JP2004012846A - カラーフィルタおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】裏面に透明導電膜を形成したカラーフィルタにおいて、後工程での基板の加熱においても透明導電膜の抵抗値が悪化することのない、裏面透明導電膜付きカラーフィルタを提供する。
【解決手段】透明基板上に少なくとも着色層を有し、かつ前記透明基板の着色層を形成していない側の面に透明導電膜を形成したカラーフィルタにおいて、前記透明導電膜のグレインサイズが300nm以下であることを特徴とするカラーフィルタ。
【選択図】なし
【解決手段】透明基板上に少なくとも着色層を有し、かつ前記透明基板の着色層を形成していない側の面に透明導電膜を形成したカラーフィルタにおいて、前記透明導電膜のグレインサイズが300nm以下であることを特徴とするカラーフィルタ。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は透明導電膜の成膜方法に関する。特にカラー液晶表示装置に用いられるカラーフィルタの着色層を形成した面の裏側の面に形成される透明導電膜の成膜方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
カラーフィルタの製造工程は、ガラスなどの透明基板上に真空成膜法などを用いてクロムを成膜した後、フォトレジストを塗布し、フォトマスクを配置して露光、現像、クロムエッチング、フォトレジスト剥離を行い、パターン状のブラック遮光層を形成する。特に最近では地球環境への影響を考慮して、有害なクロムを使用せず、遮光性樹脂をブラック遮光層として使用する樹脂ブラックマトリックス(BM)を用いる場合が多い。次にブラック遮光層の上から、赤、青、緑の3原色を規則的に配した着色層を形成する。着色層の形成方法としては、フォトリソグラフィ法を用いて形成した可染媒体を染色する染色法や、感光性の顔料分散組成物もしくは非感光性の顔料分散組成物をエッチングする顔料分散法、パターニングした電極を利用した電着法、さらには低コストの製造方法として印刷法やインクジェット法などが用いられている。次に必要に応じて着色層上に画素の保護や平坦化を目的としてオーバーコート層や、液晶駆動用の電極として用いられる透明導電膜が形成されてカラーフィルタが完成する。
【0003】
従来の液晶表示素子はこのようなカラーフィルタ基板と、もう一方の基板とを貼り合わせ、これら2枚の基板の間隔に液晶を90度(TN方式)、あるいはそれ以上(STN方式)捻って配向させる構成であった。このときもう一方の基板としては薄膜トランジスタ(TFT)を形成する場合や、薄膜ダイオードを形成する場合、透明電極をストライプ状に形成し、カラーフィルタ側に形成したストライプ状の透明電極とマトリックスを形成する場合などがあった。
【0004】
しかしながらこのTN方式、STN方式の従来の液晶表示素子では正面から見た場合には良好な表示特性を示すものの、斜めから見たときに著しくコントラストが低下するという欠点があった。そこでこの欠点を解決するために近年、インプレイン・スイッチング(IPS)方式の液晶表示素子が開発されている。この方式の液晶表示素子は2枚の透明基板間で液晶が平行に配向しており、従来とは異なり透明基板に平行方向に印可される電場によりスイッチングする。このため、カラーフィルタの液晶と接する側の面には透明電極は形成されていない。また横方向に印可される電場の方向を乱さないために、遮光層の材料としてはCrなどの金属薄膜ではなく、黒色顔料などの遮光材を分散させた樹脂を用いることが多い。
【0005】
しかしながらこの場合カラーフィルタに導電性が付与されていないため、静電気の影響を受けやすく、この静電気が液晶表示素子の品質や製造中の歩留まりに悪影響をおよぼす問題点があった。例えば、液晶表示素子を手で触れると静電気の影響により配向が乱れて表示ムラを発生させたり、素子の製造工程中に静電気によりスペーサの粒子を凝縮させる、また偏向板の再生工程で静電気によるムラを生じるなどの問題点が発生した。
【0006】
この問題を解決するため、例えば特開平10−90705号公報、特開平10−160920号公報、特開平10−293207号公報、特開2000−39509号公報に示されているようにカラーフィルタの着色層を形成する面とは反対側の面(基板裏面)に導電性を有する透明導電膜の薄膜を基板全面に形成する方法が開示されている。この時、従来の基板表面に形成する透明導電膜は着色層形成後に形成するのに対し、前記基板裏面に形成する透明導電膜は着色層形成後に成膜を実施した場合、カラーフィルタ表面へのキズ、汚れの付着を防止することが困難であるため、一般的に着色層などのカラーフィルタ表面を形成する前の透明基板上にあらかじめ形成されている。
【0007】
しかしながらこの時、裏面に形成した透明導電膜の抵抗値が着色層などのカラーフィルタ形成中、もしくは液晶表示素子形成中に悪化する問題が生じた。カラーフィルタ形成前にあらかじめ基板裏面に形成された透明導電膜は、後工程であるカラーフィルタ形成工程や液晶表示素子形成工程中の洗浄工程や着色層形成時のセミキュア工程、本キュア工程などの加熱工程において繰り返し加熱処理される。この加熱処理の繰り返しにより裏面に形成した透明導電膜の膜質が変化し、抵抗値や透過率の悪化を引き起こし、その悪化がひどい場合には目的である徐電効果を十分に発揮できなくなる問題が生じた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は前記のような問題点を解決するものであり、裏面に透明導電膜を形成したIPS方式の液晶表示素子用のカラーフィルタであって、後工程での繰り返しの加熱においても透明導電膜の抵抗値の悪化することのないカラーフィルタとその製造方法を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明のカラーフィルタは以下の構成をとる。すなわち、透明基板上に少なくとも着色層を有し、かつ前記透明基板の着色層を形成していない側の面に透明導電膜を形成したカラーフィルタにおいて、前記透明導電膜のグレインサイズが300nm以下であることを特徴とするカラーフィルタである。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明のカラーフィルタは、透明基板上に少なくとも着色層を有し、かつ前記透明基板の着色層を形成していない側の面に透明導電膜を形成したカラーフィルタであって、前記透明導電膜のグレインサイズが300nm以下であることを第1の特徴とするカラーフィルタである。
