JP2004011571A - エンジンのオートデコンプ装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】係合部52はカムシャフト35の外周から突出するように形成され、第1係止部58がデコンプカム50の内周から凹んで形成され、第2係止部59が、係合部52の第2係止部59から第1係止部58側への移動時に該係合部52に対向する移動規制面59aを第1係止部58側の側面に有するようにしてデコンプカム50の内周から第1係止部58よりも浅く凹んで形成される。
【選択図】 図4
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンのオートデコンプ装置に関し、特に、デコンプ状態の圧縮行程では動弁カムに代わってカムフォロアの当接部に摺接する開弁用カム面を外周に有したリング状のデコンプカムが、カムシャフトを囲繞して前記動弁カムに隣接した位置に配置され、デコンプカムの内周には、カムシャフトの外周に設けられた係合部を係合させたときには非デコンプ状態を維持する第1係止部と、係合部を係合させたときにはデコンプ状態となるようにして第1係止部に隣接する第2係止部とが設けられるエンジンのオートデコンプ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、かかるオートデコンプ装置は、たとえば特開平8−28227号公報等で既に知られており、このものでは、カムシャフトの外周から突出した係合部をデコンプカムの第1係止部に係合させた状態では、デコンプカムの外周の開弁用開弁用カム面が動弁カムのベース円部より内方に位置することでカムフォロアの当接部を動弁カムに摺接させるようにして非デコンプ状態とし、また前記係合部をデコンプカムの第2係止部に係合させた状態では、デコンプカムの開弁用カム面が動弁カムのベース円部より外方に突出することでカムフォロアの当接部を開弁用開弁用カム面に摺接させるようにしてデコンプ状態とし、エンジンの圧縮行程で吸気弁または排気弁を開弁せしめることにより、エンジンの圧縮圧力を抜く(デコンプレッションする)ようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記従来のものにおいて、係合部の第2係止部への係合状態は、デコンプカムの開弁用カム面とカムフォロアの当接部との間の摺動抵抗力により維持されるのであるが、上記従来のものでは、第2係止部が、デコンプカムの内周に形成されて凹んだ第1係止部に連なる段差部として形成されているので、たとえば当接部がローラであることによって前記摺動抵抗力が小さくなった場合には、デコンプカムの開弁用カム面の下り斜面をカムフォロアの当接部が下りはじめたときに、第2係止部への係合部の係合が外れてしまい、エンジンの圧縮行程の途中でデコンプ効果が得られなくなる可能性があるので、前記下り斜面の角度の設計等に注意を要する必要があった。
【0004】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、第2係止部への係合部の係合状態が不所望に解除されてしまうことがないようにしたエンジンのオートデコンプ装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、排気弁または吸気弁に連動、連結されるとともに当接部が設けられるカムフォロアと、非デコンプ状態で前記当接部を摺接させる動弁カムが設けられるカムシャフトと、デコンプ状態の圧縮行程では前記動弁カムに代わって前記当接部に摺接する開弁用カム面を外周に有して前記動弁カムに隣接した位置で前記カムシャフトを囲繞するリング状のデコンプカムとを備え、前記カムシャフトの外周には係合部が設けられ、前記デコンプカムの内周には、前記係合部を係合させたときには前記開弁用カム面が前記動弁カムのベース円部よりも内方に位置するようにして非デコンプ状態を維持する第1係止部と、前記係合部を係合させたときには前記開弁用カム面が前記動弁カムのベース円部よりも外方に突出するようにして第1係止部に隣接する第2係止部とが設けられるエンジンのオートデコンプ装置において、前記係合部は前記カムシャフトの外周から突出するように形成され、第1係止部および第2係止部が、第1係止部よりも第2係止部を浅くして前記デコンプカムの内周から凹むように形成され、前記係合部の第2係止部から第1係止部側への移動時に該係合部に対向する移動規制面が、第2係止部の第1係止部側の側面に形成されることを特徴とする。
