JP2004015143A - 移動通信システムにおけるハンドオーバ方法、および移動通信システムにおいて使用されるルータ装置 - Google Patents

移動通信システムにおけるハンドオーバ方法、および移動通信システムにおいて使用されるルータ装置 Download PDF

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田草川 英明
Ryuichi Takechi
武智 竜一
Keiichi Nakatsugawa
中津川 恵一
Takeshi Kawasaki
川崎 健
Kazuyuki Oka
岡 和之
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Abstract

【課題】移動通信システムにおいて、ハンドオーバ時に効率の悪いパケット転送が起こらないようにする。
【解決手段】モバイル端末1は、旧アクセスルータ11の通信エリアにおいて旧気付けアドレスが割り当てられており、相手端末4と通信を行っている。モバイル端末1が新アクセスルータ12の通信エリアへ移動する直前に、分岐点ルータ13に対して結合更新メッセージが送られる。分岐点ルータ13は、相手端末4から旧アクセスルータ11へのルートと、相手端末4から新アクセスルータ12へのルートとが分岐するノードにおけるルータ装置である。分岐点ルータ13は、旧気付けアドレス宛てのパケットを、新アクセスルータ12の通信エリアにおいてモバイル端末1に割り当てられる新気付けアドレスへ転送する。
【選択図】   図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、移動通信システムにおけるハンドオーバ方法および移動通信システムにおいて使用されるルータ装置に係わり、特に、移動通信サービスを提供するIPネットワークにおけるハンドオーバ方法およびそのためのルータ装置に係わる。
【0002】
【従来の技術】
近年、インターネット及び携帯電話の爆発的な普及により、モバイルユーザをインターネットに接続するアクセスシステムの多様化が進んできている。一例としては、現在では、GPRS(General Packet Radio System)やPDC−P(Personal Digital Cellular−mobilePacket communication system)等の第2世代移動通信網、UMTS(Universal Mobile TelecommunicationSystem)等の第3世代移動通信網、無線LAN、Bluetooth等の小規模無線アクセス網などが実用化されている。また、将来的には、第4世代移動通信網や他の新しい新しいアクセス技術が期待されている。そして、これらの技術により、1台の端末が複数のアクセスシステムと接続できるようになりつつあり、ユビキタス環境が視野にはいってきた。
【0003】
ところが、ユーザにとっては、アクセスシステムを意識しないでインターネットに接続できることが望ましい。ここで、このような環境を実現するためには、端末が自立的にアクセスシステムを選択または切替えできるようにするための技術が必要になってくる。そして、このための中核技術として、MobileIPが注目されている。
【0004】
なお、MobileIPは、IETF(Internet Engineering Task Force)により標準化されている。ここで、IETFのRFC2002において標準化されているMobileIPは、IPv4(RFC791)をベースにしている。ところが、近年、IPネットワーク上の端末数の増加に伴ってIPv4アドレスが不足してきており、IPv4からIPv6(RFC2460)への移行が進められつつある。そして、IPv6をベースにしたMobileIPv6は、インターネットドラフト(http://www.ietf.org/internet−drafts/draft−ietf−mobileip−ipv6−14.txt)として公開されており、近いうちに標準化される予定である。また、MobileIPv6の動作は、基本的には、MobileIPと同じである。従って、以下では、MobileIPv6について説明する。
【0005】
MobileIPv6では、一般に、各モバイル端末に対してホームアドレス及び気付けアドレス(CoA:Care of Address)が割り当てられる。ここで、ホームアドレスは、各モバイル端末に固定的に割り当てられるIPアドレスである。また、気付けアドレスは、モバイル端末を収容するアクセスルータ毎に、そのモバイル端末に対して割り当てられるIPアドレスである。そして、モバイル端末が移動した場合には、その移動に応じて動的に気付けアドレスがそのモバイル端末に割り当てられることによって、通信セッションが維持されるようになっている。
【0006】
ところが、MobileIPv6のハンドオーバは、一般に、遅延が大きい。ここで、遅延が大きくなる理由は、モバイル端末があるアクセスルータ(旧アクセスルータ)の通信エリアから、他のアクセスルータ(新アクセスルータ)の通信エリアに移動する際、モバイル端末が新アクセスルータの通信エリアへ移動した後にそれらの間で無線リンクを介してメッセージを交換することによりモバイル端末が新たな気付けアドレスを取得することに起因している。そして、通常、このときの無線パフォーマンスがハンドオーバ時間のネックとなっている。したがって、MobileIPv6は、インターネット電話やライブストリーミング等のUDP(RFC768)/RTP(RFC1889)上のリアルタイムアプリケーション、あるいは、TCP(RFC793)上の遅延に敏感なアプリケーションには適していないと考えられている。
【0007】
上記問題を解決する技術として、高速ハンドオーバ(Fast Handover)手順が提案されている。ここで、高速ハンドオーバ手順は、IETFによるインターネットドラフト(http://www.ietf.org/internet−drafts/draft−ietf−mobileip−fast−mipv6−04.txt)として公開されている。高速ハンドオーバ手順では、モバイル端末が旧アクセスルータの通信エリアから新アクセスルータの通信エリアへ移動する直前に、そのモバイル端末が、新アクセスルータの通信エリアにおいて使用する新気付けアドレスを取得する。そして、これにより、ハンドオーバ時に通信が出来なくなる時間が短縮される。
【0008】
次に、高速ハンドオーバの手順を説明する。なお、高速ハンドオーバ手順は、ネットワークが起動する方式と、モバイル端末が起動する方式とに分類することができる。また、高速ハンドオーバ手順は、ネットワークがアドレスを作成する方式(Stateful Address Autoconfiguration:http://www.ietf.org/internet−drafts/draft−ietf−dhc−dhcpv6−20.txt)と、モバイル端末がアドレスを作成する方式(StatelessAddress Autoconfiguration:RFC2462)とに分類することができる。そして、現在、下記の3種類の手順が定義されている。
(1)ネットワーク起動、Stateful
(2)ネットワーク起動、Stateless
(3)モバイル端末起動、Stateless
これら3つの方式の基本的な動作は互いに同じなので、以下では、上記(1)の方式の概要を示す。
【0009】
図22は、高速ハンドオーバ(Fast Handover)の基本手順を説明する図である。図23は、図22に示す処理のシーケンス図である。なお、ここでは、モバイル端末(MN:MobileNode)1が、旧アクセスルータ(AR)2の通信エリアから新アクセスルータ(AR)3の通信エリアに移動する場合を示す。また、モバイル端末1は、相手端末(CN:CorrespondentNode)4との間で通信を行っているものとする。さらに、モバイル端末1は、旧アクセスルータ2の通信エリアにおいて、「旧気付けアドレス」が割り当てられている。
【0010】
(1)相手端末4は、モバイル端末1の旧気付けアドレス宛てにパケットを送っている。このパケットは、旧アクセスルータ2により、モバイル端末1へ転送される。
【0011】
(2)モバイル端末1が新アクセスルータ3の通信エリアに接近すると、旧アクセスルータ2は、モバイル端末1のハンドオーバを予測し、新アクセスルータ3に対してモバイル端末1の新気付けアドレスを要求する。
【0012】
(3)新アクセスルータ3は、新気付けアドレスを作成し、それを旧アクセスルータ2に通知する。
(4)旧アクセスルータ2は、受信した新気付けアドレスをモバイル端末1に通知する。
【0013】
(5)モバイル端末1は、無線コネクションを切り換える直前に、旧アクセスルータ2に対して結合更新(Binding Update)メッセージを送信する。なお、この結合更新は、旧気付けアドレス宛てのパケットを新気付けアドレスへ転送するためのメッセージである。
【0014】
(6)旧アクセスルータ2は、結合更新メッセージを受信すると、そのメッセージに従って結合キャッシュを更新すると共に、応答メッセージを新気付けアドレスに送信する。これにより、新アクセスルータ3は上記応答メッセージを受け取る。なお、結合キャッシュには第1のIPアドレスおよび第2のIPアドレスを登録されており、ルータ装置は、第1のIPアドレス宛てのパケットを受信すると、第2のIPアドレスを用いてそのパケットをカプセル化して転送(トンネリング)する。
【0015】