【0011】
本発明で使用する基板は特に限定されないが、光線透過率が高く、機械的強度、寸法安定性が優れたガラスが最適であり、ソーダガラス、無アルカリガラス、ホウケイ酸ガラス、石英ガラス、アルミノケイ酸塩ガラス、表面をシリカコートしたソーダライムガラスなどが好適に用いられる。他にポリイミド樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂などのプラスチック板や、ロール状もしくはシート状に巻き上げられたフィルムなどが用いられる。
【0012】
本発明で使用するカラーフィルタのブラックマトリックス層としては特に限定されず、クロムやクロムと酸化クロムや窒化クロム、ニッケル合金、チタン合金の多層膜などからなる金属薄膜や、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂などに黒色顔料を分散した樹脂薄膜いずれも用いることができるが、IPS方式の安定な表示特性を得るためには電気絶縁性の高い後者の黒色顔料を分散させた樹脂薄膜を用いるほうが好ましい。遮光層に用いられる樹脂としては特に限定されず、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂などの感光性または非感光性の材料が好ましく用いられる。特に、遮光層用の樹脂は、着色層や保護膜に用いられる樹脂よりも高い耐熱性を有する樹脂を選択することが好ましく、また遮光層形成後の後工程で使用される有機溶剤への耐性を有する樹脂が好ましいことより、ポリイミド系樹脂が最も好ましく用いられる。ブラックマトリックス層の厚みも特に限定はされないが無機系で0.1〜0.3μm、有機系で0.5〜2μmのものが多く用いられる。ブラックマトリックス層は通常フォトリソグラフィ法やインクジェット法、印刷法により所定のパターンを形成する。
【0013】
着色層としては特に限定されないが、顔料を樹脂に分散したものなどが用いられる。樹脂としては180℃以上のアニール処理でも軟化、分解、着色を生じない材料が用いることができ、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、尿素樹脂、アクリル樹脂、ポリビニールアルコール樹脂、メラミン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂およびこれらの混合物などが好ましく用いられる。これらの中でも耐熱性、密着性に優れているポリイミド樹脂、アクリル樹脂もしくはエポキシ樹脂がより好ましい。
【0014】
着色層を形成する方法としては、樹脂ブラックマトリックスを形成した基板上に着色ペーストを塗布、乾燥した後にパターニングを行う。着色ペーストを得る方法としては、溶媒中に樹脂と着色剤を混合させた後、三本ロール、サンドグラインダー、ボールミルなどの分散機で分散させる方法があるが、特に限定されるものではない。着色ペーストを塗布する方法としては、特に限定されず、ディップ法、ロールコータ−法、スピナー法、ダイコーティング法、ワイヤーバーによる方法など各種塗布方法が使用できる。この後、オーブンやホットプレートを用いて加熱乾燥(セミキュア)を行う。セミキュアの条件は使用する樹脂、溶媒、ペースト塗布量により任意の条件が選択されるが、60〜200℃の温度で1〜60分加熱することが一般的である
このようにして得られた着色ペースト被膜は樹脂が非感光性の樹脂である場合はその上にポジ型フォトレジストの被膜を形成した後に、また、樹脂が感光性の樹脂である場合には、そのままかあるいは酸素遮断膜を形成した後に、露光、現像を行う。必要に応じ、ポジ型フォトレジストまたは酸素遮断膜を除去し、その後加熱乾燥(本キュア)する。本キュアの条件も樹脂、塗布量により任意の条件が選択されるが、通常200〜300℃で1〜60分加熱するのが一般的である。着色層の膜厚は特に限定されないが、好ましくは1層当たり0.9〜3.0μmであり、1.6〜2.4μmが最も好ましい。
【0015】
本発明のカラーフィルタは必要によりオーバーコート層を形成する。オーバーコート層としては特に限定されないが、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、オルガノシランを縮重合して得られるシリコーン樹脂、オルガノシランとイミド基を有する化合物とを縮重合して得られるイミド変形シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、尿素樹脂、ポリビニールアルコール樹脂、メラミン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ゼラチンなどが用いられる。なかでも、後工程の液晶表示素子製造工程での加熱や、有機溶剤への耐性を有する樹脂を用いることが好ましく、この点からポリイミド系樹脂やアクリル系樹脂、エポキシ系樹脂が好ましく用いられる。オーバーコート層を形成する方法としては特に限定されず、遮光層、着色層と同様、ディップ法、ロールコーター法、スピナー法、ダイコーティング法、ワイヤーバーによる方法などが好適に用いられる。オーバーコート層の膜厚としては特に限定されないが、0.05〜3.0μmが好ましい。画素内段差を小さくする点からは厚いほうが好ましいが、均一塗布が難しくなる。もちろん遮光層と着色層の膜厚の組み合わせにより、オーバーコート層の厚みは好適に決定できる。
【0016】