【0006】
このような請求項1記載の発明の構成によれば、カムシャフトの係合部をデコンプカムの第2係止部に係合させたデコンプ状態で、動弁カムのベース円部より外方に突出しているデコンプカムの開弁用カム面に摺接するカムフォロアの当接部が開弁用カム面の下り斜面を下る際に当接部および開弁用カム面間の摺動抵抗力が小さいものであったとしても、係合部が第2係止部から第1係止部に移動する際には第2係止部の移動規制面を乗り越える必要があるので、前記摺動抵抗力が小さいことに起因して第2係止部への係合部の係合が外れてしまうことを防止することができ、第2係止部への係合部の係合状態が不所望に解除されてしまうことはない。
【0007】
また請求項2記載の発明は、上記請求項1記載の発明の構成に加えて、前記カムシャフトの軸線に関して前記係合部とは反対側でカムシャフトの外周およびデコンプカムの内周間に、前記係合部を第1および第2係止部に択一的に係合させることを可能とするように前記デコンプカムがカムシャフトに対して相対変位することを許容しつつカムシャフトからの回転動力をデコンプカムに伝達する連結機構が設けられ、前記カムシャフトの軸線に関して第1および第2係止部とは反対側に配置されるウエイト部が前記当接部との当接を回避するようにして前記デコンプカムに一体に設けられ、前記ウエイト部に作用する遠心力に対抗する弾発力を前記デコンプカムに付与する弾発部材が前記カムシャフトおよび前記デコンプカム間に設けられることを特徴とする。
【0008】
このような請求項2記載の発明の構成によれば、弾発部材の弾発力ならびにデコンプカムのウエイト部に作用する遠心力のバランスにより、デコンプカムがカムシャフトに対して相対変位することになり、カムシャフトの回転数に応じてデコンプ状態および非デコンプ状態を自動的に切換えるようにしたオートデコンプ装置を少ない部品点数で構成することができる。
【0009】
請求項3記載の発明は、上記請求項1または2記載の発明の構成に加えて、前記移動規制面が、カムシャフトの半径方向に沿う内方に向かうにつれて第1係止部側に位置するように直線的に傾斜して形成されることを特徴とし、かかる構成によれば、係合部および第2係止部の係合力の設計を容易とすることができる。
【0010】
請求項4記載の発明は、上記請求項3記載の発明の構成に加えて、前記移動規制面が、デコンプ状態で前記当接部が摺接する前記開弁用カム面のうちカムシャフトの回転に応じて前記当接部をカムシャフトの半径方向内方側に案内する下り斜面の最大角度から、前記移動規制面および前記係合部間の前記デコンプカムの自重による最大摩擦角を減算した値以上の角度で、傾斜するように形成されることを特徴とし、かかる構成によれば、移動規制面の傾斜角を比較的小さく設定することを可能とし、それにより、係合部の接触による移動規制面の磨耗を小さく抑えることができる。
【0011】
さらに請求項5記載の発明は、上記請求項1〜4のいずれかに記載の発明の構成に加えて、前記カムフォロアが、一端を排気弁または吸気弁に連動、連結させたロッカアームであり、前記当接部が、前記ロッカアームの他端に軸支されるローラであることを特徴とし、かかる構成によれば、動弁カムの外周および開弁用カム面の一方と、ロッカアームとの間の摺動抵抗を減らすことができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、添付の図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
【0013】
図1〜図7は本発明の第1実施例を示すものであり、図1はエンジンの要部縦断面図、図2は図1の2−2線断面図、図3は図2の3矢示部拡大図、図4はエンジンの低速運転状態での図3の4−4線に沿う拡大断面図、図5はエンジンの高速運転状態での図4に対応した断面図、図6はデコンプカムの縦断面図であって図7の6−6線に沿う断面図、図7は図6の7−7線断面図である。
【0014】
先ず図1および図2において、このエンジンはたとえば単気筒エンジンであり、シリンダブロック11に設けられるシリンダボア12に摺動可能に嵌合されるピストン13の頂部を臨ませる燃焼室14が、シリンダブロック11と、該シリンダブロック11に結合されるシリンダヘッド15との間に形成される。またシリンダヘッド15には、該シリンダヘッド15との間に動弁室17を形成するヘッドカバー16が結合される。
