JP2004014352A - 非水電解質二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】高温環境下における保存特性、特に保存後の高率放電特性に優れた非水電解質二次電池を提供する
【解決手段】正極、負極および非水電解質からなり、前記非水電解質が、非水溶媒、前記非水溶媒に溶解した溶質および添加剤からなり、前記非水溶媒が、γ―ブチロラクトン誘導体を含み、前記添加剤が、2個のピリジン環を有する化合物からなる非水電解質二次電池。
【選択図】      図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、非水電解質二次電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、パソコン、携帯電話等の電子機器の小型軽量化およびコードレス化が急速に進んでおり、これら電子機器の駆動用電源として高エネルギー密度を有する二次電池が要求されている。このような状況の下、リチウムを活物質とするリチウムイオン二次電池が、高電圧および高エネルギー密度を有する電池として現在商品化されている。リチウムイオン二次電池においては、例えば、正極にコバルト酸リチウム(LiCoO)、負極に黒鉛等の炭素材料、非水電解質にリチウム塩を溶解した非水溶媒、セパレータにポリエチレン等からなる多孔質膜が用いられている。
【0003】
エネルギー密度の高いリチウムイオン二次電池では、信頼性を含めた良好な電池特性を得るためには、正極と負極の特性のみならず、リチウムイオンの移送を担う非水電解質の特性が重要となる。この非水電解質を構成する非水溶媒としては、通常、溶質の溶解性の高い高誘電率溶媒と、溶質が解離して生成したイオンの移送能力の高い低粘性溶媒とを組み合わせた混合溶媒が用いられている。例えば高誘電率溶媒である環状カーボネートと低粘性溶媒である鎖状カーボネートとを含む混合溶媒および前記溶媒中に溶解したヘキサフロロリン酸リチウム(LiPF)等の溶質からなる非水電解質は、高い導電率と広い電気化学窓を有することから多用されている。
【0004】
高誘電率溶媒である環状カーボネートには、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)等が用いられ、鎖状カーボネートには、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)等が用いられる。
しかし、エチレンカーボネートやプロピレンカーボネートは、低温時に凝固したり、著しくイオン伝導度が低下したりするなどの問題を有している。この問題を解決するために、高誘電率溶媒としてγ−ブチロラクトン(GBL)を主体として含む非水溶媒を備えた非水電解質二次電池が検討されている(特開平11−9706号公報および特開平12−235868号公報)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平11−9706号公報に記載のように、γ−ブチロラクトンを含む非水電解質において溶質としてLiBFを用いた場合、現在のリチウムイオン二次電池の作動電圧では非水電解質が正極または負極上で酸化分解および還元分解されやすい。このため、特に高温環境下で電池を保存した場合、電池の自己放電が激しく、長期信頼性に対して大きな問題を有する。
【0006】
溶質として耐酸化性が高いLiPFを用いた場合にも、高温環境下において充電状態の電池を保存した場合には、非水電解質と正極または負極との反応により、電極表面に高いインピーダンスを有する被膜が生成する。この被膜により、保存後の電池の特性(特に高率放電特性と低温特性)は著しく低下する。したがって、高温保存時の電池のインピーダンス増大を抑制することが、非水電解質二次電池の実用化を図る上で重要となる。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記を鑑み、高温環境下における保存特性、特に保存後の高率放電特性に優れた非水電解質二次電池を提供することを目的とする。
本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、γ―ブチロラクトン誘導体を含有する非水溶媒に2個のピリジン環を有する化合物とLiPFなどの溶質とを溶解させた非水電解質を用いることにより、高温環境下における保存特性に優れた非水電解質二次電池が得られることを見出した。
【0008】