本発明で使用される透明基板裏面に形成される透明導電膜としては、特に限定されず酸化スズ、酸化インジウム、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化カドミウム、酸化スズを添加した酸化インジウム(ITO)などがあるが、中でもITOが高透明性および低抵抗の点で好ましい。ITOにおける酸化スズの添加量は重量で5〜15%の範囲が抵抗値を小さくするためには好ましく、8〜12%がさらに好ましい。
【0017】
透明導電膜の厚みは必要とされる表面抵抗値により変わるが、5〜50nmの範囲が好ましく、10〜30nmがもっとも好ましい。膜厚が薄すぎると均一な膜にならず抵抗値が不安定になる。また厚すぎると膜の透明性が悪くなる。
【0018】
透明導電膜の形成方法は特に限定されず、真空蒸着法、CVD法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、EB蒸着法、導電性微粒子をポリイミドなどの樹脂に分散させた材料を塗布・加熱する方法など、各種の成膜方法を用いることができる。中でも、200℃以下の低温で成膜しても、抵抗値が低く透過率の高い膜が得られ、かつ膜質の均一性が良好であり大面積化にも適し、長時間の安定生産ができる点で、スパッタリング法が最も好ましい。その中でも高い成膜レートが得られるDCマグネトロンスパッタリング法がさらに好ましいが、本発明はこれらに限定されるものではない。成膜装置の形式としては、バッチ式、インライン式、枚葉式などの形式のものが使用できるが、生産性に優れている点でインライン式が好ましい。インライン式の場合成膜ゾーンの後に熱処理室を設けることで200℃以下の低温成膜においても生産性を損なうことなくアニールを行うことができる。スパッタリングターゲットとしては、ITO焼結体ターゲットやインジウム−スズ合金ターゲットを用いることができる。
【0019】
本発明において、裏面に作成したITOのグレインサイズは可能な限り小さくすることが好ましい。これは膜の結晶化が進みグレインサイズが大きくなったITO膜は、その後の加熱処理により抵抗値が悪化するためである。特にその傾向は本発明のように膜厚50nm以下の薄膜で顕著に現れる。これは結晶化が進みグレインサイズの大きくなったITO膜は、グレインとグレインとの間に結晶粒界が発生するためである。膜厚が薄い場合、加熱によりこの結晶粒界に酸素原子が入り込み、結晶粒界による散乱が加速され、膜中の電子の移動度が低下しITO膜の抵抗値が悪化する。そのため加熱による抵抗値の悪化を防止するためには、膜の結晶粒界の発生をより少なくすることが好ましく、そのためのグレインサイズとしては300nm以下が好ましく、結晶粒界の存在しないアモルファス状態が最も好ましい。なお、グレインサイズが小さく、結晶化の進んでいないITO膜は従来の結晶化が進んだITO膜と比較し膜の内部応力が小さく、その結果、ITO膜の内部応力に起因する透明基板のたわみ量が小さくなるため、カラーフィルタ形成工程のパターン精度・位置合わせ精度が従来と比較し向上する長所もある。なおここでいうグレインサイズとは透明導電膜の表面をSEM(走査型電子顕微鏡)にて倍率5万倍で観測したときに観察できる結晶粒の粒径である。膜が多結晶構造を有している場合は、粒径が5〜20nm程度の結晶子が複数集まってグレインを形成しており、アモルファス状態に近づくとともに結晶子の集まりが少なくなり、それに伴いグレインサイズが小さくなる。また、グレインとグレインとが重なった箇所が結晶粒界であり、グレインサイズが小さくなりアモルファス状態になるとともに結晶粒界も少なくなる。
【0020】
本発明における透明導電膜の光透過率はカラーフィルタの光透過性を高くする上でより高いことが好ましい。特に波長400nm〜800nmの可視光領域での光透過率が重要であり、本発明における透明導電膜の光透過率としては波長400nm〜800nmの範囲において90%以上であることが好ましい。また、透明導電膜の抵抗値は、十分な徐電効果を発揮するうえでもより小さいことが好ましく、本発明における透明導電膜の抵抗値は比抵抗値で6.0×10−4Ω・cm以下であることが好ましい。
【0021】
ところで従来裏面に形成されたITO膜の成膜温度はより容易に低抵抗値、高透過率を得られる点で、250℃以上の高温成膜が用いられてきた。しかしながら200℃以上の高温で成膜された膜厚50nm以下の薄膜ITOは、膜の結晶化が進みグレインサイズが大きくなる。そのため本発明においては、グレインサイズを小さくするために成膜時の基板温度を50〜200℃の範囲にすることが好ましく、100〜150℃が最も好ましい。50℃以下の成膜温度を達成するためには別途冷却装置などの特別な装置が必要となり、コスト、生産性が悪化するため好ましくない。
【0022】
本発明においては、ITO膜の抵抗値および透過率の向上および安定を達成するためにITO膜の成膜後アニール処理を行うことが好ましい。アニール温度はITO成膜時の基板温度よりも高いことが望ましく、200℃以上の温度でアニールすることが最も好ましい。アニール時間は特に限定されずアニール温度により好適に設定することが可能であるが、アニール時間が短すぎると抵抗値、透過率が実用レベルにまで向上しないため好ましくない。たとえばアニール温度240℃でアニールする場合のアニール時間としては30〜120分程度が一般的である。アニール装置も特に限定されず、平坦な金属プレート上に基板を密着もしくは近接させて基板の加熱を行うホットプレート方式や、加熱源として赤外線ヒータ・赤外線ランプを用いるIRオーブン方式、密閉した箱の中で熱風を循環させて基板を加熱する熱風オーブン方式などの各種加熱方式が用いられる。また、たとえばITO成膜装置内にITO成膜後インラインでアニールできる真空加熱装置を備えた場合、生産性を損なうことなく高効率アニール処理を行うことができるため、本発明においては好適に用いることができる。
【0023】