【0015】
シリンダヘッド15には燃焼室14の天井面に臨む一対の吸気弁口18…と、それらの吸気弁口18…が共通に連なってシリンダヘッド15の一側面に開口する吸気ポート20と、前記燃焼室14の天井面に臨む単一の排気弁口19と、該排気弁口19に連なってシリンダヘッド15の他側面に開口する排気ポート21とが設けられる。またシリンダヘッド15には、燃焼室14に臨む一対の点火プラグ22,23が取付けられる。
【0016】
シリンダヘッド15には、各吸気弁口18…を開閉可能な吸気弁24…の開閉作動をガイドするガイド筒26…と、排気弁口18を開閉可能な排気弁25の開閉作動を案内するガイド筒27とが嵌合、固定される。ガイド筒26…から動弁室17側に突出した吸気弁24…の上端に設けられるリテーナ28…と、シリンダヘッド15との間には、吸気弁24…を上方すなわち閉弁方向に付勢する弁ばね30…が縮設される。またガイド筒27から動弁室17側に突出した排気弁25の上端に設けられるリテーナ29と、シリンダヘッド15との間には、排気弁25を上方すなわち閉弁方向に付勢する弁ばね31が縮設される。
【0017】
動弁室17内には、ピストン13にコンロッド32を介して連結されるクランクシャフト(図示せず)と平行な軸線を有するカムシャフト35が収納されており、シリンダヘッド15と、該シリンダヘッド15に結合される複数のカムホルダ36,37とでカムシャフト35が回転自在に支承される。しかもカムシャフト35の一端部には被動スプロケット38が固着されており、上記クランクシャフトからの回転動力が該被動スプロケット38に巻掛けられるカムチェーン39を介してカムシャフト35に1/2の減速比で伝達される。
【0018】
前記動弁室17内で前記カムシャフト35の上方には、該カムシャフト35と平行な軸線を有してシリンダヘッド15に支持される吸気側および排気側ロッカシャフト40,41が配置される。吸気側ロッカシャフト40には、吸気側ロッカアーム42が揺動可能に支承され、排気側ロッカシャフト41にはカムフォロアとしての排気側ロッカアーム43が揺動可能に支承される。一方、カムシャフト35には、吸気側ロッカアーム42に対応した吸気側カム44と、排気側ロッカアーム43に対応した動弁カムとしての排気側カム45とが設けられる。
【0019】
吸気側ロッカアーム42は、二股に分岐した一対のアーム部42a…を有しており、それらのアーム部42a…の先端部に進退位置を調節可能として螺合されるタペットねじ46…が、吸気弁24…の上端に当接される。また吸気側ロッカシャフト40に関して前記タペットねじ46…と反対側の端部で吸気側ロッカアーム42にはローラ47が軸支されており、このローラ47が転動しつつ吸気側カム44に摺接する。
【0020】
また排気側ロッカアーム43の一端には、排気弁25の上端に当接するタペットねじ48が進退位置を調節可能として螺合されており、排気側ロッカアーム43の他端には、前記排気側カム45に転動しつつ摺接可能な当接部としてのローラ49が軸支される。
【0021】
図3〜図5を併せて参照して、吸気側カム44とは反対側で排気側カム45に隣接する位置には、カムシャフト35を囲繞するリング状のデコンプカム50が配置されており、該デコンプカム50を前記排気側カム45との間に挟むリング体51がカムシャフト35に固着される。
【0022】
ところで、排気側カム45は、カムシャフト35の軸線からの距離を同一したベース円部45aと、該ベース円部45aよりも半径方向外方に張出した高位部45bとを外周に有するものであり、カムシャフト35がその回転方向54に回転するのに応じて、吸気行程の中間部から圧縮行程を経て膨張行程の中間部までの間に前記ローラ49がベース円部45aに摺接可能であり、膨張行程の中間部から排気行程を経て吸気行程の中間部までの間で前記ローラ49がベース円部45aに摺接する。而してローラ49がベース円部45aに当接している状態では排気側ロッカアーム43は揺動せず、排気弁25は閉弁状態にあるが、ローラ49が高位部45bに当接すると、排気弁25を開弁作動せしめる側に排気側ロッカアーム43を揺動作動せしめることになる。
【0023】
圧縮行程で前記ローラ49に対応する位置となる部分でカムシャフト35の外周には、デコンプカム50の内周側に向けてカムシャフト35の外周から突出する係合部52が設けられる。この係合部52は、カムシャフト35に植設されるピン53に一体にかつ同軸に連設されてカムシャフト35の外周から突出するものであり、ピン53よりも小径に形成される。