(7)旧アクセスルータ2は、相手端末4から送出された旧気付けアドレス宛てのパケットを受信すると、そのパケットを新気付けアドレスへ転送する。
(8)新アクセスルータ3は、モバイル端末1との間のコネクションが確立されるまでの期間、新気付けアドレス宛てのパケットを保持する。
【0016】
(9)モバイル端末1は、無線コネクションを切り換える。すなわち、モバイル端末1は、新アクセルルータ3との間に無線コネクションを確立し、新気付けアドレスを通知する。
【0017】
(10)新アクセスルータ3は、モバイル端末1に対して応答メッセージを返送する。
(11)新アクセスルータ3は、上記手順8において保持してあるパケットをモバイル端末1へ送信する。
【0018】
(12)モバイル端末1は、MobileIPv6に基づいて、相手端末4(および、不図示のホームエージェント)に対して結合更新メッセージを送信する。なお、この結合更新は、ホームアドレス宛てのパケットを新気付けアドレスへ転送するためのメッセージである。
【0019】
(13)相手端末4は、上記結合更新メッセージを受け取ると、以降、新気付けアドレスへパケットを送信する。
このように、高速ハンドオーバ手順においては、モバイル端末1が、旧アクセスルータの通信エリアから新アクセスルータの通信エリアへ移動する前に、新気付けアドレスを取得するので、ハンドオーバによる遅延が小さくなる。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、既存の高速ハンドオーバ手順には、以下の3つの課題がある。
(1)非効率ルーティング
(2)パケットの順序逆転
(3)パケットロス
図24は、非効率ルーティングについて説明する図である。既存の高速ハンドオーバ手順においては、旧アクセスルータ2は、図22を参照しながら説明したように、モバイル端末1から結合更新メッセージを受信すると、以降は、相手端末4からモバイル端末1宛てのパケットを新アクセスルータ3へ転送する。このとき、旧アクセスルータ2から新アクセスルータ3へパケットを転送するルートは、図24に示すように、分岐点ルータ5を経由する。ここで、分岐点ルータ5は、相手端末4から旧アクセスルータ2へのルートと、相手端末4から新アクセスルータ3へのルートとが分岐するノードにおけるルータ装置を意味する。したがって、既存の高速ハンドオーバ手順では、モバイル端末1の移動に伴って、ネットワークに必要以上に大きな負荷がかかってしまう。なお、この問題は、階層化されたネットワークにおいて、しばしば、より大きな負荷を発生させることがある。
【0021】
図25は、パケットの順序逆転について説明する図である。ここでは、相手端末4からモバイル端末1へ、パケットA、パケットB、パケットCが順番に送信されるものとする。また、相手端末4は、パケットBを送出した直後に、モバイル端末1から結合更新メッセージを受信したものとする。即ち、パケットA、Bは旧気付けアドレスへ送信され、パケットCは新気付けアドレスへ送信されたものとする。
【0022】
この場合、パケットA、Bは、いったん旧アクセスルータ2へ送られた後、分岐点ルータ5を介して新アクセスルータ3へ転送される。一方、パケットCは、直接的に新アクセスルータ3へ送られる。したがって、ネットワーク構成によっては、パケットA、Bよりも前に、パケットCがモバイル端末1へ到着してしまうことがある。
【0023】
なお、所定数(通常は、3)以上のパケットの順序逆転が発生すると、送信側のTCP(RFC2001)により再送処理が行われ、伝送速度が低下する。すなわち、TCPを利用する環境では、パケットの順序逆転によりスループットが低下することになる。また、UDP/RTP上のアプリケーションの場合は、パケットの順序逆転が発生すると、パケットが廃棄されることがある。すなわち、この場合、会話や動画像の瞬断が発生してしまう。
【0024】
図26は、パケットロスについて説明する図である。また、図27は、パケットロスが発生する場合のシーケンス図である。なお、図26および図27において、手順1〜手順4は、図22または図23を参照しながら説明した手順と同じである。ただし、図26および図27では、手順5においてモバイル端末1から送信された結合更新メッセージが旧アクセスルータ2へ到達できなかった場合を想定し、そのときの動作が示されている。なお、このような状況は、例えば、モバイル端末1とアクセスルータとの間の無線環境が劣悪な場合や、モバイル端末1が高速移動している場合などに発生し得る。
【0025】
(6)旧アクセスルータ2は、相手端末4から旧気付けアドレス宛てのパケットを受信する。しかし、旧アクセスルータ2は、モバイル端末1から結合更新メッセージを受信していないので、旧気付けアドレス宛てのパケットを新気付けアドレスへ転送できない。また、このとき、モバイル端末1は、すでに、旧アクセスルータ2の通信エリアから新アクセスルータ3の通信エリアへ移動してしまっている。したがって、受信パケットは、廃棄されてしまう。すなわち、パケットロスが発生する。
【0026】
(7)モバイル端末1は、無線コネクションを切り換える。すなわち、モバイル端末1は、新アクセルルータ3との間に無線コネクションを確立し、新気付けアドレスを通知する。
【0027】
(8)新アクセスルータ3は、モバイル端末1に対して応答メッセージを返送する。
(9)モバイル端末1は、旧アクセスルータ2へ結合更新メッセージを送信する。なお、なお、この結合更新は、旧気付けアドレス宛てのパケットを新気付けアドレスへ転送するためのメッセージである。
【0028】
(10)モバイル端末1は、通常のMobileIPv6に従い、相手端末4およびホームエージェントに対して結合更新メッセージを送信する。なお、この結合更新は、ホームアドレス宛てのパケットを新気付けアドレスへ転送するためのメッセージである。
【0029】
(11)旧アクセスルータ2は、手順9の結合更新メッセージに従って結合キャッシュを作成し、対応するメッセージをモバイル端末1に返送する。
(12)旧アクセスルータ2は、旧気付けアドレス宛てのパケットを受信すると、手順11で作成した結合キャッシュを参照し、そのパケットを新気付けアドレスへ転送する。
【0030】
(13)相手端末4は、手順10の結合更新メッセージに従って結合キャッシュを更新し、以降、新気付けアドレス宛てにパケットを送信する。
なお、上述のようなパケットロスが発生すると、通常、TCPがスロースタート動作を実行するので、スループットが低下してしまう。また、リアルタイムアプリケーションの場合は、会話や動画像の瞬断が発生することがある。
【0031】
このように、既存の高速ハンドオーバ手順では、非効率ルーティング、パケットの順序逆転、パケットロスなどが発生することがあった。
本発明の課題は、移動通信システムにおいて、既存のハンドオーバ手順の問題点を解決することである。すなわち、本発明の課題は、ハンドオーバ時に効率の悪いパケット転送が起こらないようにすることである。また、本発明の他の課題は、ハンドオーバ時にパケットロスまたはパケットの順序逆転が起こらないようにすることである。
【0032】
【課題を解決するための手段】
本発明のハンドオーバ方法は、第1のルータ装置の通信エリアにおいて第1のアドレスが割り当てられているモバイル端末がその第1のルータ装置の通信エリアから第2のルータ装置の通信エリアへ移動する際に、上記モバイル端末が上記第1のルータ装置を介して相手端末と通信を行っているときに、上記第2のルータ装置の通信エリアにおいて使用すべき第2のアドレスが上記モバイル端末に割り当てられ、上記第1のアドレス宛てのパケットを上記第2のアドレスへ転送させるためのメッセージが、上記相手端末から上記第1のルータ装置へのルートと上記相手端末から上記第2のルータ装置へのルートとが分岐するノードに位置する分岐点ルータ装置に送られる。
【0033】
上記方法によれば、モバイル端末のハンドオーバ時に、上記メッセージが分岐点ルータ装置に与えられる。したがって、相手端末から第1のアドレス宛てに送出されたパケットは、第1のルータ装置まで転送されることなく、分岐点ルータ装置により第2のルータ装置へ導かれる。即ち、ハンドオーバ時であっても、モバイル端末宛てのパケットは、効率的なルートを介して転送される。
【0034】
なお、上記方法において、上記第1および第2のルータ装置がゲートウェイの配下に設けられているものとすると、上記第1のルータ装置と上記ゲートウェイとの間に設けられているルータ装置と、上記第2のルータ装置と上記ゲートウェイとの間に設けられているルータ装置とを比較し、その比較において互いに一致するルータ装置を上記分岐点ルータ装置として指定するようにしてもよい。
【0035】
本発明の他の態様のハンドオーバ方法は、第1のルータ装置の通信エリアにおいて第1のアドレスが割り当てられているモバイル端末がその第1のルータ装置の通信エリアから第2のルータ装置の通信エリアへ移動する際に、上記モバイル端末が上記第1のルータ装置を介して相手端末と通信を行っているときに上記第2のルータ装置の通信エリアにおいて使用すべき第2のアドレスが上記モバイル端末に割り当てられ、上記モバイル端末に上記第2のアドレスが割り当てられたときから、上記第1のアドレス宛てのパケットを上記第2のアドレスへ転送させるためのメッセージが上記第1のルータ装置に与えられるまでの期間、上記第1のルータ装置において上記第1のアドレス宛てのパケットが蓄積され、上記メッセージが上記第2のルータ装置を介して上記第1のルータ装置に与えられたときに上記第1のルータ装置に蓄積されたパケットが上記第2のアドレスへ転送される。