スパッタリング法を用いてITO膜を成膜する際の真空度は特に限定されないが、0.4〜0.8Paの範囲が好ましい。0.8Paより高い条件では安定してプラズマを生成することが難しい。また0.4Paより小さい高真空では、従来のカラーフィルタに形成した膜厚100nm以上のITO膜の成膜時には好適に用いることができるが、本発明のように50nm以下の薄膜を形成する際には、スパッタ時の放電電力が小さいため、安定して放電させることが難しく、その結果異常放電が多発しスパークや放電跡が発生するため本発明においては好ましくない。また、本発明におけるITO成膜時の導入酸素量は特に限定されないが成膜時の導入ガスの0.5%以下が好ましく、0.2%以下が最も好ましい。成膜時の導入酸素量が多いほど、ITO膜の結晶化が進みグレインサイズが大きくなるため好ましくない。
【0024】
スパッタリング法においてITO膜を作成する際のターゲットとしては、InとSnの合金ターゲット(ITターゲット)や、In2O3とSnO2の焼結体でできた酸化物ターゲット(ITOターゲット)を用いることができるが、膜の均一性が高い点で、ITOターゲットを用いる方が好ましい。ITOターゲット中のSnO2の添加量は5〜20wt%が好ましく、10wt%が最も好ましい。また本発明においてはITOターゲットの焼結密度が高いほうが放電がより安定するため好ましい。本発明のITO膜は膜厚が50nm以下と薄いため、成膜時の放電電力が小さくなり、特に放電が安定しにくい。そのためITOターゲットの焼結密度としては放電が安定する99%以上が好ましく、99.5%以上が最も好ましい。
【0025】
また本発明においては、特に限定はされないが透明導電膜の密着力不足やヌケ・汚れなどの欠点の発生を防止するため、透明導電膜形成前の透明基板を洗浄することが好ましい。洗浄方法は特に限定されず、たとえば有機アルカリ水溶液やオゾン水・イオン水などの機能水、非イオン系あるいはイオン系の界面活性剤、純水などを用いたウエット洗浄や、エキシマランプや低圧水銀ランプを用いたUVオゾン洗浄装置、低圧でのグロー放電などのようなドライ洗浄など各種の洗浄方式を用いることができる。また、大気圧下で放電させたプラズマに基板を曝露して基板洗浄を実施する、大気圧プラズマ洗浄は、真空装置を必要とせず、開放系で使用可能なため、装置を簡単かつ小型化でき、さらにはインライン設備による連続処理が可能であり、また励起活性種を直接基板へ供給するため従来のUVオゾン洗浄と比較すると遙かに高速に洗浄することが可能であるため本発明において好適に使用することができる。もちろん、これらの洗浄装置を複数組み合わせて使用することも、より洗浄効果が向上するため好ましい。
【0026】
【実施例】
以下本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0027】
(実施例1〜3,比較例1〜3)
無アルカリガラス(日本電気硝子製、OA−10)からなる長さ400mm、幅500mm、厚さ0.7mmの透明基板上にインライン式のITO成膜装置を用いて裏面へのITO成膜を行った。このときのITOの成膜条件は
真空度:0.6Pa
酸素濃度:0.1%
出力電力:0.4kW
後アニール:240℃×30分
ITOターゲット密度:99.7%
で行い、成膜時の基板温度を100℃〜300℃まで変更することで、表1に示す6種類のグレインサイズの異なるITO膜を形成した。グレインサイズは成膜したITO膜の表面を走査型電子顕微鏡(FE−SEM、S−4700、日立製作所(株)製、倍率50000倍)で観察し測定した。得られたITO膜の膜厚はグレインサイズに関わらず20nmであった。またこの時のITO膜の後アニール後の抵抗値は表1に示すように、グレインサイズに関わらず約200Ω/□であり、比抵抗値は4.0×10−4Ω・cmであった。
【0028】
【表1】
【0029】
次に前記透明導電膜を形成した面と反対側の面に、カラーフィルタの形成を行った。まず黒色カラーペーストをスピンコートの後、110℃で15分間加熱乾燥し、膜厚1.5μmのポリイミド前駆体膜を得た。この膜上にポジ型フォトレジストをスピンコートし、80℃で20分加熱乾燥して膜厚1.0μmのレジスト膜を得た。次いで、フォトマスクを介して紫外線露光した後、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド2.4%の水溶液からなる現像液を用いて不要部分のフォトレジストおよびポリイミド前駆体膜をエッチング除去した後、残ったフォトレジストをメチルセロソルブアセテートにより除去した。これを300℃で30分加熱し、所定形状にパターニングされた遮光層を形成した。ついで、該基板上に赤色ペースト、緑色ペースト、青色ペーストを用いてそれぞれ所定パターン形状の赤画素、緑画素、青画素を形成した。この上に透明なアクリル樹脂を乾燥後の厚さが1μmになるように塗布後、これを乾燥して裏面ITO膜付きカラーフィルタを作製した。
【0030】
こうして得られたカラーフィルタの裏面に形成したITO膜の抵抗値を測定したところ表1に示すようにグレインサイズが300nm以下の実施例1〜3については抵抗値の変化がなかった(もしくは若干低下した)のに対し、グレインサイズが300nmを越える比較例1〜3については抵抗値が上昇した。さらにその後、液晶表示素子製造工程において基板への繰り返しの加熱を行ったところ、実施例1〜3については抵抗値の変化は無かったのに対し、比較例1〜3については加熱工程を重ねるにつれ抵抗値が悪化する問題が発生した。
【0031】
なお、本実施例においては、スパッタリング成膜時の基板温度によりグレインサイズの調整を行ったが、もちろん真空度、酸素濃度などの成膜条件や、真空蒸着法・イオンプレーティング法などの成膜方法の変更により、グレインサイズを300nm以下に調整することにより同様の効果が得られる。
【0032】
【発明の効果】
本発明のカラーフィルタは、カラーフィルタ形成工程や、このカラーフィルタを用いた液晶表示素子形成工程などでの加熱の繰り返しによる、裏面ITO膜の抵抗値悪化を防止することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は透明導電膜の成膜方法に関する。特にカラー液晶表示装置に用いられるカラーフィルタの着色層を形成した面の裏側の面に形成される透明導電膜の成膜方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
