JP2004013073A - 光変調器 - Google Patents
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Abstract
【課題】波形の劣化を引き起こす電圧依存性を小さくすることができる光変調器を提供する。
【解決手段】印加電圧を制御して吸収層における光吸収を制御する光変調器において、上記吸収層を、バリア層およびウェル層とが交互に積層され、上面及び下面がバリア層で形成されてなる多重量子井戸構造体と、該多重量子井戸構造体の上面及び下面側の少なくともいずれか一方に多重量子井戸構造体に隣接して形成されたバルク半導体層とから構成する。MQW構造体の屈折率変化量Δnの補正を一層正確に実施するには、上記吸収層において、上記バルク半導体層を、上記多重量子井戸構造体の上面及び下面側の両方に形成する。
【選択図】 図1
【解決手段】印加電圧を制御して吸収層における光吸収を制御する光変調器において、上記吸収層を、バリア層およびウェル層とが交互に積層され、上面及び下面がバリア層で形成されてなる多重量子井戸構造体と、該多重量子井戸構造体の上面及び下面側の少なくともいずれか一方に多重量子井戸構造体に隣接して形成されたバルク半導体層とから構成する。MQW構造体の屈折率変化量Δnの補正を一層正確に実施するには、上記吸収層において、上記バルク半導体層を、上記多重量子井戸構造体の上面及び下面側の両方に形成する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光変調器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、半導体レーザにおける光強度を変調する外部変調器の1つとして、半導体光吸収層に電界印加することで、吸収端波長が長波長側へシフトする現象を利用する電界吸収型光変調器が知られている。この電界吸収型光変調器では、吸収端波長をレーザの発振波長よりも若干短波側に設定しておき、外部から加える電界(電圧)を変調することで、光強度の変調が行われる。
【0003】
従来の電界吸収型光変調器(以下、EAM(Electroabsorption Modulator)と表記)について、例えば1997年4月“IEEE JOURNAL OF SELECTED TOPICS IN QUANTUM ELECTRONICS,VOL 3, NO.2”に掲載されたTakeuchi等による文献“Very High−Speed Light−Source Module up to 40 Gb/s Containing an MQW Electroabsorption Modulator Integrated with a DFB Laser”にて解説されるEAMを取り上げて説明する。図4の(a)及び(b)は、それぞれ、上記文献にて解説されたEAMの斜視図及びEAMにおける多層構造の一部を拡大して示す断面説明図である。図から分かるように、このEAM50では、n型InP基盤55Bの上面にn型ガイド層53Bが形成され、また、n型ガイド層53Bの上面には光を吸収する吸収層54が形成されている。更に、吸収層54の上面にはp型ガイド層53A,p型InP層52A,電極51が順に形成されている。また、一方、n型InP基盤55Bの下面には電極56が形成されている。以上の構成によって、EAM50は所謂pin構造を有することになる。このpin構造では、電圧が吸収層54に印加される。
【0004】
図4の(b)には、吸収層54の構造を拡大して示す。吸収層54は、層厚の小さい量子井戸層が複数積層されてなる多重量子井戸構造(以下、MQW(multi−quantum well)構造と表記)を有している。量子井戸層をなすウェル層57及びバリア層58の材料としては、共に、InGaAsP(インジウム・ガリウム・ヒ素・リン)が用いられる。また、ウェル層57及びバリア層58の層厚は、それぞれ、9.7nmおよび5.5nmであり、MQW構造体は微細構造をなしている。
【0005】
次に、かかる多層構造を有するEAM50の動作原理について説明する。EAM50に入射したレーザ光は、p型及びn型ガイド層53A,53B及び吸収層54に閉じ込められる。このとき、EAM50に逆バイアスを印加すると吸収層54の吸収係数が増加する効果が生じ、吸収層54に閉じこめられた光は吸収される。すなわち、EAM50へ印加される電圧に応じてレーザ光の吸収が変化するため、EAM50に接続された高周波電気回路(不図示)に変調信号電圧を印加すると、EAM50の出射端面から出射されるレーザ光には信号電圧に対応した強度変調が施されることになる。
【0006】