【0036】
上記方法において、モバイル端末のハンドオーバ時に、そのモバイル端末宛てのパケットが第1のルータ装置にいったん蓄積される。一方、モバイル端末が第1のルータ装置の通信エリアから第2のルータ装置の通信エリアへ移動する際には、通常は、上記メッセージは、モバイル端末から第1のルータ装置へ直接的に送られる。しかし、第1のルータ装置とモバイル端末との間の通信環境が悪い場合などには、モバイル端末から第1のルータ装置へ上記メッセージを直接的に送ることはできず、第2のルータ装置の通信エリアへ移動した後にそのメッセージを第2のルータ装置を介して第1のルータ装置へ送ることになる。したがって、第1のルータ装置は、上記メッセージを上記第2のルータ装置を介して受信したときは、ハンドオーバ時にモバイル端末が受信すべきパケットがそのモバイル端末によって受信されていないものとみなし、蓄積してあるパケットをモバイル端末へ再送する。これにより、パケットのロスが回避される。
【0037】
なお、上記第2のルータ装置において、その第2のルータ装置と上記モバイル端末とが接続されるまでの間、そのモバイル端末宛てのパケットを蓄積し、上記相手端末における送信順序に従って上記蓄積されているパケットを読み出して上記モバイル端末へ送信するようにしてもよい。この方法によれば、ハンドオーバに際してモバイル端末宛てのパケットの順序が入れ替わった場合であっても、第2のルータ装置においてその順序が正しく並べ替えられる。
【0038】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の概要を説明する図である。なお、図1において、モバイル端末(MN:Mobile Node)1は、相手端末(CN:Correspondent Node)4と通信を行っている。また、モバイル端末1は、旧アクセスルータ11の通信エリアにおいて旧気付けアドレスが割り当てられている。更に、モバイル端末1は、新アクセスルータ12の通信エリアにおいては、新気付けアドレスが割り当てられるものとする。以下、既存の高速ハンドオーバ(FastHandover)において生じる3つの問題点を解決するための方策を示す。
(1)非効率ルーティングについて
本発明のハンドオーバ手順では、モバイル端末1が旧アクセスルータ(第1のルータ装置)11の通信エリアから新アクセスルータ(第2のルータ装置)12の通信エリアへ移動する際に、モバイル端末1から旧アクセスルータ11へ結合更新メッセージが送られる。ここで、この結合更新は、旧気付けアドレス宛てのパケットを新気付けアドレスへ転送するためのメッセージである。そして、旧アクセスルータ11は、モバイル端末1から結合更新メッセージを受信すると、そのメッセージを分岐点ルータ(DPR:Diverging Point Router)13へ送る。尚、分岐点ルータ13は、相手端末4から旧アクセスルータ11へのルートと、相手端末4から新アクセスルータ12へのルートとが分岐するノードにおけるルータ装置を意味する。あるいは、分岐点ルータ13は、ドメインゲートウェイから旧アクセスルータ11へのルートと、そのドメインゲートウェイから新アクセスルータ12へのルートとが分岐するノードにおけるルータ装置を意味する。
【0039】
分岐点ルータ13は、上記結合更新メッセージを受信した後は、モバイル端末1に割り当てられていた旧気付けアドレス宛てのパケットを受信すると、そのパケットをモバイル端末1に新たに割り当てられた新気付けアドレスへ転送(トンネリング)する。したがって、本発明の手順によれば、ハンドオーバ時にパケットがいったん旧アクセスルータ11に送られた後にモバイル端末1へ転送されるような非効率ルーティング(図24参照)が回避される。
(2)パケットの順序逆転について
新アクセスルータ12は、モバイル端末1のハンドオーバ時に、一定期間、モバイル端末1宛てのパケットをバッファに蓄積する。そして、モバイル端末1と新アクセスルータ12との間にコネクションが確立すると、新アクセスルータ12は、そのバッファに蓄積してあるパケットをモバイル端末1へ送信する。このとき、パケットが正しい順序でモバイル端末1に送信されるように、バッファからのパケットの読出しが適切に制御される。これにより、パケットの順序逆転の問題が解決される。
【0040】
なお、パケットの順序は、既存のバッファ管理アルゴリズムを利用して適切に並べ替えることが可能である。具体的には、例えば、各パケットのTCPヘッダまたはRTPヘッダに設定されているシーケンス番号を利用ことにより順序管理を実現することができる。
(3)パケットロスについて
旧アクセスルータ11は、新アクセスルータ12から取得した新気付けアドレスをモバイル端末1に通知すると、以降、モバイル端末1宛てのパケットを受信したときには、それをモバイル端末1へ送ると共に、それをコピーしてバッファに保持する。そして、旧アクセスルータ11は、モバイル端末1から結合更新メッセージを受信するまで、パケットを蓄積する動作を続ける。なお、ステイトレス・アドレス・コンフィグレーションの場合は、旧アクセスルータ11は、新アクセスルータ12のプレフィックスをモバイル端末1に通知したときから、上記パケットの蓄積を開始する。
【0041】
この後、旧アクセスルータ11は、モバイル端末1から結合更新メッセージを受信する。このとき、旧アクセスルータ11は、アクセスルータの切替えが行われる前に結合更新メッセージを受信した場合には、その時点までのパケットはすべてモバイル端末1によって受信されているものとみなし、バッファに蓄積してあるパケットを廃棄する。一方、旧アクセスルータ11は、アクセスルータの切替えが行われた後に結合更新メッセージを受信した場合には、その時点までに蓄積したパケットをモバイル端末1に転送し、以降のバッファリング処理を停止する。
【0042】
このように、本発明の手順においては、モバイル端末1が新アクセスルータ12の通信エリアへ移動する前に旧アクセスルータ11が結合更新メッセージを受信できなかった場合には、旧アクセスルータ11に保持されているパケットがモバイル端末1へ再送されるので、パケットの廃棄が回避される。
【0043】
次に、本発明の実施形態について詳しく説明する。
図2は、本発明の実施形態のハンドオーバ手順(正常動作時)を説明する図である。また、図3は、図2に示す動作に対応するシーケンス図である。
【0044】
モバイル端末1は、例えば携帯電話端末であり、キャリア網との間で無線信号を送受信する機能を備えている。なお、モバイル端末1は、携帯電話端末に限定されるものではなく、他の形態の端末装置(例えば、PDA、パーソナルコンピュータ等)であってもよい。
【0045】
キャリア網は、複数のルータ装置を備える。ここで、各ルータ装置は、それぞれ、パケットをその宛先アドレスに従ってルーティングする機能を備えている。一方、モバイル端末1は、それら複数のルータ装置の中のいずれかのルータ装置に接続する。そして、モバイル端末1から送出されたパケットは、これらのルータ装置を経由して宛先へ転送される。このとき、モバイル端末1から送出されたパケットを最初に処理するルータ装置が「アクセスルータ」と呼ばれる。また、モバイル端末1宛てのパケットは、そのモバイル端末1が接続しているアクセスルータへ転送され、そのアクセスルータからモバイル端末1へ送られる。
【0046】
上記移動通信ネットワークにおいて、モバイル端末1が移動すると、対応するアクセスルータが切り替わる。例えば、モバイル端末1が第1のルータ装置の通信エリアから第2のルータ装置通信エリアに移動したときは、このモバイル端末1に対応するアクセスルータは、第1のルータ装置(旧アクセスルータ11)から第2のルータ装置(新アクセスルータ12)に切り替わる。
【0047】
分岐点ルータ13は、相手端末4から旧アクセスルータ11へのルートと、相手端末4から新アクセスルータ12へのルートとが分岐するノードにおけるルータ装置を意味する。たとえば、図4において、モバイル端末1がルータ装置23の通信エリアからルータ装置24の通信エリアへ移動した場合を考える。この場合、相手端末4からルータ装置23へ至るルートと、相手端末4からルータ装置24へ至るルートとは、ルータ装置22において分岐されることになる。したがって、この場合、ルータ装置22が分岐点ルータになる。同様に、モバイル端末1がルータ装置24の通信エリアからルータ装置25の通信エリアへ移動した場合には、ルータ装置21が分岐点ルータになる。
【0048】
上記移動通信ネットワークにおいて、モバイル端末1が、旧アクセスルータ11の通信エリアから新アクセスルータ12の通信エリアへ移動するものとする。すなわち、モバイル端末1が旧アクセスルータ11に接続する状態から、モバイル端末1が新アクセスルータ12に接続する状態へのハンドオーバが発生するものとする。また、モバイル端末1は、相手端末4との間で通信を行っているものとする。さらに、モバイル端末1は、旧アクセスルータ11の通信エリアにおいて、「旧気付けアドレス」が割り当てられているものとする。
【0049】
この場合のハンドオーバ手順は、以下の通りである。なお、以下の説明では、ステイトフル・アドレス・オートコンフィグレーションを前提とする。
(1)通信相手4は、モバイル端末1の旧気付けアドレス宛てにパケットを送っている。このパケットは、旧アクセスルータ11へ転送され、さらに旧アクセスルータ11からモバイル端末1へ転送される。
【0050】