カラーフィルタの製造工程は、ガラスなどの透明基板上に真空成膜法などを用いてクロムを成膜した後、フォトレジストを塗布し、フォトマスクを配置して露光、現像、クロムエッチング、フォトレジスト剥離を行い、パターン状のブラック遮光層を形成する。特に最近では地球環境への影響を考慮して、有害なクロムを使用せず、遮光性樹脂をブラック遮光層として使用する樹脂ブラックマトリックス(BM)を用いる場合が多い。次にブラック遮光層の上から、赤、青、緑の3原色を規則的に配した着色層を形成する。着色層の形成方法としては、フォトリソグラフィ法を用いて形成した可染媒体を染色する染色法や、感光性の顔料分散組成物もしくは非感光性の顔料分散組成物をエッチングする顔料分散法、パターニングした電極を利用した電着法、さらには低コストの製造方法として印刷法やインクジェット法などが用いられている。次に必要に応じて着色層上に画素の保護や平坦化を目的としてオーバーコート層や、液晶駆動用の電極として用いられる透明導電膜が形成されてカラーフィルタが完成する。
【0003】
従来の液晶表示素子はこのようなカラーフィルタ基板と、もう一方の基板とを貼り合わせ、これら2枚の基板の間隔に液晶を90度(TN方式)、あるいはそれ以上(STN方式)捻って配向させる構成であった。このときもう一方の基板としては薄膜トランジスタ(TFT)を形成する場合や、薄膜ダイオードを形成する場合、透明電極をストライプ状に形成し、カラーフィルタ側に形成したストライプ状の透明電極とマトリックスを形成する場合などがあった。
【0004】
しかしながらこのTN方式、STN方式の従来の液晶表示素子では正面から見た場合には良好な表示特性を示すものの、斜めから見たときに著しくコントラストが低下するという欠点があった。そこでこの欠点を解決するために近年、インプレイン・スイッチング(IPS)方式の液晶表示素子が開発されている。この方式の液晶表示素子は2枚の透明基板間で液晶が平行に配向しており、従来とは異なり透明基板に平行方向に印可される電場によりスイッチングする。このため、カラーフィルタの液晶と接する側の面には透明電極は形成されていない。また横方向に印可される電場の方向を乱さないために、遮光層の材料としてはCrなどの金属薄膜ではなく、黒色顔料などの遮光材を分散させた樹脂を用いることが多い。
【0005】
しかしながらこの場合カラーフィルタに導電性が付与されていないため、静電気の影響を受けやすく、この静電気が液晶表示素子の品質や製造中の歩留まりに悪影響をおよぼす問題点があった。例えば、液晶表示素子を手で触れると静電気の影響により配向が乱れて表示ムラを発生させたり、素子の製造工程中に静電気によりスペーサの粒子を凝縮させる、また偏向板の再生工程で静電気によるムラを生じるなどの問題点が発生した。
【0006】
この問題を解決するため、例えば特開平10−90705号公報、特開平10−160920号公報、特開平10−293207号公報、特開2000−39509号公報に示されているようにカラーフィルタの着色層を形成する面とは反対側の面(基板裏面)に導電性を有する透明導電膜の薄膜を基板全面に形成する方法が開示されている。この時、従来の基板表面に形成する透明導電膜は着色層形成後に形成するのに対し、前記基板裏面に形成する透明導電膜は着色層形成後に成膜を実施した場合、カラーフィルタ表面へのキズ、汚れの付着を防止することが困難であるため、一般的に着色層などのカラーフィルタ表面を形成する前の透明基板上にあらかじめ形成されている。
【0007】
しかしながらこの時、裏面に形成した透明導電膜の抵抗値が着色層などのカラーフィルタ形成中、もしくは液晶表示素子形成中に悪化する問題が生じた。カラーフィルタ形成前にあらかじめ基板裏面に形成された透明導電膜は、後工程であるカラーフィルタ形成工程や液晶表示素子形成工程中の洗浄工程や着色層形成時のセミキュア工程、本キュア工程などの加熱工程において繰り返し加熱処理される。この加熱処理の繰り返しにより裏面に形成した透明導電膜の膜質が変化し、抵抗値や透過率の悪化を引き起こし、その悪化がひどい場合には目的である徐電効果を十分に発揮できなくなる問題が生じた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は前記のような問題点を解決するものであり、裏面に透明導電膜を形成したIPS方式の液晶表示素子用のカラーフィルタであって、後工程での繰り返しの加熱においても透明導電膜の抵抗値の悪化することのないカラーフィルタとその製造方法を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明のカラーフィルタは以下の構成をとる。すなわち、透明基板上に少なくとも着色層を有し、かつ前記透明基板の着色層を形成していない側の面に透明導電膜を形成したカラーフィルタにおいて、前記透明導電膜のグレインサイズが300nm以下であることを特徴とするカラーフィルタである。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明のカラーフィルタは、透明基板上に少なくとも着色層を有し、かつ前記透明基板の着色層を形成していない側の面に透明導電膜を形成したカラーフィルタであって、前記透明導電膜のグレインサイズが300nm以下であることを第1の特徴とするカラーフィルタである。
【0011】
本発明で使用する基板は特に限定されないが、光線透過率が高く、機械的強度、寸法安定性が優れたガラスが最適であり、ソーダガラス、無アルカリガラス、ホウケイ酸ガラス、石英ガラス、アルミノケイ酸塩ガラス、表面をシリカコートしたソーダライムガラスなどが好適に用いられる。他にポリイミド樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂などのプラスチック板や、ロール状もしくはシート状に巻き上げられたフィルムなどが用いられる。
【0012】