【0024】
図6および図7を併せて参照して、デコンプカム50は、前記リング体51に摺接するようにしてリング体51側に突出する複数個たとえば8個の突部55,55…を周方向に間隔をあけて一体に有するようにしてリング状に形成されており、このデコンプカム50の外周の圧縮行程域には開弁用カム面56が設けられ、またデコンプカム50の外周の膨張行程域には戻し用カム面57が設けられる。
【0025】
一方、デコンプカム50の内周には、前記カムシャフト35の係合部52を択一的に係合させる第1および第2係止部58,59が設けられる。第1係止部58は、前記係合部52を係合させたときには図5で示すように前記開弁用カム面56が排気側カム45のベース円部45aよりも内方に位置するようにして非デコンプ状態を維持するためのものであり、デコンプカム50の内周から比較的深く凹むように形成される。また第2係止部59は、前記係合部52を係合させたときには図4で示すように前記開弁用カム面56が排気側カム45のベース円部45aよりも外方に突出するようにしてデコンプカム50の内周から第1係止部58よりも浅く凹んで形成され、カムシャフト35の回転方向45に沿う下流側で第1係止部58に隣接する位置に配置される。しかも第2係止部59は、係合部52の第2係止部59から第1係止部58側への移動時に該係合部52に対向する移動規制面59aを第1係止部58側の側面に有するように形成される。
【0026】
前記移動規制面57aは、カムシャフト35の半径方向に沿う内方に向かうにつれて第1係止部58側に位置するように直線的に傾斜して形成されるものであり、係合部52の先端は傾斜した移動規制面57aに摺接し得るように傾斜面52aとして形成される。
【0027】
前記移動規制面57aの傾斜角度αは、デコンプ状態で前記ローラ49が摺接する前記開弁用カム面56のうちカムシャフト35の回転に応じて前記ローラ49をカムシャフト35の半径方向内方側に案内する下り斜面56a(図7参照)の最大角度θから、移動規制面59aおよび係合部52間のデコンプカム50の自重による最大摩擦角を減算した値以上の角度で傾斜するように形成される。ここで前記最大摩擦角は、1Gで物体が滑り出す傾斜角である。
【0028】
カムシャフト35の軸線に関して前記係合部52とは反対側でカムシャフト35の外周およびデコンプカム50の内周間には連結機構60が設けられる。この連結機構60は、カムシャフト35に一端が植設された支持ピン61の他端が、デコンプカム50の内周に設けられた支持凹部62に遊嵌されて成るものであり、支持ピン61の外径は支持凹部62の幅よりもわずかに小さく設定される。
【0029】
このような連結機構60によれば、デコンプカム50は、支持ピン61の軸線に沿う方向すなわちカムシャフト35の軸線と直交する方向の移動を可能とするとともに、支持ピン61が支持凹部62の両側面で規制される範囲でのカムシャフト35に対する相対回動が可能である。すなわち連結機構60は、係合部52を第1および第2係止部58,59に択一的に係合させることを可能とするようにデコンプカム50がカムシャフト35に対して相対変位することを許容しつつカムシャフト35からの回転動力をデコンプカム50に伝達する機能を果たすことになる。
【0030】
カムシャフト35の軸線に関して第1および第2係止部58,59とは反対側でデコンプカム50にはウエイト部63が一体に設けられており、このウエイト部63は、排気側ロッカアーム43のローラ49との干渉を回避し得るように形成される。
【0031】
また膨張行程域に対応する部分でカムシャフト35およびデコンプカム50間には弾発部材としてのばね64が設けられており、このばね64は、カムシャフト35に設けられたばね受け凹部65の閉塞端とデコンプカム50の内周との間に縮設される。而してばね64は、前記ウエイト部63に作用する遠心力に対抗する弾発力をデコンプカム50に付与することになる。
【0032】
デコンプカム50の内周には、前記第1および第2係止部58,59以外に、複数の凹部66…が設けられ、これらの凹部66…は肉抜きによるデコンプカム50の軽量化に寄与するとともに、デコンプカム50の内周のカムシャフト35への接触可能面積を小さくしてデコンプカム50およびカムシャフト35の張り付きを防止する機能を果たす。
【0033】