すなわち、本発明は、正極、負極および非水電解質からなり、前記非水電解質が、非水溶媒、前記非水溶媒に溶解した溶質および添加剤からなり、前記非水溶媒が、式(1):
【0009】
【化3】
Figure 2004014352
【0010】
(式(1)中、R〜Rはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基または炭素数1〜6のアセチル基)で表されるγ―ブチロラクトン誘導体を含み、前記添加剤が、式(2):
【0011】
【化4】
Figure 2004014352
【0012】
(式(2)中、R〜Rはそれぞれ独立で、ハロゲン原子、炭素数1〜3のアルキル基、フェニル基または水酸基であり、結合手Xは、共有結合、炭素数1〜3のアルキレン基またはイミノ基)で表される2個のピリジン環を有する化合物からなる非水電解質二次電池に関する。R〜Rは同一でも異なってもよい。また、R〜Rは同一でも異なってもよい。
【0013】
前記2個のピリジン環を有する化合物は、2,2’−ビピリジン、4,4’−ビピリジン、4,4’−ジメチル−2,2’−ビピリジン、2,2’−ジピリジルアミン、2,2’−ジピコリルアミンおよび3,3’−ジピコリルアミンよりなる群から選ばれた少なくとも1種であることが好ましい。
前記非水電解質に含まれる2個のピリジン環を有する化合物の量は、前記非水溶媒100体積部あたり0.01〜0.5体積部であることが好ましい。
【0014】
前記γ―ブチロラクトン誘導体は、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトンおよびα−メチル−γ−ブチロラクトンよりなる群から選ばれた少なくとも1種であることが好ましい。
前記γ―ブチロラクトン誘導体の量は、前記非水溶媒全体の30体積%以上であることが好ましい。
前記正極は、リチウム含有遷移金属酸化物からなり、前記負極は、黒鉛からなることが好ましい。
【0015】
高温保存時における電池のインピーダンスの増大は、主に正極のインピーダンスの増大に起因する。一方、非水電解質に2個のピリジン環を有する化合物を含ませることにより、正極上でのγ―ブチロラクトン誘導体の酸化反応が著しく抑制され、被膜形成による正極のインピーダンス増大を抑制することができる。よって、高温環境下での保存後においても優れた充放電特性を有する電池を提供することができる。
γ―ブチロラクトン誘導体の酸化反応が著しく抑制される理由は、2個のピリジン環を有する化合物がγ―ブチロラクトン誘導体よりも優先的に分解して正極上に被膜を形成するためと考えられる。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明で用いる非水電解質は、高温環境下での保存特性、特に保存後の高率放電特性を向上させたものであり、式(1):
【0017】
【化5】
Figure 2004014352
【0018】
(式(1)中、R〜Rはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基または炭素数1〜6のアセチル基)で表されるγ―ブチロラクトン誘導体を含有する非水溶媒、前記非水溶媒に溶解した溶質および式(2):
【0019】
【化6】
Figure 2004014352
【0020】
(式(2)中、R〜Rはそれぞれ独立で、ハロゲン原子、炭素数1〜3のアルキル基、フェニル基または水酸基であり、結合手Xは、共有結合、炭素数1〜3のアルキレン基またはイミノ基)で表される添加剤としての2個のピリジン環を有する化合物からなる。
【0021】
式(1)で表されるγ―ブチロラクトン誘導体としては、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、α−メチル−γ−ブチロラクトン、γ−カプロラクトン、α−メチレン−γ−ブチロラクトン、γ−ヘキサノラクトン、γ−ノナノラクトン、γ−オクタノラクトン、γ−メチル−γ−デカノラクトン等を用いることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのうちでは、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトンおよびα−メチル−γ−ブチロラクトンよりなる群から選ばれた少なくとも1種を用いることが特に好ましい。
【0022】
前記非水溶媒は、耐酸化性および耐還元性の観点から、環状炭酸エステル、鎖状炭酸エステル、γ−ブチロラクトン誘導体以外の環状カルボン酸エステルおよび鎖状カルボン酸エステルよりなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0023】