一般に、EAMに用いられる吸収層としては、大別して、単層の厚い光吸収層であるバルク材料からなるものと、室温励起子を形成することができる程度のMQW構造体からなるものがある。前者は、フランツ・ケルディッシュ効果(Franz−Keldysh effect)による吸収スペクトル変化を用いて、また、後者は、量子閉じ込めシュタルク効果(Quantum Confined Stark Effect)による吸収スペクトル変化を用いて、消光を行う。EAMの光吸収層をMQW構造体で形成すると、低い動作電圧で高い消光比(ON時とOFF時の光透過量の比)が得られる。このため、通常、高速伝送においては、MQW構造体の光吸収層が使用される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、逆バイアス電圧の変化に対応する吸収係数の変化量Δαと屈折率の変化量Δnとの間には、所謂クラーマス・クローニッヒの関係(Kramers−Kronig relation)が存在しており、2つの量は互いに独立ではない。このため、光変調動作時には、EAMの光吸収層における吸収スペクトルの変化に伴って屈折率が変動することになる。その結果、出力された光の波長が変動する、すなわち、チャーピングが発生することになる。伝送線路である光ファイバには、波長によって光の群速度が異なるという波長分散特性があるため、出力光のチャーピングによってスペクトルが信号帯域以上に広がると、伝送特性の劣化(波形の劣化等)が生じやすくなる。特に、電圧が変化している時々刻々で波形劣化の大きさが異なると、変調後の光変調を再成形することが難しくなる。
したがって、量子閉じ込めシュタルク効果による動作では、高い消光比が得られるものの、それに伴い、屈折率の変動も大きくなり、波形の劣化が大きくなる傾向がある。
【0008】
従来、MQW構造体のウェル層およびバリア層の材料組成や層厚を最適化することにより、チャーピングの低下および高い消光比の両立について、その改善が図られてきた。しかし、MQW構造体におけるαパラメータ(吸収係数の変化量Δαと屈折率の変化量Δn)の電圧依存性は、材料組成や層厚等の設計要素に対して敏感であり、最適化に伴う設計要素の微調整が非常に難しいという問題があった。
【0009】
本発明は、上記技術的課題に鑑みてなされたもので、波形の劣化を引き起こす電圧依存性を小さくすることができる光変調器を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本願の第1の発明は、印加電圧を制御して吸収層における光吸収を制御する光変調器において、上記吸収層が、バリア層と該バリア層と比べて小さいバンドギャップを有するウェル層とが交互に積層され、上面及び下面がバリア層で形成されてなる多重量子井戸構造体と、該多重量子井戸構造体の上面及び下面側の少なくともいずれか一方に多重量子井戸構造体に隣接して形成されたバルク半導体層とから構成されていることを特徴としたものである。
【0011】
また、本願の第2の発明は、第1の発明において、上記吸収層において、上記バルク半導体層が、上記多重量子井戸構造体の上面及び下面側の両方に形成されていることを特徴としたものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しながら説明する。なお、以下、従来技術の説明と重複する部分については適宜その説明を省略する。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る光変調器における多層構造の一部を拡大して示す断面説明図である。この光変調器では、n型InP基盤1の上面に、n型ガイド層2,吸収層9,p型ガイド層6,n型InP基盤1と逆極性の導電性InP基盤7が順に形成されて、多層構造が構成されている。吸収層9,n型及びp型ガイド層2,6の材料としては、InGaAsP(インジウム・ガリウム・ヒ素・リン)又はInAlGaAs(インジウム・アルミニウム・ガリウム・ヒ素)が用いられる。
【0013】
この実施の形態では、吸収層9が、MQW構造体8とその上面に形成されたバルク半導体層(以下、バルク層という)5との二種類で構成されている。MQW構造体8は、従来技術と同様に、共にInGaAsPからなるバリア層3及びウェル層4が交互に積み重ねられて構成されている。また、バルク層5は、単層の比較的厚い光吸収層であるバルク材料からなる。
【0014】
かかる多層構造によれば、光は、MQW構造体8の量子閉じ込めシュタルク効果により生じる吸収係数変化、及び、バルク層5のフランツ・ケルディッシュ効果よって吸収される。
【0015】
