JP2004010080A - 酸化亜鉛微粒子の包装体 - Google Patents

酸化亜鉛微粒子の包装体 Download PDF

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田中 隆夫
Tatsuhiko Ikeda
池田 達彦
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Abstract

【課題】良好な透明性を有し、紫外線遮蔽効果が高く、十分な滑らかさを有する化粧料等を得るのに適した酸化亜鉛超微粒子を、その物性を変化させずに簡易に保存、保管する包装体を提供する。
【解決手段】水蒸気バリヤ層を有する外層及びヒートシール性の樹脂からなる内層を備えたシート状包装材料により、酸化亜鉛微粒子を包装し密封して包装体とする。蒸気バリヤ層としては、アルミニウム、ケイ素、マグネシウム及びその酸化物等が、ヒートシール性の内層としてはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリ塩化ビニル等が使用される。
【選択図】  図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、酸化亜鉛微粒子を包装した包装体に関し、より詳しくは、保存中及び/又は輸送中における当該酸化亜鉛の特性を損なうことなく、ユーザーに提供することができる酸化亜鉛微粒子の包装体に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、オゾン層破壊という環境問題が大きくとりあげられる様になるとともに、最近の皮膚科学の研究結果から、紫外線に曝されると、シミ、ソバカス等の皮膚トラブルの発生や皮膚の老化の原因になる等、紫外線が予想以上の悪影響を肌に及ぼすことが種々なメディアで報じられ、人体を有害な紫外線から守るということについての一般の消費者の意識は、近来にない高まりを見せている。
【0003】
このような人体(皮膚)への悪影響に対処するためのものとして、紫外線遮蔽剤を配合した日焼け止め化粧料などが知られているが、化粧料としては、人体に有害な紫外線遮蔽を行うと同時に、素肌に近い質感の化粧仕上がりを確保する事が、なによりも重要である。すなわち、これに配合する紫外線遮蔽剤としても、可視光線に対しては透明な材料が望まれるものであり、そのために出来るだけ微細粒子化し、可視光線に対しては透明にした材料が要求される。
【0004】
酸化亜鉛は、従来から、かかる有害な紫外線を遮蔽する材料として知られているものであるが、特に、酸化チタンと比較しても、より近紫外線をも吸収・散乱することから、近紫外線を含む巾広い領域に渡って紫外線を遮蔽するという長所があり、したがって日焼け止め化粧料に配合されて高い効果を奏するものである。また、酸化亜鉛は、無機系化合物であるので、化粧料に配合された場合であっても、皮膚にアレルギーを引き起こしにくく、よって多量に配合することが可能となる等の利点もある。
【0005】
そして、酸化亜鉛は、その粒子径を例えば0.1μm以下の超微粒子に調整することにより、可視光線の波長よりずっと小さくなるので、可視光線がほとんど吸収されず、従って、より透明性を確保することが可能となる。このように、微細粒子化した酸化亜鉛は、紫外線遮蔽領域の広さ、透明感、皮膚に対する安全性、紫外線遮蔽効果の持続性などの点で、従来の紫外線遮蔽材料、すなわち有機系紫外線吸収剤や、酸化チタンに比べてより優れた特徴を有するものである。
【0006】
従来、通常の酸化亜鉛粒子は、10〜25kg程度の紙袋やプラスチックフィルム袋に充填した包装体として保存し、出荷されている。ユーザーは、袋状の当該包装体を、パレット等に積んで保存しておき、使用時に必要量を破袋して用いるが、この方法だとドラム缶を使用する場合のように容器管理の必要もなく、取扱いが容易であり、また異物の混入も避けられ好都合である。なお、通常の粒径の酸化亜鉛の場合、このように長期間保存しても、特にその物性が変化することは認められなかった。
【0007】
しかしながら、微細粒子化した酸化亜鉛については、紙袋やポリエチレン袋に充填・ヒートシールした包装体として、保存や出荷した場合、BETによって測定した比表面積の値(BET値)が、当該長期間保存中に、相当低下するという問題が生じることを見出した。BET値が低下すると、意外なことに、粒子の分散性が顕著に低下してしまうことがわかった。もともと微粒子状酸化亜鉛は凝集しやすいものであるが、このように分散性が悪化すると、化粧料に配合した場合に、酸化亜鉛のもともと有する紫外線遮蔽効果を充分奏することができなくなり、また、配合した化粧料の、伸びの悪さ、きしみ感、滑らかさの低下等が生ずる等の致命的な問題となりうるのである。