本発明で使用するカラーフィルタのブラックマトリックス層としては特に限定されず、クロムやクロムと酸化クロムや窒化クロム、ニッケル合金、チタン合金の多層膜などからなる金属薄膜や、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂などに黒色顔料を分散した樹脂薄膜いずれも用いることができるが、IPS方式の安定な表示特性を得るためには電気絶縁性の高い後者の黒色顔料を分散させた樹脂薄膜を用いるほうが好ましい。遮光層に用いられる樹脂としては特に限定されず、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂などの感光性または非感光性の材料が好ましく用いられる。特に、遮光層用の樹脂は、着色層や保護膜に用いられる樹脂よりも高い耐熱性を有する樹脂を選択することが好ましく、また遮光層形成後の後工程で使用される有機溶剤への耐性を有する樹脂が好ましいことより、ポリイミド系樹脂が最も好ましく用いられる。ブラックマトリックス層の厚みも特に限定はされないが無機系で0.1〜0.3μm、有機系で0.5〜2μmのものが多く用いられる。ブラックマトリックス層は通常フォトリソグラフィ法やインクジェット法、印刷法により所定のパターンを形成する。
【0013】
着色層としては特に限定されないが、顔料を樹脂に分散したものなどが用いられる。樹脂としては180℃以上のアニール処理でも軟化、分解、着色を生じない材料が用いることができ、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、尿素樹脂、アクリル樹脂、ポリビニールアルコール樹脂、メラミン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂およびこれらの混合物などが好ましく用いられる。これらの中でも耐熱性、密着性に優れているポリイミド樹脂、アクリル樹脂もしくはエポキシ樹脂がより好ましい。
【0014】
着色層を形成する方法としては、樹脂ブラックマトリックスを形成した基板上に着色ペーストを塗布、乾燥した後にパターニングを行う。着色ペーストを得る方法としては、溶媒中に樹脂と着色剤を混合させた後、三本ロール、サンドグラインダー、ボールミルなどの分散機で分散させる方法があるが、特に限定されるものではない。着色ペーストを塗布する方法としては、特に限定されず、ディップ法、ロールコータ−法、スピナー法、ダイコーティング法、ワイヤーバーによる方法など各種塗布方法が使用できる。この後、オーブンやホットプレートを用いて加熱乾燥(セミキュア)を行う。セミキュアの条件は使用する樹脂、溶媒、ペースト塗布量により任意の条件が選択されるが、60〜200℃の温度で1〜60分加熱することが一般的である
このようにして得られた着色ペースト被膜は樹脂が非感光性の樹脂である場合はその上にポジ型フォトレジストの被膜を形成した後に、また、樹脂が感光性の樹脂である場合には、そのままかあるいは酸素遮断膜を形成した後に、露光、現像を行う。必要に応じ、ポジ型フォトレジストまたは酸素遮断膜を除去し、その後加熱乾燥(本キュア)する。本キュアの条件も樹脂、塗布量により任意の条件が選択されるが、通常200〜300℃で1〜60分加熱するのが一般的である。着色層の膜厚は特に限定されないが、好ましくは1層当たり0.9〜3.0μmであり、1.6〜2.4μmが最も好ましい。
【0015】
本発明のカラーフィルタは必要によりオーバーコート層を形成する。オーバーコート層としては特に限定されないが、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、オルガノシランを縮重合して得られるシリコーン樹脂、オルガノシランとイミド基を有する化合物とを縮重合して得られるイミド変形シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、尿素樹脂、ポリビニールアルコール樹脂、メラミン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ゼラチンなどが用いられる。なかでも、後工程の液晶表示素子製造工程での加熱や、有機溶剤への耐性を有する樹脂を用いることが好ましく、この点からポリイミド系樹脂やアクリル系樹脂、エポキシ系樹脂が好ましく用いられる。オーバーコート層を形成する方法としては特に限定されず、遮光層、着色層と同様、ディップ法、ロールコーター法、スピナー法、ダイコーティング法、ワイヤーバーによる方法などが好適に用いられる。オーバーコート層の膜厚としては特に限定されないが、0.05〜3.0μmが好ましい。画素内段差を小さくする点からは厚いほうが好ましいが、均一塗布が難しくなる。もちろん遮光層と着色層の膜厚の組み合わせにより、オーバーコート層の厚みは好適に決定できる。
【0016】
本発明で使用される透明基板裏面に形成される透明導電膜としては、特に限定されず酸化スズ、酸化インジウム、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化カドミウム、酸化スズを添加した酸化インジウム(ITO)などがあるが、中でもITOが高透明性および低抵抗の点で好ましい。ITOにおける酸化スズの添加量は重量で5〜15%の範囲が抵抗値を小さくするためには好ましく、8〜12%がさらに好ましい。
【0017】
透明導電膜の厚みは必要とされる表面抵抗値により変わるが、5〜50nmの範囲が好ましく、10〜30nmがもっとも好ましい。膜厚が薄すぎると均一な膜にならず抵抗値が不安定になる。また厚すぎると膜の透明性が悪くなる。
【0018】
透明導電膜の形成方法は特に限定されず、真空蒸着法、CVD法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、EB蒸着法、導電性微粒子をポリイミドなどの樹脂に分散させた材料を塗布・加熱する方法など、各種の成膜方法を用いることができる。中でも、200℃以下の低温で成膜しても、抵抗値が低く透過率の高い膜が得られ、かつ膜質の均一性が良好であり大面積化にも適し、長時間の安定生産ができる点で、スパッタリング法が最も好ましい。その中でも高い成膜レートが得られるDCマグネトロンスパッタリング法がさらに好ましいが、本発明はこれらに限定されるものではない。成膜装置の形式としては、バッチ式、インライン式、枚葉式などの形式のものが使用できるが、生産性に優れている点でインライン式が好ましい。インライン式の場合成膜ゾーンの後に熱処理室を設けることで200℃以下の低温成膜においても生産性を損なうことなくアニールを行うことができる。スパッタリングターゲットとしては、ITO焼結体ターゲットやインジウム−スズ合金ターゲットを用いることができる。