図2に、前述した多層構造におけるエネルギーバンド構造を示す。符号は、図1に示す多層構造を構成する各層に付された符号に対応しており、図中のEc(伝導帯の底のエネルギーレベル)〜Ev(価電子帯の頂上のエネルギーレベル)の間隔が、各層におけるエネルギーギャップをあらわしている。
【0016】
層の厚さが固定された場合に、バルク層5による屈折率変化の補償は、バルク層5のバンドギャップ(図中のEg(b))とウェル層4のバンドギャップ(図中のEg(w))との大小関係に最も依存することとなり、ここでは、一方のバンドギャップに対して、他方のバンドギャップが所定の範囲内に収まるように調整が行なわれる。例えば、3ボルト程度の外部電圧によって実効的に屈折率変化を補償するには、バルク層5のバンドギャップが、ウェル層4のバンドギャップに対して±20nm以内にあることが望ましい。より好ましくは、±10nmであることが望ましい。
【0017】
フランツ・ケルディッシュ効果を発現するバルク層5は、膜厚や材料組成に対する吸収変化量Δαや屈折率変化量Δnの電圧依存性等の光変調特性が鈍感である。そのため、MQW構造体8及びバルク層5で構成される吸収層9によれば、従来のMQW構造体のみで構成される吸収層と比べて、膜厚や半導体材料の組成比等についての作成誤差に寛容であり、EAMの特性最適化が容易に実現可能となる。
【0018】
また、バルク層5におけるフランツ・ケルディッシュ効果による吸収変化量Δαの電圧変動は、MQW構造体8と比較して小さい。すなわち、吸収変化量Δαとクラマース・クローニッヒの関係にある屈折率変化量Δnも小さく、バルク材料のチャーピング特性は良好である。したがって、MQW構造体8に加え、バルク層5を設けて、吸収層全体のΔα及びΔnの電圧依存性を補正的に調整することにより、チャーピングを低下させることも可能となる。
【0019】
実施の形態2.
前述した実施の形態1では、MQW構造体8の上面側のみにバルク層5が形成される例が取り上げられたが、これに限定されることなく、図3に示すように、MQW構造体8の上面及び下面側の両方において、バルク層5A及び5Bが形成されてもよい。
【0020】
かかる構成によれば、MQW構造体8の屈折率変化量Δnの補正を、上面側のみにバルク層5が形成される場合と比べて一層正確に行なうことができる。
【0021】
なお、本発明は、例示された実施の形態に限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計上の変更が可能であることは言うまでもない。
【0022】
【発明の効果】
本願の請求項1の発明によれば、消光比は大きく取れるものの吸収係数変化量Δα及び屈折率変化量Δn(所謂αパラメータ)の電圧依存性が大きく正値となる多重量子井戸構造体と、両変化量Δα及びΔnの電圧依存性が小さく負値をとるものの消光比が小さくなる傾向を有するバルク半導体層とから構成される吸収層が設けられるので、消光比を十分に保ちつつ、変化量Δα及びΔnの絶対値及び電圧依存性を小さくすることができる。また、バルク層は、多重量子井戸構造と比較すると、その消光比や変化量Δα及びΔnは設計要素に関して鈍感であるので、その作成が容易に行なえる。
【0023】
また、本願の請求項2の発明によれば、吸収層において、バルク半導体層が、上記多重量子井戸構造体の上面及び下面側の両方に形成されるので、多重量子井戸構造体における屈折率変化量Δnの補正を、上面側のみにバルク半導体層が形成される場合と比べて一層正確に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に係る光変調器における多層構造の一部を拡大して示す断面説明図である。
【図2】上記多層構造のエネルギーバンド構造を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態2に係る光変調器における多層構造の一部を拡大して示す断面説明図である。
【図4】(a)従来の光変調器の斜視図である。
(b)従来の光変調器における多層構造の一部を拡大して示す断面説明図である。
【符号の説明】
1 n型InP基盤,2 n型ガイド層,3 バリア層,4 ウェル層,5,5A,5B バルク層,6 p型ガイド層,7 p型InP基盤,8 多重量子井戸構造体,9 吸収層,Eg(b) バルク層のバンドギャップ,Eg(w)ウェル層のバンドギャップ。
【発明の属する技術分野】
本発明は、光変調器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、半導体レーザにおける光強度を変調する外部変調器の1つとして、半導体光吸収層に電界印加することで、吸収端波長が長波長側へシフトする現象を利用する電界吸収型光変調器が知られている。この電界吸収型光変調器では、吸収端波長をレーザの発振波長よりも若干短波側に設定しておき、外部から加える電界(電圧)を変調することで、光強度の変調が行われる。