【0008】
酸化亜鉛は元来空気中の二酸化炭素ガスや水蒸気により炭酸化する性質を持っているが、かかる物性が、BET値の低下となんらかの関係を有しているものと推定される。このような空気中の水分や炭酸ガスの影響を少なくするためには、基本的には、他の有機試薬や無機試薬により、酸化亜鉛粒子の表面を処理・被覆することは知られているが、わざわざかかる処理を行うことは、煩雑であり、また、超微粒子状の酸化亜鉛に対しては、その処理の効果は、必ずしも充分とはいえない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
発明は上記問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、良好な透明性を有し、紫外線遮蔽効果が高く、十分な滑らかさを有する化粧料等を得るのに適した酸化亜鉛超微粒子を、その物性を変化させずに簡易に保存、保管する包装体を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明に従えば、以下の発明が提供される。
【0011】
(1) 水分透湿度が小さい樹脂、金属又は金属酸化物からなる水蒸気バリヤ層を有する外層及びヒートシール性の樹脂からなる内層を備えたシート状包装材料により、実質的に酸化亜鉛からなる微粒子を包装し密封してなる包装体。
【0012】
(2) 前記水蒸気バリヤ層がアルミニウム、ケイ素、マグネシウム及びその酸化物からなる群より選択される金属又は金属酸化物であり、また、ヒートシール性の内層がポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミド、ポリスチレン、ポリビニルアルコール及びポリ酢酸ビニルからなる群より選択される熱可塑性樹脂である前記(1)に記載の包装体。
【0013】
(3) 前記包装材料が金属又は金属酸化物を熱可塑性樹脂シートに蒸着したものである前記(1)又は(2)に記載の包装体。
【0014】
(4) 前記包装材料がポリエチレンシートにアルミニウムを蒸着したものである前記(3)に記載の包装体。
【0015】
(5) 前記包装材料の透湿度が1.0以下のものである前記(1)〜(4)のいずれかに記載の包装体。
【0016】
(6) 実質的に酸化亜鉛である微粒子が比表面積10m2/g以上の超微粒子である前記(1)〜(5)のいずれかに記載の包装体。
【0017】
(7) 実質的に酸化亜鉛である微粒子が比表面積10m2/g以上の超微粒子であり、かつ、その嵩密度が0.25g/ml以下のものである前記(1)〜(6)のいずれかに記載の包装体。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0019】
図1は、本発明に使用するシート状包装材料の層構成の一例を示す説明図であって、このような水分透湿度が小さい樹脂、金属又は金属酸化物からなる水蒸気バリヤ層10を有する外層11、及びヒートシール性の樹脂からなる内層13を備えたシート状包装材料1によって、酸化亜鉛微粒子を包装して包装体を形成する。ここで、15は、水蒸気バリヤ層10を支持するための基材シートである。
【0020】
(水蒸気バリヤ層)
水蒸気バリヤ層は、水分透湿度が小さい樹脂、金属又は金属酸化物からなる層である。本発明で言う「水分透湿度」とは、JISZ0208に準じ、25℃において、透湿カップ法により測定した値である。すなわち、温度25℃において、対象とする防湿包装材料を境界面とし、一方側の空気を相対湿度90%、他方を吸湿剤によって乾燥状態に保ったとき、24時間にこの境界面を通過する水蒸気の質量(g)をその材料1m2当りに換算した値である。
【0021】
本発明においては、この水分透湿度が1.0以下のものが好ましく、0〜0.5の範囲のものがより好ましい。水分透湿度が1.0を越えると、空気中の水分や二酸化炭素ガスにより超微粒子酸化亜鉛が炭酸化するためか、BET値の低下が起こりやすくなるので好ましくない。
【0022】