環状炭酸エステルとしては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、ビニレンカーボネート(VC)などを用いることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのうちでは、特にエチレンカーボネート、プロピレンカーボネートおよびビニレンカーボネートが好ましい。
【0024】
鎖状炭酸エステルとしては、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)などを用いることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0025】
鎖状カルボン酸エステルとしては、メチルアセテート(MA)、エチルアセテート(EA)、メチルプロピオネート(MP)、メチルブチレート(MB)、エチルブチレート(EB)、ブチルアセテート(BA)、n−プロピルアセテート(PA)、イソブチルプロピオネート(iso−BP)などを用いることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのうちでは、特にメチルアセテート、エチルアセテートおよびメチルプロピオネートが好ましい。
【0026】
式(2)で表される2個のピリジン環を有する化合物としては、2,2’−ビピリジン、4,4’−ビピリジン、4,4’−ジメチル−2,2’−ビピリジン、2,2’−ジピリジルアミン、2,2’−ジピコリルアミン、3,3’−ジピコリルアミン等を用いることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのうちでは、特に2,2’−ビピリジンおよび4,4’−ビピリジンが好ましい。
【0027】
非水電解質に含まれる2個のピリジン環を有する化合物の量は、非水溶媒100体積部あたり0.01〜0.5体積部、さらには0.05〜0.2体積部であることが好ましい。2個のピリジン環を有する化合物の量が非水溶媒100体積部あたり0.01体積部未満では、γ−ブチロラクトン誘導体の正極上での酸化分解を抑制するのに充分な2個のピリジン環を有する化合物由来の被膜が正極表面に形成されない。また、2個のピリジン環を有する化合物の量が非水溶媒100体積部あたり0.5体積部を超えると、電池容量の低下を引き起こす。
【0028】
γ−ブチロラクトン誘導体の量は、非水溶媒全体の30体積%以上、さらには50体積%以上であることが好ましい。非水溶媒中におけるγ−ブチロラクトン誘導体の含有量が30体積%未満になると、電解液の導電率、特に低温における導電率が低下する。
【0029】
環状炭酸エステルの量は、非水溶媒全体の10〜60体積%、さらには20〜40体積%であることが好ましい。非水溶媒中における環状炭酸エステルの含有量が10体積%未満になると、非水溶媒の誘電率が低下して溶質が溶媒に溶解しにくくなる。また、非水溶媒中における環状炭酸エステルの含有量が60体積%を超えると、電解液の導電率、特に低温における導電率が低下する。
【0030】
鎖状炭酸エステルの量は、非水溶媒全体の10〜80体積%であることが好ましい。非水溶媒中における鎖状炭酸エステルの含有量が10体積%未満になると、セパレータが電解液で濡れにくくなることがある。また、非水溶媒中における鎖状炭酸エステルの含有量が80体積%を超えると、非水溶媒の誘電率が低下して溶質が溶媒に溶解しにくくなる。
【0031】
非水溶媒に溶解させる溶質には、少なくともLiPFを用いることが好ましい。LiPFは単独で用いてもよく、非水電解質二次電池で通常に用いられているLiPF以外の溶質と組み合わせて用いてもよい。具体的には、LiClO、LiAsF、LiBF、LiCFSO、LiN(CFSO、LiN(CSO、LiN(CFSO)(CSO)、LiC(CFSO、LiB[C(CF−3,5]等から選ばれる1種以上を用いることができる。特にLiPFとLiBFとを組み合わせて用いることが好ましい。
【0032】
本発明の非水電解質二次電池の正極には、通常の非水電解質二次電池で用いられている正極材料を用いることができる。正極材料は、本願発明では特に限定されない。電池容量を向上させ、エネルギー密度を高める観点から、正極材料は、リチウムと1種以上の遷移金属とを含有する複合酸化物(リチウム含有遷移金属複合酸化物)を主体とすることが好ましい。例えばLiMO(式中、Mは1種以上の遷移金属を表し、xは電池の充放電状態により異なり、通常0.05≦x≦1.10である)で表されるリチウム含有遷移金属複合酸化物を主体とする活物質が好適である。LiMOにおいて、遷移金属Mには、Co、NiおよびMnよりなる群から選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。上記の他、リチウム含有遷移金属複合酸化物としては、LiMnなどを用いることもできる。