ところで、エンジン停止状態でのデコンプカム50は、ばね64の弾発力により開弁用カム面56を排気側カム45のベース円部45aよりも突出させた状態にある。この状態でエンジンを始動させると、カムシャフト35の回転方向54への回転に応じてデコンプカム50も回転するが、その始動直後の1回目の圧縮行程では、排気側カム45のベース円部45aよりも突出している開弁用カム56にローラ49が摺接し、ローラ49側からの反力が作用することによりデコンプカム50は、図4で示すように、カムシャフト35に対して相対回動し、係合部52を第2係止部59に係合させた状態となる。
【0034】
その後、カムシャフト35がさらに回転すると、開弁用カム面56が排気側カム45のベース円部45aよりも突出した状態が維持され、排気側カム45にローラ49が摺接することにより、排気弁25が強制的に開弁され、燃焼室14内の圧縮圧力が減圧されることになる。
【0035】
その後、エンジンの膨張行程では戻し用カム面57にローラ49が摺接することにより、デコンプカム50は、第2係止部59との係合を解除した状態へと戻る。
【0036】
またカムシャフト35の回転数が増加することによりウエイト部63に作用する遠心力がばね64のばね力に打ち勝つようになると、デコンプカム50は、図5で示したように、係合部52を第1係止部58に係合させる位置、すなわち開弁用カム面56を排気側カム45のベース円部45aよりも内方に退避させた位置となり、エンジン始動後の通常運転中には、デコンプカム50は係合部52を第1係止部58に係合させた状態を維持し、排気弁25は排気側カム45のカムプロフィルで規定される作動特性で開閉駆動されることになる。
【0037】
次にこの第1実施例の作用について説明すると、カムシャフト35の外周に設けられる係合部52は、カムシャフト35の外周から突出するように形成され、係合部52を択一的に係合させるようにしてデコンプカム50の内周に設けられる第1および第2係止部58,59は、デコンプカム50の内周から凹むように形成される。しかも第2係止部59は、係合部52の第2係止部59から第1係止部58側への移動時に該係合部52に対向する移動規制面59aを第1係止部58側の側面に有するようにして第1係止部58よりも浅く凹んで形成されている。
【0038】
したがってカムシャフト35の係合部52をデコンプカム50の第2係止部59に係合させたデコンプ状態では、排気側カム45のベース円部45aより外方に突出しているデコンプカム50の開弁用カム面56に摺接するローラ49が、カムシャフト35の回転に応じて開弁用カム面56の下り斜面56aを下る際の摺動抵抗力が小さいものであったとしても、係合部52が第2係止部59から第1係止部58に移動する際には第2係止部59の移動規制面59aを乗り越える必要があるので、前記摺動抵抗力が小さいことに起因して第2係止部59への係合部52の係合が外れてしまうことを防止することができ、第2係止部59への係合部52の係合状態が不所望に解除されてしまうことはない。
【0039】
またカムシャフト35の軸線に関して係合部52とは反対側でカムシャフト35の外周およびデコンプカム50の内周間には、係合部52を第1および第2係止部58,59に択一的に係合させることを可能とするようにデコンプカム50がカムシャフト35に対して相対変位することを許容しつつカムシャフト35からの回転動力をデコンプカム50に伝達する連結機構60が設けられ、カムシャフト35の軸線に関して第1および第2係止部58,59とは反対側に配置されるウエイト部63が前記ローラ49との当接を回避するようにしてデコンプカム50に一体に設けられ、カムシャフト35およびデコンプカム50間には、ウエイト部63に作用する遠心力に対抗する弾発力をデコンプカム50に付与するばね64が設けられている。
【0040】
このような構成によれば、ばね64の弾発力ならびにデコンプカム50のウエイト部63に作用する遠心力のバランスにより、デコンプカム50がカムシャフト35に対して相対変位することになり、カムシャフト35の回転数に応じてデコンプ状態および非デコンプ状態を自動的に切換えるようにしたオートデコンプ装置を少ない部品点数で構成することができる。
【0041】
また移動規制面59aは、カムシャフト35の半径方向に沿う内方に向かうにつれて第1係止部58側に位置するように直線的に傾斜して形成されるものであり、このように係合部52および第2係止部59の係合力の設計を容易とすることができる。
【0042】