なお、この水分透湿度の値は、基本的には、当該水蒸気バリヤ層自体の具備すべき特性であるが、実際上は、シート状包装材料として、総括的に上記特性を満足していればよいのである。
【0023】
水蒸気バリヤ層は、水分透湿度が小さい樹脂、金属又は金属酸化物から構成できる。バリヤ層を樹脂で構成する場合は、例えば、ポリ三フッ化塩化エチレン、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニリデン一塩化ビニル共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物等の樹脂が例示されるがこれに限定されるものではない。
【0024】
また、水蒸気バリヤ層は、金属又は金属酸化物の薄膜として構成することもできる。かかる金属又は金属酸化物としては、特に限定するものではないが、アルミニウム、ケイ素、銅、鉄、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム、鉛、チタン、ジルコニウム等の金属の薄膜またはその酸化物の薄膜が好ましいものとして例示される。
【0025】
このうち、特に好ましくは、アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化マグネシウムの薄膜である。
【0026】
本発明における包装材料の層構成は、種々の形態が可能であり、たとえば図1に示すように、上記した薄膜10は、アルミニウム、銅、チタンのごとき金属のように、それ自身、箔(フォイル)とすることができるものは、箔として、それ自身で外層を形成するか(図1(d))、若しくは当該箔10を基材シート15と積層・接着したり、または、当該箔を基材シート15と内層を構成する樹脂シート13で挟み込んで(図1(a))、外層11を形成することができる。また図1(b)に示すように、バリヤ層10は、基材シート15の表面に蒸着等の手段で形成してもよいし、図1(c)のごとく、二枚の基材シート15、15’で挟み込んでもよい。
【0027】
また、金属又は金属酸化物の薄膜は、基材シートにその蒸着膜を形成する方法によって形成してもよい。蒸着膜を形成する手段としては、公知の方法を適用することができ、例えばスパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法等の物理気相蒸着法(PVD法)、プラズマ化学気相蒸着法、熱化学気相蒸着法、光化学気相蒸着法等の化学気相蒸着法(CVD)等が好ましいものとして挙げられる。
【0028】
水蒸気バリヤ層の厚みは、目的とする水分透湿度、基材シートや内層を構成する樹脂シートの種類や厚み、薄膜を構成する金属や酸化物の種類等により適宜選択可能であるが、通常、樹脂で構成する場合は、20〜100μm程度、金属や金属酸化物の場合は、0.01〜30μm程度である。
【0029】
(ヒートシール性樹脂の内層)
本発明における包装材料は、その内層がヒートシール性の樹脂により形成されており、熱シール等の手段で袋体を形成することができる。
【0030】
かかるヒートシール性の樹脂としては、ヒートシール性が優れており、シール後のシール強度が大きい熱可塑性樹脂であれば特に限定するものではなく、例えば、ポリエチレン(低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等)、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、エチレン−αオレフィン共重合体、プロピレン−αオレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等が好ましいものとして挙げられる。これらは、単独で、または2種以上を混合(ブレンド)して使用することができる。また、上記の樹脂の2種以上の原料モノマからなる共重合体であってもよい。このうち、200℃以下でヒートシール可能なものがより好ましい。なお、ここでヒートシール性とは、広義のヒートシール可能性を意味し、いわゆる熱シールの他、高周波シール、超音波シールが可能なものも包含される。
【0031】
(基材シート)
基材シート15は、水蒸気バリヤ層を形成する金属や金属酸化物の薄膜を蒸着するための基体として、または金属箔を保持するための基体として機能するとともに、好ましくはシート状包装材料(包装体)が運搬や保管時には容易には破袋しない強度を付与するもので、必要な強度を有し、透明性、耐熱性の高いものが好ましい。
【0032】
