅延剤と混合しても良い。
【0038】泥土状の地盤を現場で改良をするために、
地盤にセメントやセメント系固化剤を混合するような場
合には、セメント粒子によりアルカリ性となる地盤にセ
メント等に加えて、地盤改良の現場において、酸性物質
及び凝結遅延剤を混合しても良い。
【0039】上述のような泥土の攪拌による混合処理に
おいて、酸性物質及び凝結遅延剤に加えて、さらに高分
子凝集剤をアルカリ性泥土に混合しても良く、または酸
性物質、凝結遅延剤及び高分子凝集剤を含む改質剤をア
ルカリ性泥土に混合しても良い。
【0040】なお、この実施の形態におけるアルカリ性
泥土は、各種土木工事によりセメントやセメント系固化
剤が含まれた状態で発生するものであっても良いし、発
生もしくは採取された時点では、必ずしもアルカリ性で
なくとも、固化処理するためにセメントやセメント系固
化剤が添加されることで、アルカリ性となるものも含ま
れる。
【0041】酸性物質及び凝結遅延剤またはこれらに加
えて高分子凝集剤を上述のように泥土に混合する際に、
セメントやセメント系固化剤もしくはセメント系以外の
固化剤を一緒に混合しても良い。また、上述の混合処理
に際し、固化剤以外の周知の土砂の各種改良剤(改良
材)を添加して混合しても良い。
【0042】また、泥土に酸性物質、凝結遅延剤、高分
子凝集剤を添加する際に、これらの物質が、それぞれ、
粉状や粒状、液状でもあっても良いし、水等の溶媒に溶
解もしくは分散した状態であっても良い。
【0043】そして、上述のように酸性物質と凝結遅延
剤とをアルカリ性泥土に混合した際に、酸性物質がアル
カリ成分を中和するとともに、アルカリ性泥土の固形分
に、水に溶解したり、水と反応することで、アルカリ性
となる物質が含まれる場合に、凝結遅延剤がアルカリ性
泥土の固形分からの前記物質の溶出や前記物質と水との
反応を抑制する。例えば、固形分がセメント粒子の場合
に、セメント粒子の水和反応が抑制され、水和反応によ
り生じる泥土のpHの上昇が抑えられる。
【0044】これにより、泥土の水分に含まれるアルカ
リ性物質の濃度の上昇が抑えられ、アルカリ性泥土の中
性化に必要な酸性物質の量を低減することができる。酸
性物質の取扱量が減少することにより、中性化処理にお
ける作業性が向上する。また、泥土の固形分により泥土
の水分がアルカリ性となるのを凝結遅延剤が抑制するの
で、酸性物質で中性化した後に泥土のpHが上昇し、再
び泥土がアルカリ性となるのを抑制することができる。
【0045】また、アルカリ性泥土にさらに高分子凝集
剤を添加した場合には、高分子凝集剤が土砂粒子等のア
ルカリ性泥土の固形粒子を凝集することにより、固形粒
子が団粒化され、これによりアルカリ性泥土に細かい間
隙が生じ、アルカリ性泥土と空気との接触面積が増大す
る。このため、空気中の二酸化炭素がアルカリ性泥土の
水分中に溶けて炭酸となる量が増加し、炭酸によりアル
カリ性泥土が継続的に中性化される。
【0046】特に、アルカリ性泥土にセメント粒子が含
まれ、セメント粒子に基づく水酸化カルシウムがアルカ
リ性泥土の水分中にある場合に、水分中の水酸化カルシ
ウム(カルシウムイオン)と、炭酸とが反応し、水に対
する溶解度が低い炭酸カルシウムを生成して、水から析
出させ安定した状態となり、アルカリ性泥土のpHを僅
かではあるが、継続的に低下させる。
【0047】したがって、高分子凝集剤をアルカリ性泥
土に混合することにより、アルカリ性泥土のpHの上昇
をより確実に抑制することができる。また、炭酸が炭酸
カルシウムとなって水から析出することにより、空気中
に排出される二酸化炭素の低減を図ることができる。
【0048】そして、上述のように酸性物質及び凝結遅
延剤もしくはこれらに加えて高分子凝集剤が添加された
アルカリ性泥土は、中性化され、固化剤等により固化さ
れて必要な強度を発現する材料として、各種建築土木工
事等に利用されることになる。なお、セメント粒子が既
に充分に含まれるアルカリ性泥土は、セメント粒子によ
り固化される。
【0049】また、セメント粒子を含まず、セメント粒
子が添加されることもないアルカリ性泥土を、本実施形
態のアルカリ性泥土の処理方法やアルカリ性泥土の改質
剤により、中性化するものとしても良いし、固化するも
のとしても良い。
【0050】
【実施例】次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説
明する。この実施例で用いられるアルカリ性泥土の処理
方法について説明する。まず、浚渫泥土(含水率50.