(2)モバイル端末1が新アクセスルータ12の通信エリアに接近すると、旧アクセスルータ11は、モバイル端末1のハンドオーバを予測し、新アクセスルータ12に対してハンドオーバ起動(Handover Initiate)メッセージを送る。このハンドオーバ起動メッセージは、モバイル端末1の新気付けアドレスを要求するメッセージであり、図5に示すフォーマットを有する。
【0051】
ハンドオーバ起動メッセージのフォーマットは、公知であり、タイプ領域、コード領域、チェックサム領域、識別子領域、Sビット、Uビット、Hビット、Tビット、Rビット、オプション領域を備える。ただし、本実施形態のシステムでは、IビットおよびDビットが新たに定義されている。ここで、Iビットは、蓄積されているパケットをバッファ管理アルゴリズムに従って正しく並べ替えることを要求する際に使用される。また、Dビットは、新アクセスルータとドメインゲートウェアとの間に位置するルータ装置のIPアドレスを要求する際に使用される。
【0052】
なお、手順2において、ハンドオーバ起動メッセージのUビットには「1」が設定される。ここで、「Uビット=1」は、パケットの蓄積の要求を意味する。また、Iビットにも「1」が設定される。ここで、「Iビット=1」は、パケット順序の解決の要求を意味する。
【0053】
(3)新アクセスルータ12は、モバイル端末1のための新気付けアドレスを作成する。このとき、新アクセスルータ12は、ネイバー・キャッシュに新気付けアドレスのためのエントリを作成し、そのエントリの状態を「INCOMPLETE」にする。なお、「INCOMPLETE」は、ハンドオーバ処理が未完了であることを表示する。そして、新アクセスルータ12は、ハンドオーバ起動メッセージに対応するハンドオーバ応答(Handover Acknowledgement)メッセージを利用して、新気付けアドレスを旧アクセスルータ11に通知する。尚、ネイバー・キャッシュは、RFC2461に定義されている。
【0054】
(4)旧アクセスルータ11は、Proxy Router Advertisementメッセージを利用して、新気付けアドレスをモバイル端末1に通知する。このとき、旧アクセスルータ11は、障害をモニタするためのタイマを起動する。また、旧アクセスルータ11は、旧気付けアドレス宛てのパケットをモバイル端末1へ転送する際に、そのパケットをコピーしてバッファに蓄積する処理を開始する。なお、旧アクセスルータ11におけるバッファ処理については、後で詳しく説明する。
【0055】
(5)モバイル端末1は、無線コネクションを切り換える直前に、旧アクセスルータ11に対して結合更新(Fast Binding Update)メッセージを送る。なお、この結合更新は、旧気付けアドレス宛てのパケットを新気付けアドレスへ転送するためのメッセージである。また、このメッセージの送信元アドレスは、モバイル端末1の旧気付けアドレスである。
【0056】
(6)旧アクセスルータ11は、結合更新メッセージを受信すると、そのメッセージに従って結合キャッシュを更新する。このとき、このメッセージの送信元アドレスをチェックする。そして、この送信元アドレスが旧気付けアドレスであったときは、旧アクセスルータ11は、モバイル端末1が旧アクセスルータ11の通信エリア内から送信した結合更新メッセージを受信したものと判断する。すなわち、正常動作が行われていると判断する。ここでは、旧アクセスルータ11は、手順5において送信された結合更新メッセージを受信するので、正常動作が行われているものと判断する。
【0057】
この場合、旧アクセスルータ11は、パケットをコピーする処理を停止すると共に、バッファに蓄積されているパケットを廃棄する。また、上記タイマはリセットされる。
【0058】
さらに、旧アクセスルータ11は、分岐点ルータ13に対して結合更新メッセージを送る。ここで、この結合更新は、旧気付けアドレス宛てのパケットを新気付けアドレスへ転送するためのメッセージである。なお、分岐点ルータ13を特定する処理は、後で詳しく説明する。
【0059】
(7)旧アクセスルータ11は、手順5の結合更新メッセージに対応する結合応答(Fast Binding Acknowledgement)メッセージを、モバイル端末1の新気付けアドレスに返送する。これにより、新アクセスルータ12はこの結合応答メッセージを受け取る。
【0060】
(8)分岐点ルータ13は、手順6の結合更新メッセージに従って、結合キャッシュに新たなエントリを作成する。ここで、このエントリには、モバイル端末1の旧気付けアドレス宛てのパケットをモバイル端末1の新気付けアドレスへトンネリングするための情報が登録される。したがって、分岐点ルータ13は、相手端末4からモバイル端末1の旧気付けアドレス宛てのパケットを受信すると、そのパケットをモバイル端末1の新気付けアドレスへトンネリングする。すなわち、旧気付けアドレス宛てのパケットは、旧アクセスルータ11に転送されることなく、新アクセスルータ12へ送られることになる。
【0061】
(9)新アクセルルータ12は、新気付けアドレス宛てのパケットを受信すると、ネイバーキャッシュを参照してそのアドレスの状態をチェックする。ここでは、新気付けアドレスの状態は、「INCOMPLETE」である。従って、新アクセスルータ12は、新気付けアドレス宛てのパケットをバッファに蓄積していく。そして、バッファに蓄積されているパケットを、各パケットのTCPヘッダに書き込まれているシーケンス番号に従って並べ替える。したがって、図25を参照しながら説明したパケットの順序逆転の問題は回避される。なお、この順序制御処理は、手順2のハンドオーバ起動メッセージのIビットに「1」が設定されていた場合にのみ実行される。また、この順序制御処理については、後で詳しく説明する。
【0062】
(10)モバイル端末1は、新アクセルルータ12の通信エリアに入ると、アクセスルータ12との間に新たな無線コネクションを確立する。そして、モバイル端末1は、その無線コネクションを介して、Fast Neighbour Advertisementメッセージを新アクセスルータ12へ送る。
【0063】
(11)新アクセスルータ12は、ネイバーキャッシュに登録されている新気付けアドレスの状態を「INCOMPLETE」から「REACHABLE」に変更する。そして、手順10のFast Neighbour Advertisementメッセージに対応するNeighbour Advertisement ACKメッセージを、モバイル端末1に返送する。
【0064】
(12)新アクセスルータ12は、バッファに蓄積してあるパケットをモバイル端末1の新気付けアドレスへ送る。
(13)モバイル端末1は、MobileIPv6に基づいて、相手端末4(および、不図示のホームエージェント)に対して結合更新メッセージを送信する。なお、この結合更新は、ホームアドレス宛てのパケットを新気付けアドレスへ転送するためのメッセージである。
【0065】
(14)相手端末4は、上記結合更新メッセージを受け取ると、以降、新気付けアドレスへパケットを送信する。
このように、実施形態の手順においては、手順6において分岐点ルータ13へ結合更新メッセージを送ることにより、図24を参照しながら説明した非効率ルーティングの問題が解決される。また、新アクセスルータ12においてパケットの並替えが行われるので、図25を参照しながら説明したパケットの順序逆転の問題は回避される。
【0066】
図6は、本発明の実施形態のハンドオーバ手順(非正常動作時)を説明する図である。また、図7は、図6に示す動作に対応するシーケンス図である。なお、ここでは、図2を参照しながら説明した手順5において、モバイル端末1から送出された結合更新メッセージが、何らかの理由により、旧アクセスルータ11に到達できなかった場合を想定する。このような状況は、例えば、モバイル端末1と旧アクセスルータ11との間の無線環境が劣悪な場合、あるいはモバイル端末1が高速で移動している場合などの発生し得る。
【0067】
手順1〜4では、図2を参照しながら説明した通り、モバイル端末1に新気付けアドレスが割り当てられる。また、旧アクセスルータ11は、モバイル端末1の旧気付けアドレス宛てのパケットをバッファに蓄積する。以下、手順6以降について説明する。
【0068】
(6)旧アクセスルータ11は、モバイル端末1の旧気付けアドレス宛てのパケットを蓄積する動作を継続する。
(7)モバイル端末1は、新アクセルルータ12の通信エリアに入ると、新アクセスルータ12との間に新たな無線コネクションを確立する。そして、モバイル端末1は、その無線コネクションを介して、Fast Neighbour Advertisementメッセージを新アクセスルータ12へ送る。なお、この動作は、図2における手順10と同じである。
【0069】
(8)新アクセスルータ12は、ネイバーキャッシュに登録されている新気付けアドレスの状態を「INCOMPLETE」から「REACHABLE」に変更する。そして、受信したFast Neighbour Advertisementメッセージに対応するNeighbour Advertisement ACKメッセージを、モバイル端末1に返送する。なお、この動作は、図2における手順11と同じである。
【0070】
(9)モバイル端末1は、旧アクセスルータ11に対して、再度、結合更新メッセージを送る。ここで、この結合更新も、旧気付けアドレス宛てのパケットを新気付けアドレスへ転送するためのメッセージである。ただし、このメッセージの送信元アドレスは、モバイル端末1の新気付けアドレスである。
【0071】