基材シートは、図1(a)、(b)のごとく一層としてもよいが、図1(c)のように二層または多層であってもよく、いずれにせよ、全体として水蒸気バリヤ層を有する外層11を、内層13の外側に形成するものである。また、図1(d)のごとく、基材シートを使用しないで、包装材料1を形成することも可能である。
【0033】
基材シートとしては、上記特性を有するものであれば特に限定するものではないが、例えば、セロハン、合成紙、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリアミド(ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン46等)、ポリイミド、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート等)、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリスルフォン、ポリアクリロニトリル、四フッ化エチレン−エチレン共重合体、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等が好ましいものとして挙げられる。これらは、単独で、または2種以上を混合(ブレンド)して使用することができる。また、上記の樹脂の2種以上の原料モノマからなる共重合体であってもよい。
【0034】
本発明で用いる包装材料は、上記のごとく、少なくともヒートシール性の樹脂からなる内層と水蒸気バリヤ層を有する外層からなる積層材料(積層シート)であるが、各層の厚みは、使用する樹脂等の種類に応じて適宜選択することができるものであり、内層の厚みは、10〜200μm以上、またすでに述べたように、水蒸気バリヤ層は、樹脂で構成する場合は、10〜100μm程度、金属や金属酸化物の場合は、0.01〜30μm程度、基材シート層の厚みは、5〜500μm程度である。なお、各層は厚い方が透湿度、強度等は向上するが、ヒートシール性の低下,コストアップ等の面から、過剰の層厚は必要ではない。
【0035】
本発明におけるシート状包装材料である積層シートは、各層を構成するシートや金属箔(または蒸着薄膜が形成された基材シート等)を、通常のラミネーション工程により積層して得られる。かかるラミネーション工程としては、ドライラミネーション、ウエットラミネーシヨン、無用剤型ドライラミネーション、押出ラミネーション、共押出ラミネーション、加圧プレス等が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0036】
本発明におけるシート状包装材料の積層構成としては、例えば、蒸着アルミニウム層/ポリエチレン層(層構成は、外層→内層の順序とする。以下、同じ。)、蒸着酸化アルミニウム層/ポリエチレン層、ポリエステル層/アルミニウム箔層/ポリエチレン層、セロハン層/アルミニウム箔層/ポリエチレン層、ポリプロピレン層/蒸着酸化ケイ素層/ポリエチレン層等が例示される。
【0037】
(製袋)
以上のごとくして得られたシート状包装材料により、酸化亜鉛微粒子を包装するための袋体が形成される。製袋は、各種の製袋機、例えば、三方シール製袋機、センターシール製袋機、溶断シール製袋機、チューブ製袋機等を使用して行われ、例えば、二枚の当該包装材料を、そのヒートシール性の樹脂からなる内層面を対向させて重ね合わせ、その周辺部(端面)をヒートシールして袋体とするか、一枚の当該包装材料をタテに二つ折りし、内面層を対向させ、同様にして周辺部をヒートシールして袋体とするか、若しくは、予めヒートシール性の樹脂層を内面層としてチューブ状とした包装材料の底部をヒートシール(所謂ピローシール)して袋体とすればよい。なお、このようにして袋体を形成する場合、通常一辺はシールせずに残し、被包装対象物である酸化亜鉛微粒子を充填した後、残る一辺をシールすることが好ましい。なお、本発明において製袋と称しているものは、製函や製瓶を含有する意味で使用している。
【0038】
(酸化亜鉛微粒子)
本発明の包装体は、上記のようにして形成したシート状包装材料により、酸化亜鉛微粒子を包装し、密封してなるものである。
【0039】