【0033】
本発明の非水電解質二次電池の負極には、通常の非水電解質二次電池で用いられている負極材料を用いることができる。負極材料は、本願発明では特に限定されない。負極材料には、金属リチウム、リチウムをドープ・脱ドープすることが可能な材料等を用いることができる。リチウムをドープ・脱ドープすることが可能な材料としては、熱分解炭素、コークス(ピッチコークス、ニードルコークス、石油コークス等)、黒鉛、ガラス状炭素、有機高分子化合物焼成体(フェノール樹脂、フラン樹脂等を適当な温度で焼成して炭素化したもの)、炭素繊維、活性炭素等の炭素材料や、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリアセン等のポリマー、Li4/3Ti5/3等のリチウム含有遷移金属酸化物、TiS等のリチウム含有遷移金属硫化物等が挙げられる。これらのうちでは、炭素材料が好ましく、特に(002)面の面間隔が0.340nm以下である黒鉛を用いることが、電池のエネルギー密度を向上させる上で好ましい。
【0034】
正極材料は、結着剤、導電剤等と混練され、得られた正極合剤から正極が作製される。前記結着剤および導電剤には、従来公知のものがいずれも使用可能である。また、負極材料は、結着剤等と混練され、得られた負極合剤から負極が作製される。前記結着剤には、従来公知のものがいずれも使用可能である。
【0035】
本発明は、あらゆる形状の電池に適用することができる。本発明は、例えば円筒型、角型、コイン型、ボタン型等の電池に適用することができ、大型の電池にも適用することができる。正極および負極の形態は電池の形状に応じて変更される。
【0036】
【実施例】
《実施例1》
(i)正極
LiCOとCoとを混合し、900℃で10時間焼成してLiCoOを合成した。次いで、100重量部のLiCoOに、導電剤としてアセチレンブラックを3重量部、結着剤としてポリ四フッ化エチレンを7重量部、カルボキシメチルセルロースの1重量%水溶液を100重量部添加し、攪拌・混合し、ペースト状の正極合剤を得た。次いで、厚さ30μmのアルミニウム箔の集電体の両面に前記正極合剤を塗布し、乾燥後、圧延ローラーを用いて圧延を行い、所定寸法に裁断して、正極とした。正極にはアルミニウム製正極リードを溶接した。
【0037】
(ii)負極
鱗片状黒鉛を平均粒径が約20μmになるように粉砕・分級した。得られた鱗片状黒鉛100重量部に、結着剤としてスチレン/ブタジエンゴムを3重量部、カルボキシメチルセルロースの1重量%水溶液を100重量部添加し、攪拌・混合し、ペースト状の負極合剤を得た。次いで、厚さ20μmの銅箔の集電体の両面に前記負極合剤を塗布し、乾燥後、圧延ローラーを用いて圧延を行い、所定寸法に裁断して、負極とした。負極にはニッケル製負極リードを溶接した。
【0038】
(iii)非水電解質
後述の表1に示した組成の非水溶媒に、1.5モル/リットルの濃度でLiPFを溶解し、さらに表1に示した2個のピリジン環を有する化合物を前記非水溶媒100体積部あたり0.1体積部添加して、非水電解質を調製した。
なお、表1において、ECはエチレンカーボネートを示し、EMCはエチルメチルカーボネートを示し、GBLはγ−ブチロラクトンを示し、VCはビニレンカーボネートを示す。
【0039】
(iv)電池の組み立て
図1に作製した電池の右半分断面正面図を示す
上記で作製した帯状の正極2と負極3とを、厚さ25μmの微多孔性ポリエチレン樹脂製セパレータ1を介して渦巻状に巻回し、極板群を得た。極板群の下にポリエチレン樹脂製底部絶縁板6を装着し、内面をニッケルメッキした鉄製電池ケース7内に極板群を収容した。電池ケース7の内定面には負極リード5の他端をスポット溶接した。極板群上面にポリエチレン樹脂製上部絶縁板8を載置してから、電池ケース7の開口部の所定位置に溝入れした。次いで、所定量の非水電解質を電池ケース7内に注入し、極板群に電解質を含浸させた。一方、ポリプロピレン樹脂製ガスケット9を周縁部に装着したステンレス鋼製の封口板10を準備した。封口板10の下面には正極リード4の他端をスポット溶接した。その後、電池ケース7の開口部に前記ガスケット9を介して封口板10を装着し、封口板10の周縁部に電池ケース7の上縁部をかしめ、電池を完成した。完成した非水電解質二次電池1〜14は、直径18mm、総高65mmの円筒型であった。