【0019】
本発明において、裏面に作成したITOのグレインサイズは可能な限り小さくすることが好ましい。これは膜の結晶化が進みグレインサイズが大きくなったITO膜は、その後の加熱処理により抵抗値が悪化するためである。特にその傾向は本発明のように膜厚50nm以下の薄膜で顕著に現れる。これは結晶化が進みグレインサイズの大きくなったITO膜は、グレインとグレインとの間に結晶粒界が発生するためである。膜厚が薄い場合、加熱によりこの結晶粒界に酸素原子が入り込み、結晶粒界による散乱が加速され、膜中の電子の移動度が低下しITO膜の抵抗値が悪化する。そのため加熱による抵抗値の悪化を防止するためには、膜の結晶粒界の発生をより少なくすることが好ましく、そのためのグレインサイズとしては300nm以下が好ましく、結晶粒界の存在しないアモルファス状態が最も好ましい。なお、グレインサイズが小さく、結晶化の進んでいないITO膜は従来の結晶化が進んだITO膜と比較し膜の内部応力が小さく、その結果、ITO膜の内部応力に起因する透明基板のたわみ量が小さくなるため、カラーフィルタ形成工程のパターン精度・位置合わせ精度が従来と比較し向上する長所もある。なおここでいうグレインサイズとは透明導電膜の表面をSEM(走査型電子顕微鏡)にて倍率5万倍で観測したときに観察できる結晶粒の粒径である。膜が多結晶構造を有している場合は、粒径が5〜20nm程度の結晶子が複数集まってグレインを形成しており、アモルファス状態に近づくとともに結晶子の集まりが少なくなり、それに伴いグレインサイズが小さくなる。また、グレインとグレインとが重なった箇所が結晶粒界であり、グレインサイズが小さくなりアモルファス状態になるとともに結晶粒界も少なくなる。
【0020】
本発明における透明導電膜の光透過率はカラーフィルタの光透過性を高くする上でより高いことが好ましい。特に波長400nm〜800nmの可視光領域での光透過率が重要であり、本発明における透明導電膜の光透過率としては波長400nm〜800nmの範囲において90%以上であることが好ましい。また、透明導電膜の抵抗値は、十分な徐電効果を発揮するうえでもより小さいことが好ましく、本発明における透明導電膜の抵抗値は比抵抗値で6.0×10−4Ω・cm以下であることが好ましい。
【0021】
ところで従来裏面に形成されたITO膜の成膜温度はより容易に低抵抗値、高透過率を得られる点で、250℃以上の高温成膜が用いられてきた。しかしながら200℃以上の高温で成膜された膜厚50nm以下の薄膜ITOは、膜の結晶化が進みグレインサイズが大きくなる。そのため本発明においては、グレインサイズを小さくするために成膜時の基板温度を50〜200℃の範囲にすることが好ましく、100〜150℃が最も好ましい。50℃以下の成膜温度を達成するためには別途冷却装置などの特別な装置が必要となり、コスト、生産性が悪化するため好ましくない。
【0022】
本発明においては、ITO膜の抵抗値および透過率の向上および安定を達成するためにITO膜の成膜後アニール処理を行うことが好ましい。アニール温度はITO成膜時の基板温度よりも高いことが望ましく、200℃以上の温度でアニールすることが最も好ましい。アニール時間は特に限定されずアニール温度により好適に設定することが可能であるが、アニール時間が短すぎると抵抗値、透過率が実用レベルにまで向上しないため好ましくない。たとえばアニール温度240℃でアニールする場合のアニール時間としては30〜120分程度が一般的である。アニール装置も特に限定されず、平坦な金属プレート上に基板を密着もしくは近接させて基板の加熱を行うホットプレート方式や、加熱源として赤外線ヒータ・赤外線ランプを用いるIRオーブン方式、密閉した箱の中で熱風を循環させて基板を加熱する熱風オーブン方式などの各種加熱方式が用いられる。また、たとえばITO成膜装置内にITO成膜後インラインでアニールできる真空加熱装置を備えた場合、生産性を損なうことなく高効率アニール処理を行うことができるため、本発明においては好適に用いることができる。
【0023】
スパッタリング法を用いてITO膜を成膜する際の真空度は特に限定されないが、0.4〜0.8Paの範囲が好ましい。0.8Paより高い条件では安定してプラズマを生成することが難しい。また0.4Paより小さい高真空では、従来のカラーフィルタに形成した膜厚100nm以上のITO膜の成膜時には好適に用いることができるが、本発明のように50nm以下の薄膜を形成する際には、スパッタ時の放電電力が小さいため、安定して放電させることが難しく、その結果異常放電が多発しスパークや放電跡が発生するため本発明においては好ましくない。また、本発明におけるITO成膜時の導入酸素量は特に限定されないが成膜時の導入ガスの0.5%以下が好ましく、0.2%以下が最も好ましい。成膜時の導入酸素量が多いほど、ITO膜の結晶化が進みグレインサイズが大きくなるため好ましくない。
【0024】
スパッタリング法においてITO膜を作成する際のターゲットとしては、InとSnの合金ターゲット(ITターゲット)や、In2O3とSnO2の焼結体でできた酸化物ターゲット(ITOターゲット)を用いることができるが、膜の均一性が高い点で、ITOターゲットを用いる方が好ましい。ITOターゲット中のSnO2の添加量は5〜20wt%が好ましく、10wt%が最も好ましい。また本発明においてはITOターゲットの焼結密度が高いほうが放電がより安定するため好ましい。本発明のITO膜は膜厚が50nm以下と薄いため、成膜時の放電電力が小さくなり、特に放電が安定しにくい。そのためITOターゲットの焼結密度としては放電が安定する99%以上が好ましく、99.5%以上が最も好ましい。