本発明の包装の対象とする酸化亜鉛は、実質的に酸化亜鉛からなる微粒子であり、これは、当該酸化亜鉛については、X線回折による主たるピークが酸化亜鉛であればよいことを示し、酸化亜鉛の他に、合成時に混入した不純物、原料に含まれる不純物、未反応原料等を含んでいてもよいことを意味する。更に、酸化亜鉛の分散性や導電性を向上させる機能を有する物質、例えばAlあるいはSiの酸化物もしくは水酸化物の内、1種ないしは2種を、酸化亜鉛に対し質量比で0.1〜20%程度有していても、その粉末がX線回折によるピークが酸化亜鉛であることを示すものであればよい。本明細書においては、かかる実質的に酸化亜鉛からなる微粒子を、単に「酸化亜鉛」又は「酸化亜鉛微粒子」と称することがあるものとする。
【0040】
本発明において特に本発明の包装体に使用した場合効果的な酸化亜鉛微粒子は、BET法により測定された比表面積S(単位m2/g)が、好ましくは10m2/g以上、より好ましくは15m2/g以上、さらに好ましくは30m2/g以上、80m2/g以下程度の超微粒子である。
【0041】
また、酸化亜鉛微粒子としては、その嵩密度が、好ましくは0.25g/ml以下、さらに好ましくは0.15g/ml以下、0.05g/ml以上のものが望ましい。ここで酸化亜鉛微粒子の嵩密度とは、当該微粒子を、JIS K5101に基づき測定した値であるが、この値が0.25g/ml以下と、きわめて低い値であることは、酸化亜鉛の真密度が5.6g/mlであることを考慮すると、その空間占有率がわずか4.4%以下と非常に小さいことを意味する。すなわち、本発明の包装体とすることが好ましい酸化亜鉛微粒子は、ミクロのレベルで考察すると、空間を極めて疎な状態で占拠しており、いわば空間中にバラバラの状態で存在して、雰囲気中の水蒸気、二酸化炭素ガスの影響を受け易い状態のものであり、放置された場合、容易にそのBET値が低下するものであることを示している。
【0042】
なお、参考のため、BET値(S)から、粒子の平均1次粒子径dは、次式により求めることができる。
d=1.06/S            (1)
[式中d:平均1次粒子径(単位μm)、S:比表面積(単位m2/g)]
【0043】
(酸化亜鉛微粒子の製造)
また、本発明において使用するに特に好ましいBET値10m2/g以上、嵩密度が0.25g/ml以下の酸化亜鉛は、例えば以下のごとくして製造される。
【0044】
すなわち、基本的には、原料酸化亜鉛を含む水スラリーに二酸化炭素ガスを吹込み、まず塩基性炭酸亜鉛を合成し、当該塩基性炭酸亜鉛スラリーを、造粒乾燥等した後、加熱分解するものであるが、原料として用いられる酸化亜鉛は、亜鉛を溶融・蒸発させ気相で酸化するフランス法、亜鉛鉱石を仮焼・コークス還元・酸化するアメリカ法、亜鉛塩溶液にソーダ灰を加えて塩基性炭酸亜鉛を沈殿させ、乾燥・焼成する湿式法(加熱分解法)等のいずれで製造したものでもよい。
【0045】
ここで使用する酸化亜鉛は、すでに述べたように、酸化亜鉛微粒子の分散性の向上や導電性を付与するための物質であるAlあるいはSiの酸化物若しくは水酸化物等を含有することができるが、この場合は、塩基性炭酸亜鉛を原料酸化亜鉛と二酸化炭素ガスから合成する際に、水分散性のアルミニウム水酸化物や酸化物又は水分散性のケイ素水酸化物もしくは酸化物を添加し、AlあるいはSiの酸化物若しくは水酸化物の1種ないしは2種を、酸化亜鉛に対し質量比で0.1〜20%含有させるのである。
【0046】
塩基性炭酸亜鉛を合成する際のスラリー濃度は、20〜30質量%の濃厚スラリーで反応させ、当該反応スラリーを直接乾燥させてもよいが、好ましくは、0.1〜10質量%程度の希薄スラリーで反応させ、その反応スラリーをそのまま、または好ましくは濃縮して乾燥させる。
【0047】
反応温度としては、特に限定するものではないが、10〜80℃、好ましくは20〜60℃である。また、反応時間(連続法の場合は、反応槽における平均滞留時間)は、反応温度等により変わりうるが、通常10分〜10時間、好ましくは30分〜5時間程度である。なお、温度保持のため、反応器は、加熱手段や保温手段及び温度制御手段を備えることも好ましい。
【0048】
以上のごとくして得られた塩基性炭酸亜鉛を含むスラリーは、より嵩密度の小さな酸化亜鉛微粒子を得るために、そのまま流動層乾燥、媒体流動層乾燥、気流乾燥及又は噴霧乾燥し、水分を除去して乾燥粉末とする。
【0049】
得られた塩基性炭酸亜鉛スラリーをその乾燥粉末とするに当たっては、気流乾燥器、噴霧乾燥機、流動層乾燥器、媒体流動層乾燥器のように、短時間のうちに乾燥と同時に粉末や顆粒と出来る装置を使用することが好ましい。
【0050】