【0003】
従来の電界吸収型光変調器(以下、EAM(Electroabsorption Modulator)と表記)について、例えば1997年4月“IEEE JOURNAL OF SELECTED TOPICS IN QUANTUM ELECTRONICS,VOL 3, NO.2”に掲載されたTakeuchi等による文献“Very High−Speed Light−Source Module up to 40 Gb/s Containing an MQW Electroabsorption Modulator Integrated with a DFB Laser”にて解説されるEAMを取り上げて説明する。図4の(a)及び(b)は、それぞれ、上記文献にて解説されたEAMの斜視図及びEAMにおける多層構造の一部を拡大して示す断面説明図である。図から分かるように、このEAM50では、n型InP基盤55Bの上面にn型ガイド層53Bが形成され、また、n型ガイド層53Bの上面には光を吸収する吸収層54が形成されている。更に、吸収層54の上面にはp型ガイド層53A,p型InP層52A,電極51が順に形成されている。また、一方、n型InP基盤55Bの下面には電極56が形成されている。以上の構成によって、EAM50は所謂pin構造を有することになる。このpin構造では、電圧が吸収層54に印加される。
【0004】
図4の(b)には、吸収層54の構造を拡大して示す。吸収層54は、層厚の小さい量子井戸層が複数積層されてなる多重量子井戸構造(以下、MQW(multi−quantum well)構造と表記)を有している。量子井戸層をなすウェル層57及びバリア層58の材料としては、共に、InGaAsP(インジウム・ガリウム・ヒ素・リン)が用いられる。また、ウェル層57及びバリア層58の層厚は、それぞれ、9.7nmおよび5.5nmであり、MQW構造体は微細構造をなしている。
【0005】
次に、かかる多層構造を有するEAM50の動作原理について説明する。EAM50に入射したレーザ光は、p型及びn型ガイド層53A,53B及び吸収層54に閉じ込められる。このとき、EAM50に逆バイアスを印加すると吸収層54の吸収係数が増加する効果が生じ、吸収層54に閉じこめられた光は吸収される。すなわち、EAM50へ印加される電圧に応じてレーザ光の吸収が変化するため、EAM50に接続された高周波電気回路(不図示)に変調信号電圧を印加すると、EAM50の出射端面から出射されるレーザ光には信号電圧に対応した強度変調が施されることになる。
【0006】
一般に、EAMに用いられる吸収層としては、大別して、単層の厚い光吸収層であるバルク材料からなるものと、室温励起子を形成することができる程度のMQW構造体からなるものがある。前者は、フランツ・ケルディッシュ効果(Franz−Keldysh effect)による吸収スペクトル変化を用いて、また、後者は、量子閉じ込めシュタルク効果(Quantum Confined Stark Effect)による吸収スペクトル変化を用いて、消光を行う。EAMの光吸収層をMQW構造体で形成すると、低い動作電圧で高い消光比(ON時とOFF時の光透過量の比)が得られる。このため、通常、高速伝送においては、MQW構造体の光吸収層が使用される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、逆バイアス電圧の変化に対応する吸収係数の変化量Δαと屈折率の変化量Δnとの間には、所謂クラーマス・クローニッヒの関係(Kramers−Kronig relation)が存在しており、2つの量は互いに独立ではない。このため、光変調動作時には、EAMの光吸収層における吸収スペクトルの変化に伴って屈折率が変動することになる。その結果、出力された光の波長が変動する、すなわち、チャーピングが発生することになる。伝送線路である光ファイバには、波長によって光の群速度が異なるという波長分散特性があるため、出力光のチャーピングによってスペクトルが信号帯域以上に広がると、伝送特性の劣化(波形の劣化等)が生じやすくなる。特に、電圧が変化している時々刻々で波形劣化の大きさが異なると、変調後の光変調を再成形することが難しくなる。
したがって、量子閉じ込めシュタルク効果による動作では、高い消光比が得られるものの、それに伴い、屈折率の変動も大きくなり、波形の劣化が大きくなる傾向がある。
【0008】