13%、比重1.516)に、体積当たり200kg/
m3となるようにセメントを添加し、pHが12.44
のアルカリ性泥土を作製した。そして、このアルカリ性
泥土に対して、各種添加剤を所定量添加し攪拌した。そ
の後、攪拌されたアルカリ性泥土を30g採取して水を
50g加え、30分間攪拌しアルカリ成分を十分溶解さ
せてからpHを測定した。また、アルカリ性泥土をその
ままの状態で72時間放置し、再び上述の方法でpHを
測定した。
【0051】比較例及び実施例におけるpHの測定結果
を表1に示す。
【表1】
【0052】[比較例1] 比較例1では、アルカリ性
泥土に、添加剤を添加せずに上記した処理を行い、pH
を測定した。pHの測定結果は、処理直後が12.44
で、72時間後が12.63である(参考:24時間後
12.58)。 [比較例2] 比較例2では、アルカリ性泥土に、添加
剤として凝結遅延剤(ショ糖10kg/m3)を添加
し、上記した処理を行い、pHを測定している。pHの
測定結果は、処理直後が12.41で、72時間後が1
2.53である。 [比較例3] 比較例3では、アルカリ性泥土に、添加
剤として凝結遅延剤(ショ糖20kg/m3)を添加
し、上記した処理を行い、pHを測定している。pHの
測定結果は、処理直後が12.35で、72時間後が1
2.44である。 [比較例4] 比較例4では、アルカリ性泥土に、添加
剤として凝結遅延剤(ショ糖30kg/m3)を添加
し、上記した処理を行い、pHを測定している。pHの
測定結果は、処理直後が12.29で、72時間後が1
2.31である。 [比較例5] 比較例5では、アルカリ性泥土に、添加
剤として凝結遅延剤(ショ糖60kg/m3)を添加
し、上記した処理を行い、pHを測定している。pHの
測定結果は、処理直後が12.13で、72時間後が1
2.12である。
【0053】[比較例6] 比較例6では、アルカリ性
泥土に、添加剤として酸性物質(リン酸30kg/
m3)を添加し、上記した処理を行い、pHを測定して
いる。pHの測定結果は、処理直後が11.03で、7
2時間後が11.36である。 [比較例7] 比較例7では、アルカリ性泥土に、添加
剤として酸性物質(リン酸50kg/m3)を添加し、
上記した処理を行い、pHを測定している。pHの測定
結果は、処理直後が9.06で、72時間後が10.4
1である。 [比較例8] 比較例8では、アルカリ性泥土に、添加
剤として酸性物質(リン酸100kg/m3)を添加
し、上記した処理を行い、pHを測定している。pHの
測定結果は、処理直後が6.32で、72時間後が7.
80である。
【0054】[実施例1] 実施例1では、アルカリ性
泥土に、添加剤としてアルカリ性泥土の改質剤となる、
リン酸(酸性物質)30kg/m3とショ糖(凝結遅延
剤)50kg/m3を添加し、pHを測定している。p
Hの測定結果は、処理直後が10.68で、72時間後
が10.70である。 [実施例2] 実施例2では、アルカリ性泥土に、添加
剤としてアルカリ性泥土の改質剤となるリン酸50kg
/m3とショ糖50kg/m3を添加し、pHを測定して
いる。pHの測定結果は、処理直後が9.56で、72
時間後が9.80である。
【0055】比較例1では、表1に示すように、処理直
後のpHは12.44であるのに対して72時間後には
12.63と増加している。これに対して、添加剤とし
て凝結遅延剤を用いた比較例2〜5では、いずれもセメ
ントの凝結を遅延させて、カルシウムの水和を阻害する
ために、比較例1よりも時間経過に伴うpHの増加を防
止していることが分かる。また、凝結遅延剤の添加量が
多ければ、処理後のpHを僅かであるが低下させる傾向
が認められる。
【0056】一方、添加剤として酸性物質を用いた比較
例6〜8では、添加剤の添加量が多ければ多いほど、処
理後のpHを低く抑えることが分かる。特に、リン酸の
添加量が50kg/m3以上であると添加直後は中性付
近までpHが低下している。しかし、時間の経過に伴っ
てアルカリ成分が溶出するので、72時間後には比較例
6〜8のいずれにおいてもpHが上昇することが分か
る。
【0057】これに対し、本発明を適応した実施例1及
び2では、時間経過に伴うpHの増加を凝結遅延剤が抑
えているので、酸性物質により一旦低下したpHが再び
増加することを防止している。このことから、酸性物質
のみでアルカリ性泥土を中性化する場合よりも、酸性物
質及び凝結遅延剤を添加、混合した方が、酸性物質の添
加量が少量であっても、アルカリ性泥土のpHを低減し
て泥土をリサイクル可能な性状に改質することができ
る。
【0058】