【0025】
また本発明においては、特に限定はされないが透明導電膜の密着力不足やヌケ・汚れなどの欠点の発生を防止するため、透明導電膜形成前の透明基板を洗浄することが好ましい。洗浄方法は特に限定されず、たとえば有機アルカリ水溶液やオゾン水・イオン水などの機能水、非イオン系あるいはイオン系の界面活性剤、純水などを用いたウエット洗浄や、エキシマランプや低圧水銀ランプを用いたUVオゾン洗浄装置、低圧でのグロー放電などのようなドライ洗浄など各種の洗浄方式を用いることができる。また、大気圧下で放電させたプラズマに基板を曝露して基板洗浄を実施する、大気圧プラズマ洗浄は、真空装置を必要とせず、開放系で使用可能なため、装置を簡単かつ小型化でき、さらにはインライン設備による連続処理が可能であり、また励起活性種を直接基板へ供給するため従来のUVオゾン洗浄と比較すると遙かに高速に洗浄することが可能であるため本発明において好適に使用することができる。もちろん、これらの洗浄装置を複数組み合わせて使用することも、より洗浄効果が向上するため好ましい。
【0026】
【実施例】
以下本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0027】
(実施例1〜3,比較例1〜3)
無アルカリガラス(日本電気硝子製、OA−10)からなる長さ400mm、幅500mm、厚さ0.7mmの透明基板上にインライン式のITO成膜装置を用いて裏面へのITO成膜を行った。このときのITOの成膜条件は
真空度:0.6Pa
酸素濃度:0.1%
出力電力:0.4kW
後アニール:240℃×30分
ITOターゲット密度:99.7%
で行い、成膜時の基板温度を100℃〜300℃まで変更することで、表1に示す6種類のグレインサイズの異なるITO膜を形成した。グレインサイズは成膜したITO膜の表面を走査型電子顕微鏡(FE−SEM、S−4700、日立製作所(株)製、倍率50000倍)で観察し測定した。得られたITO膜の膜厚はグレインサイズに関わらず20nmであった。またこの時のITO膜の後アニール後の抵抗値は表1に示すように、グレインサイズに関わらず約200Ω/□であり、比抵抗値は4.0×10−4Ω・cmであった。
【0028】
【表1】
【0029】
次に前記透明導電膜を形成した面と反対側の面に、カラーフィルタの形成を行った。まず黒色カラーペーストをスピンコートの後、110℃で15分間加熱乾燥し、膜厚1.5μmのポリイミド前駆体膜を得た。この膜上にポジ型フォトレジストをスピンコートし、80℃で20分加熱乾燥して膜厚1.0μmのレジスト膜を得た。次いで、フォトマスクを介して紫外線露光した後、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド2.4%の水溶液からなる現像液を用いて不要部分のフォトレジストおよびポリイミド前駆体膜をエッチング除去した後、残ったフォトレジストをメチルセロソルブアセテートにより除去した。これを300℃で30分加熱し、所定形状にパターニングされた遮光層を形成した。ついで、該基板上に赤色ペースト、緑色ペースト、青色ペーストを用いてそれぞれ所定パターン形状の赤画素、緑画素、青画素を形成した。この上に透明なアクリル樹脂を乾燥後の厚さが1μmになるように塗布後、これを乾燥して裏面ITO膜付きカラーフィルタを作製した。
【0030】
こうして得られたカラーフィルタの裏面に形成したITO膜の抵抗値を測定したところ表1に示すようにグレインサイズが300nm以下の実施例1〜3については抵抗値の変化がなかった(もしくは若干低下した)のに対し、グレインサイズが300nmを越える比較例1〜3については抵抗値が上昇した。さらにその後、液晶表示素子製造工程において基板への繰り返しの加熱を行ったところ、実施例1〜3については抵抗値の変化は無かったのに対し、比較例1〜3については加熱工程を重ねるにつれ抵抗値が悪化する問題が発生した。
【0031】
なお、本実施例においては、スパッタリング成膜時の基板温度によりグレインサイズの調整を行ったが、もちろん真空度、酸素濃度などの成膜条件や、真空蒸着法・イオンプレーティング法などの成膜方法の変更により、グレインサイズを300nm以下に調整することにより同様の効果が得られる。
【0032】
【発明の効果】
本発明のカラーフィルタは、カラーフィルタ形成工程や、このカラーフィルタを用いた液晶表示素子形成工程などでの加熱の繰り返しによる、裏面ITO膜の抵抗値悪化を防止することができる。
Claims (5)
- 透明基板上に少なくとも着色層を有し、かつ前記透明基板の着色層を形成していない側の面に透明導電膜を形成したカラーフィルタにおいて、
前記透明導電膜のグレインサイズが300nm以下であることを特徴とするカラーフィルタ。 - 透明導電膜の比抵抗値が6.0×10−4Ω・cm以下であることを特徴とする請求項1記載のカラーフィルタ。
- カラーフィルタが、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、尿素樹脂、ポリビニールアルコール樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、イミド変形シリコーン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、およびポリイミド樹脂から選ばれたいずれか、もしくはこれらの混合物より形成されることを特徴とする請求項1もしくは2記載のカラーフィルタ。
- 透明導電膜がスパッタリング法により形成されたITOであり、かつスパッタリング時の導入酸素量が導入ガス量全体の0.5%以下であることを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
- 透明導電膜の成膜時の基板温度が200℃以下であることを特徴とする請求項4に記載のカラーフィルタの製造方法。
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