(10)モバイル端末1は、MobileIPv6に基づいて、相手端末4(および、不図示のホームエージェント)に対して結合更新メッセージを送信する。ここで、この結合更新は、ホームアドレス宛てのパケットを新気付けアドレスへ転送するためのメッセージである。なお、この動作は、図2における手順12と同じである。
【0072】
(11)旧アクセスルータ11は、手順9においてモバイル端末1から送出された結合更新メッセージを受信すると、そのメッセージに従って結合キャッシュを更新する。このとき、このメッセージの送信元アドレスをチェックする。ここでは、このメッセージの送信元アドレスは、新気付けアドレスである。したがって、旧アクセスルータ11は、モバイル端末1が新アクセスルータ12の通信エリアから送信され結合更新メッセージを受信したものと判断する。すなわち、非正常動作が行われていると判断する。
【0073】
この場合、旧アクセスルータ11は、バッファに蓄積されている旧気付けアドレス宛てのパケットを、通常のMobileIPv6に従って、新気付けアドレスへトンネリングする。そして、パケットをコピーしてバッファに蓄積する処理を停止すると共に、タイマをリセットする。
【0074】
(12)相手端末4は、手順10の結合更新メッセージを受け取ると、以降、新気付けアドレスへパケットを送信する。
このように、実施形態のハンドオーバ方法においては、旧アクセスルータ11が手順5の結合更新メッセージを受信できなかったときは、旧アクセスルータ11からモバイル端末1へ新気付けアドレスが通知されたときから、新アクセスルータ12を介して結合更新メッセージを受信するまでの間、モバイル端末1の旧気付けアドレス宛てのパケットが旧アクセスルータ11に蓄積される。そして、旧アクセスルータ11は、新アクセスルータ12を介して結合更新メッセージを受信すると、その蓄積してあるパケットをモバイル端末1の新気付けアドレスに送信する。したがって、パケットのロスが回避される。
【0075】
一例を示す。ここでは、図8に示すように、モバイル端末1の旧気付けアドレス宛てにパケット1〜4が送信されるものとする。この場合、旧アクセスルータ11は、これらのパケットをモバイル端末1の旧気付けアドレスへ転送する。また、旧アクセスルータ11は、パケット1、2をモバイル端末1へ転送した時点で、モバイル端末1へ新気付けアドレスを通知したとする。この場合、パケット3、4は、バッファに格納される。
【0076】
この後、モバイル端末1は、パケット3、4を受信することなく、新アクセスルータ12の通信エリアへ移動したものとする。また、モバイル端末1から送出された結合更新メッセージは、旧アクセスルータ11には到達したかったものとする。この場合、旧アクセスルータ11は、モバイル端末から送出された結合更新メッセージを新アクセスルータ12を介して受信すると、バッファに蓄積されているパケット3、4を、モバイル端末1の新気付けアドレスへ送信する。そして、モバイル端末1は、新アクセスルータ12を介してパケット3、4を受信する。これにより、モバイル端末1は、パケット1〜4を受信することができる。すなわち、パケットロスの発生が回避される。
【0077】
次に、旧アクセスルータ11が結合更新メッセージを送るために分岐点ルータ13を特定する方法を説明する。ここでは、以下の4つのケースを示す。
(1)分岐点ルータのアドレスが予め定義されている場合
(2)分岐点ルータのアドレスを動的に取得する場合
(3)分岐点ルータのアドレスを取得できない場合(MACアドレス利用)
(4)分岐点ルータのアドレスを取得できない場合(CNアドレス利用)
(1)分岐点ルータのアドレスが予め定義されている場合
この場合、各ルータ装置に、それぞれ、モバイル端末1の移動先と、その移動先に対応する分岐点ルータとが関連づけられて登録されている。例えば、図4に示すルータ装置24には、「移動先:ルータ装置23」と「分岐点:ルータ装置22」とが関連づけて登録されており、「移動先:ルータ装置25」と「分岐点:ルータ装置21」とが関連づけて登録されている。したがって、例えば、モバイル端末1が、ルータ装置24の通信エリアからルータ装置23の通信エリアへ移動する際には、分岐点ルータとして「ルータ装置22」が特定される。また、モバイル端末1が、ルータ装置24の通信エリアからルータ装置25の通信エリアへ移動する際には、分岐点ルータとして「ルータ装置21」が特定される。そして、特定された分岐点ルータに対して結合更新メッセージが送られる。なお、上記対応関係を表す情報は、例えば、ネットワークの構築時に各ルータ装置に設定されるようにしてもよい。
【0078】
(2)分岐点ルータのアドレスを動的に取得する場合
この場合、各ルータ装置は、ドメインゲートウェイ20のアドレスを知っているものとする。また、各ルータ装置は、自分自身とドメインゲートウェイとの間に存在する各ルータ装置のIPアドレスを知っているものとする。なお、これらのルータ装置のIPアドレスは、例えば、トレース・ルート(Traceroute)により取得することができる。
【0079】
図9は、分岐点ルータのアドレスを動的に取得する方法を模式的に示す図である。ここでは、ルータ装置21〜26に割り当てられているIPアドレスが、それぞれ、「aaaa」〜「ffff」であるものとする。また、当該ドメインをインターネットに接続するためのゲートウェイ20のアドレスが「GGGG」であるものとする。そして、各ルータ装置は、自分自身とゲートウェイ20との間に設けられているルータ装置のアドレスを管理している。図9においては、ルータ装置24が備えるルータ管理リスト24aには、ルータ装置22、ルータ装置21、ゲートウェイ20のアドレスが順番に登録されている。一方、ルータ装置25が備えるルータ管理リスト25aには、ルータ装置26、ルータ装置21、ゲートウェイ20のアドレスが順番に登録されている。
【0080】
上記ネットワークにおいて、モバイル端末1がルータ装置24の通信エリアからルータ装置25の通信エリアへ移動すると、ルータ装置(旧アクセスルータ)24は、ルータ装置(新アクセスルータ)25に対して、ルータ管理リスト25aの転送を要求する。そして、ルータ管理リスト24aとルータ管理リスト25aとを比較し、互いに一致するアドレスを探す。この実施例では、双方のリストに「aaaa」が登録されている。よって、この場合、ルータ装置21が分岐点ルータであると判断される。なお、上述のようにしてリストを比較したときに、複数のアドレスが一致した場合には、例えば、旧アクセスルータに最も近いルータ装置が分岐点ルータと判断される。
【0081】
図10は、分岐点ルータのアドレスを動的に取得する方法のフローチャートである。なお、このフローチャートの処理は、旧アクセスルータ11により実行される。
【0082】
ステップS1では、モバイル端末1の位置およびその移動方向に基づいて、ハンドオーバの発生を予測する。このとき、新アクセスルータ12が特定される。なお、新アクセスルータ12を予測する方法は、公知の技術である。
【0083】
ステップS2では、旧アクセスルータ11と新アクセスルータ12との組合せに対応する分岐点ルータのIPアドレスが予めあるいは既に登録されているか否かを調べる。そして、分岐点ルータのIPアドレスが登録されていれば、ステップS3において、モバイル端末1から受信した結合更新メッセージをその分岐点ルータを送る。一方、分岐点ルータのIPアドレスが登録されていなければ、ステップS4以降の処理が実行される。
【0084】
ステップS4では、ハンドオーバ起動(Handover Initiate)メッセージを利用して、新アクセスルータ12に対して、新アクセスルータ12とドメインゲートウェイとの間に設けられているルータ装置のアドレスを要求する。このとき、このハンドオーバ起動メッセージは、図5に示したDビットに「1」が設定される。そして、新アクセスルータ12は、Dビットに「1」が設定されたハンドオーバ起動メッセージを受信すると、ハンドオーバ応答(HandoverACK)メッセージを利用して、図9に示したルータ管理リストを旧アクセスルータ11へ送信する。
【0085】
図11は、ハンドオーバ応答(Handover ACK)メッセージのフォーマットを示す図である。このメッセージは、アドレスを通知するために利用される。具体的には、サブタイプ(Sub−Type)として「1」が設定されているときは、アドレス領域に旧気付けアドレスが書き込まれ、「2」が設定されているときは、アドレス領域に新気付けアドレスが書き込まれる。また、実施形態では、サブタイプとして、新たに「3」が定義される。そして、新アクセスルータ12から旧アクセスルータ11へ、ルータ管理リストに登録されている1または複数のアドレスを通知する際には、サブタイプとして「3」が設定されると共に、対応するルータ装置のアドレスがアドレス領域に書き込まれる。
【0086】
ステップS5では、新アクセスルータ12から、新アクセスルータ12とドメインゲートウェイとの間に設けられているルータ装置のアドレスが登録されたルータ管理リストを受け取る。
【0087】
ステップS6では、旧アクセスルータ11とドメインゲートウェイとの間に設けられているルータ装置のアドレスと、新アクセスルータ12とドメインゲートウェイとの間に設けられているルータ装置のアドレスとを比較する。続いて、ステップS7では、互いに一致するルータ装置を検出する。そして、ステップS8において、ステップS7で検出したルータ装置に対して、モバイル端末1から受信した結合更新メッセージを送信する。
【0088】
(3)分岐点ルータのアドレスを取得できない場合(MACアドレス利用)