【0040】
(v)電池の評価
完成した各電池の充放電を環境温度20℃で行った。充電過程では、上限電圧を4.2Vに設定して、最大電流1050mAで2時間30分間の定電流・定電圧充電を行った。放電過程では、放電電流1500mA、放電終止電圧3.0Vで定電流放電を行った。充放電後の電池を再度充電し、充電状態の電池を環境温度60℃で10日間保存した。保存後の電池を環境温度20℃で放冷後、放電電流300mA、放電終止電圧3.0Vで定電流放電を行った。次いで、上限電圧を4.2Vに設定して、最大電流1050mAで2時間30分間の定電流・定電圧充電を行い、放電電流1500mA、放電終止電圧3.0Vで定電流放電を行った。
上記操作で得られた保存後の電池の放電電流1500mA時の放電容量C1500と放電電流300mA時の放電容量C300
計算式1:P(%)=(C1500/C300)×100
に代入することにより、保存後の電池の高率放電特性Pを求めた。結果を表1に示す。
【0041】
【表1】
Figure 2004014352
【0042】
表1からわかるように、電池7および電池14は、非水電解質が2個のピリジン環を有する化合物を含まないため、高率放電特性Pがそれぞれ60%および75%であった。それに対し、2個のピリジン環を有する化合物を非水溶媒100体積部あたり0.1体積部添加した非水電解質を用いた電池1〜6および電池8〜13では、高率放電特性Pが5〜25%も向上した。また、高率放電特性Pの向上の程度は、非水溶媒におけるγ−ブチロラクトン(GBL)の含有率が高いほど顕著であった。これらの結果から、非水溶媒にGBLを用いた場合には、高温保存による電池のインピーダンスが通常は著しく増大するが、2個のピリジン環を有する化合物を非水電解質に含ませることにより、インピーダンスの増大を抑制でき、高率放電特性Pの向上を図れることが示された。
【0043】
《実施例2》
次に、非水電解質に含ませる2個のピリジン環を有する化合物の量を検討した。2個のピリジン環を有する化合物を非水溶媒に添加した場合、電池の不可逆容量が増大するため、2個のピリジン環を有する化合物の量が多すぎると、電池容量が低下すると考えられる。また、2個のピリジン環を有する化合物は耐酸化性および耐還元性が低いため、余剰の2個のピリジン環を有する化合物が高温では酸化または還元分解されてガス発生量が増大するおそれがある。
【0044】
非水溶媒としてEC/EMC/GBL/VC=0/0/100/2(体積比)を用いた。また、非水溶媒には溶質として1.5モル/リットルの濃度でLiPFを溶解した。2個のピリジン環を有する化合物としては2,2’−ビピリジンを用いた。前記非水溶媒100体積部あたりの2個のピリジン環を有する化合物の添加量ΔVは、表2に示すように0.001〜5体積部の範囲で変化させた。上記以外は実施例1と同様にして電池15〜20を作製した。
【0045】
完成した各電池の高率放電特性Pを実施例1と同様に評価した。また、各電池の不可逆容量および高温保存時のガス発生量を求めた。得られた結果を表2に示す。
【0046】
【表2】
Figure 2004014352
【0047】
表2に示すように、2,2’−ビピリジンの添加量ΔVが非水溶媒100体積部あたり0.001体積部の電池15では、高率放電特性Pの向上は認められなかった。これは、インピーダンスの増大を抑制する被膜が正極表面に充分に形成されなかったためと考えられる。一方、2,2’−ビピリジンの添加量ΔVが非水溶媒100体積部あたり1体積部および5体積部の電池19および電池20の場合、2,2’−ビピリジンが過剰であるため、不可逆容量および高温保存時のガス発生量が増大した。電池20の高率放電特性Pの大きな低下は、発生したガスが電極間に残ることによる反応面積の低下によるものと考えられる。よって、2,2’−ビピリジンの添加量ΔVが非水溶媒100体積部あたり0.01〜0.5体積部の範囲が、良好な高率放電特性を示し、かつ、不可逆容量とガス発生量の著しい増大が認められない好適範囲である。
【0048】
《実施例3》
次に、非水溶媒に含ませるγ−ブチロラクトンの量を検討した。用いた非水溶媒の組成を表3に示す。また、非水溶媒には、溶質として1.5モル/リットルの濃度でLiPFを溶解し、さらに2,2’−ビピリジンを添加した。前記非水溶媒100体積部あたりの2,2’−ビピリジンの添加量ΔVは2体積部とした。上記以外は実施例1と同様にして電池21〜23を作製した。次いで、完成した各電池の高率放電特性Pを実施例1と同様に評価した。得られた結果を表3に示す。