なお、乾燥装置としては、最も分散された乾燥微粒子が得られる点で噴霧乾燥器(スプレードライヤー)が特に好ましく、乾燥用熱風温度は、入口で200〜300℃、出口で100〜150℃程度にする。
【0051】
上記の乾燥方法によって得られた塩基性炭酸亜鉛粒子は、最後に、ボックス炉やバッチ式又は連続式のロータリーキルン、ベルトキルン等の加熱炉内において、200〜500℃程度で30分〜20時間加熱分解することにより、本発明の対象とするのに好ましい、比表面積が10m2/g以上、その嵩密度が0.25g/ml以下のものである酸化亜鉛超微粒子が得られる。
【0052】
【作用】
本発明の酸化亜鉛微粒子の包装体においては、水分透湿度が小さい樹脂、金属又は金属酸化物からなる水蒸気バリヤ層を有する外層を備えたシート状包装材料によって、当該微粒子を包装し密封することにより、そのBET値が、長期間保存中に、相当低下することを顕著に防止することができる。これは、酸化亜鉛がもともと空気中の二酸化炭素ガスや水蒸気により炭酸化する性質を持っているものであるところ、本発明者らが検討したところによれば、かかる炭酸化は、水分と二酸化炭素ガスが併存する雰囲気下でのみはじめて実質的に進行するものであり、少なくとも水蒸気バリヤ層により、水分の透過を遮蔽してしまえば、もはや、炭酸化は実質的に生じないものと推定される。
【0053】
なお、二酸化炭素ガスと水蒸気が併存している個所で炭酸化が進行すると、もともと凝集しやすい酸化亜鉛微粒子同士が、炭酸化している部分を介して癒着し、当該凝集がより進行し、見かけ上BET値が低下することになると考えられる。また、このように粒子同士の癒着を介して凝集が進行することにより、粒子の分散性が顕著に悪化するものと思われる。
【0054】
【実施例】
以下、実施例により本発明を説明する。ただし、これらは単なる実施の態様であり、本発明の技術的範囲がこれらの実施例により限定されるものではない。
以下に部とあるのは、特に断り無き限り質量部を示す。なお、透湿度は25℃でJIS Z0208に準じ測定した。
【0055】
(実施例1)
(1)内層に厚み30μmのポリエチレンフィルム、外層の基材シートとして厚み12μmのポリエステルフィルムを用い、これで厚み7μmのアルミニウム箔を水蒸気バリヤ層としてサンドイッチした500×800mmの三層構造のフィルム状包装材料(透湿度=0.4)を準備した。また、包装される酸化亜鉛粒子としては、BET法によって測定した比表面積が50m2/g、嵩密度が0.14g/mlの酸化亜鉛超微粒子を用いた。
【0056】
当該酸化亜鉛粒子5Kgを、この包装材料により内層を内側にして挿入・包装しし、ヒートシール機(富士インパルス社製FA型オートシーラー)を用いて180℃でヒートシールして密封し、包装体を得た。
【0057】
(2)この包装体を6カ月間室温にて保存し、酸化亜鉛のBET法によって測定した比表面積の経時変化を測定した。結果を表1に示す。当該包装体とて保存した酸化亜鉛微粒子は、6ヶ月後にも比表面積の変化は見られなかった。
【0058】
(実施例2)
(1)内層に厚み30μmのポリエチレンフィルム、外層の基材シートとして厚み20μmのセロハンフィルムを用い、これで厚み30μmのアルミニウム箔を水蒸気バリヤ層としてサンドイッチした500×800mmの三層構造のフィルム状包装材料(透湿度=0.2)を準備した。また、包装される酸化亜鉛粒子としては、BET法によって測定した比表面積が57m2/gでアルミニウム分を5%含有する酸化亜鉛を用いた。
【0059】
(2)当該酸化亜鉛粒子5Kgを、実施例1同様にして180℃で包装、密封し、包装体を得、当該包装体について実施例1と同様の試験を行った。結果を表1に示す。表から明らかなごとく、6ヶ月後にも比表面積の変化は見られなかった。
【0060】
(実施例3)
(1)内層である低密度ポリエチレンフィルムにアルミニウムを水蒸気バリヤ層として蒸着したフィルム(厚み30μm、内、蒸着膜の厚み0.1μm)を用いた500×800mmの二層構造のフィルム状包装材料(透湿度=0.4)を準備した。また、包装される酸化亜鉛粒子としては、BET法によって測定した比表面積が57m2/gでシリカ分を10%含有する酸化亜鉛を用いた。
【0061】
(2)当該酸化亜鉛粒子5Kgを、実施例1同様にして180℃で包装、密封し、包装体を得、当該包装体について実施例1と同様の試験を行った。結果を表1に示す。表から明らかなごとく、6ヶ月後にも比表面積の変化は見られなかった。