この場合、旧アクセスルータ11は、ホップ・バイ・ホップで分岐点ルータへ結合更新メッセージを送る。すなわち、この場合、旧アクセスルータ11は、モバイル端末1宛てのパケットをハントし、そのパケットの送信元MACアドレスを取得する。そして、そのMACアドレスに対応するインタフェースに接続する近隣ルータに対して結合更新メッセージを送信する。なお、送信元MACアドレスからそれに対応する近隣ルータのIPアドレスを算出する方法としては、例えば、Reverse Address Resolution Protocol(RFC903)が知られている。
【0089】
なお、この実施例で使用される結合更新メッセージは、図12に示すように、新たに定義したRビットを備えている。ここで、Rビットは、「繰り返し」を要求するためのビットであり、このRビットが設定された結合更新メッセージを受信したルータ装置は、そのメッセージを対応するネクストホップルータへ転送する。
【0090】
上記結合更新メッセージは、各ルータ装置において上記処理が繰り返し実行されることにより、ゲートウェイまで送られる。すなわち、旧アクセスルータ11からゲートウェイまでの間に設けられている各ルータ装置の結合キャッシュは、それぞれ上記結合更新メッセージにより更新される。ここで、分岐点ルータは、旧アクセスルータ11からゲートウェイまでの間に位置するはずである。したがって、上記手順により、分岐点ルータの結合キャッシュも更新される。
【0091】
なお、上述の例では、モバイル端末1宛てのパケットの送信元MACアドレスを利用しているが、着信先MACアドレスを利用するようにしてもよい。
図13は、MACアドレスを利用して分岐点ルータへ結合更新メッセージを送信する方法のフローチャートである。なお、ステップS1〜S3は、図10に示した方法と同じであるので、説明を省略する。
【0092】
ステップS11およびS12において、モバイル端末1から結合更新メッセージを受信すると、タイマを起動する。そして、ステップS13およびS14において、モバイル端末1宛てのパケットを待つ。このとき、もし、所定時間内にモバイル端末1宛てのパケットを受信しなければ、分岐点ルータを探す処理を停止する。
【0093】
一方、所定時間内にモバイル端末1宛てのパケットを受信したときは、まず、ステップS15においてタイマを停止する。続いて、ステップS16では、受信したパケットの送信元MACアドレスまたは着信先MACアドレスに基づいて、近隣ルータを決定する。そして、ステップS17において、決定した近隣ルータへ結合更新メッセージを送信する。このとき、この結合更新メッセージは、図12を参照しながら説明したように、Rビットに「1」が設定されている。
【0094】
近隣ルータは、上記結合更新メッセージを受信すると、まず、ステップS21において、そのメッセージに従って結合キャッシュを更新する。続いて、Rビットに「1」が設定されているので、ステップS12〜S17を実行する。なお、これらの処理は、旧アクセスルータ11において実行される処理と同じである。したがって、旧アクセスルータ11とゲートウェイとの間に位置する各ルータ装置において、それぞれ、ステップS21、S12〜S17が実行されることにより、これらのルータ装置の結合キャッシュは、旧アクセスルータ11から送信された結合更新メッセージに従って更新されることになる。
【0095】
(4)分岐点ルータのアドレスを取得できない場合(CNアドレス利用)
図14は、CNアドレスを利用して分岐点ルータへ結合更新メッセージを送信する方法のフローチャートである。CNアドレス(相手端末4のIPアドレス)を利用する方法は、基本的には、上述したMACアドレスを利用する方法と同じである。ただし、CNアドレスを利用する方法では、相手端末4からモバイル端末1宛てのパケットをハントすると、ステップS31において、そのパケットの送信元IPアドレスを取得する。続いて、ルーティングテーブルを参照し、その送信元IPアドレスに対応するネクストホップを検出する。そして、ステップS17において、そのネクストホップへ結合更新メッセージが送信される。
【0096】
次に、旧アクセスルータ11において旧気付けアドレス宛てのパケットを蓄積/転送する処理について説明する。旧アクセスルータ11は、上述したように、モバイル端末1のハンドオーバ時に、旧気付けアドレス宛てのパケットを一時的に蓄積し、必要に応じてそれらのパケットをそのモバイル端末1の新気付けアドレスへ転送する。
【0097】
図15は、旧アクセスルータ11におけるバッファリング処理のフローチャートである。ここでは、図2または図6に示す手順3により、新アクセスルータ12からモバイル端末1の新気付けアドレスを受け取った後の処理を示す。
【0098】
ステップS41では、受信した新気付けアドレスまたはプレフィックスをモバイル端末1へ送信する。ステップS42およびS43では、モバイル端末1の旧気付けアドレス宛てのパケットのコピーおよびバッファリングを開始し、タイマを起動する。
【0099】
ステップS44およびS45では、バッファリングの開始から所定時間が経過するまでの間、モバイル端末1から結合更新メッセージを待つ。そして、所定時間内に結合更新メッセージを受信した場合は、ステップS46において、そのメッセージの送信元アドレスを調べる。
【0100】
上記結合更新メッセージの送信元アドレスが旧気付けアドレスであれば、図2の手順5のメッセージを受信したものとみなし、ステップS47において、バッファリング処理を停止すると共に、タイマを停止する。さらに、バッファしたパケットを廃棄する。
【0101】
一方、結合更新メッセージの送信元アドレスが新気付けアドレスであれば、図6の手順9のメッセージを受信したものとみなし、ステップS48において、バッファリング処理を停止すると共に、タイマを停止する。さらに、バッファしたパケットを新気付けアドレスへ転送する。
【0102】
さらに、所定時間内にモバイル端末1から結合更新メッセージを受信できなかた場合は、ステップS49において、バッファリング処理を停止すると共に、バッファしたパケットを廃棄する。
【0103】
なお、旧アクセスルータ11は、モバイル端末1が最後に受信したパケットを特定できる場合には、その次のパケットからバッファリングを開始するようにしてもよい。
【0104】
次に、新アクセスルータ12においてパケットの順序を制御する方法について説明する。
図16は、モバイル端末1宛てのパケットが到着したときの新アクセスルータ12の動作を示す図である。なお、このパケットの宛先アドレスは、モバイル端末1の新気付けアドレスであるものとする。
【0105】
ステップS51では、まず、受信パケットの宛先アドレス(モバイル端末1の新気付けアドレス)をキーとしてネイバーキャッシュ(Neighbour Cache)にアクセスし、登録されている状態を調べる。そして、「REACHABLE」が登録されていた場合は、ステップS52において、受信パケットをそのままモバイル端末1へ転送する。一方、「INCOMPLETE」が登録されていた場合には、ステップS53において、受信パケットのIPヘッダに設定されている送信元アドレスを調べる。
【0106】
受信パケットの送信元アドレスが旧アクセスルータ11であったときは、ステップS54において、そのパケットを第1のキューメモリの最後尾に書き込む。一方、受信パケットの送信元アドレスが旧アクセスルータ11でなかったときには、ステップS55において、そのパケットを第2のキューメモリの最後尾に書き込む。このように、新アクセスルータ12は、モバイル端末1宛てのパケットを受信すると、それらのパケットをその送信元に対応するバッファに書き込む。なお、ステップS53〜S55の処理は、図2に示した手順9に相当する。
【0107】
図17は、モバイル端末1から結合更新メッセージを受信したときの新アクセスルータ12の動作を示す図である。ここでは、モバイル端末1が、結合更新メッセージとしてFast Neighbour Advertisementメッセージを送出したものとする。
【0108】
ステップS61では、ネイバーキャッシュに登録されているモバイル端末1の状態を「INCOMPLETE」から「REACHABLE」に変更する。続いて、ステップS62において、第1および第2のバッファメモリにモバイル端末1宛てのパケットが蓄積されているか否かを調べる。そして、それらのバッファメモリにパケットが蓄積されているときは、ステップS63において、まず、第1のバッファメモリに蓄積されているパケットを先に読み出し、その後、第2のバッファメモリに蓄積されているパケットを読み出す。これらのパケットは、読み出した順番に、モバイル端末1へ送信される。なお、バッファメモリにパケットが蓄積されていなければ、特別な動作は行われない。
【0109】
このように、新アクセスルータ12は、旧アクセスルータ11から転送されてきたパケットおよび相手端末4から送出されたパケットの双方が蓄積されている場合には、前者を優先してモバイル端末1に送る。これにより、パケットの順序逆転の問題は回避される。
【0110】
次に、実施形態のハンドオーバ方法がHMIPv6(Hierarchical Mobile Ipv6)を使用する階層化ネットワークに適用される場合について説明する。なお、HMIPv6自体は、http://www.ietf.org/internet−drafts/draft−ietf−mobileip−hmipv6−04.txtに記載されている。
【0111】