従来、MQW構造体のウェル層およびバリア層の材料組成や層厚を最適化することにより、チャーピングの低下および高い消光比の両立について、その改善が図られてきた。しかし、MQW構造体におけるαパラメータ(吸収係数の変化量Δαと屈折率の変化量Δn)の電圧依存性は、材料組成や層厚等の設計要素に対して敏感であり、最適化に伴う設計要素の微調整が非常に難しいという問題があった。
【0009】
本発明は、上記技術的課題に鑑みてなされたもので、波形の劣化を引き起こす電圧依存性を小さくすることができる光変調器を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本願の第1の発明は、印加電圧を制御して吸収層における光吸収を制御する光変調器において、上記吸収層が、バリア層と該バリア層と比べて小さいバンドギャップを有するウェル層とが交互に積層され、上面及び下面がバリア層で形成されてなる多重量子井戸構造体と、該多重量子井戸構造体の上面及び下面側の少なくともいずれか一方に多重量子井戸構造体に隣接して形成されたバルク半導体層とから構成されていることを特徴としたものである。
【0011】
また、本願の第2の発明は、第1の発明において、上記吸収層において、上記バルク半導体層が、上記多重量子井戸構造体の上面及び下面側の両方に形成されていることを特徴としたものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しながら説明する。なお、以下、従来技術の説明と重複する部分については適宜その説明を省略する。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る光変調器における多層構造の一部を拡大して示す断面説明図である。この光変調器では、n型InP基盤1の上面に、n型ガイド層2,吸収層9,p型ガイド層6,n型InP基盤1と逆極性の導電性InP基盤7が順に形成されて、多層構造が構成されている。吸収層9,n型及びp型ガイド層2,6の材料としては、InGaAsP(インジウム・ガリウム・ヒ素・リン)又はInAlGaAs(インジウム・アルミニウム・ガリウム・ヒ素)が用いられる。
【0013】
この実施の形態では、吸収層9が、MQW構造体8とその上面に形成されたバルク半導体層(以下、バルク層という)5との二種類で構成されている。MQW構造体8は、従来技術と同様に、共にInGaAsPからなるバリア層3及びウェル層4が交互に積み重ねられて構成されている。また、バルク層5は、単層の比較的厚い光吸収層であるバルク材料からなる。
【0014】
かかる多層構造によれば、光は、MQW構造体8の量子閉じ込めシュタルク効果により生じる吸収係数変化、及び、バルク層5のフランツ・ケルディッシュ効果よって吸収される。
【0015】
図2に、前述した多層構造におけるエネルギーバンド構造を示す。符号は、図1に示す多層構造を構成する各層に付された符号に対応しており、図中のEc(伝導帯の底のエネルギーレベル)〜Ev(価電子帯の頂上のエネルギーレベル)の間隔が、各層におけるエネルギーギャップをあらわしている。
【0016】
層の厚さが固定された場合に、バルク層5による屈折率変化の補償は、バルク層5のバンドギャップ(図中のEg(b))とウェル層4のバンドギャップ(図中のEg(w))との大小関係に最も依存することとなり、ここでは、一方のバンドギャップに対して、他方のバンドギャップが所定の範囲内に収まるように調整が行なわれる。例えば、3ボルト程度の外部電圧によって実効的に屈折率変化を補償するには、バルク層5のバンドギャップが、ウェル層4のバンドギャップに対して±20nm以内にあることが望ましい。より好ましくは、±10nmであることが望ましい。
【0017】
フランツ・ケルディッシュ効果を発現するバルク層5は、膜厚や材料組成に対する吸収変化量Δαや屈折率変化量Δnの電圧依存性等の光変調特性が鈍感である。そのため、MQW構造体8及びバルク層5で構成される吸収層9によれば、従来のMQW構造体のみで構成される吸収層と比べて、膜厚や半導体材料の組成比等についての作成誤差に寛容であり、EAMの特性最適化が容易に実現可能となる。
【0018】
また、バルク層5におけるフランツ・ケルディッシュ効果による吸収変化量Δαの電圧変動は、MQW構造体8と比較して小さい。すなわち、吸収変化量Δαとクラマース・クローニッヒの関係にある屈折率変化量Δnも小さく、バルク材料のチャーピング特性は良好である。したがって、MQW構造体8に加え、バルク層5を設けて、吸収層全体のΔα及びΔnの電圧依存性を補正的に調整することにより、チャーピングを低下させることも可能となる。
【0019】
実施の形態2.