【0062】
(比較例1)
実施例1で用いたものと同じ酸化亜鉛超微粒子500gを、厚み60μmのポリエチレン製の袋(透湿度=10〜15)に密封し、実施例1と同様の試験を行った。結果を表1に示す。2ヶ月後には、すでに、比表面積の低下が確認され始め、6ヶ月後には、さらに低下することが確認された。
【0063】
(比較例2)
実施例1で用いたものと同じ酸化亜鉛超微粒子500gをポリプロピレン製瓶(透湿度=5〜10)に密封し、実施例1と同様の試験を実施した。結果を表1に示す。2ヶ月後には、すでに、比表面積の低下が確認され始め、6ヶ月後には、さらに低下することが確認された。
【0064】
(比較例3)
実施例1で用いたものと同じ酸化亜鉛超微粒子500gをポリスチレン製瓶(透湿度=20〜30)に密封し、実施例1と同様の試験を実施した。結果を表1に示す。2ヶ月後には、すでに、比表面積の低下が確認され始め、6ヶ月後には、さらに低下することが確認された。
【0065】
【表1】
Figure 2004010080
【0066】
【発明の効果】
発明に従えば、水蒸気バリヤ層を有する外層及びヒートシール性の樹脂からなる内層を備えたシート状包装材料により、酸化亜鉛微粒子を包装・密封した包装体とすることにより、微粒子であるため、良好な透明性を有し、紫外線遮蔽効果が高く、十分な滑らかさを有する化粧料等を得るのに適した高性能を有する酸化亜鉛超微粒子を、その初期の優れた物性を保持したまま、すなわち、具体的には、BET値の低下、及びこれに伴う分散性の悪化を起こすことなく長期間簡易に保存、保管することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に使用するシート状包装材料の層構成の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
1   シート状包装材料
10  水蒸気バリヤ層
11  外層
13  ヒートシール性の樹脂からなる内層
15、15’ 基材シート

Claims (7)

  1. 水分透湿度が小さい樹脂、金属又は金属酸化物からなる水蒸気バリヤ層を有する外層及びヒートシール性の樹脂からなる内層を備えたシート状包装材料により、実質的に酸化亜鉛からなる微粒子を包装し密封してなる包装体。
  2. 前記水蒸気バリヤ層がアルミニウム、ケイ素、マグネシウム及びその酸化物からなる群より選択される金属又は金属酸化物であり、また、ヒートシール性の内層がポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミド、ポリスチレン、ポリビニルアルコール及びポリ酢酸ビニルからなる群より選択される熱可塑性樹脂である請求項1に記載の包装体。
  3. 前記包装材料が金属又は金属酸化物を熱可塑性樹脂シートに蒸着したものである請求項1又は2に記載の包装体。
  4. 前記包装材料がポリエチレンシートにアルミニウムを蒸着したものである請求項3に記載の包装体。
  5. 前記包装材料の透湿度が1.0以下のものである請求項1〜4のいずれかに記載の包装体。
  6. 実質的に酸化亜鉛である微粒子が比表面積10m2/g以上の超微粒子である請求項1〜5のいずれかに記載の包装体。
  7. 実質的に酸化亜鉛である微粒子が比表面積10m2/g以上の超微粒子であり、かつ、その嵩密度が0.25g/ml以下のものである請求項1〜6のいずれかに記載の包装体。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007537026A (ja) * 2004-05-12 2007-12-20 ロエロフ モルダー, コンドームアプリケータ
JP2015058649A (ja) * 2013-09-19 2015-03-30 共同印刷株式会社 チューブ用積層体及びチューブ容器
KR101720659B1 (ko) * 2016-02-04 2017-04-18 주식회사 신원비에스 전자파 차단 기능성이 있는 내약품성 제전원단, 이의 제조방법 및 이를 이용한 보호복
JP2025103879A (ja) * 2023-12-27 2025-07-09 株式会社レゾナック 容器入り酸化チタン粒子及びその製造方法、並びに酸化チタン保管容器

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