HMIP(HMIPv6を含む)は、モビリティアンカーポイント(MAP:Mobility Anchor Point)を用いてモバイル端末の位置または移動を階層的に管理する。ここで、MAPは、外部ドメインに設けられており、自分が管理するエリア内におけるモバイル端末の移動を管理する。また、HMIPv6BasicModeでは、各モバイル端末に、MAPのエリア内で固定的に決められるアドレスRCoA(RegionalCare−of−Address)、およびMAPのエリア内のアクセスルータ毎に変わるアドレスLCoA(Local Care−of−Address)が割り当てられる。したがって、モバイル端末がMAP間を移動した場合には、MAPを登録する処理、およびホームエージェントへ結合更新メッセージを送信する処理が必要になるが、モバイル端末がMAP内で移動した場合には、MAPに結合更新メッセージを送るだけで位置登録が完了する。ちなみに、一般的なMobileIPv6においては、モバイル端末が移動するごとに、結合更新メッセージがホームエージェントに送られるようになっている。
【0112】
HMIPv6におけるハンドオーバ手順は、基本的には、MobileIPv6の場合と同じである。ただし、結合更新メッセージの内容およびその送り先が異なってくる。
【0113】
図18は、MAPのエリア内に分岐点ルータが位置する場合のハンドオーバ手順を示す図である。この場合、図2の手順5でモバイル端末1から旧アクセスルータ11へ送られる結合更新メッセージ、および手順6で旧アクセスルータ11から分岐点ルータ13へ送られる結合更新メッセージは、それぞれ、旧LCoA宛てのパケットを新LCoAへ転送するためのメッセージである。また、図2の手順13でモバイル端末1から送信される結合更新メッセージは、RCoA宛てのパケットを新LCoAへ転送するためのメッセージであって、MAPへ送られる。なお、このケースでは、分岐点ルータをMAPにするショートカットを行えば、上記手順13を省略しても、ルート最適化が犠牲になることはない。
【0114】
一方、図6の手順9でモバイル端末1から旧アクセスルータ11へ送られる結合更新メッセージは、旧LCoA宛てのパケットを新LCoAへ転送するためのメッセージである。また、図6の手順10でモバイル端末1から送信される結合更新メッセージは、RCoA宛てのパケットを新LCoAへ転送するためのメッセージであって、MAPへ送られる。
【0115】
図19は、MAPが分岐点ルータになる場合のハンドオーバ手順を示す図である。この場合、図2の手順5でモバイル端末1から旧アクセスルータ11へ送られる結合更新メッセージは、旧LCoA宛てのパケットを新LCoAへ転送するためのメッセージである。また、手順6で旧アクセスルータ11から分岐点ルータ13へ送られる結合更新メッセージは、RCoA宛てのパケットを新LCoAへ転送するためのメッセージである。なお、上記手順6においてMAPに結合更新メッセージが送られるので、図2に示す手順13、14を省略することができる。
【0116】
一方、図6の手順9でモバイル端末1から旧アクセスルータ11へ送られる結合更新メッセージは、旧LCoA宛てのパケットを新LCoAへ転送するためのメッセージである。また、図6の手順10でモバイル端末1から送信される結合更新メッセージは、RCoA宛てのパケットを新LCoAへ転送するためのメッセージであって、MAPへ送られる。
【0117】
図20は、分岐点ルータが当該MAPのエリアの外に位置する場合のハンドオーバ手順を示す図である。この場合、図2の手順5でモバイル端末1から旧アクセスルータ11へ送られる結合更新メッセージは、旧LCoA宛てのパケットを新LCoAへ転送するためのメッセージである。また、手順6で旧アクセスルータ11から分岐点ルータ13へ送られる結合更新メッセージは、旧RCoA宛てのパケットを新LCoAへ転送するためのメッセージである。さらに、図2の手順13でモバイル端末1から送信される結合更新メッセージは、新RCoA宛てのパケットを新LCoAへ転送するためのメッセージであって、MAPへ送られる。
【0118】
一方、図6の手順9でモバイル端末1から旧アクセスルータ11へ送られる結合更新メッセージは、旧LCoA宛てのパケットを新LCoAへ転送するためのメッセージである。また、図6の手順10でモバイル端末1から相手端末4やホームエージェントへ送信される結合更新メッセージは、ホームアドレス宛てのパケットを新RCoAへ転送するためのメッセージであって、ただし、上記手順10の前に、HMIPの通常の動作により、新RCoA宛てのパケットを新LCoAへ転送するための結合更新メッセージが、新MAPへ送られる。
【0119】
このように、実施形態のハンドオーバ手順は、階層化モバイルIP網においても適用可能である。すなわち、本発明は、MobileIP、MobileIPv6、階層化MobileIPv6に適用可能である。この場合、ルータ装置は、MobileIPの外部エージェント(FA:ForeignAgent)またはゲートウェイ外部エージェント(GFA:Gateway Foreign Agent)、階層化MobileIPv6のMAPであってもよい。
【0120】
また、上述の実施例では、結合更新メッセージを利用してパケットのバッファリングを制御しているが、このメッセージの代わりにICMP(Internet Control Message Protocol)メッセージを利用してもよい。なお、ICMPメッセージは、図21に示すフォーマットを有している。
【0121】
(付記1)第1のルータ装置の通信エリアにおいて第1のアドレスが割り当てられているモバイル端末がその第1のルータ装置の通信エリアから第2のルータ装置の通信エリアへ移動する際のハンドオーバ方法であって、
上記モバイル端末が上記第1のルータ装置を介して相手端末と通信を行っているときに、上記第2のルータ装置の通信エリアにおいて使用すべき第2のアドレスが上記モバイル端末に割り当てられ、
上記第1のアドレス宛てのパケットを上記第2のアドレスへ転送させるためのメッセージが、上記相手端末から上記第1のルータ装置へのルートと上記相手端末から上記第2のルータ装置へのルートとが分岐するノードに位置する分岐点ルータ装置に送られる
を特徴とするハンドオーバ方法。
【0122】
(付記2)第1のルータ装置の通信エリアにおいて第1のアドレスが割り当てられているモバイル端末がその第1のルータ装置の通信エリアから第2のルータ装置の通信エリアへ移動する際のハンドオーバ方法であって、
上記モバイル端末が上記第1のルータ装置を介して相手端末と通信を行っているときに、上記第2のルータ装置の通信エリアにおいて使用すべき第2のアドレスが上記モバイル端末に割り当てられ、
上記第2のアドレスが、上記相手端末から上記第1のルータ装置へのルートと上記相手端末から上記第2のルータ装置へのルートとが分岐するノードに位置する分岐点ルータ装置に通知され、
上記分岐点ルータ装置が、上記第1のアドレス宛てのパケットを上記第2のアドレスへ転送する
を特徴とするハンドオーバ方法。
【0123】
(付記3)付記1に記載の方法であって、
上記第1および第2のルータ装置は、ゲートウェイの配下に設けられており、上記第1のルータ装置と上記ゲートウェイとの間に設けられているルータ装置と、上記第2のルータ装置と上記ゲートウェイとの間に設けられているルータ装置とを比較し、
上記比較において互いに一致するルータ装置を上記分岐点ルータ装置として指定する。
【0124】
(付記4)付記3に記載の方法であって、
上記第1のルータ装置は、その第1のルータ装置と上記ゲートウェイとの間に設けられているルータ装置のアドレスを取得し、
上記第2のルータ装置は、その第2のルータ装置と上記ゲートウェイとの間に設けられているルータ装置のアドレスを取得し、
上記第1のルータ装置は、上記第2のルータ装置からその第2のルータ装置と上記ゲートウェイとの間に設けられているルータ装置のアドレスを取得し、上記第1のルータ装置と上記ゲートウェイとの間に設けられているルータ装置のアドレスと比較する。
【0125】
(付記5)付記1に記載の方法であって、
上記相手端末のアドレスに基づいて決まる1または複数のルータ装置に対してホップバイホップで上記メッセージが送信される。
【0126】
(付記6)付記5に記載の方法であって、
上記相手端末から上記モバイル端末へのパケットの送信元IPアドレスに基づいて、上記メッセージを送信すべき近隣ルータが決定される。
【0127】
(付記7)付記5に記載の方法であって、
上記相手端末から上記モバイル端末へのパケットの送信元MACアドレスまたは着信先MACアドレスに基づいて、上記メッセージを送信すべき近隣ルータのIPアドレスが決定される。
【0128】
(付記8)付記1に記載の方法であって、
上記分岐点ルータ装置は、階層化MobileIPのゲートウェイ外部エージェントまたは階層化MobileIPv6のモビリティアンカーポイントである。
【0129】
(付記9)第1のルータ装置の通信エリアにおいて第1のアドレスが割り当てられているモバイル端末がその第1のルータ装置の通信エリアから第2のルータ装置の通信エリアへ移動する際のハンドオーバ方法であって、
上記モバイル端末が上記第1のルータ装置を介して相手端末と通信を行っているときに、上記第2のルータ装置の通信エリアにおいて使用すべき第2のアドレスが上記モバイル端末に割り当てられ、
上記モバイル端末に上記第2のアドレスが割り当てられたときから、上記第1のアドレス宛てのパケットを上記第2のアドレスへ転送させるためのメッセージが上記第1のルータ装置に与えられるまでの期間、上記第1のルータ装置において上記第1のアドレス宛てのパケットが蓄積され、