しかも移動規制面59aが、デコンプ状態でローラ49が摺接する開弁用カム面56のうちカムシャフト35の回転に応じてローラ49をカムシャフト35の半径方向内方側に案内する下り斜面56aの最大角度θから、移動規制面59aおよび係合部52間のデコンプカム50の自重による最大摩擦角を減算した値以上の角度で、傾斜するように形成されている。このような移動規制面59aの傾斜角設定によれば、移動規制面59aの傾斜角αを比較的小さく設定することが可能となり、係合部52の接触による移動規制面59aの磨耗を小さく抑えることができる。
【0043】
一端を排気弁25に連動、連結させた排気側ロッカアーム43の他端に軸支されたローラ49を、排気側カム45の外周および開弁用カム面56の一方に摺接させるようにしているので、排気側カム45の外周および開弁用カム面56の一方と、排気側ロッカアーム43との間の摺動抵抗を減らすことができる。
【0044】
図8は本発明の第2実施例を示すものであり、上記第1実施例に対応する部分には同一の参照符号を付す。
【0045】
カムシャフト35の外周には、デコンプカム50の内周側に向けてカムシャフト35の外周から突出する係合部52′が設けられ、この係合部52′の先端には突部52a′が突設される。
【0046】
一方、デコンプカム50の内周には、前記係合部52′を択一的に係合させる第1および第2係止部58,59′が設けられ、第2係止部59′は、前記係合部52′の突部52a′を係合させるようにデコンプカム50の内周から凹んで形成される。しかも第2係止部59′は、係合部52の第2係止部59′から第1係止部58側への移動時に該係合部52′の突部52a′に対向する移動規制面59a′を第1係止部58側の側面に有するように形成される。
【0047】
この第2実施例によっても、デコンプカム50の開弁用カム面56に摺接するローラ49が、カムシャフト35の回転に応じて開弁用カム面56の下り斜面56aを下る際の摺動抵抗力が小さいものであったとしても、係合部52が第2係止部59′から第1係止部58に移動する際には第2係止部59′の移動規制面59a′を係合部52′の突部52a′が乗り越える必要があるので、前記摺動抵抗力が小さいことに起因して第2係止部59′への係合部52の係合が外れてしまうことを防止することができ、第2係止部59′への係合部52の係合状態が不所望に解除されてしまうことはない。
【0048】
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行なうことが可能である。
【0049】
たとえば、吸気側カム44に隣接して配設されたデコンプカム50で、吸気弁を圧縮行程で強制的に開弁せしめるようにしたオートデコンプ装置に本発明を適用することも可能である。
【0050】
【発明の効果】
以上のように請求項1記載の発明によれば、カムフォロアの当接部が開弁用カム面の下り斜面を下る際に当接部および開弁用カム面間の摺動抵抗力が小さいものであったとしても、第2係止部への係合部の係合が外れてしまうことを防止することができ、第2係止部への係合部の係合状態が不所望に解除されてしまうことはない。
【0051】
また請求項2記載の発明によれば、カムシャフトの回転数に応じてデコンプ状態および非デコンプ状態を自動的に切換えるようにしたオートデコンプ装置を少ない部品点数で構成することができる。
【0052】
請求項3記載の発明によれば、係合部および第2係止部の係合力の設計を容易とすることができる。
【0053】
請求項4記載の発明によれば、移動規制面の傾斜角を比較的小さく設定することを可能として、係合部の接触による移動規制面の磨耗を小さく抑えることができる。
【0054】
さらに請求項5記載の発明によれば、動弁カムの外周および開弁用カム面の一方と、ロッカアームとの間の摺動抵抗を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例のエンジンの要部縦断面図である。
【図2】図1の2−2線断面図である。
【図3】図2の3矢示部拡大図である。
【図4】エンジンの低速運転状態での図3の4−4線に沿う拡大断面図である。
【図5】エンジンの高速運転状態での図4に対応した断面図である。
【図6】デコンプカムの縦断面図であって図7の6−6線に沿う断面図である。
【図7】図6の7−7線断面図である。
【図8】第2実施例の図4に対応した断面図である。
【符号の説明】
24・・・吸気弁
25・・・排気弁
35・・・カムシャフト