【0049】
【表3】
Figure 2004014352
【0050】
表3に示すように、γ−ブチロラクトンの量が非水溶媒全体の30体積%以上の電池21および22では、実施例1の電池8と同程度の高率放電特性Pが得られた。一方、γ−ブチロラクトンの量が非水溶媒全体の30体積%未満の電池23では、電解液の導電率の低下により、高率放電特性Pが低下した。以上より、γ−ブチロラクトンの量は非水溶媒全体の30体積%以上が好適範囲であることが理解できる。
【0051】
《実施例4》
次に、γ−ブチロラクトンの代わりにγ−バレロラクトン(GVL)またはα−メチル−γ−ブチロラクトン(AMGBL)を含む表4に示す非水溶媒を用いたこと以外、実施例1の電池8と同様の構成の電池24および25を作製した。すなわち、非水溶媒には、溶質として1.5モル/リットルの濃度でLiPFを溶解し、さらに前記非水溶媒100体積部あたり0.1体積部の2,2’−ビピリジンを添加した。完成した各電池の高率放電特性Pを実施例1と同様に評価した。得られた結果を表4に示す。
【0052】
【表4】
Figure 2004014352
【0053】
表4の結果から、γ−ブチロラクトン以外のγ−ブチロラクトン誘導体を用いた場合にも、γ−ブチロラクトンを用いた場合と同程度の高率放電特性Pが得られることが理解できる。
【0054】
なお、本実施例では、γ―ブチロラクトン誘導体および2個のピリジン環を有する化合物として上記化合物を含む非水電解質について記載したが、上記以外のγ−ブチロラクトン誘導体や2個のピリジン環を有する化合物を用いた場合についても同様の効果が得られている。従って、本発明はここに記載の実施例に限定されるものではない。
【0055】
【発明の効果】
本発明によれば、高温環境下における保存特性、特に保存後の高率放電特性に優れた非水電解質二次電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の非水電解質二次電池の一例の右半分断面正面図である。
【符号の説明】
1 セパレータ
2 正極
3 負極
4 正極リード
5 負極リード
6 底部絶縁板
7 電池ケース
8 上部絶縁板
9 ガスケット
10 封口板

Claims (6)

  1. 正極、負極および非水電解質からなり、
    前記非水電解質が、非水溶媒、前記非水溶媒に溶解した溶質および添加剤からなり、
    前記非水溶媒が、式(1):
    Figure 2004014352
    (式(1)中、R〜Rはそれぞれ独立で、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基または炭素数1〜6のアセチル基)で表されるγ―ブチロラクトン誘導体を含み、
    前記添加剤が、式(2):
    Figure 2004014352
    (式(2)中、R〜Rはそれぞれ独立で、ハロゲン原子、炭素数1〜3のアルキル基、フェニル基または水酸基であり、結合手Xは、共有結合、炭素数1〜3のアルキレン基またはイミノ基)で表される2個のピリジン環を有する化合物からなる非水電解質二次電池。
  2. 前記2個のピリジン環を有する化合物が、2,2’−ビピリジン、4,4’−ビピリジン、4,4’−ジメチル−2,2’−ビピリジン、2,2’−ジピリジルアミン、2,2’−ジピコリルアミンおよび3,3’−ジピコリルアミンよりなる群から選ばれた少なくとも1種である請求項1記載の非水電解質二次電池。
  3. 前記非水電解質に含まれる2個のピリジン環を有する化合物の量が、前記非水溶媒100体積部あたり0.01〜0.5体積部である請求項1記載の非水電解質二次電池。
  4. 前記γ―ブチロラクトン誘導体が、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトンおよびα−メチル−γ−ブチロラクトンよりなる群から選ばれた少なくとも1種である請求項1記載の非水電解質二次電池。
  5. 前記γ―ブチロラクトン誘導体の量が、前記非水溶媒全体の30体積%以上である請求項1記載の非水電解質二次電池。
  6. 前記正極が、リチウム含有遷移金属酸化物からなり、前記負極が、黒鉛からなる請求項1記載の非水電解質二次電池。
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