上記メッセージが上記第2のルータ装置を介して上記第1のルータ装置に与えられたときは、上記第1のルータ装置に蓄積されたパケットが上記第2のアドレスへ転送される
を特徴とするハンドオーバ方法。
【0130】
(付記10)第1のルータ装置の通信エリアにおいて第1のアドレスが割り当てられているモバイル端末がその第1のルータ装置の通信エリアから第2のルータ装置の通信エリアへ移動する際のハンドオーバ方法であって、
上記第2のルータ装置において、その第2のルータ装置と上記モバイル端末とが接続されるまでの間、そのモバイル端末宛てのパケットを蓄積し、
上記相手端末における送信順序に従って上記蓄積されているパケットを読み出して上記モバイル端末へ送信する
を特徴とするハンドオーバ方法。
【0131】
(付記11)付記10に記載の方法であって、
上記第2のルータ装置は、TCPヘッダまたはRTPヘッダのシーケンス番号を利用してパケットの順序を制御する。
【0132】
(付記12)付記10に記載の方法であって、
上記第1のルータ装置から送られてきたパケットを第1のバッファメモリに蓄積するとともに、他のパケットを第2のバッファメモリに蓄積し、
上記第2のルータ装置と上記モバイル端末とが接続されると、上記第1のバッファメモリに蓄積されているパケットを上記モバイル端末へ送信し、その後、上記第2のバッファメモリに蓄積されているパケットを上記モバイル端末へ送信する。
【0133】
(付記13)付記1または9に記載の方法であって、
上記メッセージは、結合更新メッセージまたはICMPメッセージである。
(付記14)付記1または9に記載の方法であって、
上記第1および第2のルータ装置の少なくとも一方が、階層化MobileIPv6のモビリティアンカーポイント、またはMobileIPの外部エージェントである。
【0134】
(付記15)付記1または9に記載の方法であって、
上記モバイル端末は、MobileIP、MobileIPv6、または階層化MobileIPv6において定義されているモバイルノードである。
【0135】
(付記16)複数のルータ装置を含む移動通信システムにおいて上記複数のルータ装置の中の第1のルータ装置として使用されるルータ装置であって、
第1のルータ装置の通信エリアにおいて第1のアドレスが割り当てられているモバイル端末が第1のルータ装置の通信エリアから第2のルータ装置の通信エリアへ移動することを予測する予測手段と、
上記予測に起因して上記モバイル端末に対して上記第2のルータ装置の通信エリアにおいて使用すべき第2のアドレスが上記モバイル端末に割り当てられたときに、上記第1のアドレス宛てのパケットを上記第2のアドレスへ転送させるためのメッセージを、上記モバイル端末が通信を行っている相手端末から上記第1のルータ装置へのルートとその相手端末から上記第2のルータ装置へのルートとが分岐するノードに位置する分岐点ルータ装置に送信する指示手段と、
を有するルータ装置。
【0136】
【発明の効果】
本発明によれば、移動通信システムにおいて、ハンドオーバ時に効率の悪いパケット転送が回避される。また、ハンドオーバ時のパケットロスおよびパケットの順序逆転が回避される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の概要を説明する図である。
【図2】本発明の実施形態のハンドオーバ手順(正常動作時)を説明する図である。
【図3】図2に示す動作に対応するシーケンス図である。
【図4】分岐点ルータについて説明する図である。
【図5】ハンドオーバ起動(Handover Initiate)メッセージのフォーマットを示す図である。
【図6】本発明の実施形態のハンドオーバ手順(非正常動作時)を説明する図である。
【図7】図6に示す動作に対応するシーケンス図である。
【図8】パケットロスを回避するための手順の一例を説明するための図である。
【図9】分岐点ルータのアドレスを動的に取得する方法を模式的に示す図である。
【図10】分岐点ルータのアドレスを動的に取得する方法のフローチャートである。
【図11】ハンドオーバ応答(Handover ACK)メッセージのフォーマットを示す図である。
【図12】結合更新メッセージのフォーマットを示す図である。
【図13】MACアドレスを利用して分岐点ルータへ結合更新メッセージを送信する方法のフローチャートである。
【図14】CNアドレスを利用して分岐点ルータへ結合更新メッセージを送信する方法のフローチャートである。
【図15】旧アクセスルータにおけるバッファリング処理のフローチャートである。
【図16】モバイル端末宛てのパケットが到着したときの新アクセスルータの動作を示す図である。
【図17】モバイル端末から結合更新メッセージを受信したときの新アクセスルータの動作を示す図である。
【図18】MAPのエリア内に分岐点ルータが位置する場合のハンドオーバ手順を示す図である。
【図19】MAPが分岐点ルータになる場合のハンドオーバ手順を示す図である。
【図20】分岐点ルータがMAPのエリア外に位置する場合のハンドオーバ手順を示す図である。
【図21】ICMPメッセージのフォーマットを示す図である。
【図22】高速ハンドオーバの基本手順を説明する図である。
【図23】図22に示す処理のシーケンス図である。
【図24】非効率ルーティングについて説明する図である。
【図25】パケットの順序逆転について説明する図である。
【図26】パケットロスについて説明する図である。
【図27】パケットロスが発生する場合のシーケンス図である。
【符号の説明】
1  モバイル端末(MN)
4  相手端末(CN)
11 旧アクセスルータ
12 新アクセスルータ
13 分岐点ルータ
20 ゲートウェイ
21〜26 ルータ装置

Claims (5)

  1. 第1のルータ装置の通信エリアにおいて第1のアドレスが割り当てられているモバイル端末がその第1のルータ装置の通信エリアから第2のルータ装置の通信エリアへ移動する際のハンドオーバ方法であって、
    上記モバイル端末が上記第1のルータ装置を介して相手端末と通信を行っているときに、上記第2のルータ装置の通信エリアにおいて使用すべき第2のアドレスが上記モバイル端末に割り当てられ、
    上記第1のアドレス宛てのパケットを上記第2のアドレスへ転送させるためのメッセージが、上記相手端末から上記第1のルータ装置へのルートと上記相手端末から上記第2のルータ装置へのルートとが分岐するノードに位置する分岐点ルータ装置に送られる
    を特徴とするハンドオーバ方法。
  2. 請求項1に記載の方法であって、
    上記第1および第2のルータ装置は、ゲートウェイの配下に設けられており、上記第1のルータ装置と上記ゲートウェイとの間に設けられているルータ装置と、上記第2のルータ装置と上記ゲートウェイとの間に設けられているルータ装置とを比較し、
    上記比較において互いに一致するルータ装置を上記分岐点ルータ装置として指定する。
  3. 第1のルータ装置の通信エリアにおいて第1のアドレスが割り当てられているモバイル端末がその第1のルータ装置の通信エリアから第2のルータ装置の通信エリアへ移動する際のハンドオーバ方法であって、
    上記モバイル端末が上記第1のルータ装置を介して相手端末と通信を行っているときに、上記第2のルータ装置の通信エリアにおいて使用すべき第2のアドレスが上記モバイル端末に割り当てられ、
    上記モバイル端末に上記第2のアドレスが割り当てられたときから、上記第1のアドレス宛てのパケットを上記第2のアドレスへ転送させるためのメッセージが上記第1のルータ装置に与えられるまでの期間、上記第1のルータ装置において上記第1のアドレス宛てのパケットが蓄積され、
    上記メッセージが上記第2のルータ装置を介して上記第1のルータ装置に与えられたときは、上記第1のルータ装置に蓄積されたパケットが上記第2のアドレスへ転送される
    を特徴とするハンドオーバ方法。
  4. 第1のルータ装置の通信エリアにおいて第1のアドレスが割り当てられているモバイル端末がその第1のルータ装置の通信エリアから第2のルータ装置の通信エリアへ移動する際のハンドオーバ方法であって、
    上記第2のルータ装置において、その第2のルータ装置と上記モバイル端末とが接続されるまでの間、そのモバイル端末宛てのパケットを蓄積し、
    上記相手端末における送信順序に従って上記蓄積されているパケットを読み出して上記モバイル端末へ送信する
    を特徴とするハンドオーバ方法。
  5. 複数のルータ装置を含む移動通信システムにおいて上記複数のルータ装置の中の第1のルータ装置として使用されるルータ装置であって、
    第1のルータ装置の通信エリアにおいて第1のアドレスが割り当てられているモバイル端末が第1のルータ装置の通信エリアから第2のルータ装置の通信エリアへ移動することを予測する予測手段と、
    上記予測に起因して上記モバイル端末に対して上記第2のルータ装置の通信エリアにおいて使用すべき第2のアドレスが上記モバイル端末に割り当てられたときに、上記第1のアドレス宛てのパケットを上記第2のアドレスへ転送させるためのメッセージを、上記モバイル端末が通信を行っている相手端末から上記第1のルータ装置へのルートとその相手端末から上記第2のルータ装置へのルートとが分岐するノードに位置する分岐点ルータ装置に送信する指示手段と、
    を有するルータ装置。
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