43・・・カムフォロアとしての排気側ロッカアーム
45・・・動弁カムとしての排気側カム
45a・・・ベース円部
49・・・当接部としてのローラ
50・・・デコンプカム
52,52′・・・係合部
56・・・開弁用カム面
56a・・・下り斜面
58・・・第1係止部
59,59′・・・第2係止部
59a,59a′・・・移動規制面
60・・・連結機構
63・・・ウエイト部
64・・・弾発部材としてのばね
Claims (5)
- 排気弁(25)または吸気弁(24)に連動、連結されるとともに当接部(49)が設けられるカムフォロア(43)と、非デコンプ状態で前記当接部(49)を摺接させる動弁カム(45)が設けられるカムシャフト(35)と、デコンプ状態の圧縮行程では前記動弁カム(45)に代わって前記当接部(49)に摺接する開弁用カム面(56)を外周に有して前記動弁カム(45)に隣接した位置で前記カムシャフト(35)を囲繞するリング状のデコンプカム(50)とを備え、前記カムシャフト(35)の外周には係合部(52,52′)が設けられ、前記デコンプカム(50)の内周には、前記係合部(52,52′)を係合させたときには前記開弁用カム面(56)が前記動弁カム(45)のベース円部(45a)よりも内方に位置するようにして非デコンプ状態を維持する第1係止部(58)と、前記係合部(52)を係合させたときには前記開弁用カム面(56)が前記動弁カム(45)のベース円部(45a)よりも外方に突出するようにして第1係止部(58)に隣接する第2係止部(59,59′)とが設けられるエンジンのオートデコンプ装置において、前記係合部(52,52′)は前記カムシャフト(35)の外周から突出するように形成され、第1係止部(58)および第2係止部(59,59′)が、第1係止部(58)よりも第2係止部(59,59′)を浅くして前記デコンプカム(50)の内周から凹むように形成され、前記係合部(52,52′)の第2係止部(59,59′)から第1係止部(58)側への移動時に該係合部(52,52′)に対向する移動規制面(59a,59a′)が、第2係止部(59,59′)の第1係止部(58)側の側面に形成されることを特徴とするエンジンのオートデコンプ装置。
- 前記カムシャフト(35)の軸線に関して前記係合部(52,52′)とは反対側でカムシャフト(35)の外周およびデコンプカム(50)の内周間に、前記係合部(52,52′)を第1および第2係止部(58;59,59′)に択一的に係合させることを可能とするように前記デコンプカム(50)がカムシャフト(35)に対して相対変位することを許容しつつカムシャフト(35)からの回転動力をデコンプカム(50)に伝達する連結機構(60)が設けられ、前記カムシャフト(35)の軸線に関して第1および第2係止部(58;59,59′)とは反対側に配置されるウエイト部(63)が前記当接部(49)との当接を回避するようにして前記デコンプカム(50)に一体に設けられ、前記ウエイト部(63)に作用する遠心力に対抗する弾発力を前記デコンプカム(50)に付与する弾発部材(64)が前記カムシャフト(35)および前記デコンプカム(50)間に設けられることを特徴とする請求項1記載のエンジンのオートデコンプ装置。
- 前記移動規制面(59a)が、カムシャフト(35)の半径方向に沿う内方に向かうにつれて第1係止部(58)側に位置するように直線的に傾斜して形成されることを特徴とする請求項1または2記載のエンジンのオートデコンプ装置。
- 前記移動規制面(59a)が、デコンプ状態で前記当接部(49)が摺接する前記開弁用カム面(56)のうちカムシャフト(35)の回転に応じて前記当接部(49)をカムシャフト(35)の半径方向内方側に案内する下り斜面(56a)の最大角度から、前記移動規制面(59a)および前記係合部(52)間の前記デコンプカム(50)の自重による最大摩擦角を減算した値以上の角度で、傾斜するように形成されることを特徴とする請求項3記載のエンジンのオートデコンプ装置。
- 前記カムフォロアが、一端を排気弁(25)または吸気弁(24)に連動、連結させたロッカアーム(43)であり、前記当接部が、前記ロッカアーム(43)の他端に軸支されるローラ(49)であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のエンジンのオートデコンプ装置。
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