【発明の効果】請求項1記載の発明によれば、酸性物質
の添加量が少量であっても、アルカリ性泥土のpHを低
減してリサイクル可能な性状に改質することができる。
また、酸性物質の添加量を抑えることができるので、作
業性を向上させることができる。請求項2記載の発明に
よれば、中性化した泥土をリサイクルに必要な強度に固
化することができる。請求項3記載の発明によれば、請
求項1記載の発明と同等の効果を得ることができ、なお
かつ、高分子凝集剤が空気中の二酸化炭素とアルカリ性
泥土中の水酸化カルシウムとの反応を促し、pHの上昇
をより一層抑制することができる。したがって、より酸
性物質の添加量を低減することができる。請求項4記載
の発明によれば、酸性物質と凝結遅延剤と高分子凝集剤
とを添加した場合においても請求項2記載の発明と同等
の効果を得ることができる。請求項5記載の発明によれ
ば、添加量が極めて少なくともアルカリ性泥土の中性化
を促すことができる。請求項6記載の発明によれば、よ
り効率的にアルカリ性泥土のpHの増加を抑制すること
ができる。請求項7記載の発明によれば、アルカリ性泥
土に改質剤を添加して混合することにより、請求項1記
載の発明と同等の効果を得ることができる。請求項8記
載の発明によれば、アルカリ性泥土に改質剤を添加して
混合することにより、請求項3記載の発明と同等の効果
を得ることができる。請求項9記載の発明によれば、請
求項5記載の発明と同等の効果を得ることができる。請
求項10記載の発明によれば、請求項6記載の発明と同
等の効果を得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09K 17/42 C09K 17/42 H // C09K 101:00 101:00 (72)発明者 山本 和正 東京都新宿区西新宿3丁目4番7号 栗田 工業株式会社内 Fターム(参考) 4D059 AA09 AA30 BF13 BG00 BJ00 CC04 DA16 DA17 DA23 DA32 DA33 DA35 DA37 DA39 DB08 DB09 DB11 DB31 4H026 AA01 AA09 AA10 AB04

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アルカリ性泥土を中性化する処理方法にお
    いて、 前記アルカリ性泥土に、酸性物質と凝結遅延剤とを添加
    して混合することを特徴とするアルカリ性泥土の処理方
    法。
  2. 【請求項2】請求項1記載のアルカリ性泥土の処理方法
    において、 前記アルカリ性泥土に、前記酸性物質と前記凝結遅延剤
    とを添加して混合した後、前記アルカリ性泥土を固化さ
    せることを特徴とするアルカリ性泥土の処理方法。
  3. 【請求項3】アルカリ性泥土を中性化する処理方法にお
    いて、 前記アルカリ性泥土に、酸性物質と凝結遅延剤と高分子
    凝集剤とを添加して混合することを特徴とするアルカリ
    性泥土の処理方法。
  4. 【請求項4】請求項3記載のアルカリ性泥土の処理方法
    において、 前記アルカリ性泥土に、前記酸性物質と前記凝結遅延剤
    と前記高分子凝集剤とを添加して混合した後、前記アル
    カリ性泥土を固化させることを特徴とするアルカリ性泥
    土の処理方法。
  5. 【請求項5】請求項1〜4のいずれか一項に記載のアル
    カリ性泥土の処理方法において、 前記酸性物質はリン酸であることを特徴とするアルカリ
    性泥土の処理方法。
  6. 【請求項6】請求項1〜5のいずれか一項に記載のアル
    カリ性泥土の処理方法において、 前記凝結遅延剤はショ糖であることを特徴とするアルカ
    リ性泥土の処理方法。
  7. 【請求項7】アルカリ性泥土を中性化する改質剤であっ
    て、 酸性物質と凝結遅延剤とを含有することを特徴とするア
    ルカリ性泥土の改質剤。
  8. 【請求項8】アルカリ性泥土を中性化する改質剤であっ
    て、 酸性物質と凝結遅延剤と高分子凝集剤とを含有すること
    を特徴とするアルカリ性泥土の改質剤。
  9. 【請求項9】請求項7または8記載のアルカリ性泥土の
    改質剤であって、 前記酸性物質はリン酸であることを特徴とするアルカリ
    性泥土の改質剤。
  10. 【請求項10】請求項7〜9のいずれか一項に記載のア
    ルカリ性泥土の改質剤であって、 前記凝結遅延剤はショ糖であることを特徴とするアルカ
    リ性泥土の改質剤。
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