前述した実施の形態1では、MQW構造体8の上面側のみにバルク層5が形成される例が取り上げられたが、これに限定されることなく、図3に示すように、MQW構造体8の上面及び下面側の両方において、バルク層5A及び5Bが形成されてもよい。
【0020】
かかる構成によれば、MQW構造体8の屈折率変化量Δnの補正を、上面側のみにバルク層5が形成される場合と比べて一層正確に行なうことができる。
【0021】
なお、本発明は、例示された実施の形態に限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計上の変更が可能であることは言うまでもない。
【0022】
【発明の効果】
本願の請求項1の発明によれば、消光比は大きく取れるものの吸収係数変化量Δα及び屈折率変化量Δn(所謂αパラメータ)の電圧依存性が大きく正値となる多重量子井戸構造体と、両変化量Δα及びΔnの電圧依存性が小さく負値をとるものの消光比が小さくなる傾向を有するバルク半導体層とから構成される吸収層が設けられるので、消光比を十分に保ちつつ、変化量Δα及びΔnの絶対値及び電圧依存性を小さくすることができる。また、バルク層は、多重量子井戸構造と比較すると、その消光比や変化量Δα及びΔnは設計要素に関して鈍感であるので、その作成が容易に行なえる。
【0023】
また、本願の請求項2の発明によれば、吸収層において、バルク半導体層が、上記多重量子井戸構造体の上面及び下面側の両方に形成されるので、多重量子井戸構造体における屈折率変化量Δnの補正を、上面側のみにバルク半導体層が形成される場合と比べて一層正確に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に係る光変調器における多層構造の一部を拡大して示す断面説明図である。
【図2】上記多層構造のエネルギーバンド構造を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態2に係る光変調器における多層構造の一部を拡大して示す断面説明図である。
【図4】(a)従来の光変調器の斜視図である。
(b)従来の光変調器における多層構造の一部を拡大して示す断面説明図である。
【符号の説明】
1 n型InP基盤,2 n型ガイド層,3 バリア層,4 ウェル層,5,5A,5B バルク層,6 p型ガイド層,7 p型InP基盤,8 多重量子井戸構造体,9 吸収層,Eg(b) バルク層のバンドギャップ,Eg(w)ウェル層のバンドギャップ。
Claims (2)
- 印加電圧を制御して吸収層における光吸収を制御する光変調器において、
上記吸収層が、バリア層と該バリア層と比べて小さいバンドギャップを有するウェル層とが交互に積層され、上面及び下面がバリア層で形成されてなる多重量子井戸構造体と、該多重量子井戸構造体の上面及び下面側の少なくともいずれか一方に多重量子井戸構造体に隣接して形成されたバルク半導体層とから構成されていることを特徴とする光変調器。 - 上記吸収層において、上記バルク半導体層が、上記多重量子井戸構造体の上面及び下面側の両方に形成されていることを特徴とする請求項1記載の光変調器。
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| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2002169983A JP2004013073A (ja) | 2002-06-11 | 2002-06-11 | 光変調器 |
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| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2004013073A true JP2004013073A (ja) | 2004-01-15 |
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|---|---|---|---|
| JP2002169983A Pending JP2004013073A (ja) | 2002-06-11 | 2002-06-11 | 光変調器 |
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|---|---|
| JP (1) | JP2004013073A (ja) |
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2002
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